JP3709920B2 - 平型ケーブルの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、LANケーブルとして好適な平型ケーブルの製造方法に関し、特に、端末処理の際の作業性に優れる平型ケーブルを製造するための作業効率に優れた製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の対撚線を平行に並べ、これを被覆層によって一体化した平型ケーブルが、アンダーカーペット型LANケーブルとして使用されている。
図4は、従来のアンダーカーペット型LANケーブルの断面構造を示したもので、導体1上に絶縁体2を被覆した線心3を互いに撚り合わせた対撚線4を平行に並べ、これらの周上に被覆層6を一括押し出した構成を有する。このケーブルは、配線性に優れることから、広く活用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のLAN用平型ケーブルによると、被覆層6が樹脂の一括押し出しにより構成されているため、配線時の端末へのコネクタ取り付けに際して対撚線4を分離するのに特殊な工具を必要とするとともに、さらに、この工具を使用しての端末処理に手間を要することから、作業性の面で必ずしも充分なものとはいい難い。
【0004】
従って、本発明の目的は、端末処理の際の作業性に優れる平型ケーブルと、このケーブルを製造するための作業効率に優れた製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、複数の線材を平行に並べ、前記複数の線材をこれらの周上に形成した被覆層によって一体化した平型ケーブルにおいて、
前記被覆層は、前記複数の線材のそれぞれの周上に形成された外部被覆を隣接する線材の間で局所的に結合することによって構成されていることを特徴とする平型ケーブルを提供するものである。
【0006】
また、本発明は、上記の目的を達成するため、複数の線材を押出機に供給して外部被覆を有する複数の被覆線材を生成し、
前記複数の被覆線材の前記外部被覆が固化する前に前記複数の被覆線材を平行に配置して隣接する被覆線材の前記外部被覆の間を局所的に熱融着することを特徴とする平型ケーブルの製造方法を提供するものである。
【0007】
上記の外部被覆としては、線材を対撚線により構成するとき、対撚線の撚り合わせの谷部を埋めるような充実型に形成してもよいが、全周が均一な厚さの断面が円形の筒状に形成し、さらに、その厚さを対撚線の外径の1/4〜1/20の厚さに形成することが好ましい。外部被覆をこのように構成するときには、対撚線間の分離を素手によって容易に行えるようになる。
【0008】
本発明の製造方法における外部被覆の局所的な熱融着のステップとしては、押出機より排出される複数の被覆線材を平行に配置された一対のロール間に通過させ、その際に加わる両サイドからの挟圧力によって熱融着させる方式が好ましく、その場合、一対のロールとしては。ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂を表面に形成したロールあることが好ましい。
【0009】
以上の方式および構成を採用するときには、各被覆線材の間を均等に加圧できるため、それによる均一な熱融着を得ることができるとともに、ロールへの被覆線材の粘着を防いで良質な外観の平型ケーブルを製造することが可能となる。
【0010】
また、本発明の製造方法は、多くの場合、対撚線を内蔵する平型ケーブルの製造に適用され、その場合の複数の被覆線材を生成するステップとしては、複数の対撚線を押出機に供給するステップと、供給された複数の対撚線上にシースとしての外部被覆を押出機によって形成するステップとを含むことになる。
【0011】
外部被覆を局所的に熱融着させるステップのなかには、熱融着された複数の被覆線材を冷却するステップを含むことが好ましく、この冷却のステップは、被覆線材の相互間の配列関係を良好に固定し、安定化させるために、被覆線材の熱融着後のできるだけ早い時期に実施することが好ましい。
【0012】
また、他の好ましい形式として、押し出されて熱融着される前の被覆線材を所定の温度に冷却することが考えられ、このようにするときには、外部被覆の溶融状態を調整することにより、被覆線材相互間の熱融着強度、即ち、被覆線材の外部被覆間の局所的な結合度合を手で分離可能な適度なものに制御することが可能となる。
【0013】
なお、本発明における複数の線材としては、対撚線以外にクァッド撚線あるいは単線等を使用してもよく、また、線材と外部被覆の間にシールド層を形成する形態も考えられる。外部被覆の構成材としては、ポリ塩化ビニルあるいはポリエチレンのように適度な柔軟性を有する熱可塑性樹脂等が使用される。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による平型ケーブルおよびその製造方法の実施の形態を説明する。
図1の(a)は、本発明を適用したアンダーカーペット型LANケーブルの構成を示したもので、1は導体、2は導体1上に押し出し被覆された絶縁体、3は以上による構成の線心、4は線心3の2本を互いに撚り合わせた対撚線、5は対撚線4上に押し出しにより形成された断面が円形の筒状の外部被覆を示す。
【0015】
対撚線4のシースを構成するこの外部被覆5は、全周が均一な厚さを有するとともに、対撚線4の撚り合わせ外径の1/4〜1/20の厚さに形成されている。
6は対撚線4上に外部被覆5を形成した被覆線材4a〜4dの連結体より構成される平型ケーブルにおける被覆層を示し、平行に並べられた被覆線材4a〜4dの各外部被覆5を、隣接間において熱融着部7により相互に局所的に結合することによって構成されている。
【0016】
以上のように構成される本実施の形態によるLANケーブルによれば、対撚線4上の外部被覆5の相互間が熱融着部7により局所的に結合されることによって平型ケーブルとしての被覆層6を構成しているため、コネクタ結合のための端末処理に際しては、図1の(b)に示されるように、被覆線材4a〜4dを順にA方向に引っ張ることによって熱融着部7から容易に分離することができ、従って、特別な工具を要することなく迅速に端末処理を遂行することが可能となる。
【0017】
図2は、図1のLANケーブルの製造方法を示す。
図2の(a)において、送出装置8より送り出された4本の対撚線4が、相互間に所定の間隔を置いて押出機9に導入され、それぞれ図1の(a)に示される外部被覆5を形成されてクロスヘッド10より押し出される。押し出された被覆線材4a〜4dは、冷却水槽11に導入されて冷却され、冷却後、融着装置12に送り込まれる。
【0018】
図2の(b)は、融着装置12の構成を示す。中央の2本の被覆線材4bおよび4cを挟圧できるように所定の間隔を置いて配置され、かつそれぞれフリーに回転するように構成された一対のロール13と、被覆線材4a〜4dを一括して挟圧できるように所定の間隔を置いて配置され、かつそれぞれフリーに回転するように構成された一対のロール14と、これらのロール13および14の後ろにそれぞれ近接して被覆線材4a〜4dを支持するガイドロール15および16と、ロール13および14に導入される被覆線材4a〜4dの側面を加熱する熱風装置17および18より構成されている。
【0019】
冷却水槽11より送り出された被覆線材4a〜4dは、まず、その中央の4bおよび4cの2本が、熱風装置17により加熱されて外部被覆5の側面の一部を熱溶融された状態でロール13に導入され、ロール13より加わる挟圧力に基づいて融着される。次に、これによって外部被覆5同士を局所的に結合させた被覆線材4bおよび4cは、側方の被覆線材4aおよび4dと一緒にロール14に導入され、導入の過程において被覆線材4aおよび4bとともにそれぞれの側面を熱風装置18によって熱溶融される。
【0020】
ロール14に導入された被覆線材4a、4b‐4cおよび4dは、ロール14より加わる挟圧力によって外部被覆5の相互間を局所的に融着され、これによってケーブルとしての被覆層6が形成された後、所定のLANケーブル19となって引取機20に引き取られ、巻取機21に巻き取られる。
以上の製造方法は、押出と連動して所定の平型ケーブルを製造できるため、作業効率に優れており、さらに、複雑な装置を必要としないために設備費が安価になる等の特質を有している。
【0021】
図3は、図1のLANケーブルを対象とした本発明による製造方法の実施の形態を示す。
図3の(a)において、送出装置8より送り出された4本の対撚線4は、押出機9に送り込まれ、クロスヘッド10より押し出されることによってそれぞれ周上に図1の(a)の外部被覆5を形成される。次に、外部被覆5を形成された被覆線材4a〜4dは、クロスヘッド10の直後に設けられた融着装置22に平行に配置された状態で導入され、ここにおいて隣接する同士の外部被覆5を熱融着される。
【0022】
図3の(b)は、融着装置22を示したもので、クロスヘッド10より押し出されて平型に配置されて走行する被覆線材4a〜4dは、その外部被覆5が固化する前に一対のロール23の間に導入されることで並列の両サイドより挟圧力を加えられ、これによって外部被覆5の相互間を局所的に熱融着される。
【0023】
以上により相互に外部被覆5を結合させることによってケーブルとしての被覆層6を形成した被覆線材4a〜4dは、次に、図3の(a)の冷却水槽11に送り込まれて冷却された後、LANケーブル19として引取機20に引き取られて巻取機21に巻き取られる。図3の(b)の24は、ロール23に近接して設けられて被覆線材4a〜4dを支えるガイドロールを示す。
【0024】
以上のように遂行される本実施の形態の製造方法によれば、クロスヘッド10より押し出された直後であり、従って、外部被覆5が固化せずに溶融状態にある被覆線材4a〜4dをそのまま一対のロール23の間を通過させることによって熱融着を行うため、図2の方法より熱効率に優れており、従って、格段に高い速度のもとに製造作業を遂行することができる。
【0025】
また、外部被覆5の熱融着が、押出機9内でのスクリュー混練による均一な加熱に基づいて行われ、しかも、冷却水槽11を通過する前に行われるため、図2の方法のように冷却水温等の影響を受けることがなく、従って、その分、作業条件が安定化することになり、ケーブル全長に亙って均質な熱融着部7を形成することが可能となる。
【0026】
さらに、この実施の形態の他の利点として段取り時間の短縮を挙げることができる。即ち、図2の製造方法の場合には、作業開始にあたって2組のロール13および14の調整が必要となるが、この点、1組のロール23の調整だけで済む図3の方法は、段取時間が短くなるため明らかに有利となる。この差は、平型化すべき被覆線材の数が増えるほど顕著なものとなる。
【0027】
また、図2と図3の製造方法の間には、作業開始時における調整屑の発生量においても大きな差が生ずることになる。図3の場合が、一括平型化に基づく調整屑の減少が可能であるのに対し、図2の場合には、複数組あるロールの調整ごとに屑を発生させることになり、従って、その分、歩留向上には限界がある。歩留の差は、平型化すべきケーブルの数が増えるにしたがって大きくなる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による平型ケーブルによれば、複数の線材のそれぞれの周上に形成した外部被覆を隣接間において局所的に結合することによって平型ケーフルの被覆層を構成しているため、手で引っ張ること等によって被覆線材を局所的結合部から容易に分離することができ、従って、コネクタ取り付け等のための端末処理を迅速に行うことができる。また、この平型ケーブルを製造するための本発明の製造方法によれば、複数の線材を押出機に供給することによって被覆線材を生成し、生成された被覆線材の外部被覆が固化する前に被覆線材を平型に配置して隣接する被覆線材の外部被覆を局所的に熱融着することによって所定の平型ケーブルとするため、優れた作業効率のもとに製造作業を遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による平型ケーブルの実施の形態を示す説明図であり、(a)はその構成、(b)は端末処理時の被覆線材の分離状態を示す。
【図2】図1の平型ケーブルの製造方法を示す説明図であり、(a)は製造ライン、(b)はその融着装置の構成を示す。
【図3】本発明による平型ケーブルの製造方法の実施の形態を示す説明図であり、(a)は製造ライン、(b)はその融着装置の構成を示す。
【図4】従来の平型ケーブルの構成を示す説明図。
【符号の説明】
1 導体
2 絶縁体
3 線心
4 対撚線
4a〜4d 被覆線材
5 外部被覆
6 被覆層
7 熱融着部
8 送出装置
9 押出機
10 クロスヘッド
11 冷却水槽
12、22 融着装置
13、14、23 一対のロール
15、16、24 ガイドロール
17、18 熱風装置
19 LANケーブル
20 引取機
21 巻取機
Claims (3)
- 複数の線材を押出機に供給して外部被覆を有する複数の被覆線材を生成し、
前記外部被覆を所定の温度に冷却し、
前記外部被覆の側面の一部を熱溶融し、
前記外部被覆の側面の一部が熱溶融した状態で前記複数の被覆線材をロールに導入し、
前記ロールの間を通過させて前記複数の被覆線材に両サイドより挟圧力を加え、隣接する被覆線材の前記外部被覆の間を局所的に熱融着することを特徴とする平型ケーブルの製造方法。 - 前記外部被覆の側面の一部を、熱風装置により熱溶融することを特徴とする請求項1項記載の平型ケーブルの製造方法。
- 前記ロールは、フッ素樹脂を表面に形成したものであることを特徴とする請求項1項又は2項記載の平型ケーブルの製造方法。
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