JP3708872B2 - 旋回スクロールの加工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、空気調和機などに使用されるスクロール圧縮機に係り、特に、固定スクロールとの組み合わせによってポンプを形成する、旋回スクロールのラップ及び鏡板面精密加工の効率的な加工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクロール圧縮機は、特開平1−187388号公報に記載されるように、固定スクロールと旋回スクロールのそれぞれの鏡板面から直角に屹立したラップを、微小な間隙をもって組み合わせ、所期の運転性能を発揮するものである。
【0003】
ここで、このポンプ部分を図15〜図18に基づいて、更に詳細に説明する。
【0004】
21は固定スクロール、21aはラップ、21bはラップ先端、21cはラップ側面、21dはラップ内線、21eはラップ外線、21fは鏡板、21gは渦底面、22は旋回スクロール、22aはラップ、22bはラップ先端、22cはラップ側面、22dは鏡板、22eは鏡板面、22fは渦底面、22gは掘込み部、22hはラップ内線、22iはラップ外線、22jはベアリング、22kはキー溝、23はフレーム、23aはベアリング、23bはキー溝、24はオルダムリング、24aは突起部、25はクランクシャフト、25aは偏心部、26はボルト、27は吸入口、28は吐出口、29は圧縮室である。
【0005】
図15は、ポンプの組立状態を示す側断面図で、フレーム23のベアリング部23aにクランクシャフト25が挿入されている。このクランクシャフト25の偏心部25aと旋回スクロール22とは、その反ラップ側に形成されたベアリング22j内径に、偏心部25aの外周が嵌合され組み立てられている。この時、フレーム23と旋回スクロール22との間には、オルダムリング24がそれぞれのキー溝22k、23bに、中空円板状の上下に直角方向に配置した突起部24aを挿入し、クランクシャフト25の回転運動を、旋回スクロール22の旋回運動に連繋するように組み立てられる。また、固定スクロール21は、前述の旋回スクロール22の上部から、それぞれのラップ21a及び22aのラップ側面21c,22c間とラップ先端21b,22bと渦底面21g,22f間が微小なクリアランスを形成するように近接させた状態で組み合せられ、ボルト26によってフレーム23に締結されている。その結果、ポンプ部の下部(クランクシャフトに固接した)に配置された電動機(図示せず)の回転により、固定スクロール21内を旋回スクロール22が揺動し、図17に示すように渦巻状のラップ21a及び22aで形成する圧縮室29が、順次(イ)から(ニ)のように体積が縮小し、吸入口27から供給されたガスを吐出口28に矢印の方向に連続的に押し出し、レシプロ圧縮機等に比較し、小体積の圧縮室を多段に形成したことから、低振動を目的とした圧縮機が得られる。
【0006】
ところで、上記のようなスクロール圧縮機の旋回スクロールの加工法の第1の問題点として、次のような事項があった。
【0007】
上記スクロール圧縮機を形成する固定及び旋回スクロール21,22は、それぞれ機能的に特徴を有し設計される。即ち、固定スクロール21は、鏡板の外側から高圧ガスが負荷されることから、これに対する変形防止を目的として、鏡板の厚さを大きく取った剛性の高い形状にされていた。
【0008】
これに対し、旋回スクロール22は、クランクシャフト25の偏心部25aの回転運動で旋回するため、その重量に起因する慣性力が、圧縮機の運転時の振動の原因となることから、極力軽量化した薄肉形状の剛性の低い構造を採用している。
【0009】
図16は、この従来の旋回スクロール22の加工法の一例を示す。
【0010】
ここで、27は旋回スクロールのチャック、28はバッキングプレートである。
【0011】
即ち、図16に示すように従来の旋回スクロール22は、鏡板22d外周を旋回スクロール22の軸方向に対して垂直な方向である水平方向から把持する爪(以下抱き爪)を備えたチャック27により、チャック(保持固定)するのが通例である。
【0012】
しかしこの方法では、破線に示すように鏡板22dに、締め付け変形が生じることから、基本的に加工後の平面度が出にくい。また、この水平方向からの旋回スクロール22のクランプ方法では、旋回スクロール22の変形と相俟って、バッキングプレート28から旋回スクロール22が浮き上がり、両者の密着が不安定で、鏡板面の厚さ精度にばらつきが生じやすいなどの欠点がある。
【0013】
従って、スクロール圧縮機の生産上のキーポイントとして、この低剛性の旋回スクロール22を、如何に高精度に加工するかが性能の確保と関連し、生産技術上の大きな課題である。
【0014】
なお、固定スクロール21の鏡板21fの加工精度は、その性能上の要求から、固定スクロール21自体が厚肉の高剛性形状に設計されることから、比較的加工時の締め付け変形が小さく、高精度の平面精度が得られる。
【0015】
また旋回スクロールの加工法の第2の問題点として、次のような事項があった。
【0016】
旋回スクロール22の所定範囲には掘込み部が設けられ、図18の斜線部は、旋回スクロール22のラップ22a外側から中心部にかけて形成される掘込み部22gを示し、この掘込み部22gを設ける目的は、図15のポンプ組立状態で、固定スクロール21の上面側から負荷される吐出ガスによる、鏡板21fの破線に示す変形で、固定スクロール21のラップ先端21bと、近接配置する旋回スクロール22の渦底面22fとの金属接触を防止することにある。
【0017】
このようなスクロール圧縮機に使用される固定、固定スクロールの渦巻状のラップの成形精度は、直接的に本来の圧縮機の性能を左右することから、その方法としてエンドミル切削、砥石研削、放電加工及びラッピング加工など各種の工作方法の検討が為されてきたが、成形時間、工具コスト等から現在の処、エンドミルによるラップ側面及び底面加工が、最も量産性があり、空気調和機業界はこの方向で進んでいる。
【0018】
エンドミルによる加工法の従来の一例を、本発明に係る旋回スクロールを例に採り図19に示す。
【0019】
30は荒引き用エンドミル、31はラップ側面と渦底面中仕上及びラップ先端面取エンドミル、32はラップ側面仕上加工用エンドミル、33は鏡板及び渦底面仕上加工用エンドミルである。
【0020】
即ち、図19(1)は旋削加工後の素材を用いた荒引き工程を示し、ラップ側面22c、渦底面22f及び鏡板面22eを後工程での適正仕上代を残した状態で、荒引き加工用エンドミル30を使用し、破線に示すようにラップ側面22c及び渦底面22fを含む鏡板面22e全面を加工する。
【0021】
図19(2)はラップ側面22c、鏡板面22e、渦底面22fの中仕上工程及びラップ先端22bの面取加工の状態を示し、前記荒引き工程完了後の物を素材とし、面取刃31aを有するエンドミル31を用いて、ラップ側面22c、鏡板面22e、渦底面22fを微小な仕上代を残して中仕上加工した後、ラップ先端22bの面取加工を行う。
【0022】
図19(3)は、ラップ側面22cの仕上加工を示し、即ち、エンドミル32を用いて、ラップ22aの内線22hから外線22iにかけて、全周を図20に示すように一筆軌跡で加工を完了する。なお、図20は、エンドミル32の動作の一例を示すもので、ここで、矢印に示すようにラップ内線22h(或いはラップ外線22i)からラップ外線22i(或いはラップ内線22h)に連続的にエンドミル32を一筆書きのように動作させ切削している状態を示す。
【0023】
図19(4)は、鏡板面22e、渦底面22f、ラップ先端22bの仕上加工を示し、即ち、ラップ側面22cと若干の空隙を持った直径のエンドミル33を用い、鏡板面22e、渦底面22fを図11に示すように仕上加工した後、同エンドミル33を移動し、ラップ先端22bを連続して仕上切削する。
【0024】
なお、この時エンドミル33の軸方向移動で掘込み部22gも同時に連続で加工する。ここで、図21は鏡板面22e、渦底面22f即ち掘込み部22gの加工順序の一例を示すもので、即ち、▲1▼鏡板面22eのラップ22aの外側半周→▲2▼鏡板面22eの外周一周→▲3▼渦底面22f即ち掘込み部22gの反転を含む加工順序を説明するものである。
【0025】
従来のこのようなエンドミル加工では、非常に煩雑な軌跡の組み合わせである反面、スクロールの渦幅の制約で使用するエンドミル直径が小さく、切削時のエンドミルの周速が得られず切削スピードの向上が望めない欠点がある。また、加工機の高回転化により高周速を得ようとした場合は、エンドミルを把持するスピンドルの小径化となり、スピンドル剛性が低下すること、直径に比較してエンドミルの突出し長さが長いこと、従って、エンドミルの片持ち保持の影響で重切削に向かないなどの欠点を有している。
【0026】
特に、仕上加工においては、面あらさ及び渦形状の高精度化を目的とするため、送り速度のアップが出来ないなどの問題を有し、エンドミル加工自体が決して生産性の高い工作技術とは言い切れない技術的欠点と相俟って、その効率化は大きな課題であり、従来はエンドミル加工の負荷低減のために性能を犠牲にしたラップ精度の劣等化による切削スピードの高速化、ラップ長さの短縮による切削長さの低減などを行い、加工時間の短縮を考慮している。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
スクロール圧縮機の性能は、ラップ部の側面同士及びラップと溝底面との隙間からのガス洩れ、更に固定、旋回スクロールの鏡板面間の隙間からの洩れの大小で決まると言っても過言でない。
【0028】
ここで、ラップの形状、ラップの高さ及び渦底深さの精度は、機械加工で相当程度までリアルに創成が可能である。
【0029】
しかしながら、鏡板面の平面度はチャック方法により微妙な挙動を示し、その結果、平面度の善し悪しが鏡板面間の隙間に直接影響し、洩れの原因になることから、その構造が極力薄くなる設計的要求に反し、従来のスクロール圧縮機の旋回スクロールの形状及び加工方法では、加工精度を確保するのが極めて困難で、そのため振動性能を犠牲にして、重量的に不利になる比較的厚い形状の鏡板とし、剛性を確保する構造を採用せざるをえなかった。
【0030】
本発明の目的は、従来スクロール圧縮機の性能の劣化を来すこと無く、エンドミル加工の効率化を図ろうとするもので、固定、旋回スクロールの組み合わせにおいて、スクロール圧縮機としての機構上から、高精度化を必要としない範囲を極力仕上加工省略し、切削時間の短縮を図る加工法を提供するものである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明による解決手段は、特許請求の範囲の請求項1に記載のとおりである。
【0032】
【作用】
本発明による旋回スクロールの加工法では、固定スクロールが有するラップと旋回スクロールが有するラップのうち、圧縮室を構成する部分は相互の外線、内線全ての範囲が全て高精密化する必要がない。即ち、一例であるが旋回スクロールの外線の最外周部180°付近は、近接する固定スクロールのラップが存在しない。また、この付近の鏡板面には固定スクロールのラップ先端も近接して配置されないことから、仕上加工の必要が無く、荒引き加工面で充分性能を確保出来、結果的に工程短縮が可能で、高性能で製造原価の低廉なスクロール圧縮機を提供することが出来る。
【0033】
【実施例】
以下、本発明に先行する発明(以下「参考例」という)の実施例を図1〜図4により説明する。
【0034】
図1、図2は参考例に係る旋回スクロールの形状の一例を示す側断面図と平面図である。尚、図2は図1の矢印Aの方向から見た平面図である。
【0035】
1は旋回スクロール、1aは渦巻状のラップ、3はラップが屹立乃至直立する鏡板、4は鏡板の外周部、5は外周部に設けた周溝、6はベアリング、7は鏡板外周のチャック部、8は放射溝、9は鏡板裏面である。
【0036】
即ち、基本的に旋回スクロール1は、鏡板3とその上部に直角に屹立するラップ1aと、このラップ1aと鏡板3を挟んで反対側に形成されるベアリング6の主要機能部分が一体に構成されている。
【0037】
参考例の旋回スクロール1は図1に示すように、従来の旋回スクロール22に見られなかった周溝5が任意の幅及び深さで、鏡板3の外周部4に刻設する。この周溝5の平面部5aは、反ラップ側の鏡板裏面9と平行に、即ち、一点鎖線で示す旋回スクロール1の軸心に直角(バッキングプレート11に平行)に形成されている。周溝5は鏡板の外周部4の全周に必ずしも連続する必要はなく、適宜幅及び深さを有する切欠きとすることもできる。
【0038】
放射溝8は、図2に示すように反ラップ側のチャック部7から、前周溝5が鏡板裏面9に露出するように、複数且つ任意個所に刻設される。
【0039】
なお、鏡板裏面9はバッキングプレート11との密着性向上のために渦加工前に、研削などにより良好な平面性状を確保してある。
【0040】
図3〜図5は前記溝5,8を利用した旋回スクロール1の加工の一例を示す側断面図及び平断面図である。
【0041】
なお、図4は旋回スクロール1の加工機10への取付けの状態及び旋回スクロール1とエンドミルの13の作動状態の一例を示す正面図である。また、図5は図3のB−B線に沿った断面図である。
【0042】
10は加工機、10aはワーク(旋回スクロール)側主軸、10bは工具(例えばエンドミル)側スピンドル、11は加工機のバッキングプレート、12は引き爪、13はエンドミル等の工具を示す。
【0043】
ここで、ワーク側主軸10a軸心と工具側スピンドル10bの軸心は平行の位置関係にある。
【0044】
図3に示すように、例えば引き爪12を回動して周溝5に係合し、旋回スクロール1はスクロール加工機10のバッキングプレート11に、旋回スクロール1のベアリング6側の裏面9が当接した状態で、破線から実線に示すように引き爪12を作動させ、旋回スクロール1をバッキングプレート11側に、任意圧力で軸心方向に引込み、両者を密着させ固定する。
【0045】
尚、引き爪12は図示しないが把持する部分の若干の形状誤差に追随可能なフローテング構造を具備している。
【0046】
その後、図4に示すようにワーク主軸10aを矢印の方向に回転し、これに同期させてエンドミル13を、直線で示す矢印の方向へ移動させ、所期の加工を行う。
【0047】
図5は引き爪12と旋回スクロール1の放射溝8の位置関係を、更に詳細に説明するもので、即ち、チャックの引き爪12の左右が、放射溝8を均等に跨ぐ形態に旋回スクロール1のチャック部7に掛かっている。
【0048】
この放射溝8と引き爪12の位置関係が重要な理由は、図6に示すように放射溝8の無い状態で、旋回スクロール1を引き爪12により把持した場合、その引込み力により、旋回スクロール1のチャック部7が局部的に破線に示すように弾性変形し、その結果、鏡板3面上面も引っ張られて破線に示すように、チャック方向に若干の弾性変形を生じ、この状態で平面部を加工すると良好な平面度が得られない。
【0049】
図7は、参考例の引き爪12と放射溝8の作用を示すもので、即ち、引き爪12が放射溝8の内部に、その引込み力によって湾曲状態の変形を生じ、その結果、最も近接して変形抵抗の小さい放射溝8の両端面が、破線に示すように放射溝8内に、倒れ状態の局部的弾性変形が生じ、その変形範囲が極めて小さいことから鏡板面の上面まで変形が到ることが無い。
【0050】
また、引き爪12が湾曲すること及び放射溝8端面が図7のように局部的に変形することから、結果的に旋回スクロール1に引き爪12が食い込む形態となり、エンドミル13によって水平方向から負荷される切削応力に対し、ずれ防止を図ることが可能となり、安定した把持状態が得られる。
【0051】
なお、この放射溝8を設けないで鏡板面の変形を抑える方法としては、図8に示すように、鏡板3の端面4に相当深い溝5を刻設することによって目的を達成することが可能であるが、本来軽量化の目的で鏡板3の薄肉形状で設計される旋回スクロール1に、このような深溝を形成することは鏡板面自身の剛性不足を来し、他の信頼性上の問題を引き起こす結果になり得策でない。
【0052】
次に本発明の他の参考例を図9〜図11により説明する。
【0053】
1は旋回スクロール、1aはラップ、1bはラップ1aの外側約半巻き分、1cはラップ先端、1dはラップ側面、1eは鏡板、1fは鏡板面、1gは鏡板の一部範囲、1hは鏡板の外径、1iは渦底面、1jは渦掘り込み部、1kはラップ内線、1lはラップ外線、2は固定スクロール、2aは固定スクロールのラップ、2bは固定スクロールのラップ内線、2cは固定スクロールのラップ外線、2dは固定スクロールの鏡板、2eは固定スクロールの内径である。
【0054】
即ち、吸い込み終了時点での相互のラップ1a,2aの位置関係は図9(イ)に示すようになっている。この際、旋回スクロール1の鏡板1eは破線に示すように固定スクロール2の鏡板2dと、その外径1h、固定スクロール2の内径2eがある面積をもって重複する形態に重合している。
【0055】
図9(ロ)(ハ)(ニ)は順次にガスの圧縮行程を示すもので、前述の旋回スクロール1の外周1hの最外周は、図10に描かれた一点鎖線が示すような軌跡を辿る。また、旋回スクロール1のラップ1aは固定スクロール2のラップ2a内及び外側を、そのラップ内線1k、ラップ外線1lが、固定スクロール2のラップ外線2c、ラップ内線2bに近接した隙間をもって揺動運動する。この時の旋回スクロール1のラップ1aの全移動範囲は二点鎖線に示す範囲である。
【0056】
ここで注目すべきは、旋回スクロール1のラップ1aの外側の約半巻き分1b、即ち、渦巻始めのA点から約180度隔たったB点は、固定スクロール2の内径2eと、大きな空隙をもっており、気密性を要する近接した関係に無い。
【0057】
また、旋回スクロール1の鏡板面1fの内、斜線に示す一部範囲1gは、固定スクロール2のラップ2aが形成せず、また固定スクロール2の内径と重合しない部分である。
【0058】
従って、上記A点からB点のラップ1a外線1lの側面1dの約半巻き分1bと、斜線で示す鏡板1eの一部範囲1gの、エンドミルによる中仕上、仕上切削加工を省略することが出来る。
【0059】
図11は、以上述べた仕上切削個所省略の場合の旋回スクロール1の形状の一例を示すもので、ラップ外線1lのA点からB点に到る、斜線に示す側面1dの約半巻き分1bの渦曲線を、従来の仕上加工寸法より小さめに、予め荒加工で切削し、該部分1bは荒加工を最終工程とする。
【0060】
また、鏡板面1fの斜線に示す一部範囲1gも、荒加工で切削した状態とし、従来の渦底面エンドミル21,23で中仕上、仕上切削加工をする省略した状態で、他の鏡板面1fより高い、段差形状を呈している。
【0061】
従って、本参考例によれば、ラップ外側約半巻き分1bと鏡板面1fの一部範囲1gの中仕上、仕上加工時間の短縮が図れる。
【0062】
図12は、以上述べた本参考例の一例を、ラップ1a側面1dの仕上加工を例にとりエンドミル軌跡を示したもので、図20に比較しラップ外側半巻き分1bのエンドミルの軌跡動作が無い。
【0063】
図13は、同様に本参考例の鏡板面1fの仕上加工の一例を示すもので、(1)鏡板1fの外周側一周→(2)掘込み部1jから溝底面1i反転加工のみで、図21に比較し鏡板面1fの一部範囲1gの約半周分のエンドミルの軌跡動作が省略できる。
【0064】
更に、図14は本発明の加工方法の一例を示すもので、エンドミル加工の有する周速アップ及び片持ちスピンドルでの剛性不足を解除する目的から考えられる、加工法の一例を示す。
【0065】
10はラップ側面、底面及び面取加工用エンドミル、11はラップ側面仕上加工用エンドミル、12は研削用スピンドル、13は研削砥石、14は掘込み部1g加工用エンドミルである。
【0066】
即ち、図14(1)は旋削加工した素材を使用し、面取刃10aを形成したエンドミル10により、破線に示すようにラップ側面1d、鏡板面1f、渦底面1iの荒加工及びラップ先端1cの面取を行う。この時、ラップ1aの外側半巻き分1b(図示せず)の加工は本発明に従い、渦仕上形状より若干小さめに加工しておく。
【0067】
次に、図14(2)破線に示すように、ラップ側面仕上加工用エンドミル1lを用いて、図12に示すようなラップ側面1dの仕上加工を行う。
【0068】
図14(3)は図14(2)加工終了後の旋回スクロール1を使用し、研削スピンドル1lに任意外径を有する研削砥石13を装着し、破線・に示すように、本発明に係る一部範囲1gを除いた鏡板面1fの平面研削加工を実施する。その後、破線・に示すように同研削砥石12を移動し、破線に示すようにラップ先端1cの平面研削仕上加工を行う。
【0069】
更に、図14(4)は掘込み部加工用エンドミル14を用い、破線に示すようにラップ1a外側から渦底面1iに連繋する掘込み部1jの仕上切削加工を行う。この時、掘込み深さは鏡板面1fの位置を計測し、適宜量補正しながら加工する。掘込み部1jは、図13に示すように、渦巻き始め点A(符号A,Bについては、図10参照)から渦巻き方向に約180°隔たった点をBとした場合(点A,B間は前記荒加工範囲1gに対応する)、点Bから点Aまでの同渦巻き方向約180°間の鏡板面1f及び溝底面1iに設定される。
【0070】
この結果、先に述べたエンドミルを主体とする鏡板面1f全体の加工に比較し、最終加工の掘込み部1jと、鏡板面の一部範囲1gを除いた鏡板面1fとラップ先端1cを、適宜大きさの砥石直径を選定することが可能であり、従って、大周速で高速、高効率加工が実現できる。この場合、エンドミルに比較し面あらさ精度の向上が併せて期待できる。
【0072】
【発明の効果】
板面加工に研削砥石の採用が可能となり、研削スピンドルはその支持剛性が高く、また、ラップと干渉しないその形成部の外側、ラップの上面の研削で、比較的大きい砥石が採用できることから、従来、旋回スクロールのラップ側全面のエンドミル加工を余儀なくされていた、極めて長時間を要する煩雑な加工を、短時間で、高精度且つ良好な面精度が得られる方法に変更出来、本発明の旋回スクロール加工への適用効果は大きく、延いては、高性能で低廉なコストのスクロール圧縮機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例に係る旋回スクロールの構造の一例を示す側断面図。
【図2】図1に示す参考例に係る旋回スクロールのA視図。
【図3】参考例による旋回スクロールのチャックへの取付け状態と、加工状態の一例を示す側面図。
【図4】参考例に係る旋回スクロールの加工状態の一例を、旋回スクロールの動作及びエンドミルの動作の一例で示した正面図。
【図5】参考例に係る旋回スクロールの放射溝とチャックの引き爪の相互関係位置を示す平面図。
【図6】放射溝の無い旋回スクロールのチャック状態の一例を示す側面図。
【図7】参考例に係る放射溝を設けた旋回スクロールのチャック状態の一例を示す側面図。
【図8】参考例と同様のチャック変形極小とする旋回スクロールの形状の一例とチャック方法の一例を示す側断面図。
【図9】ポンプ部を形成する旋回、固定スクロールの圧縮動作行程を示す平面図。
【図10】本発明に係る旋回、固定スクロール相互の動作範囲の一例を示す平面図。
【図11】本発明に係る旋回スクロールの形状の一例を示す斜視図。
【図12】本発明に係る旋回スクロールの側面仕上切削加工の一例を示す平面図。
【図13】本発明に係る旋回スクロールの鏡板面仕上切削加工の一例を示す平面図。
【図14】本発明に係る旋回スクロールの研削加工を一部適用した加工法の一例を示す側断面図。
【図15】従来公知スクロール圧縮機のポンプの構造の一例を示す側断面図。
【図16】従来公知スクロール圧縮機の旋回スクロール加工時の抱き爪によるチャック方法と旋回スクロール変形の一例を示す側面図。
【図17】スクロール圧縮機のポンプ部の圧縮動作工程を示す平面図。
【図18】旋回スクロールの掘り込み部形成の一例を示す平面図。
【図19】従来公知スクロール圧縮機の旋回スクロールの加工法の一例を示す側断面図。
【図20】従来公知旋回スクロールのラップ側面加工の一例を示す平面図。
【図21】従来公知旋回スクロールの鏡板面及び渦底面の加工の一例を示す平面図。
【符号の説明】
1…旋回スクロール
2…渦巻状ラップ
3…鏡板
4…鏡板の外周部
5…周溝
7…旋回スクロールのチャック部
8…放射溝
9…旋回スクロールの裏面
10…加工機
11…バッキングプレート
12…引き爪
13…エンドミル
1a…ラップ
1b…ラップ1aの外側半巻き分
1c…ラップ先端
1d…ラップ側面
1e…鏡板
1f…鏡板面
1g…鏡板面の一部範囲
1h…鏡板の外周
1i…渦底面
1j…渦掘り込み部
1k…ラップ内線
1l…ラップ外線
2…固定スクロール
2a…ラップ
2b…ラップ内線
2c…ラップ外線
2d…鏡板
2e…内径

Claims (1)

  1. 固定スクロールの渦巻状のラップと組み合わせてスクロール圧縮機のポンプ部を構成する円盤状の鏡板と、その鏡板から直立させた渦巻状のラップとを有する旋回スクロール加工方法において、
    スピンドルに装着された研削砥石を用いて前記旋回スクロールの鏡板面を研削加工する工程と、前記研削砥石を用いて前記旋回スクロールのラップの先端を前記鏡板面から一定高さに研削する工程と、前記旋回スクロールのラップの外側にある渦巻始めから約半巻離れた当該ラップの外周から当該渦巻方向に前記渦巻始めまでの渦巻周辺であって、前記研削加工された鏡板面及び前記旋回スクロールの渦底面を、前記研削加工された鏡板面から一定深さにエンドミルにより掘込み加工する工程とからなることを特徴とする旋回スクロールの加工法。
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