JP3713178B2 - 梅毒抗体検出用免疫分析装置 - Google Patents

梅毒抗体検出用免疫分析装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
検体中の梅毒トレポネーマ(Toreponema Paridum)抗原(以下、「梅毒TP抗原」という)に対する抗体と、リン脂質抗原に対する抗体の双方を一回の処理で検出する免疫分析装置及びそれを用いる免疫分析測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液や尿等に含まれる生体成分や薬物の分析は病態分析や治療経過の判定に重要である。そこで抗原抗体反応を利用し、検体中からこれらの成分を簡便に分析する方法として反応試薬を含浸させたストリップ状の濾紙からなる分析装置が見いだされた。これら分析方法は装置濾紙部分と接するような検体点着部に試薬ゾーンを設け、それに引き続き、検体が濾紙上を毛細管現象で移動し、最終的に該濾紙上に設けた検出ゾーンに表示される色調の度合いから診断する方法である。この原理を応用した遺伝子組換梅毒TP抗原による免疫分析装置及び免疫分析測定方法が知られている(特開平9−229938)。
【0003】
しかし、従来は、梅毒抗体検査が、梅毒TP抗原に対する抗体(以下、「抗梅毒TP抗体」という)とリン脂質に対する抗体(以下、「抗リン脂質抗体」という)の両方が診断に不可欠であるにもかかわらず、特開平9−229938に記載されているように片方の抗体に対する試薬しか使われてこなかった。そのため、梅毒診断においては抗梅毒TP抗体と抗リン脂質抗体の検査を別に行わなくてはならず大変煩雑であった。また感染防御上も血清の滴下の機会が2回と通常の検査に比べ1回多く、そのため検体からの感染の危険の機会も倍となり問題であった。
【0004】
また、梅毒に罹患してできる抗体は表1のごとく変化する。
【表1】
Figure 0003713178
これから明らかように、検査上、梅毒感染初期では、抗リン脂質抗体を抗梅毒TP抗体よりも感度よく検出しなくてはならないのに対し、梅毒の既往歴を検査するときは抗リン脂質抗体より抗梅毒TP抗体を感度よく検出する必要がある。それにもかかわらず、従来技術では抗リン脂質抗体と抗梅毒TP抗体とを別々の装置で測定していたため、測定感度を異ならせての検査結果の比較を行うことが困難であり、感染期すなわち病状の進行段階や梅毒の既往歴の診断を効率よく行うことができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、梅毒感染の検査時において検体からの感染の危険を軽減し、しかも分析をより簡便に行うために検体の処理工数を減らした免疫分析装置及び免疫分析方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、抗リン脂質抗体の検出感度と抗梅毒TP抗体の検出感度が異なる2種の測定の結果を比較することにより、梅毒感染による病状の進行段階や既往歴を診断することができる免疫分析装置及び免疫分析方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、検出ゾーンにリン脂質抗原を固定した検出部分と梅毒TP抗原を固定した検出部分の2種類の検出部分を設けることにより、抗梅毒TP抗体と抗リン脂質抗体を1回の検査機会で測定することができ、煩雑さが解消され、大量の検体であっても処理工数が半減できるとともに、感染防御上も血清の滴下の機会が1回と通常の検査の2回に比べ半分となるため、検体からの感染の危険も半減することができるという着想を得た。
【0008】
さらに、本発明者らは毛細管作用により輸液可能なマトリックスに抗原を固定した複数の検出部分をもつ検出ゾーンと、抗原を標識微粒子に担持させた試薬を配置する試薬ゾーンを設置した梅毒抗体検出用免疫分析装置においては、検出ゾーンの複数の検出部分のうち試薬ゾーンから遠い方がマトリックスを移動する時間が長く、試薬と検体中の被検出物質との反応時間が長くなるため、検出感度がより高くなるという着想も得た。
【0009】
またさらに、本発明者らは、上記の二つの着想の組み合わせを基礎とするものであるが、検出ゾーンにおいて、リン脂質抗原を梅毒TP抗原より試薬ゾーンからみて遠くに固定化することにより、抗リン脂質抗体を抗梅毒TP抗体より感度よく検出することができるとの新知見を得た。表1のごとく、感染回復期になると抗TP抗体価はプラスのままで、抗リン脂質抗体価は陰性化するため、抗リン脂質抗体価の陰陽を感度よく検出することは、正確に回復期への移行を判断する上で重要であり、これにより回復期に応じた薬の種類や薬の投与方法を正しく決定する等の臨床における適切な対応ができる。
【0010】
またさらに、本発明者らは、逆に梅毒TP抗原をリン脂質抗原より試薬ゾーンからみて遠くに配することにより、抗梅毒TP抗体を抗リン脂質抗体より感度よく検出することができるとの新知見を得た。表1のごとく、梅毒感染中期者では、抗TP抗体価が抗リン脂質抗体価に次いで陽性化するため、抗梅毒TP抗体価の陰陽を感度よく検出することは、正確に感染初期から中期への移行を判断する上で重要であり、これにより患者の梅毒症状の時期を正確に認識することができ、時期に応じた薬の種類や薬の投与方法を決定する等の臨床における適切な対応ができる。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)梅毒TP抗原を固定した検出部分とリン脂質抗原を固定した検出部分とをマトリックス上に併せ有することを特徴とする梅毒抗体検出用免疫分析装置、
(2)毛細管作用により輸液可能なマトリックスに、梅毒TP抗原を固定し、それとは別の離れた位置にリン脂質抗原を固定した2種類の検出部分を持つ検出ゾーンと、梅毒TP抗原およびリン脂質抗原を標識微粒子に担持させた試薬を配置する試薬ゾーンとが設置されていることを特徴とする梅毒抗体検出用免疫分析装置、
(3)検出ゾーンのマトリックスに試薬ゾーンから近い順に、梅毒TP抗原、次にリン脂質抗原を固定させたことを特徴とする前記(2)に記載の免疫分析装置、
(4)検出ゾーンのマトリックスに試薬ゾーンから近い順に、リン脂質抗原、次に梅毒TP抗原を固定させたことを特徴とする前記(2)に記載の免疫分析装置、
(5)前記(3)の構成要件と、前記(4)の構成要件との組み合わせからなる前記(2)に記載の免疫分析装置、
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の免疫分析装置を利用した免疫分析測定方法、および、
(7)前記(5)に記載の免疫分析装置を用いて梅毒感染による病状の進行段階や既往歴を診断する方法、
に関する。
【0012】
本発明で用いられるマトリックスは毛細管作用により輸液可能な吸水性材料で構成される。好ましい材料としては、例えばセルロース、ニトロセルロース等のセルロース又はその誘導体、ガラス繊維等により形成された濾紙、多孔質膜等が挙げられる。このうち微多孔質または微小顆粒薄層クロマトグラフィー基体が本発明によるアッセイのスピード及び解析力を高めるという点から好ましい。なかでも、ニトロセルロースが予め増感しなくても固有にタンパク質と結合する能力を有する点、また、いろいろな気孔のものを入手することができるので検体流量のような要件にあわせて媒体を選択することが容易であるという点から特に好ましい。
【0013】
このマトリックスの大きさは特に制限はないが、例えば幅3〜10mm、長さ20〜150mm程度のストリップ状のものが取扱い上容易で好ましい。マトリックスの厚さも特に制限はないが、100μm〜1mmのものを用いることが好ましい。
【0014】
またマトリックスは、マトリックス上の過剰な結合部分にタンパク質が非特異反応により吸着し、検体及び試薬のクロマトグラフ溶媒移動を妨げることを防止するために、ブロッキングしてもよい。ブロッキング剤としては、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインなどのタンパク質、シュークロース、ポリビニルアルコールまたはエタノールが挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。
【0015】
本発明で使用されるマトリックスは、好ましくは不活性なものでなければならず、一般に検体または試薬のいずれとも物理的にまたは化学的に反応してはならない。
【0016】
検出ゾーンにおいて輸送可能なマトリックスに固定する梅毒TP抗原としては、天然抗原を用いてもよいし、遺伝子組換による抗原を用いても良い。またエピトープを人工合成したペプチドによるものであってもよい。
天然抗原は、公知の方法で製造されてよいが、その方法としては例えば、ウサギの睾丸に梅毒トレポネーマパリダムを感染させ梅毒トレポネーマパリダムを睾丸中で繁殖させたものを抽出し精製するという方法が挙げられる。
遺伝子組換抗原も、公知の方法で製造されてよいが、その方法としては、例えば、47K、17K、15K、37Kあるいは、TmpA、TmpB、4Dなどとよばれる分画を大腸菌で産生させる方法が挙げられる。これらは、GSTのような他のタンパクと融合させて用いてもよいし、また、例えば15K−17Kのごとくそれぞれを融合させたようなものでも良い。
ペプチドを用いる場合は、それぞれのエピトープをペプチドで人工合成したものを用いることができる。
【0017】
これら天然抗原、遺伝子組換抗原、人工ペプチドはそれぞれを単独で用いても良いし、適宜混合して用いてもよい。混合することにより、反応性を調節してその反応具合により病態を診断するのに用いたり、あるいは安定性に寄与したりするからである。
【0018】
本発明に用いられるリン脂質抗原におけるリン脂質は、通常はカルジオライピン、コレステロール、およびレシチンの混合物である。混合比は適宜選択できるが、カルジオライピン:コレステロール:レシチン=A:B:C(1≦A≦3、5≦B≦15、1≦C≦5)(重量比)が好ましく、より好ましくは(1≦A≦2、8≦B≦12、2≦C≦5)(重量比)である。
【0019】
検出ゾーンにおいて輸液可能なマトリックスへ梅毒TP抗原やリン脂質抗原を固定化させる方法としては、既知の方法であってよく、通常物理吸着法が用いられるが化学結合法でも良い。
物理吸着法としては、緩衝液に溶解した梅毒TP抗原をマトリックスに一定量吹き付ける方法が一般的であるが、公知の方法であってよい。
緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、Good緩衝液などが挙げられるが、特に限定されず、所望の感度領域や原料により適宜選択すればよい。これらの緩衝液は梅毒TP抗原、リン脂質抗原共通である。ただし、リン脂質抗原のマトリックスへの固定化については上記緩衝液とエタノール等の有機溶剤との混合液を用いるのが好ましい。
化学結合法を用いる場合は、マトリックスに官能基がある場合にこの官能基を利用し反応させることができる。
また、それぞれの抗原をウシ血清アルブミン(BSA)などに一旦化学結合もしくは物理吸着させたものをマトリックスに化学結合もしくは物理吸着させても良い。
【0020】
梅毒TP抗原やリン脂質抗原はマトリクッスの厚さ全体に含浸させるのが望ましい。こうすることで、固定化した抗原が検体内に存在する被検出物質を捕獲できる程度を強化することができる。すなわち、標識微粒子と、検体中の抗梅毒TP抗体または抗リン脂質抗体と、検出ゾーンにおいて固定化された梅毒TP抗原またはリン脂質抗原が共同して「サンドイッチ」反応を生じ、その結果、検体中に被検出物質が存在する場合は検出ゾーンで標識微粒子が捕捉され、その捕捉された程度を確認することができる。
【0021】
本発明の特徴として簡便に検査結果の確認ができるということが挙げられる。そのためには、標識となる不溶性担体が検出区域に集中することが必要である。したがって、検査結果の観察をより容易にするために、各抗原をマトリックスに固定化する部位は小さいほうが望ましい。
【0022】
本発明における標識微粒子としては、不溶性担体、蛍光物質および酵素が挙げられる。
【0023】
不溶性担体としては、一般的には、無機高分子粉末、有機高分子粉末、微生物、血球及び細胞膜片等が挙げられる。無機高分子粉末としては、例えば、金コロイド、セレニウムコロイド、酸化チタンコロイドなどが挙げられる。有機高分子粉末としては、天然高分子粉末または合成高分子粉末が挙げられる。天然高分子粉末としては、例えば、不溶性アガロース、セルロース、不溶性デキストランなどが挙げられる。合成高分子粉末としては、例えば、上記ポリスチレンの他、スチレン−スルホン酸(塩)共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スルホン酸共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。特に、合成高分子に粉末を均一に懸濁させたラテックスもしくは金コロイド、セレニウムコロイドが好ましい。
【0024】
上記不溶性担体は、その使用目的・用途などにより異なるが、通常化学合成により製造するか、又は市販されているものを使用することができる。また、表面にスルホン酸基やカルボキシル基を導入した不溶性担体も適宜使用可能である。
【0025】
不溶性担体の粒径は約1nm〜2μmが好ましい。不溶性担体としてラテックスもしくは金コロイド、セレニウムコロイドを用いる場合、その粒径は金コロイド、セレニウムコロイドならば約5nm〜0.5μm程度、ラテックスならば約50nm〜1.5μm程度がより好ましい。
【0026】
蛍光粒子としては、例えばフルオレセイン、ローダミン又はシアン化白等の蛍光物質を含むポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ガラス等の粒子を挙げることができる。粒径は約10nm〜1.5μm程度が好ましい。
【0027】
標識微粒子としての不溶性担体または蛍光物質に梅毒TP抗原を担持させる場合、抗原としては、天然抗原、遺伝子組換抗原またはペプチドのいずれでもよく、また公知の方法で製造されてよい。これら天然抗原、遺伝仕組換抗原、人工ペプチドはそれぞれを単独で用いても良いし、適宜混合して用いてもよい。
【0028】
梅毒TP抗原を標識微粒子としての不溶性担体または蛍光物質へ担持させる方法は物理吸着、化学吸着どちらでも良く、当業者に知られている方法であってよいが、例えば、梅毒TP抗原を含む溶液に標識微粒子を添加し撹拌することによる物理吸着により結合させることができる。また表面にスルホン酸基やカルボキシル基が導入されている標識微粒子では、適当な架橋剤を添加することにより、梅毒TP抗原を不溶性担体に化学結合させることができる。
【0029】
上記物理吸着及び化学結合共に結合反応時のpHは3〜10、温度は1〜50℃が望ましい。pHがこの範囲をはずれると、梅毒TP抗原がタンパク質であるため変性してしまうなどの問題がある。また温度については1℃未満であれば反応速度が遅く、あるいは溶液が凍結するおそれがあり、所望の感度を有する試薬が得にくくなり、50℃を超えると梅毒TP抗原が変性してしまうなどの問題がある。
【0030】
リン脂質抗原を標識微粒子としての不溶性担体または蛍光物質に担持させるのは主に物理吸着法を用いる。その方法は、当業者に知られている方法であってよいが、リン脂質抗原を含む溶液に標識微粒子を添加し撹拌する方法により結合させる。上記物理吸着の結合反応時に用いる分散溶媒は、例えば、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはメタノールなど等の有機溶剤が好ましく、また適宜リン酸緩衝液等の水と混合しても良い。また、反応温度は5〜60℃が望ましい。よりこのましくは、25〜50℃である。温度については5℃未満であれば反応速度が遅く、所望の感度を有する試薬が得にくくなり、また60℃を超えるとリン脂質抗原が変性してしまうなどの問題が生じてしまう。
【0031】
1つの標識微粒子に梅毒TP抗原とリン脂質抗原の双方を結合させてもよいし、別々に標識微粒子に結合させてもよい。
【0032】
本発明において標識微粒子として使用する酵素としては、酵素免疫測定法に用いられる各種酵素を用いることができ、例えばアルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等を用いることができる。
【0033】
梅毒TP抗原もしくはリン脂質抗原を上記酵素に担持させる方法は、公知の共有結合又は非共有結合を作る方法を利用することができる。結合の方法は、例えば、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸法、マレイミド法、ビリジル・ジスルフィド法、各種架橋剤を用いる方法が挙げられる。架橋剤として例えばN−スクシンイミジル−4−マレイミド酪酸(GMBS)、N−スクシイミジル−6−マレイミドヘキサン酸、N−スクシイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸等を用いることができる。共有結合による方法では、梅毒TP抗原やリン脂質抗原中に存在する官能基を用いることができる。非共有結合によるものとしては物理吸着を挙げることができる。
【0034】
また、本発明において標識微粒子として酵素を用いる場合、ポリスチレンやカーボン粒子等の不溶性担体や他の水溶性タンパクを介して酵素標識する方法をとってもよい。
【0035】
不溶性担体を介する場合は、酵素と抗原を別々に物理吸着もしくは化学結合で結合させればよい。この場合の不溶性担体としては、一般的には、無機高分子粉末、有機高分子粉末、微生物、血球及び細胞膜片等が挙げられる。無機高分子粉末としては、金コロイド、セレニウムコロイド、酸化チタンコロイドなどが挙げられる。有機高分子粉末としては、天然高分子粉末または合成高分子粉末があげられる。天然高分子粉末としては、例えば不溶性アガロース、セルロース、不溶性デキストランなどが挙げられる。合成高分子粉末としては、上記ポリスチレンの他、スチレン−スルホン酸(塩)共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スルホン酸共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0036】
上記不溶性担体は、その使用目的・用途などにより異なるが、通常化学合成により製造するか、又は市販されているものを使用する。また、表面にスルホン酸基やカルボキシル基を導入した不溶性担体も適宜使用可能である。
【0037】
不溶性担体の粒径は約1nm〜2μm程度が好ましい。不溶性担体としてラテックスもしくは金コロイド、セレニウムコロイドを用いる場合、その粒径は金コロイド、セレニウムコロイドならば約5nm〜0.5μm程度、ラテックスならば約50nm〜1.5μm程度がより好ましい。
【0038】
また水溶性タンパクを介する場合は、酵素と抗原を別々に物理吸着もしくは化学結合で結合させればよい。水溶性タンパクに官能基がある場合は化学結合で、ウシ血清アルブミン(BSA)がごとく疎水部がある場合は、物理吸着で行っても良い。いずれの場合においても、使用する水溶性タンパクは例えばウシ血清アルブミン(BSA)やオブアルブミンなどの分子量2万以上のタンパク質を用いることが好ましい。
【0039】
本発明に用いる酵素に反応して発色する基質としては、発色基質、蛍光基質、発光基質をあげることができる。
【0040】
発色基質としては、例えば、(パーオキシダーゼ用)過酸化水素水と組み合わせた2,2’−アジノービス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、3,3’、5,5’−テトラメチルベンチジン(TMB)、ジアミノベンチジン(DAB)、(アルカリホォスファターゼ用)5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)が挙げられる。
【0041】
蛍光基質としては、例えば、(アルカリフォスファターゼ用)4−メチルウムベリフェニル−ホスフェート(4MUP)(β−D−ガラクトシダーゼ用)4−メチルウムベリフェニル−β−D−ガラクトシド(4MUG)が挙げられる。
【0042】
発光基質としては、例えば、(アルカリフォスファターゼ用)3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’’−ホスフォリルオキシ)フェニル1−1,2−ジオキセタン・2ナトリウム塩(AMPPD)(β−D−ガラクトシダーゼ用)3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’’−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル1−1,2−ジオキセタン(AMGPD)、(パーオキシダーゼ用)過酸化水素と組み合わせたルミノール、イソルミノールが挙げられる。
【0043】
マトリックスが検体で湿潤されたときの梅毒TP抗原またはリン脂質抗原を標識微粒子に担持させた試薬の移動性を助長するために、該試薬はマトリックス内部に含浸させるよりもマトリックスの表面層として塗布するのが好ましい。こうすることで、マトリックスと該試薬との間の相互作用を最小化できるためである。塗布する方法としては、例えば、超小型注射器、調整ポンプつきペンのほか直接印刷、インキ噴射印刷等、任意の「印刷」技術を使用することができる。
【0044】
マトリックス上の試薬ゾーンをグレーズ材料で予備処理してもよい。グレーズ処理は、例えば、砂糖水、またはショ糖あるいは乳糖のセルロース溶液をマトリックスの試薬ゾーンに堆積して乾燥することにより達成される。この後、この部分に該試薬を塗布すればよい。グレーズ処理により、試薬ゾーンにおいて検体の移動を遅くすることができ、該試薬が容易に移送されるようになる。ただし、マトリックスの試薬ゾーンまたは検出ゾーン以外の部分をグレーズ処理することは好ましくない。
【0045】
検体は試薬ゾーンに直接滴下してもよいし、試料受容部を設置してそこに滴下してもよい。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の分析装置では、検体として特に制限はなく、例えば血清、血漿、全血、尿等の各種体液中の抗梅毒TP抗体及び抗リン脂質抗体の検出に適応することができる。
【0047】
本発明において試薬ゾーン及び輸液可能なマトリックスは、特開平9−229938に記載されているように一体となった構造でも良いし、あるいは例えばEIA用のセルのようなものに検体と試薬を入れ、しかるのち、検出ゾーンを設けた毛細管作用により輸液可能なマトリックスを該セル中に入れて反応させるような形をとってもよい。また、本発明の場合、このようなマトリックスを併設させる態様が挙げられる。すなわち、検出ゾーンに試薬ゾーンから近い順に梅毒TP抗原次にリン脂質抗原の順に固定させたマトリックスと、逆に検出ゾーンに試薬ゾーンから近い順にリン脂質抗原次に梅毒TP抗原の順に固定させたマトリックスとを併設させてもよい。
【0048】
本発明の分析装置を用いて分析を行うには、まず検体を装置のマトリックスに供給したあと展開液により展開を行う.展開液は毛細管現象により試薬吸収部位に達し、検出ゾーンに結合されなかった成分、及び、梅毒TP抗原とリン脂質抗原とを標識微粒子に担持させた試薬が吸収され展開が終了する。展開終了後、検体中の抗梅毒TP抗体または抗リン脂質抗体に依存する量の標識微粒子が検出ゾーンで捕捉されているので、展開終了後その標識微粒子を直接的または間接的に検出することにより、抗梅毒TP抗体または抗リン脂質抗体の分析を行うことができる。この検出は、標識微粒子によりそれぞれ対応する目視、シンチレーションカウンター、比色計、蛍光光度計、フォトンカウンター、感光フィルム等の測定装置を用いて行う。
【0049】
本発明において、酵素と反応する基質は、マトリックスに基質ゾーンを設けても良いし、反応終了後に検出ゾーンにピペット等で点着させてもよいし、マトリックスを基質試薬に哂してもよい。試薬ゾーンに含ませて検体に溶解または分散さてもよい。また、マトリックスに接触させる前に検体中に添加してもよい。この場合は、発色基質、蛍光基質、発光基質が酵素と反応することにより生成する色素または蛍光等の有無をそれぞれ対応する目視、シンチレーションカウンター、比色計、蛍光光度計、フォトンカウンター、感光フィルム等の測定装置を用いて行う。また、発色基質を用いた場合、抗梅毒TP抗体または抗リン脂質抗体に対応した色票(カラーチャート)を用いることにより半定量的な分析が可能となる。
【0050】
本発明の実施形態としては、マトリックスを不透過性ケーシングまたはハウジングに内蔵しするのが好ましい。また、マトリックスに連結して多孔質試料受容部材を設けてもよい。多孔質試料受容部材をハウジングの外に延ばし、検体をハウジング内に導き入れ、マトリックスに透過させる手段として用いることができる。より好ましくは、使用までの保管中に突出している多孔質試料受容部材を保護する脱着自在のキャップまたは囲いをハウジングに設ける。これは、必要であれば検定実施中にかぶせてもよい。さらに、マトリックス上の検出部分がハウジングの外部から観察できるようにして、検定結果を観察できるようにする手段、例えば、適宜に配置した開口部をハウジングに設けるのが好ましい。
【0051】
本発明の実施形態の一例を図3〜5に示す。図3を参照すると、装置は平坦な直方体のハウジング100を含んでなり、ハウジング100はその左側の端部に隣接した中央に矩形開口部101を備えるとともに装置中ほどにもさらに2つの開口部103、104を備えている。これらの開口部101、103、104はA―A線に対応する装置の中央軸上に配置されている。図では3つの開口部全部を矩形として示しているが、その形状は実際にはあまり重要ではない。
【0052】
図4の断面図を参照すると、装置は中空構造であり、ハウジング100の端部102に隣接し、かつ開口部101の直下に多孔質試料受容部材105を備える。多孔質試料受容部材105が、マトリックス106と接触している。多孔質試料受容部材105とマトリックス106とを重なり合わせることによって、これら2つの材料が確実に接触し、部材105に付与された液体状の検体が部材105に浸透してマトリックス106の中に入るようにしている。マトリックス106は透明不透湿性プラスチックからなる支持片107によって裏打ちされている。透明の裏打ち支持片107は、ハウジング100の上部内面108と密着しており、開口部103および104において外部から開口部を通して侵入する湿気に対するシールとして作用する。
【0053】
動作時、例えば注射器等を用いて検体を開口部101から注入し、多孔質試料受容部材105に含浸させることができる。その後検体はマトリックスを透過して適当な時間経過後に開口部103、104を通して検査結果が観察できるようになる。
【0054】
マトリックス106は、検定の間に装置に加えられる検体および試薬物質、場合により洗浄水がすべて吸収されるよう十分な容積を有していなければならない。
【0055】
透明の裏打ち支持片107を用いると、防湿性という点から好ましいだけでなく、取扱い強度が大きくなる点からも好ましい。これは裏打ち材料シートの上にニトロセルロースの薄膜を形成することにより容易に製造することができる。こうして裏打ちしたときのニトロセルロースの気孔径は裏打ちしない場合に比べて小さくなる傾向がある。
【0056】
多孔質試料受容部材105は、液体を急速に吸収できるものであれば吸湿性材料、多孔質材料、繊維質材料など任意の材料で形成することができる。材料の多孔性は一方向性または多方向性のいずれでもよい。ここで、「一方向性」とは、気孔または繊維の全部が部材の軸に平行に通っていることをいい、「多方向性」には非晶質のスポンジ構造をとる部材が当てはまる。ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ化ポリビニリデン、エチレン酢酸ビニル、アクリルニトリル、ポリテトラフルオロエチレンのような多孔質プラスチックを使用することもできる。多孔質試料受容部材を製造の段階において界面活性剤で予め処理しておくと有利である。界面活性剤は部材の固有の疎水性を低減できることから、界面活性剤による処理により検体を高速かつ効率的に吸収伝達することができるようになるからである。多孔質試料受容部材はその他に紙やニトロセルロースのようなセルロース材料でも形成することができる。このような材料は本発明の装置に適するいろいろな長さ及び断面に成形または押出し成形することができる。
【0057】
多孔質試料受容部材を構成する材料は、好適には多孔質試料受容部材が数秒間で水性液に含浸されるように選択すべきである。また、材料は湿潤しても丈夫であることが望ましい。この理由から多孔質試料受容部材がハウジングから突出するような実施態様では、紙のような材料は好適ではない。
【0058】
図5はマトリックス106の詳細を表しており、矩形帯状片としてその縦軸を垂直にして図示されている。マトリックス106の下端部200に隣接して幅の狭い帯状区域201がマトリックス106の幅全体にわたって延設されている。区域201の上方にやはりマトリックス106の幅全体にわたって延びている第2区域202が配設され、さらに上方に同様な第3区域203が設けられている。区域201と区域202、区域202と区域203の距離は両区域を分離できる程度であれば任意の距離とすることができる。さらに上方、マトリックス106の頂部に試料吸収部位204が設けられている。
【0059】
区域201と区域202、区域202と区域203の距離、および、マトリックスの材料の流速特性を適宜選択することによって、必要とされる特異結合が生じる反応時間を適当に調整できるとともに、試薬を検体中に溶解または分散させてマトリックス上を移動させることができる。検体の中にグレーズ剤を添加して梅毒TP抗原とリン脂質抗原とを標識微粒子に担持させた試薬の移動を遅くすることにより、上記反応時間を制御することができる。
【0060】
区域201には、梅毒TP抗原とリン脂質抗原とを標識微粒子に担持させた試薬を含有させる。区域202には、梅毒TP抗原またはリン脂質抗原を固定させる。区域203には、リン脂質抗原または梅毒TP抗原を固定化させる。区域201は多孔質試料受容部材105と開口部103の間に位置することとなる。また、区域202は開口部103を通して露出された領域に位置し、区域203は開口部104を通して露出された領域に位置し、ともに開口部を通して検査結果が観察できるようになっている。
【0061】
試料吸収部位204は、延長されたマトリックスからなっていてもよいが、多量の吸収物質がなるのが好ましい。木材パルプからのセルロース性吸収物質または木綿などでもよい。吸収物質はマトリックスと同じ大きさである必要はなく、一般にマトリックスよりも厚い。吸収物質は、マトリックスからの流体が吸収物質中に流れ込むように、マトリックスに隣接していればよい。また、試料吸収部位は検体全量を吸収することができ、さらに別の試薬を吸収し、しかもそれを相当速やかに行うことができるものであることがより好ましい。
【0062】
装置を製造する場合、例えばハウジング100をプラスチック材料で2つの部分、例えば上半分109と下半分110に成形し、多孔質試料受容部材105とマトリックス106を2つの部分にはさんで、例えば超音波溶接によって固着することによって容易に組み立てることができる。サンドイッチ構造を成形することによって、多孔質試料受容部材105とマトリックス106を締付固定してそれらを確実に接触させることも可能になる。必要に応じて開口部103,104に透明インサートを設け、防湿性を保証するようにしてもよい。ハウジング100と多孔質試料受容部材105を締り嵌めすることにより突出部材に検体を付与しても直接検体が装置に入らなくなり、多孔質試料受容部材105を通るようになる。したがって、多孔質試料受容部材105は検体がハウジング内部でマトリックス106に向かう唯一の経路となり、検体を制御しながらマトリックス106に送ることができる。そのため装置全体として検体採取機能と分析機能を併合して備えるものといえる。
【0063】
マトリックス106と多孔質試料受容部材105との接触部分にフィルターを設けてもよい。これにより、特に血液、血清または他の生物学的流体のような検体から微粒子や他の不純物を取り除くことができる。したがって、溶液中の不純物を濾過、除去できれるものであればその材質は特に制限がない。例えば、ガラス繊維濾紙、布、またはナイロン膜等を使用することができる。フィルターとマトリックスとの接着は、例えば物理的に接触させる、例えば機械的に押し付ける等により行うことができる。
【0064】
検体から被検出物質以外の成分を除去するために洗浄工程を行ってもよく、その際の洗浄溶液は好ましくは検体に加えておく。
【0065】
【実施例】
〔実施例1〕
100mMリン酸緩衝液(pH7.4)に、遺伝子組換梅毒TP抗原を30μg/mLのタンパク濃度で溶解した抗原溶解液400μLを平均粒径0.4μmのブルーの着色ポリスチレンラテックス(固形分10%(w/v)バングス株式会社製)100μLに添加し、4℃で1時間撹拌した。次に ウシ血清アルブミン(以下BSA)を1%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)2mLを4℃で1.5時間撹拌した。この液を10℃にて30分間、18000r.p.mで遠心した。得られた沈殿物にBSAを0.25%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)5mLを添加し、ラテックスを懸濁させ、梅毒TP抗原感作ラテックス液を調製した。
【0066】
100%エタノール液(ナカライテスク株式会社製)にカルジオライピン(AVANNTI株式会社製)、レシチン(ナカライテスク株式会社製)、コレステロール(ナカライテスク株式会社製)をそれぞれ、カルジオライピン5mg/mL、レシチン15mg/mL、コレステロール15mg/mLの濃度になるよう溶解する。上記溶液をそれぞれ、カルジオライピン溶液を100μL、レシチン溶液を350μL、コレステロール溶液を100μL混合し、さらにその混合液に100%エタノール溶液を150μL加えて、リン脂質抗原溶解液とする。このリン脂質抗原溶解液250μLを平均粒径0.4μmのブルーの着色ポリスチレンラテックス(固形分10%(w/v)バングス株式会社製)100μLに添加し、37℃で1時間撹拌した。次に BSAを1%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)2mLを37℃で1.5時間撹拌した。この液を10℃にて30分間、18000r.p.mで遠心した。得られた沈殿物にBSAを0.25%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)5mLを添加し、ラテックスを懸濁させ、リン脂質抗原感作ラテックス液を調整した。
【0067】
次にイムノクロマト用ニトロセルロースメンブレン(ミリポア株式会社製)縦6cm横30cmを用意した。100mMリン酸緩衝液(pH7.4)に遺伝子組換梅毒TP抗原30μg/mLの濃度になるように溶解した。メンブレンの下から3cmのところに、図1のごとく、該溶液を2μl/cmになるよう イムノクロマト用タンパク噴霧器「XYZ223000」(BioDot株式会社製)で塗布した。
さらに、100%エタノール液(ナカライテスク株式会社製)にカルジオライピン(AVANNTI株式会社製)、レシチン(ナカライテスク株式会社製)、コレステロール(ナカライテスク社製)をそれぞれ、カルジオライピン5mg/mL、レシチン15mg/mL、コレステロール15mg/mLの濃度になるように溶解する。上記溶液をそれぞれ、カルジオライピン溶液を100μL、レシチン溶液を350μL、コレステロール溶液を100μL混合し、さらにその混合液に100%エタノール溶液を150μL加えて、リン脂質抗原溶解液とする。メンブレンの下から3.5cmのところに、この溶液を2μl/cmになるようイムノクロマト用タンパク噴霧器「XYZ23000」(BioDot株式会社製)で塗布した。
その後、幅5mmになるようカッテイングして梅毒抗体検出用マトリックス1とした。
【0068】
マトリックス1の場合と同様の方法で調整したリン脂質抗原と遺伝子組換梅毒TP抗原を図2のごとくリン脂質抗原と遺伝子組換梅毒TP抗原の塗布位置を逆にして作製した。その後、幅5mmになるようカッテイングして梅毒抗体検出用マトリックス2とした。
【0069】
[実施例2]
特開平7−287017号に記載の方法で製造したGST結合遺伝子組み換え梅毒TP17抗原0.12mgに2−イミノチオラン200nmolを加え、30℃で60分放置し、チオール化梅毒TP抗原を得た。次にアルカリフォスファターゼ3mgに300nmolのN−スクシンイミジル−4−マレイミド酪酸(GMBS)を加え、30℃で60分放置し、マレイミド化アルカリフォスファターゼを得た。その後前記チオール化梅毒TP抗原10μgとマレイミド化アルカリフォスファターゼ2.5mgとを混合し、4度で一夜反応を行った後、ゲル濾過カラムにより未反応の抗原及び酵素を除いて、アルカリフォスファターゼ標識下遺伝子組み換え梅毒TP17抗原を得た。本溶液を実施例1中梅毒TP抗原感作ラテックスの代わりに入れ、実施例1と同様にして梅毒抗体検出用マトリックス1および2を作成した。
【0070】
[試験例1]
EIA用セルを利用し、セルに上記で作製した梅毒TP抗原感作ラテックスとリン脂質抗原感作ラテックスを3μLずつ入れる。しかるのちあらかじめ陰性陽性の判明した感染回復期の陽性検体3例陰性検体3例(それぞれ血清)を45μL入れ撹拌する。さらに撹拌後速やかに梅毒抗体検出用マトリックス1をセルに浸漬させ15分放置した。その後、実施例1の方は目視で観察した。実施例2の方は梅毒TP抗原検出ゾーン上に0.3%の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)を含有する溶液200μLを滴下し、さらに10分間放置した後目視で確認した。結果は、両実験ともに、梅毒TP抗原の検出部分にラインが出現し、リン脂質抗原の検出部分にはラインは出現せず、梅毒感染回復期であることが確認できた。
【0071】
[試験例2]
EIA用セルを利用し、セルに上記で作製した梅毒TP抗原感作ラテックスとリン脂質抗原感作ラテックスを3μLずつ入れる。しかるのちあらかじめ陰性陽性の判明した感染初期の陽性検体3例陰性検体3例(それぞれ血清)を45μL入れ撹拌する。さらに撹拌後速やかに梅毒抗体検出用マトリックス2をセルに浸漬させ、15分放置した。その後、実施例1のほうは目視で観察した。実施例2の方は梅毒TP抗原検出ゾーン上に0.3%の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)を含有する溶液200μLを滴下し、さらに10分間放置した後目視で確認した。結果は、両実験ともに、梅毒TP抗原の検出部分にラインが出現せず、リン脂質抗原の検出部分にはラインは出現し、梅毒感染初期であることが確認できた
【0072】
【発明の効果】
本発明により、一度の測定で同時に抗梅毒TP抗体と抗リン脂質抗体の検査が行うことができるので、梅毒感染の検査を効率よく行うことができ、また検体からの感染の危険が軽減される
【0073】
本発明により、梅毒感染による病状の進行段階や既往歴を簡便に、かつ、正確に診断することができ、これにより、各進行段階に応じた治療方法または投薬方法を選択することができるという臨床上の有用性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 梅毒抗体検出用マトリックス1を示す。
【図2】 梅毒抗体検出用マトリックス2を示す。
【図3】 免疫分析装置の平面図を示す。
【図4】 免疫分析装置の断面図を示す。
【図5】 マトリックスの詳細な構成を示す。
【符号の説明】
10 遺伝子組換梅毒TP抗原塗布部分
11 リン脂質抗原塗布部分
12 検体浸漬部分
100 ハウジング
101 開口部
102 ハウジングの一端部
103、104 開口部
105 多孔質試料受容部材
106 マトリックス
107 マトリックス支持片
108 ハウジングの内面
109 ハウジングの上半分
110 ハウジングの下半分
200 マトリックスの下端部
201 試薬ゾーン
202、203 検出ゾーン
204 試薬吸収部位

Claims (4)

  1. 毛細管作用により輸液可能なマトリックスに梅毒トレポネーマ(Toreponema Paridum)抗原を固定し、それとは別の離れた位置にリン脂質抗原を固定した2種類の検出部分を持つ検出ゾーンと、梅毒トレポネーマ(Toreponema Paridum)抗原およびリン脂質抗原を標識微粒子に担持させた試薬を配置する試薬ゾーンとが設置され、検出ゾーンのマトリックスに試薬ゾーンから近い順に、梅毒トレポネーマ( Toreponema Paridum )抗原、次にリン脂質抗原を固定させており、かつ、梅毒感染回復期診断用に用いられることを特徴とする梅毒抗体検出用免疫分析装置。
  2. 毛細管作用により輸液可能なマトリックスに梅毒トレポネーマ(Toreponema Paridum)抗原を固定し、それとは別の離れた位置にリン脂質抗原を固定した2種類の検出部分を持つ検出ゾーンと、梅毒トレポネーマ(Toreponema Paridum)抗原およびリン脂質抗原を標識微粒子に担持させた試薬を配置する試薬ゾーンとが設置され、検出ゾーンのマトリックスに試薬ゾーンから近い順に、リン脂質抗原、次に梅毒トレポネーマ( Toreponema Paridum )抗原を固定させており、かつ、梅毒感染初期診断用に用いられることを特徴とする梅毒抗体検出用免疫分析装置。
  3. 請求項の構成要件と、請求項の構成要件とを一つの装置で併せ有する免疫分析装置。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の免疫分析装置を利用した免疫分析測定方法。
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