JP3712992B2 - 射出成形機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた電動式の射出成形機に係り、特に、グリースの補給を必要とする各部に、自動的に給脂(グリースの補給)を行うようした自動給脂にかかわる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境問題などからくる要望により、クリーンなイメージのある電動式の射出成形機が普及してきている。つまり、電動式の射出成形機は、油圧アクチュエータを各部の駆動源に用いる油圧式の射出成形機に較べて、作動油(圧油)を使用しないため、作動油の油漏れの心配がなく、クリーンなマシンとして市場から認知されている。
【0003】
しかし、電動式の射出成形機では、電動モータの回転を直線運動に変換するボールネジ機構を用いており、このボールネジ機構は、長時間高負荷にて使用するため、ボールネジ機構に対して定期的にグリースの補給を行う必要がある。このため、近年は、所定の使用頻度に達すると(所定の成形サイクルが行われると)、ボールネジ機構に対して、自動的に一定量のグリースを補給する自動給脂装置を搭載することが一般的になってきている。また、射出成形機にはボールネジ機構以外にも給脂を行う必要があることから、トグルリンク機構のトグルピンや、摺動案内用/回転支持用ベアリングなどの給脂を必要とする箇所に、上記の自動給脂装置によって、同時にグリースの補給を行うようにして、マニュアル操作による給脂メンテナンスの煩わしさを無くすことができるようにしている。
【0004】
図3は、型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた電動式の射出成形機における、従来の自動給脂装置の構成を示す潤滑回路図である。図3において、11はトグルリンク機構のグリース注入部、12はボールネジ機構のグリース注入部、13は、グリース注入部11に末端配管15を介して接続されたトグルリンク機構用のグリース定量バルブ、14は、グリース注入部12に末端配管15を介して接続されたボールネジ機構用のグリース定量バルブ、16はマニホールド、17は、各グリース定量バルブ13、14とグリース供給配管18によって接続されたグリースポンプである。
【0005】
図3に示す構成においては、全てのグリース定量バルブ13、14が1つのグリースポンプに直結されているため、グリースポンプ17が起動されると(オンされると)、全てのグリース定量バルブ13、14からそれぞれのバルブ毎に規定された所定量のグリースが、全てのグリース注入部11、12に対して吐出される。つまり、図3に示す構成では、1度のポンプ運転により各グリース定量バルブから一斉に給脂(グリースの吐出)が行われるため、各給脂箇所毎によって異なる給脂量の差は、グリース定量バルブの吐出量に差を付けることによって対応している。しかし、給脂の頻度に関しては、給脂頻度の高い条件の給脂箇所(ボールネジ機構)に合わせてポンプをオンさせなければならないので、すなわち例えば、1000ショットに1回の給脂が求められるボールネジ機構に合わせてポンプをオンさせなければならないので、給脂頻度が少なくてもよいトグルリンク機構に対しても高い頻度で給脂が行われ、トグルリンク機構用のグリース定量バルブの吐出量をたとえ極小にしても、トグルリンク機構に対してはグリースが供給過多になるという問題を生じた。
【0006】
そこで、図4に示すように、グリース定量バルブを給脂頻度が高いグループと低いグループとに分けて、各グループにそれぞれ専用のグリースポンプ17A、17Bを設け、給脂頻度が低いグループであるトグルリンク機構用のグリース定量バルブ13には、その給脂頻度に応じた時期に(例えば6ケ月毎に)、グリースポンプ17Aからグリースを送り込み、また、給脂頻度が高いグループであるボールネジ機構用のグリース定量バルブ14には、その給脂頻度に応じた時期に(例えば1000ショット毎に)、グリースポンプ17Bからグリースを送り込むようにすることが考えられた。なお、図4中で図3中の構成要素と同一のものには同一符号を付してある。
【0007】
しかし図4に示す構成では、高価な油圧アクチュエータであるグリースポンプを2台必要として、コスト的に問題のあるものとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、図3に示した従来構成においては、給脂頻度が少なくてもよい箇所に対しても高い頻度で給脂が行われ、この給脂頻度が少なくてもよい箇所に対してはグリースが供給過多となって、グリースの消費量が無駄となるばかりか、油汚れが発生する虞のあるものとなっていた。また、図4に示した従来構成においては、高価なグリースポンプを2台必要として、自動給脂装置のコストを大幅に押し上げるという問題があった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、給脂箇所に対してそれぞれの給脂頻度の多寡に応じた適正な自動給脂を行うことを可能にすると共に、自動給脂装置のコスト増をできるだけ抑えることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した目的を達成するために、各部の駆動源として電動モータを用い、この電動モータの回転を直線運動に変換するボールネジ機構を有すると共に、型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた射出成形機において、ボールネジ機構のグリース注入部やトグルリンク機構のグリース注入部などの射出成形機の各部のグリース注入部に、それぞれグリース定量バルブを接続し、このグリース定量バルブを給脂頻度に応じて2つにグループ分けして、前記ボールネジ機構のグリース注入部の前記グリース定量バルブには、前記グリースポンプからグリースを直接送り込み、前記ボールネジ機構のグリース注入部以外の前記グリース定量バルブには、切り替えバルブを介して前記グリースポンプからのグリースを送り込むように、構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る、型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた電動式の射出成形機における、自動給脂装置の構成を示す潤滑回路図である。
【0012】
図1において、11はトグルリンク機構のグリース注入部、12はボールネジ機構のグリース注入部、13は、グリース注入部11に末端配管15を介して接続されたトグルリンク機構用のグリース定量バルブ、14は、グリース注入部12に末端配管15を介して接続されたボールネジ機構用のグリース定量バルブ、16はマニホールド、17はグリースポンプ、18は、グリースポンプ17と各グリース定量バルブ13、14とを接続するグリース供給配管、19は電磁駆動式の切り替えバルブ(開閉制御バルブ)である。
【0013】
本実施形態では、グリース定量バルブを給脂頻度が高いグループと低いグループとに分けて、給脂頻度が高いグループであるボールネジ機構用のグリース定量バルブ14には、グリースポンプ17からダイレクトにグリースを送り込み、給脂頻度が低いグループであるトグルリンク機構用のグリース定量バルブ13には、グリースポンプ17からのグリースを切り替えバルブ19を介して送り込むようになっている。
【0014】
すなわち、切り替えバルブ19は通常は閉止位置においておき、1000ショットが到来する毎にグリースポンプ17を所定秒時期間だけオンさせて、ボールネジ機構用のグリース定量バルブ14にグリースを送り込み、これにより、ボールネジ機構の各グリース注入部12にそれぞれに対応した量だけグリースを吐出・補給させる。また、前回トグルリンク機構のグリース注入部11にグリースを補給してから6ケ月が経過し、かつ、前回ボールネジ機構のグリース注入部12にグリースを補給してから1000ショットの運転が行われた際には、切り替えバルブ19を駆動して開放位置に移行させ、この状態でグリースポンプ17を所定秒時期間だけオンさせる。これにより、グリースポンプ19からトグルリンク機構用のグリース定量バルブ13およびボールネジ機構用のグリース定量バルブ14にグリースが送り込まれ、トグルリンク機構の各グリース注入部11にそれぞれに対応した量だけグリースを吐出・補給させると共に、ボールネジ機構の各グリース注入部12にもそれぞれに対応した量だけグリースを吐出・補給させる。このようなグリースポンプ17や切り替えバルブ19の駆動制御は、図示していないが、マシン(射出成形機)のコントローラによって行われる。
【0015】
なお、図1に示した例では図示の都合上、給脂頻度が低いグループのグリース注入部として、トグルリンク機構のグリース注入部11のみを例に挙げたが、給脂頻度が低いグループのグリース注入部には、トグルリンク機構用のグリース注入部11以外に、可動ダイプレートや射出メカニズムの前後動部材等の摺動案内用ベアリング、あるいは回転部材の回転支持用ベアリングなどが含まれる。そして、図示していないが、これらのトグルリンク機構用のグリース注入部11以外の給脂頻度の低いグリース注入部にも、それぞれの給脂量に見合ったグリース定量バルブが接続され、これらのグリース定量バルブにも、トグルリンク機構用のグリース定量バルブ13と同様に、グリースポンプ17からのグリースが切り替えバルブ19を介して送り込まれるようになっている。
【0016】
かような構成をとる本実施形態では、単一のグリースポンプを用いた潤滑回路において、比較的に安価な切り替えバルブを1つ付加するだけで、給脂箇所の給脂頻度に応じた適正な自動給脂を行うことが可能となり、図3に示した従来構成のように、給脂頻度が少なくてもよい箇所に対してグリースが供給過多になることがなく、また、グリース消費量も顕著に低減可能となる。さらに、図4に示した従来構成に較べると、高価なグリースポンプは1台で済むので、図4に示した従来構成よりもコストダウンが可能となる。
【0017】
図2は、本発明の他の実施形態に係る、型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた電動式の射出成形機における、自動給脂装置の構成を示す簡略化した潤滑回路図である。
【0018】
本実施形態では、マシン(射出成形機)におけるグリース注入部を給脂頻度に応じて3つのグループ、すなわち、最も給脂頻度の高いグループ、給脂頻度が2番目に高いグループ、最も給脂頻度の低いグループの3グループに分けて、最も給脂頻度の高いグループの各グリース注入部にそれぞれ接続されたグリース定量バルブからなるグリース定量バルブ群21には、グリースポンプ17からダイレクトにグリースを送り込み、2番目に給脂頻度の高いグループの各グリース注入部にそれぞれ接続されたグリース定量バルブからなるグリース定量バルブ群22には、グリースポンプ17からのグリースを切り替えバルブ19Aを介して送り込み、最も給脂頻度の低いグループの各グリース注入部にそれぞれ接続されたグリース定量バルブからなるグリース定量バルブ群23には、グリースポンプ17からのグリースを切り替えバルブ19Bを介して送り込むようにしてある。切り替えバルブ19Aと19Bは、それぞれのグループの給脂頻度に応じて、グリースポンプ17がオンされたときに、個別に独立して選択的に駆動制御される。
【0019】
かような構成をとる本実施形態では、グリース注入部を給脂頻度に応じて3つのグループに分けているので、給脂箇所に応じて3つのグループ分けが望まれるマシンにおいて、適正な自動給脂が可能となる。もちろん、グリース注入部を給脂頻度に応じて4つ以上にグループ分けすれば、より一層細やかな適正自動給脂が行えることは言うまでもない。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、各部の駆動源として電動モータを用い、この電動モータの回転を直線運動に変換するボールネジ機構を有すると共に、型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた射出成形機において、給脂箇所に対してそれぞれの給脂頻度の多寡に応じた適正な自動給脂を行うことが可能となり、給脂頻度が少なくてもよい箇所に対してグリースが供給過多になることがなく、以ってグリース消費量も顕著に低減可能となり、かつ、自動給脂装置のコスト増もできるだけ抑えるが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る、型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた電動式の射出成形機における、自動給脂装置の構成を示す潤滑回路図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る、型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた電動式の射出成形機における、自動給脂装置の構成を示す簡略化した潤滑回路図である。
【図3】型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた電動式の射出成形機における、従来の自動給脂装置の構成を示す潤滑回路図である。
【図4】型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた電動式の射出成形機における、従来の自動給脂装置の構成を示す潤滑回路図である。
【符号の説明】
11 トグルリンク機構のグリース注入部
12 ボールネジ機構のグリース注入部
13 トグルリンク機構用のグリース定量バルブ
14 ボールネジ機構用のグリース定量バルブ
15 末端配管
16 マニホールド
17、17A、17B グリースポンプ
18 グリース供給配管
19、19A、19B 切り替えバルブ
21 最も給脂頻度の高いグリース注入部に接続されたグリース定量バルブ群
22 給脂頻度が2番目に高いグリース注入部に接続されたグリース定量バルブ群
23 最も給脂頻度の低いグリース注入部に接続されたグリース定量バルブ群
Claims (1)
- 各部の駆動源として電動モータを用い、この電動モータの回転を直線運動に変換するボールネジ機構を有すると共に、型開閉メカニズムにトグルリンク機構を用いた射出成形機において、
前記ボールネジ機構のグリース注入部や前記トグルリンク機構のグリース注入部などの射出成形機の各部のグリース注入部に、それぞれグリース定量バルブを接続し、このグリース定量バルブを給脂頻度に応じて2つにグループ分けして、前記ボールネジ機構のグリース注入部の前記グリース定量バルブには、前記グリースポンプからグリースを直接送り込み、前記ボールネジ機構のグリース注入部以外の前記グリース定量バルブには、切り替えバルブを介して前記グリースポンプからのグリースを送り込むようにしたことを特徴とする射出成形機。
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