JP3709727B2 - 光ビーム走査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光源から発せられた光ビームを、ポリゴンミラー等の偏向器により偏向し、結像光学系により被走査面上にスポット状に結像し、等速度で直線状に走査させる光ビーム走査装置に関わり、更に詳しくは、結像光学系と被走査面の間に設けた平面鏡への入射光ビームに予め走査湾曲を与え、この湾曲方向と平面鏡の折り返し方向を特定の関係とすることにより、簡易な補正で被走査面上の走査線湾曲を補正することのできる光ビーム走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーザ光源から発せられた光ビームをポリゴンミラー等の偏向器により偏向し、fθレンズを含む結像光学系によりスポット状に結像するとともに、被走査面上を等速度で走査する光ビーム走査装置、および、この光ビーム走査装置を露光源として感光体上に潜像を形成し、電子写真プロセスにより現像、転写する画像形成装置が利用されているが、このような画像形成装置に対する高速化、高画質化の要求が近年急速に高まっている。
【0003】
高速化に対応するために、偏向器の駆動モータの回転を高速化したり、マルチビーム光源による複数ビーム書込等が行われ、高画質化に対応するために、書込み密度を上げたり、ビーム径を小さくすることが行われている。さらに、高画質化の達成には、走査線のレジストレーションの高精度化も求められる。
【0004】
図8は、光ビーム走査装置による被走査面上の走査線レジストレーションを分類した図である。
【0005】
図8において実線は走査線を表し、破線は誤差を持った走査線を示している。
【0006】
このように画質に影響するレジずれは、(a)リードレジずれ、(b)サイドレジずれ、(c)倍率ずれ、(d)傾き(スキュー)、(e)曲がり(ボウ)の5つに分類される。
【0007】
これらのうち、(a)リードレジずれ、(b)サイドレジずれ、(c)倍率ずれ、(d)傾き(スキュー)は、光ビーム走査装置と被走査面の相対的な位置関係の調整と、光ビーム走査装置から射出する光ビームの調整の二通りの方法で調整可能である。
【0008】
例えば、(c)倍率ずれの場合、光ビーム走査装置と光ビーム走査面との相対的な距離を調整してもよいし、画像信号の周波数を調整しても良い。また、別の射出光ビームの調整方法としては、光ビーム走査装置内に設けた光学部品の位置や湾曲状態を調整することも可能である。
【0009】
ところが、(e)曲がり(ボウ)は、光ビーム走査装置と被走査面との相対的な関係を調整してもほどんど変化しないため、光ビーム走査装置から射出する光ビーム自体を調整する必要がある。このため、光ビーム走査装置の製造時にボウ調整を行い、画像形成装置に搭載後もこの初期調整状態を維持することが行われてきた。
【0010】
ボウの発生原因は、主に光ビーム走査装置に搭載した光学部品の加工誤差や、光ビーム走査装置の筐体への組み付け誤差であり、装置構成、光路上に配置される光学部品点数に左右されるが、調整しない場合の装置間のばらつきは0.1mm程度あるのが普通である。
【0011】
ここで、ボウの大きさを議論するには、湾曲方向を考慮しなければならない。
【0012】
図9は、ボウの湾曲方向を説明するための図である。便宜上、上に凸の場合を正(プラス)、下に凸の場合を負(−)とする。
【0013】
上記したボウの大きさ0.1mmはこの符号を考慮した大きさ(p−p)であり、ボウの平均的な湾曲量がほぼ0であれば、±0.05mmの凹凸となる。
【0014】
ここまでは、1本の走査線について述べてきたが、次に複数の走査線を使用するフルカラー画像形成の場合について説明する。
【0015】
カラー原稿、カラー画像の普及に伴い、前述した高速化、高画質化はカラー画像形成装置にも要求されており、近年では単色の画像形成装置なみのスピードでフルカラー画像出力が求められている。ところが、従来の普及型カラー画像形成装置は、単一の光ビーム走査装置を備え、単一の感光体上で露光、現像、転写のプロセスを逐次実行し、これらの用紙上に定着させてカラー画像を形成するプロセスを取っているため、例えば、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色を重ね合わせる場合、4回プロセスが繰り返された後に定着画像が出力されるので画像出力スピードは単色に比べて1/4になってしまい、高速化への対応に限界があった。
【0016】
そこで、単色の画像形成装置なみの画像出力スピードを得る技術として、複数の独立した画像形成部を備え、ここで形成された現像像を単一の転写媒体に連続的に転写し、1サイクルでフルカラー画像を形成する、所謂、タンデム方式の画像形成装置が開発されている。
【0017】
図10(A),(B)は、4個の画像形成部を直列に配置したフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0018】
図10(A),(B)に示すように、転写ベルト100により搬送される用紙101の搬送方向上流方向より、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの順に、画像形成部102K、画像形成部102Y、画像形成部102M、画像形成部102Cが設けられ、各画像形成部には、感光体103の周囲に電子写真プロセスを構成するサブユニットが配置されている。
【0019】
帯電装置104により感光体103を帯電したのち、光ビーム走査装置105により画像情報に応じた光ビームを露光ビーム走査して潜像を形成する。
【0020】
次に現像装置106により潜像を現像したのち、現像像を用紙101に転写する。
【0021】
このプロセスをブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの順に行い、図示しない定着装置により転写像を用紙101に固定したのち排出する。
【0022】
このような、複数の画像形成部を連ねた画像形成装置では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の露光源となる光ビーム走査装置105から光ビームが独立の光学系を経て感光体103に至るので、ボウ調整を行わないと、重ね合わされてカラー画像にボウの影響のみで数十ミクロンから百ミクロンの色ずれが発生し、画質的に許容できないレベルトとなる。即ち、フルカラー画像形成装置では、それぞれの走査線の直線性に加え、複数走査線間の湾曲量差を補正する必要がある。
【0023】
このような背景から、従来、単色画像の高画質化を達成するため、また、フルカラー画像の高画質化を達成するために、各種のボウ補正方法が提案されてきた。
【0024】
例えば、特開平5−34612号公報には、光路中に設けた長尺シリンドリカルレンズに対し、光路に略垂直な平面内の湾曲程度を変化させる湾曲量調整手段を備えているものが示されている。
【0025】
また、特開平2−28916号公報には、平面ミラーを湾曲させることにより走査面上に形成されるビーム走査線を変形させるものが示されている。
【0026】
また、特開平4−264417号公報には、ミラーを介して感光体にレーザビームを照射し、このミラーを湾曲させる湾曲面形成手段を備えたものが示されている。
【0027】
さらに、特開平8−146325号公報には、平面反射鏡を押圧手段により予め反射面が凹形状となるように湾曲させておき、この平面反射鏡の凸側を別の押圧手段により押圧することで、走査線の湾曲を補正するものが示されている。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平5−34612号公報に示されたように、光学部品を光路に略垂直な方向に湾曲させるためには、矩形断面形状の短辺を押さなければならず、撓み易さの観点から、現実的にはプラスチックレンズを使用せざるを得ない。敢えてガラスレンズを使用する場合には、その破壊を避けるために調整量が限定されるという問題がある。
【0029】
特開平2−28916号公報に示されて例では、図9に示したような両方向の走査線湾曲を補正するために、平面ミラーを凹凸の両方に反らせるための機構を備えなければならず、機構が複雑で高価になるとともに、画像形成装置搭載後の維持性という点でも部品点数が多い分劣るといえる。
【0030】
特開平4−264417号公報に示された例では、圧電素子によりミラーを湾曲させているために高価に成らざるを得ない。また、押しねじやカムを用いる場合は、特開平2−28916号公報と同じく、凹凸の両方に反らせるための機構を備えなければならず、機構が複雑で高価になるとともに、画像形成装置搭載後の維持性という点でも部品点数が多い分劣るといえる。
【0031】
特開平8−146325号公報に示された例では、図9に示したような両方向の走査線湾曲を補正することが可能であるが、第一、第二の押圧手段が必要なため、構成が複雑となる。
【0032】
本発明は、かかる問題を鑑みてなされたもので、簡素な補正機構で被走査面上の走査線湾曲を補正することができる光ビーム走査装置を提供することが第一の目的である。
【0033】
また、簡素な補正機構で光ビーム走査面上の走査線の湾曲を補正するとともに、複数走査線相互の色ずれを補正可能なフルカラー用の画像形成装置用の光ビーム走査装置を提供することが第二の目的である。
【0034】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、複数の光ビームを単一の偏向器により同時走査する単一の偏向器と、前記偏向器によって走査された光ビームが照射される複数の感光体と、を備え、前記偏向器の同一の偏向面に対し、主走査方向に対しては同一方向で、かつ副走査方向には角度を持たせて相互に異なる角度で複数の光ビームを入射させ、前記偏向器の回転により走査湾曲を持った偏向ビームを形成し、前記偏向ビームを副走査方向に光軸を傾けたfθレンズを通過させた後、主走査方向の湾曲量を調整する機構を備えた平面ミラーにより光路を折り返して感光体上を走査するフルカラー用の光ビーム走査装置において、前記偏向面への副走査方向光ビーム入射角度と、fθレンズの傾け角度は、前記平面ミラーが無調整状態においては全ての前記感光体上の走査線湾曲量が製造ばらつき以上となり、前記主走査方向の湾曲量を調整する機構を一方向に調整することで走査線湾曲が減少可能な湾曲方向となるように設定されている、ことを特徴としている。
【0035】
請求項1に記載の光ビーム走査装置の作用を説明する。
【0036】
複数の光ビームが単一の偏向器の同一の偏向面で反射させることにより主走査方向に偏向される。そして、光ビームは感光体の走査を行う。ここで、主走査方向に対しては同一方向で、かつ副走査方向には角度を持たせて相互に異なる角度で複数の光ビームを入射させて、偏向器を回転させることにより走査湾曲を持った偏向ビームを形成することができる。そして、この偏向ビームを副走査方向に光軸を傾けたfθレンズを通過させた後、主走査方向の湾曲量を調整する機構を備えた平面ミラーにより光路を折り返して感光体上を走査する。なお、走査線湾曲量は、予めボウの製造バラツキよりも大きく取っておく。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
このように、平面ミラーを無調整状態とした場合での走査線湾曲量(光学設計によって決まるイニシャルのボウ)を、ボウの製造バラツキよりも大きく取っているので、主走査方向の湾曲量を調整する機構を簡単な構成とすることができる。また、上記機構を簡単な構成とすることにより、ボウ調整の維持性にも優れたものとなる。
また、複数の光ビームは、それぞれ副走査方向に角度を異ならせて偏向面に入射させるので、偏向器に入射する光ビームの光路上及び偏向器により偏向された走査光ビームの光路上ともに特殊な光学素子を使用せずに光ビームの合成と分離が可能となる。
また、複数の光ビームの各光路上に、それぞれに対応する光ビームを折り返す平面鏡を 設けることにより、複数の光ビームの被走査面上の走査線湾曲を独立して調整することができる。
【0041】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光ビーム走査装置において、前記fθレンズの傾け方向は、前記偏向ビームの走査線湾曲をさらに湾曲させる方向であり、平面ミラーの主走査方向の湾曲量を調整する機構は、反射面反対側から押し出す方向である、ことを特徴としている。
【0042】
請求項2に記載の光ビーム走査装置の作用を説明する。
【0043】
請求項2に記載の光ビーム走査装置において、fθレンズは、偏向ビームの走査線湾曲をさらに湾曲させる方向に傾けられている。
平面ミラーの主走査方向の湾曲量を調整する機構で、平面ミラーを反射面反対側から押し出すことにより、走査線湾曲が減少する。
【0044】
【0045】
【0046】
この状態で、平面ミラーの主走査方向の湾曲量を調整する機構により、例えば平面鏡の主走査方向の略中央部分を光ビームが入射する面とは反対側の面(即ち、背面)から押し出すと、光ビームが入射する面が凸となるように平面鏡が湾曲し、これにより平面鏡の走査中心に至る光ビームの反射点を光路手前側に移動し、被走査面上の走査線の湾曲を補正することができる。
【0047】
ここで、平面鏡を上記のように押し出して湾曲させると、平面鏡の反射面上に投影された入射光ビームの湾曲及び被走査面上の走査線湾曲が予め所定の方向、即ち、平面鏡の中央部分を背面側から押し出したときに、被走査面上の走査線が直線に近づく方向に折り返すことができる。
【0048】
したがって、無調整状態、即ち、平面鏡を湾曲させてない状態での走査線湾曲量(光学設計によって決まるイニシャルのボウ)を、ボウの製造バラツキよりも大きく取っているので、平面ミラーの主走査方向の湾曲量を調整する機構は押し出し方向のみの調整機能を備えていれば良く、平面ミラーの主走査方向の湾曲量を調整する機構を簡単な構成とすることができる。また、平面ミラーの主走査方向の湾曲量を調整する機構を簡単な構成とすることにより、ボウ調整の維持性にも優れたものとなる。
【0049】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光ビーム走査装置において、前記単一の偏向器の両側に結像光学系を備え、各々の結像光学系に2本づつ光ビームを走査する、ことを特徴としている。
【0050】
請求項3に記載の光ビーム走査装置の作用を説明する。
なお、ここでいう結像光学系とは、主走査方向または副走査方向、及び主走査方向と副走査方向との両方向に光学的屈折率を有する光学部品により構成される部分を指す。
請求項3に記載の光ビーム走査装置では、単一の偏向器の両側に設けられた結像光学系に対し、各々2本づつ光ビームを走査する。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【発明の実施の形態】
[参考例]
本発明の光ビーム走査装置を説明する前に、参考例に係る光ビーム走査装置を図1乃至図6にしたがって説明する。
【0071】
図2は、参考例に係る光ビーム走査装置10の副走査方向に沿った側面図(主走査方向に直角な方向から見た側面図)である。
【0072】
筐体11の内部には、矢印R方向側に、モータ12によって回転する多面鏡14を備える偏向器16が配置されている。本参考例では、多面鏡14の回転軸Cが鉛直方向であるが水平方向等の他の方向であっても勿論良い。
【0073】
偏向器16の矢印L方向側には、図3にも示すように、多面鏡14側から主走査方向(矢印Y方向)に曲率をもつ凹シリンドリカル面と平面で構成される第1のfθレンズ18と、同じく平面と主走査方向に曲率をもつ凸シリンドリカル面で構成される第2のfθレンズ20からなるfθレンズ系が配置されている。
【0074】
図2に示すように、第1のfθレンズ18及び第2のfθレンズ20は、多面鏡14の回転軸Cに対して直角とされた水平線HLに対して光軸が傾斜している。
【0075】
以下の表1に図3に示す光学系のレンズデータを示す。ここでは、rは曲率半径(mm)、dは中心間隔(mm)、nは屈折率を示す。
【0076】
【表1】
【0077】
図2に示すように、第2のfθレンズ20の矢印L方向には、光ビームLBを出射する半導体レーザ等を含む光源22が配置されている。
【0078】
光源22から出射した光ビームLBは、水平線HLに対して斜め上方に角度αで第2のfθレンズ20、第1のfθレンズ18を透過して多面鏡14の偏向面14Aに入射する。
【0079】
偏向面14Aで反射した光ビームLBは、第1のfθレンズ18、第2のfθレンズ20を透過する。
【0080】
偏向面14Aで反射して第2のfθレンズ20を透過した光ビームLBと水平線HLとのなす角度はαとなる。なお、本参考例では、角度αが1.2°である。
【0081】
第2のfθレンズ20の矢印L方向側には、偏向面14Aで反射して第1のfθレンズ18、第2のfθレンズ20を透過した光ビームLBを矢印R方向側の斜め上方に向けて反射する平面ミラー24が配置されている。
【0082】
第2のfθレンズ20の上方にはシリンドリカルミラー26が配置されており、シリンドリカルミラー26は平面ミラー24で反射された光ビームLBを矢印L方向側の斜め上方に向けて反射する。
【0083】
シリンドリカルミラー26の光ビーム反射側には、平面ミラー28が配置されており、シリンドリカルミラー26で反射された光ビームLBを下方に配置された感光体30に向けて反射する。
【0084】
なお、筐体11の底面には、光ビームLBを通過させるために防塵ガラス31が設けられている。
【0085】
図4(A)に示すように、平面ミラー28は、主走査方向に長く形成されており、反射面28Aの両端部分が各々本体フレーム32に設けられた凸状の基準面34に板ばね36によって当て付けられ本体フレーム32に固定されている。
この本体フレーム32には、平面ミラー28を湾曲させるための平面鏡湾曲装置37が設けられている。
【0086】
平面鏡湾曲装置37は、ステー38及び調整ねじ40を備えている。
【0087】
ステー38は、平面ミラー28の背面28B側に配置され、屈曲した両端部分が板ばね36と共に本体フレーム32に固定されている。
【0088】
ステー38の中央には、平面ミラー28の背面28Bを押圧するための調整ねじ40が取り付けられている。
【0089】
平面ミラー28は、調整ねじ40によって長手方向中央部分を押圧されることによって反射面28Aが凸となるように湾曲する。
【0090】
なお、図2に示すように、筐体11の上壁には、調整ねじ40へのアクセスを可能とする孔41が形成されている。
(作用)
次に、参考例の作用を説明する。
【0091】
図2に示すように、光源22から出射した光ビームLBは、多面鏡14の回転軸Cに対して直角とされた水平線HLに対して副走査方向に角度αをなして第2のfθレンズ20、第1のfθレンズ18を透過し、走査範囲の中央方向から一定速度で回転する多面鏡14の偏向面14Aに入射する。
【0092】
光ビームLBは偏向面14Aで反射偏向され、第1のfθレンズ18、第2のfθレンズ20を通過する。
【0093】
ここで、水平先HLに対して副走査方向に角度αをなして入射し、また第1のfθレンズ18及び第2のfθレンズ20が傾斜しているので、多面鏡14で反射された光ビームLBは、感光体30の走査端に至る破線で示した光ビームLBが実線で示した光ビームLBに対して、水平線HLから離れる方向の走査線湾曲をもって偏向される(多面鏡14〜平面ミラー24の間)。
【0094】
第1のfθレンズ18、第2のfθレンズ20を透過した光ビームLBは、その後平面ミラー24により折り返され、シリンドリカルミラー26を経て平面ミラー28により折り返されて感光体30の表面にスポット状に結像されて主走査方向に走査される。
【0095】
次に、図1にしたがって参考例の光路上における走査線湾曲を説明する。この図1は、平面鏡28での反射状態を示した図である。
【0096】
図1(A)に示すように、平面鏡28上では、主走査方向と直交する方向からみて、両走査端に至る光ビームLBe の反射点P1が、走査中心に至る光ビームLBcの反射点P2よりも光ビーム入射側(シリンドリカルミラー26側。矢印R方向側)にある。即ち、平面鏡28上では、走査線が光ビーム入射側とは反対側へ凸となる方向に湾曲している。
【0097】
図1(B)に示すように、感光体30上での走査線は、両走査端への光ビームLBe の入射点P3が、走査中心への光ビームLBcの入射点P4よりも、図2の配置構成においてはシリンドリカルミラー26側(矢印R方向側)にある。
【0098】
この状態で、図4(A)に示すように調整ねじ40を工具42で回し、図4(B)に示す平面状態から図4(C)に示すように平面鏡28の中央部を押し出す方向に調整すると、平面鏡28が反射面28Aが凸となるように湾曲し、これにより走査中心に至る光ビームLBc の平面鏡28上の反射点P2は、図1(A)に示す反射点P2'へと移動し、感光体30上の走査位置も、走査中心へ至る光ビームLBc が両走査端へ至る光ビームLBe と直線状となる位置に移動し、この結果、走査線湾曲は補正され、図の実線で示す湾曲した状態から2点鎖線で示す直線状へと補正される。
【0099】
次に、第1のfθレンズ18及び第2のfθレンズ20の作用を説明する。
【0100】
第1のfθレンズ18及び第2のfθレンズ20の傾き角βにより感光体30上の走査線の湾曲が変化する。参考例の構成(α=1.2°、β=6°。図2参照。)では、感光体30上の走査線の湾曲量ΔE(図1(B)参照)が約120μmである(平面鏡28の湾曲が無い状態。)。
【0101】
この湾曲量は、予めボウの製造時のばらつきよりも大きく設定されている。したがって、ばらつきを加味しても、感光体30上の走査線は必ず一定方向(平面鏡28の反射面28Aが凸となるように押し出したときに走査線が直線状になる方向)の湾曲となるので、調整ねじ40の押し出し方向(ねじ込み方向)のみの1方向調整機構で走査線湾曲を調整することができる。
【0102】
したがって、押し方向及び引き方向の双方向に平面ミラーを調整するタイプの調整機構に比較して走査線湾曲補正構造を簡略化することができる。また、平面湾曲手段が簡単な構成であるので、調整がずれる等の経時変化が起き難く、ボウ調整の維持性にも優れたものとなる。
【0103】
なお、図5は、第1のfθレンズ18及び第2のfθレンズ20の傾き角βと、平面鏡28上の走査線湾曲量、及び感光体30上の走査線湾曲量との関係を示した図である。
【0104】
ここで、傾き角βを負側(−側)にすると(図2とは反対側に傾斜。)、平面鏡28上の走査線湾曲方向は、感光体30上の走査線湾曲方向共に傾き角βを正にとった場合(図2の状態。)と反転する。
【0105】
図6は、第1のfθレンズ18及び第2のfθレンズ20の傾き角β(図6では図示せず。)を入射光ビームとなす角が小さくなる方向に傾けたとき(即ち、図2とは反対側に傾斜したとき。)の光ビームの光路を示した図である。
【0106】
図6の状態で背面28Bから平面鏡28の中央部分を押し出すと、走査中心の光ビームLBc は、2点鎖線で示すように走査端の光ビームLBe から離れる方向に移動し、走査線湾曲が大きくなってしまう。したがって、走査線の湾曲を補正するには、平面鏡28を背面側に引く機構が必要となり、平面鏡を押し引きする従来の機構と同一の構成となってしまい構成が複雑となる。
【0107】
したがって、構成を簡単にするには第1のfθレンズ18及び第2のfθレンズ20を傾斜する方向は、その光軸が偏向面14Aの法線に対して偏向器16へ入射する光ビームとは反対方向に傾斜するように傾斜配置することが好ましいのである。
【0108】
また、第1のfθレンズ18及び第2のfθレンズ20の傾斜方向は、参考例のようなダブルパス正面入射の構成では、レンズ表面からの戻り光防止、主走査方向のビーム径の均一性を向上させる方向とも一致する方向である。
【0109】
また、平面ミラー28の背面28B側に平面鏡湾曲装置37が設けられ、平面ミラー28の背面28B側が筐体11の一側の平面に面しているので、他の光学部材等に干渉されず平面鏡湾曲装置37へのアクセスが容易である。
[実施形態]
次に、本発明の実施形態を図7にしたがって説明する。なお、参考例と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0110】
図7に示す光ビーム走査装置50は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色を重ね合わせてフルカラー画像を形成するためのフルカラー画像形成装置に用いるものである。
【0111】
本実施形態の光ビーム走査装置50は、参考例の光ビーム走査装置10の光学系を、偏向器16を挟んで対称的に配置したものを基本とし、更に反射ミラー、光源等を追加したものであり、4つの光源52から発せられた光ビームLB1 〜LB4 を多面鏡14の回転軸を挟んで回転軸と直交する両方向から2組のfθレンズ20,18を透過させて、単一の多面鏡14の対向する2面に各2本づつ上下方向に角度を異ならせて入射させ、偏向後に再びfθレンズ18,20を透過した光ビームを光路分割して4つの感光体30K,30Y,30M,30Cに導くものである。
【0112】
感光体30Kに形成されたブラックの画像、感光体30Yに形成されたイエローの画像、感光体30Mに形成されたマゼンタの画像及び感光体30Cに形成されたシアンの画像を一定の速度で一方向(例えば矢印L方向)に搬送される中間転写体(図示せず)に順次転写したのち、一括して用紙に転写することによりカラーの画像が得られる。なお、このように、4つの感光体によってカラー画像を得る多色画像形成装置の構成(光ビーム走査装置を除く)については一般的に知られている構成であるため、詳しい説明は省略する。
【0113】
ここで、この光ビーム走査装置50では、偏向器16の矢印L方向側の光学系と矢印R方向側の光学系とは対称な構成であるため、矢印L方向側の光路に沿って詳細に説明を行う。
【0114】
半導体レーザ54から出射した発散状態の光ビームLB1 は、カップリングレンズ56により緩やかな発散光束とされ、スリット58により光ビームの光束幅を規制されたのち、シリンドリカルレンズ60により副走査方向にのみ収束作用を受ける。
【0115】
合成ミラー62により折り返された光ビームLB1 は、合成ミラー62の上部を通過する他の半導体レーザ54からの光ビームLB2 と、主走査断面でほぼ同一に光路を通る光ビームに合成される。
【0116】
合成された2本の光ビームLB1 ,LB2 は、正面入射用の単一の折返ミラー63a(偏向器16を挟んで反対側には対称的に折返ミラー63bが配置されている。)により折り返されて、副走査断面で入射角度の異なる2本の光ビームLB1 ,LB2 としてfθレンズ20、18を透過して単一の多面鏡14に入射する。
【0117】
多面鏡14への副走査方向入射角度の違いと、多面鏡14の偏向面14A上の2本の光ビームLB1 ,LB2 の反射位置を回転軸Cと平行方向に離間することにより、多面鏡14から離れるにしたがって光線間隔が広がる2本の光ビームLB1 ,LB2 として偏向される。
【0118】
この2本の偏向光ビームLB1 ,LB2 は、図1と同様に、各々走査中心に至る光ビームに対して、両走査端に至る光ビームが図7の上側に位置する走査線湾曲を持っている。
【0119】
fθレンズ18,20を透過した2本の光ビームLB1 ,LB2 は、除々にその副走査方向の光線間隔を広げて進み、光ビームLB1 は、折返ミラー64Aの上部を通過し、その後方に配設された折返ミラー64Bにより、それぞれの光路上に設けられたシリンドリカルミラー66A,66Bに入射する。
【0120】
シリンドリカルミラー66A,66Bにより反射された光ビームLB1 ,LB2 は、それぞれの光路上に独立に設けられた平面鏡68A,68Bにより折り返されて防塵ガラス70A,70Bを透過したのち、感光体30A,30B上にスポット結像される。
【0121】
平面鏡68A,68Bの反射面の反対側には、参考例と同様の平面鏡湾曲装置37(図7では調整ねじ40のみ図示。)がそれぞれ設けられている。
【0122】
また、2本の光ビームLB1 ,LB2 の光路は、副走査断面内で多面鏡14の偏向面14Aと感光体30A,30Bがそれぞれ幾何光学的に共役関係となる面倒れ補正光学系を構成している。
【0123】
双方向走査の対向面側は、多面鏡14の回転軸Cを含み、感光体30の母線を含む平面に対して面対称の構成となっており、上記した2本の光ビームLB1 ,LB2 と同様の光路を通る。
【0124】
但し、本実施形態では、単一の多面鏡14の対向する2面により偏向走査するため、感光体30の走査方向は双方向を走査する各2本づつ逆向きとなる。
【0125】
このため、画像データを反転する必要があるが、双方向走査の画像データ処理方法の詳細は本発明とは直線関係がないので説明を省略する。
【0126】
以下に本実施形態の基本パラメータを示す。
(1)fθレンズへ入射する光ビームの副走査方向の入射角度・・・・・・・・・・・・・・・・1.2°及び2.5°(α)
(2)fθレンズ
レンズデータ・・・・・・・・・・参考例と同一(表1参照)
偏向角・・・・・・・・・・・・・±12.8°(走査幅297mmに対応) 傾け角β・・・・・・・・・・・・6°
(3)多面鏡
内接円半径・・・・・・・・・・・12.5mm
面数・・・・・・・・・・・・・・12面
偏向面上の2ビーム間距離・・・・3.5mm
(4)イニシャルボウ(湾曲量)・・・・・119μm(1.2°入射の光ビーム) 122μm(2.5°入射の光ビーム) この実施形態に示した構成では、半導体レーザ54からの発散光をカップリングレンズ56によって緩やかな発散光とし、fθレンズ20,18により主走査方向の平行光束として多面鏡14に入射する。
【0127】
この平行光束の幅(主走査方向に対応した幅)は、多面鏡14の面幅(主走査方向に対応した幅)よりも広く、所謂オーバーフィールド光学系となっている。
【0128】
この構成とすることにより、多面鏡14を小型化(小径化)することができ、多面鏡14を回転させるモータ(図示せず)の負荷を軽減し、高速化、高解像化に適した光ビーム走査装置として構成できる。
【0129】
平面鏡湾曲装置37は、参考例と同じく図4に示す構成のものを使用することができる。
【0130】
光ビーム走査装置50の製造時には、感光体30A〜Dに対応する位置に光ビーム位置検出センサを設けた治具の上に光ビーム走査装置50を載せ、調整ねじ40を工具42により回して押し込むことにより、平面鏡68A〜Dに押圧をかけない状態で約120μmあった走査線湾曲をほぼ直線状となるように調整する。
【0131】
この実施形態における被走査面上(感光体30A〜D上)の走査線湾曲を補正するために必要な平面鏡68A〜Dの押込み量は、260mmスパンで80μm程度であり、平面鏡68A〜Dが破壊する虞れはない。
【0132】
また、イニシャルボウ、調整量共に多面鏡14への入射角度の異なる二つの光ビームLB1 ,LB2 でほぼ同量となっているので、平面鏡68A〜Dの湾曲による倍率変動はあるが、リニアリティ(走査位置誤差)は略同じ傾向で変化するので、部分的な色ずれは生じにくい。
【0133】
なお、倍率変動は、前述したように画像信号の駆動周波数を変化させる電気的な手段により補正可能である。
【0134】
画像形成装置上で走査湾曲を補正する場合、走査線湾曲量を正確に計測することは不可能なので、調整前状態でプリントサンプルを取り、平面鏡湾曲装置37の調整ねじ40が最も押込み側にある光ビームを選択し、残りの光ビームの光路上に設けられた平面鏡湾曲装置37の調整ねじ40を調整して、選択した基準色(調整ねじ40が最も押込み側にある光ビームによる。)との差が小さくなる方向に調整することで、比較的容易に色ずれを補正することができる。
【0135】
なお、この光ビーム走査装置50は、図示しない筐体内に設けられており、この筐体には、調整ねじ40へのアクセスを可能とする孔(図示せず)が各調整ねじ40の近傍の壁面に設けられている。
【0136】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ビーム走査装置は上記の構成としたので、簡素な補正機構で被走査面上の走査線湾曲を補正することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は参考例に係る光ビーム光学走査装置の平面鏡の反射状態を示した主走査方向に沿って見た側面図であり、(B)は被走査面上での走査線を示す図であり、(C)は平面鏡の反射状態を示した斜視図である。
【図2】 参考例に係る光ビーム光学走査装置の主走査方向に沿って見た側面図である。
【図3】 2枚構成のfθレンズ及び平面鏡近傍の光学系の平面図である。
【図4】 (A)は平面鏡湾曲手段の側面図であり、(B)は調整前の平面鏡を示す平面鏡の側面図であり、(C)は調整後の平面鏡を示す平面鏡の側面図である。
【図5】 fθレンズの傾き角β、平面鏡上の走査線湾曲量及び被走査面上の走査線湾曲量との関係を示したグラフである。
【図6】 fθレンズを入射光ビームとなす角が小さくなる方向に傾けたときの光ビームの光路を示した図である。
【図7】 本発明の光ビーム走査装置の実施形態を示す斜視図である。
【図8】 光ビーム走査装置による被走査面上の走査線レジストレーションを分類して示した説明図である。
【図9】 ボウの湾曲方向を説明するための説明図である。
【図10】 (A)は4個の画像形成部を直列に配置したフルカラー画像形成装置の概略構成を示す側面図であり、(B)はその平面図である。
【符号の説明】
10 光ビーム走査装置
11 筐体
14 多面鏡
14A 偏向面
16 偏向器
18 fθレンズ(結像光学系)
20 fθレンズ(結像光学系)
22 光源
26 シリンドリカルミラー(結像光学系)
28 平面鏡
30 感光体(被走査面)
37 平面鏡湾曲装置(平面鏡湾曲手段)
50 光ビーム走査装置
52 光源
Claims (3)
- 複数の光ビームを単一の偏向器により同時走査する単一の偏向器と、前記偏向器によって走査された光ビームが照射される複数の感光体と、を備え、
前記偏向器の同一の偏向面に対し、主走査方向に対しては同一方向で、かつ副走査方向には角度を持たせて相互に異なる角度で複数の光ビームを入射させ、前記偏向器の回転により走査湾曲を持った偏向ビームを形成し、
前記偏向ビームを副走査方向に光軸を傾けたfθレンズを通過させた後、主走査方向の湾曲量を調整する機構を備えた平面ミラーにより光路を折り返して感光体上を走査するフルカラー用の光ビーム走査装置において、
前記偏向面への副走査方向光ビーム入射角度と、fθレンズの傾け角度は、前記平面ミラーが無調整状態においては全ての前記感光体上の走査線湾曲量が製造ばらつき以上となり、前記主走査方向の湾曲量を調整する機構を一方向に調整することで走査線湾曲が減少可能な湾曲方向となるように設定されている、ことを特徴とする光ビーム走査装置。 - 前記fθレンズの傾け方向は、前記偏向ビームの走査線湾曲をさらに湾曲させる方向であり、
平面ミラーの主走査方向の湾曲量を調整する機構は、反射面反対側から押し出す方向である、ことを特徴とする請求項1に記載の光ビーム走査装置。 - 前記単一の偏向器の両側に結像光学系を備え、
各々の結像光学系に2本づつ光ビームを走査する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ビーム走査装置。
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