JP4283628B2 - スクロール式流体機械のスクロールの製造方法及びスクロール式流体機械 - Google Patents

スクロール式流体機械のスクロールの製造方法及びスクロール式流体機械 Download PDF

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Description

本発明は、例えば空気、冷媒等の圧縮機や真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械のスクロールの製造方法及びスクロール式流体機械に関する。
一般に、スクロール式流体機械は、旋回スクロールを固定スクロールに対して旋回運動させることにより、空気、冷媒等の圧縮やポンプ動作を行うものである(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。
特開平5−141379号公報 発明協会公開技報公技番号2001−1746号
この従来技術によるスクロール式流体機械は、固定スクロールと旋回スクロールとが互いに対向して設けられ、これらの固定スクロールと旋回スクロールとは、円板状に形成された鏡板と、該鏡板に軸方向に立設された渦巻状のラップ部とによりそれぞれ構成されている。
また、固定スクロールと旋回スクロールのラップ部は、渦巻状に巻回して形成され、互いに重なり合うことによって複数の圧縮室を画成している。この場合、各スクロールのラップ部は、例えばスクロールを構成する金属材料にエンドミル等の切削工具を用いて切削加工を施すことにより、平滑な内周面と外周面ともって形成されている。
そして、スクロール式流体機械は、旋回スクロールが旋回運動を行うことにより、固定スクロールの外周側に設けた吸込口から流体を吸込み、この流体を各圧縮室内で順次圧縮しつつ、固定スクロールの内周側に設けた吐出口から外部に向けて圧縮流体を吐出するものである。
また、従来技術では、例えば固定スクロールと旋回スクロールの各ラップ部の周面に軸方向に延びる複数本の突起(凹溝)を形成することにより、各ラップ部間の隙間を小さくし、圧縮室の密閉性を高める構成としている。
この場合、旋回スクロールが固定スクロールに対して旋回運動するときには、ラップ部の周面に配置された各突起のうち一部の突起が、相手方の周面に対して順次最接近するようになり、この最接近部位を挟んで両側に位置する圧縮室の密閉性を高めることができる。また、これら突起(凹溝)は、例えば金属材料等からなるラップ部の周面に放電加工、エッチング加工等を施したり、切削加工を施すことにより、ラップ部と一体に形成されているものである。
ところで、上述した従来技術では、圧縮室の密閉性を高めるため、ラップ部の周面に複数本の突起(凹溝)を設ける構成としている。しかし、固定スクロールや旋回スクロールを製造するときには、放電加工、エッチング加工等により突起を形成しようとすると、加工用の設備等が大型化したり、加工の工程が複雑化するという問題がある。
この場合、例えばエンドミル等の切削工具を用いてラップ部の周面と各突起とを一緒に切削加工する方法も考えられる。しかし、このような切削加工時には、例えば切削工具をラップ部の内周面と外周面の形成位置に沿って渦巻状に移動しつつ、各突起の形成位置では突起の外形をなぞるように切削工具を径方向に変位させる必要がある。
このため、ラップ部と各突起とを一緒に切削加工しようとすると、スクロールを構成する金属材料と切削工具とが長い距離にわたって接触した状態となるため、加工時間が長くなって切削作業に手間がかかり、生産性が低下するという問題がある。しかも、長時間の切削動作によって切削工具の寿命が短くなり、その交換等によっても作業工数や製造コストが増大し易くなる。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、スクロールのラップ部に複数本の突起を効率よく形成でき、各突起を含めてスクロールの加工時間を短縮できると共に、生産性を向上できるようにしたスクロール式流体機械のスクロールの製造方法及びスクロール式流体機械を提供することにある。
上述した課題を解決するために本発明は、鏡板に渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された一方のスクロールと、該一方のスクロールに対向して設けられ鏡板に該一方のスクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するために渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された他方のスクロールとを備え、少なくとも前記一方のスクロールのラップ部の周面には、渦巻方向に間隔をもって軸方向に延び前記他方のスクロールのラップ部に接近したときに前記各圧縮室の密閉性を高める複数本の突起を設けてなるスクロール式流体機械のスクロールの製造方法に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、スクロールの鏡板、ラップ部と突起の原形となる原形突起とを鋳造手段によりスクロール母材として一体形成し、前記突起が設けられるラップ部の表面記原形突起の先端部にのみ切削加工を施すことにより形成する構成としたことにある。
また、請求項2の発明によると、突起は原形突起の先端部を尖った略三角形状に切削加工することにより形成する構成としている。
また、請求項3の発明によると、突起は原形突起の先端部をラップ部の周面とほぼ平行に切削加工することにより形成する構成としている。
また、請求項4の発明によるスクロール式流体機械は、突起が設けられるラップ部は、前記突起の先端部を切削加工された表面とし、前記突起間のラップ部を鋳造後に加工しない表面とする構成としている。
請求項1の発明によれば、突起は、鋳造手段により形成したスクロール母材の原形突起の先端部にのみ切削加工を施して形成する構成としたので、スクロールの製造時には、鋳造手段によりスクロールの鏡板、ラップ部と、複数の原形突起とをスクロール母材として一緒に効率よく形成でき、このときに各原形突起を最低限の寸法精度で容易に鋳造することができる。
そして、これらの原形突起の先端部にのみ切削加工を施すことにより、複数本の突起を高い寸法精度で形成でき、例えば各突起の高さ(突出寸法)、先端形状等を正確に揃えることができる。これにより、高い精度が要求されないラップ部の周面や原形突起の根元部を加工することなく、各原形突起の先端部だけを切削加工して突起を効率よく形成でき、スクロールの加工時間を短縮できると共に、切削工具等の寿命を延ばすことができる。
従って、多数の突起が設けられたスクロールの製造効率を高めることができる。そして、各突起を高い寸法精度で形成できるので、スクロール式流体機械の運転時には、個々の突起を相手方のラップ部に安定的に最接近させることができ、これらの接触、かじり等を抑制できると共に、各圧縮室の密閉性や圧縮効率を高めることができる。
また、請求項2の発明によれば、突起の先端部を尖った略三角形状に形成する構成としたので、仮りに突起が相手方のラップ部に接触したとしても、その尖った先端部は容易に変形してラップ部に馴染むことができ、両者が何度も接触することによる動力損失や騒音等を低減することができる。また、例えば機械の寸法誤差や組付誤差等を突起の変形により吸収できるので、その加工、組立等を最低限の精度で効率よく行うことができる。一方、突起の根元部は太幅に形成して十分な強度を与えることができる。
また、請求項3の発明によれば、突起の先端部をラップ部の周面とほぼ平行に形成する構成としたので、原形突起の先端部を切削加工して突起を形成するときには、例えば切削工具を単純な軌跡に沿ってラップ部の周面とほぼ平行に移動させるだけでよくなり、切削する工程を短時間で円滑に行うことができる。
一方、請求項4の発明によると、突起が設けられるラップ部は、前記突起の先端部を切削加工された表面とし、前記突起間のラップ部を鋳造後に加工しない表面とする構成としたので、突起の先端部だけを切削加工して突起を効率よく形成でき、高い精度が要求されないラップ部の周面や突起の根元部を加工することなく、スクロールの加工時間を短縮できると共に、切削工具等の寿命を延ばすことができる。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械のスクロールの製造方法を、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図8は本発明による第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、スクロール式空気圧縮機に適用した場合を例に挙げて述べる。
図中、1は本実施の形態による製造方法が適用されるスクロール式空気圧縮機の固定スクロールで、該固定スクロール1は、筒状に形成されたケーシング(図示せず)の端部に取付けられている。また、固定スクロール1は、後述する駆動軸8の軸線O1−O1と同軸に配設された略円板状の鏡板2と、該鏡板2の表面に軸方向に立設された渦巻状のラップ部3と、鏡板2の外径側からラップ部3を取囲むように軸方向に突出した筒部4と、該筒部4から径方向外側に突出したフランジ部5とによって大略構成されている。
ここで、固定スクロール1の鏡板2、ラップ部3、筒部4、フランジ部5等は、例えばアルミダイキャスト等を用いて形成され、これらは高い寸法制度をもって鋳造(精密鋳造)されている。
また、鏡板2には、図2に示す如く、その外径側に位置して後述の圧縮室13に空気を吸込む吸込口6が設けられ、鏡板2の中央には圧縮室13で圧縮した空気を外部に吐出する吐出口7が設けられている。また、ラップ部3は渦巻状に巻回して形成され、その外周面3Aには後述の外周突起14が設けられると共に、ラップ部3の内周面3Bには後述の内周突起19が設けられている。
8はケーシングに回転可能に設けられた駆動軸で、該駆動軸8は、回転中心となる軸線O1−O1(軸心O1)を有している。また、駆動軸8の端部側は、軸線O1−O1に対して旋回半径δだけ偏心した軸線O2−O2(軸心O2)を有するクランク8Aとなり、該クランク8Aには、旋回軸受9を介して後述の旋回スクロール10が回転可能に取付けられている。
10は固定スクロール1と対向して駆動軸8に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール10は、例えばアルミダイキャスト等を用いて形成され、クランク8Aの軸線O2−O2と同軸に配設された円板状の鏡板11と、該鏡板11の表面に軸方向に立設されたラップ部12とによって大略構成されている。
ここで、ラップ部12は、固定スクロール1のラップ部3とほぼ同様に、渦巻状に巻回して形成され、その外周面12Aと内周面12Bとは平滑な湾曲面として形成されている。また、ラップ部12は、固定スクロール1のラップ部3に対して例えば180度だけずらして重なり合うように配設され、これらのラップ部3,12の間には複数の圧縮室13が画成されている。
そして、スクロール式空気圧縮機は、駆動軸8のクランク8Aが旋回半径δ分だけ偏心しているため、駆動軸8が回転駆動されると、旋回スクロール10は、自転防止機構(図示せず)等により自転を規制された状態で公転し、固定スクロール1に対して旋回半径δの旋回運動を行う。
これにより、空気圧縮機は、吸込口6から外周側の圧縮室13に吸込んだ空気を各圧縮室13内で順次圧縮しつつ、中心側(最内径側)の圧縮室13から吐出口7を介して外部に圧縮空気を吐出する。このとき、各圧縮室13は、固定スクロール1の突起14,19によって密閉状態に保持されるものである。
14は固定スクロール1のラップ部3の外周面3Aに設けられた複数本の外周突起を示し、該各外周突起14は、図3ないし図5に示す如く、例えばラップ部3と同一の金属材料からなり、その根元部がラップ部3の外周面3Aに接合され、その先端部が外周面3Aから離れて径方向外向きに突出している。また、外周突起14は、例えば略五角形の横断面形状をもってラップ部3の軸方向に延びると共に、ラップ部3の渦巻方向に間隔をもって配置されている。
ここで、外周突起14は、後述の鋳造工程によりラップ部3の外周面3Aに原形突起24として一体形成されたものであり、この原形突起24の先端部に後述の切削工程で切削加工を施すことにより、外周突起14として加工成形されている。そして、外周突起14には、後述の根元周壁部15、先端傾斜面部16、先端18等が設けられている。
そして、空気圧縮機の運転時には、旋回スクロール10が固定スクロール1に対して旋回運動すると、各外周突起14のうち旋回スクロール10の位置に応じた一部の突起14とラップ部12の内周面12Bとが最接近(または接触)した状態となり、この最接近部位は当該突起14の両側に位置する圧縮室13内に空気を閉込める閉込み位置となる。そして、外周突起14は、各圧縮室13の閉込み位置でラップ部3の外周面3Aとラップ部12の内周面12Bとの間の隙間を減少させ、これによって圧縮室13の密閉性を高めるものである。
15は外周突起14の根元部に形成された例えば2箇所の根元周壁部で、該各根元周壁部15は、図6、図7に示す如く、原形突起24の元々の周壁部からなり、鋳造手段によりラップ部3と一緒に加工形成されている。そして、根元周壁部15は、ラップ部3の渦巻方向に対して外周突起14の両側に配置され、これらの位置でラップ部3の外周面3Aに接続されると共に、外周面3Aからほぼ径方向外向きに延びている。
16は外周突起14の先端部に形成された例えば2箇所の先端傾斜面部を示し、該各先端傾斜面部16は、後述の切削工程でエンドミル等の切削工具26を用いて原形突起24の先端部に切削加工を施すことにより、例えば切削工具26の形状等に対応する凹湾曲面として形成されている。
ここで、各先端傾斜面部16は、ラップ部3の渦巻方向に離間した両側の根元周壁部15から互いに接近するように斜め方向に屈曲し、根元周壁部15と先端傾斜面部16との間には、例えば2箇所の角隅部17が形成されている。
また、各先端傾斜面部16は、ラップ部3の渦巻方向に対して外周突起14の先端18の両側に配置され、この先端18を挟んで略V字状に延びている。これにより、外周突起14の先端18は、各先端傾斜面部16を二辺とする略三角形状に形成され、鋭角状に尖って形成されている。そして、旋回スクロール10が固定スクロール1に対して旋回運動するときには、外周突起14の先端18が相手方のラップ部12の内周面12Bに最接近し、これによって圧縮室13の密閉性を高める構成となっている。
この場合、例えば圧縮機の各部品の寸法誤差、組付誤差等により先端18が相手方のラップ部12に接触したとしても、外周突起14は、鋭角状に尖った先端18の近傍が容易に潰れたり、摩耗して変形することができる。これにより、外周突起14は、圧縮機の機械的な誤差等を先端18の変形により吸収して相手方の内周面12Bに馴染むことができ、外周突起14とラップ部12とが何度も接触することによるかじり、騒音等の発生を防止することができる。
また、外周突起14は、先端傾斜面部16の根元部から根元周壁部15にかけての部位が太幅に形成され、これらの太幅な部位は、外周突起14全体の強度を適度に高め、ラップ部12と接触したときに突起14が大きく潰れるのを防止しているものである。
19は固定スクロール1のラップ部3の内周面3Bに設けられた複数本の内周突起を示し、該各内周突起19は、各圧縮室13の閉込み位置で旋回スクロール10のラップ部12の外周面12Aと最接近することにより、この外周面12Aとラップ部3の内周面3Bとの間の隙間を減少させるものである。
ここで、内周突起19は、外周突起14とほぼ同様に、例えば略五角形の横断面形状に形成され、ラップ部3の内周面3Bから径方向内向きに突出すると共に、ラップ部3の渦巻方向に間隔をもって配置され、その軸方向に延びている。また、内周突起19は、ラップ部3の内周面3Bに原形突起24として一体形成されたものであり、図4に示す如く、外周突起14とほぼ同様の根元周壁部20、先端傾斜面部21、角隅部22、先端23等が形成されている。
本実施の形態に適用されるスクロール式空気圧縮機は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、電動モータ等の駆動源(図示せず)により駆動軸8を回転駆動すると、旋回スクロール10は、駆動軸8の軸線O1−O1を中心として旋回半径δの旋回運動を行ない、固定スクロール1のラップ部3と旋回スクロール10のラップ部12との間に画成される各圧縮室13は、外径側から内径側に向けて連続的に縮小するようになる。これにより、固定スクロール1の吸込口6から吸込んだ空気を各圧縮室13で順次圧縮しつつ、吐出口7から圧縮空気として外部のタンク(図示せず)等に吐出することができる。
このとき、各圧縮室13の閉込み位置では、固定スクロール1側の外周突起14が旋回スクロール10のラップ部12の内周面12Bに最接近し、内周突起19がラップ部12の外周面12Aに最接近するので、これらの突起14,19によって各圧縮室13内に空気を閉込めることができ、その密閉性を高めて圧縮性能を向上させることができる。
次に、図7及び図8を参照しつつ、固定スクロール1の製造方法について説明する。
まず、図7に示す鋳造工程では、例えばアルミダイキャスト等の鋳造手段によりスクロール母材1′を形成する。ここで、スクロール母材1′は、固定スクロール1と同様の鏡板(図示せず)、ラップ部3′等を有し、ラップ部3′の周面3A′,3B′に突起14,19の原形となる複数本の原形突起24が一体形成されているものである。
この場合、原形突起24は、例えば円形、楕円形等の先端形状をもって径方向に突出し、その寸法、形状等は、ある程度の誤差が許容された最低限の寸法精度で形成されている。そして、鋳造工程では、スクロール母材1′用の鋳型25内に溶融した金属材料を注入し、スクロール母材1′を鋳造する。
次に、図8に示す切削工程では、例えばエンドミル等の切削工具26を用いて各原形突起24の先端部に順次切削加工を施し、これらの部位に先端傾斜面部16、先端18(または先端傾斜面部21、先端23)等を高い寸法精度で形成する。これにより、各原形突起24を原形として外周突起14と内周突起19とを所定の形状に加工成形でき、スクロール母材1′を用いて固定スクロール1を製造することができる。
この場合、各原形突起24を切削加工するときには、例えば切削工具26の中心位置を図8中に示す軌跡L1に沿って移動させることにより、切削工具26をラップ部3′の外周面3A′(または内周面3B′)から離れた位置でこれとほぼ平行に移動しつつ、各原形突起24の位置では切削工具26を突起14,19の先端形状に対応した寸法、形状分だけ径方向に変位させる。
これにより、切削工具26の刃先は、ラップ部3の外周面3Aと内周面3Bとから離れた軌跡L2に沿って移動するようになり、各原形突起24の先端部だけに接触してこれを所望の形状に加工成形することができる。この結果、高い寸法精度が要求されないラップ部3の外周面3A、内周面3Bや原形突起24の根元部(突起14,19の根元周壁部15,20等)には切削工具26を接触させずに、固定スクロール1を効率よく製造することができる。
かくして、本実施の形態によれば、固定スクロール1の鏡板2、ラップ部3と各原形突起24とを鋳造手段により一体形成し、原形突起24の先端部を切削加工して外周突起14と内周突起19とを形成する構成としたので、固定スクロール1の製造時には、鋳造手段により固定スクロール1と多数の原形突起24とをスクロール母材1′として一緒に効率よく形成することができる。
この場合、鋳造工程では、後の工程で切削加工する原形突起24を高い寸法精度で形成する必要がないから、各原形突起24を固定スクロール1の各部位と共に最低限の寸法精度で形成でき、これらの鋳造を容易に行うことができる。
そして、この原形突起24の先端部に切削加工を施すことにより、高い寸法精度の先端傾斜面部16,21、先端18,23等をもつ各突起14,19を形成でき、原形突起24の根元部(根元周壁部15,20等)を高精度に加工しなくても、各突起14,19の高さ(突出寸法)や先端形状等を先端傾斜面部16によって正確に揃えることができる。
これにより、圧縮機の運転時には、個々の突起14,19を相手方のラップ部12に近い位置まで安定的に最接近させることができ、これらの接触、かじり等を抑制できると共に、各圧縮室13の密閉性を高め、圧縮効率を向上でさせることができる。
この場合、切削工程では、高い寸法精度が要求されないラップ部3′の外周面3A′、内周面3B′や各原形突起24の根元部に切削工具26を接触させずに、各原形突起24の先端部だけを効率よく切削加工でき、固定スクロール1の切削加工に費やす加工時間を短縮することができる。また、切削工具26は、各原形突起24の先端部に接触するだけでよいから、切削工具26の実働時間を短くして寿命を延ばすことができる。
従って、例えばラップ部に1箇所ずつ高精度の切削加工を施して多数の突起を形成したり、ラップ部の周面と各突起とにわたって連続した長時間の切削加工を行う必要がなくなり、多数の突起14,19が設けられた固定スクロール1を短時間で効率よく形成できると共に、その製造効率を高めることができる。
また、外周突起14の先端18は、2箇所の先端傾斜面部16により略三角形状に形成し、内周突起19の先端23は、各先端傾斜面部21により略三角形状に形成したので、仮りに突起14,19が相手方のラップ部12に接触したとしても、これらは先端18,23が容易に潰れたり、摩耗して変形でき、ラップ部12の周面12A,12Bに速やかに馴染むことができる。
これにより、ラップ部12と突起14,19とが何度も接触するのを防止でき、接触による動力損失や騒音等を低減することができる。また、例えばスクロール1,10の寸法誤差や組付誤差等を突起14,19が変形することにより吸収できるので、その加工、組立等を最低限の精度で行うことができ、圧縮機を効率よく製造することができる。
さらに、固定スクロール1に外周突起14と内周突起19とを設け、旋回スクロール10には突起を設けていないので、各突起14,19の切削工程を固定スクロール1のみに実施すればよくなり、これを円滑に行うことができる。また、旋回スクロール10も切削工程を省略した分だけ短時間で形成できるので、圧縮機の生産性を高めて製造コストを低減することができる。
次に、図9ないし図12は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ラップ部の周面に略四角形状の突起を形成する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
31は空気圧縮機の固定スクロールで、該固定スクロール31は、第1の実施の形態とほぼ同様に、鏡板32、ラップ部33、筒部、フランジ部(いずれも図示せず)等により構成され、ラップ部33は、外周面33Aと内周面33Bとを有する渦巻状に形成されている。
34はラップ部33の外周面33Aに渦巻方向に間隔をもって設けられた複数本の外周突起を示し、該各外周突起34は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えばラップ部33と同一の金属材料からなり、ラップ部33の外周面33Aから径方向外向きに突出すると共に、その軸方向に延びている。
また、外周突起34は、図10に示す如く、ラップ部33の外周面33Aに一体形成された後述の原形突起42に切削加工を施すことにより、例えば略四角形(台形)の横断面形状に加工成形され、第1の実施の形態とほぼ同様の根元周壁部35と、後述の先端面部36とが設けられている。
36は外周突起34の先端部に形成された先端面部で、該先端面部36は、後述の切削工程で切削工具26を用いて原形突起42の先端部に切削加工を施すことにより、ラップ部33の渦巻方向に沿って外周面33Aとほぼ平行に延びる緩やかな湾曲面として形成されている。この場合、先端面部36の両側と各根元周壁部35との間には、例えば2箇所の角隅部37が形成されている。
そして、旋回スクロール10が固定スクロール31に対して旋回運動するときには、外周突起34の先端面部36が相手方のラップ部12の内周面12Bに最接近し、これによって圧縮室13の密閉性を高める構成となっている。
38は固定スクロール31のラップ部33の内周面33Bに渦巻方向に間隔をもって設けられた複数本の内周突起を示し、該各内周突起38は、外周突起34とほぼ同様に、ラップ部33の内周面33Bに原形突起42として一体形成されたものであり、例えば略四角形の横断面形状に加工成形されている。そして、内周突起38には、根元周壁部39、先端面部40、角隅部41等が形成されている。
また、内周突起38は、第1の実施の形態とほぼ同様に、ラップ部33の内周面33Bから径方向内向きに突出し、その軸方向に延びている。そして、内周突起38は、各圧縮室13の閉込み位置で旋回スクロール10のラップ部12の外周面12Aと最接近することにより、この外周面12Aとラップ部33の内周面33Bとの間の隙間を減少させるものである。
そして、固定スクロール31を製造するときには、第1の実施の形態とほぼ同様に、図11に示す鋳造工程によりスクロール母材31′を形成する。ここで、スクロール母材31′は、固定スクロール31と同様の鏡板(図示せず)、ラップ部33′等を有し、ラップ部33′の周面33A′,33B′に突起34,38の原形となる複数本の原形突起42が一体形成されているものである。そして、鋳造工程では、スクロール母材31′用の鋳型43内に溶融した金属材料を注入し、スクロール母材31′を鋳造する。
次に、図12に示す切削工程では、例えばエンドミル等の切削工具26を用いて各原形突起42の先端部に順次切削加工を施し、これらの部位に先端面部36(または先端面部40)等を高い寸法精度で形成する。これにより、各原形突起42を原形として外周突起34と内周突起38とを所定の形状に加工成形でき、スクロール母材31′を用いて固定スクロール31を製造することができる。
そして、この切削工程では、例えば切削工具26をラップ部33′の外周面33A′(または内周面33B′)から離れた位置でこれとほぼ平行に移動させ、切削工具26の中心位置や刃先が図12中に示すような円弧状(渦巻状)の軌跡L1′,L2′を描くようにする。
これにより、ラップ部33′の外周面33A′、内周面33B′や原形突起42の根元部(突起34,38の根元周壁部35,39)等には切削工具26を接触させることなく、切削工具26を各原形突起42の先端部だけに接触させることができ、この部位を所望の形状に加工成形することができる。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、突起34,38の先端部にラップ部33の周面33A,33Bとほぼ平行に延びる先端面部36,40を形成する構成としたので、その切削加工時には、切削工具26を単純な軌跡L1′,L2′に沿ってラップ部33の周面33A,33Bとほぼ平行に移動させるだけでよくなり、切削工程をより短時間で円滑に行うことができる。
なお、前記第1、第2の実施の形態では、固定スクロール1,31に突起14,19,34,38を設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば固定スクロールの外周面と旋回スクロールの外周面とにそれぞれ複数本の突起を設ける構成としたり、これらの内周面にそれぞれ複数本の突起を設ける構成としてもよい。また、固定スクロールには突起を設けず、旋回スクロールの内周面と外周面とにそれぞれ複数本の突起を設ける構成としてもよい。
また、実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機等の他のスクロール式流体機械に適用してもよい。
本発明の第1の実施の形態に適用されるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 スクロール式空気圧縮機を図1中の矢示II−II方向からみた横断面図である。 図2中の固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部とを拡大して示す部分拡大断面図である。 図3中の各突起を拡大して示す部分拡大断面図である。 固定スクロールの鏡板、ラップ部および各突起の一部を拡大して示す部分拡大斜視図である。 図4中の外周突起を拡大して示す要部拡大の横断面図である。 圧縮機の製造時に鋳造工程により固定スクロールと各原形突起とを形成した状態を示す部分拡大断面図である。 切削工程で各原形突起を切削加工することにより突起を形成する状態を示す部分拡大断面図である。 本発明の第2の実施の適用されるスクロール式空気圧縮機を図4と同様位置からみた部分拡大断面図である。 図9中の外周突起を拡大して示す要部拡大の横断面図である。 鋳造工程により固定スクロールと各原形突起とを形成した状態を示す部分拡大断面図である。 切削工程で各原形突起を切削加工することにより突起を形成する状態を示す部分拡大断面図である
符号の説明
1,3固定スクロール
1′,31′ スクロール母材
2,11,3鏡板
3,12,3ラップ部
3A,12A,33外周面(周面)
3B,12B,33内周面(周面)
10 旋回スクロール
13 圧縮室
14,3外周突起(突起)
16,21 先端傾斜面部
18,23 先端
19,3内周突起(突起)
24,42 原形突起
36,40 先端面部

Claims (4)

  1. 鏡板に渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された一方のスクロールと、該一方のスクロールに対向して設けられ鏡板に該一方のスクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するために渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された他方のスクロールとを備え、少なくとも前記一方のスクロールのラップ部の周面には、渦巻方向に間隔をもって軸方向に延び前記他方のスクロールのラップ部に接近したときに前記各圧縮室の密閉性を高める複数本の突起を設けてなるスクロール式流体機械のスクロールの製造方法において、
    前記スクロールの鏡板、ラップ部と前記突起の原形となる原形突起とを鋳造手段によりスクロール母材として一体形成し、前記突起が設けられるラップ部の表面記原形突起の先端部にのみ切削加工を施すことにより形成したことを特徴とするスクロール式流体機械のスクロールの製造方法。
  2. 前記突起は前記原形突起の先端部を尖った略三角形状に切削加工することにより形成してなる請求項1に記載のスクロール式流体機械のスクロールの製造方法。
  3. 前記突起は前記原形突起の先端部を前記ラップ部の周面とほぼ平行に切削加工することにより形成してなる請求項1に記載のスクロール式流体機械のスクロールの製造方法。
  4. 鏡板に渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された一方のスクロールと、該一方のスクロールに対向して設けられ鏡板に該一方のスクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するために渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された他方のスクロールとを備え、少なくとも前記一方のスクロールのラップ部の周面には、渦巻方向に間隔をもって軸方向に延び前記他方のスクロールのラップ部に接近したときに前記各圧縮室の密閉性を高める複数本の突起を設けてなるスクロール式流体機械において、
    前記突起が設けられるラップ部は、前記突起の先端部を切削加工された表面とし、前記突起間のラップ部を鋳造後に加工しない表面としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
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