JP3710867B2 - フラットケーブル用積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
電子部品、液晶表示装置、携帯電話、家電製品、コンピュータなどの電子機器に用いるケーブルにおいて、難燃性、耐熱性に優れたフラットケーブル用積層体に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子機器に用いるケーブルは、通常の金属銅の単線または複数線を架橋ポリエチレンやポリ塩化ビニルなどを主とする絶縁材料で被覆したものがも用いられてきた。しかしながら、近年電子機器の小型化、高機能化に伴い、電子部品を搭載する基板内のスペースが小さくなり、また、蛇行し難い一定の方向性をもつケーブルの需要が増加してきた。そのために断面偏平な金属線(以下、本明細書では金属ケーブルと記載する。)を絶縁性に優れ、難燃性をもつプラスチック積層体で被覆し、省スペースで耐屈曲性と一定の方向性をもつフラットケーブルが開発された。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のフラットケーブルに用いられる接着性樹脂層は、耐熱温度が低く、高温度の環境下におかれた場合や、高温〜低温の繰り返しをうけた場合に、耐熱性基材又は金属ケーブルと接着性樹脂層、接着性樹脂層同士又は接着性樹脂層の内部で、剥離又は破壊現象(以下、本明細書ではデラミネションと記載する。)や、接着性樹脂層に残存する揮発性成分による発泡などの問題解決を課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は、耐熱性基材の一方の面に、少なくとも2液硬化型接着促進層と、熱可塑性樹脂より形成される接着性樹脂層とを此の順に積層してなる2組の積層体の、該接着性樹脂層が金属ケーブルを挟み込むように対峙してヒートシールしたフラットケーブルにおいて、該接着性樹脂層が融点が70〜200℃の熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して難燃性付与剤を1〜200重量部配合してメルトフローインデックス(本明細書では、190℃、荷重2.16kgfにおける10minのgを単にMFR・・gと記載する。)を0.3〜40g/10minに調整した組成物であり、かつ金属とヒートシールできるとともに接着性樹脂層同士がヒートシール性をもつフラットケーブル用積層体である。
また、上記の接着性樹脂層を構成する熱可塑性ポリエステル樹脂が、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステルに基づくカルボニル基を主鎖又は側鎖に1〜700ミリイクイバレント/100g(以下、本明細書においては、meq/100gと記載する。)樹脂の濃度で含むフラットケーブル用積層体である。
そして、前記接着性樹脂層が、単層又は多層の溶融押出しコーティングにより設けられたフラットケーブル用積層体である。
【0005】
フラットケーブル用プラスチック積層体は、2軸延伸ポリエステルフィルムなどの耐熱基材に、接着性樹脂層として、ポリ塩化ビニルのシートを接着剤を介したドライラミネーションで積層したものや、必要に応じてプライマー層を介してポリエステル系樹脂と難燃化剤とからなる組成物(接着性樹脂層)を適当な溶剤に溶解したワニスを塗布、乾燥したものがフラットケーブルの成形シートとして用いられてきた。そして両者は、金属ケーブルを接着性樹脂層を対峙した間に挟みこんで、ヒートシールして金属ケーブルを被覆する構成するものである。
【0006】
しかしながら、ポリ塩化ビニルを積層したものは、接着性樹脂層であるポリ塩化ビニルと金属ケーブルとは完全に接着していないため、高温の環境を経ると、ポリ塩化ビニルと金属ケーブルとの間で空隔を発生したり、空隔の圧力で接着性樹脂層がデラミネーションを起こすという問題があった。また、ヒートシール性をもつポリ塩化ビニルは一般に耐熱性に劣り、60℃以上の温度では、溶融してフラットケーブルの屈曲部でデラミネーションを起こすという問題もあった。
【0007】
ポリエステル系樹脂と難燃化剤とからなる組成物を適当な溶剤に溶解したワニスを塗布形成したフラットケーブル用積層体と、金属ケーブルとの接着強度は、ポリ塩化ビニルのものと比較して強いが、溶剤可溶のポリエステル系樹脂は耐熱性が劣り、60℃以上の温度では、溶融してフラットケーブルの屈曲部でデラミネーションを起こすという問題があった。
更に、金属ケーブルを挿入してヒートシールするフラットケーブル用積層シートの接着性樹脂層は、厚さが50〜200μmの金属ケーブルの1/10以上の厚さで設ける必要がある。1/10未満の厚さの接着性樹脂層では、後述のように嵌合の際、金属ケーブルの端部で接着性樹脂層が破れてしまうという問題がある。したがって、接着性樹脂層の構成組成物を溶解したワニスより形成する場合、ワニスの塗布量が多くなり、溶剤を完全に気化して除去することが難しく、残留した溶剤は、金属ケーブルと接着性樹脂層との接着を阻害するばかりでなく、時間を経過するとともに可塑剤的に作用して軟化したり、高温環境下では気化して気泡を発生し、耐熱性基材から剥離するなどのデラミネーションを起こすという問題があった。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のフラットケーブル用積層体1は、図1に示すように、少なくとも耐熱性基材2と熱可塑性樹脂より形成される接着性樹脂層4とからなる2組の積層体の接着性樹脂層4が金属ケーブル5を挟み込むように対峙してヒートシールしたフラットケーブル10において、耐熱性基材2の一方の面に少なくとも2液硬化型接着促進層3と、接着性樹脂層4とを少なくとも順に積層したものである。そして、該接着性樹脂層4が融点70〜200℃の熱可塑性樹脂100重量部に対して難燃性付与剤を1〜200重量部を配合してMFR0.3〜40g/10minに調整した組成物であり、かつ金属とヒートシールできるとともに接着性樹脂層同士がヒートシール性をもつフラットケーブル用積層体1である。
また、上記の接着性樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂が、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステルに基づくカルボニル基を主鎖又は側鎖に1〜700meq/100g樹脂の濃度で含むフラットケーブル用積層体1である。
そして、接着性樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂が、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ポリアミド、ポリエステル、又はアクリル樹脂からなるフラットケーブル用積層体1である。
また、前記接着性樹脂層4を溶融押出しコーティングで単層又は共押出しコーティングにより設けられたフラットケーブル用積層体1である。
【0009】
本発明の耐熱性基材は、所望の添加物を加えた組成物の融点が接着性樹脂層の融点より30℃以上高いもので、製膜ができるものであるならば特に材料を問わない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラメチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどのポリイミド、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどのフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエステルエーテル又はポリカーボネートなどの未延伸又は延伸シートが適用できる。特に好ましいものは、製膜の容易さ、耐熱性、剛性の点から2軸延伸ポリエチレンテレフタレートである。
【0010】
耐熱性基材の厚さは、金属ケーブルを挿入してヒートシールを行うときに耐える作業性、施工する場所に必要な剛性、価格などの点を総合して決定されるものではあるが、通常は15〜100μmのものが使用される。
耐熱性基材と接着促進層及び接着性樹脂層との接着を強固にするため耐熱性基材の一方の側に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理などの物理的及び/又は化学的処理による接着強化法を施すことが好ましい。
また、耐熱性基材の接着性樹脂層とは反対の側には、金属ケーブルを挿入してヒートシールするときに加熱部と粘着したり、静電気の発生やそれに伴う異物が付着したり、長尺状に巻取りとしたときに、耐熱性基材と接着性樹脂層とが接着したりするのを防ぐために通常の滑剤、潤滑剤及び/又は帯電防止剤を設けることもできる。
【0011】
接着促進層は、ポリエチレンイミン、有機チタン化合物、ポリオレフィン、ポリブタジエン、イソシアネート、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタンなどのなかから耐熱性基材、接着性樹脂層との接着適合性や作業性を勘案して選定できる。
特に、接着部の耐熱性、積層した後30〜40℃の室温に近い温度で反応が進行する主剤がポリオール、硬化剤がイソシアネートよりなる2液反応型の接着促進層を構成することがフラットケーブルの耐熱安定性を与える点から好ましいものである。
【0012】
接着促進層の主剤には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4ーブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのジオール成分と、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの2塩基成分とから合成されるポリエステルポリオール及びそれらの変性物や、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレネーテルグリコールなどのポリエーテルポリオール及び変性物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4ーブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンなどの低分子ポリオールなどが挙げられる。
接着促進層の硬化剤は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)、メタンートリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェートなどのイソシアネートモノマーや、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンに付加したウレタンプレポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートビューレット、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートトリマーなどのイソシアネート変性体が挙げられる。
【0013】
接着促進剤の接着強度、耐熱接着性、反応速度を強化促進するための助剤としてチタンカップリング剤、シランカップリング剤又は無機フィラーなどを添加することもできる。
【0014】
接着促進層は、耐熱性基材に接着性樹脂層を形成するときと同一工程あるいは別工程のいずれでも塗布形成することができる。その塗布は、均一にムラなく行うためにゴムあるいはスチールによるロールコート、場合によってはグラビアコートでも行う。グラビア版による塗布は、塗布量の規制は容易に行えるが、接着促進剤の種類によっては、硬化した不溶解物がグラビアセルに堆積し、塗布ムラの原因となるから注意を要する。
塗布液は、脂肪族、芳香族炭化水素、アルコール、エステル、ケトンなどの有機溶剤の溶液の他、水分散体を使用して、塗布乾燥する。そして、その塗布量は0.02〜2g/m2 (固形分)である。
【0015】
熱可塑性樹脂と配合する難燃性付与剤は、フラットケーブル用積層体に難燃効果を与えるとともに、その組成物の溶融押出しコーティング適性を配慮して選定する。
例えば、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロルペンタシクロデカン、無水ヘット酸、クロルエンド酸などの塩素系化合物及び、テトラブロモエタン、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモ無水フタール酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、臭化アンモニウムなどのハロゲン元素を含む、有機又は無機化合物がある。
トリアリルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、アルキルホスフェート、ジメチルホスフオネート、ホスフオリネート、ハロゲン化ホスフオリネートエステル、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2ークロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3ージクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3ージブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3ジブロモプロピル)2,3ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、芳香族ポリホスフェート、ジブロモネオペンチルグリコールなどのリン酸エステル及びリン化合物や、ホスホネート型ポリオール、ホスフェート型ポリオール、ハロゲン元素を含むポリオールなどがある。
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンチモン、ホウ酸、モリブデン酸アンチモン、酸化モリブデン、リン・窒素化合物、カルシウム・アルミニウムシリケート,ジルコニウム化合物、錫化合物、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム水和物、酸化銅、金属銅粉、炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウムなどの金属粉や無機化合物がある。
その他、シリコーン系ポリマー、フェロセン、フマール酸、マレイン酸やトリアジン、イソシヌレート、尿素、グアニジンなどの窒素を含む化合物などがある。
本発明における難燃性付与剤は、リン酸エステルと無機化合物とを併用する方法が好ましい。
【0016】
熱可塑性樹脂に対する難燃性付与剤は、公知のドライブレンド法、メルトブレンド法などで熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜200重量部を配合されることが好ましい。そして、難燃性付与剤は、上記のものから1種又は複数種のものを組合わせて使用し、接着性樹脂層となる組成物のMFRが溶融押出しコーティングに適した0.3〜40gになるように作成する。
難燃性付与剤の配合が熱可塑性樹脂100重量部に対して1重量部未満であると難燃性を付与する効果がなく、また200重量部を超えると溶融押し出しコーティングを行うとき製膜性が低下し、均一な接着性樹脂層を形成することができないばかりでなく、仮に製膜ができたとしても膜の剛性が強すぎて、金属ケーブルの屈曲に追随しなくなる。また、過剰の難燃性付与剤を含む接着性樹脂層は、耐熱性基材との接着を阻害するようになり、フラットケーブルが高温下でデラミネーションするという問題を起こすことがある。
【0017】
接着性樹脂層に用いる材料は、銅、ステンレス、金、銀、ニッケル、錫、真鍮及びアルミニウムなどの金属ケーブルとヒートシール性(加熱接着性)をもつとともに、接着性樹脂層同士がヒートシール性をもつ熱可塑性樹脂である。
【0018】
接着性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、金属とのヒートシール性があるカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸エステルなどに基づくカルボニル基「ー(C=O)ー」を主鎖又は側鎖に1〜700meq/100gを含むものである。
カルボニル基が、1meq/100g未満では、金属との接着性が小さく、高温でデラミネーションを発生することがある。また、700meq/100gを超える場合、製膜を行うときにネックイン(Tダイスから溶融押出しを行うときの溶融樹脂の流れ巾の変化)が大きくなり製膜が困難となる。
接着性樹脂層に適用できる熱可塑性樹脂は、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタアクリル酸エチル共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物とアセトキシ基、水酸基あるいはカルボニル基をもつ化合物とを共重合した樹脂組成物、イオン架橋オレフィン共重合体(以下アイオノマーと記載する)、共重合ポリエステル、共重合ポリアミドなどの1種又は2種以上を組合わせたものである。
【0019】
接着性樹脂層の組成物は、融点が70〜200℃、MFRが0.3〜40gであることが好ましい。融点が60℃未満である場合は、比較的低温で金属ケーブルとヒートシールできるが、積層体として巻取られて保管された時に、巻取り状でブロッキングしやすくなり、フラットケーブルの製造加工工程に供給不能となったり、また、加工したフラットケーブルは高温下で可塑化し金属ケーブルとの間で剥離したり、接着性樹脂層の内部で破壊してりするデラミネーションを起こしたりすることがある。
融点が200℃を超えるときは、フラットケーブルを加工するときのヒートシール温度が高くなり耐熱性基材の耐熱温度をより高く設定する必要があるばかりでなく、作業能率の低下をもたらし、また金属ケーブルとのヒートシールムラを生じ製品の品質上の問題を起こすことになる。
【0020】
接着性樹脂層のMFRが0.3g以下では、フラットケーブル用積層体を作成する溶融押出しコーティングにおいて、溶融状態の樹脂圧力が高くなり、押出しコーティングができなかったり、厚さのムラを発生したりするという加工上の問題を生ずる。また、フラットケーブルを作成するときにヒートシールされる樹脂の流れが悪く、金属ケーブルを挿入し密着するためには、高温度、高圧力を必要とし、生産性の低下、加工機械が大型化し設備コスト、製品コストが上昇する原因となる。
【0021】
接着性樹脂層のMFRが40gを超える場合は、金属ケーブルを挿入するフラットケーブルをヒートシールする加工性は良好ではあるが、フラットケーブル用積層体を作成する溶融押出しコーティングにおいて、流動性が悪く、ネックインが大きくなり溶融状態の樹脂が均一な膜状にならず、加工温度の僅かの変化で膜の状態が変動し、押出しコーティングしたものに、厚さのムラを発生したり、筋状の凸部を発生したりするという加工上の問題を生ずる。また、配合した難燃性付与剤やフィラーが膜を粗面化し、表面の外観を低下することになる。
【0022】
配合した接着性樹脂の組成物の流動性が悪い熱可塑性樹脂は、溶融押出しコーティング適性がよいもの例えば、MFRが3〜8g.密度が0.92g/cm3 の低密度ポリエチレンを耐熱性基材に接するようにして共押出しコーティングにより積層することもできる。
また、図示はしないが、接着性樹脂層の組成物を別の方法、例えばキャスト法、インフレーションなどで製膜したフィルムと耐熱性基材とを、溶融押出し機でポリエチレンなどを用いて接着促進層を介してサンドイッチラミネーションして積層体を構成することもできる。
【0023】
接着性樹脂層は、その溶融押出しコーティング適性や、フラットケーブル作成工程の作業性、積層体の耐ブロッキング性を改善するために、必要に応じて、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドやアクリル樹脂などを混合したり、シリカ、タルクなどの無機化合物系添加剤、球状、板状の有機化合物、界面活性剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤などの助剤を適宜添加したりすることができる。
また、図示はしないが、例えば、ポリアミド系樹脂フィルムとカルボニル基をもつオレフィン系樹脂のように、耐熱性基材と接着性(加熱接着)をもつ接着性樹脂層を選択することにより、接着促進層を省略したフラットケーブル用積層体を構成することもできる。
【0024】
接着性樹脂層の厚さは、金属ケーブルの厚さ、用途、使用環境により適宜に選定できる。そして、金属ケーブルとのヒートシール強度を保ちフラットケーブルの屈曲に接着して追随できるように選定されるが、通常は、金属ケーブルの厚さの0.1〜2倍である。
また、押出しコーティングにより接着性樹脂層を形成するときは、極めて薄膜の接着促進層の溶液を塗布、乾燥し、更に高温に加熱溶融した熱可塑性樹脂をコーティングすることにより、該接着促進層は殆ど揮発性の残留溶剤を含まず、また耐熱性基材と接着性樹脂層との間に空気泡を残存しないフラットケーブル用積層体を構成することができる。
【0025】
本発明のフラットケーブル用積層体1は、図2、図3、図4及び図1に示すように、耐熱性基材2、接着促進層3及び接着性樹脂層4とから構成される。2組のフラットケーブル用積層体1は、接着性樹脂層4を対峙して金属ケーブル5を挿入するように載置する。そして、耐熱性基材2の側から公知の方法で加熱、加圧して軟化した接着性樹脂層4と金属ケーブル5とを仮着部分6で仮止めし、金属ケーブル5を所定の箇所に位置決めする。更に対峙した接着性樹脂層4同士をヒートシールするために強く加熱、加圧をすることにより接着性樹脂層4を可塑化するとともに金属ケーブル5に食い込ませてその周囲を被覆するようにして接着部分7を形成して接着性樹脂層4をヒートシールし、冷却固定する。金属ケーブル5は2組のフラットケーブル用積層体1の間に固定されるものである。
このとき、熱可塑性樹脂と難燃性付与剤とから構成される接着性樹脂層4は、加圧時のクッション作用を呈するばかりでなく、図1に示すように金属ケーブルを嵌合するように被覆して挿入した状態で固定したフラットケーブル10を形成するものである。
【0026】
本発明における金属ケーブルの固定は、接着性樹脂層4がもつカルボニル基との化学的接着及び金属ケーブル5との物理的な嵌合状態(挿入状態)で確立されるものである。この化学的接着及び物理的嵌合により、高温下におけるフラットケーブルの屈曲に追随し、デラミネーションを防止でき、耐熱性に優れ、金属ケーブルを精度よく配列できるフラットケーブル用積層体1を構成できる。
【0027】
【実施例】
図2に示すように、耐熱性基材2として厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、接着促進層3としてポリエステルポリオール:ジフェニルメタンジイソシアネートの比率が4:1(固形分比)に配合した酢酸エチル溶液を、ゴムロールコーティングにより0.5g/m2 設けた。
次いで、接着性樹脂層4を表1に示す接着性樹脂層用熱可塑性樹脂と表2に示す難燃性付与剤とを表3に示す組成物のように組合せた実施例の試料1〜12及び比較例1〜6の組成物を上記耐熱性基材2に設けた接着促進層側3に接着性樹脂層4が30μmとなるように溶融押出しコーティングして本発明の図2に示すフラットケーブル用積層体1を作成した。
次いで、図3〜4に示すように金属ケーブル5として、厚さ0.1mm×巾2mmの断面をもつ表面スズメッキ銅ケーブルを、2組のフラットケーブル用積層体1のそれぞれの接着性樹脂層4を対峙し、図3〜4に示すように金属ケーブル5をもつ表面スズメッキ銅ケーブルを、1mm間隔で挿入し、3m/minの走行速度で2本の200℃に加熱したゴムロールの間で圧着したのち、冷却した金属ロールとゴムロールとで更に強い圧力で圧着、冷却して金属ケーブルの周囲を完全に被覆した状態で接着部分7を形成した図1に示すフラットケーブル10を作成した。
【0028】
【表1】
Figure 0003710867
(以下余白)
【0029】
【表2】
Figure 0003710867
(以下余白)
【0030】
【表3】
Figure 0003710867
【0031】
実施例及び比較例について作成したフラットケーブルについて次の評価を行った。
▲1▼高温下保存テスト
(a) 接着強度:金属ケーブルを12本含む状態で、80℃で金属ケーブルの長手方向に剥離し、剥離角度180°、剥離速度300mm/minで剥離に要したgを測定した。
(b) デラミネーションの評価:フラットケーブルを100mmφの状態になるように屈曲固定して、100℃で48時間保持後のデラミネーションの状態を目視で評価した。
▲2▼難燃性テスト:25mm巾×150mm長の試料の端部をガスバーナーの炎で着火し、炎を除去した後の燃焼状態を目視で評価した。
自己消火・・・直ちに消火
完全燃焼・・・燃焼を継続
▲3▼加工性:接着性樹脂層を溶融押出しコーティング加工するときの状況及び製膜された接着性樹脂層の均一性を目視で評価する。
評価結果を表4に示す。
(以下余白)
【0032】
【表4】
Figure 0003710867
【0033】
実施例の試料1〜12は、高温下においても、充分な接着強度を示し、気泡及びデラミネーションも認められなかった。また、難燃性に優れ、加工性も支障のないものである。
比較例1は、接着性樹脂層の融点が70℃未満(60℃)であるため、高温下で気泡及びデラミネーションを発生した。
比較例2は、接着性樹脂層のMFRが0.2gであるため、高温下で気泡及びデラミネーションを発生し、また加工性が悪く筋状の凸部を発生した。
比較例3及び比較例4は、フラットケーブルとの接着強度が小さく、高温下で気泡及びデラミネーションを発生した。
比較例5は、難燃性付与剤の量が充分でなく、可燃性をもつものであった。
比較例6は、難燃性付与剤の量が過剰であり、加工性が悪く筋状の凸部を発生した。
【0034】
【発明の効果】
本発明のフラットケーブル用積層体による金属ケーブルの固定は、金属と接着性樹脂層がもつカルボニル基との化学的接着ばかりでなく、接着性樹脂層4と金属ケーブル5との物理的な嵌合状態(挿入状態)とが相俟って確立されるものである。この化学的接着及び物理的嵌合により、高温下におけるフラットケーブルの屈曲に追随し、デラミネーションを防止でき、耐熱性に優れ、金属ケーブルを精度よく配列できるフラットケーブル用積層体を構成できるものである。
また、溶融押出しコーティングで形成する接着性樹脂層は、接着剤の残留溶剤や、耐熱性基材と中間との間に残存する空気に起因する気泡の発生、デラミネーションがないフラットケーブル用積層体を提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフラットケーブル用積層体で構成したフラットケーブルの断面の概念図である。
【図2】本発明のフラットケーブル用積層体の断面の概念図である。
【図3】金属ケーブルを載置する状態を示す断面の概念図である。
【図4】金属ケーブルを仮着した状態を示す断面の概念図である。
【符号の説明】
1 フラットケーブル用積層体
2 耐熱性基材
3 接着促進層
4 接着性樹脂層
5 金属ケーブル
6 金属ケーブルとの仮着部分
7 金属ケーブルとの接着部分
10 フラットケーブル

Claims (3)

  1. 熱性基材の一方の面に、少なくとも2液硬化型接着促進層と、熱可塑性樹脂より形成される接着性樹脂層とを此の順に積層してなる2組の積層体の、該接着性樹脂層が金属ケーブルを挟み込むように対峙してヒートシールしたフラットケーブルにおいて、接着性樹脂層が融点が70〜200℃の熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して難燃性付与剤を1〜200重量部配合してメルトフローインデックスを0.3〜40g/10minに調整した組成物であり、かつ金属とヒートシールできるとともに接着性樹脂層同士がヒートシール性をもつことを特徴とするフラットケーブル用積層体。
  2. 上記接着性樹脂層を構成する熱可塑性ポリエステル樹脂が、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステルに基づくカルボニル基を主鎖又は側鎖に1〜700ミリイクイバレント/100g樹脂の濃度で含むことを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル用積層体。
  3. 前記接着性樹脂層が、単層又は多層の溶融押出しコーティングにより設けられたことを特徴とする請求項1、又はのいずれかに記載のフラットケーブル用積層体。
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