JP3713346B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動アクチュエータの回転力を一対のギヤを介してステアリングシャフトに伝達することで操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
操舵により回転するステアリングシャフトと、そのステアリングシャフトに軸方向に同行移動可能に連結される軸受と、その軸受を介してステアリングシャフトを支持するハウジングと、そのステアリングシャフトの外周に設けられる従動ギヤと、その従動ギヤに噛み合う駆動ギヤと、その駆動ギヤの駆動用電動アクチュエータとを備え、その電動アクチュエータの回転力が両ギヤを介してステアリングシャフトに伝達されることで操舵補助力が付与される電動パワーステアリング装置が従来より用いられている。
【0003】
その駆動ギヤと従動ギヤの円滑な噛み合いを図るため、そのステアリングシャフトの軸方向位置の変更により両ギヤ間のバックラッシが変更可能とされている。
【0004】
すなわち、そのステアリングシャフトを支持する軸受とハウジングとの間に介在する筒状部材を設け、その筒状部材に軸受の軸方向一方への移動を阻止する受け部を設け、その受け部に軸受を押し付ける押し付け部材を設け、その押し付け部材をシムを介してハウジングにボルトにより取り付け、そのシムの交換によりバックラッシを変更可能としていた(特開平4‐159176号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そのバックラッシ変更のためのシム交換は非常に面倒なもので作業効率向上を阻害していた。また、シムと押し付け部材をハウジングに固定するボルトとが必要で部品点数を増大させていた。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することのできる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動パワーステアリング装置は、操舵により回転するステアリングシャフトと、そのステアリングシャフトに軸方向に同行移動可能に連結される軸受と、その軸受を介してステアリングシャフトを支持するハウジングと、そのステアリングシャフトの外周に設けられる従動ギヤと、その従動ギヤに噛み合う駆動ギヤと、その駆動ギヤの駆動用電動アクチュエータとを備え、その電動アクチュエータの回転力が両ギヤを介してステアリングシャフトに伝達されることで操舵補助力が付与され、そのステアリングシャフトの軸方向位置の変更により両ギヤ間のバックラッシが変更可能とされている。
その軸受とハウジングとの間に介在する筒状部材が、ステアリングシャフトの軸方向に沿ってねじ込み量を変更可能にハウジングにねじ合わされ、その筒状部材に、その軸受の軸方向一方への移動を阻止可能な受け部が設けられ、その軸受を受け部に押し付ける手段として押し付け部材が設けられ、前記軸受は、前記ステアリングシャフトに形成された段差と前記ステアリングシャフトの端部にねじ合わされたナットとで挟み込まれる内輪と、その一端面が前記受け部に接することで軸方向一方への移動が阻止される外輪とを有し、前記外輪の他端面に接する前記押し付け部材が前記筒状部材の内周にねじ合わされることで、前記受け部に前記外輪の一端面が押し付け可能とされ、前記押し付け部材は、前記筒状部材の軸方向他方側の開口を覆う。
【0008】
本発明の構成によれば、ステアリングシャフトと軸方向に同行移動する軸受は、筒状部材の受け部に押し付けられることで、軸方向一方への移動を阻止される。その筒状部材のハウジングへの軸方向に沿ったねじ込み量を変更することで、その受け部の軸方向位置が変更されるので、その受け部に押し付けられる軸受の軸方向位置を変更できる。その軸受の軸方向位置の変更によりステアリングシャフトの軸方向位置が変更されるので、駆動ギヤと従動ギヤとの間のバックラッシを変更できる。すなわち、筒状部材のハウジングへのねじ込み量の変更だけでバックラッシを変更できる。その押し付け部材を筒状部材にねじ合わせるだけで、その軸受を受け部に押し付けることができる。その押し付け部材は、軸受とハウジングとの間に介在する筒状部材の内周にねじ合わされ、筒状部材の軸方向他方側の開口を覆うので、ナットおよび軸受が配置されるステアリングシャフトの端部側からハウジング内に異物が侵入するのを防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1に示すラックピニオン式電動パワーステアリング装置1は、車両のハンドルに連結されるステアリングシャフト2を備えている。そのステアリングシャフト2は、入力軸3と、この入力軸3にトーションバー4を介して連結される出力軸5とにより構成される。そのトーションバー4は、ピン6を介して入力軸3に連結され、セレーション7を介して出力軸5に圧入される。その入力軸3は、軸受8を介してハウジング9aにより支持され、また、ブッシュ10を介して出力軸5の一端内周により支持される。その出力軸5は、一端側の第1軸受11と、他端側の第2軸受12とを介してハウジング9により支持される。その出力軸5にピニオン15が形成され、このピニオン15に噛み合うラック16に操舵用車輪(図示省略)が連結される。これにより、操舵によるステアリングシャフト2の回転は、入力軸3、トーションバー4、出力軸5を介してピニオン15に伝達され、このピニオン15の回転によりラック16は車両幅方向に移動し、このラック16の移動により車両の操舵がなされる。なお、ラック16を支持するサポートヨーク18がバネ19の弾性力によりラック16に押し付けられる。
【0012】
その入力軸3から出力軸5に伝達される操舵抵抗に対応するトルクを検出するためのトルクセンサ20が設けられている。このトルクセンサ20は、その入力軸3の外周にピン22を介して嵌め合わされる磁性材製の第1検出リング21と、出力軸5の外周に圧入される磁性材製の第2検出リング23を有する。各検出リング21、23の互いの対向端面に、それぞれ歯21a、23aが周方向に沿って複数設けられている。その第1検出リング21の他端側は一端側よりも外径の小さな小径部21bとされている。その第1検出リング21と第2検出リング23の対向間を覆う第1検出コイル33と、第1検出リング21に設けられる小径部21bを覆う第2検出コイル34がハウジング9の内周に取り付けられる。各検出コイル33、34はハウジング9に取り付けられるプリント基板41に接続される。
【0013】
そのプリント基板41に、図2に示す信号処理回路が形成されている。すなわち、第1検出コイル33は抵抗45を介して発振器46に接続され、第2検出コイル34は抵抗47を介して発振器46に接続され、各検出コイル33、34は差動増幅回路48に接続される。
【0014】
その入力軸3から出力軸5への操舵トルクの伝達によりトーションバー4が捩れ、第1検出リング21と第2検出リング23とが相対的に回転すると、各検出リング21、23の歯21a、23aの対向面積が変化する。その面積変化により、その歯21a、23aを通過する第1検出コイル33の発生磁束に対する磁気抵抗が変化することから、その変化に応じて第1検出コイル33の出力が変化し、その出力に対応した伝達トルクが検出される。また、操舵トルクが作用していない状態で、第1検出コイル33の発生磁束に対する磁気抵抗と、第1検出リング21の小径部21bを通過する第2検出コイル34の発生磁束に対する磁気抵抗とが等しくなるように、その小径部21bの外径が設定される。これにより、温度変動による第1検出コイル33の出力変動は、温度変動による第2検出コイル34の出力変動に等しくなるので差動増幅回路48により打ち消され、伝達トルクの検出値の温度による変動が補償される。
【0015】
そのトルクセンサ20により検知される操舵トルクに応じた回転力を発生するように駆動される電動モータ(電動アクチュエータ)50が、ハウジング9に取り付けられている。そのモータ50の出力軸にウォーム(駆動ギヤ)51が取り付けられ、そのウォーム51に噛み合うウォームホイール(従動ギヤ)52が、出力軸5の外周に支持部材3aを介して取り付けられる。これにより、そのモータ50の回転力がウォーム51とウォームホイール52とを介してステアリングシャフト2に伝達されて操舵補助力が付与される。また、そのステアリングシャフト2の軸方向位置の変更により、そのウォーム51とウォームホイール52との間のバックラッシが変更される。
【0016】
図3に示すように、その出力軸5の他端側の前記第2軸受12はボールベアリングとされ、その内輪12aは、出力軸5の外周に形成された段差5aと、出力軸5の他端にねじ合わされたナット61とで挟み込まれる。これにより、その第2軸受12はステアリングシャフト2に軸方向に同行移動可能に連結されている。
【0017】
その第2軸受12とハウジング9との間に筒状部材62が介在する。その筒状部材62は、外周に形成される雄ネジ部62aと、内周に形成される雌ねじ部62bと、その一端から径方向内方に突出する受け部62cとを有する。その雄ネジ部62aを介して筒状部材62は、そのハウジング9の雌ねじ孔9a′に、ステアリングシャフト2の軸方向に沿ってねじ込み量を変更可能にねじ合わされる。その受け部62cに第2軸受12の外輪12bの一端面が接することで、その第2軸受12の軸方向一方(図において上方)への移動が阻止される。その筒状部材62の雌ねじ部62bに、キャップ状の押し付け部材63が外周に形成された雄ネジ部63aを介してねじ合わされる。この押し付け部材63の一端面は第2軸受12の外輪12bの他端面に接する。これによって、その押し付け部材63によって、第2軸受12の外輪12bを上記受け部62cに対して押し付けることができる。なお、その雄ネジ部62aにロックナット65がねじ合わされる。
【0018】
上記構成によれば、ステアリングシャフト2と軸方向に同行移動する第2軸受12は、筒状部材62の受け部62cに押し付けられることで、軸方向一方への移動を阻止される。その筒状部材62のハウジング9へのステアリングシャフト2の軸方向に沿ったねじ込み量を変更することで、その受け部62cの軸方向位置が変更されるので、その受け部62cに押し付けられる第2軸受12の軸方向位置を変更できる。その第2軸受12の軸方向位置の変更によりステアリングシャフト2の軸方向位置が変更されるので、ウォーム51とウォームホイール52との間のバックラッシを変更できる。すなわち、筒状部材62のハウジング9へのねじ込み量の変更だけでバックラッシを変更できる。また、その押し付け部材63を筒状部材62にねじ合わせるだけで、その第2軸受12を受け部62cに押し付けることができる。
【0019】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態ではウォームとウォームホイールとにより電動アクチュエータの回転力をステアリングシャフトに伝達したが、駆動ギヤと従動ギヤとしてベベルギヤを用いてもよい。また、第2軸受12としてボールベアリングを示したが、軸受の種類は特に限定されない。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、操舵補助力を伝達するギヤ間のバックラッシ変更を容易に行うことができ、しかも部品点数を削減できる電動パワーステアリング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置の断面図
【図2】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置におけるトルクセンサの信号処理回路図
【図3】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置の要部の断面図
【符号の説明】
2 ステアリングシャフト
12 第2軸受
50 モータ
51 ウォーム
52 ウォームホイール
62 筒状部材
62c 受け部
63 押し付け部材
Claims (1)
- 操舵により回転するステアリングシャフトと、そのステアリングシャフトに軸方向に同行移動可能に連結される軸受と、その軸受を介してステアリングシャフトを支持するハウジングと、そのステアリングシャフトの外周に設けられる従動ギヤと、その従動ギヤに噛み合う駆動ギヤと、その駆動ギヤの駆動用電動アクチュエータとを備え、その電動アクチュエータの回転力が両ギヤを介してステアリングシャフトに伝達されることで操舵補助力が付与され、そのステアリングシャフトの軸方向位置の変更により両ギヤ間のバックラッシが変更可能とされている電動パワーステアリング装置において、
その軸受とハウジングとの間に介在する筒状部材が、ステアリングシャフトの軸方向に沿ってねじ込み量を変更可能にハウジングにねじ合わされ、
その筒状部材に、その軸受の軸方向一方への移動を阻止可能な受け部が設けられ、
その軸受を受け部に押し付ける手段として押し付け部材が設けられ、
前記軸受は、前記ステアリングシャフトに形成された段差と前記ステアリングシャフトの端部にねじ合わされたナットとで挟み込まれる内輪と、その一端面が前記受け部に接することで軸方向一方への移動が阻止される外輪とを有し、
前記外輪の他端面に接する前記押し付け部材が前記筒状部材の内周にねじ合わされることで、前記受け部に前記外輪の一端面が押し付け可能とされ、
前記押し付け部材は、前記筒状部材の軸方向他方側の開口を覆うことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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---|---|---|---|
JP31129296A JP3713346B2 (ja) | 1996-11-06 | 1996-11-06 | 電動パワーステアリング装置 |
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JPH10138936A JPH10138936A (ja) | 1998-05-26 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP3713346B2 (ja) |
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1996
- 1996-11-06 JP JP31129296A patent/JP3713346B2/ja not_active Expired - Fee Related
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