JP3712430B2 - カップ状物品の集合方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、截頭円錐形をしたカップ状の容器内に乾燥麺や冷凍食品が密封されたカップ状物品を自動的に集合させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のカップ状物品は截頭円錐形をしているため、これらを正立状態もしくは倒立状態の同じ姿勢で一纏めにして箱詰めした場合には、各カップ状物品間に無駄な空間が生じる。
各カップ状物品間に無駄な空間が生じることを防止するために、カップ状物品の全てを正立状態もしくは倒立状態とすることなく、それらの間に交互に反転させたカップ状物品を配列することが行われ、この作業を自動的に行う方法や装置がすでに提供されている(例えば、特開平5−193624号公報、特開平6−199313号公報参照)。
【0003】
これらの場合には、一列で送られてくるカップ状物品をいずれも複数列に振り分けながら各列ごとに搬送コンベヤ上で一個もしくは一グループごと交互に反転させる方式を採っている。
また、カップ状物品を一個もしくは一グループごと交互に反転させるに当たっては、カップ状物品を滑り台上を滑降させる途中において滑り台に設けた開口部よりストップ棒を突入させ、カップ状物品に当てることにより行うか(特開平5−193624号)、あるいは、搬送コンベヤの上方に反転アームを配置し、その一部を移送中のカップ状物品に係止させることにより行っている(特開平6−199313号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一列で送られてくるカップ状物品を複数列に振り分けながら各列ごとに搬送コンベヤ上で一個もしくは一グループごと交互に反転させる方式を採る場合には、各列の流量が一定になることが必要である。従って、均等な振り分けが常に要求され、それが保証されないと後工程の機能が成り立たない。このような条件を満たすためには、機能的にもきわめて信頼性の高い装置が必要となり、コストアップの要因となる。
【0005】
特に、カップ状物品を搬送コンベヤ上で一個ごと、あるいは、一グループごと交互に反転させた後次工程に送る場合には、センサなどで交互にその数を確認しながら行わなければならないから、それだけ不安定要素が高いということができる。
【0006】
また、一列で送られてくるカップ状物品を複数列に振り分ける方式を採ると、搬送コンベヤの幅も列数に応じて広くなり、さらに、便宜的にカップ状物品の流量に多少の余裕を与えておくことを考慮すれば、機長も長くなるから、全体として装置自体もそれだけ大型とならざるを得ない。
【0007】
一方、カップ状物品を一個もしくは一グループごと交互に反転させるに当たって、カップ状物品を滑り台上を滑降させる途中において滑り台に設けた開口部よりストップ棒を突入させ、カップ状物品に当てて反転させたり、搬送コンベヤの上方に反転アームを配置し、その一部を移送中のカップ状物品に係止させて反転させる方式は、非常に不安定であって確実性に欠けるという欠点がある。
本発明は、これらの欠点を解消し得るようにしたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明におけるカップ状物品の集合方法は、正立状態もしくは倒立状態の同じ姿勢で搬送されてきたカップ状物品のうち、一組のカップ状物品はそのままの状態で、また、他の一組のカップ状物品はこれを反転させた状態とし、同じ列にある正立状態の一組のカップ状物品と同じ列にある倒立状態の一組のカップ状物品はいずれも先頭側のものと後尾側のものとをその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右の新たな列に来るよう移動せしめてそれぞれを振り分け、振り分け後の倒立状態の一組のカップ状物品と振り分け後の正立状態の一組のカップ状物品とを前後左右のそれぞれの間に交互に位置させることを特徴とする。
【0009】
一組のカップ状物品が複数列に並んでいる状態から先頭側のものと後尾側のものとをその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右いずれかの新たな列に来るよう移動せしめるに際しては、前記列間距離Wを一旦W’に広げ、先頭側と後尾側の前記物品を移動させた後前記列間距離を再びWに戻すようにするとよい。
【0010】
【作用】
本発明によるカップ状物品の集合方法の作用を、図1〜図4に基づいて説明する。
図1には、正立状態のカップ状物品の集合方法を、また、図2には、正立状態のカップ状物品を反転させて倒立状態としたカップ状物品の集合方法を例示するが、本発明にあっては必ずしも二列の状態から集合させなければならないものではなく、一列の状態であっても集合させることができることは言うまでもない。また、図1、図2においては、正立状態のカップ状物品と倒立状態のカップ状物品とをいずれも五個で一組としてこれら二組どおしを互いに集合させる場合を例示してある。
【0011】
まず、正立状態もしくは倒立状態の同じ姿勢で搬送されてきたカップ状物品のうち、一組のカップ状物品はそのままの状態(例えば、正立状態で搬送されてきた場合には、正立状態)で、また、他の一組のカップ状物品はこれを反転させた状態(例えば、正立状態で搬送されてきた場合には、これを反転させて倒立状態)とする。
【0012】
そして、同じ列にある正立状態の一組のカップ状物品と同じ列にある倒立状態の一組のカップ状物品はいずれも先頭側のものと後尾側のものとを、図1(b)、図2(b)の鎖線で示すようにその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右の新たな列に来るよう移動せしめると、正立状態の一組のカップ状物品と倒立状態の一組のカップ状物品の先頭側のものと後尾側のものとがいずれも図1(c)、図2(c)に示すように振り分けられる。
【0013】
次いで、振り分け後の倒立状態の一組のカップ状物品〔図2(c)〕と振り分け後の正立状態の一組のカップ状物品〔図1(c)〕とを、図3に示すように前後左右のそれぞれの間に交互に位置させる。
このようにすると、図3、図4からも明らかなように各カップ状物品間に無駄な空間が生じることがなくなる。
【0014】
一組のカップ状物品が複数列に並んでいる状態から先頭側のものと後尾側のものとをその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右いずれかの新たな列に来るよう移動せしめるに際して、図1(a)、図2(a)においてWで示す列間距離を図1(b)、図2(b)に示すように一旦W’に広げると、移動中のカップ状物品が隣りの列にあるカップ状物品と衝突することがなく、その移動に支障を来すことがない。そして、先頭側と後尾側の前記物品を移動させた後、前記列間距離を再びWに戻すと、図1(c)、図2(c)に示すように元の間隔を保った状態で先頭側と後尾側の物品を振り分けることができる。
【0015】
【実施例】
本発明によるカップ状物品の集合方法の実施例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1、図2に、前後等間隔で二列に並べられているカップ状物品の集合方法の一例を、図3、図4に、この集合方法により集合せしめられたカップ状物品の箱詰状態の一例を示す。そして、図23に、正立状態のカップ状物品の一例を示す。
なお、図5〜図22に、上記集合方法を実施するのに好適な集合装置の一例とその作動状態を、図24及び図25に、上記集合方法を実施するのに好適な吸着パッドの一例とその作動状態を合わせて示す。
【0016】
図1に、二列に並んでいる正立状態のカップ状物品B1 〜B5の集合方法を、また、図2に、正立状態のカップ状物品を反転させて倒立状態とした二列に並んでいるカップ状物品C1〜C5の集合方法を例示する。ただし、本発明にあっては必ずしも二列の状態から集合させなければならないものではなく、一列の状態であっても集合させることができることは言うまでもない。また、図1、図2においては、正立状態のカップ状物品B1〜B5と倒立状態のカップ状物品C1〜C5とをいずれも五個で一組としてこれら二組どおしを互いに集合させる場合を例示してある。
【0017】
まず、正立状態もしくは倒立状態の同じ姿勢で搬送されてきたカップ状物品のうち、一組のカップ状物品はそのままの状態(例えば、正立状態で搬送されてきた場合には、正立状態)で、また、他の一組のカップ状物品はこれを反転させた状態(例えば、正立状態で搬送されてきた場合には、これを反転させて倒立状態)とする。
【0018】
そして、それぞれの列L1、L2にある正立状態の一組のカップ状物品B1〜B5のうち、先頭側のものB1と後尾側のものB5とを、図1(b)の鎖線で示すようにその列に位置する各カップ状物品間であってその左隣りである新たな列L3、L4に来るよう移動せしめる。
すると、それぞれの列L1、L2にあった正立状態の一組のカップ状物品B1〜B5のうち、先頭側のものB1と後尾側のものB5とがいずれも図1(c)に示すように振り分けられる。
【0019】
一方、それぞれの列L1、L2にある倒立状態の一組のカップ状物品C1〜C5のうち、先頭側のものC1と後尾側のものC5とを、図2(b)の鎖線で示すようにその列に位置する各カップ状物品間であってその右隣りである新たな列L5、L6に来るよう移動せしめる。
すると、それぞれの列L1、L2にあった倒立状態の一組のカップ状物品C1〜C5のうち、先頭側のものC1と後尾側のものC5とがいずれも図2(c)に示すように振り分けられる。
【0020】
次いで、振り分け後の倒立状態の二組のカップ状物品C1〜C5〔図2(c)〕と振り分け後の正立状態の二組のカップ状物品B1〜B5〔図1(c)〕とを、図3に示すように前後左右のそれぞれの間に交互に位置させる。なお、振り分け後の倒立状態の二組のカップ状物品C1〜C5と振り分け後の正立状態の二組のカップ状物品B1〜B5とを同じ一つの箱に投入する場合には、倒立状態のものから先に投入する必要があるが、一つの箱D内におけるそれぞれの位置を、図1(d)、図2(d)に示す。
このようにすると、図3、図4からも明らかなように、各カップ状物品間に無駄な空間が生じることがなくなる。
【0021】
一組のカップ状物品B1〜B5とC1〜C5とがいずれも複数列、例えばL1、L2の二列に並んでいる状態から先頭側のものB1、C1と後尾側のものB5、C5とをその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右いずれかの新たな列L3〜L6に来るよう移動せしめるに際しては、図1(a)、図2(a)においてWで示す列間距離を図1(b)、図2(b)に示すように一旦W’に広げると、移動中のカップ状物品B1、B5、C1、C5が隣りの列L1もしくはL2にあるカップ状物品と衝突することがなく、その移動に支障を来すことがない。そして、先頭側と後尾側の前記物品B1、B5、C1、C5を移動させた後、前記列間距離を再びWに戻すと、図1(c)、図2(c)に示すように元の間隔を保った状態で先頭側と後尾側の物品B1、B5、C1、C5を振り分けることができる。
【0022】
なお、上記集合方法を実施するのに好適な集合装置の一例とその作動状態を、図5〜図22に基づいて説明する。
この装置は、図5及び図6に示すように、正立状態もしくは倒立状態の同じ姿勢でカップ状物品を収納し得るバケット1が一定間隔を置いて配置されたカップ状物品搬送装置2と、該カップ状物品搬送装置2から一組のカップ状物品を取り出す取出装置3と、該取出装置3により取り出された一組のカップ状物品を保持するか、あるいは、保持しながら適時に軸を中心として回動するカップ状物品保持・反転装置4と、該カップ状物品保持・反転装置4により保持された一組のカップ状物品と該カップ状物品保持・反転装置4の回動により反転せしめられた一組のカップ状物品とを交互に該カップ状物品保持・反転装置4から一括して取り出す吸着装置5とからなっている。そして、前記吸着装置5の両端に位置する吸着パッド6、6は所定位置にある軸を中心として回動させ得るレバー7、7に取り付けられている。
【0023】
実施例に示すバケット1は、図5及び図6に示すように、無端状のチェン2aに一定間隔を置いて取り付けられており、その上部1aと四周のうちの一側部1bとが図14及び図15に示すように開放されている。バケット1の上方からカップ状物品を落とし込むことにより、開放されている部分1aからバケット1内にカップ状物品を収納することができ、開放されている側方部分1bからカップ状物品を取り出すことができる。
このバケット1には、取出装置3の一部であるプッシャー部材3aを侵入させ得る切欠部1cが形成されている。
【0024】
実施例に示す取出装置3は、一組のバケット1、1(実施例の場合には5個で一組)が図5、図6、図16及び図17においてPで示す取出ステーションまで移送せしめられてきたとき、各バケット1、1に収納されている一組のカップ状物品を取り出すためのものであって、その搬送路の側方(図16及び図17の右側)に位置しており、図14、図17に示すように、前記プッシャー部材3aとこれを作動させるための機構とからなっている。実施例では、一組のプッシャー部材3aを作動させるための機構として、モータ3bの回転力をクランク機構3cを介してプッシャー部材3aに伝え、これによりプッシャー部材3aを図16、図17の左右方向に移動させ得るようにした場合を例示してある。
【0025】
前記カップ状物品保持・反転装置4は、前記取出装置3により取り出された一組のカップ状物品を保持するか、あるいは、保持しながら適時に軸4aを中心として回動するものであり、図6、図14及び図17に示すように、バケット1の搬送路をはさんで前記取出装置3と対向する位置に配置されている。
そして、実施例に示すカップ状物品保持・反転装置4は図18〜図22に示すように、一本の軸4aから外方向に突出し、しかも、前記軸4aの長手方向(図18及び図19においては、上下方向)における前後二枚で一組となる保持板4b、4bと、前記軸4aから外方向に突出し、しかも、前記軸4aの長手方向における前後二枚で一組となり、さらに、上下にわずかの間隔を隔てた二枚の保持板4c、4cとを90度の間隔を置いて十字状に配置することによって構成されている。
【0026】
このように、保持板を4bと4cの二種類に区別したのは、上端に鍔dが存在するカップ状物品をカップ状物品保持・反転装置4により正立状態で安定して保持するとともに、カップ状物品保持・反転装置4により安定した状態に保持しながらカップ状物品保持・反転装置4を図20の状態から図21に示すように反時計針方向に180度回動させることによって反転させることができるようにするためである。
【0027】
例えば、正立状態にあるカップ状物品Bはあえて反転させる必要がないため、図18に示すように、一本の軸4aから外方向に突出し、しかも、前記軸4aの長手方向(図18における上下方向)における前後二枚で一組となる保持板4b、4bに前記鍔d部分を係止させ、両側から単に保持するだけで充分である。
これに対し、図20の正立状態から図21においてCで示すように反転させる必要のあるカップ状物品は単に二枚の保持板4b、4bに前記鍔d部分を係止させ、両側から保持しただけでは反転させる際にカップ状物品保持・反転装置4から落下する。従って、図19及び図20に示すように、一本の軸4aから外方向に突出し、しかも、前記軸4aの長手方向(図19における上下方向)における前後二枚で一組となり、さらに、上下にわずかの間隔を隔てた二枚の保持板4c、4cを有するものとし、両保持板4c、4c間に前記鍔d部分を差し込むことによって、反転中及び反転後にも鍔d付のカップ状物品がカップ状物品保持・反転装置4から落下しないようにしたものである。
【0028】
一方、前記吸着装置5は、前記取出装置3により取り出されてカップ状物品保持・反転装置4に載せられた一組のカップ状物品と該カップ状物品保持・反転装置4の回動により反転せしめられた一組のカップ状物品とを一組ごと該カップ状物品保持・反転装置4から一括して絞り出すためのもので、図5、図6、図16及び図17においてPで示す取出ステーション付近の上方に位置している。
【0029】
実施例に示す吸着装置5は、図6〜図11において5aで示す2つの吸着ヘッドに一組(実施例では5個)の吸着パッド6、6を取り付けたもので、両吸着ヘッド5a、5aは図5及び図6に示すようにロボット8のアーム8aの先端に取り付けられている。
そして、一方(図5、図6では右側、図7、図9、図10、図11では下側に現れる)の吸着ヘッド5aは他方(固定側)の吸着ヘッド5aから突出させた2本のガイド杆5b、5bにスライド可能に装着してあって、固定側の吸着ヘッド5aに対して横方向にスライド可能である。これは、両吸着ヘッド5a、5aにそれぞれ取り付けられている一組の吸着パッド6、6間の間隔(横方向の間隔)を変え得るようにするためである。
【0030】
スライド可能な吸着ヘッド5aをもう一方(固定側)の吸着ヘッド5aから突出させた2本のガイド杆5b、5bに沿ってスライドさせるために、実施例では、固定側の吸着ヘッド5aにシリンダー5dを取り付け、そのピストンロッド5eの先端をスライド可能な吸着ヘッド5aに定着してある。シリンダー5dを作動させると、図9、図12及び図13に示すように、スライド可能な吸着ヘッド5aが2本のガイド杆5b、5bに沿ってスライドし、両吸着ヘッド5a、5aに取り付けられている一組の吸着パッド6、6間距離がWからW’に広がる。
【0031】
両吸着ヘッド5a、5aに取り付けられている5個で一組の吸着パッド6、6のうち、両端に位置する吸着パッド6、6は、図8及び図10において5cで示す軸を中心として回動させ得るレバー7、7に取り付けられており、残り3個の吸着パッド6、6は、図8及び図11に示すように固定されたものとしてある。
そして、前記軸5c、5cを中心としてレバー7、7をそれぞれ回動させるために、実施例では、両レバー7、7の軸5c、5cにそれぞれ歯車5f、5fを固定し、一方のレバー7側の歯車5fをモータ5gの軸に取り付けた歯車5hと直接噛み合わせ、また、もう一方のレバー7側の歯車5fはモータ5gの軸に取り付けた歯車5hと噛み合っている中間歯車5iと噛み合わせてある。
【0032】
従って、モータ5gを逆転させると、その回転力が歯車5h、5fを介して、また、中間歯車5i、歯車5fを介してそれぞれのレバー7、7に伝わり、各レバー7、7はいずれも図12の実線の位置から鎖線の位置まで回動し、その先端に取り付けられている吸着パッド6、6が図12の実線の位置から鎖線の位置まで移動せしめられる。
また、モータ5gを正転させると、その回転力が歯車5h、5fを介して、また、中間歯車5i、歯車5fを介してそれぞれのレバー7、7に伝わり、各レバー7、7はいずれも図13の実線の位置から鎖線の位置まで回動し、その先端に取り付けられている吸着パッド6、6が図13の実線の位置から鎖線の位置まで移動せしめられる。
【0033】
前記吸着パッド6は図24に示すように、内周面がカップ状物品を倒立させたときの形状にほぼ一致する断面形状をした筒壁6aを備え、かっ、真空源へ通じる孔6bを有する第一の吸着パッド61と、前記筒壁6a内奥に位置して前記孔6bと連通する第二の吸着パッド62とからなっている。
このように、吸着体パッド6を特殊な形態にしたのは、正立状態のカップ状物品と倒立状態のカップ状物品を一つの吸着パッドでいずれも安定して吸着・保持し得るようにするためである。
【0034】
次に、実施例に示すカップ状物品の集合装置の作用を、図6、図12〜図22に基づいて説明する。
カップ状物品搬送装置2のチェン2aには、図6及び図14に示すように、カップ状物品を収納し得るバケット1が一定間隔を置いて多数配置されており、各バケット1には図15〜図17に示すように正立状態のカップ状物品Bをそれぞれ収納する。
なお、実施例におけるバケット1はその上部1aと四周のうちの一側部1bとが図15及び図16に示すように開放されているから、バケット1の上方からカップ状物品を落とし込むことにより、開放されている部分1aからバケット1内にカップ状物品Bを正立状態で収納することができる。実施例に示すカップ状物品の上端には鍔dが形成されているから、このとき、該鍔d部分が図14、図15及び図20に示すようにバケット1の上面に引っ掛かって静止せしめられる。
そして、前記カップ状物品搬送装置2の走行により、カップ状物品Bはこの状態を保ってバケット1と共に移送せしめられる。
【0035】
カップ状物品搬送装置2の走行により正立状態のカップ状物品Bが一組のカップ状物品を取り出す取出装置3の側方、すなわち、取出ステーションPの所まで移送せしめられると、該取出装置3のモータ3bが作動し、取出装置3のクランク機構3cを介してプッシャー部材3aが図16の実線の位置から同図鎖線の位置まで作動し、前後一組のバケット1、1内にある正立状態の各カップ状物品Bはいずれも前後一組のバケット1、1から取り出される(図示例の場合には、五個で一組)。
なお、各バケット1内に収納されている正立状態のカップ状物品Bは、取出装置3のプッシャー部材3aがバケット1の切欠部1cから侵入することによって押し出される。
【0036】
前後一組のバケット1、1から取り出された正立状態の一組のカップ状物品B、Bは図18〜図20に示すように、保持板4b、4bと保持板4c、4cとを十字状に備えたカップ状物品保持・反転装置4に載せられる。
正立状態にある一組のカップ状物品B、Bはあえて反転させる(倒立状態とする)必要がないため、図18に示すように、一本の軸4aから外方向に突出し、しかも、前記軸4aの長手方向(図18における上下方向)における前後二枚で一組となる保持板4b、4b間に位置させて両保持板4b、4bに前記鍔d部分を係止させることにより、カップ状物品を両側から単に保持するものとする。
これに対し、図20に示す正立状態から図21においてCで示すように反転させる必要のあるカップ状物品は、単に二枚の保持板4b、4bに前記鍔d部分を係止させ、両側から単に保持しただけでは反転させる際にカップ状物品保持・反転装置4から落下する。従って、図19及び図20に示すように、一本の軸4aから外方向に突出し、しかも、前記軸4aの長手方向(図19における上下方向)における前後二枚で一組となり、さらに、上下にわずかの間隔を隔てた二枚の保持板4c、4c間に前記鍔d部分を差し込むようにする。このようにすると、反転中及び反転後にも前記鍔d部分が上下二枚の保持板4c、4cではさまれ、カップ状物品がカップ状物品保持・反転装置4から落下しない。
【0037】
正立状態の一組のカップ状物品B、Bを反転させる(倒立状態とする)必要がない場合には、図22に示すようにこのカップ状物品保持・反転装置4は回動させないものとし、逆に、正立状態の一組のカップ状物品B、Bを反転させる必要がある場合にのみ、このカップ状物品保持・反転装置4を図20の状態から図21に示すように反時計針方向に回動させる。
カップ状物品保持・反転装置4が回動しない場合には、これに載せられた一組のカップ状物品は搬送時と同じ正立状態に保持される。
一方、カップ状物品保持・反転装置4が回動した場合には、これに載せられた一組のカップ状物品はいずれも正立状態から反転せしめられ、倒立状態となる。
【0038】
カップ状物品保持・反転装置4の近くには、図6に示すように吸着装置5が配置されており、前記カップ状物品保持・反転装置4が回動せず搬送時と同じ正立状態に保持されている一組のカップ状物品B、Bは、該吸着装置5により吸着保持され、そのままの姿勢で前記カップ状物品保持・反転装置4から一括して取り出される。
また、カップ状物品保持・反転装置4に移載せしめられた後その回動により反転せしめられて倒立状態となった一組のカップ状物品C、Cは、該吸着装置5により吸着保持され、前記カップ状物品保持・反転装置4から一括して取り出される。なお、倒立状態となったカップ状物品Cをカップ状物品保持・反転装置4から取り出すに当たっては、カップ状物品Cの鍔d部分を上下二枚の保持板4c、4cの間から抜く必要があるから、前記吸着装置5にはそのような動きをさせるものとする。
【0039】
前記カップ状物品保持・反転装置4には、停止と回転とを行わせるものとするが、実施例では、前述したように二つの吸着ヘッド5a、5aにそれぞれ一組の吸着パッド6、6が取り付けてあって、二組の吸着パッド6、6にそれぞれカップ状物品を正立状態と倒立状態に交互に吸着保持させるに当たって、カップ状物品保持・反転装置4は次のような動きをする。
【0040】
二組の吸着パッド6、6にそれぞれカップ状物品を正立状態で吸着させる場合には、まず、前記したように一組のカップ状物品B、Bをカップ状物品保持・反転装置4に正立状態で載せる。そして、カップ状物品保持・反転装置4に正立状態で載せられた一組のカップ状物品B、Bを前記一組の吸着パッド6、6で吸着保持してカップ状物品保持・反転装置4から一括して取り出す。次いで、先程の場合と同じように前記カップ状物品保持・反転装置4に正立状態でカップ状物品B、Bを載せた後、これらを他の一組の吸着ヘッド6、6で吸着保持する。これにより、正立状態の二組のカップ状物品B、Bが一つの吸着装置5に二列に並んだ状態で保持される。
【0041】
一方、二組の吸着パッド6、6にそれぞれカップ状物品を反転させた状態で吸着させる場合には、まず、図20に示すように一組のカップ状物品B、Bをカップ状物品保持・反転装置4に正立状態で載せる。そして、カップ状物品保持・反転装置4を図21に示すように180度回転(図21における反時計針方向)させ、この一組のカップ状物品C、Cを前記一組の吸着パッド6、6で吸着保持してカップ状物品保持・反転装置4から一括して取り出す。次いで、図21の右側の空いている保持板4c、4cを利用して前記カップ状物品保持・反転装置4に再び正立状態でカップ状物品B、Bを載せた後、カップ状物品保持・反転装置4を再び180度回転させ、反転せしめられたこの一組のカップ状物品C、Cを他の一組の吸着パッド6、6で吸着保持する。これにより、反転せしめられた(倒立状態の)二組のカップ状物品C、Cが一つの吸着装置5に二列に並んだ状態で保持される。
なお、実施例において一組のカップ状物品を反転させる場合には、上述したように、上下にわずかの間隔を隔てたカップ状物品保持・反転装置4における二枚の保持板4c、4c間に、カップ状物品の鍔d部分を差し込むことによって、反転中及び反転後にも鍔d付のカップ状物品がカップ状物品保持・反転装置4から落下しないようにしてある。
【0042】
このように、正立状態の二組のカップ状物品B、Bもしくは反転せしめられた二組のカップ状物品C、Cは一つの吸着装置5に二列に並んだ状態で保持されるが、この吸着装置5の一組の吸着パッド6、6のうち両端(図6の上下、図7〜図10、図12及び図13の左右)に位置する吸着パッド6、6は、所定位置にある軸5c、5cを中心として回動させ得るレバー7、7に取り付けられている。
そして、上述したように前記モータ5gを逆転もしくは正転させると、このレバー7、7を図12もしくは図13に示すように時計針方向と反時計針方向に回動させることができる。
従って、吸着装置5に二列に並んだ状態で保持されている二組のカップ状物品のうち、同じ列にある先頭側のものと後尾側のものとをその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右いずれかの新たな列に来るよう移動せしめることができ、両カップ状物品をそれぞれ振り分けることができる。
【0043】
なお、上述したように、一方(図5、図6では右側、図7、図9、図10、図11では下側に現れる)の吸着ヘッド5aが他方(固定側)の吸着ヘッド5aに対して横方向にスライド可能である。固定側の吸着ヘッド5aに取り付けられているシリンダー5dを作動させると、図9に示すように、固定側の吸着ヘッド5aに取り付けられている2本のガイド杆5b、5bに沿ってもう一方の吸着ヘッド5aが固定側の吸着ヘッド5aに対して横方向にスライドするから、カップ状物品の前記振り分けを行うに際して、両吸着ヘッド5a、5aにそれぞれ取り付けられている一組の吸着パッド6、6間の間隔(横方向の間隔)を図7のWから、図9、図12及び図13のW’に広げることができる。
従って、同じ列にある先頭側のものと後尾側のものとをその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右いずれかの新たな列に来るよう移動せしめるに際し、移動中のカップ状物品が隣りの列にあるカップ状物品と衝突することがなく、その移動に支障を来すことがない。そして、先頭側と後尾側の前記物品を移動させた後、前記間隔を再びWに戻すと、図1(c)、図2(c)に示すように元の間隔を保った状態で先頭側と後尾側の物品を振り分けることができる。
【0044】
スライド可能な吸着ヘッド5aをもう一方(固定側)の吸着ヘッド5aから突出させた2本のガイド杆5b、5bに沿ってスライドさせるために、実施例では、固定側の吸着ヘッド5aにシリンダー5dを取り付け、そのピストンロッド5eの先端をスライド可能な吸着ヘッド5aに定着してある。シリンダー5dを作動させると、図9、図12、図13に示すように、スライド可能な吸着ヘッド5aが2本のガイド杆5b、5bに沿ってスライドし、両吸着ヘッド5a、5aに取り付けられている一組の吸着パッド6、6間距離がWからW’に広がる。
なお、図12は正立状態のカップ状物品を、また、図13は倒立状態のカップ状物品を、前記吸着装置5により振り分ける様子を示す。図12及び図13において、各吸着パッド6、6の中心位置を便宜上黒丸印で示してあり、同じ列にある吸着パッドのうち、両端以外のもの(実施例の場合には、3個)は図8及び図11からも分かるようにいずれも吸着ヘッド5aに対して動かない。
【0045】
そして、前記吸着装置5の各吸着パッド6、6の吸着力を解くと、図3に示すように、振り分け後の倒立状態の一組のカップ状物品C、Cと振り分け後の正立状態の一組のカップ状物品B、Bとを前後左右のそれぞれの間に交互に位置させることができる。
実施例では、振り分け後の倒立状態の一組のカップ状物品C、Cと振り分け後の正立状態の一組のカップ状物品B、Bとを図3に示すように1つの箱D内において前後左右のそれぞれの間に交互に位置するごとく収納してある。このようにすると、無駄な空間が除かれ、収納面積を小さくすることができる。なお、この箱Dは、図5及び図6において9で示す搬送装置に載せられて移送されてくるようにするとよい。
【0046】
前記吸着パッド6は図24に示すように、内周面がカップ状物品を倒立させたときの形状にほぼ一致する断面形状をした筒壁6aを備え、かっ、真空源へ通じる孔6bを有する第一の吸着パッド61と、前記筒壁6a内奥に位置して前記孔6bと連通する第二の吸着パッド62とからなっている。
吸着パッド6をこのような構造としておくと、正立状態のカップ状物品は図25(a)に示すように第一の吸着パッド61の下端部分で、また、倒立状態のカップ状物品は図25(b)に示すように第二の吸着パッド62でそれぞれ保持されることになる。
特に、第二の吸着パッド62により保持されている倒立状態のカップ状物品Bは図25(b)に示すように第一の吸着パッド61の筒壁6aで抱持されているから、吸着時の揺れが防止されるだけでなく、吸着面積がたとえ小さい場合であってもこれを安定して保持することができる。
【0047】
なお、倒立状態の一組のカップ状物品と正立状態の一組のカップ状物品を集合させるに当たって、実施例では、カップ状物品が正立状態の同じ姿勢で搬送されてくる場合を例示し、倒立状態にするにはこの状態から反転させる場合について説明したが、その逆の場合でも同じ結果が得られることは勿論である。
また、実施例においては、倒立状態のカップ状物品と正立状態のカップ状物品を一段に集合させる場合について例示したが、複数段積み重ねた状態に集合させることも可能であり、この場合には、前記集合作業を繰り返して行えばよい。
【0048】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、少なくとも同じ姿勢で一列に並んでいる正立状態もしくは倒立状態のカップ状物品のうち、いずれも先頭側のものと後尾側のものとをその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右の新たな列に来るようそれぞれを振り分け、振り分け後の倒立状態の一組のカップ状物品と正立状態の一組のカップ状物品とを前後左右のそれぞれの間に交互に位置させて集める作業を自動的、かつ、安定した状態のもとに行うことができるという効果がある。
【0049】
請求項2記載の発明によれば、前記振り分け作業中において、移動中のカップ状物品が隣りの列にあるカップ状物品と衝突することがなく、その移動に支障を来すことがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二列に並んでいる二組の正立状態のカップ状物品を振り分ける状況を示す説明図である。
【図2】 二列に並んでいる二組の倒立状態のカップ状物品を振り分ける状況を示す説明図である。
【図3】 振り分け後の倒立状態のカップ状物品と振り分け後の正立状態のカップ状物品とを集合させた状態を示す平面図である。
【図4】 図3のA−A線拡大断面図である。
【図5】 二組の正立状態のカップ状物品とこれを反転させて倒立状態としたカップ状物品を集合させるに当たって、本発明の集合方法を実施するのに好適な集合装置の一例を示す全体の側面図である。
【図6】 図5の平面図である。
【図7】 図5、図6に示す集合装置における吸着装置部分のみの平面図である。
【図8】 図7の正面図である。
【図9】 図7に示す吸着装置において、一方(固定側)の吸着ヘッドに対して他方の吸着ヘッドをガイド杆に沿ってスライドさせた状態を示す平面図である。
【図10】 吸着装置に備え付けられている一組の吸着パッドのうち吸着ヘッドの両端に位置する吸着パッドを示す概略図である。
【図11】 吸着装置に備え付けられている一組の吸着パッドのうち吸着ヘッドの中央に位置する吸着パッドを示す概略図である。
【図12】図10に示す吸着パッドの移動前後の状態を示す平面図である。
【図13】図11に示す吸着パッドの移動前後の状態を示す平面図である。
【図14】カップ状物品がバケットに収納された状態を示す平面図である。
【図15】カップ状物品がバケットに収納された状態を示す正面図である。
【図16】 バケットからカップ状物品を取り出す取出ステーションにある取出装置とカップ状物品保持・反転装置とを示す側面図である。
【図17】 バケットからカップ状物品を取り出す取出ステーションにある取出装置とカップ状物品保持・反転装置とを示す平面図である。
【図18】 一本の軸から外方向に突出し、しかも、前記軸の長手方向における前後二枚で一組となる保持板により鍔付のカップ状物品を前後両側から保持している状況を示す平面図である。
【図19】 一本の軸から外方向に突出し、しかも、前記軸の長手方向における前後二枚で一組となり、さらに、上下にわずかの間隔を隔てた上下二枚の保持板間に鍔部分を差し込んだ状態で鍔付のカップ状物品を前後両側から保持している状況を示す平面図である。
【図20】 図19に示すカップ状物品の保持状況を側方から見た拡大側面図である。
【図21】 図20の状態からカップ状物品保持・反転装置を反時計針方向に180度回動させ、カップ状物品を反転させた状態を示す拡大側面図である。
【図22】 図18に示すカップ状物品の保持状況を側方から見た拡大側面図である。
【図23】 カップ状物品の一例を示す斜視図である。
【図24】 本発明による集合方法を実施するのに好適なカップ状物品保持用の吸着パッドの一例を示す断面図である。
【図25】 図24に示す吸着パッドの使用状態を示す断面図で、正立状態のカップ状物品と倒立状態のカップ状物品とを吸着保持している様子を示すものである。
【符号の説明】
1…バケット、1a…上部、1b…側部、1c…切欠部、2…カップ状物品搬送装置、3…取出装置、3a…プッシャー部材、4…カップ状物品保持・反転装置、4a…軸、4b…保持板、4c…反転用、5…吸着装置、5c…軸、6…吸着パッド、6a…筒壁、6b…孔、61…第一の吸着パッド、62…第二の吸着パッド、7…レバー、B、B1〜B5…正立状態のカップ状物品、C、C1〜C5…倒立状態のカップ状物品。
Claims (2)
- 正立状態もしくは倒立状態の同じ姿勢で搬送されてきたカップ状物品のうち、一組のカップ状物品はそのままの状態で、また、他の一組のカップ状物品はこれを反転させた状態とし、同じ列にある正立状態の一組のカップ状物品と同じ列にある倒立状態の一組のカップ状物品はいずれも先頭側のものと後尾側のものとをその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右の新たな列に来るよう移動せしめてそれぞれを振り分け、振り分け後の倒立状態の一組のカップ状物品と振り分け後の正立状態の一組のカップ状物品とを前後左右のそれぞれの間に交互に位置させることを特教とするカップ状物品の集合方法。
- 一組のカップ状物品が複数列に並んでいる状態から先頭側のものと後尾側のものとをその列に位置する各カップ状物品間であってその隣りである左右いずれかの新たな列に来るよう移動せしめるに際し、前記列間距離Wを一旦W’に広げ、先頭側と後尾側の前記物品を移動させた後前記列間距離を再びWに戻すことを特徴とする請求項1記載のカップ状物品の集合方法。
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