JP3708418B2 - 硬貨処理機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、収納している硬貨を出金可能な硬貨処理機に関し、特に出金する硬貨の確認に関する。
【0002】
【従来の技術】
収納筒に集積状態で収納させた硬貨を出金可能な硬貨処理機における収納硬貨判別装置に関して、例えば、特開平10−240998号公報に示されるものがある。この収納硬貨判別装置では、繰出片によって硬貨を収納筒から繰り出し、その繰り出し途中において、磁気センサによって、硬貨の磁気的性質を検出し、該磁気データを基準データと比較することによって金種および真偽を判定して、出金する硬貨を確認するようになっている。この収納硬貨判別装置は、硬貨の出金のみを行う硬貨出金機に利用可能であるとともに、硬貨を受け入れて収納しさらに収納した硬貨を出金する硬貨入出金機にも利用可能なものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した収納硬貨判別装置は、一つの磁気センサによって硬貨の磁気的性質を検出するものであるため、検出データには、硬貨の径差による特徴は現れにくいものとなっていた。
【0004】
このため、本発明者は、収納筒から繰り出される硬貨を検出可能な位置に二つの磁気センサを設け、これら磁気センサ間の距離を、収納筒から繰り出される特定金種の硬貨の径に合わせることで、収納筒から繰り出される硬貨が前記特定金種の硬貨であるか否かを検出するようにした硬貨処理機について先の出願を行っている(特願平11−345436号)。
【0005】
ところで、今夏の新500円硬貨の発行に伴い、旧500円硬貨と新500円硬貨とが市場に存在することになる。そして、いずれも硬貨として有効であるので、これらを混合状態で出金することが起こりうる。ところで、新500円硬貨は、旧500円硬貨に対し、その外径が同一に構成されているため、該旧500円硬貨と同じ収納筒に収納させることができる。しかし、その材質が新たに変更になったことから、上記した従来の収納硬貨判別装置および上記した先願の硬貨処理機のように磁気センサによる磁気データを基準データと比較するものでは、新500円硬貨と、500円硬貨用の収納筒に誤装填された1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨との識別ができないという問題が生じた。このような問題は、今回の新500円硬貨に限らず、新たに硬貨が発行されることに伴って常に生じうる問題となっている。
【0006】
したがって、本発明は、出金硬貨の判別をさらに確実に行うことができる硬貨処理機の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の硬貨処理機は、硬貨を集積状態で収納する収納筒と、該収納筒に収納された硬貨を繰り出す繰出機構とを有するものであって、前記繰出機構で前記収納筒から繰り出された硬貨を検出する硬貨検出センサと、前記繰出機構による硬貨の繰り出しに関わる繰出タイミングから該硬貨の前記硬貨検出センサによる検出に関わる検出タイミングまでの時間に基づいて該硬貨を判別する判別手段とを有することを特徴としている。
【0008】
このように、判別手段が、繰出機構による硬貨の繰り出しに関わるタイミングから該硬貨の硬貨検出センサによる検出に関わるタイミングまでの時間に基づいて該硬貨を判別することになるが、前記時間は、硬貨の径により異なるとともに同一金種では一定になることから、例えば、収納筒から繰り出された硬貨が適正金種の硬貨であるか否かを判別できることになる。
【0009】
本発明の請求項2記載の硬貨処理機は、請求項1記載のものに関して、前記硬貨検出センサは、硬貨の磁気的性質を検出する磁気センサで兼用されていることを特徴としている。
【0010】
このように、硬貨検出センサは、硬貨の磁気的性質を検出する磁気センサで兼用されているため、磁気センサとは別に硬貨検出センサを設ける必要がない。
【0011】
本発明の請求項3記載の硬貨処理機は、請求項1記載のものに関して、前記硬貨検出センサは、繰り出された硬貨で光路が遮断されることにより該硬貨を検出する光学式センサからなることを特徴としている。
【0012】
このように、硬貨検出センサは、繰り出された硬貨で光路が遮断されることにより該硬貨を検出する光学式センサからなるため、硬貨検出センサによる検出に関わるタイミングをより正確に得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態の硬貨処理機を図1〜図6を参照して以下に説明する。
この実施形態の硬貨処理機は、金種別に収納された硬貨を制御部の指令に基づいて出金させる出金処理と、投入された硬貨を計数し収納する入金処理とを行ういわゆる硬貨入出金機である。
【0014】
まず、硬貨処理機の全体構成について図1を参照して説明する。
図1中符号11は外部から硬貨が投入される受け皿、符号12は操作者により入力される入金指令操作に基づいて受け皿11から硬貨を受け入れるとともに受け入れた硬貨を回転円盤13によって一枚ずつ繰り出す硬貨供給装置、符号14は該硬貨供給装置12から繰り出された硬貨を搬送する入金通路、符号15は入金通路14を介して入金された硬貨を収納させる収納金庫、符号16A〜16Fは出金用の硬貨を収納させるとともに収納させた硬貨を繰り出し可能な各金種別の硬貨収納部、符号17は、各金種別の硬貨収納部16A〜16Fから繰り出された硬貨を搬送する出金用搬送装置である。
【0015】
入金通路14の途中には、硬貨供給装置12から繰り出された硬貨の真偽および金種判別と計数とを行うセンサ19,20が設けられており、これらセンサ19,20の下流側には、これらセンサ19,20で偽と判別された硬貨を下方のリジェクト通路21に排出させるためのリジェクトゲート22が設けられている。このリジェクトゲート22でリジェクト通路21に導かれた硬貨については、これを出金用搬送装置17を介して受け皿11に戻すようになっている。
【0016】
他方、センサ19,20で真と判別された硬貨はリジェクトゲート22を超えて入金通路14の下流端から一時貯留部23に導入させられるようになっている。一時貯留部23に送り込まれた硬貨は、操作者による入金承認の操作が入力されると振分機構24によって収納金庫15に収納させられることになり、操作者による入金非承認の操作が入力されると振分機構24によってリジェクト通路21に導かれ出金用搬送装置17を介して受け皿11に戻されるようになっている。
【0017】
また、出金指令を受けると、各金種別の硬貨収納部16A〜16Fからそれぞれ必要枚数の硬貨が出金用搬送装置17に繰り出されることになり、繰り出された硬貨は出金用搬送装置17を介して受け皿11に投入されるようになっている。
【0018】
次に、各金種別の硬貨収納部16A〜16Fについて説明する。
各金種別の硬貨収納部16A〜16Fは、当然のことながらそれぞれ収納させるべき金種が一対一で決められており、例えば、硬貨収納部16Aは1円硬貨が、硬貨収納部16Bは5円硬貨が、硬貨収納部16Cは10円硬貨が、硬貨収納部16Dは50円硬貨が、硬貨収納部16Eは100円硬貨が、硬貨収納部16Fは500硬貨が、それぞれ収納させるべき硬貨とされている。なお、硬貨収納部16Fは、外径が同一で材質が異なる旧500円硬貨と新500円硬貨とを収納させるようになっている。ここで、すべての硬貨収納部16A〜16Fは、収納させる硬貨の外径に応じた大きさとなっている以外は、ほぼ同様の構成となっているため、以下の説明においては、500円硬貨用の硬貨収納部16Fを例にとり説明する。また、以下の説明においては、硬貨の繰り出し方向における前後を「前後」とする。
【0019】
図2に示すように、硬貨収納部16Fは、硬貨を鉛直方向に集積状態で収納させる収納筒30と、収納筒30に収納された硬貨を最下のものから一枚ずつ繰り出す繰出機構31とを有している(すなわち、硬貨処理機は、硬貨を集積状態で収納する各金種毎の収納筒30と、該収納筒30に収納された硬貨を繰り出す各金種毎の繰出機構31とを有している)。
【0020】
収納筒30は、収納させるべき一金種の硬貨(この場合は500円硬貨)の外径に合わせて内径が設定されることにより基本的には収納させるべき一金種の硬貨より大径の硬貨等を収納不可とした円筒状の筒体34と、該筒体34の下端外周に固定された取付フランジ35と、該取付フランジ35の下面に固定された一対の底板36,37とを有しており、取付フランジ35を介して台板32に固定されている。一対の底板36,37は互いに離間して配置されることにより、相互間に前後方向に延在するスリット38を形成している。
【0021】
ここで、このスリット38に対応して筒体34の前後が切り欠かれており、この切り欠きの前方の一つで筒体34から硬貨が一枚のみ繰り出ることが可能な繰出口39が形成されている。
【0022】
繰出機構31は、収納筒30の下方に配置された繰出片40を、スリット38に沿って後から前に移動させることによって、収納筒30内の最下の硬貨を繰出口39から繰り出させる形式のもので、繰出片40は、回転するカム42によって前後方向に移動させられるとともに、ソレノイド43の駆動によって上下方向に移動させられる。
【0023】
繰出片40は、その上端に、スリット38内に挿通されて収納筒30に突出することが可能な突出部46が形成されており、収納筒30の下方に配置された保持具47に前後移動自在に連結されるとともにバネ48によって後方に付勢されている。保持具47は上下のみ移動自在に支持され、その上端がソレノイド43に連結されている。そして、ソレノイド43が励磁されると、保持具47を介して繰出片40がその突出部46をスリット38を介して底板36,37から硬貨一枚分の高さ突出させるように上昇する。ソレノイド43の励磁が解除されると、保持具47がバネ50による付勢力でストッパ51に当接するまで下降し、繰出片40がその突出部46の頂点を底板36,37の上面よりも下側に下げることになる。
【0024】
カム42は、駆動軸53に固定された円板54に軸線方向に平行にピン55を突設させてなるもので、駆動軸53が図示せぬ繰出モータで駆動されることで、ピン55が繰出片40の下部に当接して繰出片40を、一回転につき一回直線状に前進させることになる。
【0025】
ここで、この繰出片40の前進時にソレノイド43が励磁されて突出部46を底板36,37から上に突出させていると、該繰出片40は収納筒30内で底板36,37上に載置されている最下の硬貨Xを一枚だけ繰出口39から繰り出すことになる。この後、ソレノイド43の励磁が解除されることでバネ50の付勢力により突出部46が底板36,37よりも下降させられた後のタイミングで、カム42のピン55が繰出片40から離れ、バネ48の付勢力で繰出片40が収納筒30を超えて後退することになる。
【0026】
また、繰出片40の上記前進時にソレノイド43が消磁されて突出部46を底板36,37から下方に位置させていると、該繰出片40は収納筒30内の硬貨Xを繰り出すことはなく、カム42のピン55が繰出片40から離れると、上記と同様にバネ48の付勢力で繰出片40が収納筒30を超えて後退することになる。
【0027】
なお、駆動軸53は、すべての硬貨収納部16A〜16Fで共通とされており、これにより、一つの図示せぬ繰出モータの駆動力で全硬貨収納部16A〜16Fのカム42を同時に同速度で回転させるようになっている。すなわち、出金時には、各硬貨収納部16A〜16Fのうち最も出金枚数の多いものに合わせて駆動軸53すなわちすべてのカム42が駆動されることになり、このとき、各硬貨収納部16A〜16Fは、それぞれのソレノイド43の励磁・消磁を制御することで硬貨Xの繰り出しを制御する。
【0028】
さらに、硬貨収納部16Fは、その硬貨繰り出し側に、図2および図4に示すように、繰出機構31で収納筒30から繰り出された硬貨Xを検出する磁気センサ(硬貨検出センサ)56を有しており、該磁気センサ56は、発振コイル57および受信コイル58を有している。なお、磁気センサ56は、発振コイル57および受信コイル58を結んだ直線上に、繰出機構31で繰り出される硬貨Xの中心が通過する位置に配置されている。
【0029】
磁気センサ56の発振コイル57は、収納筒30から繰り出される硬貨Xに対し上側から磁気信号を出力するもので、受信コイル58は、発振コイル57から出力された磁気信号の当該硬貨Xを通過後の検出信号を真下で受信する。
【0030】
なお、発振コイル57および受信コイル58は、図示せぬ判別部(判別手段)に接続されており、該判別部は、発振コイル57を駆動する一方、受信コイル58から出力される磁気データに基づいて例えば該磁気データのピーク値を基準データと比較すること等により、硬貨収納部16Fから繰り出された硬貨の材質が適正金種の材質であるか否かの判別を行い、さらに計数を行う。ここで、硬貨収納部16Fには、新500円硬貨と旧500円硬貨とが混在されることになるため、判別部は、硬貨収納部16Fについては、受信コイル58から出力される磁気データを、新500円硬貨用の基準データおよび旧500円硬貨用の基準データの両方と比較することになる。
【0031】
そして、本実施形態の硬貨処理機においては、繰出機構31による出金のための硬貨繰り出しに関わる繰出タイミングを得るために、図5に示すタイミングセンサ60が設けられている。このタイミングセンサ60は、上記した500円硬貨用の硬貨収納部16Fについてのみ硬貨繰り出しに関わる繰出タイミングを得るためのものである。また、500円硬貨用の硬貨収納部16Fの磁気センサ56のみが、繰出機構31により繰り出された硬貨の検出に関わる検出タイミングを得るための硬貨検出センサとして兼用される。
【0032】
図5に示すように、タイミングセンサ60は、カム42が固定される駆動軸53に平行に配置された支持軸61に回転可能に支持される検知板62と、該検知板62の外周側の所定範囲に形成された切欠部63を検出する位置固定のセンサ本体64とを有しており、検知板62は、アーム65を介してカム42に同期回転するように連結されている。ここで、センサ本体64は、検知板62で光路が遮断される状態では切欠部63を検出せず、切欠部63で遮光がとかれ光路が形成されることで該切欠部63を検出する、対向する発光素子および受光素子からなる光学センサとされている。なお、アーム65は、カム42に設けられた回転軸67に一端部において回転可能に連結されるとともに検知板62に設けられた回転軸68に他端部において回転可能に連結されている。
【0033】
以上の結果、カム42のピン55と、該カム42に同期回転する検知板62の所定位置の切欠部63との位相関係は常に一定となる。そして、切欠部63がセンサ本体64で検出されるタイミングが、ピン55により繰出片40を前進方向へ押圧させるための最適なソレノイド43の駆動タイミングとなるように位相関係が設定されている。これにより、図6に示すように、タイミングセンサ60において、センサ本体64が切欠部63の検出を開始するタイミング(t0)を繰出タイミングとし、該繰出タイミングでソレノイド43の駆動を開始させ、この駆動を切欠部63がセンサ本体64で検出されている間維持し、切欠部63がセンサ本体64で検出されなくなるタイミング(t3)で駆動を停止する。その結果、カム42の一回転で一枚の硬貨を繰出片40により繰り出させることになる。
【0034】
一方、収納筒30と磁気センサ56との距離は、既定であるため、繰出機構31による該収納筒30からの硬貨の繰り出しに関わる上記繰出タイミングから、当該硬貨が磁気センサ56により検出される検出タイミングまでの時間は、硬貨の直径に応じたものとなる。ここで、カム42が硬貨を一枚繰り出すために一回転を開始してから該一回転を終了するまでの間に得られる繰出タイミングは、当然のことながら、該繰り出される硬貨についての検出タイミングよりも先になるように検知板62の切欠部63とセンサ本体64との関係が設定されている。
【0035】
そして、図示せぬ判別部は、硬貨収納部16Fから繰り出される硬貨について、磁気センサ56の磁気データによる材質判別と合わせて、上記タイミングセンサ60で得た繰出タイミングから磁気センサ56による検出に関わる検出タイミングまでの時間(以下、判定用時間と称す)に基づいて、該硬貨が適正金種であるか否かを判別する。
【0036】
具体的には、材質の異なる新旧2種類の500円硬貨が混在する場合、磁気センサ56の磁気データによる材質判別のみでは、500円硬貨用の収納筒30に誤装填された1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨と、新500円硬貨との識別ができないという問題が生じることから、判別部には、新500円硬貨についての判定用時間の基準データが予め設定されており、該判別部は、繰り出された硬貨が、磁気センサ56による磁気データに基づいて新500円硬貨であると判別された場合のみ、判定用時間の基準データと判定用時間の実際の検出データとを比較し、これらが一致すると判断した場合、正しく新500円硬貨が繰り出されたと判定する一方、これらが一致しないと判断した場合、誤って500円硬貨以外の硬貨が繰り出されたと判定するのである。
【0037】
例えば、図6に示すように、磁気センサ56による磁気データが所定の硬貨検出レベルLを下回った時点を、該磁気センサ56が硬貨を検出した検出タイミングと判断するようにすると、収納筒30から正しく新500円硬貨が繰り出された場合、該硬貨についてのタイミングセンサ60で得た繰出タイミング(t0)から該硬貨についての磁気センサ56による検出タイミング(t1)までの判定用時間は、硬貨直径が大きいことから短くなり、収納筒30から誤って小径の10円硬貨が繰り出された場合、該硬貨についてのタイミングセンサ60で得た繰出タイミング(t0)から該硬貨についての磁気センサ56による検出タイミング(t2)までの判定用時間は、硬貨直径が小さいことから前記より長くなるため、このように直径によって異なる判定用時間を利用して、該判定用時間が基準データと一致すると判断できるか否かで硬貨が適正金種か否かを判定するのである。
【0038】
なお、磁気センサ56の磁気データによる材質のみの判定では1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨も新500円硬貨であると判定されてしまうことから、上記した500円硬貨用の硬貨収納部16Fから繰り出された硬貨が磁気センサ56により検出される磁気データに基づく材質判定で新500円硬貨と判定された場合に、上記判定用時間に基づく適正金種であるか否かの判定を併せて行うことになるが、新500円硬貨以外の現行硬貨についてはこのような問題がない。
【0039】
したがって、硬貨収納部16Fから繰り出された硬貨の磁気センサ56により検出される磁気データに基づく材質判定が旧500円硬貨であった場合は、該判定のみで適正金種の硬貨であると判定し(上記判定用時間に基づく適正金種であるか否かの判定は行わない)、また、磁気センサ56により検出される磁気データに基づく材質判定が新500円硬貨および旧500円硬貨のいずれでもなかった場合は、該判定のみで適正金種の硬貨でないと判定する(上記判定用時間に基づく適正金種であるか否かの判定は行わない)。
【0040】
同様に、他の金種用の硬貨収納部16A〜16Eは、例え異金種硬貨が混入していても、磁気センサ56により検出される磁気データによる材質判定のみで、適正金種であるか否かの判定を適正に行うことができるため、上記のタイミングセンサ60を用いずに、磁気センサ56の磁気データのみで判定する構成となっている。
【0041】
以上に述べた本実施形態の硬貨処理機によれば、図示せぬ判別部が、繰出機構31による硬貨の繰り出しに関わる繰出タイミングから該硬貨の磁気センサ56による検出に関わる検出タイミングまでの判定用時間に基づいて該硬貨を判別することになるが、前記判定用時間は、硬貨の径により異なるとともに同一金種では一定になることから、収納筒30から繰り出された硬貨が該収納筒30に収納されるべき適正金種の硬貨であるか否かを判別できることになる。
【0042】
したがって、従来にない方式での出金硬貨の判別が可能となり、上記のように、従来からの磁気データによる判別のみでは判別精度が落ちる場合等に、従来からある磁気データによる判別と適宜組み合わせることで、出金硬貨の判別を確実に行うことができることになる。
【0043】
また、繰出機構31から繰り出された硬貨を検出する硬貨検出センサが、硬貨の磁気的性質を検出する磁気センサ56で兼用されているため、磁気センサ56とは別に硬貨検出センサを設ける必要がない。
【0044】
したがって、磁気センサ56とは別に硬貨検出センサを設ける場合に比してコストを低減することができる。
【0045】
ここで、上記実施形態では、タイミングセンサ60を、カム42に連動する部分に設ける場合を例にとり説明したが、タイミングセンサ60は、駆動力を発生させる図示せぬ繰出モータから硬貨収納部16Fの繰出片40への駆動力伝達系(具体的には、繰出モータの回転軸、該回転軸から駆動軸53への回転力伝達機構、駆動軸53、カム42および繰出片40)のいずれに設けてもよく、さらには該駆動伝達系と連動する部分に設けることも可能である。
【0046】
そして、回転からタイミングを検出する場合は、上記のように回転部分に検知板62を設けて該検知板62の切欠部63を位置固定のセンサ本体64で検出するのは勿論、例えば、カム42等の回転部分に直接マークあるいは切欠部を設けてこれを位置固定のセンサ本体64で検出したり、あるいは、回転部分にロータリエンコーダを設けたり、ポテンショメータを用いたりすることが可能である。
【0047】
また、繰出片62の直線運動からタイミングを検出する場合は、例えば、繰出片62の直線運動で光路が遮断される位置に設けられる、対向する発光素子および受光素子からなる光学式センサを用いたりすることが可能である。
【0048】
加えて、上記実施形態では、繰出機構31で収納筒30から繰り出された硬貨を検出する検出タイミングを得るための硬貨検出センサを、硬貨の材質を磁気的性質から検出する磁気センサ56で兼用する場合を例にとり説明したが、該磁気センサ56に代えて、繰り出された硬貨で光路が遮断されることにより該硬貨を検出する、対向する発光素子および受光素子からなる光学式センサを用いることも可能であり、より正確な検出タイミングを得ることで硬貨の判別をより正確に行うためにはこのような光学式センサを用いるのが好ましい。この場合、磁気センサ56を併用して、判定用時間に基づく判定と磁気データに基づく判定とを総合して硬貨の判定を行うことも可能である。
【0049】
また、上記実施形態では、500円硬貨用の硬貨収納部16Fのみについてタイミングセンサ60で判定用時間を検出し、出金のため繰り出される硬貨が500円硬貨か否かを上記した判定用時間が一つの基準データに一致するか否かにより判定する場合を例にとり説明したが、硬貨の材質変更等で同様の問題が生じた場合は、このタイミングセンサ60で他の金種の硬貨用の硬貨収納部16A〜16Eについても判定用時間を検出し該判定用時間に基づいて適正金種か否かの判定を行うようにすることも可能であり、勿論、すべての硬貨収納部16A〜16Fについて行うことも可能である。さらに、検出した判定用時間をすべての金種の基準データと比較することで金種を判定するようにすることも可能である。
【0050】
加えて、上記実施形態で述べた構成は、特開平10−240998号公報に記載された硬貨処理機や、実公昭63−5092号公報に記載された硬貨出金機に適用可能であり、さらに、各硬貨収納部のそれぞれに、繰り出されるべき金種に応じた間隔を水平方向において配置される二つの磁気センサを用いる先行出願(特願平11−345436号)に適用することも可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の硬貨処理機によれば、判別手段が、繰出機構による硬貨の繰り出しに関わるタイミングから該硬貨の硬貨検出センサによる検出に関わるタイミングまでの時間に基づいて該硬貨を判別することになるが、前記時間は、硬貨の径により異なるとともに同一金種では一定になることから、例えば、収納筒から繰り出された硬貨が適正金種の硬貨であるか否かを判別できることになる。
【0052】
したがって、従来にない方式での出金硬貨の判別が可能となり、従来からある判別と適宜組み合わせることで、出金硬貨の判別を確実に行うことができることになる。
【0053】
本発明の請求項2記載の硬貨処理機によれば、硬貨検出センサは、硬貨の磁気的性質を検出する磁気センサで兼用されているため、磁気センサとは別に硬貨検出センサを設ける必要がない。
【0054】
したがって、磁気センサとは別に硬貨検出センサを設ける場合に比してコストを低減することができる。
【0055】
本発明の請求項3記載の硬貨処理機によれば、硬貨検出センサは、繰り出された硬貨で光路が遮断されることにより該硬貨を検出する光学式センサからなるため、硬貨検出センサによる検出に関わるタイミングをより正確に得ることができる。
【0056】
したがって、硬貨の判別をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の硬貨処理機の全体構成を示す正断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態の硬貨処理機の硬貨収納部を示す側断面図である。
【図3】 本発明の一実施形態の硬貨処理機の硬貨収納部の一部を斜め下方から見た分解図である。
【図4】 本発明の一実施形態の硬貨処理機の磁気センサおよび硬貨を示す正面図である。
【図5】 本発明の一実施形態の硬貨処理機のタイミングセンサを示す側面図である。
【図6】 本発明の一実施形態の硬貨処理機の判別用時間等を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
30 収納筒
31 繰出機構
56 磁気センサ(硬貨検出センサ)
t0 繰出タイミング
t1,t2,t3 検出タイミング
X 硬貨
Claims (3)
- 硬貨を集積状態で収納する収納筒と、
該収納筒に収納された硬貨を繰り出す繰出機構とを有するものであって、
前記繰出機構で前記収納筒から繰り出された硬貨を検出する硬貨検出センサと、
前記繰出機構による硬貨の繰り出しに関わる繰出タイミングから該硬貨の前記硬貨検出センサによる検出に関わる検出タイミングまでの時間に基づいて該硬貨を判別する判別手段とを有することを特徴とする硬貨処理機。 - 前記硬貨検出センサは、硬貨の磁気的性質を検出する磁気センサで兼用されていることを特徴とする請求項1記載の硬貨処理機。
- 前記硬貨検出センサは、繰り出された硬貨で光路が遮断されることにより該硬貨を検出する光学式センサからなることを特徴とする請求項1記載の硬貨処理機。
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