JP3713718B2 - 流動床炉における空気比制御方法及び装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、流動層を備えた燃焼炉(以下、流動床炉という)における空気比制御方法及び装置、詳しくは、廃棄物等の被処理物を燃焼・焼却する流動床炉において、流動層へ供給する一次空気量と、フリーボード部へ供給する二次空気量とを適正に制御する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、炉出口排ガス温度、水噴射水量、ごみカロリー、ごみ焼却量、排ガスO2 濃度等のプラント計測データにより、炉内の燃焼の過大、過小を捉え、それによる燃焼用の空気比の制御を行い、焼却炉全体としての空気不足を抑制する制御方法が知られている。
【0003】
また、特公昭61−2843号公報には、流動層温度と流動層に供給される燃料流量とに基づき、流動層に供給される空気の空気比を制御する流動床炉の燃焼制御方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の空気制御方法では、炉全体の空気不足を抑制するため、局部的な空気不足によるCOやダスト等の発生という問題点があった。
また、排ガスO2 濃度で空気不足を検知する場合は、時間遅れが大きく、対応に限界がある。
【0005】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、プラント計測データから、流動層内の空気比及びフリーボード部の空気比を推算することにより、局部的な燃焼用空気の制御を行い、COやダストの発生を抑制する制御方法及び装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ガス温度、空気流量等の検知における時間遅れが小さい計測データに、動特性解析式とカルマンフィルターによる信号処理を行い、信頼性が高く、かつ、分析遅れを伴わない制御方法及び装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の流動床炉における空気比制御方法は、流動床炉で被処理物を燃焼させるに際し、層内燃焼割合をプラント計測データである供給空気温度、流動層温度、炉出口排ガス温度、一次空気流量及び二次空気流量から動特性解析式を用いて計算することにより、流動層内の空気比及びフリーボード部の空気比を推算し、これらの推算値による燃焼用空気の流動層内及びフリーボード部への配分比及び流量の制御を行うことを特徴としている。
【0007】
本発明の流動床炉における空気比制御装置は、図1に示すように、流動床炉で被処理物を燃焼させる際のプラント計測データである供給空気温度、流動層温度、炉出口排ガス温度、一次空気流量及び二次空気流量を入力し、動特性解析式を用いて流動層内の燃焼割合Kを計算する層内燃焼割合計算手段30と、
この層内燃焼割合計算手段30から得た層内燃焼割合Kと上記プラント計測データのうちの一次空気流量Ga1とを入力して流動層内の空気比λBを推算する層内空気比計算手段32と、
上記プラント計測データのうちの一次空気流量Ga1及び二次空気流量Ga2を入力してフリーボード部における空気比λFを推算するフリーボード空気比計算手段34と、
層内空気比λBとフリーボード空気比λFとを入力して燃焼用空気の流動層内及びフリーボード部への配分比及び流量を制御する空気比制御手段36とを備えたことを特徴としている。
【0008】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
図1は、本発明の方法及び装置の一実施例を示す系統図、図2は、流動床炉10を示す概略図である。図2において、12は流動層、14は空気分散板、16はフリーボード部、18は一次空気入口、20は二次空気入口、22は排ガス出口、24は被処理物入口、26は風箱である。
【0009】
図2に示す流動床炉が流動床ごみ焼却炉である場合の作用について説明する。一次空気によって激しく混合・撹拌している流動媒体(例えば、珪砂)からなる流動層12に投入されたごみは、層内に巻き込まれ、その熱によって短時間に燃焼し、さらに、フリーボード部16で二次空気により燃焼を完結する。また、不燃物は層内を沈降し、焼却残渣として流動媒体とともに不燃物抜出管(図示略)から抜き出される。
本発明者らは、上記の流動床ごみ焼却炉の特徴を考慮して数学モデルを作成し、ごみの量をファジィ推論して動特性シミュレーション結果と実機データとが一致することを確認した。
【0010】
図2に示すように、ごみ供給量をGR kg/H 、このごみの理論空気量をA 0 Nm3/kg、層内燃焼割合をK、フリーボード燃焼割合を1−K、一次空気流量をGa1 Nm3/H 、二次空気流量をGa2 Nm3/H 、フリーボード部温度をTF ℃、流動層温度をTB ℃、排ガス温度をTg ℃、供給空気温度をTa ℃とすると、層内燃焼割合Kは数式4で表わされる。
【0011】
【数4】
【0012】
また、層内空気比λBは数式5で表わされる。
【0013】
【数5】
【0014】
また、フリーボード空気比λFは数式6で表わされる。
【0015】
【数6】
【0016】
また、ごみ供給量は、給じん装置回転数と給じん装置電流とを入力したファジィ推論にて求まる。
上記の数式において、
GgB=η B KGR(V0−A0+1.24ω)+Ga1
GgF=η F GR(V0−A0+1.24ω)+(Ga1+Ga2 )
ただし、
K:層内燃焼割合
TB :層温度(℃)
Tg :炉出口ガス温度(℃)
Ta :空気温度(℃)
Ga1 :1次空気流量(Nm3/H)
Ga2 :2次空気流量(Nm3/H)
Cpg :ガス比熱(kcal/Nm3℃)
Cpa :空気比熱(kcal/Nm3℃)
GgB :層排ガス量(Nm3/H)
GgF :炉出口排ガス量(Nm3/H)
Hu :ごみ低位発熱量(kcal/kg)
GR :ごみ供給量(kg/H)
ηB :層内燃焼効率
ηF :フリーボード燃焼効率
CB :層物質比熱(kcal/kg℃)
WBS :層物質重量(kg)
V0 :理論排ガス量(Nm3/kg)
A0 :理論空気量(Nm3/kg)
ω:ごみ単位量中水分
【0017】
つぎに、図1に基づいて本発明の制御装置の一実施例を説明する。30は層内燃焼割合計算手段で、流動床炉で被処理物を燃焼させる際のプラント計測データ、例えば、供給空気温度Ta ℃、流動層温度TB ℃、炉出口排ガス温度Tg ℃、一次空気流量Ga1Nm3/H 及び二次空気流量Ga2Nm3/Hをインプットし、層内燃焼割合Kを計算する。32は層内空気比計算手段で、層内燃焼割合K及び一次空気流量Ga1とをインプットして層内空気比λBを推算する。34はフリーボード空気比計算手段14で、一次空気流量Ga1及び二次空気流量Ga2をインプットしてフリーボード空気比λFを推算する。
【0018】
36は空気比制御手段で、層内空気比λB及びフリーボード空気比λFをインプットして燃焼用空気の流動層内及びフリーボード部への配分比及び流量を制御する。
40はファジィ推論手段で、給じん電流及び給じん装置回転数をインプットしてファジィ推論し、推論結果を層内空気比計算手段32及びフリーボード空気比計算手段34へインプットする。
【0019】
42はごみ・空気基本演算手段で、焼却量及び発熱量をインプットし、演算結果を空気比制御手段36及び発生熱制御手段44へインプットする。46は発生熱計算手段で、供給空気温度Ta、炉出口排ガス温度Tg、一次空気流量Ga1及び二次空気流量Ga2をインプットし、計算結果を発生熱制御手段44へインプットする。
【0020】
つぎに、図1に基づいて本発明の方法を説明する。プラント計測データ(実機データ)のうち、一次空気流量Ga1、二次空気流量Ga2、1次空気温度Ta、流動層温度TB及び炉出口排ガス温度Tgの各値を用いて、層内燃焼割合Kを計算する。また、このK、給じん装置電流Iと給じん装置の回転数とを入力してファジィ推論したごみ供給量GR及び実測Ga1から層内空気比λBを計算する。
また、給じん装置電流Iと回転数とを入力してファジィ推論した値GR、実測Ga1、及び実測Ga2からフリーボード空気比λFを計算する。
上記λB、λFを制御するとともに、燃焼用空気の流動層内及びフリーボード部への流量Ga1,Ga2を設定する。
図1において、Qsは全投入ごみの発生熱量を、λBsは層内空気比設定値を、λFsはフリーボード空気設定値を表している。
なお、本実施例における制御方法は、図1において一点鎖線で囲まれた部分の構成により行われる。
【0021】
上記の制御方法においては、計測信号の遅れ補償のために、カルマンフィルターによる状態推定手法を活用し、パラメータ推定を行っている。そして、求めた層内燃焼割合Kを用いて、層内空気比λB及びフリーボード空気比λFを算出することができ、これらの値により、最適な一次空気流量Ga1及び最適な二次空気流量Ga2を設定することができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) 層内燃焼割合をプラント計測データから捉えることにより、流動層内空気比λB及びフリーボード空気比λFを推算し、これらにより燃焼用空気の配分比を制御するので、局部的な空気不足を解消し、COやダストの発生を防ぐことができる。
(2) プラント計測データとして、空気温度、流動層温度、排ガス温度、一次空気流量及び二次空気流量を用いることにより、信頼性が高く、かつ、O2濃度制御等の場合のような分析遅れを伴うことはない。
(3) 従来から用いられている自動燃焼制御機構を大幅に変更することなく、本発明の方法を実施できるように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の流動床炉における空気比制御方法及び装置の一実施例を示す系統図である。
【図2】 流動床炉の略示的説明図である。
【符号の説明】
10 流動床炉
12 流動層
16 フリーボード部
18 一次空気入口
20 二次空気入口
24 被処理物入口
30 層内燃焼割合計算手段
32 層内空気比計算手段
34 フリーボード空気比計算手段
36 空気比制御手段
Claims (2)
- 流動床炉で被処理物を燃焼させるに際し、層内燃焼割合をプラント計測データである供給空気温度(T a )、流動層温度(T B )、炉出口排ガス温度(T g )、一次空気流量(G a1 )及び二次空気流量(G a2 )から数1、数2及び数3の動特性解析式を用いて計算することにより、流動層内の空気比(λ B )及びフリーボード部の空気比(λ F )を推算し、これらの推算値による燃焼用空気の流動層内及びフリーボード部への配分比及び流量の制御を行うことを特徴とする流動床炉における空気比制御方法。
G gB =η B KG R (V 0 −A 0 +1.24ω)+G a1
G gF =η F G R (V 0 −A 0 +1.24ω)+(G a1 +G a2 )
ただし、
K:層内燃焼割合
C pg :ガス比熱( kcal / Nm 3 ℃)
C pa :空気比熱( kcal / Nm 3 ℃)
G gB :層排ガス量( Nm 3 / H )
G gF :炉出口排ガス量( Nm 3 / H )
H u :ごみ低位発熱量( kcal / kg )
G R :ごみ供給量( kg / H )
η B :層内燃焼効率
η F :フリーボード燃焼効率
C B :層物質比熱( kcal / kg ℃)
W B S :層物質重量( kg )
V 0 :理論排ガス量( Nm 3 / kg )
A 0 :理論空気量( Nm 3 / kg )
ω:ごみ単位量中水分 - 流動床炉で被処理物を燃焼させる際のプラント計測データである供給空気温度、流動層温度、炉出口排ガス温度、一次空気流量及び二次空気流量を入力し、請求項1における数1、数2及び数3の動特性解析式を用いて流動層内の燃焼割合(K)を計算する層内燃焼割合計算手段(30)と、
この層内燃焼割合計算手段(30)から得た層内燃焼割合(K)と上記プラント計測データのうちの一次空気流量(Ga1)とを入力して流動層内の空気比(λB)を推算する層内空気比計算手段(32)と、
上記プラント計測データのうちの一次空気流量(Ga1)及び二次空気流量(Ga2)を入力してフリーボード部における空気比(λF )を推算するフリーボード空気比計算手段(34)と、
層内空気比(λB )とフリーボード空気比(λF )とを入力して燃焼用空気の流動層内及びフリーボード部への配分比及び流量を制御する空気比制御手段(36)とを備えたことを特徴とする流動床炉における空気比制御装置。
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JP15619893A JP3713718B2 (ja) | 1993-06-01 | 1993-06-01 | 流動床炉における空気比制御方法及び装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH06341629A JPH06341629A (ja) | 1994-12-13 |
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CA2205766C (en) | 1996-09-12 | 2001-02-20 | Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha | Combustion system and operation control method thereof |
DK1832809T3 (da) * | 2006-03-09 | 2011-10-03 | Abb Technology Ag | Styring af en affaldsforbrændingsproces |
-
1993
- 1993-06-01 JP JP15619893A patent/JP3713718B2/ja not_active Expired - Lifetime
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