JP3712199B2 - 半導体集積回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はメモリ装置すなわちメモリセルが集積化された半導体集積回路に係り、特にメモリセルから読み出された微小な電位差を有する一対の相補信号を高速かつ大きな増幅率で増幅するセンスアンプ回路技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
メモリセルからの読み出し信号を増幅するための従来のセンス回路の一例としては、特開昭52−8734号は図3に記載のように、相補対入力信号d, ̄dがセンスアンプ回路の2つの駆動MOSトランジスタQ13,Q14のゲートおよびドレインにたすきがけに接続されており、上記2つの駆動MOSQ13,Q14のドレインが、それぞれ相補対出力信号D, ̄Dとなっている。
【0003】
また、米国特許第4,335,449号は図4に記載のように、2つの負荷MOSトランジスタQ21,Q22をたすきがけに接続し、駆動トランジスタQ23,Q24にバイポーラトランジスタを用い、2つの駆動バイポーラトランジスタQ23,Q24のベースに、相補的対入力信号d, ̄dが接続される。
【0004】
なお、従来のセンス回路としては、他にも特開昭62―46489号公報や米国特許第4,247,791号などにも記載がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開昭52−8734号(図3参照)は、相補対入力信号d, ̄dが、センスアンプ回路中の駆動MOSQ13,Q14のゲートとドレインの両方に接続されており、かつ入力信号線d, ̄dと出力信号線D, ̄Dとが直接接続されているため、出力信号線D, ̄Dの負荷容量が非常に大きい場合には、高速で増幅できないと言う欠点と、正帰還動作のために、相補対入力および出力信号の反転が遅いと言う欠点を有することが本願発明者の検討により明らかとされた。
【0006】
また、上記米国特許4,335,449号(図4参照)は、バイポーラトランジスタQ23,Q24を用いて、出力信号線の負荷容量を駆動しているが、相補対入力信号d, ̄dの電位差が小さい場合は、この入力電位差に応答したバイポーラトランジスタQ23,Q24の動作電流がたすきがけ接続された負荷MOSトランジスタQ23,Q24の動作電流がたすきがけ接続された負荷MOSトランジスタQ21,Q22に流れている正帰還保持電流に対して弱く微小な入力信号に応答してバイポーラトランジスタQ23,Q24と負荷MOSトランジスタQ21,Q22とが反転できず、微小な入力信号に対する高速センス動作が困難であると言う欠点を有することも本願発明者の検討により明らかとされた。
【0007】
従って、本発明の目的は上述の従来技術の欠点を克服し、高速動作可能なセンスアンプ回路を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記したように、メモリセルから読み出された微小な入力信号に対する高速センス動作を可能とするため、ゲートとドレインとがクロスカップル接続された負荷MOSトランジスタに接続された一対のトランジスタの相補出力間に第1スイッチング手段を接続し、上記読み出し信号に応答して上記一対のトランジスタが反転する際この第1スイッチング手段を第1制御信号により導通せしめ、しかる後上記第1スイッチング手段を非導通状態に制御させるものである。
【0009】
一方、上述したように、負荷容量が非常に大きいセンスアンプの出力信号線を高速に駆動するため、プリアンプはその入力信号線とその出力信号線とが直結された回路形式を有してなり、メモリセルからの信号読み出しを開始するためプリアンプとセンス増幅器とを活性状態に制御して、メモリセルから読み出された相補信号をプリアンプで増幅し、このプリアンプの相補増幅出力信号をさらに後段のセンスアンプで増幅し、このセンスアンプの相補出力信号によってセンスアンプの出力信号線の重負荷容量を駆動する如き多段増幅回路構成とするとともに、後段のセンスアンプの増幅動作がほぼ終了した時点(メモリセルからの信号読み出し開始から所定時間経過後)で前段のプリアンプを非活性状態に制御し、後段のセンス増幅器を活性状態に維持するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1により説明する。Q1,Q2,Q6,Q8はpチャネルMOSトランジスタ(以下pMOSと称する)、Q3,Q4,Q5,Q7,Q9はnチャネルMOSトランジスタ(以下nMOSと称する)であり、d, ̄dは本実施例のセンス回路に入力する一対の相補信号でありメモリセルからの相補読出信号が伝達され、D,D ̄は本センス回路から出力する一対の相補信号、 ̄φ1,φ1, ̄φ2,φ2は、それぞれトランジスタQ6,Q7,Q8,Q9を駆動するパルス信号、NMOSQ5のゲート端子に印加されるSACは本センスアンプの活性化信号であり、これらの信号のタイミングは図2に示すが、特に、PMOSQ1,Q2はクロスカップル接続された負荷MOS,NMOSQ3,Q4は差動トランジスタ、PMOSQ8とNMOSQ9とは第1スイッチング手段として動作し、パルス信号φ2, ̄φ2は第1制御信号である。
【0011】
尚、作動トランジスタQ3,Q4はnpnバイポーラトランジスタによって置換されることも可能である。又、トランジスタQ6,Q7はどちらか一方のみでもよく、トランジスタQ8,Q9についてもどちらか一方のみで動作可である。
【0012】
d, ̄dはスタティック型メモリセルから読み出される微小電位差を有するセンスアンプの一対の相補入力信号で、信号遷移期間中にパルス信号 ̄φ1,φ1により相補入力信号電位差縮小用MOSトランジスタQ6,Q7が導通され、d, ̄dが同電位とされ、反転読み出しが高速化される。続いて、パルス信号 ̄φ2,φ2により相補出力信号電位差縮小用MOSトランジスタQ8,Q9が導通され、補相出力信号D, ̄Dが同電位にされるとともに、クロスカップル接続された負荷MOSトランジスタQ1,Q2の正帰還保持動作が弱められるので、反転読み出しが高速化される。次に、一対の相補信号がメモリセルよりd, ̄dに読み出されはじめるのと同時に、Q6,Q7が非導通とされ、d, ̄d間の電位差が広がる。続いて、Q8,Q9も非導通とされる。
【0013】
今、図2のタイミング図の時間軸において、時刻t1からt2へ遷移した時点を考える。このとき、dの電位は下降し、 ̄dの電位は上昇するが、ノードN1とN2はまだ同電位である。したがって、Q3のドレイン電流は減少し、Q4のドレイン電流は増加し、その後ノードN1の電位は上昇しノードN2の電位は下降し始める。このため、Q1のドレイン電流が増加しQ2のドレイン電流が減少し、さらにノードN1の電位が上昇しノードN2の電位が下降する。これがさらに、Q1のドレイン電流を増加させQ2のドレイン電流を減少させ、ノードN1の電位を上昇させノードN2の電位を下降させる方向に働く。すなわち、本センスアンプのノードN1,N2には正帰還が働き、急速に電位差を広げる効果があり、きわめて高速センスアンプを実現することができる。
【0014】
すなわち、相補入力信号d, ̄dに差動トランジスタQ3,Q4が応答するとともに、負荷MOSトランジスタQ1,Q2がこの差動トランジスタQ3,Q4に応答するため、負荷容量の大きい相補出力補出力D, ̄Dを高速で充電もしくは放電することができる。
【0015】
本センスアンプにおいて、Q6,Q7,Q8,Q9はきわめて重要な役割を果たしている。すなわち相補入力信号d, ̄d間および相補出力信号D, ̄D間を、信号遷移期間中に短絡し、信号遷移を速やかに行なわせる働きをしている。Q6,Q7,Q8,Q9を用いない場合のd, ̄dおよびD, ̄Dのタイミングを図2に破線で示している。このとき、負荷MOSトランジスタQ1,Q2の正帰還回路の作用により相補出力信号D, ̄Dの遷移が妨げられ、相補入力信号電位差が大きくなる時刻t3に至ってやっとD, ̄Dの遷移が生じる。すなわち、センス速度が大幅に遅くなる。あるいは、相補入力信号d, ̄dの最大電位差が小さい場合は、相補出力信号D, ̄Dの遷移が生じない、すなわち正しいデータが読みだされない場合が生じ得る。
【0016】
以上のように、ゲートとドレインとがクロスカップル接続された負荷MOSトランジスタに接続された一対のトランジスタの相補出力間に第1スイッチング手段を接続し、上記読み出し信号に応答して上記一対のトランジスタが反転する際この第1スイッチング手段を第1制御信号により導通せしめた後上記第1スイッチング手段を非導通状態に制御させるという制御を行うことにより、第1制御信号により第1スイッチング手段が導通状態のときにクロスカップル接続された負荷MOSトランジスタの正帰還保持動作が解消されるので、微小な入力信号に応答して一対のトランジスタは高速の反転動作をすることが可能となる。
【0017】
一方、負荷容量が非常に大きいセンスアンプの出力信号線を高速に駆動するため、プリアンプはその入力信号線とその出力信号線とが直結された回路形式を有してなり、メモリセルからの信号読み出しを開始するためプリアンプとセンス増幅器とを活性状態に制御して、メモリセルから読み出された相補信号をプリアンプで増幅し、このプリアンプの相補増幅出力信号をさらに後段のセンスアンプで増幅し、このセンスアンプの相補出力信号によってセンスアンプの出力信号線の重負荷容量を駆動する如き多段増幅回路構成とするとともに、後段のセンスアンプの増幅動作がほぼ終了した時点(メモリセルからの信号読み出し開始から所定時間経過後)で前段のプリアンプを非活性状態に制御し、後段のセンス増幅器を活性状態に維持する。これにより、後段のセンスアンプの増幅動作がほぼ終了した時点で前段のプリアンプが非活性状態に制御されるので、プリアンプの相補入出力すなわちセンスアンプの相補入力の電位差が必要量以上に拡大されることが無くなり、次の反転読み出しを高速に実行することが可能となる。また、プリアンプが非活性状態に制御されても、メモリセルから読み出された信号は非活性状態のプリアンプの入力信号線と出力信号線との間の直結経路を介して活性状態に制御されたセンス増幅器の入力に伝達され増幅されるので、センス増幅器の増幅出力の消失を回避することができる。
【0018】
本発明の他の実施例を図5に示す。図5の実施例は、第一の実施例(図1)において、pMOSとnMOSの役割が入れ替わった構成となっており、図1と同様にきわめて高速かつ大増幅率で増幅する効果がある。
【0019】
本実施例においてもMOSトランジスタQ36とQ37はどちらか一方でもよく、Q38とQ39のどちらか一方でも所望の動作が可能である。
【0020】
図6もまた、本発明の他の実施例である。図6は、図1の回路を2段縦続接続した構成になっており、2段縦続接続することにより増幅率をさらに大きくでき、相補出力信号D, ̄Dの電位差を電源電圧いっぱいまで広げることができる。また、図6の回路では2段目センスアンプ部のトランジスタQ46〜Q50のサイズを大きくして、負荷駆動能力を協力化し、D, ̄Dに大きな負荷容量が接続される場合、この負荷容量を高速に駆動することができる。
【0021】
図7も本発明の他の実施例である。図7の回路は、従来からよく知られたNMOS差動Q43,Q44,Q43′,Q44′およびPMOSカレントミラーQ41,Q42,Q41′,Q42′からなるセンスアンプを初段とし、図1の回路を2段目のセンスアンプとして縦続接続した構成となっている。
【0022】
本発明は、相補出力D, ̄Dを出力するところのいわゆるダブル・エンドセンス増幅器に関係するものである。カレントミラー負荷を使用する場合は、相補出力を得るためには二つのカレントミラー負荷回路が必要である。図7の第1段目のカレントミラー負荷回路型センスアンプは高速であるものの、図7の第2段のクロスカップル接続負荷回路型センスアンプほどは高速では無い。また、第2段目のトランジスタ数が5であるのに対して第1段目のトランジスタ数が9であると言う欠点がある。
【0023】
しかし、図7においては第1段目にカレントミラー負荷回路型センスアンプを用いることによって、下記の如き利点を生じるものである。
【0024】
すなわち、メモリ装置を高速とするためには、メモリ装置のワード線選択のためのワード線駆動信号の印加の時点からセンスアンプからの出力までの時点までの遅延TDを小さくすることが重要である。一方、上記のワード線駆動信号の印加の時点からMOSトランジスタQ51,Q52,Q53,Q54,Q55,Q56の非導通による相補信号線間の電位差縮小動作終了までの時点までの遅延TEが存在する。
【0025】
図21の横軸は後者の遅延TEを示し、その縦軸は前者の遅延TDを示し、図21図中で実践は図7の実施例の特性を示し、破線は図6の実施例の特性を示している。
【0026】
いずれの特性においても、ワード線駆動信号の印加の時点から相補信号線間の電位差縮小動作終了までの時点までの遅延TEが短すぎると、センスアンプ中の差動トランジスタもしくは負荷トランジスタの対となっているトランジスタのしきい値電圧などの電気的特性差によって、センスアンプの第1段目の相補入力信号の振幅が微小である間に、センスアンプの第1段目の差動トランジスタの相補出力から誤情報が一時的に出力されてしまい、第1段目の差動トランジスタの相補出力から正しい情報を得るために遅れが生じることとなる。この遅れが、上記ワード線駆動信号の印加の時点からセンスアンプからの出力までの時点までの遅延TDを支配的に決定することとなる。
【0027】
図6の実施例のセンスアンプの第1段目の正帰還負荷の増幅率が大きいため、この第1段目の出力から大きな振幅で誤情報が出力されることになる。一方、図7の実施例のセンスアンプの第1段目のカレントミラー負荷の増幅率は図6の正帰還負荷の増幅率と比較して小さいので、図7の実施例のセンスアンプの第1段目の出力から生じる誤情報の振幅は小さいものとなり、図7の遅延TDは小さなものとなる。
【0028】
以上のように図6の実施例と比較して図7の実施例は負荷回路の増幅率が小さいので、上記の電位差縮小動作終了に関係する遅延TEが短くなっても、上記のセンスアンプ出力に関係する遅延TDはそれほど大きくなることは無い。
【0029】
従って、図7の実施例によれば、電位差縮小動作終了に関係する遅延TEの最小値は図6の実施例と比較して1.3nS小さくすることが可能となって、この遅延時間TEに関するタイミング・マージンを大きくすることができる。
【0030】
図8も本発明の他の実施例である。図8の回路は、接地電圧の如き固定電圧がゲートに印加されたPMOSQ41,Q42を負荷とする差動アンプを初段とし、図1の回路を2段目センスアンプとして縦続接続した構成となっている。
【0031】
図7,図8の構成においても、2段目の正帰還型センスアンプにより、データバスD, ̄Dの大きな負荷容量を高速で駆動することができる。
【0032】
図9の回路は、公知のセンス回路であり、カレントミラー型アンプを2ケ並列接続したアンプを2段縦接続した構成となっている。
【0033】
図10は、本発明の一実施例である図6のセンス回路と従来例である図9のセンス回路の遅延時間をセンスアンプ平均電流に対して示したグラフである。図10より、本発明の一実施例である図6のセンス回路は、従来例である。図9のセンス回路に比べて2倍以上の高速性を有することが明らかである。
【0034】
図11は本発明のもう一つの実施例であり、スタティック型ランダムアクセスメモリ(SRAM)を構成する。図11においてSRAMセルからの読出し信号を増幅するためのSAとして図6のセンスアンプ回路が使用され、MAとしては図1のセンスアンプ回路にトライステート出力コントロール用PMOSトランジスタQ71,Q72を付加したメインアンプ回路である。
【0035】
図12は本願発明者等によって出願前に検討された集積回路の一例であるが、図11の実施例は図12に比べてトランジスタ数が大幅に低減しており、消費電流およびレイアウト面積がほぼ半分となっている。
【0036】
その上、図11の回路を用いると大幅に高速化が可能となり、メモリセル情報がDoutに到達するまでの時間が、図12の回路を用いた場合の約半分にまで減少することが、回路解析により確認されている。
【0037】
これは図12の回路においては負荷PMOSトランジスタがカレントミラー接続されているため負荷MOSの利得が小さいのに対して、図11の回路においては負荷PMOSトランジスタが正帰還クロスカップル接続されているため負荷MOSの利得が大きいことに起因している。
【0038】
図13は、図11のセンス回路を1MビットSRAMに適応した際の回路解析による動作波形を示す。図13において、コモンデータ線d, ̄dの微小な電位差が、初段および2段目のセンスアンプ(図11のSA)で高速に増幅され、CMOSレベルの信号S2, ̄S2が得られる。信号S2, ̄S2は大きな配線容量を有するデータバスを伝播した後、メインアンプ(図11のMA)の入力端においてなまった波形(図13D, ̄D)となるが、D, ̄Dに微小電位差が生じるやいなやメインアンプで増幅することにより高速なメインアンプ出力信号D1, ̄D1が得られ、インバータINV1,INV2を経て出力トランジスタQ75,Q76を駆動する。このように、図11の回路構成によれば、センスアンプ初段、2段目およびメインアンプの動作を1ns程度の遅延で行われることができ、きわめて高速で出力Doutを得ることができる。図13の例においては、コモンデータ線d, ̄dに電位差が生じ始めてから3ns程度出力Doutが得られている。
【0039】
さらに、図12では、データ出力制御信号DOCに応答してメインアンプMAの後に出力端Doutの高インピーダンス状態を決定するための出力制御回路DBを用いているのに対し、図11の実施例においては、データ出力制御信号DOCにより制御されるNMOSトランジスタQ70によりメインアンプMAの活性状態あるいは非活性状態を制御する一方、出力端Doutを高インピーダンス状態にするためのPMOSトランジスタQ71,Q72をメインアンプMAの出力に並列接続し、DOCにより制御することにより、図12の出力制御回路DBに相当する回路を省略でき、出力バッファ内の信号伝達時間を短縮することができる。
【0040】
図14も本発明の他の実施例であり、初段および2段目のセンスアンプSAに図7にセンス回路を用いて構成した。
【0041】
図15も本発明の他の実施例であり、初段および2段目のセンスアンプSAに図8にセンス回路を用いて構成した。
【0042】
図16もまた本発明の他の実施例(スタティックRAMのセンス回路)であり、図11の実施例において、コモンデータ線d, ̄dにCMOS正帰還プリアンプ回路PFB1(Q204,Q205,Q225〜Q228)を付加した構成となっている。図17は図16の実施例の動作を示す波形図であり、以下図17を用いて図16を説明する。スタティックRAMメモリセルから読み出されコモンデータ線d, ̄dに伝達された電位差は通常0.1〜0.2V程度であり、この微小電位差をいかに高速に増幅するかが高速化の鍵である。d, ̄dの信号遷移帰還にφCDQ, ̄φCDQにパルスを印加してMOSトランジスタQ202,Q203を一時的に導通させ、d, ̄dの信号遷移を速やかに行なわせる。次に、新たに選択されたメモリセルによる信号電位差がd, ̄dに生じ始めると同時に、パルスφCDA, ̄φCDAによりMOSトランジスタQ204,Q205を導通せしめ、入力信号線と出力信号線とが直接接続されたCMOS正帰還プリアンプ回路PFB1を動作させる。PFB1は、d, ̄dの電位差を正帰還増幅し、最大0.5V程度の電位差を得る(ΔV1)。PFB1の効果は、d, ̄dの電位差を速く大きくすることにより、次段のセンス回路を速く安定に動作させることにある。次段以降でのセンス動作が終了後は、Q204,Q205は、φCDA, ̄φCDAにより非導通とされPFB1は動作せず、SRAMメモリセルからY方向スイッチMOSトランジスタを介して読み出された信号はCMOS正帰還プリアンプ回路PFB1によって増幅されることなく、このプリアンプ回路PFB1の入力信号と出力信号線との間の直接接続を介して、コモンデータ線d, ̄dに伝達されるようになる。このように、d, ̄dの電位差が必要以上に大きくなることなく、次第に定常状態の電位差ΔV2(0.1〜0.2V)に変化する。すなわち、コモンデータ線d, ̄dの電位差が大きく開きすぎて、次のメモリセル情報の読み出しが遅れることがない。センスアンプ初段(SA1)出力S1, ̄S1はMOSトランジスタQ206,Q207をパルスφSEQ1, ̄φSEQ1より、センスアンプ2段目(SA2)出力S2, ̄S2はMOSトランジスタQ208,Q209をパルスφSEQ2, ̄φSEQ2により、信号遷移帰還導通せしめ、やはり信号遷移を速やかに行なわせる。その後、コモンデータ線d, ̄dに電位差が生じると同時にQ206,Q207,Q208,Q209を非導通とし、制御信号Y・SACによりセンスアンプSA1,SA2動作せしめ、既に述べたようにPMOS正帰還動作によりきわめて高速で増幅された信号S1, ̄S1およびS2, ̄S2が得られる。
【0043】
センスアンプ2段目出力S2, ̄S2とデータバスD, ̄Dを接続するトランフフアーゲートを構成するMOSトランジスタQ212,Q213,Q214,Q215は、S2, ̄S2に信号が出力する前に導通せしめておき、また、MOSトランジスタQ210,Q211,Q216,Q217をパルスφSEQ2, ̄φSEQ2,φBEQ, ̄φBEQにより信号遷移帰還導通せしめ、S2, ̄S2に電位差を生じると同時にQ210,Q211,Q216,Q217を非導通とする。センスアンプ2段目SA2で増幅された信号S2, ̄S2は、大きな負荷容量を有するデータバスを伝播する間になだらかになまった波形(図17D, ̄D)となる。
【0044】
メインアンプ出力M, ̄Mは、信号遷移期間に、コントロール信号DOCによりMOSトランジスタQ218を非導通とし、Q219,Q220を導通せしめ、またφMAEQ, ̄φMAEQ信号によりMOSトランジスタQ221,Q222を導通せしめることにより、M, ̄Mの電位を一時的に電源電圧VCC電位とする。したがってこの期間は、出力用NMOSトランジスタQ223,Q224が共に非導通となり、出力信号Doutが“0”から“1”あるいは“1”から“0”へ遷移する期間に出力トランジスタQ223,Q224に貫通して流れる電流がなく、低消費電力かつ低雑音の動作を行なわせることができる。次に、D, ̄Dに電位差が生じる前にDOC信号によりQ218を導通,Q219,Q220を非導通とし、引き続きD, ̄Dに電位差が生じると同時にQ221,Q222を非導通とすると、メインアンプMA1により高速に増幅された信号波形M, ̄Mが得られる。これらの信号は、インバータINV1,INV2を経て出力トランジスタQ223,Q224を駆動し出力Doutが得られる。
【0045】
このように、コモンデータ線d, ̄dの微小な電位差を順次高速に増幅することにより、きわめて高速に出力波形Doutが得られる。
【0046】
本発明の他の実施例として、図16の初段および2段目のセンス回路部SAとして図7あるいは図8あるいは図9を用いた回路構成も考えられ、これらいずれの実施例も既に述べた動作と同様の動作より高速で出力が得られる。
【0047】
図18も本発明の他の実施例である。図18は、図16の実施例にPMOS正帰還回路PFB2が付加された構成となっている。PFB2の効果は、ビット線対b, ̄bの電位差を高速に大きくし、図16の実施例に比べコモンデータ線d, ̄dの電位差をいっそう速く大きくし、センスアンプSAの動作をさらに速めて、なおいっそうの高速増幅を可能にしたことにある。
【0048】
本発明の他の実施例として、図18の初段および2段目のセンス回路部SAとして図7あるいは図8あるいは図9を用いた回路構成も考えられ、これらいずれの実施例も図18と同様高速のセンス増幅を実現できる。
【0049】
図19は本発明の他の実施例を示しており、Q301,Q308,Q310,Q311,Q315はPチャネルMOSトランジスタを示し、Q302,Q303,Q304,Q305,Q306,Q307,Q309,Q312,Q313,Q314,Q316はNチャネルMOSトランジスタを示している。
【0050】
この図19の回路においては、二種類のセンスアンプが従属接続されており、第1段目のセンスアンプはQ303,Q304,Q305,Q306,Q307と全てNチャネルMOSトランジスタで構成されており、Q310,Q311,Q312,Q313,Q314から構成されたところの図1のセンスアンプが第2段目のセンスアンプとして使用されている。
【0051】
MOSトランジスタQ301,Q302が相補線d, ̄dの間に接続され、MOSトランジスタQ308,Q309が相補線D1, ̄D1の間に接続され、MOSトランジスタQ315,Q316が相補線D, ̄Dの間に接続されている。
【0052】
相補線d, ̄dの入力信号に応答して相補信号D1, ̄D1が対となったソースフォロワ動作のNチャネルMOSトランジスタQ303,Q304によって得られた後、さらにゲートとドレインがクロスカップル接続されたNチャネルMOSトランジスタQ305,Q306によって高速に増幅される。
【0053】
この相補信号D1, ̄D1はトランジスタQ310,Q311,Q312,Q313,Q314のサイズを大きくして負荷駆動能力を強力化して、D, ̄Dに大きな負荷容量が接続されている場合でも、この負荷容量を高速に駆動することができる。
【0054】
図20も本発明の他の実施例を示しており、Q401,Q403,Q404,Q405,Q406,Q407,Q408,Q410,Q411,Q415はPチャネルMOSトランジスタを示し、Q402,Q409,Q412,Q413,Q414,Q416はNチャネルMOSトランジスタを示している。
【0055】
この図20の回路においては、二種類のセンスアンプが従属接続されており、第1段目のセンスアンプはQ403,Q404,Q405,Q406,Q407と全てPチャネルMOSトランジスタで構成されており、Q410,Q411,Q412,Q413,Q414から構成されたところの図1のセンスアンプが第2段目のセンスアンプとして使用されている。MOSトランジスタQ401,Q402が相補線d, ̄dの間に接続され、MOSトランジスタQ408,Q409が相補線D1, ̄D1の間に接続され、MOSトランジスタQ415,Q416が相補線D, ̄Dの間に接続されている。
【0056】
相補線d, ̄dの入力信号に応答して相補信号D1, ̄D1が対となったソースフォロワ動作のPチャネルMOSトランジスタQ403,Q404によって得られた後、さらにゲートとドレインがクロスカップル接続されたPチャネルMOSトランジスタQ405,Q406によって高速に増幅される。
【0057】
この相補信号D1, ̄D1はトランジスタQ410,Q411,Q412,Q413,Q414のサイズを大きくして負荷駆動能力を協力化して、D, ̄Dに大きな負荷容量が接続されている場合でも、この負荷容量を高速に駆動することができる。
【0058】
以上説明したように、この図19の実施例中のセンスアンプの第1段目のNチャネルMOSトランジスタQ303,Q304および図20の実施例中のセンスアンプの第1段目のPチャネルMOSトランジスタQ403,Q404はそれぞれ電圧利得が1以下のソースフォロワーとして動作し、図19の実施例中のセンスアンプの第1段目のゲートとドレインがクロスカップル接続されたNチャネルMOSトランジスタQ305,Q306および図20の実施例中のセンスアンプの第1段目のゲートとドレインがクロスカップル接続されたPチャネルMOSトランジスタQ405,Q406は上記ソースフォロワーのソース負荷回路として動作し、このクロスカップル接続負荷回路の電圧利得は1よりはるかに大きい。
【0059】
図19および図20の実施例においては、以前の実施例と同様にパルス信号φ2, ̄φ2に応答してMOSトランジスタQ308,Q309,Q408,Q409が導通することによって、クロスカップル接続された負荷MOSトランジスタQ305,Q306,Q405,Q406の正帰還動作が解消される。
【0060】
また、本発明はSRAMに限定されるものではなく、DRAM,PROM,EPROM等のメモリ装置全般に適用することが可能である。
【0061】
さらに本発明は上記した具体的実施例に限定されるものでは無く、その基本的技術思想に従って種々の変形が可能であることは言うまでも無い。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、高速にデータ線対の出力を増幅して出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す回路図。
【図2】図1の回路を動作させるのに好適なタイミング図。
【図3】従来技術を示す回路図。
【図4】従来技術を示す回路図。
【図5】本発明の他の実施例を示す回路図。
【図6】本発明の他の実施例を示す回路図。
【図7】本発明の他の実施例を示す回路図。
【図8】本発明の他の実施例を示す回路図。
【図9】従来のセンス回路を示す回路図。
【図10】本発明の一実施例(図6)および従来のセンス回路例(図9)のセンス増幅に要する遅延時間のセンスアンプ平均電流依存性を示す特性図。
【図11】本発明の他の実施例を示す回路図。
【図12】本願発明者等によって出願前に検討された回路を示す回路図。
【図13】図11の実施例の動作波形図。
【図14】それぞれ本発明の他の実施例を示す回路図。
【図15】それぞれ本発明の他の実施例を示す回路図。
【図16】それぞれ本発明の他の実施例を示す回路図。
【図17】図16の実施例の動作を説明するための動作波形図。
【図18】本発明の他の実施例を示す回路図。
【図19】本発明の他の実施例を示す回路図。
【図20】本発明の他の実施例を示す回路図。
【図21】図6の実施例と図7の実施例の特性の相違を示す図。
Claims (5)
- 複数のメモリセルと、
上記複数のメモリセルに接続された複数のデータ線対と、
上記複数のデータ線対の各データ線対に接続された第1スイッチ回路と、
上記第1のスイッチ回路を介して上記複数のデータ線対に共通に接続されたコモンデータ線対と、
上記コモンデータ線対の間に接続された第2スイッチ回路と、
上記コモンデータ線対から入力され、上記コモンデータ線対の間の電位差を増幅して上記コモンデータ線対に出力する第1回路と、
上記コモンデータ線対から入力され、上記コモンデータ線対の間の電位差を増幅して第1及び第2出力線に出力する正帰還の第2回路と、
上記第1出力線にソース又はドレインの一方が接続され、上記第2出力線に上記ソース又はドレインの他方が接続されたMOSFETを含む第3スイッチ回路とを有し、
上記第1回路は、
上記コモンデータ線対の上記他方のコモンデータ線にそのゲートが接続され、上記コモンデータ線対の上記一方のコモンデータ線にそのドレインが接続され、第1動作電位点と第2動作電位点との間にそのソース・ドレイン経路が形成されたPチャネル型第1MOSトランジスタ及びNチャネル型第2MOSトランジスタと、
上記コモンデータ線対の上記一方のコモンデータ線にそのゲートが接続され、上記コモンデータ線対の上記他方のコモンデータ線にそのドレインが接続され、上記第1と第2動作電位点との間にそのソース・ドレイン経路が形成されたPチャネル型第3MOSトランジスタ及びNチャネル型第4MOSトランジスタとを有し、
上記第2回路は、
そのゲートが上記コモンデータ線対の一方のコモンデータ線に接続された第5MOSトランジスタと、
そのゲートが上記コモンデータ線対の他方のコモンデータ線に接続されるとともにそのソースが上記第5MOSトランジスタのソースに接続された第6MOSトランジスタと、
そのドレインが上記第1出力線に接続され、そのソース・ドレイン経路が上記第5MOSトランジスタのソース・ドレイン経路に直列に接続された第7MOSトランジスタと、
そのドレインが上記第2出力線及び上記第7MOSトランジスタのゲートに接続され、そのソース・ドレイン経路が上記第6MOSトランジスタのソース・ドレイン経路に直列に接続され、そのゲートが上記第7MOSトランジスタのドレインに接続された第8MOSトランジスタとを有することを特徴とする半導体集積回路。 - 複数のメモリセルと、
上記複数のメモリセルに接続された複数のデータ線対と、
上記複数のデータ線対の各データ線対に接続された第1スイッチ回路と、
上記第1のスイッチ回路を介して上記複数のデータ線対に共通に接続されたコモンデータ線対と、
上記コモンデータ線対の間に接続された第2スイッチ回路と、
上記コモンデータ線対から入力され、上記コモンデータ線対の間の電位差を増幅して上記コモンデータ線対に出力する第1回路と、
上記コモンデータ線対から入力され、上記コモンデータ線対の間の電位差を増幅して第1及び第2出力線に出力する正帰還の第2回路と、
上記第1出力線にソース又はドレインの一方が接続され、上記第2出力線に上記ソース又はドレインの他方が接続されたMOSFETを含む第3スイッチ回路とを有し、
上記第1回路は、
上記コモンデータ線対の上記他方のコモンデータ線にそのゲートが接続され、上記コモンデータ線対の上記一方のコモンデータ線にそのドレインが接続され、第1動作電位点と第2動作電位点との間にそのソース・ドレイン経路が形成されたPチャネル型第1MOSトランジスタ及びNチャネル型第2MOSトランジスタと、
上記コモンデータ線対の上記一方のコモンデータ線にそのゲートが接続され、上記コモンデータ線対の上記他方のコモンデータ線にそのドレインが接続され、上記第1と第2動作電位点との間にそのソース・ドレイン経路が形成されたPチャネル型第3MOSトランジスタ及びNチャネル型第4MOSトランジスタとを有し、
上記第2回路は、
そのゲートが上記一方のコモンデータ線に接続されるとともにそのソースが第1出力線に接続された第5MOSトランジスタと、
そのゲートが上記他方のコモンデータ線に接続されるとともにそのソースが第2出力線に接続された第6MOSトランジスタと、
そのドレインが上記第1出力線に接続され、そのソース・ドレイン経路が上記第5MOSトランジスタのソース・ドレイン経路に直列に接続された第7MOSトランジスタと、
そのドレインが上記第2出力線及び上記第7MOSトランジスタのゲートに接続され、そのソース・ドレイン経路が上記第6MOSトランジスタのソース・ドレイン経路に直列に接続され、そのゲートが上記第7MOSトランジスタのドレインに接続された第8MOSトランジスタとを有することを特徴とする半導体集積回路。 - 請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路において、
上記第2回路の動作状態を制御する第4スイッチ回路とを有し、
上記第4スイッチ回路を導通状態とする期間と上記第3スイッチ回路を導通状態とする期間の間に重なりがあることを特徴とする半導体集積回路。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体集積回路において、
上記第1回路の動作状態を制御する第5スイッチ回路とを有し、
上記第1動作電位点と上記第2動作電位点との間の電位差よりも小さい電位差が上記コモンデータ線対間に出力されている間に上記第5スイッチ回路が非導通状態とされることを特徴とする半導体集積回路。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体集積回路において、
上記複数のメモリセルの各々はSRAMセルからなることを特徴とする半導体集積回路。
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