JP3709448B2 - プロペラファン用羽根車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、プロペラファン用羽根車における羽根構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5及び図6には、従来のプロペラファン21を示している。このプロペラファン21は、ハブ24の外周面に周方向に所定ピッチで複数枚の羽根23,23,・・を設けてなる羽根車22と、該羽根車22の外周側に配置されたファンガイド25とで構成されている。
【0003】
ところで、かかるプロペラファン21においては、空気の流入角の変動に拘わらず空気流の剥離を抑制する(所謂、「エアフォイル効果」を得る)という観点から、羽根23を、図7及び図8に示すように、飛行機の翼とか鳥の羽根のように厚肉とし且つその厚さに分布を与えた所謂「エアフォイル翼構造」とすることが試みられている。
【0004】
一方、プロペラファン21においては、図6に空気流線Aで示すように、空気の吸い込みは各羽根23,23,・・の正面側からだけでなく、その羽根外周縁23e側からも行われる。このため、厚肉のエアフォイル翼構造の羽根23を備えたプロペラファン21においては、羽根23の羽根外周縁23eの形状がファン性能に大きな影響を及ぼすことになる。
【0005】
このような背景から、例えば特開平6−147193号公報には、図9に示すように羽根23の羽根外周縁23e部分の圧力面23b側の角部を円弧状に滑らかに削った形状とすることが提案されており、かかる構造とすることで羽根外周縁23eの近傍における空気を空気流線Aで示すように滑らかに羽根車22側に吸い込ませることができるとしている。
【0006】
また、従来一般に上記羽根23は、図10に示すように、その肉厚を羽根外周縁23eからハブ24の外周面24a側の羽根内周縁23gにかけて略同一に設定されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、空気が羽根車22側に吸い込まれる場合、その吸込空気のうち、上記羽根23の圧力面23bに対してこれに略直交する方向から流入する空気流は羽根車22の回転に伴う遠心力の影響を受ける。このため、上記圧力面23b側には、図10に空気流線A0で示すように、羽根内周縁23g側から羽根外周縁23e側に向かう流れ(以下、「遠心流れ」という)が生じることになる。
【0008】
この結果、図11に示すように、上記羽根23を圧力面23b側から見た場合、羽根前縁23c及び羽根外周縁23eの前縁寄り部位23h付近から吸い込まれた空気は、上記遠心流れの影響を受けて、各空気流線A,A,・・で示すように、羽根後縁23d側に近づくにつれて次第に羽根外周縁23e寄りに偏向される。従って、実際に羽根外周縁23e側から滑らかに空気を吸い込むことができるのは、該羽根外周縁23eの全域のうち、羽根前縁23c側から30〜50パーセント程度の範囲であって、それよりも上記羽根後縁23d寄りの部分においては上記遠心流れによって空気の吸い込み作用が阻害されることになる。
【0009】
このように羽根外周縁23e側において空気の吸い込みが阻害されると、これに起因して、例えば上記圧力面23bの外周部においては負圧面23a側への空気の漏れ流れが増大し、また、羽根後縁23d側のハブ24の近傍部位においては有効な送風仕事をしなくなり、これらの結果、羽根車22の空力性能が低下し、延いてはプロペラファン21の空力騒音が増大するという問題が生じることになる。
【0010】
そこで、本願発明は、羽根外周縁からの空気の吸込流れを円滑にすることで羽根車の空力性能を向上させ、以てプロペラファンの空気騒音を低減させ得るようにしたプロペラファン用羽根車を提案することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0012】
本願の第1の発明では、ハブ4の外周に周方向に所定ピッチで厚肉の羽根3を複数枚設けてなるプロペラファン用羽根車において、上記羽根3の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁3cからの距離との比を同一とする点を各比毎に結んで得られる各曲線又は直線L1のそれぞれにおいて上記羽根3の肉厚が羽根外周縁3eから羽根車中心Qに向けて一旦増加した後にその最大肉厚部3fからハブ外周面4aに向けて次第に減少するように上記羽根3の圧力面3bを湾曲させたことを特徴としている。
【0013】
本願の第2の発明では、ハブ4の外周に周方向に所定ピッチで厚肉の羽根3を複数枚設けてなるプロペラファン用羽根車において、上記羽根3の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁3cからの距離との比を同一とする点を各比毎に結んで得られる各曲線又は直線L1のそれぞれにおいて上記羽根3の肉厚が羽根外周縁3eから羽根車中心Qに向けて一旦増加した後、その最大肉厚部3fからハブ外周面4aに向けて次第に減少するとともに上記ハブ外周面4aの近傍において再び増加するように上記羽根3の圧力面3bを湾曲させたことを特徴としている。
【0014】
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明にかかるプロペラファン用羽根車において、上記羽根3の圧力面3bを湾曲させる範囲を、該羽根3の各半径位置における翼弦長Sに対して、羽根前縁3cからの距離が0.2Sの位置から0.9Sの位置までの範囲に設定したことを特徴としている。
【0015】
本願の第4の発明では、上記第1、第2又は第3の発明にかかるプロペラファン用羽根車において、上記羽根車2の外径をD0、上記ハブ4の外径をDhとしたとき、上記羽根3の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁3cからの距離との比を同一とする点を各比毎に結んで得られる各曲線又は直線L1上における羽根断面の最大肉厚部3fの位置を、直径D{=((D0 2+Dh2)/2)0.5}で規定される位置と、上記羽根車2の外径D0との範囲内に設定したことを特徴としている。
【0016】
本願の第5の発明では、上記第1、第2、第3又は第4の発明にかかるプロペラファン用羽根車において、上記羽根3を、その肉厚の内部に空洞部6をもつ中空構造としたことを特徴としている。
【0017】
本願の第6の発明では、上記第1、第2、第3又は第4の発明にかかるプロペラファン用羽根車において、上記羽根3を、その肉厚の内部に空洞部6をもつように板金のプレス成形により形成された中空構造としたことを特徴としている。
【0018】
本願の第7の発明では、上記第6の発明にかかるプロペラファン用羽根車において、上記羽根3を、上記ハブ4と一体的に板金のプレス成形により形成したことを特徴としている。
【0019】
【発明の効果】
本願発明ではかかる構成とすることにより次のような効果が得られる。
【0020】
▲1▼ 本願の第1の発明にかかるプロペラファン用羽根車によれば、羽根3の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁3cからの距離との比を同一とする点を各比毎に結んで得られる各曲線又は直線L1のそれぞれにおいて上記羽根3の肉厚が羽根外周縁3eから羽根車中心Qに向けて一旦増加した後にその最大肉厚部3fからハブ外周面4aに向けて次第に減少するように上記羽根3の圧力面3bを湾曲させている。
【0021】
かかる構成とすることで、羽根3の圧力面3bに対してこれに略直交する方向から空気が流入する場合、この流入空気の流入方向と上記圧力面3bの面方向との間の角度関係から、該流入空気が上記圧力面3bから受ける反力の成分の一つとして、ファン回転軸に直交し該ファン回転軸方向に向かう成分が発生する。この反力成分によって、上記羽根車2の回転に伴う遠心力に基づく遠心流れが抑制され、延いては、羽根前縁3c及び羽根外周縁3eの前縁側端部3h付近から吸い込まれる空気に対する羽根外周縁3e寄りへの偏向作用が可及的に低減される。この結果、上記圧力面3bの外周部での負圧面3a側への漏れ流れが減少するとともに、羽根後縁3d側のハブ4の近傍部位における送風仕事が促進され、それだけ羽根車2の空力性能が向上し、空力騒音が低減されるものである。
【0022】
▲2▼ 本願の第2の発明にかかるプロペラファン用羽根車によれば、上記羽根3の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁3cからの距離との比を同一とする点を各比毎に結んで得られる各曲線又は直線L1のそれぞれにおいて上記羽根3の肉厚が羽根外周縁3eから羽根車中心Qに向けて一旦増加した後、その最大肉厚部3fからハブ外周面4aに向けて次第に減少するとともに上記ハブ外周面4aの近傍において再び増加するように上記羽根3の圧力面3bを湾曲させている。
【0023】
かかる構成とすることで、羽根3の圧力面3bに対してこれに略直交する方向から空気が流入する場合、この流入空気の流入方向と上記圧力面3bの面方向との間の角度関係から、該流入空気が上記圧力面3bから受ける反力の成分の一つとして、ファン回転軸に直交し該ファン回転軸方向に向かう成分が発生する。この反力成分によって、上記羽根車2の回転に伴う遠心力に基づく遠心流れが抑制され、延いては、羽根前縁3c及び羽根外周縁3eの前縁側端部3h付近から吸い込まれる空気に対する羽根外周縁3e寄りへの偏向作用が可及的に低減される。この結果、上記圧力面3bの外周部での負圧面3a側への漏れ流れが減少するとともに、羽根後縁3d側のハブ4の近傍部位における送風仕事が促進され、それだけ羽根車2の空力性能が向上し、空力騒音が低減されるものである。
【0024】
さらに、上記羽根3の肉厚をハブ外周面4aの近傍において再び増加させるようにしているので、例えば該羽根3の肉厚を上記最大肉厚部3fから上記ハブ外周面4aの近傍に向けて次第に減少するように構成する場合に比して、該ハブ外周面4aの近傍における肉厚が大きい分だけ上記羽根3の剛性が高く、それだけ該羽根3の強度上の信頼性、延いては羽根車2の強度上の信頼性が高められるものである。
【0025】
▲3▼ 本願の第3の発明にかかるプロペラファン用羽根車によれば、上記▲1▼又は▲2▼に記載の効果に加えて次のような特有の効果が奏せられる。即ち、この発明では、上記羽根3の圧力面3bを湾曲させる範囲を、該羽根3の各半径位置における翼弦長Sに対して、羽根前縁3cからの距離が0.2Sの位置から0.9Sの位置までの範囲に設定している。
【0026】
この場合、上記羽根3は、エアフォイル翼構造をもつものであることから、本来的に、その羽根前縁3c側は肉厚が大きく、羽根後縁3d側は肉厚が小さくなっている。このため、大きな肉厚をもちエアフォイル効果が最も得られる部位である羽根前縁3c側においては上記圧力面3bを湾曲させずにその肉厚を維持することで高いエアフォイル効果が確保され、また、肉厚が小さいことから羽根前縁3c側に比してその剛性が低くなっている羽根後縁3dにおいては上記圧力面3bを湾曲させずにその肉厚を維持することで剛性の低下が防止されることになり、これらの相乗効果として、ファンの空力騒音の低減を図りつつ、エアフォイル効果と羽根3の強度上の信頼性とを両立させることができるものである。
【0027】
▲4▼ 本願の第4の発明にかかるプロペラファン用羽根車によれば、上記▲1▼,▲2▼又は▲3▼に記載の効果に加えて、次のような特有の効果が奏せられる。即ち、この発明では、上記羽根車2の外径をD0、上記ハブ4の外径をDhとしたとき、上記羽根3の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁3cからの距離との比を同一とする点を各比毎に結んで得られる各曲線又は直線L1上における羽根断面の最大肉厚部3fの位置を、直径D{=((D0 2+Dh2)/2)0.5}で規定される位置と、上記羽根車2の外径D0との範囲内に設定している。
【0028】
この場合、上記直径Dは、所謂、羽根23の全仕事量からみた平均半径であって、この平均半径よりも外側部位は内側部位よりも大きな送風仕事をする部分である。従って、上記直径Dと羽根車2の外径D0との範囲内に上記羽根23の最大肉厚部3fを設定することで、より大きな送風仕事をする部位と、最も高いエアフォイル効果が得られる部位とが重合することとなり、結果的に羽根車2の空力性能がより一層高められることになる。
【0029】
▲5▼ 本願の第5の発明にかかるプロペラファン用羽根車によれば、上記▲1▼,▲2▼,▲3▼又は▲4▼に記載の効果に加えて、次のような特有の効果が奏せられる。即ち、この発明では、上記羽根3を、その肉厚の内部に空洞部6をもつ中空構造としているので、例えば該羽根3を中実構造とする場合に比して、該羽根3の軽量化が図れ、それだけ羽根車2の必要駆動動力の低減、あるいは強度性能の向上が図れるものである。
【0030】
▲6▼ 本願の第6の発明にかかるプロペラファン用羽根車によれば、上記▲1▼,▲2▼,▲3▼又は▲4▼に記載の効果に加えて、次のような特有の効果が奏せられる。即ち、この発明では、上記羽根3を、その肉厚の内部に空洞部6をもつように板金のプレス成形により形成された中空構造としているので、板金製の羽根に特有の低コスト性を維持しつつ、高いエアフォイル効果を得ることができるものである。
【0031】
▲7▼ 本願の第7の発明にかかるプロペラファン用羽根車によれば、上記▲6▼に記載の効果に加えて、上記羽根3を上記ハブ4と一体的に板金のプレス成形により形成することで、該羽根3とハブ4とからなる羽根車2の低コスト化と、該羽根車2の取り扱いの容易性とが実現されるものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明にかかるプロペラファン用羽根車を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
第1の実施形態
図1には、本願発明の第1の実施形態にかかる羽根車2を備えたプロペラファン1の要部を示しており、同図において符号3は後に詳述する羽根、4はハブであり、該ハブ4の外周面4a上に周方向に所定ピッチで上記羽根3を複数枚取り付けて上記羽根車2が構成される。この羽根車2の外周側にはファンガイド5が配置され、このファンガイド5と上記羽根車2とによって上記プロペラファン1が構成されている。
【0033】
上記羽根3は、所謂、エアフォイル翼構造をもつものであって、樹脂材により一体成形されている。尚、この実施形態においては、上記複数の羽根3,3,・・を上記ハブ4と共に一体成形しているが、他の実施形態においては、例えば各羽根3,3,・・をそれぞれ個別に成形し、これら各羽根3,3,・・を、別体形成したハブ4に対してそれぞれ事後的に取り付けるようにすることもできる。
【0034】
本願発明にかかる羽根車2は、上記羽根3の構造に最大の特徴を有するものであり、以下この羽根3の構造を具体的に説明する。
上記羽根3は、既述した従来の羽根33と同様にエアフォイル翼構造をもつものであって、図1の曲線L1に沿う断面においては、図2に示すような断面形状とされている。即ち、従来一般のエアフォイル翼の基本構造に対応させれば、上記羽根3の負圧面3aは略直線状に延び、また圧力面は符号3b′を付した鎖線の如く延び、さらに羽根外周縁3e部分は該羽根外周縁3eから圧力面3b′にかけて円弧状に滑らかに湾曲させたものとなる。
【0035】
ところが、この実施形態の羽根3においては、上記負圧面3a及び上記羽根外周縁3e側の円弧状部分の形状はこれを従来のものと同様とするも、上記圧力面3bの形状については本願発明を適用して同図に実線図示するように湾曲形状としている。具体的には、上記曲線L1上の断面位置における上記羽根3の肉厚が、上記羽根外周縁3eから羽根内周縁3g側に向うに伴って、一旦増加した後、その最大肉厚部3fからは次第に減少変化し、さらに該羽根内周縁3g近傍においては再び増加傾向に転じる変化形態となるように、上記圧力面3bを略S字状に湾曲させている。
【0036】
ここで、上記曲線L1は、上記羽根3の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁3cからの距離との比を同一とする点を結んで得られるものであって、該比毎に設定されるものである。従って、上記羽根3は、その羽根前縁3cから羽根後縁3dの全域に亙って、上記各曲線L1,L1,・・のそれぞれに対応する位置において図2に示す如き断面形状をもつことになる。
【0037】
以上の如き構造をもつ上記羽根3を備えた羽根車2においては、以下のような特有の作用効果を奏することになる。即ち、この羽根車2においては、上記羽根3の圧力面3bに対してこれに略直交する方向から空気が流入する場合、該圧力面3bが上記最大肉厚部3fから上記羽根内周縁3gに向かうに従って次第に上記負圧面3aに接近する如く湾曲しているので、上記流入空気が上記圧力面3bから受ける反力の成分の一つとして、上記ハブ4の軸心に直交し且つ該軸心方向へ向かう反力成分が発生することになるが、この反力成分は上記羽根車2の回転に伴う遠心力の方向とは逆方向に作用する。このため、この反力成分によって、上記羽根車2の回転に伴う遠心力に基づく遠心流れA0(図2参照)が可及的に抑制され、図1に空気流線Aで示すように、上記羽根3の羽根前縁3c及び羽根外周縁3eの前縁側端部3h付近から吸い込まれる空気は、上記遠心流れA0による羽根外周縁3e寄りへの偏向作用の影響をさほど受けず、従来の羽根33の場合(図11を参照)に比して、可及的に直線に近い流れで羽根後縁3d側へ流れることになる。換言すれば、上記羽根3の羽根外周縁3eのうち、空気を円滑に吸い込むことができる範囲が、従来の羽根33の場合に比して、拡大されるということである。
【0038】
このように上記羽根3の羽根外周縁3eのより広い範囲から空気を円滑に吸い込むことができるということは、その裏返しとして、上記圧力面3bの外周部における空気の負圧面3a側への漏れ流れが減少するということである。また、羽根後縁3d側のハブ4の近傍部位においても高い送風仕事が得られる。これら両者の相乗作用として、上記羽根3、延いては上記羽根車2の空力性能が向上し、それだけ空力騒音が低減されるものである。
【0039】
さらに、上記最大肉厚部3fから羽根内周縁3gに向けて次第に減少する肉厚を該羽根内周縁3gの近傍において再び増加させるように上記圧力面3bの湾曲形状を設定しているので、例えば該羽根3の肉厚を上記羽根内周縁3gの近傍において増加させることなくそのまま上記最大肉厚部3fから上記羽根内周縁3gまで次第に減少させる構成の場合に比して、該羽根内周縁3gの近傍(即ち、上記ハブ4との連続部分)における肉厚が大きい分だけ、上記羽根3の剛性が高くなり、それだけ該羽根3の強度上の信頼性、延いては羽根車2の強度上の信頼性が高められることになる。
【0040】
第2の実施形態
第2の実施形態にかかる羽根車2は、図1に示す上記第1の実施形態にかかる羽根車2の羽根3において、上述の如く上記羽根3の圧力面3bを湾曲させる領域を特定するものである。即ち、図1において、上記羽根3の羽根前縁3c寄りに設定した領域線Lfと羽根前縁3c寄りに設定した領域線Lrとで囲まれた範囲のみにおいて、上記圧力面3bを図2に示すように湾曲させるものである。また、上記領域線Lfよりも羽根前縁3c寄りに位置する範囲、及び上記領域線Lrよりも羽根後縁3d寄りに位置する範囲においては、エアフォイル翼構造に基づく設定肉厚(図7を参照)が上記最大肉厚部3fから上記羽根内周縁3gの範囲まで一定に維持される。
【0041】
ここで、上記領域線Lfと領域線Lrは、上記羽根3の各半径における翼弦長Sに対して次のような関係をもっている。即ち、羽根前縁3c寄りの領域線Lfは、各半径における上記翼弦長上での上記羽根前縁3cからの距離が「0.2S」となる点を連続させたものである。また、羽根後縁3d寄りの領域線Lrは、各半径における上記翼弦長上での上記羽根前縁3cからの距離が「0.9S」となる点を連続させたものである。
【0042】
このような構成とすると、上記圧力面3bを湾曲形成した上記領域線Lfと領域線Lrとで囲まれた領域においては上記第1の実施形態におけると同様の作用効果が奏せられることは勿論であるが、かかる湾曲構造をもたない領域、即ち、領域線Lfよりも羽根前縁3c寄りの領域と、領域線Lrよりも羽根後縁3d寄りの領域のそれぞれにおいても、以下のような特有の効果が奏せられる。即ち、上記羽根3は、エアフォイル翼構造をもつものであることから図7に示すように、その羽根前縁3c側は肉厚が大きく、羽根後縁3d側は肉厚が小さくなっている。このため、大きな肉厚をもちエアフォイル効果が最も得られる部位である羽根前縁3c側においては、上記圧力面3bを湾曲させずにその肉厚を維持することで高いエアフォイル効果が達成される。また、肉厚が小さいことから羽根前縁3c側に比してその剛性が低くなっている羽根後縁3dにおいては、上記圧力面3bを湾曲させずにその肉厚を維持することで剛性の低下が防止される。従って、これらの相乗効果として、プロペラファン1の空力騒音の低減を図りつつ、エアフォイル効果と羽根3の強度性能とを両立させることができることになる。
【0043】
第3の実施形態
第3の実施形態にかかる羽根車2は、図1に示す上記第1の実施形態にかかる羽根車2の羽根3において、上述の如く上記羽根3の圧力面3bを湾曲させる場合の基準点となる上記最大肉厚部3fの位置を上記羽根3上において特定するものである。即ち、図1において、上記羽根3の羽根外周縁3eと領域線Laとで囲まれた範囲内に上記最大肉厚部3fを設けるものである。
【0044】
ここで、上記領域線Laは、上記羽根車2の外径をD0、上記ハブ4の外径をDhとしたとき、直径D={((D0 2+Dh2)/2)0.5}で規定される円弧である。また、この直径Dは、羽根23の全仕事量からみた平均半径に該当するものであり、従って、上記領域線Laよりも外側部位は内側部位よりも大きな送風仕事をする部分である。
【0045】
この実施形態の羽根車2においては、上記圧力面3bを湾曲させたことによって上記第1の実施形態と同様の作用効果が得られることは勿論であるが、これに加えて上述のように上記最大肉厚部3fの位置を設定したことによって次のような特有の作用効果が奏せられる。即ち、上記直径Dと羽根車2の外径D0との範囲内に上記羽根23の最大肉厚部3fを設定することで、より大きな送風仕事をする部位と最も高いエアフォイル効果が得られる部位とが重合することとなり、羽根車2の空力性能がより一層高められることになる。
【0046】
第4の実施形態
第4の実施形態にかかる羽根車2は、上記第1〜第3の実施形態における特徴的構成を合体させたものである。即ち、第1の実施形態における上記羽根3の圧力面3bを湾曲させる構成を、第2の実施形態において特定した領域線Lfと領域線Lrで囲まれる領域内に設定し、さらに上記圧力面3bの湾曲基準点となる上記最大肉厚部3fの位置を上記第3の実施形態において特定した上記直径Dと上記羽根3の羽根外周縁3eとで囲まれる範囲内に設定するものである。
【0047】
従って、かかる構成とすれば、上記羽根3の圧力面3bにおける湾曲形状は、上記各領域線Lfと領域線Lrと領域線Laとで囲まれる略扇形の領域内のみに特定され、この領域内においては上記圧力面3bがそれ以外の領域に対して陥没した状態で存在することになる。そして、かかる構成とすることで、上記各実施形態において得られたと同様の作用効果が同時に得られるものである。
【0048】
第5の実施形態
第5の実施形態にかかる羽根車2は、図2において鎖線図示するように、樹脂製の上記羽根3をその内部に空洞部6をもった中空構造とするものである。かかる構造とすれば、上記各実施形態におけると同様の作用効果が得られるのに加えて、例えば該羽根3を中実構造とする場合に比して、上記空洞部6の形成部分に対応する分だけ羽根3の軽量化が図れ、それだけ羽根車2の必要駆動動力の低減、あるいは強度性能の向上が図れることになる。
【0049】
第6の実施形態
図3及び図4には、第6の実施形態にかかる羽根車2の一部をそれぞれ示している。この実施形態の羽根車2は、上記各実施形態における羽根車2がこれを樹脂成形品としていたのに対して、羽根3とハブ4とを一体的に板金のプレス成形により形成したものである。即ち、ハット状に絞り成形されたハブ4の外周側において、該ハブ4から連続する板金部分を折曲加工により二つ折り状に折曲させてその一方の面はこれを略平板状に形成して負圧面3aとし、他方の面はこれを圧力面3bとする。そして、この圧力面3bにおいては、これをその羽根外周縁3eからハブ4の軸心側に向かって次第に上記負圧面3aとの間隔が拡大変化する如く円弧状に形成するとともに該円弧状部分の終点に位置する最大肉厚部3fから上記ハブ4側の羽根内周縁3gにかけてはこれを上記負圧面3aとの間隔が次第に減少するように湾曲させている。従って、この羽根3は、その内部に空洞部6をもった中空のエアフォイル翼構造とされる。
【0050】
尚、図3に示すものは上記羽根3の負圧面3a側を上記ハブ4に連続させ、その成形後に圧力面3bの一端を負圧面3a側に溶接固定する構造であり、また図4に示すものは、上記羽根3の圧力面3b側を上記ハブ4に連続させ、その成形後に負圧面3aの一端を圧力面3b側に溶接固定する構造であり、これら両者は共に上記各実施形態の板金と同様の作用効果が得られるものであるが、これに加えて次のような特有の作用効果も得られる。即ち、この実施形態における羽根車2は、上記羽根3を、その肉厚の内部に空洞部6をもつように板金のプレス成形により形成された中空構造としているので、板金製の羽根に特有の低コスト性を維持しつつ、高いエアフォイル効果を得ることができるものである。また、上記羽根3を上記ハブ4と一体的に板金のプレス成形により形成することで、該羽根3とハブ4とからなる羽根車2の低コスト化と、該羽根車2の取り扱いの容易性とが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明にかかるプロペラファン用羽根車における羽根部分の正面図である。
【図2】図1のII-II拡大断面図である。
【図3】羽根の他の構造例を示す断面図である。
【図4】羽根の他の構造例を示す断面図である。
【図5】従来のプロペラファン用羽根車の正面図である。
【図6】図5のVI-VI断面図である。
【図7】図5のVII-VII拡大断面図である。
【図8】図5のVIII-VIII拡大断面図である。
【図9】図8の拡大図である。
【図10】従来の羽根における断面方向での空気流れの説明図である。
【図11】従来の羽根における平面方向での空気流れの説明図である。
【符号の説明】
1はプロペラファン、2は羽根車、3は羽根、3aは負圧面、3bは圧力面、3cは羽根前縁、3dは羽根後縁、3eは羽根外周縁、3fは最大肉厚部、3gは羽根内周縁、4はハブ、5はファンガイド、6は空洞部、Qは羽根車中心である。
Claims (7)
- ハブ(4)の外周に周方向に所定ピッチで厚肉の羽根(3)を複数枚設けてなるプロペラファン用羽根車であって、
上記羽根(3)の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁(3c)からの距離との比を同一とする点を各比毎に結んで得られる各曲線又は直線(L1)のそれぞれにおいて上記羽根(3)の肉厚が羽根外周縁(3e)から羽根車中心(Q)に向けて一旦増加した後にその最大肉厚部(3f)からハブ外周面(4a)に向けて次第に減少するように上記羽根(3)の圧力面(3b)を湾曲させたことを特徴とするプロペラファン用羽根車。 - ハブ(4)の外周に周方向に所定ピッチで厚肉の羽根(3)を複数枚設けてなるプロペラファン用羽根車であって、
上記羽根(3)の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁(3c)からの距離との比を同一とする点を各比毎に結んで得られる各曲線又は直線(L1)のそれぞれにおいて上記羽根(3)の肉厚が羽根外周縁(3e)から羽根車中心(Q)に向けて一旦増加した後、その最大肉厚部(3f)からハブ外周面(4a)に向けて次第に減少するとともに上記ハブ外周面(4a)の近傍において再び増加するように上記羽根(3)の圧力面(3b)を湾曲させたことを特徴とするプロペラファン用羽根車。 - 請求項1又は2において、
上記羽根(3)の圧力面(3b)を湾曲させる範囲を、該羽根(3)の各半径位置における翼弦長(S)に対して、羽根前縁(3c)からの距離が(0.2S)の位置から(0.9S)の位置までの範囲に設定したことを特徴とするプロペラファン用羽根車。 - 請求項1,2又は3において、
上記羽根車(2)の外径を(D0)、上記ハブ(4)の外径を(Dh)としたとき、上記羽根(3)の各半径位置での翼キャンバの長さと該翼キャンバ上での羽根前縁(3c)からの距離との比を同一とする点を各比毎に結んで得られる各曲線又は直線(L1)上における羽根断面の最大肉厚部(3f)の位置を、直径D{=((D0 2+Dh2)/2)0.5}で規定される位置と、上記羽根車2の外径(D0)との範囲内に設定したことを特徴とするプロペラファン用羽根車。 - 請求項1,2,3又は4において、
上記羽根(3)が、その肉厚の内部に空洞部(6)をもつ中空構造であることを特徴とするプロペラファン用羽根車。 - 請求項1,2,3又は4において、
上記羽根(3)が、その肉厚の内部に空洞部(6)をもつように板金のプレス成形により形成された中空構造であることを特徴とするプロペラファン用羽根車。 - 請求項6において、
上記羽根(3)が、上記ハブ(4)と一体的に板金のプレス成形により形成されていることを特徴とするプロペラファン用羽根車。
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