JP3710740B2 - 窓縁モール - Google Patents

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    • B60J10/00Sealing arrangements
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の窓開口部で移動(昇降動)する窓板を備えた窓の車内側又は車外側に取付けられて、移動する窓板の表面を清浄する窓縁モールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような窓縁モールの例としては、車両のドアの昇降窓用としての窓開口の下縁に沿って取付けられるベルトモールがある。一般的なベルトモールとしては、厚さ0.4 〜0.5mm 程度のステンレス帯鋼板等を断面略U字形にロール成形して略溝形に作られた長尺金属芯材とし、この金属芯材を樹脂押出成形型の中に供給して金属芯材の上に軟質合成樹脂のシールリップを一体的に共押出しで形成した一定断面形状のものが知られている。
【0003】
そして、このベルトモールを車体パネルの所定位置に取付けるには、弾性を有する硬質合成樹脂から成形されたクリップ等の取付具を長手方向で所定の間隔を保って溝形の金属芯材の中に嵌め込んで係止させると共に、この取付具を用いてベルトモールを車体パネルに取付けている。
【0004】
しかしながら近年、燃費向上の観点からあらゆる車両部品について軽量化が望まれ、また資源の有効利用の観点からあらゆる車両部品にリサイクル可能性が望まれるようになっている。
【0005】
上記の両方の要請に応えるために金属芯材を省略して軽量化を目指したベルトモールの案が提案されているが、これによって上記問題点の解決には役立つものの、金属芯材の省略に伴い新たに別途の問題が生じている。
【0006】
即ち、金属芯材を省略することにより、ベルトモール全体としての剛性が大きく低下するために、クリップ等の取付具を嵌め込んだ部分でベルトモールの断面形状が他の部分に比較して拡大方向(口開き方向)に局部的に変形し、車体に取付けた状態で波打ったようになり装飾性を著しく低下させる。こうした前記局部的変形はモールの肉厚を増せば解決できるが、モール肉厚の増加はベルトモール全体としての重量を増加させることになって当初の軽量化の目的から外れることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属芯材を使用せずに、しかも実質的に別途の取付具を使用しなくてもドアパネルの窓開口縁に安定した状態で取付可能な窓縁モールの提供を課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、車体のドアの窓開口縁の少なくとも下縁に沿って取付可能な窓縁モールであって、前記窓縁モールは長尺なモール本体部材と、該モール本体部材に組み付けられて窓板側に向けて突出して、窓開口内を昇降動する窓板面に弾接するシールリップ部を有する長尺なシール部材と、前記モール本体部材の内部に組み付けられた長尺な引寄せ弾性部材とを備え、前記モール本体部材は、窓開口縁の車外側に配置される車外側縁部と、前記車外側縁部と間隔を保って車内側に配置される取付基部と、前記車外側縁部と前記取付基部とを連結する内側連結縁部とを備え、前記車外側縁部と前記取付基部との間に窓開口縁のフランジ部を収容可能なフランジ部収容溝を有するように硬質材料から射出成形によって一体成形され、前記取付基部下端側の前記フランジ部収容溝側には、複数の係止部が長手方向に所定間隔を保って前記フランジ部と係合可能に取付基部と一体に成形され、前記シール部材は押出成形体であり、前記モール本体部材の取付基部の長手方向における複数の係止部の間の位置で取付基部に固着された取付板部と、モール本体部材よりも軟質で弾力性を有する材料からなり、取付板部から窓板に向けて一体的に突出して、窓板に弾接したときに変形してその弾性復元力により前記取付板部を介して取付基部を前記フランジ部の車内側面に押し付けるシールリップ部とを有し、前記引寄せ弾性部材は、前記モール本体部材のフランジ部収容溝内に取付けられる基部と、前記モール本体部材よりも軟質で弾力性を有する材料からなり前記基部から該収容溝に収容されたフランジ部の車外側面に向けて突出しており該車外側面に弾接したときに変形してその弾性復元力により前記モール本体部材を車外側に引き寄せる弾性リップ部とを有し、前記モール本体部材は、取付基部に設けた係止部がフランジ部に係止して窓開口中心側への移動が阻止され、前記引寄せ弾性部材の前記引寄せ力と記シール部材の前記押付け力とによって車外側に付勢された状態で窓開口縁に取付可能とされていることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、窓縁モールの構成部材として金属芯材をモール本体部材内に埋設しなくても、またクリップ等の取付け具を必ずしも使用せずに、ドアの窓開口縁に窓縁モールを安定した状態で取付けることができる。また、窓板の移動時(窓板が開いたとき)に仮にシール部材が窓板の表面に弾接しない状態になっても、モール本体部材の窓開口縁収容溝内に取付けられた長尺な引寄せ弾性部材が、モール本体部材の取付基部をフランジ部の車内側面に均一に引き寄せるので、窓開口縁から窓縁モールが外れることはない。
また、取付られたとき前記係止部がフランジ部に係止されるために、簡単な構造でモール本体部材が窓開口中心側に向けて移動するのを阻止できる。また、複数個の前記係止部は、モール本体部材の射出成形時に一体に成形可能である。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明を前提として、前記モール本体部材の取付基部には長手方向に沿って所定間隔を保って複数の固着突出部が窓板側に向けて一体に形成され、シール部材の取付板部は前記固着突出部に対応する位置に複数の固着孔が形成され、前記シール部材は前記固着孔に前記固着突出部が嵌合して位置決めされ、前記固着突出部の先端部が塑性変形により突出方向と直交する方向に拡大されて、シール部材の基板部がモール本体部材の取付基部に固着されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、モール本体部材に対してシール部材を単な構造によって位置決めして固着できる。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明を前提として、前記引寄せ弾性部材は、モール本体部材の車外側縁部と、窓開口縁のパネルとの隙間を塞ぐクッション部を備えていることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明によれば、硬質材料で成形されたモール本体部材の車外側縁部が窓開口縁を形成するパネル表面に直接接触しないのでパネル表面が傷付けられることがなく、また、前記隙間が塞がれて当該部分における空気の流入・流出が防止されるために、走行中に異音の発生がなくなる。また、前記隙間がなくなるので、窓開口縁の部分の装飾性も高まる。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明を前提として、前記係止部は、フランジ部収容溝内に向けて突出しフランジ部の下縁と係止可能とされていることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明によれば、フランジ部に形成された折返し部の下縁に前記係止部を係止でき、係止構造が簡単となり、しかも係止部がフランジ部収容溝内に向いて突出しているので、係止部と窓板との干渉の恐れがない。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明を前提として、前記係止部は、前記取付基部を厚さ方向で貫通する係止孔で構成され、前記係止孔が車内側に向けて折り曲げられたフランジ部の下縁部に係止可能とされていることを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同等の作用効果が奏される。
【0018】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明を前提として、前記引寄せ弾性部材は、前記フランジ部に弾接する弾性リップ部と、該弾性リップ部よりも硬度の高い剛性を有する材料からなる基部とが、一体に押出成形されていることを特徴としている。
【0019】
請求項6の発明によれば、引寄せ弾性部材の基部は剛性を有しており、モール本体部材への取付け時に不測の折れ曲がり等は生じないので、窓縁モールに引寄せ弾性部材を取付ける際に、取付作業が容易にしかも正確に行える。
【0020】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明を前提として、前記モール本体部材のフランジ部収容溝には、該収容溝を断面視で二分するリブが、車外側縁部との間に一定の幅寸法を保って一体成形され、該リブと前記車外側縁部との間に引寄せ弾性部材の基部が嵌め込まれていることを特徴としている。
【0021】
請求項7の発明によれば、モール本体部材に対して引寄せ弾性部材を固着する際に、リブに沿って取付ければ、車外側縁部と一定の寸法を保って正確な位置に固着できる。このため、引寄せ弾性部材の弾性リップ部は、窓開口縁のパネルの車外側面に偏りなく弾接して、モール本体部材の取付基部を窓開口縁のフランジ部の車内側面に適正かつ均一な力で引き寄せることができる。
【0022】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明を前提として、前記モール本体部材の内側連結縁部は長手方向に連続する空洞を有するパイプ状に形成されて、内側連結縁部の厚さがモール本体部材の他の部分の肉厚とほぼ同一になるようガスアシスト射出成形されていることを特徴ととしている。
【0023】
請求項8の発明によれば、モール本体部材の車外側縁部と取付基部とを連結する内側連結縁部が閉鎖パイプ状構造になっているので、その部分の剛性が高まる。また、内側連結縁部をパイプ状構造にして、モール本体部材の各部分の肉厚をほぼ一定にしてあるので、ガスアシスト射出成形時において、外部から視認される内側連結縁部の外表面に「ヒケ」が生じない。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る窓縁モールMが装着された窓開口Bを有する自動車の後部ドアDの正面図であり、図2は、図1の窓開口Bの部分の拡大図であり、図3は、図2の窓開口Bの下端縁と側縁との接続部分の拡大図であり、図4は、窓縁モールMの全体の正面図であり、図5は、窓縁モールMを構成するモール本体部材M0 とシール部材Sと引寄せ弾性部材Pの一部を示す分解斜視図であり、図6は、モール本体部材M0 の一部を示す斜視図であり、図7は、引寄せ弾性部材Pの一部を示す斜視図であり、図8は、モール本体部材M0 に対する引寄せ弾性部材Pの取付構造を主体に示す断面図であり、図9は、モール本体部材M0 に対する第1シール部材S1 の固着構造を主体に示す断面図である。また、図10ないし図15は、それぞれ図2のX1 −X1 線ないしX6 −X6 線断面図である。
【0025】
最初に、自動車の後部ドアDに設けられた窓開口Bの部分について説明し、その後に、前記窓開口Bの下端縁と窓開口Bの前側の側縁とに装着される本発明に係る窓縁モールMについて説明する。図1において、スライドする後部ドアDを構成する窓開口縁近くのドアアウターパネル51及びドアインナーパネル(図示せず)との間には、窓枠全体の正面形状が略逆コの字形となっていて、上部窓枠部52a,前部窓枠部52b及び後部窓枠部52cとの3つの部分から成る窓枠体52が収容配設されている。上部窓枠部52a、前部及び後部の各窓枠部52b,52cの内面側(対向側)には、窓板(窓ガラス)Gの昇降案内を行うガラスランチャンネル53a,53b,53cがそれぞれ設けられている。なお、図1において、50は、ドアアウターパネル51とドアアウターパネル補強材54で構成されるドアパネルを示し、Lは、前記窓開口Bの全てが窓板Gで閉じられた状態(窓板Gが上昇端に位置している状態)における前記窓板Gの下端縁の位置を示し、矢印Q,Rは、それぞれ車両前方と車両後方を示す。
【0026】
また、窓縁モールMは、図4に示されるように、モール本体部材M0 にシール部材Sが組み付けられたものである。図1ないし図4に示されるように、モール本体部材M0 は、前記窓開口Bの下端縁に沿って取付けられる第1モール本体部M01と、その前側の側縁に沿って取付けられる第2モール本体部M02とから成り、硬質合成樹脂からガスアシスト射出成形法により両モール本体部M01, M02が一体成形された部材である。一方、シール部材Sは、前記窓開口Bの下端縁に沿って配置される第1モール本体部M01に取付けられ第1シール部材S1 と、その前側の側縁に沿って配置される第2モール本体部M02に取付けられ第2シール部材S2 とから成り、第1及び第2の各シール部材S1,S2 は別部材であってそれぞれの横断面形状が互いに異なっており、いずれも押出成形により長尺に成形される。
【0027】
また、図1及び図2に示されるように、本実施形態では、前記モール本体部材M0 は、窓開口Bの下端縁に沿って取付けられる第1モール本体部M01 と窓開口Bの前側の側縁に沿って取付けられる第2モール本体部M02が鈍角状の略L字状に交叉した状態で一体となった構成である。第2モール本体部M02の長さは、第1モール本体部M01の長さに比較して短くなっており、しかも第2モール本体部M02の横断面は、第1モール本体部M01の横断面略相似的縮小形となっている。両モール本体部M01, M02の接続部はわん曲した形に形成されていて、接続部で横断面形状は一方から他方に向けて徐々に変化している。このモール本体部材M0 は表面に塗装をしないときはAES樹脂やPP樹脂を、するときはABS樹脂等をそれぞれ使用したガスアシスト射出成形品であって、第1及び第2の各モール本体部M01, M02の各基本横断面形状は、それぞれ全長に亘って略同一である。これにより、モール本体部材M0 は、第1モール本体部M01と第2モール本体部M02がきれいに一体に接続している。また長手方向に曲げ加工したものでないので、曲げ応力等の残存がなく、安定した形状を保つ。なお、モール本体部材M0 に金属光沢を要求されるものでは、該モール本体部材M0 にクロムメッキを施すか、或いは樹脂に代えてアルミニウム、亜鉛、マグネシウム等の軽合金のダイカスト成形部材やチクソモールド部材を使用することもできる。
【0028】
また、図5、図6、図10ないし図12に示されるように、第1モール本体部M01 は、略逆U字状の横断面を有していて、車内側(窓板Gの側)に配置される平板状をした取付基部1と車外側に配置される車外側縁部2とが、内側連結縁部3を介して一体に連結された構成である。この取付基部1の上端及び下端には、それぞれ車内側に向けて突出する上端突出部4及び下端突出部5がほぼ全長に亘って一体に設けられ、上端突出部4の表面(外面)は、前記内側連結縁部3の表面(外面)と連続した同一面となっている。取付基部1の上下端に一体成形された上端及び下端の各突出部4,5の間の凹状空間部は長手方向に連続して、後述の第1シール部材S1 の取付板部21を嵌め込んで取付けるためのシール部材取付溝10(図6参照)となっている。また、取付基部1と車外側縁部2と内側連結縁部3とで形成され長手方向に連続する空間は、後述のドアアウターパネル51の上縁フランジ部51aが挿入されるフランジ部収容溝14となっている。また、取付基部1の車内側に形成されたシール部材取付溝10に、シール部材Sを構成する第1シール部材S1 の取付板部21が収容されて取付基部1に固着される。また、前記車外側縁部2は、取付状態において下端が上端よりも車外側に位置するように傾斜していると共に、前記内側連結縁部3の上面は、同様の取付状態において、車内側の端部が車外側の端部よりも僅かに高くなるように傾斜している。また、前記内側連結縁部3は裏面側内部にほぼ全長に亘って空洞部3aが設けられた閉パイプ状構造になっていて剛性を高め、第1モール本体部M01 は横断面において全ての部分が略同一の肉厚となっている。これにより、モール本体部材M0 のガスアシスト射出成形時において全ての部分の冷却速度がほぼ同一となって、内側連結縁部3及びこれと車外側縁部2との接続部の表面に冷却速度差に起因する「ヒケ」が発生せず、外観が低下するのを防止している。
【0029】
また、図6に示されるように、第1モール本体部M01の取付基部1の車内側の面には、当該取付基部1に前記第1シール部材S1 の取付板部21を固着するための固着ボス部6が所定ピッチをおいて車内側に向けて複数突設されている。また、図6及び図11に示されるように、第1モール本体部M01の取付基部1の下端に車内側に向けて突出された前記下端突出部5には、長手方向に沿って設けた複数の固着ボス部6の間の位置に、長手方向に沿って所定ピッチ(前記固着ボス部6の2倍のピッチ)を保って複数の係止突出部7が上方に向けて一体に設けられている。また、図11に示されるように、第1モール本体部M01の取付基部1の車内側には、第1シール部材S1 の取付板部21が密着して配置される。前記係止突出部7は、上記した第1シール部材S1 の固着前の配置状態において、取付板部21の下端部を係止させて仮止めし、組付け途中(固着作業中)において、第1シール部材S1 の取付板部21が、第1モール本体部M01の取付基部1から離脱するのを防止して、第1モール本体部M1 に第1シール部材S1 組み付ける作業を容易にする。
【0030】
また、図6及び図12に示されるように、第1モール本体部M01の取付基部1の下端には、前記係止突出部7及び固着ボス部6と長手方向で異なる位置にフランジ係止部8が車外側に向けて複数個形成されている。なおフランジ係止部8の長手方向のピッチは前記係止突出部7と同一ピッチである。このフランジ係止部8の上面(係止面)は、取付基部1の下端部に、前記フランジ係止部8と反対側に設けられた下端突出部5の上面よりも高い位置(内側連結縁部3側)に設けられている。また、後部ドアDのドアアウターパネル51の上端部は下方に向けて折り返されて2枚重ねとなっていて、その間にドアアウターパネル補強材54 が上端部に挿入されて上縁フランジ部51aを形成している。そして、図12に示されるように、前記ドアアウターパネル51の折返し部の長手方向に沿って前記上縁フランジ係止部8の位置する部分においては、下方に向けた折返し長が他の部分よりも部分的に長くなった係止延長部51bが形成され、その下端が前記フランジ係止部8に当接することにより、ドアアウターパネル51に対して第1モール本体部M01が所定位置を超えて上方(窓開口Bの中心B0 側)に移動しないようにしている。更に、この状態のときに、上縁フランジ部51aは内側連結縁部3の内側面(裏面)3bに当接して第1モール本体部M01が下方(窓開口Bの中心B0 側と反対側)に移動するの阻止する。
【0031】
また、図6及び図10に示されるように、内側連結縁部3の内側面(裏面)3bの車外側縁部2に近い部分には、弾性部材取付溝9を形成するための溝形成用リブ11が下方に向けて一体に突設されている。即ち、この溝形成用リブ11はモール本体部材M0 の取付基部1と車外側縁部2との間のフランジ部収容溝14を断面視で二分するようにして設けられている。この溝形成用リブ11と車外側縁部2の内側との間に、下方に向けて開口した弾性部材取付溝9が形成され、該取付溝9に後述の長尺な引寄せ弾性部材Pの基部31が挿入される。モール本体部材M0 がドアアウターパネル51の上縁フランジ部51aに取付けられたとき、引寄せ弾性部材P弾性変形して元の形状(二点鎖線で示す)に戻ろうとする反力(弾性復元力)によって、取付基部1が上縁フランジ部51aの車内側面に引き寄せられて圧接する。上述の作用を奏するように、引寄せ弾性部材Pの弾性リップ部32の長さは、上縁フランジ部51aに接して弾性変形するのに充分な長さを有している。この結果、モール本体部材M0 は、引寄せ弾性部材Pの挿入されている部分で車内側への移動が阻止されて、前記上縁フランジ部51aに取付けられる。
【0032】
引寄せ弾性部材Pは長尺なので、反発力は長手方向の広い範囲で、また均一に作用する。このため単位長さ当りの反発力が例え小さくても全体では充分な引寄せ力を生じ、またモール本体部材M0 に局部的な変形を生じさせない。この作用は、第1及び第2のそれぞれのモール本体部M01, M02に共通して得られる。
【0033】
次に、第2モール本体部M02について説明する。図4、図13ないし図15に示されるように、第2モール本体部M02は、第1モール本体部M01に比較して全長が短くて、断面形状は第1モール本体部M 01 の横断面形状の略相似的縮小形となっている。このため、第2モール本体部M02の説明に関しては、第1モール本体部M01と同一又は同等部分に、同一符号に「’」を付し、重複説明を避けて、主として両モール本体部M01, M02の異なる部分について説明する。即ち、図13及び図15に示されるように、第2モール本体部M02の車外側縁部2’の高さH’及び内側連結縁部3’の幅W’は、いずれも第1モール本体部M01の車外側縁部2の高さH及び内側連結縁部3の幅Wよりも小さくなっている。また、第2モール本体部M02は、第1モール本体部M01の固着ボス部6及びフランジ係止部8に相当する部分を有している。
【0034】
また、図4及び図15に示されるように、第2モール本体部M02の取付基部1’には、その長手方向に沿った2箇所において、モール本体部材 0 固着クリップ12を介してドアアウターパネル補強材54’に固可能にするために、窓開口の中心B0 と反対側に向けて所定長だけ突出する延長部が形成され、当該突出延長部1'aにクリップ挿通孔13が設けられている。クリップ12による固着は、外部から目視されない位置に配置されて、盗難等を防止している。また、第1及び第2の各モール本体部M01, M02に設けられた各溝形成用リブ11,11’は、各モール本体部M01, M02のわん曲形状の接続部において互いに連続し、モール本体部材M0 の全長に亘って形成されている。上述した固着構造は、第1モール本体部M01の後端部にも設けて、更にセキュリティを高めることもある。
【0035】
引き続いて、モール本体部材M0 の各取付基部1,1’に取付けられ、窓板Gに弾接して窓板Gの表面を清浄するためのシール部材Sについて説明する。このシール部材Sは、モール本体部材M0 を構成する第1及び第2の各モール本体部M01, M02に取付けられる別々の第1及び第2の各シール部材S1,S2 で構成される。図5、図9及び図10に示されるように、第1シール部材S1 は、取付板部21と、該取付板部21の幅方向の両端部(取付状態では上下端部)に沿いそれぞれ一体成形された一対の(2つの)シールリップ部22とから成り、該シールリップ部22は、ゴムやTPE(熱可塑性エラストマー)等の軟質で弾力性に富む材料で成形され、取付板部21は、シールリップ部22よりも硬質で剛性を有する樹脂でシールリップ部22と一体に成形される。即ち、第1シール部材S1 は、シールリップ部22と取付板部21とが互いに物性の異なる複数の材料の共押出成形(複合押出成形)により成形される。また、取付板部21の上端部には、その押出成形時において及び使用時における伸縮防止用の帯状芯材23が該取付板部21の長手方向に沿って連続して一体に埋設される。また、取付板部21には、前記第1モール本体部M01に一体成形された固着ボス部6と同一ピッチで長手方向に長孔形状のボス部挿通孔24が形成されている。第1シール部材S 1 は、第1シール部材S1 の取付板部21を第1モール本体部M01の取付基部1の車内側の面に当接させて、該取付基部1に一体成形された各固着ボス部6を前記取付板部21のボス部挿通孔24に挿通させて、前記固着ボス部6の先端部を熱溶着等によりかしめることにより、第1モール本体部M01の取付基部1に固着される。
【0036】
上方のシールリップ部22は、取付板部21の上端部の前記芯材23が埋設された部分に一体成形され、下方のシールリップ部22は、取付板部21の下端より僅かに上方の部分に一体成形されている。いずれのシールリップ部22も長手方向が窓板Gの昇降(開閉)方向に対してほぼ直交していて、先端部が窓板Gの表面に対して窓開口Bの中心B0(図2参照)を向くような傾斜状態で接触している。このため窓板Gの下降(開)時において、窓板Gの表面に付着している水、ゴミ類が拭き取られて清浄化され、ドア内部に侵入するのが防止される。このように、第1シール部材S1 は長手方向が窓板Gの昇降(開閉)方向とほぼ直交しているために、窓板Gの広い面積(大部分の面積)を清浄し得る。また、第1シール部材S1 が第1モール本体部M01に取付けられた状態において、上方のシールリップ部22のほぼ半分は外部から視認し得るが、この配置はデザイン的見地から自在に変更可能である。なお、シールリップ部22の窓板Gと接触する面には、ナイロンパイルの植毛等や低摩擦の滑性材25が一体的に設けられて、窓板Gが移動するときの摺動抵抗を減少させている。
【0037】
一方、図2、図3、図13ないし図15に示されるように、第2シール部材S2 は、取付板部21’の幅方向の一端部に沿って、一つのシールリップ部22’が一体成形された構成である。シールリップ部22’は、先端部が窓開口Bの中心B0 と反対の方向に向け傾斜した状態で取付板部21’に一体成形されている。このため、図2で破線で示されているように、第2シール部材S2 のシールリップ部22’は、第2モール本体部M02によって体が隠蔽されて、外部からは視認できないが、この点は前述のように変更可能である。また、窓開口Bの下端縁と前側の側縁とは鈍角状に交叉しているために、前記側縁に取付けられる第2シール部材S2 は長手方向が窓板Gの昇降(開閉)方向に対して鋭角状に交叉し、第2シール部材S2 の長さは第1シール部材S1 に比較して短い。よって、第2シール部材S2 によって清浄される窓板Gの表面積は第1シール部材S1 のそれに比較して小さいが、前記第1シール部材S1 だけでは清浄できない部分が清浄される。また、図3に詳細に示されているように、第1及び第2の各シール部材S1,S2 は、窓開口Bの下端縁と前側の側縁とが接続する接続部(コーナー部)において、それらの一方の端部どうしが部分的に接触した状態で接続していて、当該接続部からドア内に水、ゴミ類が侵入しないようになっている。他の構成は、第1シール部材S1 と同等であるので、第1シール部材S1 に付した符号に「’」を付し、重複説明を避けて図示のみ行う。
【0038】
引き続いて、図7、図10及び図13を参照して、ドアアウターパネル51の上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aにモール本体部材M0 を車外側に引き寄せるように付勢した状態で取付けるための引寄せ弾性部材Pについて説明する。この引寄せ弾性部材Pは、モール本体部材M0 の全長に亘って、即ち、該モール本体部材M0 を構成する第1及び第2の各モール本体部M01, M02の長手方向のほぼ全長に亘って共通して一体連続して取付けられる。引寄せ弾性部材Pは第1及び第2の各モール本体部M01, M02の内側の空間部に形成された各弾性部材取付溝9,9’に挿入された状態で、各車外側縁部2,2’の内側面(裏面)に接着剤を介して固着される基部31と、該基部31と一体成形されて前記上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aの車外側面に弾接する弾性リップ部32と、ドアアウターパネル51,51’の車外側縁部2,2’の下端末部と対向する部分に弾接して、前記車外側縁部2,2’の下端末部がそれぞれ直接にドアアウターパネル51,51’に接触するのを防止するクッション部33との3つの部分で構成される。弾性リップ部32及びクッション部33は弾性に富む軟質の樹脂で成形され、基部31は弾性リップ部32及びクッション部33よりも硬質の樹脂で成形され、上記各部は共押出成形(複合押出成形)により一体に成形される。
【0039】
次に、モール本体部材M0 にシール部材Sを組み付ける方法について説明する。モール本体部材M0 にシール部材Sを組み付ける前に、図8に示されるように、モール本体部材M0 に引寄せ弾性部材Pを取付ける。即ち、共押出成形された引寄せ弾性部材Pをモール本体部材M0 に対応した長さに切断する。切断された所定長の引寄せ弾性部材Pをモール本体部材M0 の全体形状である略L字形にわん曲させて、弾性リップ部32の基端部上面がモール本体部材M0 の溝形成用リブ11,11’の先端面に当接する位置で、基部31の一部を弾性部材取付溝9,9’に挿入し、この状態で、基部31をモール本体部材M0 の車外側縁部2の内側面に接着固定する。これにより、モール本体部材M0 に引寄せ弾性部材Pを一体に取付ける。こうして引寄せ弾性部材Pの弾性リップ部32は、全体がモール本体部材M0 のフランジ部収容溝14,14’に収容されると共に、クッション部33は先端部がモール本体部材M0 の前記車外側縁部2,2’の先端の延長上に配置される。引寄せ弾性部材Pの基部31は剛性を有しているので、モール本体部材M0 に取付ける際に不測の折れ曲がり等が生じず、容易にしかも正確に行える。なお、引寄せ弾性部材Pがモール本体部材M0 に取付けられたときに、弾性リップ部32の先端とモール本体部材M0 の取付基部1との間の隙間はドアパネル50の上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aの厚さよりも小さく設定されていて、これによって後述する弾性変形と反発力が得られる。
【0040】
次に、図9に示されるように、モール本体部材M0 の第1モール本体部M01の取付基部1の外側に形成されたシール部材取付溝10に第1シール部材S1 の取付板部21を嵌め込む。この嵌込み時において、第1モール本体部M01の取付基部1の外側に突出された各固着ボス部6を第1シール部材S1 の取付板部21の長孔形状のボス部挿通孔24に挿通させる。このとき、第1モール本体部M01のシール部材取付溝10に嵌め込まれた第1シール部材S1 の取付板部21の下端部は、図11に示されるように、その長手方向に沿って複数箇所において第1モール本体部M01の取付基部1に一体に設けられた係止突出部7と係止する。このため、一旦第1モール本体部M01のシール部材取付溝10に嵌め込まれた第1シール部材S1 の取付板部21は、その嵌込み状態が維持されて仮止めされるので、後工程の固着ボス部6のかしめ作業が容易となる。その後に、第1シール部材S1 の取付板部21から突出している固着ボス部6の突出部分を加熱して軟化させ、該ボス部6の突出方向に力を加えて突出高さを低くすると共に、塑性変形させて径方向に拡大させて拡径部6aを形成する。図10に示されるように、第1シール部材S1 、取付板部21の下端が第1モール本体部M01の下端突出部5の上面に当接した状態で前記拡径部6aによりかしめられて、第1モール本体部M 01 の取付基部1に複数箇所で固着される。なお、上記熱溶着には、加熱した押型を用いる方法の他に、超音波溶着、振動溶着等の適宜の方法を選択して使用できる。また、前記拡径部6aの成形を容易にするために、ボス部6をチューブ状に成形しておくこともある。
【0041】
一方、第2モール本体部M02 に第2シール部材S2 を固着する方法も、上記とほぼ同様である。即ち、第2モール本体部M02のシール部材取付溝10’に第2シール部材S2 の取付板部21’を嵌め込んで、該取付板部21’のボス部挿通孔24’から突出した固着ボス部6’の突出部分をかしめて拡径部6a'に変形させると、図13に示されるように、第1シール部材S1 の場合と同様にして、第1モール本体部M01の取付基部1’に第2シール部材S2 が固着される。これにより、モール本体部材M0 から突出するボス部6’の高さは、元の高さよりも低くなるので、窓板Gの昇降に伴って、シールリップ部22,22’が弾性変形するのに支障を来たさない。なお、引寄せ弾性部材Pとシール部材Sの取付順序は特に限られるものではなく、それらの各形状その他の理由により適宜変更可能である。
【0042】
これにより、2辺の交叉角が鈍角状となった略L字形のモール本体部材M0 にシール部材Sと引寄せ弾性部材Pとが一体に組み付けられた窓縁モールMが完成し、ドアアウターパネル51の上縁フランジ部51a及び側縁フランジ部51'aに取付けられる。
【0043】
そして、上記した窓縁モールMは、以下のようにして、窓開口Bの下端縁と前側の側縁とに沿って取付けられる。即ち、窓板Gが全開となっている窓開口B内に窓縁モールMを配置しておいて、そのモール本体部材M0 車両の斜前下方に押し付けることにより、ドアアウターパネル51の上縁フランジ部51a及び側縁フランジ部51'aの各フランジ部に押し込む。前記押し込みにより第1及び第2の各モール本体部M01, M02の各フランジ部収容溝14,14’に上記した上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aが挿入される。また各モール本体部M01, M02の車外側縁部2,2’の内側面に接着固定された引寄せ弾性部材Pの弾性リップ部32及びクッション部33が弾性変形して、上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aの外側面、並びにドアアウターパネル51にそれぞれ弾接する。
【0044】
また、モール本体部材M0 の取付基部1,1’の下端部に車外側に向けて一体成形された複数のフランジ係止部8は弾性リップ部32を大きく弾性変形させた状態で、モール本体部材M0 が最奥側まで押し込まれて各フランジ部51a,51'aの先端がフランジ部収容溝14,14’の底に、即ち内側連結縁部3,3’のそれぞれ内側面(裏面)3b,3b'にほぼ当接する位置で、上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aの係止延長部51b,51'bを通過する。係止部8が係止延長部51 b, 51 'b を通過した後に上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aの車外側面に弾接する弾性リップ部32元の形状(二点鎖線で示す)に戻ろうとする弾接力F2 の反力(弾性復元力)並びに窓板Gに弾接する第1及び第2の各モール本体部M01, M02の各シールリップ部22,22’の弾接力F1 の反力(弾性復元力)によって、モール本体部材M0 の全体がドアパネル50車外側Y2 に引き寄せられる。この結果、モール本体部材M0 の取付基部1,1’が前記上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aに圧接されて、クリップ等の取付具を特に使用することなく、窓開口縁ドアパネル50の上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aに取付けられる。また、フランジ係止部8が前記係止延長部51b,51'bを通過した後はモール本体部材M0 のフランジ係止部8が前記係止延長部51b,51'b 係止して、窓縁モールMが窓開口Bの中心側B0 に向けて移動するのが阻止される。
【0045】
このように、引寄せ弾性部材Pの弾性リップ部32が弾性変形して上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aに弾接し、この弾性復元力と、第1及び第2の各モール本体部M01, M02の各シールリップ部22,22が窓板Gに弾接して生ずる弾性復元力とにより、窓縁モールMの取付基部1,1’は上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aに圧接されてこの状態が維持される。また、窓縁モールMは、そのモール本体部材M0 のフランジ係止部8が前記係止延長部51b,51'b 係止して、前記弾性復元力により窓開口縁(ドアパネル50の上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'a)に取付けられた窓縁モールMが窓開口Bの車内側Y1 、車外側Y2 及び窓開口Bの中心側B0 に向けて移動するの阻止る。更に、窓縁モールMは、窓開口縁に取付けられたとき、シール部材Sのシールリップ部22,22’が窓板Gに接触して弾性変形し(図8ないし図13において二点鎖線で示される位置から実線で示される位置に変形)、元の形に戻ろうとする反発力が作用して、取付基部1を車外側に向けて上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aに押し付ける作用をするので、窓縁モールMは、車内側への移動やずれが更に効果的に防止され、取付安定性が向上する。
【0046】
更に、第1及び第2の各モール本体部M01, M02 の両方に、図12及び図14に示されるように、内側連結縁部3,3’の裏面3b,3'bに破線で示す凹溝14a,14'aを長手方向に連続して一体に形成しておき、前記した上縁及び側縁の各フランジ部51a,51'aが嵌まり込むようにしておくと、車内側と車外側へのズレや移動が更に確実に防止される。
【0047】
また、弾性変形された引寄せ弾性部材Pのクッション部33は、モール本体部材M0 の車外側縁部2,2’の先端と、ドアアウターパネル51との間の隙間に配置されて、窓縁モールMの窓開口縁への取付け時、及び使用時に前記車外側縁部2,2’の先端がドアアウターパネル51に直接接触しないので表面の塗装を傷付けることがない。また、前記隙間が塞がれて、当該部分における空気の流入・流出が防止されるために、走行中における異音の発生がなくなると共に、前記隙間が塞がれることにより、窓開口縁の装飾性も高まる。なお、図10ないし図15において、矢印Y1,Y2 はそれぞれ車内側、車外側を示す。
【0048】
そして、窓開口B内において窓板Gを昇降動させると、窓縁モールMを構成する第1及び第2の各シール部材S1,S2 のシールリップ部22,22’は、弾性変形して窓板Gの表面に接触しているために、窓板Gとの間をシールし、また窓板Gの表面の水、ゴミ類は、拭き取られて清浄される。ここで、窓開口Bの下端縁車体前側の側縁とが略L字状に交叉していて交叉角が鈍角状になっているときには、第1シール部材S1 によって窓板Gの表面の大部分は清浄され、残りの部分は、第2シール部材S2 によって清浄される。このように、第1及び第2の各シール部材S1,S2 がそれぞれ分担して窓板Gの表面を清浄することにより、窓板Gの全面のシールと清浄が可能となる。なお、前記L字状の交叉角が直角、又は鋭角の場合の窓縁モールでは、第1シール部材S1 にシールと清浄の各作用を、第2シール部材S2 にシール作用を行わせることになる。
【0049】
また、第1及び第2の各シール部材S1,S2 の窓板Gに対する弾接力は、窓板Gの表面に付着している水、ゴミ類がドア内部に侵入するのを防止してシールできる大きさが必要である。第1及び第2の各シール部材S1,S2 の窓板Gに対する弾接力を比較すると、第1シール部材S1 は2つのシールリップ部22を備えているのに対して、第2シール部材S2 は1つのシールリップ部22’を備え、単位長さ当たりの弾接力は、第1シール部材S1 の方が大きい。これに加えて、第2シール部材S2 の長さは第1シール部材S1 よりも短いので、シール部材全体としての弾接力は、窓開口Bの下端縁に沿って取付けられる第1シール部材S1 の方がその前側の側縁に沿って取付けられる第2シール部材S2 よりも大きい。このことは、窓開口Bの下端縁と前側の側縁とが鈍角状に交叉していてその下端縁に沿って取付けられたシール部材(第1シール部材S1 )のみでは清浄できない部分を、窓開口Bの側縁に沿って取付けた第2シール部材S2 により清浄し、以て、窓板Gの全表面を清浄できる構成にしても、シール部材全体としての弾接力の増加は少ないことを意味する。従って、本発明に係る窓縁モールMを使用しても、窓板Gの移動抵抗を大きく増加させることはない。このため、窓板Gを昇降させるモータ(図示せず)の負荷を大きく増加させない。
【0050】
また、第1及び第2の各シール部材S1,S2 の窓板Gに対する弾接力の差を設ける他の手段としては、各シールリップ部22,22’における撓みを生ずる部分の肉厚に差を設けてもよい。即ち、シールリップ部22’の当該部分の厚みをシールリップ部22よりも薄くすることによって達成できる。
【0051】
また、前述の実施例においては窓縁モールMが窓開口Bの中心B0 に向けて移動するのを防止する手段として、ドアアウターパネル51に係止延長部51b,51'bを設けると共に、各モール本体部M01, M02の側にフランジ係止部8,8’を設けて、両者を係止させる構成にしたが、以下の手段も可能である。即ち、モール本体部材M0 のガスアシスト射出成形時に、取付基部1,1’に長手方向に沿った複数箇所に係止開口8a,8'a(図12及び図14 参照)を成形し、各図で二点鎖線で示されるように、前記係止延長部51b,51'bの下端部を切り起しにより前記係止開口8a,8'aの側に突出させて、前記下端部を該係止開口8a,8'aの下内壁面に係止させる構成にしてもよい。この構成では、前記フランジ係止部8,8’を設ける必要がなくなる。
【0052】
また、前記フランジ係止部8,8’或いは前記係止開口8a,8'aは、モール本体部材M0 の射出成形時に一体に成形可能であるために、成形コストが嵩むことはない。
【0053】
【0054】
なお、前述の実施形態では、それぞれ長尺な第1モール本体部と第2モール本体部とが、鈍角状をなして交叉する例を示したが、交叉角度が直角又は鋭角状をなしているモール本体部に対しても適用できると共に、窓開口の下端縁に沿ってのみ取付けられる直線状の窓縁モールに対しても適用可能である。更に、窓板よりも車内側に配置される窓縁モールにも適用できる。
【0055】
【発明の効果】
本発明に係る窓縁モールは、その構成部材として金属芯材をモール本体部材内に埋設しなくても、またクリップ等の取付け具を必ずしも使用せずに、ドアの窓開口縁に窓縁モールを安定した状態で取付けることができる。また、窓板の移動時に仮にシール部材が窓板の表面に弾接しない状態になっても、モール本体部材の窓開口縁収容溝内に取付けられた引寄せ弾性部材が、モール本体部材の取付基部を窓開口縁の車内側面に引き寄せるように機能し、しかも窓開口縁のフランジ部にモール本体部材の係止部が係止されるために、モール本体部材が窓開口中心側に向けて移動するのを阻止できるので、窓開口縁から窓縁モールが外れることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る窓縁モールMが装着された窓開口Bを有する自動車の後部ドアDの正面図である。
【図2】 図1の窓開口Bの部分の拡大図である。
【図3】 図2の窓開口Bの下端縁と側縁との接続部分の拡大図である。
【図4】 窓縁モールMの全体の正面図である。
【図5】 窓縁モールMを構成するモール本体部材M0 とシール部材Sと引寄せ弾性部材Pの一部を示す分解斜視図である。
【図6】 モール本体部材M0 の一部を示す斜視図である。
【図7】 引寄せ弾性部材Pの一部を示す斜視図である。
【図8】 モール本体部材M0 に対する引寄せ弾性部材Pの取付構造を主体に示す断面図である。
【図9】 モール本体部材M0 に対する第1シール部材S1 の固着構造を主体に示す断面図である。
【図10】 図2のX1 −X1 線断面図である。
【図11】 図2のX2 −X2 線断面図である。
【図12】 図2のX3 −X3 線断面図である。
【図13】 図2のX4 −X4 線断面図である。
【図14】 図2のX5 −X5 線断面図である。
【図15】 図2のX6 −X6 線断面図である。
【符号の説明】
B:窓開口
G:窓板
M:窓縁モール
0 :モール本体部材
01:第1モール本体部
02:第2モール本体部
P:引寄せ弾性部材
S:シール部材
1 :第1シール部材
2 :第2シール部材
1:モール本体部材の取付基部
2:車外側縁部
3:内側連結縁部
4:上端突出部
3a:空洞部
6:固着ボス部(固着突出部)
8:フランジ係止部
9:弾性部材取付溝
11:溝形成用リブ
14:フランジ部収容溝(窓開口縁収容溝)
21,21’:シール部材の取付板部
22,22’:シールリップ部
24,24’:ボス部挿通孔(固着孔)
31:引寄せ弾性部材の基部
32:弾性リップ部
33:クッション部
50:ドアパネル(車体パネル)
51:ドアアウターパネル
51a:上縁フランジ部(窓開口縁)
51'a:側縁フランジ部(窓開口縁)

Claims (8)

  1. 車体のドアの窓開口縁の少なくとも下縁に沿って取付可能な窓縁モールであって、
    前記窓縁モールは長尺なモール本体部材と、該モール本体部材に組み付けられて窓板側に向けて突出して、窓開口内を昇降動する窓板面に弾接するシールリップ部を有する長尺なシール部材と、前記モール本体部材の内部に組み付けられた長尺な引寄せ弾性部材とを備え、
    前記モール本体部材は、窓開口縁の車外側に配置される車外側縁部と、前記車外側縁部と間隔を保って車内側に配置される取付基部と、前記車外側縁部と前記取付基部とを連結する内側連結縁部とを備え、前記車外側縁部と前記取付基部との間に窓開口縁のフランジ部を収容可能なフランジ部収容溝を有するように硬質材料から射出成形によって一体成形され、
    前記取付基部下端側の前記フランジ部収容溝側には、複数の係止部が長手方向に所定間隔を保って前記フランジ部と係合可能に取付基部と一体に成形され、
    前記シール部材は押出成形体であり、前記モール本体部材の取付基部の長手方向における複数の係止部の間の位置で取付基部に固着された取付板部と、モール本体部材よりも軟質で弾力性を有する材料からなり、取付板部から窓板に向けて一体的に突出して、窓板に弾接したときに変形してその弾性復元力により前記取付板部を介して取付基部を前記フランジ部の車内側面に押し付けるシールリップ部とを有し、
    前記引寄せ弾性部材は、前記モール本体部材のフランジ部収容溝内に取付けられる基部と、前記モール本体部材よりも軟質で弾力性を有する材料からなり前記基部から該収容溝に収容されたフランジ部の車外側面に向けて突出しており該車外側面に弾接したときに変形してその弾性復元力により前記モール本体部材を車外側に引き寄せる弾性リップ部とを有し、
    前記モール本体部材は、取付基部に設けた係止部がフランジ部に係止して窓開口中心側への移動が阻止され、前記引寄せ弾性部材の前記引寄せ力と記シール部材の前記押付け力とによって車外側に付勢された状態で窓開口縁に取付可能とされていることを特徴とする窓縁モール。
  2. 前記モール本体部材の取付基部には長手方向に沿って所定間隔を保って複数の固着突出部が窓板側に向けて一体に形成され、シール部材の取付板部には前記固着突出部に対応する位置に複数の固着孔が形成され、
    前記シール部材前記固着孔に前記固着突出部が嵌合して位置決めされ、前記固着突出部の先端部が塑性変形により突出方向と直交する方向に拡大されて、シール部材の基板部がモール本体部材の取付基部に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の窓縁モール。
  3. 前記引寄せ弾性部材は、モール本体部材の車外側縁部と、窓開口縁のパネルとの隙間を塞ぐクッション部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の窓縁モール。
  4. 前記係止部は、フランジ部収容溝内に向けて突出しフランジ部の下縁と係止可能とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の窓縁モール。
  5. 前記係止部は、前記取付基部を厚さ方向で貫通する係止孔で構成され、前記係止孔が車内側に向けて折り曲げられたフランジ部の下縁部に係止可能とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の窓縁モール。
  6. 前記引寄せ弾性部材は、前記フランジ部に弾接する弾性リップ部と、該弾性リップ部よりも硬度の高い剛性を有する材料からなる基部とが、一体に押出成形されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の窓縁モール。
  7. 前記モール本体部材のフランジ部収容溝には、該収容溝を断面視で二分するリブが、車外側縁部との間に一定の幅寸法を保って一体成形され、該リブと前記車外側縁部との間に引寄せ弾性部材の基部が嵌め込まれていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の窓縁モール。
  8. 前記モール本体部材の内側連結縁部は長手方向に連続する空洞を有するパイプ状に形成されて、内側連結縁部の厚さがモール本体部材の他の部分の肉厚とほぼ同一になるようガスアシスト射出成形されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の窓縁モール。
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