JP3712293B2 - 載荷計測装置及び遠隔操作による平板載荷装置 - Google Patents

載荷計測装置及び遠隔操作による平板載荷装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニューマチックケーソンの作業室内などの地盤における平板載荷試験に用いられる遠隔操作による平板載荷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ニューマチックケーソン工法の特徴の一つに、基礎底面支持地盤の地耐力の確認を目的とした平板載荷試験が実施できることがあげられている。例えば、長大橋梁の基礎構造物、その他各種構造物の支持力−沈下量関係を推定するため、ニューマチックケーソンの作業室内において、地耐力試験を行って、鉛直地盤反力係数および、極限支持力を求め地盤の状況を確認するための試験を行うことがある。
【0003】
ところで、ニューマチックケーソンの作業室内でこの平板載荷試験を行なう場合、作業気圧3kgf/cm2 以上においてマスクを介してヘリウム混合ガスを吸引して作業を行う場合、一日の高圧下の時間が90分〜120分程度、函内技術員数が4名以下という制約がある。したがってこの条件下で、最小限の工期において平板載荷試験を実施することが必要とされているが、従来方式では、支柱パイプの所定場所への配置など函内での人数に頼る試験装置のセット作業に多くの時間を要している。
【0004】
図18によって従来の試験方法を説明すると、同図はニューマチックケーソンの作業室内に設置された試験装置を示し、この作業室5の地盤4の表面に厚さ22mm,直径300mmの鋼製円板(以下載荷用平板という)を載置し、平板27の上に油圧ジャッキ20と支柱パイプ26を順次積載し、支柱パイプ26の上端をパイプキャンバー25を介して作業室5の天井スラブ面1に当接している。油圧ジャッキ20は、配管24を介してポンプ23と接続されている。
【0005】
また、載荷用の平板径の3倍以上離れた地盤4の表面に支持脚22を設け、この支持脚22によりH鋼からなる梁材21を支持させ、載荷用平板27に設けられたダイヤルゲージ28は、梁材21に設けられたマグネットスタンド29に接続されている。
【0006】
また、図18において、支柱パイプ26を天井スラブ面1から吊るために、アンカー30によりアイボルト31を設置し、支柱パイプ26の下端フランジ32とアイボルト31の間にV字状に吊上げ用チェーン33を張設することにより、支柱パイプ26の上端を天井スラブ面1に当接した状態に吊下げ、この状態で支柱パイプ26の下端に油圧ジャッキ20を介設し、その後、吊上げ用チェーン33を取外し、油圧ジャッキ20を伸長して載荷試験を行なうものである。
【0007】
ところで、平板載荷試験は、油圧ジャッキ20の可動ピストンの天端を直接天井スラブ面1に当接して試験すれば簡便であるが、実際には、油圧ジャッキ20の天端と天井スラブ面1との間は1.5m〜1.8m以上あり、このスペースを埋めるために支柱パイプ26が使用されている。
【0008】
前記の装置で載荷試験を行うには、まず載荷用平板27を地盤4になじませるため、あらかじめ予想される降伏荷重の約1/10の荷重を平板27にかけてから一旦荷重を取去り、ダイヤルゲージ28の数字を読み取り、変位の原点とする。
【0009】
次に、予想される降伏荷重の約1/10の荷重を載荷用平板27に加え、荷重強度と地盤4の沈下量を読み取る。直ちに、次の荷重段階に荷重を上げ測定を続ける。繰返し載荷は、予想される降伏荷重の1/2荷重付近で行なう。この載荷試験は、通常荷重−沈下曲線が沈下軸に平行になるか、あるいは、荷重強さが地盤の降伏点を越えるまで行ない、そこで試験を打切る。降伏点に達することなしに荷重が増加するときには、平板27の沈下量が、載荷用の平板径の10%に達した時点で打切ることがある。
【0010】
また、試験室内のダイヤルゲージ28や油圧ポンプ20等は、電線管34を介して天井スラブを貫通する計測用コード35と荷重モニター用ケーブル36を介して地上の計測室37に配置された静歪測定器38,パーソナルコンピュータ39,荷重操作盤40と接続されていて、計測室37での遠隔操作により載荷試験が行なえるものであり、その結果は、プリンター41からも出力される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、ニューマチックケーソンの作業室内での載荷試験に際しての函内作業は、少数作業員により、かつ制限された時間内での迅速な作業が要求されるところであるが、図18のような従来方法では、吊上げ用チェーン33を用いての作業員に依る支柱パイプ26の設置であるので、より少ない作業員により、できるだけ短い時間で前記支柱パイプ26の配置を含む試験装置をセットできるシステムの提供という要望に応えることができなかった。
【0012】
前記の要望に応えるには、載荷試験装置を構成する各部材をユニット化し、又は他の構造に改良して、その取扱いと配置の準備作業を容易にすることである。この要望に応え得る一手段として、平板載荷試験に必ず用いられる支柱パイプの構造と、その所定位置へのセット方法については本出願人が別途出願中である。
【0013】
本発明は、載荷試験準備を迅速に行なう他の手段として、従来個別に取扱われ、所定場所に個別にセットされていた載荷用平板と、変位計と、流体圧ジャッキとを一体にまとめてユニット化した載荷計測装置を利用し、前記支柱パイプ26の配置作業等を含む試験操作を遠隔操作で行う遠隔操作による平板載荷装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明に係る平板載荷装置は、天井スラブ面1に固定された走行用レール2に沿って遠隔操作により走行する掘削機3が配設されているニューマチックケーソンの作業室5内で、支柱パイプ6の上部を前記天井スラブ面1に当接し、支柱パイプ6の下部と地盤4との間に載荷用平板7と流体圧ジャッキ8を介装し、この流体圧ジャッキ8を伸長して、前記支柱パイプ6を介して天井スラブ面1に反力をとって載荷試験を行なう平板載荷装置において、支柱パイプ6の下部と地盤4との間に、前記載荷用平板7並びにピストンロッド102が上向きの流体圧ジャッキ8と、作動杆103が前記流体圧ジャッキ8の外側に位置する上向きの変位計44と、囲い枠101とを設置し、これら載荷用平板7と流体圧ジャッキ8と変位計44と囲い枠101とが一ユニットとして構成される載荷計測用ユニット104と、前記遠隔操作される掘削機3の掘削ビット取付部13に着脱自在の支柱パイプ持上げ治具18と、前記支柱パイプ6に設けられ、支柱パイプ支持腕11の両端のローラ17が走行用レール2に乗っている反力受け具10に対し、上方に引き上げられたチェーン15の上端に設けられたフック74を係止させ、操作ハンドル76を操作して、前記チェーン15の長さを縮めることにより前記反力受け具10に反力をとって、前記支柱パイプ6を持上げて天井スラブ面1に当接可能とすることにより、当該支柱パイプ6を前記走行用レール2に沿って吊下り移動可能としたチェーンブロック16とを備え、前記変位計44は、前記流体圧ジャッキ8に備えられ、その作用部が前記支柱パイプ6の下部と当接しており、前記流体圧ジャッキ8は、これから導出され、ケーソン天井スラブ48を貫いて上方に導かれた油圧ホース46を介して地上の計測室50における遠隔油圧ユニット51と油圧ユニットコントローラ52に接続され、前記変位計44は、これから導出されケーソン天井スラブ48を貫いて上方に導かれた計測用ケーブル47を介して前記計測室50における静歪計測器53とパーソナルコンピュータ54に接続されていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図を参照して説明する。
図1はニューマチックケーソンにおける作業室内での掘削機による掘削状況を示し、天井スラブ面1の下面に平行する2本の走行用レール2が固定され、走行用レール2に沿って走行する中央台車本体42に掘削機3が吊下げ支持され、走行用レール2に沿って掘削機3が移動しながら、その先端の掘削バケット43で地盤4を掘削する。
【0017】
図4には、前記の作業室5内において、本発明に係る載荷計測装置を用いて平板載荷試験を行なう状況が示されている。同図の概要を説明すると、支柱パイプ6の上部は、一定の間隔をあけて平行に配設されたH形鋼からなる走行用レール2,2の間に配置されており、かつ支柱パイプ6の上端は天井スラブ面1の下端と当接しており、支柱パイプ6と地盤4との間には、下端に載荷用平板7が一体に設けられた流体圧(油圧)ジャッキ8が配設されている。
【0018】
流体圧ジャッキ8は、さらに変位計44と圧力変換器45とを備えており、これらに接続された油圧ホース46と計測用ケーブル47が、ケーソン天井スラブ48に埋設された貫通金物49を介して作業室5から導出されて地上の計測室50に導かれており、油圧ホース46はこの計測室50内に設置された遠隔油圧ユニット51,遠隔油圧ユニットコントローラ52に、計測用ケーブル47は静歪計測器53,パーソナルコンピュータ54,プリンター55にそれぞれ接続されている。
【0019】
本発明では、載荷用平板7と流体圧ジャッキ8と、変位計44とが所定の配置で一体化された載荷計測ユニット104として構成されているので、次にそれを説明する。
流体圧ジャッキ8は、その伸長により、支柱パイプ6を介して天井スラブ面1に反力をとって載荷用平板7に荷重を加えるものであり、変位計44は載荷用平板7の変位を検知するものであるから、これらを所定の配置で一体的に構成すれば、その取扱いが容易になるが、従来は図18に示すように載荷用平板27と油圧ジャッキ20とダイヤルゲージ(変位計)28等は別構成となっていた。
【0020】
本発明では、図5〜図10に示されるように、載荷用平板7上に流体圧ジャッキ8と変位計44が一体的に設けられている。すなわち、所定寸法の載荷用平板7の上面の中央部において、円周上に複数の支持突起105が設けられており、この支持突起105の内側にピストンロッド106が上向きの流体圧ジャッキ8の下端を嵌装して、この流体圧ジャッキ8と載荷用平板7が一体化されている。
【0021】
また、載荷用平板7の上面で、その外端縁に沿って多角形状の下部支持枠107Aが溶接で固定されており、この下部支持枠107Aの等間隔離れた4ケ所の内側で、かつ四角形の角の部位にそれぞれ等辺山形鋼からなる起立枠108の下端部が当接され、起立枠108と下部支持枠107Aに開設されたボルト孔にボルト109を挿通し、ボルトにナット110を締結することで、起立枠108の下端部が下部支持枠107Aを介して載荷用平板7に固定される。なお、ボルト,ナットに代えて溶接手段を用いてもよく、またこれらを併用してもよい。
【0022】
起立枠108の上端は、流体圧ジャッキ8のピストンロッド102の収縮時における流体圧ジャッキ8とほぼ同じ高さに設けられており、この起立枠108の高さ方向中間部と上端部には、各起立枠108を取囲む配置で下部支持枠107Aと略同じ平面形状の中間部支持枠107Bと、上部支持枠107Cが配設されており、4本の起立枠108と上部支持枠107Cと中間部支持枠107Bの当接部が溶接されて強固に組まれ、これらで囲い枠101を構成している。
【0023】
等辺山形鋼からなる各起立枠108の内側に沿って、作動杆103を上向きに配設した略筒体形状の変位計44が配設されており、この変位計44は、適宜の固定手段、例えば図示のように変位計44と起立枠108とを一体に巻き付けるバンド金具111により、当該変位計44が起立枠108に対して固定されている。
【0024】
前記のように載荷用平板7と流体圧ジャッキ8と変位計44とは一体に構成されて載荷計測ユニット104を構成している。さらに、この載荷計測ユニット104は、その運搬時に吊上げ具(図示せず)に連結するためのフック112付きチェーン113が起立枠108の上端の耳部114の係合孔115に係止されている。
【0025】
また、流体圧ジャッキ8のシリンダの両側には、外端に接続栓116を有し、流体をシリンダ内に供給,排出する接続管117が接続されており、この接続管117の外端部を保護する保護枠118,119が設けられ、一方の保護枠118の両端部120は起立枠108に溶接で固定され、他方の保護枠119は、中間部支持枠107Bに溶接で固定されている。さらに起立枠108には、把手121が対をなして設けられている。
【0026】
本発明に係る載荷計測用ユニット104は、前述のとおり、載荷用平板7と、流体圧ジャッキ8と、変位計44が一体に設けられていて、図4,図5に示す配置で作業室5の地盤4に設置して使用される。このとき、各図に示されるように、流体圧ジャッキ8の天端(つまり、ピストンロッド102の上端)が支柱パイプ6の下端と当接し、かつ変位計44の作動杆103の上端が支柱パイプ6の下端と当接する。
【0027】
この状態において、流体圧ジャッキ8に圧力流体を供給しこれを伸長させ、支柱パイプ6の上端を介して天井スラブ面1に反力をとり、載荷試験を行なうもので、このとき、地耐力の大きさは、載荷用平板7と支柱パイプ6の下端の距離の変化として表れるので、この距離の変化を一端側が作動杆103を介して支柱パイプ6の下端と接し、他端側が載荷用平板7側に固定された変位計44によって計測できる。
【0028】
なお、本発明では、支柱パイプ6を図5の位置に短時間のうちに迅速にセットできるように構成されているので、次のそれを説明する。
【0029】
図5,図6に示すように、支柱パイプ6は作業室5内の地盤4に設置された載荷用平板7を有する流体圧ジャッキ8の天端と、天井スラブ面1との間の空間(スペース)を埋めるために配置されるもので、一般に支柱パイプ6の長さは約1.5m〜1.8m、直径は20cm程度である。
支柱パイプ6は、ケーソン天井スラブ48に設けられた機器の出入部(マテリアルロック)を介して作業室5内に搬入された後、図3に示すように掘削機3の掘削バケット43により持上げられ、その後、若干の技術作業員の手作業を伴って図4、図5の状態にセットされる。
【0030】
このため、支柱パイプ6は次のように構成される。支柱パイプ6は上端と下端に天板56と底板57とを有し、下端から所定の高さ位置、つまり人が把持して持上げて取扱うのに適した位置、具体的には支柱パイプ6の中間より少し下の位置にコ字状の把持具58が固着されている。さらに、支柱パイプ6の上端から所定距離下った位置にストッパー59が設けられており、このストッパー59に係止して下動が規制され、かつその上側において上下動可能に支柱パイプ持上げ用反力受具10が設けられている。
【0031】
この支柱パイプ持上げ用反力受け具10は、それぞれ支柱パイプ挿入孔60を有する上板61と下板62及び、上下板61,62の間に配設され、かつ両端部にパイプ支持腕挿入孔63を有する垂直両側板64,64とから構成されている。
【0032】
前記垂直両側板64のパイプ支持腕挿入孔63には2本の支柱パイプ支持腕11が平行に、かつ挿抜自在に挿入される。支柱パイプ支持腕11は所定長の軸体で構成され、その腕両端にローラ17が回転自在に嵌合されており、かつ支柱パイプ支持腕11の外端から支軸中心部に係止用ねじ65をねじ込むことによりローラ17が支柱パイプ支持腕11の端部から脱嵌しないように設けられている。
【0033】
また、支柱パイプ支持腕11の途中には、この支柱パイプ支持腕11を、その所定の位置までパイプ支持腕挿入孔63に挿入したとき、垂直両側板64の側面に当接してその進入を規制する係止鍔66が設けられていると共に、この係止鍔66と所定の間隔離れて支柱パイプ支持腕11の端部にガイド鍔67が設けられている。
【0034】
また、係止鍔66とガイド鍔67との間において、支柱パイプ支持腕11にはチェーン68の一端に設けられた環状部材69が嵌挿されていて、このチェーン68の他端に設けられた施錠形フック金具70を支柱パイプ持上げ用反力受け具10に設けられた曲げ杆71に係止することによって支柱パイプ支持腕11がパイプ支持腕挿入孔63から脱嵌しないように設けられている。
【0035】
支柱パイプ6の下部の対称位置には操作ハンドル76を有するチェーンブロック16が固定されており、チェーンブロック16から引き出された支柱パイプの持上げ用のチェーン15を上方に引き上げ、その上端に設けられたフック74が前記反力受け具10の曲げ杆71に係止されている。
【0036】
また、支柱パイプ6の中間部より少し上の位置には、掘削ビット取付部13に装着される支柱パイプ持上げ治具18が係止できる軸突起状の係止具19が支柱パイプ6を直径方向に貫通して設けられる。
【0037】
前記構成の支柱パイプ6において、その運搬時、反力受け具10は自重により下ってストッパー59に係止されて停止した位置にある。そして、図11、図12に示すように掘削機3の掘削ビット取付部13に取付けられる支柱パイプ持上げ治具18により支柱パイプ6を鉛直に支持した状態で、かつ平行な左右の走行用レール2の間において支柱パイプ支持腕11が走行用レール2と平行に回動位置しており、かつこの走行用レール2とほぼ同じ高さがそれよりも少し下の高さ位置になるまで持上げ、つづいて作業者の手で反力受け具10を持上げて、支柱パイプ支持腕11が走行用レール2の係合縁75より上の位置で、支柱パイプ支持腕11を90°回わすと共に、反力受け具10の持上げを解除することにより支柱パイプ支持腕11が下がりこの支柱パイプ支持腕11の両端のローラ17が走行用レール2の係合縁75に乗る。
【0038】
このとき、支柱パイプ6は掘削機3に取付けてある支柱パイプ持上げ治具18によって所期の高さ位置に保持されており、かつ支柱パイプ6の上端は天井スラブ面1から離れている。したがって、この状態では未だ支柱パイプ6の上端は天井スラブ面1と当接しておらず、かつ支柱パイプ持上げ治具18による支柱パイプ6の持上げを解除すると、支柱パイプ6はさらに自重で降下するため、そのパイプ上端を天井スラブ面1に当接させることができない。
【0039】
そこで本発明では、この場合、チェーンブロック16の操作ハンドル76を操作して、チェーン15の長さを縮めることにより、支柱パイプ支持腕11の両端のローラ17が走行用レール2に乗っている反力受け具10に反力をとって、このチェーンブロック16により支柱パイプ6を大きな力で持上げることができ、しかもその持上げ操作を微妙にコントロールしながら容易かつ正確に持上げて、天板56を天井スラブ面1の所期の位置に円滑に当接させることができ、操作ハンドル76から手を離してもその持上げ状態を保持できる。
【0040】
支柱パイプ6をその天板56が天井スラブ面1に当接するよう持上げる手段として、チェーンブロック16の他に掘削ビット取付部13に取付けた支柱パイプ持上げ治具18のみによることも可能ではあるが、この方法は、掘削機3による微妙な操作が難しく、チェーンブロック16による操作の方が容易,迅速に作業できることから本発明では支柱パイプ持上げ治具18とチェーンブロック16とを併用している。
【0041】
また、チェーンブロック16を操作して、パイプ天板56が天井スラブ面1から所定間隔下った位置になるように支柱パイプ6を任意の高さ位置に、かつ鉛直に支持できるので、支柱パイプ支持腕11の両端のローラ17が走行用レール2に沿って転動するように支柱パイプ6を軽く押すだけでこの支柱パイプ6を走行用レール2に沿って簡単に手際よく移動でき、作業室内における複数地点で地盤4の平板載荷試験を素早く行なうことが可能である。
【0042】
次に、支柱パイプ持上げ治具18の構造を図16〜図17によって説明する。この支柱パイプ持上げ治具18は基端に掘削ビット取付部13への着脱部73を有する腕部72を有し、この腕部72の先端に、前面中心からガイド軸77が突出しており、かつガイド軸77を中心に複数のガイド円弧孔78を有する鍔状固定支持板79が一体に設けられている。
【0043】
さらに、パイプ持上げ治具18は、中心にガイド孔80を有すると共に、周辺部に複数のボルト孔81を有し、前記ガイド孔80を前記ガイド軸77に挿入したうえ、前記鍔状固定支持板79の前面に重合する鍔状可動支持板82を有しており、この鍔状可動支持板82の前面には、溝形鋼を平面からみて略コ字状に固着して構成される支持枠83の基部84が固定されており、かつガイド軸77は基部84に形成された軸孔85を貫通しており、かつ基部84がガイド軸77から脱出しないように、ガイド軸先端に係止ナット86が係合されている。
【0044】
支持枠83の両側部87の上面には、上方が開放されたU溝88を有する支持板89が固着されており、支持枠83の内側に支柱パイプ6を位置させたうえ、この支柱パイプ6に設けた係止具19を前記U溝88に係合させることができる。また、支持板89には軸ピン90によってU溝開閉アーム91が回動自在に設けられており、支柱パイプ6の係止具19をU溝88に係合したうえ、開閉アーム91を倒してU溝88を閉じ、かつ開閉アーム91の先端折り曲げ部92と支持板折り曲げ部93を接合し、かつ各折り曲げ部92,93に開設されたピン孔94,95に小ストッパーピン96を挿入することにより開閉アーム91の上向きの回動を規制し、これによってU溝88から支柱パイプ6の係止具19がみだりに脱出することがないように設けられている。なお、小ストッパーピン96の基端の環体97に鎖98の先端を係止し、鎖98の他端を支持枠83に溶接した係止環99に係合することにより、小ストッパーピン96が紛失しないようになっている。
【0045】
支柱パイプ持上げ治具18の基端腕部72に設けられる掘削ビット取付部13への着脱部73は、嵌合凹部100を有し、この嵌合凹部100に掘削機3の複数の掘削ビット取付部13のうちの掘削ビットを取外したいずれかのビット取付部先端を挿入し、前記着脱部73に形成されたクサビ孔101と、掘削ビット取付部13に形成されたクサビ孔102とを合致させたうえ、各クサビ孔101,102に上方からクサビ103を打込むことにより、パイプ持上げ治具18は、掘削ビット取付部13に対し、着脱自在に取付けられる構造となっている。
【0046】
本発明の実施の形態は、前記の構成を有しており、ケーソン天井スラブ48に設けられたメカニカルロック(図示せず)を通して支柱パイプ6を作業室5内に搬入し、図3に示すように掘削機3の掘削ビット取付部13に取付けた支柱パイプ持上げ治具18によって支柱パイプ6を支持させ、掘削機3を地上での遠隔操作により駆動することで、この支柱パイプ6を図3に示す場所に移動させ、この位置で掘削機3を一旦停止する。
【0047】
このとき、支柱パイプ6のチェーンブロック16のチェーン15は緩められていて、反力受け具10は降下して、ストッパー59に係止しており、支柱パイプ支持腕11は、走行用レール2よりも下の位置にあるので、この位置で支柱パイプ支持腕11を走行用レール2と略平行となるように回動変位させたうえ、この反力受け具10を作業者の手で持上げ、支柱パイプ支持腕11が走行用レール2の係合縁75より上になった時点で、反力受け具10と共に支柱パイプ支持腕11を90°回転させ、かつこの支柱パイプ支持腕11をゆっくりと下げることにより、この支柱パイプ支持腕11の両端のローラ17を走行用レール2の係合縁75上に載置することができる。
【0048】
次に、作業者の手元作業でチェーンブロック16の操作ハンドル76を操作し、上端が反力受け具10に係止されているチェーン15の下端を巻取ることで、反力受け具10に設けられ、両端のローラ17が走行用レール2に乗っている支柱パイプ支持腕11に反力をとってチェーン15を介して支柱パイプ6が持上げられ、パイプの天板56が天井スラブ面1と当接するので、このときハンドル操作を止めると、このパイプ上端が天井スラブ面1に当接した状態が保持できる。次に、図5に示すように支柱パイプ6の下端と地盤4との間に載荷用平板7を有する流体圧ジャッキ8をかませることで載荷試験の準備は完了する。
【0049】
その後、支柱パイプ持上げ治具18のU溝88の開口を閉じている開閉アーム91を開き、この支柱パイプ持上げ治具18を下げることにより支柱パイプ6の係止具19をU溝88から脱出させることができ、載荷試験の邪魔とならない位置に掘削ビット13とともに移動できる。
【0050】
その後、流体圧ジャッキ8に所定の圧力流体を送り支柱パイプ6を介して天井スラブ面1に反力をとり、載荷用平板7に圧力を加えその地点の載荷試験を行なう。
【0051】
また複数地点での載荷試験を行なうときは、一地点での載荷試験が終ると支柱パイプ6を次の試験地点に移動することになる。この場合は、支柱パイプ6の下端から流体圧ジャッキ8を取外した後、チェーンブロック16のハンドル76を操作して、チェーン15の巻き取りを緩めることにより、支柱パイプ6の上端が天井スラブ面1より離れるよう若干下げた状態に保持する。
【0052】
つぎに、支柱パイプ6を鉛直に保持した状態で、この支柱パイプ6を走行用レール2に沿う方向に押すことにより、支柱パイプ支持腕11のローラ17が走行用レール2に沿って転動し、よって、支柱パイプ6を円滑かつ容易に次の試験地点に移動させることができる。この地点で再びチェーンブロック16を操作して支柱パイプ6の天板56を天井スラブ面1に当接させ、かつ支柱パイプ6と地盤4との間に流体圧ジャッキ8をかませて、この地点での載荷試験を行なう。
【0053】
なお、本発明に係る載荷計測装置が適用できる支柱パイプは、図に示した構造のものに限定されず従来の支柱パイプ6にも適用できる。さらに、この載荷計測装置は支柱パイプを介さないで、天井スラブ面1に直接反力をとって載荷試験を行なう場合にも適用できる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、ニューマチックケーソンの作業室内で平板載荷試験を行なうに際して、その試験に用いられる載荷用平板7と流体圧ジャッキ8と変位計44とが所定の配置で一体化されて、載荷計測ユニット104として構成されているので、従来の載荷計測装置において、個別に取扱われていた載荷用平板と流体圧ジャッキと変位計に比べ、これら載荷用平板、流体圧ジャッキ、変位計の所定位置への配置、持ち運びが著るしく簡便なものとなり、熟練を必要とせず、少ない作業人員で、かつ短時間内に平板の載荷試験の準備を迅速に行なうという要望に応えるうえで大きく寄与することができる。
また、本発明によると、ニューマチックケーソン作業室内の複数箇所で平板載荷試験を行なうために支柱パイプ6を持上げ又は、走行用レール2に沿って移動させる作業を遠隔操作可能な掘削機3により行うことができると共に、油圧ホース46を介して流体圧ジャッキ8を地上から遠隔操作でき、また、計測用ケーブル47を介して変位計44の出力信号を地上で読取って計測するなど、ニューマチックケーソン作業室内での載荷試験のために必要な程度の作業を遠隔操作で、しかも迅速かつ容易に行なうことができるというすぐれた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニューマチックケーソンの作業室を示す断面説明図である。
【図2】平板の載荷試験を用いられる支柱パイプの作業室内への搬入時の拡大正面図である。
【図3】掘削機を用いて支柱パイプを持上げる状態を示す拡大説明図である。
【図4】本発明の載荷計測装置により平板載荷試験を行なう状態の説明図である。
【図5】図4における平板載荷試験装置の拡大説明図である。
【図6】図5における載荷計測装置の拡大図である。
【図7】図6における載荷計測装置の平面図である。
【図8】図6における載荷計測装置の一部縦断側面図である。
【図9】載荷計測装置の運搬時の側面図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】支柱パイプをその上端をスラブ天井面に当接支持させるための第1ステップ図である。
【図12】同じく第2ステップ図である。
【図13】同じく第3ステップ図である。
【図14】同じく第4ステップ図である。
【図15】支柱パイプ支持用反力受け具の上部において支柱パイプを横断し、下方に見た断面図である。
【図16】支柱パイプ持上げ治具と掘削ビット取付部との結合時の一部切断平面図である
【図17】図16の一部切断側面図である。
【図18】従来の載荷計測装置の説明図である。
【符号の説明】
1 天井スラブ面
2 走行用レール
3 掘削機
4 地盤
5 作業室
6 支柱パイプ
7 載荷用平板
8 流体圧ジャッキ
10 支柱パイプ持上げ用反力受け具
11 支柱パイプ支持腕
12 支柱パイプ引上げ用牽引手段
13 掘削ビット取付部
15 チェーン
16 チェーンブロック
17 ローラ
18 支柱パイプ持上げ治具
19 係止具
20 油圧ジャッキ
21 梁材
22 支持脚
23 ポンプ
24 配管
25 パイプキャンバー
26 支柱パイプ
27 載荷用平板
28 ダイヤルゲージ
30 アンカー
31 アイボルト
32 下端フランジ
33 吊上げ用チェーン
34 電線管
35 計測用コード
36 荷重モニター用ケーブル
37 計測室
38 静歪計測器
39 パーソナルコンピュータ
40 荷重操作盤
41 プリンター
42 中央台車
43 掘削バケット
44 変位計
45 圧力変換器
46 油圧ホース
47 計測用ケーブル
48 ケーソン天井スラブ
49 貫通金物
50 計測室
51 遠隔油圧ユニット
52 遠隔油圧ユニットコントローラ
53 静歪計測器
54 パーソナルコンピュータ
55 プリンター
56 天板
57 底板
58 把持具
59 ストッパー
60 支柱パイプ挿入孔
61 上板
62 下板
63 パイプ支持腕挿入孔
64 垂直平側板
65 係止用ねじ
66 係止鍔
67 ガイド鍔
68 チェーン
69 環状部材
70 施錠形フック金具
71 曲げ杆
72 基端腕部
73 着脱部
74 フック
75 係合縁
76 操作ハンドル
77 ガイド軸
78 ガイド円弧孔
79 鍔状固定支持板
80 ガイド孔
81 ボルト孔
82 鍔状可動支持板
83 支持枠
84 基部
85 軸孔
86 係止ナット
87 両側部
88 U溝
89 支持板
90 軸ピン
91 U溝開閉アーム
92 先端折り曲げ部
93 支持板折り曲げ部
94 ピン孔
95 ピン孔
96 小ストッパーピン
97 環体
98 鎖
99 係止環
100 嵌合凹部
101 囲い枠
102 ピストンロッド
103 作動杆
104 載荷計測用ユニット
105 支持突起
106 ピストンロッド
107A 下部支持枠
107B 中間部支持枠
107C 上部支持枠
108 起立枠
109 ボルト
110 ナット
111 バンド金具
112 フック
113 チェーン
114 耳部
115 係合孔
116 接続栓
117 接続管
118 保護枠
119 保護枠
120 両端部
121 把手
122 伸縮式ブーム
123 ブーム俯仰用液圧ジャッキ
124 旋回台
125 バケット回動用液圧ジャッキ

Claims (1)

  1. 天井スラブ面1に固定された走行用レール2に沿って遠隔操作により走行する掘削機3が配設されているニューマチックケーソンの作業室5内で、支柱パイプ6の上部を前記天井スラブ面1に当接し、支柱パイプ6の下部と地盤4との間に載荷用平板7と流体圧ジャッキ8を介装し、この流体圧ジャッキ8を伸長して、前記支柱パイプ6を介して天井スラブ面1に反力をとって載荷試験を行なう平板載荷装置において、
    支柱パイプ6の下部と地盤4との間に、前記載荷用平板7並びにピストンロッド102が上向きの流体圧ジャッキ8と、作動杆103が前記流体圧ジャッキ8の外側に位置する上向きの変位計44と、囲い枠101とを設置し、これら載荷用平板7と流体圧ジャッキ8と変位計44と囲い枠101とが一ユニットとして構成される載荷計測用ユニット104と、
    前記遠隔操作される掘削機3の掘削ビット取付部13に着脱自在の支柱パイプ持上げ治具18と、
    前記支柱パイプ6に設けられ、支柱パイプ支持腕11の両端のローラ17が走行用レール2に乗っている反力受け具10に対し、上方に引き上げられたチェーン15の上端に設けられたフック74を係止させ、操作ハンドル76を操作して、前記チェーン15の長さを縮めることにより前記反力受け具10に反力をとって、前記支柱パイプ6を持上げて天井スラブ面1に当接可能とすることにより、当該支柱パイプ6を前記走行用レール2に沿って吊下り移動可能としたチェーンブロック16とを備え、
    前記変位計44は、前記流体圧ジャッキ8に備えられ、その作用部が前記支柱パイプ6の下部と当接しており、
    前記流体圧ジャッキ8は、これから導出され、ケーソン天井スラブ48を貫いて上方に導かれた油圧ホース46を介して地上の計測室50における遠隔油圧ユニット51と油圧ユニットコントローラ52に接続され、前記変位計44は、これから導出されケーソン天井スラブ48を貫いて上方に導かれた計測用ケーブル47を介して前記計測室50における静歪計測器53とパーソナルコンピュータ54に接続されていること
    を特徴とする遠隔操作による平板載荷装置。
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