JP3713736B2 - 窒素及びリンの除去装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は窒素及びリンの除去装置に係り、特に、生物膜濾過装置と造粒濃縮装置とを組み合せることにより、排水中の窒素とリンを同時に除去すると共に、汚泥の脱水をも小さな敷地面積内で行うことを可能とした窒素及びリンの除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排水中の窒素を除去する方法としては、微生物を利用した生物学的硝化・脱窒処理法が、ランニングコストが低く有効である。この生物学的硝化・脱窒処理法としては、微生物を槽内に浮遊させて排水を通水する浮遊法が最も一般的であるが、この浮遊法では処理水の固液分離に沈殿池が必要であることから、必要とする敷地面積が大きいという欠点がある。
【0003】
一方、小さな敷地面積で効率良く窒素を除去する方法として、近年、生物膜濾過法が注目されている。生物膜濾過法は、担体(濾材)表面に微生物を付着させ、この微生物付着担体の濾材層を形成した生物膜濾過槽に排水を通水して処理する方法であり、生物膜濾過槽内に微生物を高濃度に維持できるため、生物膜濾過槽体積当りの処理能力が高く、また、微生物を生物膜として保持するため処理水の固液分離のための沈殿池を必要とせず、小さな敷地面積内に装置を設置できるという利点を有する。
【0004】
しかしながら、生物膜濾過法では、窒素の効率的除去は可能であるが、リンを安定に除去することはできない。
【0005】
一方、排水中のリンの安定除去のためには、凝集剤を添加する凝集処理法が好ましいが、これを生物膜濾過法に適用する場合には次のような問題があった。即ち、生物膜濾過法では、最終沈澱池を持たないため、凝集フロックを生物膜濾過槽で濾過することが考えられる。しかし、凝集剤を排水に添加した後、生物膜濾過槽に通水すると、生物膜濾過槽内では、凝集剤の添加により生成したリン凝集フロックによる濾材層のSS負荷の増大で、差圧上昇が加速され、安定に処理を継続し得ず、頻繁に逆洗を行うことが必要となる。この逆洗で、濾材層に捕捉された凝集フロックが逆洗排水として排出されることになるが、この凝集フロックは沈降性が良くないことから、この場合には、凝集フロックの固液分離のために、別途沈澱池が必要となる。
【0006】
ところで、汚泥処理の分野では、排水に無機塩を添加して荷電中和し、造粒槽内で高分子凝集剤を添加して造粒濃縮・固液分離し、汚泥を脱水可能に調質する装置が開発されている。この装置では無機塩を凝集助剤として使用するため、脱水ケーキの含水率が低下するとともにリンを除去することができるという利点がある。即ち、造粒濃縮装置は固液分離・脱水汚泥の調質・リンの除去を一度にできる装置である。しかし、造粒濃縮装置では窒素の除去はできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の技術では、窒素、リンを個別に除去することはできたが、両者を同時に効率良く除去することはできなかった。
【0008】
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、排水中の窒素とリンを同時に除去することができる窒素及びリンの除去装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒素及びリンの除去装置は、排水中のSSを分離する固液分離装置と、該固液分離装置から排出される分離水に無機塩を添加する手段と、無機塩が添加された分離水を硝化,脱窒,濾過する生物膜濾過装置と、該生物膜濾過装置から排出される逆洗排水と前記固液分離装置から排出される固形分とを混合する手段と、内部に回転流を生じさせるための回転羽根、分離水を排出する水抜き手段及び濃縮凝集汚泥を排出する手段を有する凝集濃縮装置と、固形分が混合された逆洗排水を該凝集濃縮装置に導入する手段と、逆洗排水に高分子凝集剤を添加する手段とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
【作用】
生物膜濾過装置はリンの除去はできず、リン除去のための凝集剤を添加した場合には、逆洗排水の固液分離が問題となるが、反面、コンパクトな装置で窒素の効率的な除去が可能である。一方、造粒濃縮装置は窒素の除去はできないが、コンパクトな装置で固液分離、脱水汚泥の調質及びリンの除去が可能である。本発明によればこれらの装置を組み合せることにより、窒素及びリンを同時に除去することができるコンパクトな装置が提供される。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の窒素及びリンの除去装置の実施例を詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の窒素及びリンの除去装置の一実施例を示す系統図である。
【0013】
図1において、1は沈殿槽(最初沈澱池)、2は生物膜濾過槽、3は造粒濃縮槽、4は脱水機、5は逆洗排水槽であり、11〜23の各符号は配管を示す。
【0014】
生物膜濾過槽2は、ポリプロピレンや、ウレタン樹脂等を直径3〜10mmの球状や、不定形状に発泡成形した、比重が極めて小さい浮上性の濾材を担体として充填した上向流式生物膜濾過槽であり、濾材層の中間に設けた散気管6より散気して濾材層の上部側で硝化を行い(硝化部2B)、処理水の一部は、循環配管14により槽下部に循環して下部側で脱窒を行う(脱窒部2A)ように構成されたものである。なお、本発明では、生物膜濾過槽2に無機塩が添加された水が導入されるため、生物膜濾過槽2においては、水中のリンも凝集、濾過され、除去される。
【0015】
本実施例においては、原水は、まず、配管11より固液分離装置としての沈殿槽1に導入され、粗大なSSが除去された上澄水(分離水)は配管12より抜き出され、配管13より無機塩が添加された後、生物膜濾過槽2に導入される。なお、この無機塩の添加は沈澱槽1又は沈澱槽1の前段であっても良く、この場合には、原水中のリンが凝集して得られる凝集フロックは、沈澱槽1で除去され、更に残留するものが生物膜濾過槽2で捕捉される。
【0016】
無機塩が添加された沈殿槽1の上澄水は、生物膜濾過槽2内において、微生物により硝化・脱窒処理されると共に、有機物が分解除去される。また、無機塩により形成されたリンの凝集フロックが捕捉され、リンの除去処理がなされる。
【0017】
生物膜濾過槽2において、リン、窒素及びBOD成分が除去された高水質の生物処理水は、配管15より抜き出され、系外へ排出される。
【0018】
このような処理を継続することにより、生物膜濾過槽内での汚泥の増殖、懸濁物(凝集フロックを含むSS)の捕捉で、生物膜濾過槽2の濾過抵抗が上昇したときには、生物膜濾過槽2に逆洗水を供給して生物膜濾過槽2の濾材層の逆洗を行い、余剰汚泥及び捕捉SSを取り除く。この逆洗に当っては、洗浄水は下向流で通水する。また、逆洗は定期的に行っても、生物膜濾過槽2内の差圧上昇が起こったときに行っても良い。逆洗排水は、配管16より生物膜濾過槽2から排出され、逆洗排水槽5に一時貯留された後、配管17を経て、配管18より抜き出された沈殿槽1の分離汚泥(固形分:初沈汚泥)と混合され、更に、配管19より無機塩が添加されて、造粒濃縮槽3の底部に導入される。
【0019】
この造粒濃縮槽3へは高分子凝集剤が配管20を経て導入されており、該造粒濃縮槽3内で回転羽根を備える撹拌機3aの回転により液が旋回されるのに伴って汚泥が造粒され造粒物(ペレット)となる。造粒濃縮槽3内で液体は、濾過部(水抜き手段)3bを通過し、配管21を経て沈澱槽1へ返送される。造粒物は、少量の液と共に配管22を経て脱水機4へ送られ、脱水ケーキは配管23より系外へ排出される。
【0020】
逆洗排水及び初沈汚泥の混合系に添加された無機塩は、マイナスに帯電しているSSの荷電を中和して凝集させるが、逆洗排水中にはリン除去のために添加された無機塩の凝集剤が多量に含まれているため、混合系中のマイナスに帯電しているSSの荷電を中和するために添加する無機塩は少量でよく、場合によってはその添加が必要ないこともある。
【0021】
造粒濃縮槽3においては、凝集フロックが、造粒濃縮槽内で撹拌される間に高分子凝集剤により粗大化及び緻密化し、水との分離性に優れた造粒粒子となる。
【0022】
なお、この造粒濃縮槽における造粒に当り、初沈汚泥を混合せずに、逆洗排水のみを造粒しようとすると、SSが不足するため凝集フロックが造粒し難い。逆洗排水に初沈汚泥を混合してSS分を存在させることにより、造粒を円滑に行うことが可能となる。
【0023】
また、造粒濃縮槽3では、上述の如く、濾過部3bで水抜きしながら凝集反応を行うため、逆洗排水のSS濃度が比較的低い場合であっても、小型の造粒濃縮槽により、硬く、大きな凝集フロックを造粒することができる。
【0024】
本発明において、通常の場合、生物膜濾過槽の逆洗は24〜48時間程度処理を継続した後実施され、下向流速50m/Hr程度の流量で洗浄水を供給して2分程度水逆洗を行ない、その後濾層下部より空気逆洗を行なう方法を3回ほど繰り返して行なう方法が好ましい。
【0025】
また、このような逆洗条件で得られる逆洗排水と沈澱槽1からの分離汚泥との混合比は、通常、分離汚泥:逆洗排水=1:3〜15(水量比)とされる。
【0026】
なお、図1に示す装置は本発明の一実施例であって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示のものに限定されるものではない。
【0027】
例えば、固液分離装置としては、図1に示す沈殿槽の他、浮上槽、膜分離装置などを用いても良い。また、生物膜濾過装置の型式についても任意であり、図1に示すような、浮上性濾材を担体とする上向流式生物膜濾過装置の他、砂、活性炭、合成樹脂などの沈降性濾材を担体とし、被処理水を下向流通水する下向流式生物膜濾過装置であっても良い。また、生物膜濾過装置は、図1に示す如く、一つの濾過槽内で脱窒と硝化とを行う一塔式の他、脱窒と硝化とを別の濾過槽で行う多塔式とすることもできる。この生物膜濾過装置の後段又は前段には、更にBOD除去塔を設けても良い。
【0028】
固液分離装置で分離された固形分(図1においては沈殿槽からの初沈)を、逆洗排水に混合する手段についても、図示の如く、配管に直接混合するパイプライン混合方式の他、別途混合槽を設け、混合槽内で混合するようにすることもできる。
【0029】
同様に、無機塩の添加手段についても、図示のパイプライン注入の他、別途凝集槽を設けて添加しても良い。また、高分子凝集剤については、図示の如く、造粒濃縮槽に直接注入する他、パイプライン注入、或いは、凝集槽内添加とすることができる。また、高分子凝集剤を2種類使用し、一方を凝集槽内添加、他方を造粒濃縮槽直接注入というように、各々別々の注入手段で、添加するようにしても良い。
【0030】
なお、本発明において、無機塩としては、硫酸バンド、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄などを用いることができるが、特に硫酸バンドが好適である。
【0031】
これらの無機塩は、通常、添加後の生物濾過槽の流入pHが6.5〜8.5となるように添加される。なお、このpH調整のために必要に応じて塩酸や硫酸などの酸を添加しても良い。
【0032】
一方、高分子凝集剤としては、カチオン構成単位とアニオン構成単位とを分子内に有する両性ポリマーが好適であり、さらにカチオン構成単位とアニオン構成単位とのモル比が1より大きい、特に、2〜5の両性高分子凝集剤が望ましい。
【0033】
この両性高分子凝集剤としては、例えばアニオン性のモノマー成分とカチオン性のモノマー成分との共重合体、アニオン性のモノマー成分とカチオン性のモノマー成分とノニオン性のモノマー成分との共重合体、或いはアニオン性のモノマー成分とノニオン性のモノマー成分との共重合体のマンニッヒ変性物又はホフマン分解物などを挙げることができる。
【0034】
ここで、アニオン性のモノマー成分としては、例えばアクリル酸(AA)、アクリル酸ナトリウム(NaA)、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。また、カチオン性のモノマー成分としては、例えばジメチルアミノエチルアクリレート(DAA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DAM)、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DAPAAm)、ジメチルアミノプロピルメタクリレート及びこれらの四級化物などを挙げることができる。四級化物としては、例えばジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド四級化物などを挙げることができる。また、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの炭酸塩なども用いることができる。ノニオン性のモノマー成分としては、例えばアクリルアミド(AAm)、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどを挙げることができる。これらの化合物の共重合体として、具体的にはDAA四級化物/AA/AAm共重合体、DAM四級化物/AA/AAm共重合体、DAPAAm/AA/AAm共重合体、DAA四級化物/AA共重合体、又はNaA/AAm共重合体のマンニッヒ変性物などを挙げることができる。
【0035】
これらの両性高分子凝集剤の添加量は、通常、SS分に対して0.5〜2.5重量%の範囲とするのが好適である。
【0036】
本発明において、凝集濃縮装置としても特に制限はなく、任意の形式のもので良い。
【0037】
なお、次に、本発明に好適な造粒濃縮槽(凝集濃縮装置)について図2,3を参照して詳細に説明する。図2,3において、31は円筒槽であり、該円筒槽31の中心部に前記撹拌機3aが設けられている。この撹拌機3aは、モータ、変速機により回転駆動される回転軸32、該回転軸32に対し上下二段に、夫々180°の位相で放射状に設けられた撹拌羽根33,34を備えている。前記濾過部3bは、円筒槽31の内周に同曲率の円弧部を沿わせて設置された半円形よりも少し小さい有底の濾過筒37と、該濾過筒37の底37’に、円筒層31と同心に設けられた多数の円弧形のスリット38とを備えてなる。
【0038】
濾過筒37にはフック35が設けられており、このフック35が円筒槽31の上縁に係止することにより濾過筒37が固定される。
【0039】
濾過筒37の上端と円筒槽31の上端とは同レベルである。濾過筒37の底37’は上段の撹拌羽根33の上縁から上に1〜10mm位しか離れて居らず、接近している。必要ならば、上記撹拌羽根33の上縁にゴム板を取付け、回転中はこのゴム板で濾過筒37の底37’を撫でるようにしても良い。スリット38の幅は5mm以下、好ましくは1〜2mm程度、スリットの円筒方向に隣接した間隔は2mm程度、相互に内外のスリットの半径方向の間隔は5mm程度である。
【0040】
なお、撹拌羽根の上段のもの33は、図示の如く回転軸32に固定された基部から先端までの全長にわたり上下方向の幅が一定な平板とすることが好ましい。
【0041】
円筒槽31には、また、その槽壁を貫いて濾過筒37内から濾過水を排出するための排水管21が設けてある。
【0042】
配管17,20から槽内底部の中心部にそれぞれ供給された汚泥(逆洗排水と初沈)と高分子凝集剤は、回転軸32に取付けられた撹拌羽根33,34の撹拌作用で槽内に滞流する間に均一に混合されて反応する。濾過筒37の底のスリット38を通じて該濾過筒37内に注入した水(分離液)は配管21から槽外に排出される。この結果、連続して供給される汚泥は充分に濃縮され、強度の高い造粒物となる。この造粒物は配管22から排出される。
【0043】
この濾過筒37の底37’の直ぐ真下では、撹拌羽根33が旋回することにより水平な旋回流aが生じる。濾過筒の底37’に設けたスリット38はこの水平旋回流aに沿った同心の円弧形とされている。このため、液中の凝集フロックや繊維状物質は底37’の下をスリット38の延在方向と同方向に流れる。この結果、フロック等はスリット38に引っ掛かることがないと共に、凝集フロックは底37’の下を転がってより緻密で、強固な造粒物となる。
【0044】
なお、下段の撹拌翼34は、全長の約半分程の回転軸32に取付けられた側の基部40の上下方向の幅が狭く、残りの自由端部41の上下方向の幅が広い羽子板形とするのが好ましい。このようにすると、上段の撹拌羽根33によって生じる水平旋回流aの下で下段の羽子板形撹拌羽根34は幅広い自由端部41で外向きに水を押し、その流れは旋回しながら槽の内周付近では上昇流bと下降流b’に別れ、上昇流bは上の平板形撹拌羽根33による水平旋回流aと接触して中心部に向け下降し、又、下降流b’は槽の底面に沿って中心部で上昇し、かくして槽内の中心部と底部では旋回する上下の循環流が生じ、槽内底部の中心部に供給された汚泥と凝集剤はこの流れb,b’に乗って既に生じた凝集フロックと効率良く混合接触して良好に凝集する。そして、図示の如く幅広い自由端部41を羽根の旋回方向に対し後退するような角度(例えば45°)で屈曲させると、この自由端部が水を槽の内周に向かって押すことがより強まり、より強力な旋回循環流b,b’が得られるので混合、接触効率はより向上する。更に、円筒槽31の内周の下端部及び、上段の撹拌羽根33と下段の撹拌羽根34の中間部に位置して撹拌羽根の旋回方向に延長し、先端に向かって次第に内周から離れる直線状又は図示の如き弯曲した案内板42,43を設けると、上の循環流bが水平旋回流aの下に沿って流れたのち中心部で下向し、又、下の循環流b’が槽底に沿ったのち中心部で上向するのを夫々補助でき、同様に混合、接触効率を向上させることができる。
【0045】
濾過槽については、上述のように円筒槽内に設ける場合を説明したが、濾過槽は円筒槽外に設けても良い。その場合は、濾過槽を円筒槽の槽壁の上部外周の外に設け、濾過槽で囲まれた円筒槽の槽壁の上部に円筒槽内の液を濾過して濾過槽に入れるためのスリットを水平に設け、かつ、撹拌羽根の外縁を円筒槽の槽壁の上部内周に1〜10mmの間隔で近接させれば良い。必要ならば、上記撹拌羽根の外縁にゴム板を取付け、回転中はこのゴム板でスリットが設けられた円筒槽の槽壁の内周を撫でるようにしても良い。このような構造の造粒濃縮槽においても、円筒槽底部から供給された汚泥と凝集剤は、槽内で撹拌されて反応し、その間、槽壁のスリットを通じ濾過槽に入る水はポンプ等で槽外に排水するため、連続して供給される汚泥は十分に濃縮され、強度の高いフロックに成長した後、排泥管から排出され、脱水機に導かれる。スリットが設けられた円筒槽の槽壁上部内周に近接して水平に旋回する撹拌羽根により、円筒槽内に生じたフロックは押されてスリット沿いに槽壁内周を転がるので、フロックはスリットにひっかかって詰まることがないと共に、スリット沿いに槽壁内周を転がることによって緻密で強固なものとなる。
【0046】
なお、造粒濃縮槽における処理条件としては、槽内濃度が0.5〜3重量/容積%、撹拌羽根の周速5〜20m/分を採用するのが好ましい。
【0047】
このようにして造粒濃縮槽にて生成させた造粒物は、そのまま又は分離液を除去した後、脱水機に供給し、脱水を行う。この脱水機としては、通常、ベルトプレスが用いられるが、スクリュープレスやフィルタープレス等も使用可能である。
【0048】
以下に具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0049】
実施例1
図1に示すパイロットプラントを設置して処理を行った。処理条件は表1に示す通りとした。なお、生物膜濾過槽2の流入水に添加する無機塩としては硫酸バンドを6mg−Al/l添加した。また、造粒濃縮槽3に流入する混合系に添加する無機塩としては、ポリ塩化アルミニウムを添加後のpHが6.5となるように200mg/l添加し、高分子凝集剤としては両性ポリマー(商品名「クリベスト P702」栗田工業株式会社製)をSSに対して0.2重量%添加した。
【0050】
生物膜濾過槽2の逆洗は、生物濾過処理を24時間継続する毎に、逆洗用洗浄水を下向流にて、50m/Hrの流速で水逆洗を2分間、空気逆洗(12m/Hr)2分間を3回行なった。逆洗排水を逆洗排水槽2に貯留し、沈澱槽1からの初沈に対して、初沈:逆洗排水=1:12(水量比)で混合して造粒濃縮槽3に送給した。
【0051】
【表1】
【0052】
期間中の原水及び処理水のT−N濃度の変化及び同T−P濃度の変化を図4,5に示す。また、原水の平均水質及び処理水の平均水質を表2に示す。
【0053】
表2及び図4,5より、本発明の窒素及びリンの除去装置によれば、窒素及びリンを長期にわたり安定かつ効率的に同時除去して、高水質処理水を得ることができることがわかる。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の窒素及びリンの除去装置によれば、
▲1▼ 排水中の窒素及びリンを同時に除去することができる。
▲2▼ 生物膜濾過装置の濾過性能により、高水質の処理水が得られる。
▲3▼ 生物処理槽がコンパクト化され、管理が容易となる。
▲4▼ 汚泥濃縮槽及び最終沈殿池が不必要となり、小さな敷地面積で設置可能である。
▲5▼ 汚泥処理工程が簡略化され、管理が容易となる。
といった効果が奏され、コンパクトで管理が容易な装置により、排水中の窒素及びリンを効率的に処理して高水質処理水を安定に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒素及びリンの除去装置の一実施例を示す系統図である。
【図2】本発明に好適な造粒濃縮槽の一例を示す一部断面斜視図である。
【図3】図2に示す造粒濃縮槽の平面図である。
【図4】実施例1における窒素処理結果を示すグラフである。
【図5】実施例1におけるリン処理結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 沈殿槽
2 生物膜濾過槽
3 造粒濃縮槽
4 脱水機
5 逆洗排水槽
31 円筒槽
32 回転軸
33,34 撹拌羽根
37 濾過筒
Claims (1)
- 排水中のSSを分離する固液分離装置と、
該固液分離装置から排出される分離水に無機塩を添加する手段と、
無機塩が添加された分離水を硝化,脱窒,濾過する生物膜濾過装置と、
該生物膜濾過装置から排出される逆洗排水と前記固液分離装置から排出される固形分とを混合する手段と、
内部に回転流を生じさせるための回転羽根、分離水を排出する水抜き手段及び濃縮凝集汚泥を排出する手段を有する凝集濃縮装置と、
固形分が混合された逆洗排水を該凝集濃縮装置に導入する手段と、
逆洗排水に高分子凝集剤を添加する手段と
を備えてなる窒素及びリンの除去装置。
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