JP3709665B2 - 発電機コイル端部の接合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電機コイル端部の接合方法に係り、特に、ろう付欠陥の発生率を低減できるのに好適な発電機コイル端部の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転電機、例えばタ−ビン発電機や水車発電機等の発電機は、その容量増加に伴い、コイル導体を冷却媒体により冷却する構造を採用している。最近では、その容量増加の著しさから、コイル導体を内部から直接冷却する構造を採用している。この直接冷却の構造としては、特開平8−103046号公報,特開平8−205443号公報等に開示されているように、冷却媒体の給排を行いつつ、コイル間の電気的接続を行う束線箱体を固定子コイル端部に設けている。
【0003】
上記束線箱体は、ろう付け接合によって、固定子コイル端部に設けられる。このろう付け接合は、いくつかの処理工程を介して行われ、まず、コイル素線の外周部に施された素線絶縁、及び、その表面に付着している不純物が除去される。次に、素線絶縁,不純物が除去されたコイル素線は、束ねられ所定の寸法に整形整線される。次に、コイル素線間にろう材が配置され、束線箱体に組込まれる。そして、所定の温度で加熱され接合される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
束線箱体と固定子コイルとのろう付接合には、ろう付部分に欠陥を発生させないことが要求される。ろう付部分に欠陥が生じてしまうと、その欠陥部分には、冷却媒体である冷却水が死水として滞留し、腐食電位の変化によってろう材やコイル導体を選択的に腐食(隙間腐食)してしまう。この腐食とろう付欠陥とが相まってしまうと、その腐食はろう付部分全長に至ってしまい、ひいては漏水リークによる発電機の運転停止まで至ってしまう。
【0005】
ろう付部分に発生する欠陥を無にすることは、なかなか困難なことである。しかし、本発明者らは、ろう付部分に発生する欠陥の発生率を低減させるため、ろう付部分に発生する欠陥についていろいろ調査,研究を行った。その結果、ろう付部分に発生する欠陥の原因がいくつか判った。
【0006】
まず、コイル素線間、及び、コイル素線と束線箱体との間のギャップの適正度がとれていなく、所々において狭かったり大きかったりすることが判った。ギャップの適正度がとれていないと、ろう材が加熱され溶融したとき、ギャップの狭いところでは、ろう材が流れ込みにくい。一方、ギャップの大きいところでは、ろう材が流れ出てしまう。この結果、ろう材が均一に分散されず、ろう付欠陥が発生してしまう。
【0007】
また、コイル素線と束線箱体の表面の活性化が不十分で、各表面に不純物が残ったまま接合が行われてしまうことが判った。コイル素線と束線箱体の表面に不純物が残っていると、加熱され溶融したろう材がその部分に付きにくくなる。この結果、ろう材による接合が不良となり、ろう付欠陥が発生してしまう。
【0008】
さらに、コイル素線群を収納した束線箱体を加熱しているとき、その加熱温度(ろう付温度)が変動することが判った。ろう付温度が変動すると、溶融したろう材の流れ度合いも変動し、所々ろう材が異常に流れだしてしまう。この結果、ろう材が均一に分散されず、ろう付欠陥が発生してしまう。
【0009】
このように、本発明者らは、ろう付欠陥の発生する原因が、ろう付接合の一連の処理工程であるコイル素線の外周部に施された素線絶縁の除去,コイル素線の外周部表面に付着している不純物の除去,整形整線、及び、コイル素線群を収納した束線箱体の加熱処理にあることを発見したのである。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、コイル素線の外周部に施された素線絶縁の除去,コイル素線の外周部表面に付着している不純物の除去,整形整線、及び、コイル素線群を収納した束線箱体の加熱処理においてろう付部分に発生する欠陥の発生率を低減させることのできる信頼性の高い発電機コイル端部の接合方法を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する発電機コイル端部の接合方法を得るために本発明は、コイル素線を所定の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により溶解洗浄し、溶解洗浄されたコイル素線を束ねて所定の寸法に整形整線し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱し接合する。
【0012】
具体的には、コイル素線を300℃以上の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により1μm以上溶解洗浄し、溶解洗浄されたコイル素線を束ね、コイル素線間のギャップの平均値が100μm以下,コイル素線と接合される束線箱体との間のギャップの平均値が200μm以下となるように整形整線し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱し接合する。
【0013】
上記コイル素線間、及び、コイル素線と束線箱体との間のギャップの平均値は、コイル素線群の加圧整形、又は、コイル素線の無機酸による溶解洗浄、又は、束線箱体の加圧整形、又は、束線箱体の機械加工のいずれかによって調整する。上記コイル素線の外周部に施されている素線絶縁の除去は、加熱焼鈍の前、或いは、加熱焼鈍の後に機械加工で除去しても構わない。
【0014】
上記束線箱体としては、ろう材逃げ溝部を設けた束線箱体を用いることが好ましい。
【0015】
前記目的を達成する発電機コイル端部の接合方法を得るために本発明は、コイル素線を所定の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により溶解洗浄し、溶解洗浄されたコイル素線を束ねて所定の寸法に整形整線し、整形整線されたコイル素線に耐腐食性塗料を塗布し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱し接合する。
【0016】
上記耐腐食性塗料としては、放射率0.5 以上のセラミック系材を使用する。上記束線箱体としては、ろう材逃げ溝部を設けた束線箱体を用いることが好ましい。
【0017】
前記目的を達成する発電機コイル端部の接合方法を得るために本発明は、コイル素線を所定の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により溶解洗浄し、溶解洗浄されたコイル素線を束ねて所定の寸法に整形整線し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱して接合し、束線箱体内に露出しているコイル素線群表面に耐腐食性異種金属を施す。
【0018】
上記耐腐食性異種金属としては、錫、又は、ニッケル、又は、銀を使用する。上記束線箱体としては、ろう材逃げ溝部を設けた束線箱体を用いることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施例である発電機の固定子コイルと束線箱体とのろう付接合を説明するための分解斜視図、図2は図1のA−A断面図(束線箱体に固定子コイルが収まった状態における断面図)である。
【0021】
図面において、1は発電機の固定子コイル端部にろう付接合によって設けられる束線箱体であり、ほぼ長五角形をしている。束線箱体1は、固定子コイルを内部から冷却する冷却媒体(冷却水)の給排を行いつつ固定子コイル間の電気的接続を行うため、その一端部側上部に冷却媒体の給排を行う給排用口金具8がろう付によって接合されている。また、一端部側下部、即ち、給排用口金具8の下側に固定子コイル間の電気的接続を行う通電接続片9が複数枚ろう付によって接合されている。
【0022】
一方、束線箱体1の他端部側には、固定子コイルのコイル素線群3を収める箱型の収容室1aが設けられており、その一側面(給排用口金具8や通電接続片9側とは反対側の面)と上面の2面が開放されている。収容室1aの隣には、収容室1aに収められるコイル素線群3の軸方向断面とほぼ同じ大きさに形成された冷却媒体給排室1bが設けられており、収容室1aに開口している。冷却媒体給排室1bの開口側面とは反対の側面には、給排用口金具8から冷却媒体給排室 1b、或いは、冷却媒体給排室1bから給排用口金具8に冷却水を導く連通管 1cが設けられている。
【0023】
尚、コイル素線2は、冷却水を流通するため中空構造となっている。
【0024】
本実施例の束線箱体1は、以上のような構造となっており、コイル素線2と同様の材料である銅材によって作られている。
【0025】
次に、上記の束線箱体1と固定子コイルとのろう付接合について説明する。
【0026】
固定子コイルと束線箱体1とのろう付接合においては、ろう付接合時に発生する欠陥の発生率を低減させ、発電機を長期運転しても漏水リ−クに至らしめないようにしなければならい。このため、本実施例では、以下のような処理工程でろう付接合を行っている。
【0027】
(1)処理工程I
コイル素線2を所定の寸法に切断し、次に、束線箱体1に組込まれるコイル素線2部分に施されている素線絶縁(絶縁レジン,ガラス繊維)を機械加工により除去する。
【0028】
(2)処理工程II
コイル素線2を束ね、300℃以上の温度で加熱焼鈍する。これによって、コイル素線2に施されている素線絶縁を完全に除去する。尚、素線絶縁の除去は、加熱焼鈍のみで除去してもよいし、加熱焼鈍後に機械加工して除去してもよい。
(3)処理工程III
素線絶縁が除去されたコイル素線2を燐酸等の無機酸により溶解洗浄する。この時、コイル素線2の表面を活性化維持させるために、コイル素線2の素材面を1μm以上溶解除去する。
【0029】
(4)処理工程IV
表面が活性化されたコイル素線2を必要本数束ねたコイル素線群3を必要寸法に整形整線する。具体的には、コイル素線2間のギャップが平均値で100μm以下となるようにコイル素線群3を加圧整形する。尚、コイル素線2間のギャップの調整は、燐酸等の無機酸による溶解洗浄でもよい。
【0030】
ここで、コイル素線2間のギャップの平均値は、次に示す数式1によって求められる。
【0031】
【数1】
【0032】
尚、L0 は束線箱体1の素線組込み部(収容室1a)の幅寸法、li は各コイル素線2の幅寸法、nはコイル素線2の積重ね段数である。
【0033】
次に、束線箱体1の収容室1aに組込まれるコイル素線群3端部、即ち、冷却媒体給排室1b側に露出するコイル素線2間,コイル素線2と束線箱体1との間,冷却媒体給排室1b側に面したコイル素線群3表面に、耐腐食性塗料4を塗布し、60℃乃至150℃で2時間程度乾燥して溶剤除去する。本実施例においては、酸化クロム,黒鉛,珪酸塩,酸化鉄,溶剤等の混合物からなり、乾燥固化後の放射率が0.5 以上(好ましくは0.9 以上)、ろう付温度に耐え得るセラミック系材を耐腐食性塗料4として使用している。
【0034】
次に、コイル素線群3を束線箱体1に組込んだ際、コイル素線2と束線箱体1とのギャップが平均値で200μm以下となるように、束線箱体1(収容室1a)を機械加工、或いは、束線箱体1を外部から加圧整形する。コイル素線2と束線箱体1とのギャップの平均値は、前述した数式1によって求められる。
【0035】
(5)処理工程V
処理工程I乃至処理工程IVの一連の処理工程を経て得られたコイル素線群3の各素線の列間並び、及び、コイル素線2と束線箱体1との間に所定量のろう材5を配置し、束線箱体1の収容室1aに組込む。次に、収容室1aに組込まれたコイル素線群3の上にろう材5を置き、その上に蓋7を置く。そして、これら全体を高調波加熱等によって700℃乃至800℃で加熱する。これによって、コイル素線群3は束線箱体1に接合される。
【0036】
(6)処理工程VI
処理工程VIにおいて、コイル素線群3端部に耐腐食性塗料4を塗布する処理について説明をしたが、この耐腐食性塗料4の代わりに、コイル素線群3と束線箱体1との接合後、コイル素線群3端部を耐腐食性異種金属によってメッキ処理しても構わない(どちらか一方を選択すればよい)。
【0037】
この場合、束線箱体1の収容室1aに組込まれたコイル素線群3端部、即ち、冷却媒体給排室1b側に露出するコイル素線2間、コイル素線2と束線箱体1との間、冷却媒体給排室1b側に面したコイル素線群3表面を、80℃の耐腐食性異種金属の錫メッキ液(錫イオン濃度が0.1mol/lの化学還元メッキ液)に 60分間浸漬して錫メッキ処理する。錫メッキ膜の厚さは必要に応じて液温,錫イオン濃度,浸漬時間を変えればよい。尚、耐腐食性異種金属としては、ニッケル、又は、銀であってもよい。
【0038】
尚、本実施例においては、束線箱体1として図1に示した構造のものを採用した場合について説明したが、図3に示すような構造の束線箱体1を採用してもよい。図3に示した束線箱体1は、冷却媒体給排室1bにろう材逃げ溝部6が設けられているものであり、余剰なろう材が溜るようなっている。
【0039】
以上本実施例によれば、コイル素線2に施されている素線絶縁を300℃以上の温度で加熱焼鈍して除去し、燐酸等の無機酸によってコイル素線2の素材表面を1μm以上溶解除去するようにしたので、コイル素線2の素材表面が活性化され、ろう材との接合をよくすることができる。
【0040】
また、機械加工により素線絶縁を除去してから300℃以上の温度で加熱焼鈍し、それから、無機酸による溶解除去を行うようにしても、300℃以上の温度で加熱焼鈍してから機械加工により素線絶縁を除去し、それから、無機酸による溶解除去を行うようにしても、コイル素線2の素材表面が活性化され、ろう材との接合をよくすることができる。
【0041】
また、本実施例によれば、コイル素線2間のギャップが平均値で100μm以下となるようにコイル素線群3を加圧整形し、また、コイル素線群3を束線箱体1に組込んだ際、コイル素線2と束線箱体1とのギャップが平均値で200μm以下となるように、束線箱体1(収容室1a)を機械加工、或いは、束線箱体1を外部から加圧整形するようにしたので、コイル素線2間、及び、コイル素線2と束線箱体1との間のギャップの適正度がとれ、加熱によって溶融したろう材をコイル素線群3に均一にまんべんなく分散することができる。
【0042】
さらに、本実施例によれば、収容室1aに組込まれるコイル素線群3端部、即ち、冷却媒体給排室1b側に露出するコイル素線2間、コイル素線2と束線箱体1との間、冷却媒体給排室1b側に面したコイル素線群3表面に、耐腐食性塗料4を塗布し一括封止するようにしたので、ろう付部分に欠陥が発生しても、その部分の腐食開始を抑えることができると共に、ろう付部分以外に余剰なろう材を付着させることを防止できる。
【0043】
また、耐腐食性塗料4の塗布に代わって、コイル素線群3と束線箱体1との接合後、束線箱体1の収容室1aに組込まれたコイル素線群3端部、即ち、冷却媒体給排室1b側に露出するコイル素線2間,コイル素線2と束線箱体1との間,冷却媒体給排室1b側に面したコイル素線群3表面に、耐腐食性異種金属をメッキするようにしたもので、前記と同様にろう付部分に欠陥が発生しても、その部分の腐食開始を抑えることができる。
【0044】
さらに、本実施例によれば、束線箱体1の収容室1aに組込まれるコイル素線群3端部に塗布さる耐腐食性塗料4として、放射率が0.5 以上(好ましくは 0.9 以上)のセラミック系材を用いたので、ろう材の溶融状態を冷却媒体給排室1b側に面したコイル素線群3表面の輝度によって測定できると共に、適正な温度管理ができ、ろう付時の加熱温度分布不均一によるろう材の異常な流れだしを防止することができる。これは、品質管理面で有効な手段である。
【0045】
さらに、本実施例によれば、ろう材逃げ溝部6が設けられた束線箱体1を採用し、溶融して流れだしたろう材の余剰分をそのろう材逃げ溝部6に溜めるようにしたので、コイル素線2の中空内部にろう材が進入して詰まり、冷却水の流路阻害を起こすのを防止することができる。
【0046】
尚、本発明者らは、ろう付部分の欠陥状況を調べるため、発電機の固定子コイル端部をコイルの長さ方向にX線CTで垂直断面撮影し、コイル素線間,コイル素線群と束線箱体との間,コイル素線群と蓋との間の非破壊検査を12の実施例について行い評価した。
【0047】
評価については、コイルの長さ方向のろう付長さ(設計設定値)に対するろう付欠陥部の累積長さの割合で示される欠陥発生率と、発電機の固定子コイル端部を水温70℃,pH≒3,溶存酸素20ppb の水中に180日間放置した時の冷却媒体給排室側コイル素線群3端部のろう付部分からの腐食の長さを測定し、これを水中放置時間で割って求めた腐食速度とにより評価した。
【0048】
表1は、評価結果と12の実施例の実施条件を纏めたものである。
【0049】
【表1】
【0050】
この表1から以下のことを確認できた。
【0051】
実施例2のように、処理工程III の燐酸等の無機酸によるコイル素線の溶解除去を行わないものでは、ろう付欠陥の発生率が高く、腐食速度が速いことが確認できた。従って、燐酸等の無機酸によるコイル素線の溶解除去、即ち、コイル素線の素材表面の活性化がいかに重要か判る。
【0052】
また、実施例4のように、ろう材逃げ溝部が設けられていない束線箱体を採用したものでは、ろう付時溶融した余剰ろう材がコイル素線の中空内部に進入し、穴詰まりを起こすことが確認された。尚、実施例5は、実施例4同様にろう材逃げ溝部が設けられていない束線箱体を採用しているが、コイル素線群端部にセラミック系材の耐腐食性塗料を塗布しているので、ろう付部分以外に余剰なろう材を付着を防止している。
【0053】
また、実施例7のように、低い温度で加熱焼鈍処理されたものでは、素線整線性の関係から、ろう付欠陥発生率が高くなる傾向にあることが確認された。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、コイル素線を300℃以上の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により1μm以上溶解洗浄し、溶解洗浄されたコイル素線を束ね、コイル素線間のギャップの平均値が100μm以下,コイル素線と接合される束線箱体との間のギャップの平均値が200μm以下となるように整形整線し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱し接合するようにしたので、コイル素線の素材表面が活性化され、ろう材との接合をよくすることができると共に、コイル素線間、及び、コイル素線と束線箱体との間のギャップの適正度がとれ、加熱によって溶融したろう材をコイル素線群に均一にまんべんなく分散することができる。
【0055】
また、本発明によれば、コイル素線を所定の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により溶解洗浄し、溶解洗浄されたコイル素線を束ねて所定の寸法に整形整線し、整形整線されたコイル素線に放射率0.5 以上のセラミック系材の耐腐食性塗料を塗布し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱し接合するようにしたので、ろう付部分に欠陥が発生しても、その部分の腐食開始を抑えることができると共に、ろう付部分以外に余剰なろう材を付着させることを防止できる。また、ろう材の溶融状態をコイル素線群表面の輝度によって測定できると共に、適正な温度管理ができ、ろう付時の加熱温度分布不均一によるろう材の異常な流れだしを防止することができる。
【0056】
また、本発明は、コイル素線を所定の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により溶解洗浄し、溶解洗浄されたコイル素線を束ねて所定の寸法に整形整線し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱して接合し、束線箱体内に露出しているコイル素線群表面に耐腐食性異種金属を施すようにしたので、ろう付部分に欠陥が発生しても、その部分の腐食開始を抑えることができる。
【0057】
従って、本発明によれば、コイル素線の外周部に施された素線絶縁の除去,コイル素線の外周部表面に付着している不純物の除去,整形整線、及び、コイル素線群を収納した束線箱体の加熱処理においてろう付部分に発生する欠陥の発生率を低減させることのできる信頼性の高い発電機コイル端部の接合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である発電機の固定子コイルと束線箱体とのろう付接合を説明するための分解斜視図。
【図2】図1のA−A断面図(束線箱体に固定子コイルが収まった状態における断面図)。
【図3】ろう材逃げ溝部を設けた束線箱体の斜視図。
【符号の説明】
1…束線箱体、1a…収容室、1b…冷却媒体給排室、1c…連通管、2…コイル素線、3…コイル素線群、4…耐腐食性塗料、5…ろう材、6…ろう材逃げ溝部、7…蓋、8…給排用口金具、9…通電接続片。
Claims (9)
- コイル素線を所定の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、該素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により溶解洗浄し、該溶解洗浄されたコイル素線を束ねて所定の寸法に整形整線し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱し接合する発電機コイル端部の接合方法。
- 複数のコイル素線からなるコイル素線群と束線箱体とをろう付接合する発電機コイル端部の接合方法において、前記コイル素線を300℃以上の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、該素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により1μm以上溶解洗浄し、該溶解洗浄されたコイル素線を束ね、該コイル素線間のギャップの平均値が100μm以下、該コイル素線と前記接合される束線箱体との間のギャップの平均値が200μm以下となるように整形整線し得られたコイル素線群を、前記束線箱体にろう付接合することを特徴とする発電機コイル端部の接合方法。
- 前記コイル素線間、及び、前記コイル素線と前記接合される束線箱体との間のギャップの平均値は、前記コイル素線群の加圧整形、又は、前記コイル素線の無機酸による溶解洗浄、又は、前記束線箱体の加圧整形、又は、前記束線箱体の機械加工により調整することを特徴とする請求項2記載の発電機コイル端部の接合方法。
- 前記コイル素線の外周部に施されている素線絶縁を、前記加熱焼鈍の前、或いは、前記加熱焼鈍の後に機械加工で除去することを特徴とする請求項2記載の発電機コイル端部の接合方法。
- コイル素線を所定の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、該素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により溶解洗浄し、該溶解洗浄されたコイル素線を束ねて所定の寸法に整形整線し、該整形整線されたコイル素線に耐腐食性塗料を塗布し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱し接合する発電機コイル端部の接合方法。
- 前記耐腐食性塗料として放射率0.5 以上のセラミック系材を使用することを特徴とする請求項5記載の発電機コイル端部の接合方法。
- コイル素線を所定の温度で加熱焼鈍してその外周部に施されている素線絶縁を除去し、該素線絶縁の除去されたコイル素線の素材面を無機酸により溶解洗浄し、該溶解洗浄されたコイル素線を束ねて所定の寸法に整形整線し得られたコイル素線群にろう材を配置して束線箱体に組込み、これを所定の温度で加熱して接合し、前記束線箱体内に露出しているコイル素線群表面に耐腐食性異種金属を施す発電機コイル端部の接合方法。
- 前記耐腐食性異種金属として錫、又は、ニッケル、又は、銀を使用することを特徴とする請求項7記載の発電機コイル端部の接合方法。
- 前記束線箱体としてろう材逃げ溝部を設けた束線箱体を用いたことを特徴とする請求項1,2,5,7記載の発電機コイル端部の接合方法。
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