JP3707321B2 - 縦配列ヘッドを用いたカラー印刷装置及び印刷方法、並びに、そのための印刷ヘッド - Google Patents

縦配列ヘッドを用いたカラー印刷装置及び印刷方法、並びに、そのための印刷ヘッド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数色のドットを形成するための印刷ヘッドを用いてカラー印刷を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷ヘッドが主走査方向と副走査方向に走査しながらドットの記録を行う印刷装置としては、シリアルスキャン型プリンタやドラムスキャン型プリンタ等がある。この種のプリンタ、特にインクジェットプリンタ、における画質向上のための技術の一つとして、米国特許第4,198,642号や特開昭53−2040号公報等に開示されている「インターレース方式」と呼ばれる技術がある。
【0003】
図27は、インターレース方式の一例を示す説明図である。この明細書では、印刷方式を規定するパラメータとして、以下のものを用いている。
【0004】
N:ノズル個数[個],
k:ノズルピッチ[ドット],
s:スキャン繰り返し数,
D:ノズル密度[個/インチ],
L:副走査送り量[ドット]または[インチ],
w:ドットピッチ[インチ]。
【0005】
ノズル個数N[個]は、ドットの形成に使用されるノズルの個数である。図27の例ではN=3である。ノズルピッチk[ドット]は、印刷ヘッドにおけるノズルの中心点間隔が、印刷画像のピッチ(ドットピッチw)の何個分であるかを示している。図27の例では、k=2である。スキャン繰り返し回数s[回]は、何回の主走査で各主走査ラインをドットで埋めつくすか、を示す回数である。なお、以下では主走査ラインを「ラスタ」と呼ぶ。図27の例では、1回の主走査で各ラスタが埋めつくされているので、s=1である。後述するように、sが2以上の時には、主走査方向に沿って間欠的にドットが形成される。ノズル密度D[個/インチ]は、印刷ヘッドのノズルアレイにおいて、1インチ当たり何個のノズルが配列されているかを示している。副走査送り量L[ドット]または[インチ]は、1回の副走査で移動する距離を示している。ドットピッチw[インチ]は、印刷画像におけるドットのピッチである。なお、一般に、w=1/(D・k)、k=1/(D・w)が成立する。
【0006】
図27において、2桁の数字を含む丸は、それぞれドットの記録位置を示している。図27左下の凡例に示されているように、丸の中の2桁の数字の中で、左側の数字はノズル番号を示しており、右側の数字は記録順番(何回目の主走査で記録されたか)を示している。
【0007】
図27に示すインターレース方式は、印刷ヘッドのノズルアレイの構成と、副走査の方法とに特徴がある。即ち、インターレース方式では、隣り合うノズルの中心点間隔を示すノズルピッチkは2以上の整数に設定され、かつ、ノズル個数Nとノズルピッチkとが互いに素の関係にある整数に選ばれる。また、副走査送り量Lは、N/(D・k)で与えられる一定の値に設定される。
【0008】
このインターレース方式には、ノズルのピッチやインク吐出特性等のばらつきを、印刷画像上で分散させることができるという利点がある。従って、ノズルのピッチや吐出特性にばらつきがあっても、これらの影響を緩和して画質を向上させることができるという効果を奏する。
【0009】
カラーインクジェットプリンタにおける画質改善を目指した別の技術として、特開平3−207665号公報や特公平4−19030号公報等に開示された「オーバーラップ方式」又は「マルチスキャン方式」と呼ばれる技術がある。
【0010】
図28は、オーバーラップ方式の一例を示す説明図である。このオーバーラップ方式では、8個のノズルを2組のノズル群に分類している。1組目のノズル群は、ノズル番号(丸の中の左側の数字)が偶数である4個のノズルで構成されており、2組目のノズル群は、ノズル番号が奇数である4個のノズルで構成されている。1回の主走査では、各組のノズル群をそれぞれ間欠的タイミングで駆動することにより、主走査方向に(s−1)ドットおきにドットを形成する。図28の例では、s=2なので、1ドットおきにドットが形成される。また、各組のノズル群は、主走査方向にそれぞれ異なる位置にドット形成するように、それぞれの駆動タイミングが制御されている。すなわち、図28に示すように、第1のノズル群のノズル(ノズル番号8,6,4,2)と、第2のノズル群のノズル(ノズル番号7,5,3,1)とは、記録位置が主走査方向に1ドットピッチ分だけずれている。そして、このような主走査を複数回行い、その都度各ノズル群の駆動タイミングをずらすことにより、ラスタ上の全ドットの形成を完成させる。
【0011】
オーバーラップ方式においても、インターレース方式と同様に、ノズルピッチkは2以上の整数に設定される。ただし、ノズル個数Nとノズルピッチkとは互いに素の関係には無く、この代わりに、ノズル個数Nをスキャン繰り返し数sで割った値N/sと、ノズルピッチkとが互いに素の関係にある整数に選ばれる。また、副走査送り量Lは、N/(s・D・k)で与えられる一定の値に設定される。なお、「整数A,Bが互いに素」とは、整数A,Bが1以外の公約数を有さないことを意味している。
【0012】
このオーバーラップ方式では、各ラスタ上のドットが同一のノズルで記録されず、複数のノズルを用いて記録される。従って、ノズルの特性(ピッチや吐出特性等)にばらつきがある場合にも、特定のノズルの特性の影響が1つのラスタの全体に及ぶことを防止でき、この結果、画質を向上させることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、画質を向上させる点で好ましい印刷方式は、印刷ヘッドにおけるノズルアレイの配列に応じて異なる。従って、特定の印刷ヘッドに関して、画質を向上させるための印刷方式を設定することは容易でない場合がある。
【0014】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、特定の印刷ヘッドに関して高画質が得られる技術を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、比較的高い精度で副走査送りを行う第1の副走査駆動機構と、少なくとも第1の副走査駆動機構による副走査送りが終了した後に、比較的低い精度で副走査送りを行う第2の副走査駆動機構と、を備えた副走査駆動部を用いる。また、印刷ヘッドとしては、イエロードットを形成するためのイエロードット形成要素群を少なくとも含みそれぞれ異なる色のドットを形成するための複数のドット形成要素群が、副走査方向に沿って所定の順序で配列された第1のドット形成要素アレイを備えたものを用いる。この第1のドット形成要素アレイにおいては、カラー印刷の際に印刷媒体上の任意の位置において、イエロードットが他のドットよりも後に形成されるように複数のドット形成要素群の配列順序が決定されている。また、複数のドット形成要素群は、互いに等しい数のドット形成要素をそれぞれ備えている。印刷ヘッドにおいては、カラー印刷の際に印刷媒体上の任意の位置において、イエロードットがブラックドットとマゼンタドットとシアンドットよりも後に形成されるように複数のドット形成要素が配列されている。カラー印刷の際には、第1と第2の副走査駆動機構の両方を使用して比較的高い精度で副走査送りを実行している間に、印刷媒体上におけるブラックドットとマゼンタドットとシアンドットの形成を完了する。また、印刷媒体の後端が第1の副走査駆動機構の挟持点を通過した後に第2の副走査駆動機構のみによって副走査送りが実行されるときに、ブラックドットとマゼンタドットとシアンドットの形成が完了しておりイエロードットの形成が完了していない領域内において第1のドット形成要素アレイに含まれるドット形成要素の中ではイエロードット形成要素群に含まれるドット形成要素のみを用いて印刷を実行する。
【0016】
上記本発明では、印刷媒体の後端近傍においては、第1のドット形成要素アレイの中ではイエロードット用のドット形成要素のみが使用される。印刷媒体の後端近傍においては、第1の副走査駆動機構による副走査送りが行われず、第2の副走査駆動機構によって副走査送りが行われるので、送り精度は比較的低くなる。しかし、イエロードットは、比較的目立ち難いので、副走査の送り精度が低くでも、あまり画質を劣化させることが無い。このように、本発明では、特定の印刷ヘッドに関して高画質が得られる印刷を実行することができる。
【0017】
なお、印刷媒体の後端が前記第1の副走査駆動機構の挟持点を通過した後に前記第2の副走査駆動機構のみによって副走査送りが実行されるときに、印刷媒体の後端が前記第1の副走査駆動機構の挟持点を通過する以前の位置において第1の副走査駆動機構による副走査送りが実行されるときと同じ送り量で、第2の副走査駆動機構に副走査送りを実行させるようにしてもよい。
【0018】
こうすれば、副走査送りを変えずに印刷処理を継続することができるので、走査のための制御を簡単化することができる。
【0019】
印刷ヘッドは、さらに、ブラックドットを形成するためのブラックドット形成要素群を含み、第1のドット形成要素アレイと並列に形成されているとともに、前記第1のドット形成要素アレイよりも先行して前記印刷媒体上にドットを形成可能な第2のドット形成要素アレイを備えるようにしてもよい。このブラックドット形成要素群は、第1のドット形成要素アレイ内の複数のドット形成要素群に含まれるドット形成要素と同じ副走査位置に配置された複数のドット形成要素を少なくとも有するようにしてもよい。カラー印刷の際に、ブラックドットに関しては、第1のドット形成要素アレイ内の前記複数のドット形成要素群の中で最も早く印刷媒体上でのドット形成が実行可能となる特定の有彩色ドット形成要素群において使用されるドット形成要素と同じ副走査位置に存在するドット形成要素のみを用いてブラックドットを形成する。
【0020】
こうすれば、印刷媒体上の各位置において、ブラックドットが他の色のドットよりも早い時期に形成されるので、ブラックドットの滲みを防止して、彩度の高いカラー画像を得ることができる。
【0021】
なお、第1と第2のドット形成要素アレイは、同一のアクチュエータ内に形成されていることが好ましい。
【0022】
こうすれば、ドット形成要素同士を精度良く配置することが可能なので、画質を向上させることができる。
【0023】
本発明による印刷ヘッドは、イエロードットを形成するためのイエロードット形成要素群を少なくとも含む複数のドット形成要素群が、所定の副走査方向に沿って所定の順序で配列された第1のドット形成要素アレイを備えている。これらの複数のドット形成要素群は互いに等しい数のドット形成要素をそれぞれ備えており、イエロードット形成要素群は第1のドット形成要素アレイの端部に配置されている。
【0024】
このような印刷ヘッドを用いると、印刷媒体の端部近傍において、他のドットが形成された後にイエロードットを形成することができる。イエロードットは目立ち難いので、印刷媒体の端部近傍において副走査送り精度が低い場合にも、画質をあまり劣化させることが無い。
【0025】
なお、第1と第2のドット形成要素アレイは、互いに異なる色のドットを形成するための同一数のドット形成要素群をそれぞれ含んでいるようにしてもよい。
【0026】
こうすれば、少ない数のアレイで、多数色のドットを形成することが可能である。
【0027】
あるいは、第2のドット形成要素アレイは、前記第1のドット形成要素アレイに含まれるドット形成要素と同じ副走査位置に配置されたブラックドット形成要素を含んでいるようにしてもよい。
【0028】
こうすれば、モノクロ印刷時に、多数のブラックドット形成要素を用いて高速に印刷を行うことが可能である。
【0029】
本発明の具体的な態様としては、印刷装置、印刷方法、記録媒体、印刷ヘッド等の種々の態様を取りうる。
【0030】
【発明の実施の形態】
A.装置の全体構成:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例としてのカラーインクジェットプリンタ20の主要な構成を示す概略斜視図である。このプリンタ20は、用紙スタッカ22と、図示しないステップモータで駆動される紙送りローラ24と、プラテン板26と、キャリッジ28と、ステップモータ30と、ステップモータ30によって駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ28のためのガイドレール34とを備えている。キャリッジ28には、多数のノズルを備えた印刷ヘッド36が搭載されている。
【0031】
印刷用紙Pは、用紙スタッカ22から紙送りローラ24によって巻き取られて、プラテン板26の表面上を副走査方向へ送られる。キャリッジ28は、ステップモータ30により駆動される牽引ベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向に移動する。主走査方向は、副走査方向に垂直である。
【0032】
図2は、プリンタ20の電気的な構成を示すブロック図である。プリンタ20は、ホストコンピュータ100から供給された信号を受信する受信バッファメモリ50と、印刷データを格納するイメージバッファ52と、プリンタ20全体の動作を制御するシステムコントローラ54とを備えている。システムコントローラ54には、キャリッジモータ30を駆動する主走査駆動ドライバ61と、紙送りモータ31を駆動する副走査駆動ドライバ62と、印刷ヘッド36を駆動するヘッド駆動ドライバ63とが接続されている。
【0033】
ホストコンピュータ100のプリンタドライバ(図示せず)は、ユーザの指定した印刷方式(後述する)に基づいて、印刷動作を規定する各種のパラメータ値を決定する。このプリンタドライバは、さらに、これらのパラメータ値に基づいて、その印刷方式で印刷を行うための印刷データを生成して、プリンタ20に転送する。転送された印刷データは、一旦、受信バッファメモリ50に蓄えられる。プリンタ20内では、システムコントローラ54が、受信バッファメモリ50から印刷データの中から必要な情報を読取り、これに基づいて、各ドライバ61,62,63に対して制御信号を送る。
【0034】
イメージバッファ52には、受信バッファメモリ50で受信された印刷データを色成分毎に分解して得られた複数の色成分のイメージデータが格納される。ヘッド駆動ドライバ63は、システムコントローラ54からの制御信号に従って、イメージバッファ52から各色成分のイメージデータを読出し、これに応じて印刷ヘッド36に設けられた各色のノズルアレイを駆動する。
【0035】
B.印刷ヘッドの構成:
図3は、印刷ヘッド36の下部に設けられたアクチュエータ40の底面に形成されたノズルの配列を示す説明図である。アクチュエータ40の底面には、それぞれ副走査方向に沿った一直線上に配列されたカラーノズル列とブラックノズル列とが形成されている。なお、「アクチュエータ」とは、ノズルと、インク吐出のための駆動素子(例えばピエゾ素子やヒータ)とを含むインク吐出機構を意味する。通常、1つのアクチュエータのノズル部分は、セラミックス成形によって一体として形成される。1つのアクチュエータ内に2列のノズル列を形成するようにすれば、ノズル同士を精度良く配置することが可能なので、画質を向上させることができる。なお、本明細書においては、「ノズル列」を「ノズルアレイ」とも呼ぶ。
【0036】
ブラックノズル列は、48個のノズル#K1〜#K48を有している。これらのノズル#K1〜#K48は、副走査方向に沿って一定のノズルピッチkで配置されている。このノズルピッチkは、6ドットである。但し、ノズルピッチkは、印刷媒体P上のドットピッチに、2以上の任意の整数を乗じた値に設定することができる。
【0037】
カラーノズル列は、イエロー用ノズル群40Yと、マゼンタ用ノズル群40Mと、シアン用ノズル群40Cとを含んでいる。なお、この明細書では、有彩色インク用のノズル群を「有彩色ノズル群」とも呼ぶ。イエロー用ノズル群40Yは、15個のノズル#Y1〜#Y15を有しており、これらの15個のノズルのピッチは、ブラックノズル列のノズルピッチkと同じである。これは、マゼンタ用ノズル群40Mやシアン用ノズル群40Cも同じである。なお、イエロー用ノズル群40Yの下端のノズル#Y15と、マゼンタ用ノズル群40Mの上端のノズル#M1との間の「×」マークは、その位置にノズルが形成されていないことを示してしている。従って、イエロー用ノズル群40Yの下端のノズル#Y15と、マゼンタ用ノズル群40Mの上端のノズル#M1との間隔は、ノズルピッチkの2倍である。これは、マゼンタ用ノズル群40Mの下端のノズル#M15と、シアン用ノズル群40Cの上端のノズル#C1との間隔についても同様である。換言すれば、イエロー用とマゼンタ用とシアン用の各ノズル群同士の間隔は、ノズルピッチkの2倍の値に設定されている。
【0038】
カラーノズル群40Y、40M、40Cのノズルは、ブラックノズル列40Kのノズルと同じ副走査位置に配置されている。但し、ブラックノズル列40Kの48個のノズル#K1〜#K48の中で、16番目と32番目と48番目のノズル#K16,#K32,#K48に対しては、対応する位置に有彩色インク用のノズルが設けられていない。
【0039】
印刷時には、キャリッジ28(図1)とともに印刷ヘッド36が主走査方向に移動している間に、各ノズルからインク滴が吐出される。但し、印刷方式によっては、すべてのノズルが常に使用されるとは限らず、一部のノズルのみが使用される場合もある。
【0040】
C.副走査駆動機構の構成:
図4は、印刷用紙Pを搬送する副走査駆動部を示す概念図である。副走査駆動部は、給紙側に備えられた第1の副走査駆動機構25と、排紙側に備えられた第2の副走査駆動機構27とを有している。第1の副走査駆動機構25は、給紙ローラ25aと従動ローラ25bとで構成されている。第2の副走査駆動機構27は、排紙ローラ27aとギザローラ27bとで構成される。これらのローラ25a,25b,27a,27bは、紙送りモータ31(図2)の回転が、図示しないギヤトレインを介して伝達されることによって駆動される。印刷の開始時には、印刷用紙Pは給紙側(図4の右側)から第1の副走査駆動機構25のローラ25a,25bに挟持されて、両ローラの回転により搬送される。印刷用紙Pの先端が第2の副走査駆動機構27のローラ27a,27bに挟持されると、これらのローラによっても排紙側に送られるようになる。また、印刷用紙Pの後端が第1の副走査駆動機構25の挟持点(ローラ25a,25bによって挟持される点)を通過した後は、第2の副走査駆動機構27のみによって印刷用紙Pが搬送される。印刷用紙Pには、プラテン26上で印刷ヘッド36により画像が記録される。
【0041】
なお、このプリンタにおいては、紙送りの精度は、給紙側の第1の副走査駆動機構25の方が、排紙側の第2の副走査駆動機構27よりも高い。従って、印刷用紙Pの後端が第1の副走査駆動機構25の挟持点を通過した後に、第2の副走査駆動機構27のみによって紙送りが行われる場合には、送り量の精度が第1の副走査駆動機構25によって搬送される場合に比べて低くなる。
【0042】
図4において、符号「40W」は、副走査方向に沿ったノズル列の全幅を示しており、符号「WLP」は、イエロー用ノズル群40Yの幅を示している。なお、この幅WLPは、後述する低精度領域の幅に相当する。符号「WB」は、第1の副走査駆動機構25の挟持点から、ノズル列の後端までの距離を示している。なお、本明細書において、印刷用紙やノズル列の先端と後端は、紙送り方向(副走査方向)に従って定義されている。また、紙送り方向や副走査方向は、副走査時に、印刷用紙Pがプリンタ20に対して相対的に移動してゆく方向として定義されている。なお、「先端」を「上端」と呼び、また、「後端」を「下端」と呼ぶこともある。
【0043】
D.一般的な印刷方式の基本的条件:
本発明の実施例における印刷方式を説明する前に、以下ではまず、一般的な印刷方式に要求される基本的な条件について説明する。なお、以下の説明においては、「印刷方式」のことを「ドット記録方式」と呼んでいる。
【0044】
図5は、スキャン繰り返し数sが1のときの一般的なドット記録方式の基本的条件を示すための説明図である。図5(A)は、4個のノズルを用いた場合の副走査送りの一例を示しており、図5(B)はそのドット記録方式のパラメータを示している。図5(A)において、数字を含む実線の丸は、各副走査送り後の4個のノズルの副走査方向の位置を示している。丸の中の数字0〜3は、ノズル番号を意味している。4個のノズルの位置は、1回の主走査が終了する度に副走査方向に送られる。但し、実際には、副走査方向の送りは紙送りモータ31(図2)によって用紙を移動させることによって実現されている。
【0045】
図5(A)の左端に示すように、この例では副走査送り量Lは4ドットの一定値である。従って、副走査送りが行われる度に、4個のノズルの位置が4ドットずつ副走査方向にずれてゆく。スキャン繰り返し数sが1の場合には、各ノズルは、それぞれのラスタ上のすべてのドット(「画素」とも呼ぶ)を記録可能である。図5(A)の右端には、各ラスタ上のドットを記録するノズルの番号が示されている。なお、ノズルの副走査方向位置を示す丸印から右方向(主走査方向)に伸びる破線で描かれたラスタでは、その上下のラスタの少なくとも一方が記録できないので、実際にはドットの記録が禁止される。一方、主走査方向に伸びる実線で描かれたラスタは、その前後のラスタがともにドットで記録され得る範囲である。このように実際に記録を行える範囲を、以下では有効記録範囲(有効印刷範囲)または「印刷領域」と呼ぶ。
【0046】
図5(B)には、このドット記録方式に関する種々のパラメータが示されている。ドット記録方式のパラメータには、ノズルピッチk[ドット]と、使用ノズル個数N[個]と、スキャン繰り返し数sと、実効ノズル個数Neff [個]と、副走査送り量L[ドット]とが含まれている。
【0047】
図5の例では、ノズルピッチkは3ドットである。使用ノズル個数Nは4個である。なお、使用ノズル個数Nは、実装されている複数個のノズルの中で実際に使用されるノズルの個数である。スキャン繰り返し数sは、一回の主走査において(s−1)ドットおきに間欠的にドットを形成することを意味している。従って、スキャン繰り返し数sは、各ラスタ上のすべてのドットを記録するために使用されるノズルの数にも等しい。図5の場合には、スキャン繰り返し数sは1である。実効ノズル個数Neff は、使用ノズル個数Nをスキャン繰り返し数sで割った値である。この実効ノズル個数Neff は、一回の主走査で記録され得るラスタの正味の本数を示しているものと考えることができる。実効ノズル数Neff の意味についてはさらに後述する。
【0048】
図5(B)の表には、各副走査送り毎に、副走査送り量Lと、その累計値ΣLと、各副走査送り後のノズルのオフセットFとが示されている。ここで、オフセットFとは、副走査送りが行われていない最初のノズルの周期的な位置(図5では4ドットおきの位置)をオフセット0の基準位置と仮定した時に、副走査送り後のノズルの位置が基準位置から副走査方向に何ドット離れているかを示す値である。例えば、図5(A)に示すように、1回目の副走査送りによって、ノズルの位置は副走査送り量L(4ドット)だけ副走査方向に移動する。一方、ノズルピッチkは3ドットである。従って、1回目の副走査送り後のノズルのオフセットFは1である(図5(A)参照)。同様にして、2回目の副走査送り後のノズルの位置は、初期位置からΣL=8ドット移動しており、そのオフセットFは2である。3回目の副走査送り後のノズルの位置は、初期位置からΣL=12ドット移動しており、そのオフセットFは0である。3回の副走査送りによってノズルのオフセットFは0に戻るので、3回の副走査を1サイクルとして、このサイクルを繰り返すことによって、有効記録範囲のラスタ上のすべてのドットを記録することができる。
【0049】
上記の例からも解るように、ノズルの位置が初期位置からノズルピッチkの整数倍だけ離れた位置にある時には、オフセットFはゼロである。また、オフセットFは、副走査送り量Lの累計値ΣLをノズルピッチkで割った余り(ΣL)%kで与えられる。ここで、「%」は、除算の余りをとることを示す演算子である。なお、ノズルの初期位置を周期的な位置と考えれば、オフセットFは、ノズルの初期位置からの位相のずれ量を示しているものと考えることもできる。
【0050】
スキャン繰り返し数sが1の場合には、有効記録範囲においてラスタの抜けや重複が無いようにするためには、以下のような条件を満たすことが必要である。
【0051】
条件c1:1サイクルの副走査送り回数は、ノズルピッチkに等しい。
【0052】
条件c2:1サイクル中の各回の副走査送り後のノズルのオフセットFは、0〜(k−1)の範囲のそれぞれ異なる値となる。
【0053】
条件c3:副走査の平均送り量(ΣL/k)は、使用ノズル数Nに等しい。換言すれば、1サイクル当たりの副走査送り量Lの累計値ΣLは、使用ノズル数Nとノズルピッチkとを乗算した値(N×k)に等しい。
【0054】
上記の各条件は、次のように考えることによって理解できる。隣接するノズルの間には(k−1)本のラスタが存在するので、1サイクルでこれら(k−1)本のラスタ上で記録を行ってノズルの基準位置(オフセットFがゼロの位置)に戻るためには、1サイクルの副走査送りの回数はk回となる。1サイクルの副走査送りがk回未満であれば、記録されるラスタに抜けが生じ、一方、1サイクルの副走査送りがk回より多ければ、記録されるラスタに重複が生じる。従って、上記の第1の条件c1が成立する。
【0055】
1サイクルの副走査送りがk回の時には、各回の副走査送りの後のオフセットFの値が0〜(k−1)の範囲の互いに異なる値の時にのみ、記録されるラスタに抜けや重複が無くなる。従って、上記の第2の条件c2が成立する。
【0056】
上記の第1と第2の条件を満足すれば、1サイクルの間に、N個の各ノズルがそれぞれk本のラスタの記録を行うことになる。従って、1サイクルではN×k本のラスタの記録が行われる。一方、上記の第3の条件c3を満足すれば、図5(A)に示すように、1サイクル後(k回の副走査送り後)のノズルの位置が、初期のノズル位置からN×kラスタ離れた位置に来る。従って、上記第1ないし第3の条件c1〜c3を満足することによって、これらのN×k本のラスタの範囲において、記録されるラスタに抜けや重複を無くすることができる。
【0057】
図6は、スキャン繰り返し数sが2以上の場合の一般的なドット記録方式の基本的条件を示すための説明図である。スキャン繰り返し数sが2以上の場合には、同一のラスタがs本の異なるノズルで記録される。以下では、スキャン繰り返し数sが2以上のドット記録方式を「オーバーラップ方式」と呼ぶ。
【0058】
図6に示すドット記録方式は、図5(B)に示すドット記録方式のパラメータの中で、スキャン繰り返し数sと副走査送り量Lとを変更したものである。図6(A)からも解るように、図6のドット記録方式における副走査送り量Lは2ドットの一定値である。但し、図6(A)においては、奇数回目の副走査送りの後のノズルの位置を、菱形で示している。図6(A)の右端に示すように、奇数回目の副走査送りの後に記録される画素位置は、偶数回目の副走査送りの後に記録される画素位置と、主走査方向に1ドット分だけずれている。従って、同一のラスタ上の複数のドットは、異なる2つのノズルによってそれぞれ間欠的に記録されることになる。例えば、有効記録範囲内の最上端のラスタは、1回目の副走査送り後に2番のノズルで1ドットおきに間欠的に記録された後に、4回目の副走査送り後に0番のノズルで1ドットおきに間欠的に記録される。一般に、オーバーラップ方式では、各ノズルは、1回の主走査中に1ドット記録した後に(s−1)ドット記録を禁止するように、間欠的なタイミングでノズルが駆動される。
【0059】
なお、オーバーラップ方式では、同一ラスタを記録する複数のノズルの主走査方向の位置が互いにずれていればよいので、各主走査時における実際の主走査方向のずらし量は、図6(A)に示すもの以外にも種々のものが考えられる。例えば、1回目の副走査送りの後には主走査方向のずらしを行わずに丸で示す位置のドットを記録し、4回目の副走査送りの後に主走査方向のずらしを行なって菱形で示す位置のドットを記録するようにすることも可能である。
【0060】
図6(B)の表の最下段には、1サイクル中の各回の副走査後のオフセットFの値が示されている。1サイクルは6回の副走査送りを含んでおり、1回目から6回目までの各回の副走査送りの後のオフセットFは、0〜2の範囲の値を2回ずつ含んでいる。また、1回目から3回目までの3回の副走査送りの後のオフセットFの変化は、4回目から6回目までの3回の副走査送りの後のオフセットFの変化と等しい。図6(A)の左端に示すように、1サイクルの6回の副走査送りは、3回ずつの2組の小サイクルに区分することができる。このとき、副走査送りの1サイクルは、小サイクルをs回繰り返すことによって完了する。
【0061】
一般に、スキャン繰り返し数sが2以上の整数の場合には、上述した第1ないし第3の条件c1〜c3は、以下の条件c1’〜c3’のように書き換えられる。
【0062】
条件c1’:1サイクルの副走査送り回数は、ノズルピッチkとスキャン繰り返し数sとを乗じた値(k×s)に等しい。
【0063】
条件c2’:1サイクル中の各回の副走査送り後のノズルのオフセットFは、0〜(k−1)の範囲の値であって、それぞれの値がs回ずつ繰り返される。
【0064】
条件c3’:副走査の平均送り量{ΣL/(k×s)}は、実効ノズル数Neff (=N/s)に等しい。換言すれば、1サイクル当たりの副走査送り量Lの累計値ΣLは、実効ノズル数Neff と副走査送り回数(k×s)とを乗算した値{Neff ×(k×s)}に等しい。
【0065】
上記の条件c1’〜c3’は、スキャン繰り返し数sが1の場合にも成立する。従って、条件c1’〜c3’は、スキャン繰り返し数sの値に係わらず、ドット記録方式に関して一般的に成立する条件である。すなわち、上記の3つの条件c1’〜c3’を満足すれば、有効記録範囲において、記録されるドットに抜けや重複が無いようにすることができる。但し、オーバーラップ方式(スキャン繰り返し数sが2以上の場合)を採用する場合には、同じラスタを記録するノズルの記録位置を互いに主走査方向にずらすという条件も必要である。
【0066】
なお、記録方式によっては、部分的なオーバーラップが行われる場合もある。「部分的なオーバーラップ」とは、1つのノズルで記録されるラスタと、複数のノズルで記録されるラスタとが混在しているような記録方式のことを言う。このような部分的なオーバーラップを用いた記録方式においても、実効ノズル数Neff を定義することができる。例えば、4個のノズルのうちで、2個のノズルが協力して同一のラスタを記録し、残りの2個のノズルはそれぞれ1本のラスタを記録するような部分的なオーバーラップ方式では、実効ノズル数Neff は3個である。このような部分的なオーバーラップ方式の場合にも、上述した3つの条件c1’〜c3’が成立する。
【0067】
なお、実効ノズル数Neff は、一回の主走査で記録され得るラスタの正味の本数を示しているものと考えることもできる。例えば、スキャン繰り返し数sが2の場合には、2回の主走査で使用ノズル数Nと等しい本数のラスタを記録することができるので、一回の主走査で記録することができるラスタの正味の本数は、N/s(すなわちNeff )に等しい。
【0068】
E.印刷方式の第1実施例:
図7は、本発明の第1実施例の印刷方式における走査パラメータを示す説明図である。第1実施例では、ノズルピッチkが6ドット、スキャン繰り返し数sが1、使用ノズル個数Nが13、実効ノズル個数Neff が13である。
【0069】
図7の下部の表には、1回目から7回目までの各パスに関するパラメータが示されている。なお、本明細書では、1回の主走査のことを「パス」とも呼んでいる。この表では、各パスに関して、そのパスの直前に実行される副走査の送り量Lと、その累積値ΣLと、オフセットFと、が示されている。副走査送り量Lは13ドットの一定値である。このように、副走査送り量Lが一定値である印刷方式(走査方式)を「定則送り」と呼ぶ。なお、第1実施例の走査パラメータは、上述した条件c1’〜c3’を満足している。
【0070】
図8は、第1実施例において使用されるノズルを示す説明図である。図8のアクチュエータ40は図3に示すものと同じであるが、第1実施例では一部のノズルのみが使用される。図8において、第1実施例で使用されるノズルは白丸で示されており、一方、使用されないノズルは黒丸で示されている。すなわち、有彩色インクについては、各色の15個のノズルのうちの最初の13個のノズルがそれぞれ使用される。また、ブラックインクについては、シアン用の使用ノズル#C1〜#C13と同じ副走査位置にある13個のノズルのみが使用される。このように、4つのインクについて、それぞれ同じ数のノズルを使用すれば、各用のノズルに共通する走査パラメータに従って走査を実行することによって、各インクのドットを、抜けや重複無く形成することができる。
【0071】
なお、本明細書では、使用されるノズルで構成される各インク用のノズル群を「使用ノズル群」とも呼ぶ。また、アクチュエータ40に設けられている各インク用のノズル群を「実装ノズル群」とも呼ぶ。
【0072】
各インクの使用ノズルとしては、ノズルピッチkで連続して並んでいるものが選択される。また、イエロー用の使用ノズル群の下端のノズル#Y13と、マゼンタ用の使用ノズル群の上端のノズル#M1との間隔は、4k(すなわち24ドット)である。同様に、マゼンタ用の使用ノズル群の下端のノズル#M13と、シアン用の使用ノズル群の上端のノズル#C1との間隔も、4kである。
【0073】
図9は、第1実施例の各パスにおいて有効記録範囲内の各ラスタラインを記録するノズルを示す説明図である。パス1では、シアン用の3つのノズル#C11〜#C13が、1番目と7番目と13番目の有効ラスタライン上のドット記録をそれぞれ実行する。なお、「有効ラスタライン」とは、有効記録範囲内のラスタラインのことを意味する。なお、図9では、ノズル番号の先頭の符号「#」が省略されている。また、斜線が付されているノズルは不使用ノズルを示している。符号「×」は、隣接する実装ノズル群の中間のノズルの存在しない位置を示している。
【0074】
パス2では、印刷用紙上におけるアクチュエータ40の記録対象位置が、パス1から副走査方向に13ドット分移動する。本実施例ではノズルピッチkは6なので、この副走査送り後のノズル位置のオフセットF(送り量Lの累積値ΣLをkで除した余り)は1ドットである。従って、パス2においては、見かけ上、パス1で記録対象となったラスタラインよりも1本下のラスタラインが記録対象となるように見える。もちろん、実際には、13本下のラスタラインが記録対象となっている。なお、第1実施例では、副走査送り量Lが13ドットの一定値なので、副走査送りが1回行われる毎に、記録対象となるラスタラインの位置が1本ずつ下に移動するように見える。
【0075】
シアンインクに関しては、以下に説明するように、6番目と7番目のラスタラインの間の位置Cmis において副走査送り誤差の累積値が最も大きくなる。6番目のラスタラインはパス6において記録され、一方、7番目のラスタラインはパス1において記録される。従って、7番目のラスタラインを記録するパス1と、6番目のラスタラインを記録するパス6との間には、副走査送りが5回行われる。従って、6番目と7番目のラスタラインの間には、5回分の副走査送り誤差が累積される。同様に、12番目と13番目のラスタラインの間にも、シアンインクに関して5回分の副走査送り誤差が累積される。
【0076】
上述と同様な考察により、マゼンタインクに関しては、7番目と8番目のラスタラインの間の位置Mmis において、副走査送り誤差の累積値が比較的大きくなることが解る。また、イエローインクに関しては、9番目と10番目のラスタラインの間の位置Ymis において、副走査送り誤差の累積値が比較的大きくなる。なお、以下では、副走査送り誤差の累積値が比較的大きな位置を、「誤差累積位置」と呼ぶ。
【0077】
以上の説明から理解できるように、第1実施例では、誤差累積位置が各有彩色インク毎に異なり、一致することが無い。誤差累積位置では、バンディング(主走査方向に伸びる筋状の画質劣化部分)が発生しやすい傾向にある。しかし、本実施例によれば、誤差累積位置が各有彩色インク毎に異なっているので、これらの位置におけるバンディングを目立たなくすることができる。
【0078】
図10は、第1比較例において使用されるアクチュエータを示す説明図である。このアクチュエータ40’は、各有彩色ノズル群40Y’,40M’,40C’をそれぞれ13個のノズルで構成している。また、各有彩色ノズル群40Y’,40M’,40C’の端部のノズル同士の間隔は、ノズルピッチkと等しい。すなわち、図10のアクチュエータ40’では、第1実施例で使用されていた各有彩色インク用の13個のノズルが、ノズルピッチkで連続して配列されている。ブラック用ノズル群40K’も、ノズルピッチkで配列された39個のノズルで構成されている。第1比較例では、このようなアクチュエータ40’を用い、図7に示した第1実施例の走査パラメータと同じ走査パラメータに従って印刷を実行する。
【0079】
図11は、第1比較例の各パスにおいて有効記録範囲内の各ラスタラインを記録するノズルを示す説明図である。第1比較例では、3色の有彩色インクに関する誤差累積位置Cmis ,Mmis ,Ymis が、6番目と7番目のラスタラインの間の位置、および、12番目と13番目のラスタラインの間の位置で一致している。このような場合には、バンディングが目立ちやすく、画質が劣化する可能性が高い。
【0080】
図8と図10に示す使用ノズルを比較すれば解るように、第1実施例と第1比較例の違いは、各使用ノズル群の間隔だけである。すなわち、第1実施例では、使用色ノズル群の間の間隔が、ノズルピッチkの4倍の値4kに設定されており、一方、第1比較例では使用ノズル群の間の間隔が、ノズルピッチkと同じ値に設定されている。このような使用ノズル群の間の間隔の違いが、図9と図11に示すような誤差累積位置Cmis ,Mmis ,Ymis の発生位置の違いとして現れていることが理解できる。
【0081】
副走査方向に沿って隣接するノズル群に関して誤差累積位置がなるべく一致しないようにするためには、一般に、隣接する使用ノズル群の間の間隔が、ノズルピッチkのM倍(Mは2以上の整数)となるように、使用ノズルを選択することが好ましい。
【0082】
但し、副走査方向に沿って隣接する使用ノズル群の間の間隔は、更に、以下のように設定することが好ましい。図12は、図5に示した印刷方式における等価的なノズル位置を示す説明図である。図5でも説明したように、スキャン繰り返し数sが1の時には、1サイクルの走査はk回の副走査送りを含む。従って、1サイクル分の副走査送りにおけるノズル群の移動量はN×kラスタである。図12には、1サイクル目から3サイクル目までの各サイクルにおけるノズル群の初期位置が示されている。これらの3つのノズル群位置からは、同じ記録動作が実行されるので、これらの位置は互いに等価である。1サイクル目の初期位置における下端のノズルと、2サイクル目の初期位置における上端のノズルとの間隔は、kドットである。また、1サイクル目の初期位置における下端のノズルと、3サイクル目の初期位置における上端のノズルとの間隔は、(N×k+k)ドットである。図示は省略されているが、1サイクル目の初期位置における下端のノズルと、4サイクル目の初期位置における上端のノズルとの間隔は、(2×N×k+k)ドットであることが解る。一般には、1サイクル目の初期位置のノズル群の下端のノズルと、他の等価なノズル群の上端のノズルとの間の間隔は、(N×n+1)kドットと書き表せる。ここで、nは0以上の任意の整数である。
【0083】
図12に示すような等価的なノズル群位置に、異なるインクの使用ノズル群を配置してしまうと、それらのインクに関する誤差累積位置は互いに一致する。このような場合を避けるために、隣接する使用ノズル群の間の間隔は、(N×n+1)kドット以外の値(Nは使用ノズル数、nは1以上の任意の整数)に設定することが好ましい。ここで、nを0以上ではなく1以上としたのは、上述したように隣接する使用ノズル群の間の間隔をノズルピッチkのM倍(Mは2以上の整数)に設定すると、n=0の場合が除外されるからである。
【0084】
上述した第1実施例は、さらに以下のような特徴も有している。前述した図8から解るように、ブラックノズル列40Kは、主走査時にカラーノズル列に先行するので、カラー印刷の際には、ブラックドットが他のインクのドットよりも先に印刷用紙上に形成される。また、カラーノズル列に関しては、副走査方向に沿って、シアン用ノズル群40C,マゼンタ用ノズル群40M,イエロー用ノズル群40Yの順に配列されており、有彩色のドットはこの順序で形成される。さらに、ブラック用の使用ノズル群としては、副走査方向の後端に存在するシアン用の使用ノズル群と同じ副走査位置に存在するノズルのみが使用される。
【0085】
以上のようなアクチュエータ40の特徴から、第1実施例のカラー印刷においては、次のような種々の利点が生じる。第1の利点は、ブラックドットが、他のインクのドットよりも先に形成される点である。仮に他のインクのドットの後にブラックドットを形成すると、ブラックインクが滲んでしまい、カラー画像の彩度が低下してしまう傾向にある。特に、ブラックインクとイエローインクとが互いに滲むと、再度が顕著に低下する傾向にある。そこで、図8のように使用ノズル群を選択することによって、印刷領域内の任意の位置において、ブラックドットを他のインクのドットよりも先に形成するようにすれば、カラー画像の彩度を向上させることができる。
【0086】
第2の利点は、印刷領域内の任意の位置において、イエロードットが他のインクのドットの後に形成される点である。図8から理解できるように、印刷用紙Pが副走査方向に搬送されると、印刷領域PA内の任意の位置においては、まず、ブラックドットとシアンドットがこの順に形成され、次に、マゼンタドットが形成され、最後に、イエロードットが形成される。ところで、図4に示したように、印刷用紙Pの後端が第1の副走査駆動機構25の挟持点(ローラ25a,25bの接点)を通過した後では、副走査送りは比較的低精度の第2の副走査駆動機構27のみで行われる。この結果、以下に説明するように、イエロー用ノズル群40Yの幅WLPと同じ幅を有する低精度領域においてイエロードットを形成する際には、副走査送りが比較的低精度で行われることにある。
【0087】
図13は、印刷用紙Pの後端に存在する低精度領域LPAとアクチュエータ40との関係を示す説明図である。印刷領域PAの後端に存在する低精度領域LPAにおいてイエロードットが形成されるときには、第2の副走査駆動機構27によって比較的低い精度で副走査送りが行われる。ここで、「低精度領域LPA」とは、副走査送り精度が低い領域、という意味である。なお、低精度領域LPAの幅は、副走査方向に沿って測ったイエロー用ノズル群40Yの幅に等しい。
【0088】
図13の時点では、低精度領域LPA内におけるブラックドットとマゼンタドットとシアンドットの形成は終了している。従って、図13の時点以降では、低精度領域LPAにおいてイエロードットのみが形成される。しかし、一般に、イエロードットは、他の3色のドットよりも目立たないという性質がある。このため、副走査送り精度が低く、イエロードットの位置が多少ずれても、画質をあまり劣化させることはない。すなわち、本実施例では、第2の副走査駆動機構27のみによって副走査送りが行われるときに、低精度領域LPAにおいてイエロードットのみを形成するので、低精度領域LPAにおいても画質があまり劣化しないという利点がある。
【0089】
ところで、印刷用紙の先端近傍や後端近傍では、印刷領域の中間部分とは異なる印刷方式で印刷が実行されるのが普通である。この明細書では、印刷領域の後端近傍における印刷処理を「後端処理」または「下端処理」と呼ぶ。また、印刷領域の中間部分における印刷処理を「中間処理」と呼ぶ。下端処理では、副走査送り精度を過度に低下させないようにするために、印刷領域の中間部分よりも少ない送り量で副走査送りが実行される。下端処理としては、例えば、本出願人により開示された特開平7−242025号公報に記載された技術がある。この公報の図9には、印刷領域の中間部分においてインターレース方式による印刷が行われ、印刷領域の下端近傍においては「微小送り」(1ドットの副走査送り)による下端処理が行われることが示されている。
【0090】
本実施例では、低精度領域LPAにおいてイエロードットを形成する際には、下端処理を行わずに、中間処理と同じ送り量で副走査送りを実行する。具体的には、図7に示した副走査送り量をそのまま用いて低精度領域LPAにおけるイエロードットの形成を行う。換言すれば、第2の副走査駆動機構27のみで副走査送りが実行されるときにも、第1の副走査駆動機構25による副走査送りが実行されるときと同じ送り量で副走査送りを実行する。こうすれば、副走査送りの制御が簡単になるという利点がある。なお、イエロードットは他のドットに比べて目立たないので、下端処理を行わなくても、あまり画質を低下させることは無い。
【0091】
F.印刷方式の第2実施例:
図14は、本発明の第2実施例の印刷方式における走査パラメータを示す説明図である。第2実施例では、ノズルピッチkが6ドット、スキャン繰り返し数sが1、使用ノズル個数Nが15、実効ノズル個数Neff が15である。
【0092】
図14の下部の表には、1回目から7回目までの各パスに関するパラメータが示されている。副走査送り量Lとしては、14,15,16ドットの3種類の異なる値の配列が使用されている。このように、副走査送り量Lとして異なる複数の値の配列を用いる印刷方式(走査方式)を「変則送り」と呼ぶ。なお、第2実施例の走査パラメータも、上述した条件c1’〜c3’を満足している。
【0093】
図15は、第2実施例において使用されるノズルを示す説明図である。図15のアクチュエータ40は図3に示すものと同じである。有彩色インクについては、各色の15個のノズルのすべてが使用される。また、ブラックインクについては、シアン用の使用ノズル#C1〜#C15と同じ副走査方向位置にある15個のノズルのみが使用される。従って、イエロー用の使用ノズル群の下端のノズル#Y15と、マゼンタ用の使用ノズル群の上端のノズル#M1との間隔は、2kである。同様に、マゼンタ用の使用ノズル群の下端のノズル#M15と、シアン用の使用ノズル群の上端のノズル#C1との間隔も、2kである。
【0094】
第2実施例も、前述した第1実施例と同様に、カラー印刷において次のような種々の利点を有している。第1の利点は、ブラックドットが他のインクのドットよりも先に形成されるので、彩度の高いカラー画像を印刷できる点である。第2の利点は、低精度領域LPA(図13)においてイエロードットのみが形成されるので、副走査送り精度が低下しても画質があまり劣化しない点である。なお、第1実施例と同様に、第2の副走査駆動機構27のみで副走査送りが実行されるときに、第1の副走査駆動機構25による副走査送りが実行されるときと同じ送り量(すなわち図14に示す送り量)で副走査送りを実行するようにしてもよい。
【0095】
図16は、第2実施例の各パスにおいて有効記録範囲内の各ラスタラインを記録するノズルを示す説明図である。第2実施例では変則送りを利用しているので、パス毎のノズル群の位置は第1実施例ほどの規則性は無い。従って、副走査送り累積誤差は、第1実施例よりも少ないという利点がある。
【0096】
第2実施例は、さらに以下に説明するように、副走査送りの誤差累積位置が、各使用ノズル群同士で常時一致することはない、という利点も有している。シアンに関しては、副走査送り回数の差が最も大きいのは2番目と3番目のラスタラインの間であり、これらの副走査送り回数の差は4である。すなわち、シアンに関しては、2番目と3番目のラスタラインの間に誤差累積位置Cmis が存在する。マゼンタとイエローについても、2番目と3番目のラスタラインの間に誤差累積位置Mmis ,Ymis が存在する。ところで、シアンとマゼンタに関しては、その次の累積誤差位置Cmis ,Mmis は、8番目と9番目のラスタラインの間に存在する。一方、イエローに関しては、その次の累積誤差位置Ymis は、7番目と8番目のラスタラインの間に存在する。
【0097】
このように、第2実施例では、3つの使用ノズル群に関する累積誤差位置Cmis ,Mmis ,Ymis が、常時一致することは無い。このため、3つの使用ノズル群に関する累積誤差位置Cmis ,Mmis ,Ymis が常時一致するような場合に比べて、副走査送りの累積誤差によるバンディングの発生を緩和することができる。
【0098】
図17は、第2比較例において使用されるアクチュエータを示す説明図である。図17のアクチュエータ40”は、各有彩色ノズル群40Y”,40M”,40C”をそれぞれ15個のノズルで構成している。また、各有彩色ノズル群40Y”,40M”,40C”の端部のノズル同士の間隔は、ノズルピッチkと等しい。また、ブラック用ノズル群40”は、45個のノズルで構成されている。第2比較例では、このようなアクチュエータ40”を用い、図14に示した第2実施例の走査パラメータと同じ走査パラメータに従って印刷を実行する。
【0099】
図18は、第2比較例の各パスにおいて有効記録範囲内の各ラスタラインを記録するノズルを示す説明図である。第2比較例では、3色の有彩色インクに関する誤差累積位置Cmis ,Mmis ,Ymis が、2番目と3番目のラスタラインの間と、8番目と9番目のラスタラインの間と、14番目と15番目のラスタラインの間との間に存在する。すなわち、第2実施例では、3色のインクに関する誤差累積位置Cmis ,Mmis ,Ymis が常に一致しており、6ドットの間隔で(すなわちノズルピッチkの間隔で)、誤差累積位置Cmis ,Mmis ,Ymis が繰り返し現れる。このように、各有彩色ノズル群に関する誤差累積位置Cmis ,Mmis ,Ymis が常に一致していると、バンディングが目立ち易い。
【0100】
図15と図17とを比較すれば解るように、第2実施例と第2比較例の違いは、各使用ノズル群の間隔だけである。すなわち、第2実施例では、使用ノズル群同士の間隔が、ノズルピッチkの2倍の値2kに設定されており、一方、第2比較例では使用ノズル群同士の間隔が、ノズルピッチkと同じ値に設定されている。このような使用ノズル群の間の間隔の違いが、図15と図17に示すような誤差累積位置Cmis ,Mmis ,Ymis の発生位置の違いとして現れている。
【0101】
これから解るように、第2実施例も第1実施例と同様に、隣接する使用ノズル群の間の間隔がノズルピッチkのM倍(Mは2以上の整数)となるように、使用ノズルが選択されている。また、隣接する使用ノズル群の間の間隔は、(N×n+1)kドット以外の値(Nは使用ノズル数、nは1以上の任意の整数)に設定されている。
【0102】
なお、図15から理解できるように、第2実施例では、アクチュエータ40に設けられているすべての有彩色インク用ノズルを使用している。本実施例に使用したアクチュエータ40では、各インクの実装ノズル群の間隔をノズルピッチkの2倍の値に設定しているので、すべての有彩色インク用ノズルを用いても、副走査送りの誤差累積位置が、各有彩色ノズル群同士で常時一致することはない。従って、アクチュエータ40に設けられているノズルの中の可能な限り多数の有彩色インク用ノズルを用いて、高画質な印刷を行うことができるという利点がある。
【0103】
なお、一般には、副走査方向に沿って配列されている実装ノズル群同士の間隔(すなわち、各インク用の実装ノズル群の端部のノズル同士の間隔)は、ノズルピッチkのm倍(mは2以上の整数)となるように設定されていることが好ましい。こうすれば、上述した理由により、可能な限り多数のノズルを用いて高画質な印刷を行うことが可能である。
【0104】
なお、副走査方向に沿って配列されている実装ノズル群同士の間隔が、ノズルピッチkに等しく設定されていてもよい。この場合には、各実装ノズル群の中のいくつかのノズルが不使用とすれば、第1実施例や第2実施例と同様の使用ノズル群を構成することが可能である。
【0105】
G.アクチュエータの変形例:
図19は、アクチュエータの第1の変形例を示す説明図である。このアクチュエータ41の左側のノズル列は、図3に示す実施例のアクチュエータ40の左側のノズル列と同じである。図19のアクチュエータ41の右側のノズル列は、淡マゼンタ用ノズル群40LMと、淡シアン用ノズル群40LCと、ブラック用ノズル群40Kとを含んでいる。各インクの実装ノズル群は、それぞれ15個のノズルを含んでいる。また、副走査方向に一直線上に配列された3色分の実装ノズル群同士の間隔は、それぞれ2kとなっている。
【0106】
なお、淡マゼンタインクは、通常のマゼンタインクとほぼ同じ色相を有し、通常のマゼンタインクよりも濃度が低いインクである。淡シアンインクも同様である。なお、通常のマゼンタインクおよび通常のシアンインクを、「濃マゼンタインク」および「濃シアンインク」と呼ぶこともある。
【0107】
図19に示すアクチュエータ41を用いた場合にも、図3に示すアクチュエータ40を用いた場合と同じ走査パラメータに従ってカラー印刷を実行することができる。また、第1実施例や第2実施例と同じ印刷方式を採用すると、図19の右側の3つのノズル群40LM,40LC,40Kについても、各ノズル群に関する誤差累積位置があまり一致しないという効果が得られる。
【0108】
なお、図19に示すアクチュエータ41を用いると、淡色のインクを用いて6色印刷ができるので、図3に示すアクチュエータ40に比べてカラー画像の画質を向上させることができるという利点がある。一方、図3に示すアクチュエータ40を用いた場合には、モノクロ印刷の際に、図19に示すアクチュエータ41の約3倍の数のブラックインク用ノズルを使用することができるので、モノクロ印刷を高速化できるという利点がある。
【0109】
図19のアクチュエータ41を用いる場合には、図13に示す時点以降(すなわち第2の副走査駆動機構27のみで副走査送りが行われるとき)に、低精度領域LPA内においてイエロードットと淡マゼンタドットとが形成される。しかし、淡マゼンタドットも、イエロードットと同様に比較的目立ち難いので、副走査送りの精度が低くても画質があまり低下することは無い。従って、図19に示すアクチュエータ41を用いる場合にも、第2の副走査駆動機構27のみで副走査送りが実行されるときに、第1の副走査駆動機構25による副走査送りが実行されるときと同じ送り量で副走査送りを実行するようにしてもよい。
【0110】
なお、図19の例から理解できるように、第2の副走査駆動機構27のみで副走査送りが行われる際には、低精度領域LPAにおいて比較的濃度の低いインクのドットのみが形成されるようにすることが好ましい。ここで、「比較的濃度の低いインク」とは、CMYKの4色のインクのみを利用可能な場合にはイエローインクを意味しており、また、濃インクと淡インクとが利用可能な場合には、淡インク(例えば淡シアンや淡マゼンタ)と、イエローインクとを意味している。
【0111】
図20は、アクチュエータの第2の変形例を示す説明図である。このアクチュエータ42は、図19に示した第1の変形例のアクチュエータ41の濃マゼンタ用ノズル群40Mと淡マゼンタ用ノズル群40LMの位置を交換し、また、濃シアン用ノズル群40Cと淡シアン用ノズル群40LCの位置を交換したものである。このアクチュエータ42も、図19に示したアクチュエータ41とほぼ同様の利点を有している。
【0112】
但し、図20のアクチュエータ42を用いる場合には、図13に示す時点以降において、低精度領域LPA内にイエロードットと濃マゼンタドットとが形成される。従って、低精度領域LPA内の画質の点からは、図20に示すアクチュエータ42よりも、図19に示すアクチュエータ41の方が好ましい。
【0113】
図21は、アクチュエータの第3の変形例を示す説明図である。このアクチュエータ43は、図3に示す実施例のアクチュエータ40のカラーノズル列とブラックノズル列40Kとを、それぞれ千鳥状に2列に配列したものである。例えば、ブラックノズル列40Kでは、奇数番目のノズル#K1,#K3…#K47が左側の列に配置され、偶数番目のノズル#K2,#K4…#K48は右側の列に配置されている。3つの有彩色ノズル群40Y,40M,40Cにおいても同様に、それぞれ千鳥状にノズルが配列されている。このように、千鳥状にノズルが配列されている場合にも、3つの有彩色ノズル群40Y,40M,40Cが、副走査方向に沿って一直線上に配列されていることには変わりはない。すなわち、この明細書では、「複数のノズル群が副走査方向に沿って一直線上に配列されている」という文言は、ノズル群同士が全体として一直線上に沿って配列されていればよく、各ノズル群を構成する複数のノズルは必ずしも一直線上に配列されている必要は無い。
【0114】
上記の各種の実施例や変形例で示したアクチュエータでは、4色または6色分のノズルが2列に配列されていたが、これらが1列に配列されるようにしてもよく、また、3列以上の複数列に配列されるようにしてもよい。例えば、図3のカラーノズル群の下に、2kの間隔を空けて15個のブラックノズルを設けることによって、4色分のノズル群を1列に配列するようにしてもよい。
【0115】
また、各色のノズル群の間隔をノズルピッチkと同じ値に設定した印刷ヘッドを用いることも可能である。
【0116】
図22は、アクチュエータの第4変形例を示す説明図である。この第4変形例では、カラーノズル列のみを含む第1のアクチュエータ44aと、ブラックノズル列40Kのみを含む第2のアクチュエータ44bと、の2つのアクチュエータが用いられる。各色のノズル群は、図21と同様に、千鳥状に配列されている。図21と実質的に異なる点は、カラーインク用ノズル群がそれぞれ16個のノズルを有しており、各カラーインク用ノズル群の間隔がノズルピッチkに等しい、という点だけである。
【0117】
図23は、アクチュエータの第5変形例を示す説明図である。このアクチュエータ45は、3つのカラーノズル列と、1つのブラックノズル列とを含んでいる。第1のカラーノズル列は、イエロー用ノズル群40Yとマゼンタ用ノズル群40Mとで構成されている。第2のカラーノズル列は、淡マゼンタ用ノズル群40LMとシアン用ノズル群40Cとで構成されている。第3のカラーノズル列は、淡シアン用ノズル群40LCと淡ブラック用ノズル群40LKとで構成されている。
【0118】
各ノズル群は、副走査方向に沿って一直線状に配列されているが、図21や図22のように千鳥状に配列することも可能である。ブラックノズル列40Kは、48個のノズルを有している。また、ブラックノズル列40K以外の各ノズル群は、24個のノズルをそれぞれ有している。このアクチュエータ45を用いた場合にも、低精度領域LPAにおいて比較的濃度の低いインク(イエロー、淡マゼンタ、および、淡シアン)のドットのみが形成されるように印刷を行うことができるので、画質があまり低下することが無い。
【0119】
図24は、アクチュエータの第6変形例を示す説明図である。このアクチュエータ46も、3つのカラーノズル列と、1つのブラックノズル列とを含んでいる。このアクチュエータ46と、図21に示すアクチュエータ45との差違は、ブラックノズル列40Kとイエロー用ノズル群40Y以外のノズル群の位置だけなので、詳細な説明は省略する。
【0120】
図25は、アクチュエータの第7変形例を示す説明図である。このアクチュエータ47は、3つのノズル列を有している。第1のノズル列は、イエロー用ノズル群40Yと、マゼンタ用ノズル群40Mとで構成されている。第2のノズル列は、淡マゼンタ用ノズル群40LMと、シアン用ノズル群40Cとで構成されている。第3のノズル列は、淡シアン用ノズル群40LCと、ブラック用ノズル群40Kとで構成されている。このアクチュエータ46を用いた場合にも、図23の場合と同様に、低精度領域LPAにおいて比較的濃度の低いインクのドットのみが形成されるように印刷を行うことができるので、画質があまり低下することが無い。
【0121】
図26は、アクチュエータの第8変形例を示す説明図である。このアクチュエータ48は、6色分のノズル群を副走査方向に一列に配列したものである。各ノズル群は、8個のノズルをそれぞれ有している。なお、各インク用のノズル群をそれぞれ千鳥状に配列することも可能である。このアクチュエータ47を用いた場合にも、低精度領域LPAにおいてイエローインクのドットのみが形成されるように印刷を行うことができるので、画質があまり低下することが無い。
【0122】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0123】
(1)上記実施例では、スキャン繰り返し数sが1である場合のみを説明したが、スキャン繰り返し数sが1を超える値である場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0124】
(2)印刷装置によっては、主走査方向のドットピッチ(記録解像度)と、副走査方向のドットピッチとを異なる値に設定できるものがある。この場合には、主走査方向に関係するパラメータ(例えばラスタライン上の画素ピッチ)は、主走査方向のドットピッチによって定義され、一方、副走査方向に関係するパラメータ(例えばノズルピッチkや副走査送り量L)は、副走査方向のドットピッチによって定義される。
【0125】
(3)この発明はドラムスキャンプリンタにも適用可能である。尚、ドラムスキャンプリンタでは、ドラム回転方向が主走査方向、キャリッジ走行方向が副走査方向となる。また、この発明は、インクジェットプリンタのみでなく、一般に、複数のドット形成要素アレイを有する印刷ヘッドを用いて印刷媒体の表面に記録を行う印刷装置に適用することができる。ここで、「ドット形成要素」とは、インクジェットプリンタにおけるインクノズルのように、ドットを形成するための構成要素を意味する。このような印刷装置としては、例えばファクシミリ装置や、コピー装置などがある。
【0126】
(4)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、システムコントローラ54(図2)の機能の一部をホストコンピュータ100が実行するようにすることもできる。
【0127】
このような機能を実現するコンピュータプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。ホストコンピュータ100は、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からホストコンピュータ100にコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがホストコンピュータ100のマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをホストコンピュータ100が直接実行するようにしてもよい。
【0128】
この明細書において、ホストコンピュータ100とは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。コンピュータプログラムは、このようなホストコンピュータ100に、上述の各部の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0129】
なお、この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのカラーインクジェットプリンタ20の主要な構成を示す概略斜視図。
【図2】プリンタ20の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】アクチュエータ40の底面に形成されたノズルの配列を示す説明図。
【図4】印刷用紙Pを搬送する副走査駆動機構を示す側断面図。
【図5】スキャン繰り返し数sが1のときの一般的なドット記録方式の基本的条件を示すための説明図。
【図6】スキャン繰り返し数sが2以上のときの一般的なドット記録方式の基本的条件を示すための説明図。
【図7】本発明の第1実施例の印刷方式における走査パラメータを示す説明図。
【図8】第1実施例において使用されるノズルを示す説明図。
【図9】第1実施例の各パスにおいて有効記録範囲内の各ラスタラインを記録するノズルを示す説明図。
【図10】第1比較例において使用されるノズルを示す説明図。
【図11】第1比較例の各パスにおいて有効記録範囲内の各ラスタラインを記録するノズルを示す説明図。
【図12】等価的なノズル位置を示す説明図。
【図13】印刷用紙Pの後端に存在する低精度領域LPAとアクチュエータ40との関係を示す説明図。
【図14】本発明の第2実施例の印刷方式における走査パラメータを示す説明図。
【図15】第2実施例において使用されるノズルを示す説明図。
【図16】第2実施例の各パスにおいて有効記録範囲内の各ラスタラインを記録するノズルを示す説明図。
【図17】第2比較例において使用されるノズルを示す説明図。
【図18】第2比較例の各パスにおいて有効記録範囲内の各ラスタラインを記録するノズルを示す説明図。
【図19】アクチュエータの第1の変形例を示す説明図。
【図20】アクチュエータの第2の変形例を示す説明図。
【図21】アクチュエータの第3の変形例を示す説明図。
【図22】アクチュエータの第4の変形例を示す説明図。
【図23】アクチュエータの第5の変形例を示す説明図。
【図24】アクチュエータの第6の変形例を示す説明図。
【図25】アクチュエータの第7の変形例を示す説明図。
【図26】アクチュエータの第8の変形例を示す説明図。
【図27】インターレース記録方式の一例を示す説明図。
【図28】オーバーラップ記録方式の一例を示す説明図。
【符号の説明】
20…カラーインクジェットプリンタ
22…用紙スタッカ
24…紙送りローラ
25…第1の副走査駆動機構
25a…給紙ローラ
25b…従動ローラ
26…プラテン板
27…第1の副走査駆動機構
27a…排紙ローラ
27b…ギザローラ
28…キャリッジ
30…キャリッジモータ
31…紙送りモータ
32…牽引ベルト
34…ガイドレール
36…印刷ヘッド
40…アクチュエータ
50…受信バッファメモリ
52…イメージバッファ
54…システムコントローラ
61…主走査駆動ドライバ
62…副走査駆動ドライバ
63…ヘッド駆動ドライバ
100…ホストコンピュータ

Claims (12)

  1. 印刷媒体の表面にドットを記録することによって画像を印刷する印刷装置であって、
    前記印刷媒体上にドットを形成するための複数のドット形成要素を含む印刷ヘッドと、
    前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、
    前記主走査の最中に前記各ドット形成要素アレイに含まれる複数のドット形成要素のうちの少なくとも一部を駆動してドットの形成を行わせるヘッド駆動部と、
    前記主走査が終わる度に前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の少なくとも一方を駆動して副走査を行う副走査駆動部と、
    前記各部を制御するための制御部と、を備え、
    前記副走査駆動部は、
    比較的高い精度で副走査送りを行う第1の副走査駆動機構と、
    少なくとも前記第1の副走査駆動機構による副走査送りが終了した後に、比較的低い精度で副走査送りを行う第2の副走査駆動機構と、
    を備えており、
    前記印刷ヘッドは、イエロードットを形成するためのイエロードット形成要素群を少なくとも含みそれぞれ異なる色のドットを形成するための複数のドット形成要素群が、副走査方向に沿って所定の順序で配列された第1のドット形成要素アレイを備え、
    前記第1のドット形成要素アレイにおいては、カラー印刷の際に前記印刷媒体上の任意の位置において、イエロードットが他のドットよりも後に形成されるように前記複数のドット形成要素群の配列順序が決定されているとともに、前記複数のドット形成要素群は互いに等しい数のドット形成要素をそれぞれ備えており、
    前記印刷ヘッドにおいては、カラー印刷の際に前記印刷媒体上の任意の位置において、イエロードットがブラックドットとマゼンタドットとシアンドットよりも後に形成されるように前記複数のドット形成要素が配列されており、
    前記制御部は、
    カラー印刷の際に、
    前記第1と第2の副走査駆動機構の両方を使用して前記比較的高い精度で副走査送りを実行している間に、前記印刷媒体上における前記ブラックドットとマゼンタドットとシアンドットの形成を完了するとともに、
    前記印刷媒体の後端が前記第1の副走査駆動機構の挟持点を通過した後に前記第2の副走査駆動機構のみによって副走査送りが実行されるときに、前記ブラックドットとマゼンタドットとシアンドットの形成が完了しており前記イエロードットの形成が完了していない領域内において前記第1のドット形成要素アレイに含まれるドット形成要素の中では前記イエロードット形成要素群に含まれるドット形成要素のみを用いて印刷を実行することを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記制御部は、
    前記印刷媒体の後端が前記第1の副走査駆動機構の挟持点を通過した後に前記第2の副走査駆動機構のみによって副走査送りが実行されるときに、前記印刷媒体の後端が前記第1の副走査駆動機構の挟持点を通過する以前の位置において前記第1の副走査駆動機構による副走査送りが実行されるときと同じ送り量で、前記第2の副走査駆動機構に副走査送りを実行させる、印刷装置。
  3. 請求項1または2記載の印刷装置であって、
    前記印刷ヘッドは、さらに、
    ブラックドットを形成するためのブラックドット形成要素群を含み、前記第1のドット形成要素アレイと並列に形成されているとともに、前記第1のドット形成要素アレイよりも先行して前記印刷媒体上にドットを形成可能な第2のドット形成要素アレイを備えており、
    前記ブラックドット形成要素群は、前記第1のドット形成要素アレイ内の前記複数のドット形成要素群に含まれるドット形成要素と同じ副走査位置に配置された複数のドット形成要素を少なくとも有しており、
    前記制御部は、
    カラー印刷の際に、ブラックドットに関しては、前記第1のドット形成要素アレイ内の前記複数のドット形成要素群の中で最も早く前記印刷媒体上でのドット形成が実行可能となる特定の有彩色ドット形成要素群において使用されるドット形成要素と同じ副走査位置に存在するドット形成要素のみを用いてブラックドットを形成する、印刷装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記第1と第2のドット形成要素アレイは、同一のアクチュエータ内に形成されている、印刷装置。
  5. 印刷装置を用いて印刷媒体の表面にドットを記録することによって画像を印刷する印刷方法であって、
    (a)印刷装置として、
    比較的高い精度で副走査送りを行う第1の副走査駆動機構と、
    少なくとも前記第1の副走査駆動機構による副走査送りが終了した後に、比較的低い精度で副走査送りを行う第2の副走査駆動機構と、
    印刷ヘッドと、を備えた印刷装置を準備する工程と、
    (b)前記印刷装置を用いてカラー印刷を行う工程と、を備え、
    前記印刷ヘッドは、イエロードットを形成するためのイエロードット形成要素群を少なくとも含みそれぞれ異なる色のドットを形成するための複数のドット形成要素群が、副走査方向に沿って所定の順序で配列された第1のドット形成要素アレイを備え、
    前記第1のドット形成要素アレイにおいては、カラー印刷の際に前記印刷媒体上の任意の位置において、イエロードットが他のドットよりも後に形成されるように前記複数のドット形成要素群の配列順序が決定されているとともに、前記複数のドット形成要素群は互いに等しい数のドット形成要素をそれぞれ備えており、
    前記印刷ヘッドにおいては、カラー印刷の際に前記印刷媒体上の任意の位置において、イエロードットがブラックドットとマゼンタドットとシアンドットよりも後に形成されるように前記複数のドット形成要素が配列されており、
    前記工程(b)のカラー印刷の際に、
    前記第1と第2の副走査駆動機構の両方を使用して前記比較的高い精度で副走査送りを実行している間に、前記印刷媒体上における前記ブラックドットとマゼンタドットとシアンドットの形成を完了するとともに、
    前記印刷媒体の後端が前記第1の副走査駆動機構の挟持点を通過した後に前記第2の副走査駆動機構のみによって副走査送りが実行されるときに、前記ブラックドットとマゼンタドットとシアンドットの形成が完了しており前記イエロードットの形成が完了していない領域内において前記第1のドット形成要素アレイに含まれるドット形成要素の中では前記イエロードット形成要素群に含まれるドット形成要素のみを用いて印刷が実行されることを特徴とする印刷方法。
  6. 請求項5記載の印刷方法であって、
    前記工程(b)は、
    前記印刷媒体の後端が前記第1の副走査駆動機構の挟持点を通過した後に前記第2の副走査駆動機構のみによって副走査送りが実行されるときに、前記印刷媒体の後端が前記第1の副走査駆動機構の挟持点を通過する以前の位置において前記第1の副走査駆動機構による副走査送りが実行されるときと同じ送り量で副走査送りを実行する、印刷方法。
  7. 請求項5または6記載の印刷方法であって、
    前記印刷ヘッドは、さらに、
    ブラックドットを形成するためのブラックドット形成要素群を含み、前記第1のドット形成要素アレイと並列に形成されているとともに、前記第1のドット形成要素アレイよりも先行して前記印刷媒体上にドットを形成可能な第2のドット形成要素アレイを備えており、
    前記ブラックドット形成要素群は、前記第1のドット形成要素アレイ内の前記複数のドット形成要素群に含まれるドット形成要素と同じ副走査位置に配置された複数のドット形成要素を少なくとも有しており、
    前記工程(b)は、
    ブラックドットに関しては、前記第1のドット形成要素アレイ内の前記複数のドット形成要素群の中で最も早く前記印刷媒体上でのドット形成が実行可能となる特定の有彩色ドット形成要素群において使用されるドット形成要素と同じ副走査位置に存在するドット形成要素のみを用いてブラックドットが形成される、印刷方法。
  8. 印刷媒体の表面にドットを記録することによって画像を印刷するために、比較的高い精度で副走査送りを行う第1の副走査駆動機構と、少なくとも前記第1の副走査駆動機構による副走査送りが終了した後に、比較的低い精度で副走査送りを行う第2の副走査駆動機構とを備えた印刷装置に用いられる印刷ヘッドであって、
    イエロードットを形成するためのイエロードット形成要素群を少なくとも含みそれぞれ異なる色のドットを形成するための複数のドット形成要素群が、所定の副走査方向に沿って所定の順序で配列された第1のドット形成要素アレイを備え、
    前記第1のドット形成要素アレイ内の前記複数のドット形成要素群は互いに等しい数のドット形成要素をそれぞれ備えており、
    前記第1のドット形成要素アレイにおいて、カラー印刷の際に前記印刷媒体上の任意の位置において、イエロードットが他のドットよりも後に形成されるように前記複数のドット形成要素群の配列順序が決定されているとともに、前記複数のドット形成要素群は互いに等しい数のドット形成要素をそれぞれ備えており、
    前記印刷ヘッドにおいては、カラー印刷の際に前記印刷媒体上の任意の位置において、イエロードットがブラックドットとマゼンタドットとシアンドットよりも後に形成されるように前記複数のドット形成要素が配列されており、
    前記第1のドット形成要素アレイは、前記第1と第2の副走査駆動機構の両方を使用して前記比較的高い精度で副走査送りを実行している間に前記印刷媒体上における前記ブラックドットとマゼンタドットとシアンドットの形成を完了した後、前記印刷媒体の後端が前記第1の副走査駆動機構の挟持点を通過した後に前記第2の副走査駆動機構のみによって副走査送りが実行されるときに、前記ブラックドットとマゼンタドットとシアンドットの形成が完了しており前記イエロードットの形成が完了していない領域内において前記第1のドット形成要素アレイに含まれるドット形成要素の中では前記イエロードット形成要素群に含まれるドット形成要素のみが用いられるように配列されていることを特徴とする印刷ヘッド。
  9. 請求項8記載の印刷ヘッドであって、さらに、
    前記第1のドット形成要素アレイと並列に配列され、ブラックドットを形成するためのブラックドット形成要素群を含む第2のドット形成要素アレイを備えており、
    前記ブラックドット形成要素群は、前記イエロードット形成要素群が配置されている端部とは反対側の端部に配置されている、印刷ヘッド。
  10. 請求項9記載の印刷ヘッドであって、
    前記第1と第2のドット形成要素アレイは、互いに異なる色のドットを形成するための同一数のドット形成要素群をそれぞれ含んでいる、印刷ヘッド。
  11. 請求項9記載の印刷ヘッドであって、
    前記第2のドット形成要素アレイは、前記第1のドット形成要素アレイに含まれるドット形成要素と同じ副走査位置に配置されたブラックドット形成要素を含んでいる、印刷ヘッド。
  12. 請求項9ないし11のいずれかに記載の印刷ヘッドであって、
    前記第1と第2のドット形成要素アレイは、同一のアクチュエータ内に形成されている、印刷ヘッド。
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