JP3709840B2 - 高清浄度鋼の溶製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高清浄度鋼の溶製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のベアリングやクランクシャフト等に用いられる鋼材は、繰り返し応力にさらされるため、金属疲労破壊の起点となる非金属介在物の極めて少ない所謂「高清浄度鋼」とすることが要求される。このような高清浄度鋼を製造するには、一般に二次精錬と呼ばれる手段が採用されている。例えば、特公平6−45818号公報は、転炉−真空脱ガス処理−連続鋳造を順次経て軸受鋼を溶製するに際し、真空脱ガス処理前の転炉内溶鋼に炭材及びCr合金鉄を投入し、さらに転炉出鋼中にCaO−CaF2系合成スラグを添加し、真空脱ガス処理槽(以下、単に脱ガス槽という)にて少なくとも30分以上継続して真空脱ガス処理を行うことにより、非金属介在物の低減を図っている。
【0003】
また、真空脱ガス処理を用いず、非金属介在物を遠心分離する技術もあり、例えば、特開平3−110059号公報は、第1容器で溶融金属に水平回転流を与えた後、第2容器で溶融金属を加熱することを基本とした技術を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平3−110059号公報記載の技術は、まず溶融金属に水平回転流を与え、しかる後その溶融金属を加熱するものであり、別途大掛かりな電磁誘導加熱装置を必要とし、設備費が過大になるという問題があった。また、特公平6−45818号公報記載の技術では、既存のRH真空脱ガス槽を利用して比較的手軽に処理ができる反面、十分満足がいく程度に非金属介在物の分離、除去ができるとは言えない。つまり、非金属介在物の分離、除去量がばらつき、安定していないのが現状である。また、この技術による処理では、通常40分以上と長い処理時間を要していた。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑み、RH真空脱ガス処理を利用して、従来より短い時間で溶鋼中の非金属介在物を安定して除去可能な高清浄度鋼の溶製方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
【0007】
すなわち、本発明は、転炉から出鋼した溶鋼を保持した取鍋をRH真空脱ガス槽にセットし、減圧下で該溶鋼に成分調整用の合金鉄及び冷材を添加して、該溶鋼を取鍋と脱ガス槽との間で還流させる高清浄度鋼の溶製方法において、
前記合金鉄及び冷材の添加を、次式を満足するように設定することを特徴とする高清浄度鋼の溶製方法である。
【0008】
合金鉄:Wa×Ca/1000≦0.5
冷材 :Wc×Cc/1000≦0.5
但し、Wa;合金鉄添加量合計(kg/溶鋼t当たり)、Ca;合金鉄中[O]濃度(ppm)、Wc;冷材添加量合計(kg/溶鋼t当たり)、Cc;冷材中[O]濃度(ppm)
また、本発明は、前記合金鉄及び冷材を、予めそれらが含有する酸素濃度に応じて選別し、溶製目的に合うものを選択して使用することを特徴とする高清浄度鋼の溶製方法である。
【0009】
本発明では、高清浄度鋼を製造するにあたり、成分調整で添加する合金鉄や冷材中の酸素含有量に着目し、溶製に際しては、前記式を満足するように、できるだけ酸素濃度の低いものを優先的に選択して使用するようにしたので、RH真空脱ガス槽での合金鉄添加後の精錬時間を必要以上にかけることなく、鋼中の酸素含有量を低減し、安定した溶鋼の高清浄度化が達成できるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、発明をなすに至った経緯をまじえ、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
まず、発明者は、非金属介在物の形成を促進させるのは溶鋼中に存在する酸素であることから、従来より使用している合金鉄や鉄スクラップで代表させる冷材の酸素含有量をロット毎に調査した。その結果、各ロットの酸素含有量は、図2及び図3の度数分布に示すように、かなり広い範囲でばらついていることがわかった。これは、合金鉄については、合金鉄の製造条件や種類により酸素含有量が変動し、冷材については、その発生源(鉄鋼製品屑を裁断したもの等)や保存状態で酸素含有量が異なるためである。
【0012】
そこで、発明者は、軸受鋼の溶製において、溶鋼中の酸素含有量がどの程度であれば、確実に安定して非金属介在物が分離除去できるかを二次精錬(RH真空脱ガス槽を利用)による試験操業において検討することにした。その検討結果の一例(○印)を溶鋼中酸素濃度の経時変化として図1に示すが、通常使用していた酸素濃度の合金鉄や冷材を添加すると、その都度、溶鋼中の酸素濃度が増加していることがわかる。この合金鉄や冷材の添加に伴う溶鋼中の酸素濃度の増加により、脱ガス処理時間に影響を与え、目標の清浄度(=酸素濃度)にするための脱ガス処理時間が延長し、結局40分以上の処理時間が必要となることが明らかになった。
【0013】
これに対し、発明者は、成分調整で添加する合金鉄や冷材の酸素含有量に着目し、種々の酸素濃度の合金鉄及び冷材を使用して実験を繰り返し、以下の関係式(1)、(2)を満たせば、添加時に溶鋼中の酸素濃度の増加に影響を及ぼさないことを見出した。
【0014】
合金鉄:Wa×Ca/1000≦0.5 (1)
冷材 :Wc×Cc/1000≦0.5 (2)
但し、Wa;合金鉄添加量合計(kg/溶鋼t当たり)、Ca;合金鉄中[O]濃度(ppm)、Wc;冷材添加量合計(kg/溶鋼t当たり)、Cc;冷材中[O]濃度(ppm)
この検討結果の一例を溶鋼中酸素濃度の経時変化として図1に示す。なお、この実験例(■印で示す)でも、合金鉄及び冷材の添加量、添加タイミングは、前記した従来例(○印)の場合と同じにしている。その結果、合金鉄等が含有する酸素含有量が上記(1)及び(2)の関係を満たせば、処理中に溶鋼の酸素濃度が増加せず、目標酸素濃度(図1では、8ppm)到達までのRH脱ガス処理が30分未満ででき、必要以上に処理時間を長くかける必要がないことが明らかになった。そこで、この関係の利用を要件に、前記したような本発明を完成させたのである。
【0015】
また、本発明の実施に際しては、予め転炉からの出鋼時に成分調整のため添加する合金鉄にも上記低酸素含有品を選択して使用すると、真空脱ガスする前の溶鋼中の酸素濃度が低減でき、さらに脱ガス処理時間の短縮が可能となる。
【0016】
【実施例】
自動車用軸受鋼の基本組成(C:1質量%、Si:0.25質量%,Mn:0.4質量%,Cr:1.5質量%,Mo:0.02質量%)を有する溶鋼を転炉(容量:180トン)で多数チャージにわたり精錬し,二次精錬としてRH真空脱ガス処理(処理方法は周知なので、説明を省略)を行った。このRH真空脱ガス処理に際し、本発明に係る高清浄度鋼の溶製方法を適用し、非金属介在物の低減を図った。その低減効果は、得られた溶鋼を連続鋳造して鋼鋳片とし、それからサンプリングした試料の単位断面積(1cm2当たり)に肉眼で観察される直径10μm以上の非金属介在物数を計数することで評価した。
【0017】
表1に、添加した合金鉄や冷材の種類、酸素含有量、添加量、添加時期、溶鋼温度等の操業条件と、それら操業条件に対応する非金属介在物数及びRH真空脱ガス処理時間を示す。表1より、本発明によれば、清浄度鋼としての基準である0.3/cm2の非金属介在物数の基準をクリアすることが明らかである。また、そのRH真空脱ガス処理に要した時間は、安定しており、従来に比べて格段と短縮されることも確認できた。
【0018】
【表1】
【0019】
なお、本発明例である本発明1〜4では、前記関係式によれば酸素量がそれぞれ94、108、81、84ppm以下が必要とされるが、80ppm以下の合金鉄を選択、使用した。同様に、冷材も本発明1〜4では、酸素量がそれぞれ142、178、185、147ppm以下が必要とされるが、それぞれその値を下回るものを選択した。一方、従来例1及び2で使用されている合金鉄、冷材の酸素含有量は、図2及び図3に示しているように、通常に用いられている平均的な酸素量を有するものである。なお、上記実施例は、軸受鋼に対する適用であるが、本発明は、高清浄化が必要な耐HIC(水素誘起割れ性)鋼等へも同様に適用できることを確認している。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、RH真空脱ガス処理を利用して、従来より短い時間で溶鋼中の非金属介在物が安定して除去できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】RH処理中での溶鋼の酸素含有量の経時変化を示す図である。
【図2】従来から使用している合金鉄のロット毎について、酸素含有量の度数分布を調査した結果である。
【図3】従来から使用している冷材のロット毎について、酸素含有量の度数分布を調査した結果である。
Claims (2)
- 転炉から出鋼した溶鋼を保持した取鍋をRH真空脱ガス槽にセットし、減圧下で該溶鋼に成分調整用の合金鉄及び冷材を添加して、該溶鋼を取鍋と脱ガス槽との間で還流させる高清浄度鋼の溶製方法において、
前記合金鉄及び冷材の添加を、次式を満足するように設定することを特徴とする高清浄度鋼の溶製方法。
合金鉄:Wa×Ca/1000≦0.5
冷材 :Wc×Cc/1000≦0.5
但し、Wa;合金鉄添加量合計(kg/溶鋼t当たり)、Ca;合金鉄中[O]濃度(ppm)、Wc;冷材添加量合計(kg/溶鋼t当たり)、Cc;冷材中[O]濃度(ppm) - 前記合金鉄及び冷材を、予めそれらが含有する酸素濃度に応じて選別し、溶製目的に合うものを選択して使用することを特徴とする請求項1記載の高清浄度鋼の溶製方法。
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