JP3712809B2 - 熱併給発電装置 - Google Patents
熱併給発電装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3712809B2 JP3712809B2 JP00467997A JP467997A JP3712809B2 JP 3712809 B2 JP3712809 B2 JP 3712809B2 JP 00467997 A JP00467997 A JP 00467997A JP 467997 A JP467997 A JP 467997A JP 3712809 B2 JP3712809 B2 JP 3712809B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thermoelectric conversion
- conversion element
- fuel
- catalytic combustor
- cooling fin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エネルギとして電気と熱とを併せて利用する熱併給発電装置に関し、特に、熱電変換素子を用いた熱併給発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、可搬型の電源として、熱電変換素子を利用して発電するものが種々提案されている。熱電変換素子での発電は、エンジン発電機などに比べ静粛であり、電気化学反応を利用した二次電池などに比べ、燃料を供給する等して熱源を確保すれば長時間連続して使用できる点で優れている。
【0003】
しかし、熱電変換素子はエネルギ変換効率が低く、熱源から排出される熱エネルギの多くが浪費されてしまうため、これら熱エネルギをいかに多く回収するかが課題となっている。
この点、例えば、特開平7-111344号公報に記載されたものでは、多孔性熱電変換素子の低温側表面を燃料の気化熱で冷却する一方、高温側表面を燃料の触媒燃焼により加熱し、両面の温度差を拡大することでエネルギ変換効率を高めることができる、としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような工夫をもってしても、熱電変換素子単独のエネルギ変換効率を改善することには限界があり、燃料の燃焼によって発生した熱エネルギの多くは回収されずに排出されてしまうという問題点があった。
本発明はこのような従来の問題点に鑑み、エネルギを効率よく利用することのできる熱併給発電装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、両面の温度差により発電する板状の熱電変換素子と、前記熱電変換素子の一方の面に取り付けられ、軸線が該熱電変換素子の板面に平行で両端が開口したハニカム構造体の表面に触媒を担持させ、該ハニカム構造体の端部上面には外部に熱エネルギを伝達する熱伝達部材を有し、燃料を燃焼することにより熱エネルギを発生する触媒燃焼器と、前記触媒燃焼器に燃料を供給する燃料供給器と、前記熱電変換素子の他方の面に取り付けられた冷却フィンと、前記熱電変換素子が発生する電力の一部によって駆動され、前記冷却フィンに送風する冷却ファンと、を含んで構成される。
【0006】
このような構成により、熱電変換素子の一方の面に取り付けられ、軸線が該熱電変換素子の板面に平行で両端が開口したハニカム構造体の表面に触媒を担持させ、該ハニカム構造体の端部上面には外部に熱エネルギを伝達する熱伝達部材を有する触媒燃焼器に、燃料供給器で燃料を供給して該燃料を燃焼することにより熱エネルギを発生し、板状の熱電変換素子の両面の温度差により発電し、前記熱電変換素子が発生する電力の一部によって駆動される冷却ファンで冷却フィンに送風し、前記熱電変換素子の他方の面に取り付けられた冷却フィンを冷却する。
【0008】
また、請求項2に係る発明では、前記冷却ファンは、前記冷却フィンを内包する吸気通路の一端開口部に取り付けられ、該吸気通路の他端は前記触媒燃焼器の吸気口近傍に開口する構成とし、冷却ファンからの送風で冷却フィンを冷却する一方、冷却フィンとの熱交換で暖められた空気を触媒燃焼器に供給する。
【0009】
また、請求項3に係る発明では、前記触媒燃焼器に燃料を供給する燃料供給器は、噴孔部を前記吸気通路に臨ませて配設され、前記冷却フィンおよび前記熱電変換素子の他方の面は、供給された燃料により冷却されるように構成し、燃料との熱交換により冷却フィンおよび熱電変換素子の他方の面の冷却効率を向上する。
【0010】
また、請求項4に係る発明では、前記熱電変換素子で発生する電力を充電する蓄電池を備え、電気エネルギを貯蔵できるようにする。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の熱併給発電装置の一態様を示す全体斜視図である。また、図2は同装置の概略を示す正面縦断面図であり、図3は平面横断面図(図2のA−A矢視断面図)である。以下、図1〜図3を同時に参照して説明する。
【0012】
熱源としての触媒燃焼器1は、上下面に開口した金属製のハニカム構造体の表面に触媒を担持させたものである。この触媒燃焼器1内部に供給された燃料は触媒により表面燃焼され、触媒燃焼器1全体が均等に加熱される。
ハニカム構造体としては、通常当該分野で使用されるものであればいずれも使用可能であり、特にコージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、スポンジュメン、アルミノシリケート、窒化ケイ素などの耐熱セラミックのものや、高温耐熱性ステンレス鋼、例えばFeを主成分としCr組成が17〜21%、Al組成が 2.5〜 6.0%、希土類元素組成が0.02〜0.50%であるものを使用するのが望ましい。
【0013】
また、触媒としては、アルミナ・シリカ、シリカ・アルミナ、チタニア等にPt、Pd、Ce、およびRhのうち少なくとも1種類の触媒成分を含有させたものが使用される。このうち、特に触媒能力の高いPtまたはPdが好ましく用いられる。
触媒燃焼器1の上面(熱伝達面)には、触媒燃焼器1上面の開口1b(排気口)を閉塞しないように複数の孔3が設けられた板状の熱伝達部材2が取り付けてある。
【0014】
また、触媒燃焼器1の側面には、高い熱伝導度を有する金属製の伝熱板4を介して、熱電変換素子5の一方の面が接合されている。そして、熱電変換素子5の他方の面には冷却フィン6が接合されており、熱電変換素子5の両面に温度差が生じるように構成されている。この熱電変換素子5からは、定電圧回路7を介して直流電流が取り出され、余剰分は蓄電池8に貯えられる。
【0015】
冷却フィン6は、断熱材で形成された吸気通路9に内包されており、吸気通路9の吸入側開口部9aには、熱電変換素子5で発電された電力の一部で駆動される電動モータ10と、その出力軸に取り付けられた冷却ファン11とが設けてある。冷却フィン6には、吸気通路9に取り込まれた空気の流れを妨げないよう、気流と平行にフィンが突設されている。
【0016】
また、吸気通路9の排出側開口部9bは、触媒燃焼器1の下部に開口する吸気口1aに連通している。この吸気口1aの近傍には、蓄電池8からの電力により加熱されるヒータ12が設けてある。また、触媒燃焼器1の上部に開口する排気口1bの近傍には、圧電着火装置13が設けてある。
そして、燃料供給器14は、冷却フィン6表面に燃料が噴出されるように、ノズル先端を吸気通路9内部に臨ませて設けてある。燃料としては、アルコール、ガソリン、灯油等を主成分とする液体燃料や、プロパン、ブタン、LPGなどの気体燃料を利用することができる。
【0017】
このような構成の熱併給発電装置では、先ず、燃料供給器14から燃料が供給されると、その一部が触媒燃焼器1に到達し、触媒による表面燃焼が開始される。このとき、蓄電池8を電源としたヒータ12により触媒燃焼器1と燃料を含んだ空気とを加熱すれば、より速く定常燃焼状態にすることができる。さらに、燃焼の開始時に圧電着火装置13で着火を補助することにより、迅速に燃焼を開始することができる。ヒータ12への通電は、触媒燃焼器1が定常燃焼状態に達した後、速やかに切断される。
【0018】
そして、発生した熱エネルギが触媒燃焼器1全体に伝達されると、この熱エネルギの一部は、触媒燃焼器1上面に取り付けられた熱伝達部材2上に載置された被加熱物(例えば、ヤカンや鍋などの調理器具)に、熱伝達部材2を介して効率よく伝達されるほか、孔3を介して上昇する加熱された気体によっても伝達される。さらには、触媒燃焼器1からの輻射熱によっても熱エネルギが伝達される。
【0019】
一方、触媒燃焼器1側面に取り付けられた熱電変換素子5の一方の面にも熱エネルギが伝達され、熱電変換素子5の両面に温度差を生じる。熱電変換素子5では、両面の温度差に応じた発電がなされ、この電力が定電圧回路7を介して取り出されると共に、電動モータ10に供給される。
そして、電動モータ10の出力軸に取り付けられた冷却ファン11が回転して、吸気通路9内に外部から空気を吸入する。このとき、冷却フィン6の温度は、触媒燃焼器1から熱電変換素子5を介して伝達された熱で上昇しているが、冷却ファン11の送風により強制的に冷却される。
【0020】
さらに、液体燃料を用いた場合には、燃料供給器14のノズルから噴霧された燃料が冷却フィン6の表面で気化することにより、気化熱による冷却がおこる。また、気体燃料を用いた場合には、顕熱による冷却がおこる。冷却ファン11からの送風に加え、これら燃料による冷却で、冷却フィン6の温度はさらに低下する。そして、熱電変換素子5の両面の温度差が拡大して、発電効率が向上する。
【0021】
上述のように、冷却ファン11の回転により外部から吸入された空気は、冷却フィン6の表面で気化された(または、熱交換により暖められた)燃料を包摂し、吸気通路9を介して、B矢印で示した経路で触媒燃焼器1の下部に設けられたハニカム状の吸気口1aに到達する。そして、触媒燃焼器1の内部に進入した空気および燃料は、冷却フィン6との熱交換により温度が上昇した状態で供給されるため、触媒表面で効率的に燃焼されて、熱エネルギを発生する。
【0022】
このような過程が継続されることにより、触媒燃焼器1での発熱と熱電変換素子5での発電とが増大して、熱エネルギと電力エネルギとを効率的に取り出すことが可能になる。
この熱併給発電装置は携帯可能であり、燃料さえ入手可能であれば使用場所を選ばず、容易に熱と電力とを得ることができる。また、騒音を発生することもないため、キャンプ等で、調理用コンロや発電機として使用するのにも適している。
【0023】
尚、上述の例では、触媒燃焼器1の側面に熱電変換素子5を1つだけ設けた構成としたが、例えば触媒燃焼器1が直方体である場合には、4つの側面それぞれに同様の熱電変換素子を設けた構成としてもよく、熱電変換素子の数を増やすことでより多くの電力エネルギを得ることができる。
また、冷却フィン6の熱電変換素子5との接合面に孔を設け、熱電変換素子5の他方の面の一部が吸気通路9内に露出するようにして、燃料供給器14から供給された燃料により、熱電変換素子5の他方の面が直接冷却される構成としてもよい。
【0024】
また、熱源としては、触媒燃焼以外の燃焼方法を用いたものでもよい。しかし、触媒燃焼器では、担持された触媒によって燃焼器の表面全体で燃焼がおこり、発生した熱も触媒燃焼器全体に均等に分布するのに対し、通常の発火による燃焼、例えば、ライターのように噴射したガスに着火したような場合には、炎の内部にも大きな温度勾配が存在し、燃焼によって発生した熱を熱電変換素子の板面全体に均等に伝達するのが困難である。このように、触媒燃焼器を用いた場合には、板状の熱電変換素子の一方の面全体に均等に熱を伝達するのが容易であるため、他の燃焼方法を用いた場合よりも、熱電変換素子によるエネルギーの変換効率が優れている。
【0025】
また、燃料としては、前述した気体燃料や液体燃料に代えて、アルコール、ガソリン、灯油等を主成分とする固形燃料を用いることもできる。この場合、触媒燃焼器の下部に設けられた空間に固形燃料を載置することで、固形燃料から自然に揮発した燃料成分が触媒燃焼器に到達し、燃焼が開始される。その後、燃焼が進むにつれて、触媒燃焼器からの輻射熱で固形燃料がさらに気化し、発生した電力で回転されるファンからの送風により触媒燃焼器に供給される。このファンから送風は冷却フィン表面での熱交換により暖められているため、さらに固形燃料が気化するのを加速することになる。このようにして、触媒燃焼器での燃焼と熱電変換素子での発電とが継続して行われるようになる。
【0026】
固形燃料による燃焼および発電を中止するには、別に設けたシャッターで固形燃料を覆う等して、触媒燃焼器への燃料の供給を遮断すればよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、触媒燃焼器から排出された熱エネルギを熱電変換素子で電気エネルギに変換して利用すると共に、外部に熱エネルギを伝達して熱エネルギとして直接利用することができるため、エネルギの回収効率が向上するという効果がある。そして、ハニカム構造体の触媒燃焼器内で加熱された気体を介して、被加熱物に効率よく熱エネルギを供給する一方、熱電変換素子にも熱エネルギを供給し発電できるため、より高いエネルギの利用効率が得られる。また、ハニカム構造体の端部上面に設けられた熱伝達部材により外部に熱エネルギを伝達することにより、触媒燃焼器から被加熱物への熱エネルギの受け渡しを円滑にすることができる。そして、触媒燃焼器に燃料供給器で供給する燃料のみで稼動させることができ、騒音もないため、時間的、場所的に広い範囲で使用できる。さらに、燃料を供給するだけで、長時間連続して稼動させることができ、電気エネルギおよび熱エネルギを安定して供給できる。
【0030】
また、請求項2に係る発明によれば、冷却ファンからの送風で冷却フィンを冷却する一方、冷却フィンとの熱交換で暖められた空気を触媒燃焼器に供給することにより、触媒燃焼器での燃料の燃焼がより円滑になるという効果がある。
【0031】
また、請求項3に係る発明によれば、燃料との熱交換により冷却フィンおよび熱電変換素子の他方の面の冷却効率を向上すると共に、冷却フィンおよび熱電変換素子の表面で気化された(または暖められた)燃料を触媒燃焼器に供給して、燃焼効率を向上できる。そして、触媒燃焼器の燃焼効率の向上と、冷却フィンの冷却効率の向上とで、熱電変換素子の両面の温度差が拡大され、より大きな電力を得ることができるという効果がある。
【0032】
また、請求項4に係る発明によれば、熱電変換素子で発生した電力を蓄電池に貯えることにより、より有効にエネルギを利用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態を示す全体斜視図
【図2】 同上の正面縦断面図
【図3】 同上の平面横断面図(図2のA−A矢視断面図)
【符号の説明】
1 触媒燃焼器
2 熱伝達部材
4 伝熱板
5 熱電変換素子
6 冷却フィン
8 蓄電池
9 吸気通路
10 電動モータ
11 冷却ファン
12 ヒータ
13 圧電着火装置
14 燃料供給器
【発明の属する技術分野】
本発明は、エネルギとして電気と熱とを併せて利用する熱併給発電装置に関し、特に、熱電変換素子を用いた熱併給発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、可搬型の電源として、熱電変換素子を利用して発電するものが種々提案されている。熱電変換素子での発電は、エンジン発電機などに比べ静粛であり、電気化学反応を利用した二次電池などに比べ、燃料を供給する等して熱源を確保すれば長時間連続して使用できる点で優れている。
【0003】
しかし、熱電変換素子はエネルギ変換効率が低く、熱源から排出される熱エネルギの多くが浪費されてしまうため、これら熱エネルギをいかに多く回収するかが課題となっている。
この点、例えば、特開平7-111344号公報に記載されたものでは、多孔性熱電変換素子の低温側表面を燃料の気化熱で冷却する一方、高温側表面を燃料の触媒燃焼により加熱し、両面の温度差を拡大することでエネルギ変換効率を高めることができる、としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような工夫をもってしても、熱電変換素子単独のエネルギ変換効率を改善することには限界があり、燃料の燃焼によって発生した熱エネルギの多くは回収されずに排出されてしまうという問題点があった。
本発明はこのような従来の問題点に鑑み、エネルギを効率よく利用することのできる熱併給発電装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、両面の温度差により発電する板状の熱電変換素子と、前記熱電変換素子の一方の面に取り付けられ、軸線が該熱電変換素子の板面に平行で両端が開口したハニカム構造体の表面に触媒を担持させ、該ハニカム構造体の端部上面には外部に熱エネルギを伝達する熱伝達部材を有し、燃料を燃焼することにより熱エネルギを発生する触媒燃焼器と、前記触媒燃焼器に燃料を供給する燃料供給器と、前記熱電変換素子の他方の面に取り付けられた冷却フィンと、前記熱電変換素子が発生する電力の一部によって駆動され、前記冷却フィンに送風する冷却ファンと、を含んで構成される。
【0006】
このような構成により、熱電変換素子の一方の面に取り付けられ、軸線が該熱電変換素子の板面に平行で両端が開口したハニカム構造体の表面に触媒を担持させ、該ハニカム構造体の端部上面には外部に熱エネルギを伝達する熱伝達部材を有する触媒燃焼器に、燃料供給器で燃料を供給して該燃料を燃焼することにより熱エネルギを発生し、板状の熱電変換素子の両面の温度差により発電し、前記熱電変換素子が発生する電力の一部によって駆動される冷却ファンで冷却フィンに送風し、前記熱電変換素子の他方の面に取り付けられた冷却フィンを冷却する。
【0008】
また、請求項2に係る発明では、前記冷却ファンは、前記冷却フィンを内包する吸気通路の一端開口部に取り付けられ、該吸気通路の他端は前記触媒燃焼器の吸気口近傍に開口する構成とし、冷却ファンからの送風で冷却フィンを冷却する一方、冷却フィンとの熱交換で暖められた空気を触媒燃焼器に供給する。
【0009】
また、請求項3に係る発明では、前記触媒燃焼器に燃料を供給する燃料供給器は、噴孔部を前記吸気通路に臨ませて配設され、前記冷却フィンおよび前記熱電変換素子の他方の面は、供給された燃料により冷却されるように構成し、燃料との熱交換により冷却フィンおよび熱電変換素子の他方の面の冷却効率を向上する。
【0010】
また、請求項4に係る発明では、前記熱電変換素子で発生する電力を充電する蓄電池を備え、電気エネルギを貯蔵できるようにする。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の熱併給発電装置の一態様を示す全体斜視図である。また、図2は同装置の概略を示す正面縦断面図であり、図3は平面横断面図(図2のA−A矢視断面図)である。以下、図1〜図3を同時に参照して説明する。
【0012】
熱源としての触媒燃焼器1は、上下面に開口した金属製のハニカム構造体の表面に触媒を担持させたものである。この触媒燃焼器1内部に供給された燃料は触媒により表面燃焼され、触媒燃焼器1全体が均等に加熱される。
ハニカム構造体としては、通常当該分野で使用されるものであればいずれも使用可能であり、特にコージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、スポンジュメン、アルミノシリケート、窒化ケイ素などの耐熱セラミックのものや、高温耐熱性ステンレス鋼、例えばFeを主成分としCr組成が17〜21%、Al組成が 2.5〜 6.0%、希土類元素組成が0.02〜0.50%であるものを使用するのが望ましい。
【0013】
また、触媒としては、アルミナ・シリカ、シリカ・アルミナ、チタニア等にPt、Pd、Ce、およびRhのうち少なくとも1種類の触媒成分を含有させたものが使用される。このうち、特に触媒能力の高いPtまたはPdが好ましく用いられる。
触媒燃焼器1の上面(熱伝達面)には、触媒燃焼器1上面の開口1b(排気口)を閉塞しないように複数の孔3が設けられた板状の熱伝達部材2が取り付けてある。
【0014】
また、触媒燃焼器1の側面には、高い熱伝導度を有する金属製の伝熱板4を介して、熱電変換素子5の一方の面が接合されている。そして、熱電変換素子5の他方の面には冷却フィン6が接合されており、熱電変換素子5の両面に温度差が生じるように構成されている。この熱電変換素子5からは、定電圧回路7を介して直流電流が取り出され、余剰分は蓄電池8に貯えられる。
【0015】
冷却フィン6は、断熱材で形成された吸気通路9に内包されており、吸気通路9の吸入側開口部9aには、熱電変換素子5で発電された電力の一部で駆動される電動モータ10と、その出力軸に取り付けられた冷却ファン11とが設けてある。冷却フィン6には、吸気通路9に取り込まれた空気の流れを妨げないよう、気流と平行にフィンが突設されている。
【0016】
また、吸気通路9の排出側開口部9bは、触媒燃焼器1の下部に開口する吸気口1aに連通している。この吸気口1aの近傍には、蓄電池8からの電力により加熱されるヒータ12が設けてある。また、触媒燃焼器1の上部に開口する排気口1bの近傍には、圧電着火装置13が設けてある。
そして、燃料供給器14は、冷却フィン6表面に燃料が噴出されるように、ノズル先端を吸気通路9内部に臨ませて設けてある。燃料としては、アルコール、ガソリン、灯油等を主成分とする液体燃料や、プロパン、ブタン、LPGなどの気体燃料を利用することができる。
【0017】
このような構成の熱併給発電装置では、先ず、燃料供給器14から燃料が供給されると、その一部が触媒燃焼器1に到達し、触媒による表面燃焼が開始される。このとき、蓄電池8を電源としたヒータ12により触媒燃焼器1と燃料を含んだ空気とを加熱すれば、より速く定常燃焼状態にすることができる。さらに、燃焼の開始時に圧電着火装置13で着火を補助することにより、迅速に燃焼を開始することができる。ヒータ12への通電は、触媒燃焼器1が定常燃焼状態に達した後、速やかに切断される。
【0018】
そして、発生した熱エネルギが触媒燃焼器1全体に伝達されると、この熱エネルギの一部は、触媒燃焼器1上面に取り付けられた熱伝達部材2上に載置された被加熱物(例えば、ヤカンや鍋などの調理器具)に、熱伝達部材2を介して効率よく伝達されるほか、孔3を介して上昇する加熱された気体によっても伝達される。さらには、触媒燃焼器1からの輻射熱によっても熱エネルギが伝達される。
【0019】
一方、触媒燃焼器1側面に取り付けられた熱電変換素子5の一方の面にも熱エネルギが伝達され、熱電変換素子5の両面に温度差を生じる。熱電変換素子5では、両面の温度差に応じた発電がなされ、この電力が定電圧回路7を介して取り出されると共に、電動モータ10に供給される。
そして、電動モータ10の出力軸に取り付けられた冷却ファン11が回転して、吸気通路9内に外部から空気を吸入する。このとき、冷却フィン6の温度は、触媒燃焼器1から熱電変換素子5を介して伝達された熱で上昇しているが、冷却ファン11の送風により強制的に冷却される。
【0020】
さらに、液体燃料を用いた場合には、燃料供給器14のノズルから噴霧された燃料が冷却フィン6の表面で気化することにより、気化熱による冷却がおこる。また、気体燃料を用いた場合には、顕熱による冷却がおこる。冷却ファン11からの送風に加え、これら燃料による冷却で、冷却フィン6の温度はさらに低下する。そして、熱電変換素子5の両面の温度差が拡大して、発電効率が向上する。
【0021】
上述のように、冷却ファン11の回転により外部から吸入された空気は、冷却フィン6の表面で気化された(または、熱交換により暖められた)燃料を包摂し、吸気通路9を介して、B矢印で示した経路で触媒燃焼器1の下部に設けられたハニカム状の吸気口1aに到達する。そして、触媒燃焼器1の内部に進入した空気および燃料は、冷却フィン6との熱交換により温度が上昇した状態で供給されるため、触媒表面で効率的に燃焼されて、熱エネルギを発生する。
【0022】
このような過程が継続されることにより、触媒燃焼器1での発熱と熱電変換素子5での発電とが増大して、熱エネルギと電力エネルギとを効率的に取り出すことが可能になる。
この熱併給発電装置は携帯可能であり、燃料さえ入手可能であれば使用場所を選ばず、容易に熱と電力とを得ることができる。また、騒音を発生することもないため、キャンプ等で、調理用コンロや発電機として使用するのにも適している。
【0023】
尚、上述の例では、触媒燃焼器1の側面に熱電変換素子5を1つだけ設けた構成としたが、例えば触媒燃焼器1が直方体である場合には、4つの側面それぞれに同様の熱電変換素子を設けた構成としてもよく、熱電変換素子の数を増やすことでより多くの電力エネルギを得ることができる。
また、冷却フィン6の熱電変換素子5との接合面に孔を設け、熱電変換素子5の他方の面の一部が吸気通路9内に露出するようにして、燃料供給器14から供給された燃料により、熱電変換素子5の他方の面が直接冷却される構成としてもよい。
【0024】
また、熱源としては、触媒燃焼以外の燃焼方法を用いたものでもよい。しかし、触媒燃焼器では、担持された触媒によって燃焼器の表面全体で燃焼がおこり、発生した熱も触媒燃焼器全体に均等に分布するのに対し、通常の発火による燃焼、例えば、ライターのように噴射したガスに着火したような場合には、炎の内部にも大きな温度勾配が存在し、燃焼によって発生した熱を熱電変換素子の板面全体に均等に伝達するのが困難である。このように、触媒燃焼器を用いた場合には、板状の熱電変換素子の一方の面全体に均等に熱を伝達するのが容易であるため、他の燃焼方法を用いた場合よりも、熱電変換素子によるエネルギーの変換効率が優れている。
【0025】
また、燃料としては、前述した気体燃料や液体燃料に代えて、アルコール、ガソリン、灯油等を主成分とする固形燃料を用いることもできる。この場合、触媒燃焼器の下部に設けられた空間に固形燃料を載置することで、固形燃料から自然に揮発した燃料成分が触媒燃焼器に到達し、燃焼が開始される。その後、燃焼が進むにつれて、触媒燃焼器からの輻射熱で固形燃料がさらに気化し、発生した電力で回転されるファンからの送風により触媒燃焼器に供給される。このファンから送風は冷却フィン表面での熱交換により暖められているため、さらに固形燃料が気化するのを加速することになる。このようにして、触媒燃焼器での燃焼と熱電変換素子での発電とが継続して行われるようになる。
【0026】
固形燃料による燃焼および発電を中止するには、別に設けたシャッターで固形燃料を覆う等して、触媒燃焼器への燃料の供給を遮断すればよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、触媒燃焼器から排出された熱エネルギを熱電変換素子で電気エネルギに変換して利用すると共に、外部に熱エネルギを伝達して熱エネルギとして直接利用することができるため、エネルギの回収効率が向上するという効果がある。そして、ハニカム構造体の触媒燃焼器内で加熱された気体を介して、被加熱物に効率よく熱エネルギを供給する一方、熱電変換素子にも熱エネルギを供給し発電できるため、より高いエネルギの利用効率が得られる。また、ハニカム構造体の端部上面に設けられた熱伝達部材により外部に熱エネルギを伝達することにより、触媒燃焼器から被加熱物への熱エネルギの受け渡しを円滑にすることができる。そして、触媒燃焼器に燃料供給器で供給する燃料のみで稼動させることができ、騒音もないため、時間的、場所的に広い範囲で使用できる。さらに、燃料を供給するだけで、長時間連続して稼動させることができ、電気エネルギおよび熱エネルギを安定して供給できる。
【0030】
また、請求項2に係る発明によれば、冷却ファンからの送風で冷却フィンを冷却する一方、冷却フィンとの熱交換で暖められた空気を触媒燃焼器に供給することにより、触媒燃焼器での燃料の燃焼がより円滑になるという効果がある。
【0031】
また、請求項3に係る発明によれば、燃料との熱交換により冷却フィンおよび熱電変換素子の他方の面の冷却効率を向上すると共に、冷却フィンおよび熱電変換素子の表面で気化された(または暖められた)燃料を触媒燃焼器に供給して、燃焼効率を向上できる。そして、触媒燃焼器の燃焼効率の向上と、冷却フィンの冷却効率の向上とで、熱電変換素子の両面の温度差が拡大され、より大きな電力を得ることができるという効果がある。
【0032】
また、請求項4に係る発明によれば、熱電変換素子で発生した電力を蓄電池に貯えることにより、より有効にエネルギを利用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態を示す全体斜視図
【図2】 同上の正面縦断面図
【図3】 同上の平面横断面図(図2のA−A矢視断面図)
【符号の説明】
1 触媒燃焼器
2 熱伝達部材
4 伝熱板
5 熱電変換素子
6 冷却フィン
8 蓄電池
9 吸気通路
10 電動モータ
11 冷却ファン
12 ヒータ
13 圧電着火装置
14 燃料供給器
Claims (4)
- 両面の温度差により発電する板状の熱電変換素子と、
前記熱電変換素子の一方の面に取り付けられ、軸線が該熱電変換素子の板面に平行で両端が開口したハニカム構造体の表面に触媒を担持させ、該ハニカム構造体の端部上面には外部に熱エネルギを伝達する熱伝達部材を有し、燃料を燃焼することにより熱エネルギを発生する触媒燃焼器と、
前記触媒燃焼器に燃料を供給する燃料供給器と、
前記熱電変換素子の他方の面に取り付けられた冷却フィンと、
前記熱電変換素子が発生する電力の一部によって駆動され、前記冷却フィンに送風する冷却ファンと、
を含んで構成されることを特徴とする熱併給発電装置。 - 前記冷却ファンは、前記冷却フィンを内包する吸気通路の一端開口部に取り付けられ、該吸気通路の他端は前記触媒燃焼器の吸気口近傍に開口することを特徴とする請求項1に記載の熱併給発電装置。
- 前記触媒燃焼器に燃料を供給する燃料供給器は、噴孔部を前記吸気通路に臨ませて配設され、前記冷却フィンと前記熱電変換素子の他方の面とのうち少なくとも一方の表面に燃料を供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱併給発電装置。
- 前記熱電変換素子で発生する電力を充電する蓄電池を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱併給発電装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00467997A JP3712809B2 (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | 熱併給発電装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00467997A JP3712809B2 (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | 熱併給発電装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10201269A JPH10201269A (ja) | 1998-07-31 |
JP3712809B2 true JP3712809B2 (ja) | 2005-11-02 |
Family
ID=11590589
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00467997A Expired - Fee Related JP3712809B2 (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | 熱併給発電装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3712809B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20210223111A1 (en) * | 2020-01-21 | 2021-07-22 | Vorwerk & Co. Interholding Gmbh | Supply Unit for Generating Electric Energy, Kitchen Utensil as well as Kitchen System |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0997613B1 (en) | 1998-05-14 | 2006-08-30 | YYL Corporation | Power generator |
JP4495419B2 (ja) * | 2002-11-11 | 2010-07-07 | パナソニック電工株式会社 | 燃焼装置および熱電発電装置 |
CN103629127B (zh) * | 2013-11-08 | 2015-09-30 | 中国人民解放军总后勤部建筑工程研究所 | 一种热电鼓风机 |
CN103629126B (zh) * | 2013-11-08 | 2015-09-30 | 中国人民解放军总后勤部建筑工程研究所 | 一种热电风扇 |
KR101529219B1 (ko) * | 2014-09-30 | 2015-06-16 | 차병미 | 가스를 연료로 하는 발열 기구의 유실열을 이용한 발전 장치 |
CN111887733B (zh) * | 2020-06-30 | 2021-12-10 | 宁波方太厨具有限公司 | 一种导风结构及具有该导风结构的蒸制烹饪设备 |
WO2024043323A1 (ja) * | 2022-08-25 | 2024-02-29 | 三菱マテリアル株式会社 | 熱電発電モジュール |
-
1997
- 1997-01-14 JP JP00467997A patent/JP3712809B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20210223111A1 (en) * | 2020-01-21 | 2021-07-22 | Vorwerk & Co. Interholding Gmbh | Supply Unit for Generating Electric Energy, Kitchen Utensil as well as Kitchen System |
US11747211B2 (en) * | 2020-01-21 | 2023-09-05 | Vorwerk & Co. Interholding Gmbh | Supply unit for generating electric energy, kitchen utensil as well as kitchen system |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10201269A (ja) | 1998-07-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4773847A (en) | Thermoelectric field burner | |
US7661420B2 (en) | Portable heat transfer apparatus | |
US20140069354A1 (en) | Hybrid System for Generating Power | |
JP2008509330A (ja) | マイクロタービンを有する、燃料を自由自在に選べる熱電マイクロ発電機 | |
JP3712809B2 (ja) | 熱併給発電装置 | |
JPH06221678A (ja) | 電気充電式温風機 | |
JP3657675B2 (ja) | 燃焼装置 | |
JP5007899B2 (ja) | 携帯式熱伝達装置 | |
JP2001221508A (ja) | 温風送風機 | |
JP4489600B2 (ja) | 動力を発生させるためのハイブリッドシステム | |
JPH10150787A (ja) | アウトドア用熱電発電器 | |
CN219036785U (zh) | 一种甲醇取暖器 | |
JP3296523B2 (ja) | 発熱装置 | |
JPH09285160A (ja) | 簡易型発電装置 | |
JP2002106810A (ja) | 触媒燃焼器 | |
WO2007034879A1 (ja) | 携帯式熱伝達装置 | |
KR20000072246A (ko) | 발열장치를 갖는 보온용기 | |
JP2000146298A (ja) | 触媒燃焼装置 | |
JPS5829807Y2 (ja) | ボイラ− | |
JP2003004207A (ja) | 気化式燃焼機 | |
JPS6262107A (ja) | 燃焼器 | |
JPH05652Y2 (ja) | ||
JPS62204164U (ja) | ||
JPH01248976A (ja) | 液体燃料式熱電発電機 | |
JPH07110114A (ja) | 触媒燃焼装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050510 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050708 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050816 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050818 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |