JP2001228156A - 梅毒抗体検出用免疫分析装置 - Google Patents

梅毒抗体検出用免疫分析装置

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JP2001228156A JP2000035250A JP2000035250A JP2001228156A JP 2001228156 A JP2001228156 A JP 2001228156A JP 2000035250 A JP2000035250 A JP 2000035250A JP 2000035250 A JP2000035250 A JP 2000035250A JP 2001228156 A JP2001228156 A JP 2001228156A
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 本発明の目的は、梅毒感染の検査時にお
いて検体からの感染の危険を軽減すべく検体の処理工数
を減らし、かつ、梅毒感染による病状の進行段階や既往
歴を診断することができる免疫分析装置及び免疫分析方
法を提供することにある。 【解決手段】 毛細管作用により輸液可能なマトリック
スに梅毒トレポネーマ(Toreponema Paridum)抗原を
固定し、それとは別の離れた位置にリン脂質抗原を固定
した2種類の検出部分を持つ検出ゾーンと、梅毒トレポ
ネーマ(Toreponema Paridum)抗原とリン脂質抗原と
を標識微粒子に担持させた試薬を配置する試薬ゾーンと
が設置されていることを特徴とする梅毒抗体検出用免疫
分析装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】検体中の梅毒トレポネーマ
(Toreponema Paridum)抗原(以下、「梅毒TP抗
原」という)に対する抗体と、リン脂質抗原に対する抗
体の双方を一回の処理で検出する免疫分析装置及びそれ
を用いる免疫分析測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血液や尿等に含まれる生体成分や薬物の
分析は病態分析や治療経過の判定に重要である。そこで
抗原抗体反応を利用し、検体中からこれらの成分を簡便
に分析する方法として反応試薬を含浸させたストリップ
状の濾紙からなる分析装置が見いだされた。これら分析
方法は装置濾紙部分と接するような検体点着部に試薬ゾ
ーンを設け、それに引き続き、検体が濾紙上を毛細管現
象で移動し、最終的に該濾紙上に設けた検出ゾーンに表
示される色調の度合いから診断する方法である。この原
理を応用した遺伝子組換梅毒TP抗原による免疫分析装
置及び免疫分析測定方法が知られている(特開平9−2
29938)。
【0003】しかし、従来は、梅毒抗体検査が、梅毒T
P抗原に対する抗体(以下、「抗梅毒TP抗体」とい
う)とリン脂質に対する抗体(以下、「抗リン脂質抗
体」という)の両方が診断に不可欠であるにもかかわら
ず、特開平9−229938に記載されているように片
方の抗体に対する試薬しか使われてこなかった。そのた
め、梅毒診断においては抗梅毒TP抗体と抗リン脂質抗
体の検査を別に行わなくてはならず大変煩雑であった。
また感染防御上も血清の滴下の機会が2回と通常の検査
に比べ1回多く、そのため検体からの感染の危険の機会
も倍となり問題であった。
【0004】また、梅毒に罹患してできる抗体は表1の
ごとく変化する。
【表1】 これから明らかように、検査上、梅毒感染初期では、抗
リン脂質抗体を抗梅毒TP抗体よりも感度よく検出しな
くてはならないのに対し、梅毒の既往歴を検査するとき
は抗リン脂質抗体より抗梅毒TP抗体を感度よく検出す
る必要がある。それにもかかわらず、従来技術では抗リ
ン脂質抗体と抗梅毒TP抗体とを別々の装置で測定して
いたため、測定感度を異ならせての検査結果の比較を行
うことが困難であり、感染期すなわち病状の進行段階や
梅毒の既往歴の診断を効率よく行うことができなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、梅毒
感染の検査時において検体からの感染の危険を軽減し、
しかも分析をより簡便に行うために検体の処理工数を減
らした免疫分析装置及び免疫分析方法を提供することに
ある。
【0006】本発明の他の目的は、抗リン脂質抗体の検
出感度と抗梅毒TP抗体の検出感度が異なる2種の測定
の結果を比較することにより、梅毒感染による病状の進
行段階や既往歴を診断することができる免疫分析装置及
び免疫分析方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、検出ゾーンにリン脂質
抗原を固定した検出部分と梅毒TP抗原を固定した検出
部分の2種類の検出部分を設けることにより、抗梅毒T
P抗体と抗リン脂質抗体を1回の検査機会で測定するこ
とができ、煩雑さが解消され、大量の検体であっても処
理工数が半減できるとともに、感染防御上も血清の滴下
の機会が1回と通常の検査の2回に比べ半分となるた
め、検体からの感染の危険も半減することができるとい
う着想を得た。
【0008】さらに、本発明者らは毛細管作用により輸
液可能なマトリックスに抗原を固定した複数の検出部分
をもつ検出ゾーンと、抗原を標識微粒子に担持させた試
薬を配置する試薬ゾーンを設置した梅毒抗体検出用免疫
分析装置においては、検出ゾーンの複数の検出部分のう
ち試薬ゾーンから遠い方がマトリックスを移動する時間
が長く、試薬と検体中の被検出物質との反応時間が長く
なるため、検出感度がより高くなるという着想も得た。
【0009】またさらに、本発明者らは、上記の二つの
着想の組み合わせを基礎とするものであるが、検出ゾー
ンにおいて、リン脂質抗原を梅毒TP抗原より試薬ゾー
ンからみて遠くに固定化することにより、抗リン脂質抗
体を抗梅毒TP抗体より感度よく検出することができる
との新知見を得た。表1のごとく、感染回復期になると
抗TP抗体価はプラスのままで、抗リン脂質抗体価は陰
性化するため、抗リン脂質抗体価の陰陽を感度よく検出
することは、正確に回復期への移行を判断する上で重要
であり、これにより回復期に応じた薬の種類や薬の投与
方法を正しく決定する等の臨床における適切な対応がで
きる。
【0010】またさらに、本発明者らは、逆に梅毒TP
抗原をリン脂質抗原より試薬ゾーンからみて遠くに配す
ることにより、抗梅毒TP抗体を抗リン脂質抗体より感
度よく検出することができるとの新知見を得た。表1の
ごとく、梅毒感染中期者では、抗TP抗体価が抗リン脂
質抗体価に次いで陽性化するため、抗梅毒TP抗体価の
陰陽を感度よく検出することは、正確に感染初期から中
期への移行を判断する上で重要であり、これにより患者
の梅毒症状の時期を正確に認識することができ、時期に
応じた薬の種類や薬の投与方法を決定する等の臨床にお
ける適切な対応ができる。
【0011】すなわち、本発明は、(1)梅毒TP抗原
を固定した検出部分とリン脂質抗原を固定した検出部分
とをマトリックス上に併せ有することを特徴とする梅毒
抗体検出用免疫分析装置、(2)毛細管作用により輸液
可能なマトリックスに、梅毒TP抗原を固定し、それと
は別の離れた位置にリン脂質抗原を固定した2種類の検
出部分を持つ検出ゾーンと、梅毒TP抗原およびリン脂
質抗原を標識微粒子に担持させた試薬を配置する試薬ゾ
ーンとが設置されていることを特徴とする梅毒抗体検出
用免疫分析装置、(3)検出ゾーンのマトリックスに試
薬ゾーンから近い順に、梅毒TP抗原、次にリン脂質抗
原を固定させたことを特徴とする前記(2)に記載の免
疫分析装置、(4)検出ゾーンのマトリックスに試薬ゾ
ーンから近い順に、リン脂質抗原、次に梅毒TP抗原を
固定させたことを特徴とする前記(2)に記載の免疫分
析装置、(5)前記(3)の構成要件と、前記(4)の
構成要件との組み合わせからなる前記(2)に記載の免
疫分析装置、(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記
載の免疫分析装置を利用した免疫分析測定方法、およ
び、(7)前記(5)に記載の免疫分析装置を用いて梅
毒感染による病状の進行段階や既往歴を診断する方法、
に関する。
【0012】本発明で用いられるマトリックスは毛細管
作用により輸液可能な吸水性材料で構成される。好まし
い材料としては、例えばセルロース、ニトロセルロース
等のセルロース又はその誘導体、ガラス繊維等により形
成された濾紙、多孔質膜等が挙げられる。このうち微多
孔質または微小顆粒薄層クロマトグラフィー基体が本発
明によるアッセイのスピード及び解析力を高めるという
点から好ましい。なかでも、ニトロセルロースが予め増
感しなくても固有にタンパク質と結合する能力を有する
点、また、いろいろな気孔のものを入手することができ
るので検体流量のような要件にあわせて媒体を選択する
ことが容易であるという点から特に好ましい。
【0013】このマトリックスの大きさは特に制限はな
いが、例えば幅3〜10mm、長さ20〜150mm程
度のストリップ状のものが取扱い上容易で好ましい。マ
トリックスの厚さも特に制限はないが、100μm〜1
mmのものを用いることが好ましい。
【0014】またマトリックスは、マトリックス上の過
剰な結合部分にタンパク質が非特異反応により吸着し、
検体及び試薬のクロマトグラフ溶媒移動を妨げることを
防止するために、ブロッキングしてもよい。ブロッキン
グ剤としては、例えば、ウシ血清アルブミン(BS
A)、カゼインなどのタンパク質、シュークロース、ポ
リビニルアルコールまたはエタノールが挙げられ、これ
らを組み合わせて用いることもできる。
【0015】本発明で使用されるマトリックスは、好ま
しくは不活性なものでなければならず、一般に検体また
は試薬のいずれとも物理的にまたは化学的に反応しては
ならない。
【0016】検出ゾーンにおいて輸送可能なマトリック
スに固定する梅毒TP抗原としては、天然抗原を用いて
もよいし、遺伝子組換による抗原を用いても良い。また
エピトープを人工合成したペプチドによるものであって
もよい。天然抗原は、公知の方法で製造されてよいが、
その方法としては例えば、ウサギの睾丸に梅毒トレポネ
ーマパリダムを感染させ梅毒トレポネーマパリダムを睾
丸中で繁殖させたものを抽出し精製するという方法が挙
げられる。遺伝子組換抗原も、公知の方法で製造されて
よいが、その方法としては、例えば、47K、17K、
15K、37Kあるいは、TmpA、TmpB、4Dな
どとよばれる分画を大腸菌で産生させる方法が挙げられ
る。これらは、GSTのような他のタンパクと融合させ
て用いてもよいし、また、例えば15K−17Kのごと
くそれぞれを融合させたようなものでも良い。ペプチド
を用いる場合は、それぞれのエピトープをペプチドで人
工合成したものを用いることができる。
【0017】これら天然抗原、遺伝子組換抗原、人工ペ
プチドはそれぞれを単独で用いても良いし、適宜混合し
て用いてもよい。混合することにより、反応性を調節し
てその反応具合により病態を診断するのに用いたり、あ
るいは安定性に寄与したりするからである。
【0018】本発明に用いられるリン脂質抗原における
リン脂質は、通常はカルジオライピン、コレステロー
ル、およびレシチンの混合物である。混合比は適宜選択
できるが、カルジオライピン:コレステロール:レシチ
ン=A:B:C(1≦A≦3、5≦B≦15、1≦C≦
5)(重量比)が好ましく、より好ましくは(1≦A≦
2、8≦B≦12、2≦C≦5)(重量比)である。
【0019】検出ゾーンにおいて輸液可能なマトリック
スへ梅毒TP抗原やリン脂質抗原を固定化させる方法と
しては、既知の方法であってよく、通常物理吸着法が用
いられるが化学結合法でも良い。物理吸着法としては、
緩衝液に溶解した梅毒TP抗原をマトリックスに一定量
吹き付ける方法が一般的であるが、公知の方法であって
よい。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス
緩衝液、グリシン緩衝液、Good緩衝液などが挙げら
れるが、特に限定されず、所望の感度領域や原料により
適宜選択すればよい。これらの緩衝液は梅毒TP抗原、
リン脂質抗原共通である。ただし、リン脂質抗原のマト
リックスへの固定化については上記緩衝液とエタノール
等の有機溶剤との混合液を用いるのが好ましい。化学結
合法を用いる場合は、マトリックスに官能基がある場合
にこの官能基を利用し反応させることができる。また、
それぞれの抗原をウシ血清アルブミン(BSA)などに
一旦化学結合もしくは物理吸着させたものをマトリック
スに化学結合もしくは物理吸着させても良い。
【0020】梅毒TP抗原やリン脂質抗原はマトリクッ
スの厚さ全体に含浸させるのが望ましい。こうすること
で、固定化した抗原が検体内に存在する被検出物質を捕
獲できる程度を強化することができる。すなわち、標識
微粒子と、検体中の抗梅毒TP抗体または抗リン脂質抗
体と、検出ゾーンにおいて固定化された梅毒TP抗原ま
たはリン脂質抗原が共同して「サンドイッチ」反応を生
じ、その結果、検体中に被検出物質が存在する場合は検
出ゾーンで標識微粒子が捕捉され、その捕捉された程度
を確認することができる。
【0021】本発明の特徴として簡便に検査結果の確認
ができるということが挙げられる。そのためには、標識
となる不溶性担体が検出区域に集中することが必要であ
る。したがって、検査結果の観察をより容易にするため
に、各抗原をマトリックスに固定化する部位は小さいほ
うが望ましい。
【0022】本発明における標識微粒子としては、不溶
性担体、蛍光物質および酵素が挙げられる。
【0023】不溶性担体としては、一般的には、無機高
分子粉末、有機高分子粉末、微生物、血球及び細胞膜片
等が挙げられる。無機高分子粉末としては、例えば、金
コロイド、セレニウムコロイド、酸化チタンコロイドな
どが挙げられる。有機高分子粉末としては、天然高分子
粉末または合成高分子粉末が挙げられる。天然高分子粉
末としては、例えば、不溶性アガロース、セルロース、
不溶性デキストランなどが挙げられる。合成高分子粉末
としては、例えば、上記ポリスチレンの他、スチレン−
スルホン酸(塩)共重合体、スチレン−メタクリル酸共
重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スルホン酸共
重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢
酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられ
る。特に、合成高分子に粉末を均一に懸濁させたラテッ
クスもしくは金コロイド、セレニウムコロイドが好まし
い。
【0024】上記不溶性担体は、その使用目的・用途な
どにより異なるが、通常化学合成により製造するか、又
は市販されているものを使用することができる。また、
表面にスルホン酸基やカルボキシル基を導入した不溶性
担体も適宜使用可能である。
【0025】不溶性担体の粒径は約1nm〜2μmが好
ましい。不溶性担体としてラテックスもしくは金コロイ
ド、セレニウムコロイドを用いる場合、その粒径は金コ
ロイド、セレニウムコロイドならば約5nm〜0.5μ
m程度、ラテックスならば約50nm〜1.5μm程度
がより好ましい。
【0026】蛍光粒子としては、例えばフルオレセイ
ン、ローダミン又はシアン化白等の蛍光物質を含むポリ
スチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
アクリル酸共重合体、ガラス等の粒子を挙げることがで
きる。粒径は約10nm〜1.5μm程度が好ましい。
【0027】標識微粒子としての不溶性担体または蛍光
物質に梅毒TP抗原を担持させる場合、抗原としては、
天然抗原、遺伝子組換抗原またはペプチドのいずれでも
よく、また公知の方法で製造されてよい。これら天然抗
原、遺伝仕組換抗原、人工ペプチドはそれぞれを単独で
用いても良いし、適宜混合して用いてもよい。
【0028】梅毒TP抗原を標識微粒子としての不溶性
担体または蛍光物質へ担持させる方法は物理吸着、化学
吸着どちらでも良く、当業者に知られている方法であっ
てよいが、例えば、梅毒TP抗原を含む溶液に標識微粒
子を添加し撹拌することによる物理吸着により結合させ
ることができる。また表面にスルホン酸基やカルボキシ
ル基が導入されている標識微粒子では、適当な架橋剤を
添加することにより、梅毒TP抗原を不溶性担体に化学
結合させることができる。
【0029】上記物理吸着及び化学結合共に結合反応時
のpHは3〜10、温度は1〜50℃が望ましい。pH
がこの範囲をはずれると、梅毒TP抗原がタンパク質で
あるため変性してしまうなどの問題がある。また温度に
ついては1℃未満であれば反応速度が遅く、あるいは溶
液が凍結するおそれがあり、所望の感度を有する試薬が
得にくくなり、50℃を超えると梅毒TP抗原が変性し
てしまうなどの問題がある。
【0030】リン脂質抗原を標識微粒子としての不溶性
担体または蛍光物質に担持させるのは主に物理吸着法を
用いる。その方法は、当業者に知られている方法であっ
てよいが、リン脂質抗原を含む溶液に標識微粒子を添加
し撹拌する方法により結合させる。上記物理吸着の結合
反応時に用いる分散溶媒は、例えば、エタノール、N,
N−ジメチルホルムアミドまたはメタノールなど等の有
機溶剤が好ましく、また適宜リン酸緩衝液等の水と混合
しても良い。また、反応温度は5〜60℃が望ましい。
よりこのましくは、25〜50℃である。温度について
は5℃未満であれば反応速度が遅く、所望の感度を有す
る試薬が得にくくなり、また60℃を超えるとリン脂質
抗原が変性してしまうなどの問題が生じてしまう。
【0031】1つの標識微粒子に梅毒TP抗原とリン脂
質抗原の双方を結合させてもよいし、別々に標識微粒子
に結合させてもよい。
【0032】本発明において標識微粒子として使用する
酵素としては、酵素免疫測定法に用いられる各種酵素を
用いることができ、例えばアルカリフォスファターゼ、
パーオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等を用い
ることができる。
【0033】梅毒TP抗原もしくはリン脂質抗原を上記
酵素に担持させる方法は、公知の共有結合又は非共有結
合を作る方法を利用することができる。結合の方法は、
例えば、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸法、マレイ
ミド法、ビリジル・ジスルフィド法、各種架橋剤を用い
る方法が挙げられる。架橋剤として例えばN−スクシン
イミジル−4−マレイミド酪酸(GMBS)、N−スク
シイミジル−6−マレイミドヘキサン酸、N−スクシイ
ミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン
−1−カルボン酸等を用いることができる。共有結合に
よる方法では、梅毒TP抗原やリン脂質抗原中に存在す
る官能基を用いることができる。非共有結合によるもの
としては物理吸着を挙げることができる。
【0034】また、本発明において標識微粒子として酵
素を用いる場合、ポリスチレンやカーボン粒子等の不溶
性担体や他の水溶性タンパクを介して酵素標識する方法
をとってもよい。
【0035】不溶性担体を介する場合は、酵素と抗原を
別々に物理吸着もしくは化学結合で結合させればよい。
この場合の不溶性担体としては、一般的には、無機高分
子粉末、有機高分子粉末、微生物、血球及び細胞膜片等
が挙げられる。無機高分子粉末としては、金コロイド、
セレニウムコロイド、酸化チタンコロイドなどが挙げら
れる。有機高分子粉末としては、天然高分子粉末または
合成高分子粉末があげられる。天然高分子粉末として
は、例えば不溶性アガロース、セルロース、不溶性デキ
ストランなどが挙げられる。合成高分子粉末としては、
上記ポリスチレンの他、スチレン−スルホン酸(塩)共
重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、アクリロニ
トリル−ブタジエン−スルホン酸共重合体、塩化ビニル
−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル
酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0036】上記不溶性担体は、その使用目的・用途な
どにより異なるが、通常化学合成により製造するか、又
は市販されているものを使用する。また、表面にスルホ
ン酸基やカルボキシル基を導入した不溶性担体も適宜使
用可能である。
【0037】不溶性担体の粒径は約1nm〜2μm程度
が好ましい。不溶性担体としてラテックスもしくは金コ
ロイド、セレニウムコロイドを用いる場合、その粒径は
金コロイド、セレニウムコロイドならば約5nm〜0.
5μm程度、ラテックスならば約50nm〜1.5μm
程度がより好ましい。
【0038】また水溶性タンパクを介する場合は、酵素
と抗原を別々に物理吸着もしくは化学結合で結合させれ
ばよい。水溶性タンパクに官能基がある場合は化学結合
で、ウシ血清アルブミン(BSA)がごとく疎水部があ
る場合は、物理吸着で行っても良い。いずれの場合にお
いても、使用する水溶性タンパクは例えばウシ血清アル
ブミン(BSA)やオブアルブミンなどの分子量2万以
上のタンパク質を用いることが好ましい。
【0039】本発明に用いる酵素に反応して発色する基
質としては、発色基質、蛍光基質、発光基質をあげるこ
とができる。
【0040】発色基質としては、例えば、(パーオキシ
ダーゼ用)過酸化水素水と組み合わせた2,2’−アジ
ノービス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン
酸)(ABTS)、3,3’、5,5’−テトラメチル
ベンチジン(TMB)、ジアミノベンチジン(DA
B)、(アルカリホォスファターゼ用)5−ブロモ−4
−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)が挙げら
れる。
【0041】蛍光基質としては、例えば、(アルカリフ
ォスファターゼ用)4−メチルウムベリフェニル−ホス
フェート(4MUP)(β−D−ガラクトシダーゼ用)
4−メチルウムベリフェニル−β−D−ガラクトシド
(4MUG)が挙げられる。
【0042】発光基質としては、例えば、(アルカリフ
ォスファターゼ用)3−(2’−スピロアダマンタン)
−4−メトキシ−4−(3’’−ホスフォリルオキシ)
フェニル1−1,2−ジオキセタン・2ナトリウム塩
(AMPPD)(β−D−ガラクトシダーゼ用)3−
(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−
(3’’−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル1−
1,2−ジオキセタン(AMGPD)、(パーオキシダ
ーゼ用)過酸化水素と組み合わせたルミノール、イソル
ミノールが挙げられる。
【0043】マトリックスが検体で湿潤されたときの梅
毒TP抗原またはリン脂質抗原を標識微粒子に担持させ
た試薬の移動性を助長するために、該試薬はマトリック
ス内部に含浸させるよりもマトリックスの表面層として
塗布するのが好ましい。こうすることで、マトリックス
と該試薬との間の相互作用を最小化できるためである。
塗布する方法としては、例えば、超小型注射器、調整ポ
ンプつきペンのほか直接印刷、インキ噴射印刷等、任意
の「印刷」技術を使用することができる。
【0044】マトリックス上の試薬ゾーンをグレーズ材
料で予備処理してもよい。グレーズ処理は、例えば、砂
糖水、またはショ糖あるいは乳糖のセルロース溶液をマ
トリックスの試薬ゾーンに堆積して乾燥することにより
達成される。この後、この部分に該試薬を塗布すればよ
い。グレーズ処理により、試薬ゾーンにおいて検体の移
動を遅くすることができ、該試薬が容易に移送されるよ
うになる。ただし、マトリックスの試薬ゾーンまたは検
出ゾーン以外の部分をグレーズ処理することは好ましく
ない。
【0045】検体は試薬ゾーンに直接滴下してもよい
し、試料受容部を設置してそこに滴下してもよい。
【0046】
【発明の実施の形態】本発明の分析装置では、検体とし
て特に制限はなく、例えば血清、血漿、全血、尿等の各
種体液中の抗梅毒TP抗体及び抗リン脂質抗体の検出に
適応することができる。
【0047】本発明において試薬ゾーン及び輸液可能な
マトリックスは、特開平9−229938に記載されて
いるように一体となった構造でも良いし、あるいは例え
ばEIA用のセルのようなものに検体と試薬を入れ、しか
るのち、検出ゾーンを設けた毛細管作用により輸液可能
なマトリックスを該セル中に入れて反応させるような形
をとってもよい。また、本発明の場合、このようなマト
リックスを併設させる態様が挙げられる。すなわち、検
出ゾーンに試薬ゾーンから近い順に梅毒TP抗原次にリ
ン脂質抗原の順に固定させたマトリックスと、逆に検出
ゾーンに試薬ゾーンから近い順にリン脂質抗原次に梅毒
TP抗原の順に固定させたマトリックスとを併設させて
もよい。
【0048】本発明の分析装置を用いて分析を行うに
は、まず検体を装置のマトリックスに供給したあと展開
液により展開を行う.展開液は毛細管現象により試薬吸
収部位に達し、検出ゾーンに結合されなかった成分、及
び、梅毒TP抗原とリン脂質抗原とを標識微粒子に担持
させた試薬が吸収され展開が終了する。展開終了後、検
体中の抗梅毒TP抗体または抗リン脂質抗体に依存する
量の標識微粒子が検出ゾーンで捕捉されているので、展
開終了後その標識微粒子を直接的または間接的に検出す
ることにより、抗梅毒TP抗体または抗リン脂質抗体の
分析を行うことができる。この検出は、標識微粒子によ
りそれぞれ対応する目視、シンチレーションカウンタ
ー、比色計、蛍光光度計、フォトンカウンター、感光フ
ィルム等の測定装置を用いて行う。
【0049】本発明において、酵素と反応する基質は、
マトリックスに基質ゾーンを設けても良いし、反応終了
後に検出ゾーンにピペット等で点着させてもよいし、マ
トリックスを基質試薬に哂してもよい。試薬ゾーンに含
ませて検体に溶解または分散さてもよい。また、マトリ
ックスに接触させる前に検体中に添加してもよい。この
場合は、発色基質、蛍光基質、発光基質が酵素と反応す
ることにより生成する色素または蛍光等の有無をそれぞ
れ対応する目視、シンチレーションカウンター、比色
計、蛍光光度計、フォトンカウンター、感光フィルム等
の測定装置を用いて行う。また、発色基質を用いた場
合、抗梅毒TP抗体または抗リン脂質抗体に対応した色
票(カラーチャート)を用いることにより半定量的な分
析が可能となる。
【0050】本発明の実施形態としては、マトリックス
を不透過性ケーシングまたはハウジングに内蔵しするの
が好ましい。また、マトリックスに連結して多孔質試料
受容部材を設けてもよい。多孔質試料受容部材をハウジ
ングの外に延ばし、検体をハウジング内に導き入れ、マ
トリックスに透過させる手段として用いることができ
る。より好ましくは、使用までの保管中に突出している
多孔質試料受容部材を保護する脱着自在のキャップまた
は囲いをハウジングに設ける。これは、必要であれば検
定実施中にかぶせてもよい。さらに、マトリックス上の
検出部分がハウジングの外部から観察できるようにし
て、検定結果を観察できるようにする手段、例えば、適
宜に配置した開口部をハウジングに設けるのが好まし
い。
【0051】本発明の実施形態の一例を図3〜5に示
す。図3を参照すると、装置は平坦な直方体のハウジン
グ100を含んでなり、ハウジング100はその左側の
端部に隣接した中央に矩形開口部101を備えるととも
に装置中ほどにもさらに2つの開口部103、104を
備えている。これらの開口部101、103、104は
A―A線に対応する装置の中央軸上に配置されている。
図では3つの開口部全部を矩形として示しているが、そ
の形状は実際にはあまり重要ではない。
【0052】図4の断面図を参照すると、装置は中空構
造であり、ハウジング100の端部102に隣接し、か
つ開口部101の直下に多孔質試料受容部材105を備
える。多孔質試料受容部材105が、マトリックス10
6と接触している。多孔質試料受容部材105とマトリ
ックス106とを重なり合わせることによって、これら
2つの材料が確実に接触し、部材105に付与された液
体状の検体が部材105に浸透してマトリックス106
の中に入るようにしている。マトリックス106は透明
不透湿性プラスチックからなる支持片107によって裏
打ちされている。透明の裏打ち支持片107は、ハウジ
ング100の上部内面108と密着しており、開口部1
03および104において外部から開口部を通して侵入
する湿気に対するシールとして作用する。
【0053】動作時、例えば注射器等を用いて検体を開
口部101から注入し、多孔質試料受容部材105に含
浸させることができる。その後検体はマトリックスを透
過して適当な時間経過後に開口部103、104を通し
て検査結果が観察できるようになる。
【0054】マトリックス106は、検定の間に装置に
加えられる検体および試薬物質、場合により洗浄水がす
べて吸収されるよう十分な容積を有していなければなら
ない。
【0055】透明の裏打ち支持片107を用いると、防
湿性という点から好ましいだけでなく、取扱い強度が大
きくなる点からも好ましい。これは裏打ち材料シートの
上にニトロセルロースの薄膜を形成することにより容易
に製造することができる。こうして裏打ちしたときのニ
トロセルロースの気孔径は裏打ちしない場合に比べて小
さくなる傾向がある。
【0056】多孔質試料受容部材105は、液体を急速
に吸収できるものであれば吸湿性材料、多孔質材料、繊
維質材料など任意の材料で形成することができる。材料
の多孔性は一方向性または多方向性のいずれでもよい。
ここで、「一方向性」とは、気孔または繊維の全部が部
材の軸に平行に通っていることをいい、「多方向性」に
は非晶質のスポンジ構造をとる部材が当てはまる。ポリ
プロピレン、ポリエチレン、フッ化ポリビニリデン、エ
チレン酢酸ビニル、アクリルニトリル、ポリテトラフル
オロエチレンのような多孔質プラスチックを使用するこ
ともできる。多孔質試料受容部材を製造の段階において
界面活性剤で予め処理しておくと有利である。界面活性
剤は部材の固有の疎水性を低減できることから、界面活
性剤による処理により検体を高速かつ効率的に吸収伝達
することができるようになるからである。多孔質試料受
容部材はその他に紙やニトロセルロースのようなセルロ
ース材料でも形成することができる。このような材料は
本発明の装置に適するいろいろな長さ及び断面に成形ま
たは押出し成形することができる。
【0057】多孔質試料受容部材を構成する材料は、好
適には多孔質試料受容部材が数秒間で水性液に含浸され
るように選択すべきである。また、材料は湿潤しても丈
夫であることが望ましい。この理由から多孔質試料受容
部材がハウジングから突出するような実施態様では、紙
のような材料は好適ではない。
【0058】図5はマトリックス106の詳細を表して
おり、矩形帯状片としてその縦軸を垂直にして図示され
ている。マトリックス106の下端部200に隣接して
幅の狭い帯状区域201がマトリックス106の幅全体
にわたって延設されている。区域201の上方にやはり
マトリックス106の幅全体にわたって延びている第2
区域202が配設され、さらに上方に同様な第3区域2
03が設けられている。区域201と区域202、区域
202と区域203の距離は両区域を分離できる程度で
あれば任意の距離とすることができる。さらに上方、マ
トリックス106の頂部に試料吸収部位204が設けら
れている。
【0059】区域201と区域202、区域202と区
域203の距離、および、マトリックスの材料の流速特
性を適宜選択することによって、必要とされる特異結合
が生じる反応時間を適当に調整できるとともに、試薬を
検体中に溶解または分散させてマトリックス上を移動さ
せることができる。検体の中にグレーズ剤を添加して梅
毒TP抗原とリン脂質抗原とを標識微粒子に担持させた
試薬の移動を遅くすることにより、上記反応時間を制御
することができる。
【0060】区域201には、梅毒TP抗原とリン脂質
抗原とを標識微粒子に担持させた試薬を含有させる。区
域202には、梅毒TP抗原またはリン脂質抗原を固定
させる。区域203には、リン脂質抗原または梅毒TP
抗原を固定化させる。区域201は多孔質試料受容部材
105と開口部103の間に位置することとなる。ま
た、区域202は開口部103を通して露出された領域
に位置し、区域203は開口部104を通して露出され
た領域に位置し、ともに開口部を通して検査結果が観察
できるようになっている。
【0061】試料吸収部位204は、延長されたマトリ
ックスからなっていてもよいが、多量の吸収物質がなる
のが好ましい。木材パルプからのセルロース性吸収物質
または木綿などでもよい。吸収物質はマトリックスと同
じ大きさである必要はなく、一般にマトリックスよりも
厚い。吸収物質は、マトリックスからの流体が吸収物質
中に流れ込むように、マトリックスに隣接していればよ
い。また、試料吸収部位は検体全量を吸収することがで
き、さらに別の試薬を吸収し、しかもそれを相当速やか
に行うことができるものであることがより好ましい。
【0062】装置を製造する場合、例えばハウジング1
00をプラスチック材料で2つの部分、例えば上半分1
09と下半分110に成形し、多孔質試料受容部材10
5とマトリックス106を2つの部分にはさんで、例え
ば超音波溶接によって固着することによって容易に組み
立てることができる。サンドイッチ構造を成形すること
によって、多孔質試料受容部材105とマトリックス1
06を締付固定してそれらを確実に接触させることも可
能になる。必要に応じて開口部103,104に透明イ
ンサートを設け、防湿性を保証するようにしてもよい。
ハウジング100と多孔質試料受容部材105を締り嵌
めすることにより突出部材に検体を付与しても直接検体
が装置に入らなくなり、多孔質試料受容部材105を通
るようになる。したがって、多孔質試料受容部材105
は検体がハウジング内部でマトリックス106に向かう
唯一の経路となり、検体を制御しながらマトリックス1
06に送ることができる。そのため装置全体として検体
採取機能と分析機能を併合して備えるものといえる。
【0063】マトリックス106と多孔質試料受容部材
105との接触部分にフィルターを設けてもよい。これ
により、特に血液、血清または他の生物学的流体のよう
な検体から微粒子や他の不純物を取り除くことができ
る。したがって、溶液中の不純物を濾過、除去できれる
ものであればその材質は特に制限がない。例えば、ガラ
ス繊維濾紙、布、またはナイロン膜等を使用することが
できる。フィルターとマトリックスとの接着は、例えば
物理的に接触させる、例えば機械的に押し付ける等によ
り行うことができる。
【0064】検体から被検出物質以外の成分を除去する
ために洗浄工程を行ってもよく、その際の洗浄溶液は好
ましくは検体に加えておく。
【0065】
【実施例】〔実施例1〕100mMリン酸緩衝液(pH
7.4)に、遺伝子組換梅毒TP抗原を30μg/mL
のタンパク濃度で溶解した抗原溶解液400μLを平均
粒径0.4μmのブルーの着色ポリスチレンラテックス
(固形分10%(w/v)バングス株式会社製)100
μLに添加し、4℃で1時間撹拌した。次に ウシ血清
アルブミン(以下BSA)を1%(w/v)含有する1
00mMリン酸緩衝液(pH7.4)2mLを4℃で
1.5時間撹拌した。この液を10℃にて30分間、1
8000r.p.mで遠心した。得られた沈殿物にBS
Aを0.25%(w/v)含有する100mMリン酸緩
衝液(pH7.4)5mLを添加し、ラテックスを懸濁
させ、梅毒TP抗原感作ラテックス液を調製した。
【0066】100%エタノール液(ナカライテスク株
式会社製)にカルジオライピン(AVANNTI株式会
社製)、レシチン(ナカライテスク株式会社製)、コレ
ステロール(ナカライテスク株式会社製)をそれぞれ、
カルジオライピン5mg/mL、レシチン15mg/m
L、コレステロール15mg/mLの濃度になるよう溶
解する。上記溶液をそれぞれ、カルジオライピン溶液を
100μL、レシチン溶液を350μL、コレステロー
ル溶液を100μL混合し、さらにその混合液に100
%エタノール溶液を150μL加えて、リン脂質抗原溶
解液とする。このリン脂質抗原溶解液250μLを平均
粒径0.4μmのブルーの着色ポリスチレンラテックス
(固形分10%(w/v)バングス株式会社製)100
μLに添加し、37℃で1時間撹拌した。次に BSA
を1%(w/v)含有する100mMリン酸緩衝液(p
H7.4)2mLを37℃で1.5時間撹拌した。この
液を10℃にて30分間、18000r.p.mで遠心
した。得られた沈殿物にBSAを0.25%(w/v)
含有する100mMリン酸緩衝液(pH7.4)5mL
を添加し、ラテックスを懸濁させ、リン脂質抗原感作ラ
テックス液を調整した。
【0067】次にイムノクロマト用ニトロセルロースメ
ンブレン(ミリポア株式会社製)縦6cm横30cmを
用意した。100mMリン酸緩衝液(pH7.4)に遺
伝子組換梅毒TP抗原30μg/mLの濃度になるよう
に溶解した。メンブレンの下から3cmのところに、図
1のごとく、該溶液を2μl/cmになるよう イムノ
クロマト用タンパク噴霧器「XYZ223000」(Bio
Dot株式会社製)で塗布した。さらに、100%エタ
ノール液(ナカライテスク株式会社製)にカルジオライ
ピン(AVANNTI株式会社製)、レシチン(ナカラ
イテスク株式会社製)、コレステロール(ナカライテス
ク社製)をそれぞれ、カルジオライピン5mg/mL、
レシチン15mg/mL、コレステロール15mg/m
Lの濃度になるように溶解する。上記溶液をそれぞれ、
カルジオライピン溶液を100μL、レシチン溶液を3
50μL、コレステロール溶液を100μL混合し、さ
らにその混合液に100%エタノール溶液を150μL
加えて、リン脂質抗原溶解液とする。メンブレンの下か
ら3.5cmのところに、この溶液を2μl/cmにな
るようイムノクロマト用タンパク噴霧器「XYZ230
00」(BioDot株式会社製)で塗布した。その
後、幅5mmになるようカッテイングして梅毒抗体検出
用マトリックス1とした。
【0068】マトリックス1の場合と同様の方法で調整
したリン脂質抗原と遺伝子組換梅毒TP抗原を図2のご
とくリン脂質抗原と遺伝子組換梅毒TP抗原の塗布位置
を逆にして作製した。その後、幅5mmになるようカッ
テイングして梅毒抗体検出用マトリックス2とした。
【0069】[実施例2]特開平7−287017号に
記載の方法で製造したGST結合遺伝子組み換え梅毒T
P17抗原0.12mgに2−イミノチオラン200n
molを加え、30℃で60分放置し、チオール化梅毒
TP抗原を得た。次にアルカリフォスファターゼ3mg
に300nmolのN−スクシンイミジル−4−マレイ
ミド酪酸(GMBS)を加え、30℃で60分放置し、
マレイミド化アルカリフォスファターゼを得た。その後
前記チオール化梅毒TP抗原10μgとマレイミド化ア
ルカリフォスファターゼ2.5mgとを混合し、4度で
一夜反応を行った後、ゲル濾過カラムにより未反応の抗
原及び酵素を除いて、アルカリフォスファターゼ標識下
遺伝子組み換え梅毒TP17抗原を得た。本溶液を実施
例1中梅毒TP抗原感作ラテックスの代わりに入れ、実
施例1と同様にして梅毒抗体検出用マトリックス1およ
び2を作成した。
【0070】[試験例1]EIA用セルを利用し、セル
に上記で作製した梅毒TP抗原感作ラテックスとリン脂
質抗原感作ラテックスを3μLずつ入れる。しかるのち
あらかじめ陰性陽性の判明した感染回復期の陽性検体3
例陰性検体3例(それぞれ血清)を45μL入れ撹拌す
る。さらに撹拌後速やかに梅毒抗体検出用マトリックス
1をセルに浸漬させ15分放置した。その後、実施例1
の方は目視で観察した。実施例2の方は梅毒TP抗原検
出ゾーン上に0.3%の5−ブロモ−4−クロロ−3−
インドリルリン酸(BCIP)を含有する溶液200μ
Lを滴下し、さらに10分間放置した後目視で確認し
た。結果は、両実験ともに、梅毒TP抗原の検出部分に
ラインが出現し、リン脂質抗原の検出部分にはラインは
出現せず、梅毒感染回復期であることが確認できた。
【0071】[試験例2]EIA用セルを利用し、セル
に上記で作製した梅毒TP抗原感作ラテックスとリン脂
質抗原感作ラテックスを3μLずつ入れる。しかるのち
あらかじめ陰性陽性の判明した感染初期の陽性検体3例
陰性検体3例(それぞれ血清)を45μL入れ撹拌す
る。さらに撹拌後速やかに梅毒抗体検出用マトリックス
2をセルに浸漬させ、15分放置した。その後、実施例
1のほうは目視で観察した。実施例2の方は梅毒TP抗
原検出ゾーン上に0.3%の5−ブロモ−4−クロロ−
3−インドリルリン酸(BCIP)を含有する溶液20
0μLを滴下し、さらに10分間放置した後目視で確認
した。結果は、両実験ともに、梅毒TP抗原の検出部分
にラインが出現せず、リン脂質抗原の検出部分にはライ
ンは出現し、梅毒感染初期であることが確認できた
【0072】
【発明の効果】本発明により、一度の測定で同時に抗梅
毒TP抗体と抗リン脂質抗体の検査が行うことができる
ので、梅毒感染の検査を効率よく行うことができ、また
検体からの感染の危険が軽減される
【0073】本発明により、梅毒感染による病状の進行
段階や既往歴を簡便に、かつ、正確に診断することがで
き、これにより、各進行段階に応じた治療方法または投
薬方法を選択することができるという臨床上の有用性が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 梅毒抗体検出用マトリックス1を示す。
【図2】 梅毒抗体検出用マトリックス2を示す。
【図3】 免疫分析装置の平面図を示す。
【図4】 免疫分析装置の断面図を示す。
【図5】 マトリックスの詳細な構成を示す。
【符号の説明】
10 遺伝子組換梅毒TP抗原塗布部分 11 リン脂質抗原塗布部分 12 検体浸漬部分 100 ハウジング 101 開口部 102 ハウジングの一端部 103、104 開口部 105 多孔質試料受容部材 106 マトリックス 107 マトリックス支持片 108 ハウジングの内面 109 ハウジングの上半分 110 ハウジングの下半分 200 マトリックスの下端部 201 試薬ゾーン 202、203 検出ゾーン 204 試薬吸収部位

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 梅毒トレポネーマ(Toreponema Paridu
    m)抗原を固定した検出部分とリン脂質抗原を固定した
    検出部分とをマトリックス上に併せ有することを特徴と
    する梅毒抗体検出用免疫分析装置。
  2. 【請求項2】 毛細管作用により輸液可能なマトリック
    スに梅毒トレポネーマ(Toreponema Paridum)抗原を
    固定し、それとは別の離れた位置にリン脂質抗原を固定
    した2種類の検出部分を持つ検出ゾーンと、梅毒トレポ
    ネーマ(Toreponema Paridum)抗原およびリン脂質抗
    原を標識微粒子に担持させた試薬を配置する試薬ゾーン
    とが設置されていることを特徴とする梅毒抗体検出用免
    疫分析装置。
  3. 【請求項3】 検出ゾーンのマトリックスに試薬ゾーン
    から近い順に、梅毒トレポネーマ(Toreponema Paridu
    m)抗原、次にリン脂質抗原を固定させたことを特徴と
    する請求項2に記載の免疫分析装置。
  4. 【請求項4】 検出ゾーンのマトリックスに試薬ゾーン
    から近い順に、リン脂質抗原、次に梅毒トレポネーマ
    (Toreponema Paridum)抗原を固定させたことを特徴
    とする請求項2に記載の免疫分析装置。
  5. 【請求項5】 請求項3の構成要件と、請求項4の構成
    要件とを一つの装置で併せ有する請求項2に記載の免疫
    分析装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の免疫分
    析装置を利用した免疫分析測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の免疫分析装置を用い
    て、梅毒感染による病状の進行段階や既往歴を診断する
    方法。
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