JP3712529B2 - 3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩 - Google Patents

3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体に関する。本発明は優れた血管内膜肥厚抑制作用を示し、医薬品として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
狭心症、心筋梗塞等の病態発症は、それに先行して生ずる冠状動脈硬化症が大きな原因であることが知られている。動脈硬化によって生じる内腔の狭小化や血管の弾性消失が、心筋組織への栄養及び酸素不足をもたらし、上記病態を誘導する。血管内腔の狭小化は、泡沫化マクロファージやコレステロールの内壁への蓄積に加え、血管中膜平滑筋細胞の内膜への遊走、内膜での増殖によって生じる細胞線維性内膜肥厚が、その大きな原因であるといわれている。狭心症、心筋梗塞の治療としては、抗血栓薬や血管拡張薬等が症状改善を主たる目的として使用されているが、動脈硬化によって招来される血管内腔の狭小化や弾性の消失を根本的に治療するには至っていないそのため、血管の狭小化をもたらしている内膜肥厚を防止或いは治療することの可能な医薬品が切望されている。
【0003】
近年、狭小化した血管を外科的に治療する方法として、経皮的冠状動脈形成術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty、以下PTCAという)が挙げられる。PTCAは、開胸手術をすることなく、大腿動脈等からバルーンカテーテルを遠隔的に挿入してゆき、狭窄部でバルーンを膨らませ、物理的に血管を拡張させる治療法であり、PTCA施行技術の向上により施行直後の症状改善率は90%を越え、かつ死亡例や心筋梗塞発作誘発等の副作用の発現も非常に少なく、優れた治療法として評価されている。ところがPTCA施行後同じ部位で血管が再狭窄を起こす症例が30〜40%程度あり、その場合再度PTCAを施行するか血管バイパス術を行わざるを得ず、これが臨床上最大の問題点となっている。PTCAを施行後再閉塞を起こし死亡した症例の部検結果では、PTCAにより血管腔が拡大した部位は、内膜肥厚により再閉塞していることが明らかにされている[British Heart Journal,58,635〜643(1987)、Human Pathology,20,477〜485(1989)等参照]。そのため、PTCA後の再狭窄防止には、血管の内膜肥厚を抑制することが有効であると考えられていた。
【0004】
上述の疾病治療の可能性が予想される医薬品について、前臨床及び臨床で有効性が検討されてきた[American Heart Journal,122,171〜187(1991)]。対象となったのはヘパリン等の血液抗凝固剤、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、プロスタサイクリン及びその誘導体等の血小板凝集抑制剤、トラピジル等のトロンボキサンA2阻害剤、ケタンセリン等の細胞増殖抑制剤、ジルチアゼム、ニフェジピン等のカルシウム拮抗剤、魚油、エイコサペンタエン酸、ロバスタチン等の脂質低下剤、ステロイド剤等の抗炎症剤等であるが、いずれの薬剤も実際に臨床で検討した結果では明らかな有用性は認められなかった。このように、血管内膜肥厚に対する有効な薬剤はないのが現状であり、臨床で有用性の高い医薬品が強く望まれている。
本発明化合物である3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体の類似化合物として、特開昭63−10743号公報においては血小板凝集作用に基づく抗血栓剤として有用なジフェニルエチレン誘導体が公知であり、特開昭59−231058号公報においてはアテローム性動脈硬化症として有用なジフェニルエチレン誘導体が公知であるが、血管内膜肥厚抑制剤としては知られていなかった。また、欧州特許208999号公報においてもジフェニルエチレン誘導体が抗菌剤として開示されているが、血管内膜肥厚抑制作用については記載されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は優れた血管内膜肥厚抑制作用を有し、例えば経皮的冠状動脈形成術(PTCA)後の血管再狭窄の予防・治療剤として有用な新規な3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は一般式(1)で表わされる3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩に係る。
【0007】
【化5】
Figure 0003712529
【0008】
[式中、R1は低級アルキル基、置換基としてアリール基及び/又は低級アルコキシカルボニル基を有する低級アルキル基、アリール基、置換基として低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基又はヘテロアリール基を有するアリール基、複素環基、置換基として低級アルキル基又はアラルキル基を有する複素環基、環状アルキル基を示す。R2は水素原子、低級アルキル基、アリール基を示す。また、基Aは、式(2)又は(3)を示す。]
【0009】
【化6】
Figure 0003712529
【0010】
【化7】
Figure 0003712529
【0011】
【化8】
Figure 0003712529
(R3は水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子を示す。)
【0012】
本発明によれば、一般式(1)で表される3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体が優れた血管内膜肥厚抑制作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記一般式(1)中、R1で示された低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル基等の直鎖状又は分枝状の炭素数1〜6個のアルキル基が例示でき、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル基であり、より好ましくはメチル、エチル、n−ブチル基である。
1の置換基としてアリール基及び/又は低級アルコキシカルボニル基を有する低級アルキル基のアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、インダニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。低級アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、i−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜5である低級アルコキシカルボニル基が挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル又はエトキシカルボニル基である。
【0014】
1の置換基としてアリール基及び/又は低級アルコキシカルボニル基を有する低級アルキル基において、好ましいものはベンジル、フェネチル、メトキシカルボニルメチル、1−メトキシカルボニルエチル、2−メトキシカルボニルエチル、1−エトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、1−メトキシカルボニル−2−フェニル−エチル、1−エトキシカルボニル−2−フェニル−エチル基であり、特に好ましくはベンジル基である。
1のアリール基、置換基として低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基又はヘテロアリール基を有するアリール基の、アリール基としては上述のものが挙げられ、好ましくはフェニル基又はインダニル基であり、より好ましくはフェニル基である。アリール基上には1〜3個の置換基を置換できる。
【0015】
置換基の低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等の直鎖状又は分枝状の炭素数1〜6個のアルコキシ基が例示でき、好ましくはメトキシまたはエトキシ基である。
低級アルコキシカルボニル基としては、上述のものが挙げられ、好ましくは、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニル基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アラルキル基としては、例えばベンジル、フェネチル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基である。
アリールオキシ基としては、例えばフェノキシ、ナフチルオキシ基等が挙げられ、好ましくはフェノキシ基である。
ヘテロアリール基としては、例えばトリアゾリル、ピリジル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル基等の窒素原子を1〜3個有し、酸素原子又は硫黄原子を0〜1個有するヘテロアリール基が例示でき、好ましくはトリアゾリル基である。
【0016】
1の複素環基、置換基として低級アルキル基又はアラルキル基を有する複素環基の複素環基としては、例えばピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンゾチアゾリル、キノリル基等の窒素原子を1〜3個有し、酸素又は硫黄原子を0〜1個有するヘテロアリール基、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル基等の窒素原子を1〜2個有する環状アミノ基が挙げられ、好ましくはピリジル、チアゾリル、イソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル又はピペリジニル基であり、より好ましくはピリジル基である。
置換基として低級アルキル基又はアラルキル基を有してもよい複素環基の低級アルキル基、アラルキル基としては上述のものが挙げられ、好ましくはメチル基又はベンジル基である。
【0017】
1の環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6の環状アルキル基が例示でき、好ましくはシクロヘキシル基である。
2の低級アルキル基及びアリール基としては、上述のものが挙げられ、好ましくはメチル、エチル、フェニル基であり、より好ましくはメチル、エチル基である。
3の低級アルキル基又ハロゲン原子としては、上述のものが挙げられ、好ましくはメチル、エチル基、塩素原子であり、より好ましくはメチル基である。

【0018】
一般式(1)で表される化合物において好ましいものとしては、R1が低級アルキル基、置換基としてフェニル基を有する低級アルキル基、フェニル基、置換基として低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、ベンジル基、フェニルオキシ基又はトリアゾリル基を有するフェニル基、シクロヘキシル基、ピリジル、ベンゾチアゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピペリジニル又はキノリル基、置換基として低級アルキル基又はベンジル基を有するピリジル、ベンゾチアゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピペリジニル又はキノリル基であり、R2が水素原子、低級アルキル基又はフェニル基であるか、基(A)が式(3)である3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩である。更に好ましくは、R1がフェニル、ピリジル、又はシクロヘキシル基であり、R2が水素原子又は低級アルキル基であるか、基(A)が式(3)(R3は低級アルキル基を示す)である3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩である。
本発明の一般式(1)で表わされる3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体は、例えば下記のA法またはB法の反応工程式に従い合成できる。
【0019】
【化9】
Figure 0003712529
[式中、R1、R2は前記に同じ。X及びX'は、塩素原子または臭素原子である。]
【0020】
(工程i)
一般式(4)で表わされる公知のアミノ化合物と一般式(5)で表される公知のケト化合物を適当な溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより、一般式(6)で表わされるアミド化合物を得る。溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えば酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジオキサン等を例示できる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、アニリン等の有機塩基を例示できる。反応に際しては、一般式(4)の化合物1モルに対し、化合物(5)を1〜3モル程度、塩基を1〜10モル程度使用するのが好ましい。反応温度は0℃から室温程度が好適であり、反応時間は通常0.5〜12時間程度である。
本工程で得られた一般式(6)で表されるアミド化合物は、単離又は単離されることなく次の工程に利用することができる。
【0021】
(工程ii)
工程iで得られた一般式(6)で表わされるアミド化合物を適当な溶媒中または無溶媒で亜リン酸トリエチルと反応させることにより、一般式(7)で表わされる化合物を得る。溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を例示できる。反応に際しては、一般式(6)の化合物1モルに対し、亜リン酸トリエチルを1〜5モル程度使用するのが好ましい。反応温度は室温から200℃程度が好適であり、反応時間は1〜36時間程度で行うのが好ましい。
本工程で得られた一般式(7)で表される化合物は、単離又は単離されることなく次の工程に利用することができる。
【0022】
(工程iii)
工程iiで得られた一般式(7)で表わされる化合物と一般式(8)で表わされる公知化合物を適当な溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより、一般式(1)で表わされる本発明化合物を得る。溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ジメトキシエタン等を例示できる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等を例示できる。反応に際しては、一般式(8)の化合物1モルに対し、一般式(7)の化合物を1〜3モル程度、塩基を1〜10モル程度使用するのが好ましい。反応温度は0℃〜100℃程度が好適であり、反応時間は0.5〜60時間程度で行うのが好ましい。
【0023】
【化10】
Figure 0003712529
[式中、R1、R2は前記に同じ。]
【0024】
(工程iv)
上述の一般式(7)で表される化合物の代わりに公知化合物(9)を用い、一般式(8)で表わされる公知化合物に上述の工程iiiと同様の反応を行い、一般式(10)で表わされる化合物を得る。
本工程で得られた一般式(10)で表される化合物は、単離又は単離されることなく次の工程に利用することができる。
【0025】
(工程v)
工程ivで得られた一般式(10)で表わされる化合物と一般式(4)で表わされる公知のアミノ化合物を適当な溶媒中、必要ならば塩基の存在下に反応させることにより、一般式(1)で表わされる本発明化合物を得る。溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、t−ブタノール、t−アミルアルコール等を例示できる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等を例示できる。反応に際しては、一般式(10)の化合物1モルに対し、一般式(4)の化合物を1〜5モル程度、塩基を1〜10モル程度使用するのが好ましい。反応温度は0℃から200℃程度が好適であり、反応時間は0.5〜24時間程度で行うのが好ましい。
【0026】
上記反応工程式で得られる本発明化合物(1)は通常の分離精製手段、例えば、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィ−等により容易に結晶又は油状物として単離することができる。
上記(1)で表わされる本発明化合物は、常法により酸と反応させて薬学的に許容し得る塩とすることができる。酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機酸を例示できる。また、本発明化合物(1)においては、E−体及びZ−体の幾何異性体又は置換基の立体配置による光学異性体が存在することがあるが、本発明はこれら異性体及びその混合物をも含むものである。
尚、ここで利用する一般式(4)で表される化合物は、市販化合物および公知の方法で合成できる化合物であり、一般式(8)で表わされる化合物は、例えばMonatshefte fur Chemie,119,1427(1988)、Rec.Trav.Chim.Pays−Bas Belg.,70,1054(1951)に記載の方法又はそれに準じた方法で合成できる。
【0027】
本発明化合物は適当な製剤用担体を用いて通常の方法に従い、製剤組成物とすることができる。担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤等を使用することができる。
本発明化合物をヒトを含む哺乳動物の治療剤として使用する際の投与単位形態は特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には注射剤、坐剤、外用剤(軟膏剤、貼付剤等)、エアゾール剤等の非経口剤、錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、丸剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤が挙げられる。上記各種薬剤は、この分野で通常知られた製剤方法により製剤化される。
【0028】
錠剤、散剤、顆粒剤等の経口用固形製剤の形態に成形するに際しては、担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、メチルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等の賦形剤、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、ハイドロキシプロピルセルロース、水、エタノール、リン酸カリウム等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン酸、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠等とすることができる。
【0029】
丸剤の形態に成形するに際しては、担体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
カプセル剤は上記で例示した各種の担体と混合し、硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製される。
坐剤の形態に成形するに際しては、担体として例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、ラノリン、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド、ウィテップゾール(登録商標ダイナマイトノーベル社)等に適当な吸収促進剤を添加して使用できる。
【0030】
注射剤の形態に成形するに際しては、担体として例えば、水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等の希釈剤、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤及び緩衝剤、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸等の安定化剤等が使用できる。尚、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖或いはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、無痛化剤、局所麻酔剤等を添加してもよい。これらの担体を添加して、常法により皮下、筋肉内、静脈内用注射剤を製造することができる。
液体製剤は水性又は油性の懸濁液、溶液、シロップ、エリキシル剤であってもよく、これらは通常の添加剤を用いて常法に従い、調製される。
【0031】
軟膏剤、例えばペースト、クリーム及びゲルの形態に調製する際には、通常使用される基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等が必要に応じて配合され、常法により混合、製剤化される。基剤として例えば白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト等を使用できる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が使用できる。
貼付剤を製造する場合には、通常の支持体に上記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すればよい。支持体としては、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルムあるいは発泡体シートが適当である。
【0032】
上記製剤中に含有されるべき本発明化合物の量は、剤型、投与経路、投与計画等により異なり一概には言えず、広い範囲から適宜選択されるが、通常製剤中に1〜70重量%程度とするのがよい。
上記製剤の投与方法は特に限定されず、製剤の形態、患者の年齢、性別その他の条件、患者の症状の程度等に応じて、経腸投与、経口投与、直腸投与、口腔内投与、経皮投与等の投与方法が適宜決定される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には経口投与され、坐剤の場合には直腸内投与される。注射剤の場合には単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で動脈内、筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。軟膏剤は、皮膚、口腔内粘膜等に塗布される。
本発明製剤の有効成分の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の状態、投与される本発明に係る化合物の種類、その他の条件等に応じて適宜選択されるが、通常0.1〜300mg/kg/日程度、好ましくは0.5〜100mg/kg/日程度の範囲となる量を目安とするのがよい。これら本発明製剤は1日に1回又は2〜4回程度に分けて投与することができる。
【0033】
【実施例】
一般式(1)で表わされる本発明化合物について、実施例、試験例及び製剤例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。得られた化合物1〜26の物性値を表1〜10に示す。表においてMeはメチル、Etはエチルを示す。
【0034】
実施例1
N−フェニル−3,3−ジ(2−ピリジル)−アクリル酸アミド(化合物1)の合成
<A法>
アニリン 26.0gを塩化メチレン 500mlに溶解させ、氷冷下で塩化ブロモアセチル 20.0gを滴下し、滴下終了後30分間同温で攪拌した。反応終了後、水を加えて析出した結晶をメタノ−ルで洗浄し、白色結晶のN−フェニル−ブロモ酢酸アミド 22.1g(収率79%)を得た。
得られたN−フェニル−ブロモ酢酸アミド 22.1gにトルエン 100ml、亜リン酸トリエチル 30mlを加え、110℃で7時間攪拌した。トルエン、および過剰の亜リン酸トリエチルを減圧留去し、無色透明の油状物質であるN−フェニル−ジエチルホスホノ酢酸アミド 30.1g(収率100%)を得た。
60%水素化ナトリウム 5.3gにジメトキシエタン 50mlを加えて0℃とした後、得られたN−フェニル−ジエチルホスホノ酢酸アミド 12.0g、ジ−2−ピリジルケトン 8.2gをジメトキシエタン 50mlに溶かした溶液を滴下し、滴下終了後30分間同温で攪拌した。その後5時間還流攪拌した。
反応終了後冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:n−ヘキサン=2:1)で精製し白色結晶の標記化合物 9.6g(収率72.0%)を得た。
【0035】
<B法>
60%水素化ナトリウム 6.5gにジメトキシエタン 150mlを加えて0℃とした後、ジエチルホスホノ酢酸エチル 36.5g、ジ−2−ピリジルケトン 25gをジメトキシエタン 150mlに溶かした溶液を滴下し、滴下終了後30分間同温で攪拌した。その後3時間還流攪拌した。反応終了後冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)で精製し、橙色油状の3,3−ジ(2−ピリジル)−アクリル酸エチル 37.4g(収率100%)を得た。
得られた3,3−ジ(2−ピリジル)−アクリル酸エチル 5.0gをt−ブタノール 50mlに溶解させ、アニリン 1.8g、カリウム−t−ブトキシド 2.4gを加えた後、14時間還流攪拌した。反応終了後冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:n−ヘキサン=2:1)で精製し白色結晶の標記化合物3.9g(収率65.8%)を得た。
【0036】
実施例2
N−(3−ピリジル)−3,3−ジ(2−ピリジル)−アクリル酸アミド(化合物2)の合成
実施例1のB法の反応工程中で得られた3,3−ジ(2−ピリジル)−アクリル酸エチル 1.5gをt−ブタノール 30mlに溶解させ、3−アミノピリジン 0.56g、カリウム−t−ブトキシド 1.06gを加えた後、一晩還流攪拌した。反応終了後冷却し、水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し白色結晶の標記化合物 0.8g(収率45%)を得た。
【0037】
実施例3
公知化合物を原料とし、実施例1のA法と同様にして、化合物3〜8、10、11、14〜25を合成した。
実施例4
N−メチル−N−フェニル−3,3−ジ(2−ピリジル)−アクリル酸アミド(化合物9)の合成(A法)
N−メチル−アニリン 25.0gをテトラヒドロフラン(THF)250mlに溶解させ、トリエチルアミン 39mlを加え、氷冷下で塩化クロロアセチル 22.3mlを滴下し、滴下終了後60分間同温で攪拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し酢酸エチルを留去し、白色結晶のN−メチル−N−フェニル−クロロ酢酸アミド 41.5g(収率98%)を得た。
得られたN−メチル−N−フェニル−クロロ酢酸アミド 41.5gに亜リン酸トリエチル 80mlを加え、110℃で24時間攪拌した。過剰の亜リン酸トリエチルを減圧留去し、無色透明の油状物質であるN−メチル−N−フェニル−ジエチルホスホノ酢酸アミド 72.3gを得た。
得られたN−メチル−N−フェニル−ジエチルホスホノ酢酸アミド 8.52g、ジ−2−ピリジルケトン 8.2gをTHF 50mlに溶かして0℃とした後、カリウム−t−ブトキシド 3.35gを加えた。その後室温として80分攪拌した。反応終了後冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し薄茶色結晶の標記化合物 5.5g(収率52%)を得た。
【0038】
実施例5
N−シクロヘキシル−3,3−ジ(2−ピリジル)−アクリル酸アミド(化合物12)の合成(A法)
シクロヘキシルアミン 12.0gをTHF 150mlに溶解させ、トリエチルアミン 20mlを加え、氷冷下で塩化クロロアセチル 9.0mlを滴下し、滴下終了後室温として6時間攪拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去し、薄茶色結晶のN−シクロヘキシル−クロロ酢酸アミド 6.7g(収率32%)を得た。
得られたN−シクロヘキシル−クロロ酢酸アミド 6.7gに亜リン酸トリエチル 33mlを加え、110℃で5時間攪拌した。過剰の亜リン酸トリエチルを減圧留去し、エーテル/n−ヘキサンの混合溶媒で結晶化させて、白色結晶のN−シクロヘキシル−ジエチルホスホノ酢酸アミド 5.0g(収率47%)を得た。
得られたN−シクロヘキシル−ジエチルホスホノ酢酸アミド 5.0gをジメトキシエタン 85mlに溶かして0℃とした後、カリウム−t−ブトキシド 2.2g、ジ−2−ピリジルケトン 3.1gを加え、50℃とした後、3.5時間攪拌した。反応終了後溶媒留去し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物をエーテルで結晶化し白色結晶の標記化合物 4.7g(収率85%)を得た。
【0039】
実施例6
N−{2−[1−(1,2,4−トリアゾリル)]−フェニル}−3,3−ジ(2−ピリジル)−アクリル酸アミド(化合物13)の合成(A法)
2−クロロニトロベンゼン 25.0gをジメチルホルムアミド 100mlに溶解させ、1,2,4−トリアゾール 22.0g、炭酸カリウム 79.0gを加え、100℃で10時間攪拌した。反応終了後、氷冷し、炭酸カリウムをろ取した後ろ液を濃縮した。残渣に水 300mlを加えて室温で一晩攪拌した。結晶をろ取し、黄色結晶の2−[1−(1,2,4−トリアゾリル)]−ニトロベンゼン 30.9g(収率100%)を得た。
得られた2−[1−(1,2,4−トリアゾリル)]−ニトロベンゼン 20gを酢酸エチル 100ml中に加え、10%パラジウム炭素を触媒として3気圧の水素で3時間室温で接触還元を行った。反応終了後触媒をセライトろ過により除き、ろ液を減圧下留去し無色透明油状の<A法>における一般式(4)の化合物である2−[1−(1,2,4−トリアゾリル)]−アニリン 16.5g(収率98.1%)得た。
【0040】
得られた2−[1−(1,2,4−トリアゾリル)]−アニリン 16.5gをトルエン 160mlに溶解させ、トリエチルアミン 17.1mlを加え、氷冷下で塩化クロロアセチル 12.5mlを滴下し、滴下終了後室温として1時間攪拌した。反応終了後、水を加え析出した結晶をろ取し、水洗後風乾し、薄灰色結晶のN−{2−[1−(1,2,4−トリアゾリル)]−フェニル}−クロロ酢酸アミド 18.6g(収率79%)を得た。
得られたN−{2−[1−(1,2,4−トリアゾリル)]−フェニル}−クロロ酢酸アミド 18.6gに亜リン酸トリエチル 54mlを加え、120℃で24時間攪拌した。反応終了後氷浴を付し、室温に戻ったところでイソプロピルエーテルを加えて結晶化させて、薄褐色結晶のN−{2−[1−(1,2,4−トリアゾリル)]−フェニル}−ジエチルホスホノ酢酸アミド 18.9g(収率71%)を得た。
N−{2−[1−(1,2,4−トリアゾリル)]−フェニル}−ジエチルホスホノ酢酸アミド 6.0gをTHF 100mlに溶かして0℃とした後、カリウム−t−ブトキシド 8.0g、ジ−2−ピリジルケトン 11.0gを加え、室温とした後、2時間攪拌した。反応終了後溶媒留去し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物をエーテルで結晶化し白色結晶の標記化合物 8.2g(収率68%)を得た。
【0041】
実施例7
1−{3,3−ジ(2−ピリジル)}−アクリル−4−p−トルエンスルフォニル−ピペラジン(化合物26)の合成(A法)
1−ホルミルピペラジン 12.0gをTHF 200mlに溶解させ、トリエチルアミン 18mlを加え、0℃としてp−トルエンスルフォニルクロライド 20gをTHF 50mlに溶かした液を滴下した。滴下終了後、室温として5時間攪拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物をエーテル/n−ヘキサンの混合溶媒で洗浄し、白色結晶の1−ホルミル−4−p−トルエンスルフォニル−ピペラジン 22.5g(収率80%)を得た。
得られた1−ホルミル−4−p−トルエンスルフォニル−ピペラジン 22.5gにメタノール 50ml、6N−塩酸 500mlを加え、50℃に加熱し、一晩撹拌した。反応終了後冷却し、4N−水酸化ナトリウムを加えpHを9として酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物をエーテル/n−ヘキサンの混合溶媒で洗浄し、白色結晶の<A法>における一般式(4)の化合物である1−p−トルエンスルフォニル−ピペラジン 13.8g(収率68%)を得た。
【0042】
得られた1−p−トルエンスルフォニル−ピペラジン 7.0gをTHF 140mlに溶解させ、トリエチルアミン 4.9mlを加え、氷冷下で塩化クロロアセチル2.5mlを滴下し、滴下終了後室温として一晩攪拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去し、白色結晶の1−クロロアセチル−4−p−トルエンスルフォニル−ピペラジン 8.0g(収率87%)を得た。
1−クロロアセチル−4−p−トルエンスルフォニル−ピペラジン 8.0gに亜リン酸トリエチル 26mlを加え、120℃で24時間攪拌した。過剰の亜リン酸トリエチルを減圧留去し、無色透明の油状物質である1−ジエチルホスホノアセチル−4−p−トルエンスルフォニル−ピペラジンを得、これにジメチルホルムアミド(DMF)90mlを加え、60%水素化ナトリウム 1.1gを加えて0℃とした後、ジ−2−ピリジルケトン4.7gを加え、室温とした後2日間攪拌した。反応終了後冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し留去した。得られた粗生成物を酢酸エチルで洗浄し、白色結晶の標記化合物 9.5g(収率84%)を得た。
【0043】
【表1】
Figure 0003712529
【0044】
【表2】
Figure 0003712529
【0045】
【表3】
Figure 0003712529
【0046】
【表4】
Figure 0003712529
【0047】
【表5】
Figure 0003712529
【0048】
【表6】
Figure 0003712529
【0049】
【表7】
Figure 0003712529
【0050】
【表8】
Figure 0003712529
【0051】
【表9】
Figure 0003712529
【0052】
【表10】
Figure 0003712529
【0053】
試験例1 薬理試験(ラットにおける血管内膜肥厚抑制作用)
本発明の有効成分である化合物を用いて以下の試験を行った。
<試験方法>
13〜14週齢の雄性S.D.ラットを用いた。エーテル麻酔下にて、右腸骨動脈から左頚動脈へ2Fバルーンカテーテルを挿入し、バルーンを膨らませながら左頚動脈の内皮を剥離した。バルーンカテーテルを除去した後、副腔内に抗生物質を滴下して縫合した。各薬物は、0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)に懸濁し、10ml/kgの用量で内皮剥離2時間目から1日1回経口投与した。対照群には、0.5%HPMCを投与した。
ラットは、内皮剥離14日後に屠殺した。左頚動脈は、10%中性緩衝ホルマリンにて固定し、6ヵ所に分割し、常法に従ってパラフィン薄切標本を作製した。各個体6枚の薄切標本をヘマトキシリン・エオジン染色した。評価は、新生内膜面積と中膜面積を測定し、内膜/中膜の面積比として表し、薬物非投与群と比較し、内膜肥厚抑制率(%)で比較した。結果を表11に記す。
また、比較化合物として特開昭63−10743号公報、特開昭59−231058号公報、欧州特許208999号およびJ.Org.Chem.,1379(1956)より本発明化合物と最も類似していると考えられる下記化合物(a)を用いた。
【0054】
【化11】
Figure 0003712529
【0055】
【表11】
Figure 0003712529
【0056】
上記試験結果より、本発明に係る有効成分である一般式(1)で表わされる化合物は、類似化合物である比較化合物(a)に比して非常に優れた血管内膜肥厚抑制作用を示した。
【0057】
製剤例1 錠剤
化合物1 200mg
トウモロコシデンプン 50mg
微結晶セルロース 50mg
ハイドロキシプロピルセルロース 15mg
乳 糖 47mg
タルク 2mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
エチルセルロース 30mg
不飽和グリセリド 2mg
二酸化チタン 2mg
上記配合割合で、常法に従い、1錠当たり400mgの錠剤を調製した。
【0058】
製剤例2 顆粒剤
化合物2 300mg
乳 糖 540mg
トウモロコシデンプン 100mg
ハイドロキシプロピルセルロース 50mg
タルク 10mg
上記配合割合で、常法に従い、1包当たり1000mgの顆粒剤を調製した。
【0059】
製剤例3 カプセル剤
化合物9 200mg
乳 糖 30mg
トウモロコシデンプン 50mg
微結晶セルロース 10mg
ステアリン酸マグネシウム 3mg
上記配合割合で、常法に従い、1カプセル当たり293mgのカプセル剤を調製した。
【0060】
Figure 0003712529
上記配合割合で、常法に従い、注射剤を調製した。
【0061】
製剤例5 シロップ剤
化合物15 200mg
精製白糖 60g
パラヒドロキシ安息香酸エチル 5mg
パラヒドロキシ安息香酸ブチル 5mg
香 料 適 量
着色料 適 量
精製水 適 量
上記配合割合で、常法に従い、シロップ剤を調製した。
【0062】
製剤例6 坐剤
化合物19 300mg
ウィテップゾールW−35 1400mg
(登録商標、ラウリン酸からステアリン酸までの飽和脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリ−グリセライド混合物、ダイナマイトノーベル社製)
上記配合割合で、常法に従い、坐剤を調製した。
【0063】
【発明の効果】
本発明化合物は、優れた内膜肥厚抑制作用を示し、医薬品として有用であり、例えば経皮的冠状動脈形成術(PTCA)後の血管再狭窄の予防又は治療剤として有用である。また更には、動脈硬化、抹消動脈閉塞、血管炎等の増殖性血管病変の予防又は治療剤として有用である。

Claims (7)

  1. 一般式(1)で表わされる3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩。
    Figure 0003712529
    [式中、R1は低級アルキル基、置換基としてアリール基及び/又は低級アルコキシカルボニル基を有する低級アルキル基、アリール基、置換基として低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、アラルキル基、アリールオキシ基又はヘテロアリール基を有するアリール基、複素環基、置換基として低級アルキル基又はアラルキル基を有する複素環基、環状アルキル基を示す。R2は水素原子、低級アルキル基、アリール基を示す。また、基Aは、式(2)又は(3)を示す。]
    Figure 0003712529
    Figure 0003712529
    Figure 0003712529
    (R3は水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子を示す。)
  2. 一般式(1)中、R1が低級アルキル基、置換基としてフェニル基を有する低級アルキル基、フェニル基、置換基として低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子、ベンジル基、フェニルオキシ基又はトリアゾリル基を有するフェニル基、シクロヘキシル基、ピリジル、ベンゾチアゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピペリジニル又はキノリル基、置換基として低級アルキル基又はベンジル基を有するピリジル、ベンゾチアゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピペリジニル又はキノリル基であり、R2が水素原子、低級アルキル基又はフェニル基である請求項1記載の3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩。
  3. 一般式(1)中、R1がフェニル、ピリジル、又はシクロヘキシル基であり、R2が水素原子又は低級アルキル基である請求項2記載の3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩。
  4. 一般式(1)中、基(A)が式(3)で表される基である請求項1記載の3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩。
  5. 一般式(1)中、基(A)が式(3)(R3は低級アルキル基を示す)で表される基である請求項4記載の3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩。
  6. 請求項1記載の一般式(1)で表わされる3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする医薬組成物。
  7. 請求項1記載の一般式(1)で表わされる3,3−ジピリジルアクリル酸アミド誘導体又はその薬学的に許容される塩の有効量と薬学的に許容される担体を含有する血管内膜肥厚抑制剤。
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