JP3711727B2 - コイルの搬送装置及び搬送方法 - Google Patents

コイルの搬送装置及び搬送方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間圧延設備におけるコイルの搬送装置及び搬送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱間圧延設備のラインは、加熱炉,粗圧延,仕上圧延,等で構成されており、加熱炉から粗圧延や粗圧延から仕上圧延のラインでは鋼板をコイル状に巻き取って搬送する場合がある。この場合に使用するコイル搬送装置には、▲1▼ウォーキングビーム方式、▲2▼搬送ロール方式、▲3▼移送マンドレル方式、などがある。これらの概念図を図3に示す。図3(A)はウォーキングビーム方式の概念側面図であり、コイル1を支持するウォーキングビーム2を矩形状に上下動及び往復動させることにより、コイル1を間欠的に搬送するものである。また、図3(B)は搬送ロール方式の概念側面図であり、コイル1を支持する搬送ローラ3を有するスイングフレーム4を傾動させることにより、コイル1を転動させて搬送するものである。更に図3(C)は移送マンドレル方式の概念側面図であり、コイル1の中心部に移送マンドレル5を挿入し回動させることにより、コイル1を揺動させて搬送するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、搬送されるコイル1の表面にはスケールが発生しているため、上述した(A)(C)のコイル搬送装置のようにコイルを激しく上下動させてしまうと、スケールが剥離し、ストリップ間やコイル搬送装置上に落下し、下流設備や搬送装置の故障などを引き起こすおそれがある。また、(B)の搬送ロール方式では、コイル自体が転動するため、▲1▼スケールの剥離が増長されるばかりでなく、▲2▼大重量(例えば約30トン)のコイルをスムースに転動/停止させるのが難しい、等の問題点があった。
【0004】
更に、図4に例示するように、複数の搬送ロールを垂直に昇降させて、コイル1を搬送するコイル搬送手段も提案されている。しかし、このコイル搬送手段では、ロール1本毎の制御となり、コイル搬送時には隣接する3本の搬送ロール6a,6b,6cの相対位置関係を同時制御する必要があり、制御が複雑であり、かつアクチュエータ及び検出センサーが多数必要となり、コスト高となる問題点があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、比較的少ないアクチュエータやセンサーを用い、簡単な制御で、コイルの上下動および公転を最小限に抑えながらコイルを搬送することができるコイルの搬送装置及び搬送方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、互いに所定の間隔を隔てて水平に配置された複数のロールユニットを備え、各ロールユニットは、一定の間隔を隔てた2本の水平ロールと、該2本の水平ロールの両端部を回転可能に支持しかつその中間点を傾動可能に支持する傾動ブラケットと、該傾動ブラケットを中間点を支点として傾動させるロール傾動装置と、からなり、前記ロール傾動装置は、(A)上流側ロールユニットの同一高さの上流側ロールR1と下流側ロールR2上にコイルが載った状態で、下流側ロールユニットの上流側ロールR3が上がり下流側ロールR4が下がるように前記傾動ブラケットを傾動させ、上流側ロールR3をコイルに接触又は近接させてコイルの転動を防止し、(B)次いで、ロールR3がコイルに接触したまま、下流側ロールユニットの上流側ロールR3が下がり下流側ロールR4が上がるように前記傾動ブラケットを傾動させ、同時に上流側ロールユニットの上流側ロールR1と下流側ロールR2にコイルを載せたまま上流側ロールR1が上がり下流側ロールR2が下がるように前記傾動ブラケットを傾動させて、コイルが前記下流側ロールR2と前記上流側ロールR3上に載りかつその重心Gがほぼ同一高さの前記下流側ロールR2と前記上流側ロールR3の中間点よりも下流側に位置するまでコイルを転動させ、(C)次いで、前記下流側ロールR2と前記上流側ロールR3上にコイルを載せたまま、下流側ロールユニットの前記上流側ロールR3と前記下流側ロールR4が同一高さとなるように前記傾動ブラケットを傾動させ、同時に上流側ロールユニットの前記上流側ロールR1が下がり前記下流側ロールR2が上がるように前記傾動ブラケットを傾動させて、コイルが下流側ロールユニットの前記上流側ロールR3と前記下流側ロールR4上に載りかつその重心Gが前記上流側ロールR3と下流側ロールR4の中間点に位置するまでコイルを転動させる、ことを特徴とするコイルの搬送装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、互いに所定の間隔を隔てて水平に配置された複数のロールユニットを備え、各ロールユニットは、一定の間隔を隔てた2本の水平ロールと、該2本の水平ロールの両端部を回転可能に支持しかつその中間点を傾動可能に支持する傾動ブラケットと、該傾動ブラケットを中間点を支点として傾動させるロール傾動装置と、からなり、(A)上流側ロールユニットの同一高さのロールR1,R2上にコイルが載った状態で、下流側ロールユニットのロールR3,R4を上流側が上がり下流側が下がるように傾動させ、上流側ロールR3をコイルに接触又は近接させてコイルの転動を防止し、(B)ロールR3がコイルに接触したまま、下流側ロールユニットのロールR3,R4を上流側が下がり下流側が上がるように傾動させ、同時にロールR1,R2をコイルを載せたまま上流側が上がり下流側が下がるように傾動させて、コイルがロールR2,R3上に載りかつその重心Gがほぼ同一高さのロールR2,R3の中間点よりも下流側に位置するまでコイルを転動させ、(C)次いで、ロールR2,R3上にコイルを載せたまま、下流側ロールユニットのロールR3,R4を同一高さまで上流側が上がり下流側が下がるように傾動させ、同時にロールR1,R2を上流側が下がり下流側が上がるように傾動させて、コイルがロールR3,R4上に載りかつその重心GがロールR3,R4の中間点に位置するまでコイルを転動させる、ことを特徴とするコイルの搬送方法が提供される。
【0008】
上記本発明の装置及び方法によれば、2本の水平ロールの両端部の中間点を傾動可能に支持して2本1組で傾動させるので、コイル重心移動が幾何学的に求まり、制御ロジックがシンプルになる。また、隣接する2つのロール傾動装置の相対位置制御のみで搬送できるので、容易に制御できる。更に、2本の水平ロールを1つのロール傾動装置で制御するので、アクチュエータやセンサーが半減し、コストを低減できる。更にまた、2本の水平ロールの傾動のみで、コイルを下流側に転動して搬送するので、コイルの上下動が少なく、かつ隣接する3本の水平ロールに接触させたままで搬送するので、大重量(例えば約30トン以上)のコイルであっても安定して転動させかつ停止させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明のコイル搬送装置の全体構成図である。この図に示すように、本発明によるコイルの搬送装置は、互いに所定の間隔を隔てて水平に配置された複数(この図では3組)のロールユニット10を備える。
【0010】
各ロールユニット10は、一定の間隔を隔てた2本の水平ロール12と、この2本の水平ロール12の両端部を回転可能に支持しかつその中間点13を傾動可能に支持する傾動ブラケット14と、この傾動ブラケット14を中間点13を支点として傾動させるロール傾動装置16とからなる。
【0011】
ロールユニット10の間の所定の間隔δ1と、2本の水平ロール12の間の一定の間隔δ2は、それぞれ対象とするコイル1(例えば最小径φ1380〜最大径φ2350)を安定して支持できる間隔、例えば最小径の1/2前後に設定されている。
水平ロール12は、対象コイル1を2本で支持するのに適した直径及び長さを有し、その両端部が1対の傾動ブラケット14で回転可能に支持されている。また、この傾動ブラケット14の中間点13は、別の支持金具15で固定部分から支持されている。なお、水平ロール12の両端部、及び傾動ブラケット14の中間点13には、図示しない軸受が設けられている。
【0012】
ロール傾動装置16は、この例では、液圧シリンダであり、そのロッド側先端が傾動ブラケット14に取り付けられ、傾動ブラケット14を中間点13を中心に傾動させるようになっている。また、この液圧シリンダのヘッド側又はロッド側に液圧を供給する油圧制御装置(図示せず)を備えている。この油圧制御装置は、好ましくは比例電磁弁又はサーボ弁からなる。また、ロール傾動装置16のアクチュエータは、液圧シリンダ以外の油圧アクチュエータ又は電動アクチュエータでもよい。更に特に電動の場合はサーボモータ等を使用するのがよい。
【0013】
更に、このロール傾動装置16は、例えば液圧シリンダのヘッド側又はロッド側の液圧から、コイル1の重心位置Gを検出できるようになっている。更に、傾動ブラケット14の傾動位置を検出する位置センサー(図示せず)を備え、ロール12の位置を正確に検出できるようになっている。
【0014】
上述した構成のコイルの搬送装置により、各ロールユニット10の上流側ロール12と下流側ロール12を同一高さに設定することにより、図1に示すように、すべてのロール12を同一高さに位置決めすることができる。更に、ロール傾動装置16を作動させて、各ロールユニット10の2つのロール12を上流側が上がり下流側が下がるように傾動させ、或いは逆に上流側が下がり下流側が上がるように傾動させることができる。また、特定のロールユニット10上にコイル1が位置するときには、ロール傾動装置16、例えば液圧シリンダのヘッド側又はロッド側の液圧から、コイル1の重心位置Gを検出することができる。更に、そのロールユニット10上にコイル1が位置しないときでも、ロール傾動装置16により、そのいずれかのロールがコイルに接触していることを検出することができる。
【0015】
図2は、本発明のコイル搬送方法を示す説明図である。以下の説明において、上流側(この図で右側)から4本のロール12を以下、ロールR1,R2,R3,R4と呼ぶ。
この図に示すように、本発明のコイル搬送方法では、ステップ1→2に示すように、まず、(A)上流側ロールユニット10の同一高さのロールR1,R2上にコイル1が載った状態で、下流側ロールユニット10のロールR3,R4を上流側が上がり下流側が下がるように傾動させ、上流側ロールR3をコイル1に接触又は近接させてコイルの転動を防止する。
【0016】
次に、ステップ2→3→4→5に示すように、(B)ロールR3がコイルに接触したまま、下流側ロールユニット10のロールR3,R4を上流側が下がり下流側が上がるように傾動させ、同時にロールR1,R2をコイルを載せたまま上流側が上がり下流側が下がるように傾動させて、コイルがロールR2,R3上に載りかつその重心Gがほぼ同一高さのロールR2,R3の中間点よりも下流側に位置するまでコイル1を転動させる。
【0017】
次いで、ステップ5→6→7→8に示すように、(C)ロールR2,R3上にコイル1を載せたまま、下流側ロールユニット10のロールR3,R4を同一高さまで上流側が上がり下流側が下がるように傾動させ、同時にロールR1,R2を上流側が下がり下流側が上がるように傾動させて、コイル1がロールR3,R4上に載りかつその重心GがロールR3,R4の中間点に位置するまでコイル1を転動させる。
【0018】
すなわち、この図において、ステップ1では、ロールR3,R4が左に傾動して、ロールR3がコイル1に接触又は近接してその転動を防止し、ステップ2では、ロールR1,R2が左に傾動してロールR3で受け、ステップ3→4では、ロールR1,R2,R3がコイル1に当たりながらロールR1,R2が左に傾動し、ロールR3,R4は右に傾動する。
【0019】
更に、ステップ5→6では、ロールR1,R2,R3,R4がコイル1に当たる状態から、ロールR1,R2を右に速く傾動させ、同時にロールR2,R3を左に遅く傾動させ、ステップ7では、ロールR2,R3,R4がコイル1に当たりながら、コイル1の重心GがロールR3を越えるまでロールR1,R2は復帰位置よりも右に傾動し、次いでロールR2,R3は左に復帰しながらコイル1の重心GがロールR3を越えてからはロールR2,R3に載せて元の位置に復帰する。ステップ8は、ロールR3,R4にコイル1が載ったステップ1と同じ状態である。
【0020】
以上のステップ1〜8、すなわち上述した(A)(B)(C)を順次繰り返すことにより、ロールユニット10が3組以上ある場合でも、コイル1を隣接する3本の水平ロール12に接触させたまま下流側に転動して搬送することができる。
【0021】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0022】
【発明の効果】
上述したように、本発明の装置及び方法によれば、2本の水平ロール12の両端部の中間点13を傾動可能に支持して2本1組で傾動させるので、コイル重心Gの移動が幾何学的に求まり、制御ロジックがシンプルになる。また、隣接する2つのロール傾動装置16の相対位置制御のみで搬送ができるので、容易に制御できる。更に、2本の水平ロール12を1つのロール傾動装置16で制御するので、アクチュエータやセンサーが半減し、コストを低減できる。更にまた、2本の水平ロール12の傾動のみで、コイル1を下流側に転動して搬送するので、コイルの上下動が少なく、かつ隣接する3本の水平ロール12に接触させたままで搬送するので、大重量(例えば約30トン以上)のコイルであっても安定して転動させかつ停止させることができる。
【0023】
従って、本発明のコイルの搬送装置及び搬送方法は、比較的少ないアクチュエータやセンサーを用い、簡単な制御で、コイルの上下動および公転を最小限に抑えながらコイルを搬送することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコイル搬送装置の全体構成図である。
【図2】本発明のコイル搬送方法を示す説明図である。
【図3】従来のコイル搬送装置の概念図である。
【図4】従来のコイル搬送装置の別の概念図である。
【符号の説明】
1 コイル
2 ウォーキングビーム
3 搬送ロール
4 スイングフレーム
5 移送マンドレル
6a〜6c 搬送ロール
10 ロールユニット
12 水平ロール
13 中間点
14 傾動ブラケット
15 支持金具
16 ロール傾動装置

Claims (2)

  1. 互いに所定の間隔を隔てて水平に配置された複数のロールユニットを備え、
    各ロールユニットは、一定の間隔を隔てた2本の水平ロールと、該2本の水平ロールの両端部を回転可能に支持しかつその中間点を傾動可能に支持する傾動ブラケットと、該傾動ブラケットを中間点を支点として傾動させるロール傾動装置と、からなり、
    前記ロール傾動装置は、
    (A)上流側ロールユニットの同一高さの上流側ロールR1と下流側ロールR2上にコイルが載った状態で、下流側ロールユニットの上流側ロールR3が上がり下流側ロールR4が下がるように前記傾動ブラケットを傾動させ、上流側ロールR3をコイルに接触又は近接させてコイルの転動を防止し、
    (B)次いで、ロールR3がコイルに接触したまま、下流側ロールユニットの上流側ロールR3が下がり下流側ロールR4が上がるように前記傾動ブラケットを傾動させ、同時に上流側ロールユニットの上流側ロールR1と下流側ロールR2にコイルを載せたまま上流側ロールR1が上がり下流側ロールR2が下がるように前記傾動ブラケットを傾動させて、コイルが前記下流側ロールR2と前記上流側ロールR3上に載りかつその重心Gがほぼ同一高さの前記下流側ロールR2と前記上流側ロールR3の中間点よりも下流側に位置するまでコイルを転動させ、
    (C)次いで、前記下流側ロールR2と前記上流側ロールR3上にコイルを載せたまま、下流側ロールユニットの前記上流側ロールR3と前記下流側ロールR4が同一高さとなるように前記傾動ブラケットを傾動させ、同時に上流側ロールユニットの前記上流側ロールR1が下がり前記下流側ロールR2が上がるように前記傾動ブラケットを傾動させて、コイルが下流側ロールユニットの前記上流側ロールR3と前記下流側ロールR4上に載りかつその重心Gが前記上流側ロールR3と下流側ロールR4の中間点に位置するまでコイルを転動させる、
    ことを特徴とするコイルの搬送装置。
  2. 互いに所定の間隔を隔てて水平に配置された複数のロールユニットを備え、
    各ロールユニットは、一定の間隔を隔てた2本の水平ロールと、該2本の水平ロールの両端部を回転可能に支持しかつその中間点を傾動可能に支持する傾動ブラケットと、該傾動ブラケットを中間点を支点として傾動させるロール傾動装置と、からなり、
    (A)上流側ロールユニットの同一高さのロールR1,R2上にコイルが載った状態で、下流側ロールユニットのロールR3,R4を上流側が上がり下流側が下がるように傾動させ、上流側ロールR3をコイルに接触又は近接させてコイルの転動を防止し、
    (B)ロールR3がコイルに接触したまま、下流側ロールユニットのロールR3,R4を上流側が下がり下流側が上がるように傾動させ、同時にロールR1,R2をコイルを載せたまま上流側が上がり下流側が下がるように傾動させて、コイルがロールR2,R3上に載りかつその重心Gがほぼ同一高さのロールR2,R3の中間点よりも下流側に位置するまでコイルを転動させ、
    (C)次いで、ロールR2,R3上にコイルを載せたまま、下流側ロールユニットのロールR3,R4を同一高さまで上流側が上がり下流側が下がるように傾動させ、同時にロールR1,R2を上流側が下がり下流側が上がるように傾動させて、コイルがロールR3,R4上に載りかつその重心GがロールR3,R4の中間点に位置するまでコイルを転動させる、ことを特徴とするコイルの搬送方法。
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