JP3707036B2 - ファクシミリ装置とファクシミリの通信制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファクシミリ装置とファクシミリの通信制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリ装置においては、1994年にITU−T(International Telecommunications Union-Tele-communications Standarization Sector)V.34が勧告された。このITU−T勧告V.34(以下V.34とする)はモデムの通信方法の勧告である。この勧告V.34では、回線の特性を測定し、これに照らし合わせて送信するためのパラメータを微妙に調整することで、28,800bpsまでのデータレートを実現するモデムの通信方法を規定する。なお、勧告V.34の正式な題名は、「電話網もしくは1対1の2線式専用線のために使われる、データレートが28,800bit/sまでのモデムの動作」である。
【0003】
また、この勧告V.34を採用したファクシミリ装置は、伝送制御手順をITU−T勧告T.30「一般電話交換網における文書ファクシミリ伝送用手順」の「バイナリ制御手順」に従っている。この「バイナリ制御手順」は、複雑な運用手順を発呼局側と被呼局側とで相互に確認するために、データ伝送用に開発されたハイレベルデータリンク制御(HDLC)のフレーム構成を用いる。
【0004】
なお、上記勧告V.34を採用したファクシミリ装置は、ITU−T勧告V.8(以下、V.8とする)の機能を備えている。この勧告V.8は、モデムの接続シーケンスを規定する。即ち、通信する相互のモデム同士が、どの勧告(モード)に沿った通信方法で通信するかを決める方法である。勧告V.34の前手順として勧告V.8の方法を必ず行うので、勧告V.34を採用するモデムでは勧告V.8の機能を有している。
【0005】
以下に、勧告V.8及びV.34(以下単にV.8、V.34と表現する)の機能を備えたモデムを採用しているファクシミリ装置について説明する。
【0006】
V.8及びV.34の機能を備えたモデムを採用したファクシミリ装置においては、発呼局から被呼局に情報を送信する場合、回線接続後、ITU−T勧告T.30Fax Handshakingの手順を行う前に、所定のシーケンスを行う。このシーケンスでは、発呼局のモデムと被呼局のモデムとが、CPU(中央処理装置)を介さずにモデム自身でネゴシエーション(伝送モードを決めるまでの発呼局と被呼局とのやり取り)を行う。この発呼局のモデムと被呼局のモデムとがネゴシエーションを行うシーケンスが、以下に示すV.34フェーズ2である。
【0007】
V.8及びV.34の機能を備えたモデムは、V.8フェーズ1と、V.34フェーズ2からフェーズ4までの合わせて4つのフェーズ処理を行う。この4つのフェーズの中で回線特性の補正や変調パラメータの決定が行われる。この各フェーズで行われることがV.34の主な動作になる。
【0008】
次にV.34フェーズ2について説明する。V.34フェーズ2では、ラインプロービングとモデムの持っている変調オプションを交換することで、V.34の基本的設定を行う。まず、V.8フェーズ1で、発呼局モデムと被呼局モデムの接続が開始される。そしてその後、V.34フェーズ2が開始される。このV.34フェーズ2では、V.8によりV.34で通信することが確定した後、すぐに発呼局と被呼局双方のモデムが持っている変調オプションを交換し合う。その後で原稿の送信側がラインプローブ信号を送信し、ラインプローブ信号によって測定された回線特性とINFOデータの内容によって、シンボルレート、プリエンファシスの有無、使用可能なデータレート、キャリア周波数、各送信機の送出レベルを交換する。そして次のV.34フェーズ3に移る。
【0009】
このV.34フェーズ2においては、モデム自身でネゴシエーションを行うので、ネゴシエーションが不可能であった場合には、リトレーニングをモデムが自動的に行う。回線が細く信号が通り難かったり、ノイズが発生しやすい回線であって回線状況が悪いと、モデムのネゴシエーションが不可能となる。そのような場合には、ネゴシエーションが成立するまで半永久的にモデムはリトレーニングを繰り返す。
【0010】
ファクシミリ装置に内蔵されたCPUは、モデムのネゴシエーションに介在することが不可能なため、モデムが半永久的にリトレーニングを繰り返す恐れがある。これを防止するために、V.34フェーズ2内にタイマを使用している。そして、所定時間内にV.34フェーズ2を抜けることができない場合には、CPUが回線切断処理を行い、通信エラーとするように設定されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記ファクシミリ装置においては、V.34フェーズ2において、回線状況が悪く、発呼局のモデムと被呼局のモデムとでネゴシエーションができずに通信エラーとなった場合、その後リダイヤル(再送信)で再度V.34通信を行ったとしても、回線状況が悪いままの状態では通信エラーとなってしまう場合があった。
【0014】
〈構成4〉
構成1または2または3に記載のファクシミリ装置において、送信すべき画像情報を予め蓄積しておく画像メモリを備え、制御手段は、通信エラーが発生したとき上記画像メモリの内容を保存し、リダイヤル処理後、新たな伝送モードが選択されて通信が開始されたとき、上記画像メモリの内容を読み出して送信することを特徴とするファクシミリ装置。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
回線と接続されて通信を行うモデムと、通信すべき画像情報を保持しておく画像メモリと、該モデムの動作と該画像情報の送受信を制御する制御手段と、通信エラーの原因を示す通信管理情報を格納する通信管理情報蓄積手段とを備え、前記制御手段は、前記通信管理情報の通信エラーに応じて再接続が可能と判断したときには、前記画像情報を保存したままとして前記通信管理情報の通信エラーに応じたリダイヤル制御を行い、新たな通信が開始されたときには、前記画像情報を読み出して送信し、リダイヤル処理を繰り返しても通信エラーが発生するときには、前記画像情報の保存を解除してリダイヤルを中止することを特徴とするファクシミリ装置。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、具体例毎に、各図面に共通な要素には同一の符号を付す。
本実施の形態に示す発呼局側のファクシミリ装置(以下発呼局とする)及び被呼局側のファクシミリ装置(以下被呼局とする)は、V.8及びV.34の機能を備えたモデムを採用している。また、伝送制御手順をITU−T勧告T.30「一般電話交換網における文書ファクシミリ伝送用手順」の「バイナリ制御手順」に従って行うものとする。
【0027】
なお、モデムの通信プロトコルを定める規定には、V.34以外にも、ITU−T勧告V.17、ITU−T勧告V.29、ITU−T勧告V.27ter(以下それぞれV.17、V.29、V.27terとする)等がある。V.34は、発呼局と被呼局とが回線接続後、ITU−T勧告T.30Fax Handshakingの手順を行う前に、発呼局のモデムと被呼局のモデムとが、CPUを介さずにモデム自身でネゴシエーションを行う。一方、V.17、V.29、V.27terは、回線接続後、直ちに勧告T.30Fax Handshakingの手順へと移り、この手順の中でCPUの指示を受けて、発呼局のモデムと被呼局のモデムとがネゴシエーションを行う。
【0028】
V.34はモデム同士のみでネゴシエーションを行うので、データレートを他のモデムよりも高速化することができるという利点がある。一方、V.34以外では、CPUを介してモデム同士のネゴシエーションを行い、データレートがV.34よりもV.17、V.29、V.27terの順序で低下するから、回線状況が悪くても通信を行うことができる利点がある。なお、V.17、V.29、V.27terの最高データレートは、それぞれ14,400bps、9,600bps、4,800bpsとなっている。
【0029】
〈具体例1〉
以下、ファクシミリ装置の構造について説明する。
図1は、具体例1のファクシミリ装置のブロック図である。
【0030】
図1において、一点鎖線で示す発呼局側のファクシミリ装置1(以下発呼局とする)には、送信原稿2A上の情報を読み取るスキャナ2と、被呼局から受信した情報を受信コピー3A上に記録するプリンタ3と、スキャナ2で読み取った情報を処理し、画像情報としてラインメモリ4へと送信する読取り処理部5aと、ラインメモリ4から受信した印刷すべき画像情報を処理し、プリンタ3へと送信する記録処理部5bとが設けられている。なお、読取り処理部5aと記録処理部5bとで読取・記録処理部5が構成されている。
【0031】
発呼局1にはまた、被呼局に送信すべき画像情報を、データ圧縮モードに応じてラインメモリ4から読み出しを行いながら画信号に圧縮すると共に、被呼局から受信し、処理された画信号を復元する画像情報圧縮・復元部6と、画像情報圧縮・復元部6で圧縮された画信号がアドレス/データバス7を介して送信され、送信バッファとなって画信号を記録する通信バッファ用RAM(ランダムアクセスメモリ)8と、通信バッファ用RAM8に記録された画信号をモデム・NCU(ネットワークコントロールユニット)インタフェース9を介して送信し、該送信すべき画信号及び制御信号を変調すると共に、被呼局から画信号及び応答信号を受信すると、該画信号及び応答信号を復調するモデム10と、NCU17とが設けられている。
【0032】
なお、上記通信バッファ用RAM8は、被呼局からの受信時には、受信バッファとなり、モデム10で復調された画信号及び応答信号を格納する。該格納された画信号及び応答信号は、アドレス/データバス7を介して画像情報圧縮・復元部6へと送信される。また、モデム10は、V.8及びV.34の機能を備えたモデムである。
【0033】
発呼局1には更に、発呼局1全体のシステム制御及び各信号の流れの管理、通信制御、網制御の総括コントロール等を行うCPU(制御手段)11と、CPU11のプログラムデータを格納するプログラム用ROM(リードオンリメモリ)12と、後述する通信エラーフラグビットや、発呼する電話番号を格納する通信管理情報蓄積用RAM13と、インタフェース14を介してアドレス/データバス7と接続された機構制御部15及び操作・表示部16が設けられている。
【0034】
なお、機構制御部15はドライバや媒体検知センサ等の制御をCPU11からの指示に従って行う。また操作・表示部16はマンマシンインタフェース機能を持ち、ファクシミリ通信に伴う主な機器の操作内容(動作指示)をCPU11に伝え、また機器の状態表示内容をCPU11から受信し、図示せぬパネルに表示する。
【0035】
次に発呼局1と被呼局との送受信手順の方法について説明する。
図1に示す発呼局1から被呼局へ制御信号を送信する場合には、制御信号がCPU11からアドレス/データバス7、モデム・NCUインタフェース9を介してモデム10に送信される。そして、モデム10で変調されNCU17を介して電話回線に送り出され、被呼局へと送信される。
【0036】
一方、被呼局から電話回線を介して制御信号を受信した場合には、制御信号は、NCU17を介してモデム10に受信され、モデム10で復調され、モデム・NCUインタフェース9及びアドレス/データバス7を介してCPU11で受信される。
【0037】
なお、発呼局が被呼局と回線接続された後、データを送信するためのITU−T勧告T.30Fax Handshakingの手順を行う前に、V.8及びV.34の機能を備えたモデム10は、V.8フェーズ1と、V.34フェーズ2からフェーズ4までの合わせて4つのフェーズ処理を行う。この4つのフェーズの中で回路特性の補正や変調パラメータの決定が行われる。
【0038】
以下、4つのフェーズのうち、V.8フェーズ1と従来の技術に詳説したV.34フェーズ2における、被呼局と送受信動作を行うときの発呼局1の動作について図1に示す図面を参照し、図2、図3、図4に示すフローチャートに従って説明する。図2、図3、図4は実施の形態の発呼局の処理手順を示すフローチャートである。
【0039】
まず、オペレータが被呼局の電話番号を操作・表示部16から入力する。すると、入力された電話番号が、インタフェース14、アドレス/データバス7を介してCPU11に送信される。
【0040】
ステップS1でCPU11は、通信管理情報蓄積用RAM13内のリダイヤル電話番号格納エリアに発呼する電話番号を格納する。
【0041】
ステップS2でCPU11は発呼処理を行う。ステップS3でCPU11はCNG信号(発呼トーン)を送信する。CNG信号は電話回線を介して被呼局へ送信される。ステップS4でCPU11は、被呼局からANSam(Answer Tone)信号を持つ。このANSamを受信すると、被呼局のモデムがV.8通信が可能なモデムであると判断してステップS5に進み、「否」ならば、ステップS18に進む。
【0042】
ステップS5でCPU11は、自分の持っている変調モードを知らせるCM(Call Menu Signal)信号を被呼局へ送信する。すると、被呼局は共通する変調モードのみを有効にして、CM信号と同じフォーマットでJM(Joint Menu Signal)信号として発呼局に返す。ステップS6でCPU11はJM信号を検出し、これにより有効な変調モードを確認することができる。ステップS7でCPU11は、JM信号から、被呼局がV.34全二重モードであるか否かを判断する。この例に示すファクシミリ装置はV.34半二重モードであるので、V.34全二重モードである場合には、ステップS17に進み、回線切断処理を行い、処理を終了する。一方、「否」の場合は、ステップS8に進み、JM信号を受けたことを示す、すべて「0」であるシングルオクテットの信号、即ちCJ(Call Joint Signal)信号を被呼局に送信する。
【0043】
以上ステップS3からステップS8までがV.8フェーズ1である。そして、75msec(millisecond)の後、モデム10はV.34フェーズ2に入る。ステップS9で、CPU11はV.34フェーズ2のタイマをスタートし、フェーズ2が開始される。
【0044】
ステップS10で、CPU11はV.34フェーズ2が終了すれば、ステップS11に進み、V.34フェーズ3へと進み、V.34通信制御をそのまま継続する。
【0045】
V.34フェーズ2は、ステップS12でV.34フェーズ2がタイムアウトとなるまで継続されるが、V.34フェーズ2がタイムアウトとなってもまだV.34フェーズ2が終了しないのならば、ステップS13に進む。ステップS13でCPU11は、通信管理情報蓄積用RAM13内に格納されている、V.34通信エラーフラグビットを「1」にして、再び通信管理情報蓄積用RAM13内に格納する。
【0046】
なお、ステップS12で、V.34フェーズ2がタイムアウトとなっても、V.34フェーズ2が終了とならないのは、回線状況が悪いためであると考えられる。
【0047】
ステップS14でCPU11は回線切断処理を行い、ステップS15で通信エラー処理を行う。そして、ステップS16でリダイヤル送信制御を行うための準備をし、リダイヤル送信制御へと移る。
【0048】
なお、上記ステップS4からステップS18に進んだ場合、ステップS18で、CPU11は被呼局からNSF(非標準機能)信号、CSI(被呼端末識別)信号、DIS(ディジタル識別)信号を受信したことを検出したならば、ステップS19に進み、「否」ならばステップS28に進む。なお、上記CSI信号は、オプショナル信号であるので、必ずしも送信されてくるとは限らない。
【0049】
ステップS18からステップS28に進むと、予め設定されたT1がタイムアウトとなるまで、CPU11は、上記ステップS3、ステップS4、ステップS18、ステップS28の処理を繰り返し、被呼局からの信号を待つ。
【0050】
ステップS28で、T1がタイムアウトとなっても被呼局から信号を受信しなければ、ステップS29に進み、CPU11は回線切断処理を行い、ステップS16へと進む。なお、ステップS28からステップS29に進むのは、被呼局が「話中」の場合である。
【0051】
一方、ステップS18で、CPU11が被呼局からNSF信号、CSI信号、DIS信号を受信したことを検出すると、CPU11はNSF信号、CSI信号、DIS信号を解析し、被呼局のモデムの能力、即ち通信能力を調べる。そして、ステップS19でV.34の通信能力があるモデムであった場合には、ステップS20に進み、被呼局にCI(Call Indicator Signal)信号を送出し、ステップS4に戻る。一方、ステップS19で「否」の場合には、ステップS21に進む。ステップS21で、V.17の通信能力があるモデムであった場合には、ステップS22に進み、V.17の送信制御へ移行する。一方、ステップS21で「否」の場合には、ステップS23に進む。ステップS23で、V.29の通信能力があるモデムであった場合には、ステップS24に進み、V.29の送信制御へ移行する。一方、ステップS23で「否」の場合は、ステップS25に進む。ステップS25で、V.27terの通信能力があるモデムであった場合には、ステップS26に進み、V.27terの送信制御へ移行する。一方、ステップS25で「否」の場合は、ステップS27に進み、CPU11は回線切断処理を行い、処理を終了とする。
【0052】
次に、上記フローチャートにおいて、ステップS16でリダイヤル送信制御へと進んだ場合の処理について、図5〜図7に示すフローチャートに従って説明する。
図5、図6、図7は、この具体例1によるのリダイヤル時の発呼局の処理手順を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS41でCPU11は、通信管理情報蓄積用RAM13内のリダイヤル電話番号格納エリアから、発呼先の電話番号を読み込む。ステップS42でCPU11はリダイヤル発呼処理を行う。ステップS43でCPU11はCNG信号(発呼トーン)を送信する。CNG信号は電話回線を介して被呼局へ送信される。
【0054】
すると、ステップS44でCPU11は、被呼局からANSam信号を待つ。このANSamを受信すると、被呼局がV.8通信が可能なモデムであるとしてステップS45に進み、「否」ならば、ステップS60に進む。
【0055】
ステップS45でCPU11は、通信管理情報蓄積用RAM13からV.34通信エラーフラグビットを読み込む。ステップS46でCPU11は、V.34通信エラーフラグビットが「1」であるか否か判断し、「1」であればステップS60に進み、「否」ならばステップS47に進む。
【0056】
ステップS47からステップS59までは、図2に示すフローチャートのステップS5からステップS17までの処理と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0057】
なお、ステップS46からステップS47に進む場合は、被呼局へV.8,V.34通信が可能である。このケースは、第1回目に発呼処理したときに被呼局が「話中」であり、リダイヤル発呼処理になって、「話中」が解除された場合である。
【0058】
一方、ステップS44からステップS60に進んだ場合、ステップS60で、CPU11は被呼局からNSF信号、CSI信号、DIS信号を受信したならば、ステップS61に進み、「否」ならばステップS73に進む。また、ステップS46で、V.34通信エラーフラグビットが「1」であり、ステップS60に進んだ場合には、被呼局から自動的にNSF信号、CSI信号、DIS信号が送信されてくるように予め設定されている。
【0059】
ステップS60で、CPU11は被呼局からNSF信号、CSI信号、DIS信号を受信したことを検出すると、ステップS61に進む。
【0060】
一方、上記ステップS60からステップS73に進むと、予め設定されたT1がタイムアウトとなるまで、CPU11は、上記ステップS43、ステップS44、ステップS60、ステップS73を繰り返し、被呼局からの信号を待つ。
【0061】
ステップS73で、T1がタイムアウトとなっても、被呼局から信号を受信しなければ、ステップS74に進み、回線切断処理を行い、そして、ステップS58に進み、リダイヤル送信制御を行うための準備をし、ステップS41に戻る。なお、ステップS73からステップS74に進むのは、被呼局が「話中」の場合等である。
【0062】
ステップS60で、CPU11がNSF信号、CSI信号、DIS信号を受信したことを検出すると、各信号を解析し、被呼局のモデムの能力、即ち通信能力を調べる。そして、ステップS61で、被呼局にV.34の通信能力があり、且つV.34通信エラーフラグビットが「0」である場合には、ステップS62に進み、被呼局にCI信号を送出し、ステップS44に戻る。一方、ステップS61で「否」の場合にはステップS63に進む。ステップS63で、被呼局にV.17の通信能力がある場合には、ステップS64に進み、V.34通信エラーフラグビットを「0」にクリアし、通信管理情報蓄積用RAM13に格納する。そして、ステップS65に進み、V.17の送信制御へ移行する。(モデム10の伝送モードをV.17の送信制御用に変更し通信を行う。)
【0063】
一方、ステップS63で「否」の場合は、ステップS66に進む。ステップS66で、被呼局にV.29の通信能力がある場合には、ステップS67に進み、V.34通信エラーフラグビットを「0」にクリアし、通信管理情報蓄積用RAM13に格納する。そして、ステップS68に進み、V.29の送信制御へ移行する。
【0064】
一方、ステップS66で「否」の場合は、ステップS69に進む。ステップS69で、被呼局にV.27terの通信能力がある場合には、ステップS70に進み、V.34通信エラーフラグビットを「0」にクリアし、通信管理情報蓄積用RAM13に格納する。そして、ステップS71に進み、V.27terの送信制御へ移行する。
【0065】
一方、ステップS69で「否」の場合は、ステップS72に進み、V.34通信エラーフラグビットを「0」にクリアし、通信管理情報蓄積用RAM13に格納する。そして、ステップS59に進み、CPU11は回線切断処理を行い、処理を終了する。
【0066】
なお、図4に示すステップS21、ステップS23、ステップS25、図6に示すステップS63、ステップS66、ステップS69に示す順序で、被呼局のモデムの通信能力が順に低下していく。それ故、可能な限り高速に送信することができるように、処理の順序を決めている。
また、図3のステップS16でリダイヤル送信制御となった場合、自動的に図5に示すフローチャートの処理が開始され、リダイヤル発呼処理が始まる。
【0067】
このときの送信方法は、フィーダー送信の場合であってもメモリ送信の場合であっても変わらない。即ち、フィーダー送信の場合であっても、まだ原稿を読み込む前であればリダイヤルを実行し、自動的に装置にセットされた原稿を読み込み、1ページ目の送信から処理を開始することができる。また、メモリ送信であれば問題なくリダイヤル処理後に全ての原稿の送信を自動的に開始できる。
【0068】
〈具体例1の効果〉
ITU−T勧告V.34で規定された機能によれば、発呼局のモデムと被呼局のモデムとの間で制御手段の制御無しにトレーニングを行って、データレート決定のための独自のネゴシエーションを実行する。そのネゴシエーションが成立しないで通信エラーによる回線切断処理が行われたとき、通信管理情報蓄積手段がその通信管理情報を格納して保存する。通信エラーの原因を明らかにして、リダイヤル処理後の制御方法を決定するためである。このような場合に、その後リダイヤル処理を実行するとき、制御手段は、ITU−T勧告V.34によるモデム独自のネゴシエーションを排除する。そして、制御手段がモデムを制御するネゴシエーションを実行し、制御手段の判断によって、ITU−T勧告V.17、V.29、V.27terといった通信能力による伝送モードを選択する。
【0069】
以上の構成によれば、リダイヤル処理後再度モデム独自のネゴシエーションを行って通信エラーを繰り返すといった動作を未然に防止できる。
また、リダイヤル後、V.34通信が不可能な回線状況であっても、他の伝送モードを用いて確実に通信を行うことが可能になる。
【0070】
以上のようにして、被呼局がV.34通信を行うことが可能なモデムを備えている場合に、回線状況が悪くて通信エラーになると、自動的にリダイヤル発呼処理を行い、V.34で失敗したという履歴表示(フラグ)を残しておく。リダイヤル時には被呼局のモデムの能力に合わせて、V.34以外のモデムの伝送モードで送信制御を行うことにしたので、V.34通信が不可能な回線状況であっても、確実に発呼局と被呼局との通信を行うことが可能となる。
【0071】
また、モデムの能力の変更は回線状況に合わせて選択可能となっている、即ち可能な限り高速で送信できるようにモデムの伝送モードが選択されるので、そのときの回線状況で最高の伝送モードでの通信が可能となる。
【0072】
〈具体例2〉
具体例1では、モデムが主としてラインプロービングを行って通信エラーを生じた場合について、そのリダイヤル時の動作モードの最適化を図るようにした。しかしながら、実際に正常に通信が開始された後も、同様の問題が生じ得る。即ち、モデムが、独自のネゴシエーションを行ってそのネゴシエーションが成立し、通信が開始された後、通信エラーで回線切断処理が行われることがある。
このような場合も、ネゴシエーションが成立しなかった場合に準じて、具体例1と同様の制御を行えば、通信エラーを繰り返すのを防止できる。
【0073】
図8に、ファクシミリ装置の通信シーケンスチャートを示す。
ファクシミリ装置は、この図の左上から右下に向かって一定の通信手順を実行し、原稿のイメージを送信する。この手順については、既に従来技術の部分で詳細に説明をしたので、ここでは簡単に触れ、具体例2の要点を説明する。
【0074】
まず、発呼処理を行うと、フェーズ1のネットワーク(回線)への接続が行われる。そして、フェーズ2で、既に説明したラインプロービングが行われ、フェーズ3では、プライマリチャネルでのトレーニングが行われる。そして、フェーズ4では、変調パラメータの交換が行われる。次に、T.30のファックスハンドシェーキング(Fax Handshaking)が行われる。ここで手順信号データの交換が終わると、1ページ分のデータ送信に移る。
【0075】
第1ページのデータ送信は、プライマリチャネルにおいて行われる。また、ファクシミリ送信の場合、1ページ分のデータ送信が終わると、再びT.30Fax Handshakingが行われる。この部分をコントロールチャネルと呼ぶ。このコントロールチャネルは、複数枚の送信を行うときは、1ページ送信毎に設けられる。
【0076】
コントロールチャネルにおけるT.30Fax Handshakingは、2,400bpsあるいは1,200bpsの通信速度で行われる。従って、手順信号データの交換を300bpsで行う他の伝送モード、例えばV.17,V.29等に較べて信頼性が低い。また、このコントロールチャネルでもモデム自身がCPU11の制御によらず独自のネゴシエーションを行う。そして、ネゴシエーションができない場合には、リトレーニングを行うが、これが成立しないと通信エラーとなる。従って、具体例1の場合と同様の問題が生じる。
【0077】
なお、通信開始後にリダイヤルを行う場合には、自動的に全ての送信原稿のイメージを再送することが必要になる。従って、予め全ての原稿の画像情報を画像メモリに予め蓄積しておくいわゆるメモリ送信を行うことが好ましい。この画像情報は、図1に示した通信バッファ用RAM8に格納される。即ち、図1に示したスキャナ2で読み取られた画像情報は、読取り処理部5aを経て、一旦ラインメモリ4に記憶される。
【0078】
その後、画像情報圧縮・復元部6のデータ圧縮モードに応じて、ラインメモリ4から画像情報が読み出され、圧縮処理される。このデータは、アドレス/データバス7を通じて通信バッファ用RAM8に蓄積される。こうして、全ての送信原稿について、画像情報を通信バッファ用RAM8に蓄積した後、その画像情報を順次読み出して送信する。その他の部分についての装置構成は具体例1と変わるところはなく、重複する説明を省略する。
【0079】
次に、具体例2についての動作を説明する。
図9と図10には、具体例2の発呼局の処理手順を示すフローチャート(その1)、(その2)を示す。
なお、具体例2は、その処理が新たにステップS1より開始しており、これらのステップ表示は具体例1のフローチャートとは対応していない。即ち、具体例2独自のステップを示している。
【0080】
まず初めに、オペレータが電話番号を操作・表示部16に入力すると、CPU11はその情報をインタフェース14を経て認識する。続いて、ステップS1で、CPU11は、通信管理情報蓄積用RAM13のリダイヤル電話番号格納エリアにリダイヤルの際発呼する電話番号を格納する。その後、ステップS2で、CPU11は、送信原稿2Aをスキャナ2を用いて読み取る。読み取られた画像情報は、読取り処理部5a、ラインメモリ4、画像情報圧縮・復元部6を経て、通信バッファ用RAM8に格納される。
【0081】
次に、ステップS3で、CPU11は、発呼処理を行う。更に、CPU11は、ステップS4で、CNG信号を送出し、ステップS5で、ANSam信号を待つ。このANSam信号を受信すると、被呼局のモデムがV.8通信の可能なモデムであると判断する。この場合には、ステップS6に進む。一方、被呼局のモデムがV.8通信の不可能なモデムと判断すると、ステップS11に進む。
【0082】
ステップS6で、CPU11は、自分の持っている変調モードを知らせるCM信号を被呼局へ送信する。被呼局は、発呼局の変調モードに対してどれが有効かを提示するJM信号を発呼局に送出する。ステップS7で、CPU11は、このJM信号を検出する。その後、ステップS8で、CJ信号を送出する。更に、ステップS9に進み、モデム10は、V.34フェーズ2の処理に進む。
【0083】
V.34フェーズ2の処理では、発呼側と着呼側のモデムが変調オプションを交換し合い、ラインプロービング信号により回線特性を測定し、シンボルレート、プリエンファシスの有無、使用可能なデータレート、キャリア周波数、各送信機の送出レベルに関する情報を交換する。その後、次のステップS10に移る。
【0084】
ステップS10では、モデム10が、V.34フェーズ3を実行する。V.34フェーズ3では、シンボルレートとキャリア周波数から、イコライザとエコーキャンセラのトレーニングを行う。こうして、図10に示すステップS14に進む。
【0085】
このステップS14で、モデム10は、コントロールチャネルの動作に移る。コントロールチャネルの先頭部分では、実質的に通信に使用される変調パラメータを交換し、トレーニングを行う。これによって、通信できるデータレートを決定する。ステップS14で、CPU11は、コントロールチャネル用タイマをスタートさせる。そして、ステップS15で、CPU11は、モデム10が変調パラメータの交換とトレーニングを終了してデータモードに進んだかどうかをチェックする。データモードに進むと、次はステップS16を実行する。
【0086】
ステップS16で、CPU11は、ITU−TのT.30に従って手順信号を被呼局との間で送受信する。そして、その手続が完了すると、ステップS17に進む。ここで、未送信の画像情報が1ページ以上メモリ内に存在するかどうかを判断する。メモリに送信用画像データが蓄積されていればステップS18に進む。そして、ステップS18では、この画像情報をプライマリチャネルデータとして、1ページ分被呼局に送信する。
【0087】
送信が終了すると、ステップS14に戻り、ステップS14〜ステップS18までの処理を繰り返し、全てのページについての送信を実行する。全てのページの送信が終了すると、ステップS17からステップS19に進み、回線の切断処理を行ってファクシミリ送信を終了する。
【0088】
各ページが送信される度に、コントロールチャネルが実行されるが、コントロールチャネルが開始される度にコントロールチャネル用タイマがスタートする(ステップS14)。そして、コントロールチャネル用タイマがタイムアウトになっても、ステップS15において、コントロールチャネルのデータモードに移行しない場合やステップS16において、コントロールチャネルのデータ送受信が完了しないような場合には、何らかの障害が発生したものとしてステップS21に進む。
【0089】
そして、ステップS21において、通信管理情報蓄積用RAM13内のV.34通信エラーフラグビットを“1”にして格納する。このエラーフラグビットは、モデムがコントロールチャネルにおいて、独自のネゴシエーションを行い、通信エラーが生じたことを表すフラグである。このような通信エラーが生じるのは、例えば通信開始後、回線状況が悪化した場合が考えられる。ステップS22では、回線切断処理が行われ、ステップS23で、通信エラー処理を行い、更にステップS24のリダイヤル送信制御へ進む。
【0090】
なお、図9のステップS5において、ANSam信号を受信しない場合には、ステップS11に進む。これ以降の処理は、既に図2を用いて説明したものと同様である。図9のステップS11は、図2のステップS18に対応し、図9のステップS12は、図2のステップS28に対応する。また、図9のステップS13は、図2のステップS29に対応する。更に、ステップS11でイエスと判断された場合には、図4に示した処理が実行される。そして、図4のステップS20の処理を終了すると、図9のステップS5に戻る。その他の処理は、図4で示した通りとなる。
【0091】
一方、リダイヤル送信制御が実行される場合は、実質的に具体例1で説明した図5〜図7までの処理と同一となる。即ち、図1に示した通信管理情報蓄積用RAM13のリダイヤル電話番号格納エリアから発呼元の電話番号を読み込んでリダイヤル処理が実行される。そして、通信エラーフラグビットを読み込む。これが“1”の場合には、図6に示したステップS63以降の処理によってモデム独自のネゴシエーションを排除し、CPU11が介在するネゴシエーションが実行される。
【0092】
こうして、伝送モードが決定されると、図1に示した通信バッファ用RAM8に格納した送信原稿についての画像情報を読み出し、全ての画像情報の送信を実行する。この送信手順等は、V.17、V.29、V.27terに規定された通りの手順で実行される。
【0093】
〈具体例2の効果〉
上記のように通信が開始された後、コントロールチャネルにおいて、モデムが独自のネゴシエーションを行って通信エラーが生じたとき、具体例1と同様の制御を行えば、回線状況が悪化しているとしても、通信エラーを繰り返すのを防止できる。
なお、通信が開始された後に通信エラーが生じて、自動的にリダイヤル処理を実行する場合には、送信原稿の画像情報が既にメモリに格納されていることが好ましい。これで、通信再開後もオペレータの介在無しに必要な全ての通信を自動継続できるという効果がある。
【0094】
〈具体例3〉
通信エラーの発生原因によっては、リダイヤル処理をしても再接続が不可能な場合がある。その場合には、リダイヤル処理を止めたり、画像メモリの内容を保存しないでおけば、無駄なリダイヤル処理を防止して、画像メモリを有効に利用できる。
被呼局の機能上通信ができないきは、再接続できないからこれに該当する。
繰り返し通信エラーが発生するときも同様である。
オペレータによる強制的な回線切断は、再接続できない特別の理由によることが多い。
【0095】
更に、通信エラーの原因に応じて、すぐにリダイヤル処理を実行すれば再接続可能な場合と、しばらく待機してからリダイヤル処理を実行したほうがよい場合がある。これを判断して待機時間を設定すれば、無駄なリダイヤル処理と通信エラーの繰り返しを防止できる。
【0096】
通信エラーの原因によっては、リダイヤル処理を繰り返せば再接続可能な場合と、リダイヤル処理を繰り返しても再接続が不可能な場合とがある。これを判断して、リダイヤル処理を繰り返す制限回数を設定すれば、無駄なリダイヤル処理と通信エラーの繰り返しを防止できる。
【0097】
こうした通信エラーに基づくリダイヤル制御を完了するまでは、通信エラーの原因を表示する情報を通信管理情報蓄積手段に保持しておき、これをいつでもCPU11が参照できるようにしておくことが好ましい。通信エラーに基づくリダイヤル制御を完了するのは、リダイヤル処理により再接続されてその通信が完了するか、リダイヤル処理が中止されたときである。
【0098】
以上のような観点にもとづいてなされた具体例3の発明の説明をする。
図11は、具体例3のパラメータ説明図である。
具体例3を実施するにあたっては、図1に示した通信管理情報蓄積用RAM13に、この図に示すような各種のパラメータを記憶する。この図に示すように、通信管理情報蓄積用RAM13には、エラーコード記憶部21、リダイヤル回数格納部22、リダイヤル間隔格納部23、リダイヤル有無表示部24及び通信結果格納部25が設けられる。
【0099】
エラーコード記憶部21には、後で説明するような内容のエラーコードが記憶される。エラーの種類を表示するためである。リダイヤル回数格納部22には、通信エラーが生じた後、何回リダイヤルをするかという回数が格納される。ここには、製品出荷時に適当なデフォルト値が記憶される。また、オペレータによって入力された任意の数値が記憶される。この具体例では、通信結果の如何によって自動的にCPU11がこの回数を決定する。
【0100】
リダイヤル間隔格納部23には、「話中」等によってリダイヤルを失敗した場合に、何分おきにリダイヤルを実行するかといった指示を格納する。これもCPU11によって通信結果に応じて設定される。リダイヤル有無表示部24は、リダイヤルをすべきかどうか、例えばリダイヤルをしても無駄な場合にはリダイヤルをしないといった表示データを格納する部分である。
【0101】
通信結果格納部25には、正常終了の場合には正常終了、通信エラーの場合にはどういった原因でエラーが生じたかといった情報が格納される。この情報には、さらに、例えば相手方ファックス番号、送信の線密度、圧縮方式、誤り訂正機能の有無、伝送時のデータレート、その他各種の情報が付加される。これらの情報によって、通信エラーがどういった原因で発生し、その通信エラーが発生した場合には、リダイヤル回数を何回にし、リダイヤル間隔を何分にすればよいかといった判断を行うことが可能になる。
【0102】
図11中の破線に示した矢印は、通信管理情報蓄積用RAM13に記憶された各種のパラメータを利用して、CPU11が所定の処理を行う際の手順を示す。即ち、Xは、通信結果格納部25に格納された内容に基づいてエラーコードを生成する処理である。その生成した結果得られたエラーコードがエラーコード記憶部21に記憶される。
【0103】
また、Yは、エラーコード記憶部21に記憶されたエラーコードに基づいてCPU11がリダイヤル回数、リダイヤル間隔、リダイヤルの有無等を決定し、これらをリダイヤル回数格納部22、リダイヤル間隔格納部23及びリダイヤル有無表示部24に格納するためのリダイヤル判定処理を示している。
【0104】
図12には、エラーコード生成処理とリダイヤル判定処理の説明図を示す。
この図の最も左の欄には、通信が成立しない状態の種類を示す。また、その右側の欄には、判断要素を示す。そして、その更に右側には、エラーコードの例を示す。CPU11は、判断要素に従って、図の左側に示すような状態であることを認識し、その右側に示すようなエラーコードを生成する。そして、そのエラーコードに基づいて、リダイヤルの有無やリダイヤル間隔、リダイヤル回数等が決定される。
【0105】
例えば、受信側が通話中でビジートーンが検出された場合には、エラーコードを“1111”とする。この場合、リダイヤル有りとする情報をリダイヤル有無表示部24に格納すると共に、リダイヤル間隔やリダイヤル回数を、例えばオペレータの設定したままあるいはデフォルトの状態にしておく。次に、エラーが頻発して通信が切断された場合を考える。これは、例えば回線不良が原因と考えればよい。このときには、CPU11がエラー原因を調べるポストコマンドを発するとRTNが受信される。このような場合には、エラーコードを“3210”とする。この場合、リダイヤルを行うとするものの、回線不良が回復する時間を考慮すると、リダイヤルの間隔をあまり短くするのは好ましくない。
【0106】
そこで、例えばリダイヤル間隔を5分とする。更に、数回リダイヤルを行っても状況が変わらない場合には、回線が直ちに復旧する見込みがないと判断してよい。そこで、リダイヤル回数は3回程度に設定する。
【0107】
次に、トレーニング中のエラーによって、2,400bpsといった最低の通信速度でも通信エラーになった場合を考える。この場合には、これ以上FTTフォールバックができない。回線状態が悪くなければ、そのまますぐに再接続が可能とも予想できる。このときは、エラーコードを、例えば“2345”とする。そして、必要最小限の時間だけ間隔を空けてリダイヤルを実行する。従って、リダイヤル間隔を3分とする。また、この場合には、通信が成立するまでリダイヤルを繰り返せばよいから、例えばリダイヤル回数を5回に設定する。
【0108】
今度は、例えば受信側が、受信中に紙詰まりや紙無しで受信続行不能になった場合を考える。あるいは受信側が受信中に停電によってパワーオフになった場合を考える。これは、ポストコマンドに対して3回とも無応答であるといった状態で判断できる。このときは、エラーコードを“3111”とする。こうした場合、受信側で受信用紙をセットする時間やあるいは停電が回復するまでの時間を考慮すると、短時間でリダイヤルをしても無駄となる。そこで、リダイヤルの間隔を15分というように長い時間に設定する。
【0109】
また、それだけ間隔を空けてリダイヤルを行っても、更に接続が不可能な場合には、他の原因により容易に回復できないことも考えられる。そこで、無駄なリダイヤルを防止するために、リダイヤル回数を2回と限定する。
【0110】
次に、送信中に送信側が停電した場合を考える。この場合は、エラーコードを“3500”にする。リダイヤルは停電が回復すればすぐに実行すればよい。リダイヤル回数は自由に設定すればよい。
【0111】
次に、受信機がパワーオフのため呼び出しに応じない、あるいは受信側が電話機のため音声が返ってきたというような場合、呼接続待ちタイムアウトという状況でこの状態が判断できる。このときは、エラーコードを“12AA”とし、リダイヤルをしないと決定する。即ち、リダイヤルをしても必ずしも受信側で正しい応答が行われないと判断されるからである。
【0112】
また、発呼中に発呼側のオペレータが停止スイッチを押し下げて送信をキャンセルした場合、あるいは送信中に送信を停止するスイッチを押し下げて通信が中断されたりキャンセルされたりした場合を考える。これらは、ストップキーを押し下げたことを検出することにより判断できる。このとき、エラーコードは“1001”あるいは“3A00”とする。こうした場合、オペレータの側に特別の事情があると考えられるから、自動的にリダイヤル処理をするのは不適切である。従って、リダイヤルをしないという設定を行う。
【0113】
また、親展送信を行った場合に、受信側にその機能がないことがある。相手方に親展受信機能がないかどうかは、NSF信号等の検出ビットを利用して判断することができる。また、中継依頼送信等を要求した場合、受信側にその機能がないことがある。これも同様の方法で検出が可能である。こうした場合、エラーコードを“5678”あるいは“5679”と設定する。これもリダイヤルをする意味がないからリダイヤルをしないと設定する。
【0114】
以上のようなエラーコードの形式は、番号や記号等を組み合わせた任意の形態でよい。送信側や受信側から見たときに、それぞれ数多くのエラー形態があるため、分類可能な判別しやすい桁数で表現するとよい。例えば、図の例のように3〜4桁程度の16進数の英数字を用いると表現がしやすい。更に、先頭の数字が、例えば“1”で始まれば受信側につながる前のエラーであるとか、“2”で始まれば手順上のフェーズBでのエラーであるといった分類をしておくと判断がしやすくなる。なお、リダイヤルの間隔や回数等については、エラーコードを見て、オペレータが手動で設定するようにしても構わない。
【0115】
図13には、具体例3の動作フローチャートを示す。
この図により、上記のような具体例3のファクシミリ装置の動作を説明する。なお、このフローチャートに示す動作に移行する前に、ファクシミリ装置は既に、発呼、ネゴシエーション等を経て、原稿の一部を送信し始めている。
【0116】
まず、ステップS1で、通信エラーが発生すると、ステップS2で、送信原稿の画像情報を保存したままにする。即ち、図1に示した通信バッファ用RAM8に対し、メモリ送信用として予め読み込んだ全ての原稿の画像情報を、消去させないように保存しておく。通常は、回線を切断すると自動的にメモリ中の画像情報が消去されてしまうからである。次のステップS3において、通信エラーが発生したそのときの状態を通信結果格納部25(図11)に記憶する。そして、CPU11は、この通信結果に基づいて、既に説明した要領でエラーコードを生成して、図11に示したエラーコード記憶部21に記憶する。
【0117】
更に、CPU11は、そのエラーコードに基づき、図11に示すリダイヤル有無表示部24にリダイヤルの有無、即ちリダイヤルをすべきかどうかの情報を記憶する(ステップS5)。次のステップS6では、この情報を参照してリダイヤルが必要かどうかを判断する。リダイヤルが必要であればステップS7に進み、リダイヤル回数とリダイヤル間隔とを決定し、図11に示すリダイヤル回数格納部22とリダイヤル間隔格納部23に記憶する。
【0118】
次のステップS8で、リダイヤルのためのタイマをセットする。そして、ステップS9で、時間待ちを行う。タイムアップした場合には、ステップS10に進み、リダイヤルを実行する。その後通信が正常に終了するかどうかを監視する。なお、このとき、既に具体例1や具体例2を用いて説明した要領で、CPU11の制御によるネゴシエーションが実行され、所定のデータレートでの通信が実行される。
【0119】
ここで、通信が正常終了すれば処理を終わる。また、通信エラーが生じた場合には、ステップS11からステップS12に進み、その通信のエラーコードを生成する。次にステップS13で、記憶されている前回のエラーコードと今回のエラーコードとを比較する。前回のエラーコードと今回のエラーコードとが等しい場合には、ステップS14で、リダイヤル回数のデクリメントを行って、その結果をリダイヤル回数格納部22に格納する。ステップS15でこのリダイヤル回数がゼロより大きいか判断する。リダイヤル回数がゼロより大きければステップS8にもどり、再び、リダイヤルを繰り返す。リダイヤル回数がゼロならば、これ以上のリダイヤルをしないで、ステップS16へ進み、通信エラー表示処理を行う。
【0120】
ステップS16において、画像情報の保存を解除するのは、メモリ送信用に保存していた画像情報を開放し、他の通信に利用できるようにするためである。リダイヤルをしないと判断された場合には、それ以上画像情報を保存しておくと、他の処理の効率を低下させ、メモリ資源が無駄になるからである。
ステップS17において、通信エラー表示を行うのは、これ以上リダイヤルをしない旨をオペレータに通知して、通信エラーに対する後処理をオペレータに要求するためである。この通信エラー表示は、ファクシミリ装置の操作・表示部16(図1)に表示する。
【0121】
一方、ステップS13で前回のエラーコードと今回のエラーコードとが異なると判断されたときは、ステップS2に戻って、新たな通信エラーが発生した場合の処理を実行する。
なお、通信エラーが多発する回線では、上記ステップS13で、前回のエラーコードと今回のエラーコードとが異なると判断されたときに、ステップS2に戻って、リダイヤル回数やリダイヤル間隔を新たに設定するようにした場合、いつまでもリダイヤルが終了しないことが考えられる。
【0122】
そこで、前回のエラーコードと今回のエラーコードとが異なると判断されたとき、そのままステップS16に進んで、通信エラー表示処理を行うようにしてもよい。また、エラーコードの内容にかかわりなく、リダイヤル回数に上限を設けて、合計リダイヤル回数が上限をこえた場合には、無条件にステップS16に進んで、通信エラー表示処理を行うようにしてもよい。
【0123】
〈具体例3の効果〉
以上説明したように、通信エラーが発生したとき、その通信エラーの原因を示す通信管理情報を収集して、リダイヤル処理により再接続が可能と判断した場合には画像メモリの内容を保存し、リダイヤル処理の後、新たな伝送モードが選択されて通信が再開されたとき、その画像メモリの内容を読み出して送信するようにすれば、自動的なリダイヤル処理が可能になる。また、再接続が不能な場合にリダイヤル処理を繰り返すという無駄も防止できる。
【0124】
また、通信エラーの原因に応じてリダイヤル処理を実行するまでの待機時間やリダイヤル処理を繰り返す制限回数を設定することによって、無駄なリダイヤルを数多く繰り返す無駄を防止することができる。こうして、リダイヤル制御を完了するまで、通信エラーの原因を表示する情報を通信管理情報蓄積手段に保持しておき、これを制御手段が参照することによって、常に最適なリダイヤル制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】具体例1のファクシミリ装置のブロック図である。
【図2】具体例1の発呼局の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図3】具体例1の発呼局の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【図4】具体例1の発呼局の処理手順を示すフローチャート(その3)である。
【図5】具体例1のリダイヤル時の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図6】具体例1のリダイヤル時の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【図7】具体例1のリダイヤル時の処理手順を示すフローチャート(その3)である。
【図8】ファクシミリ装置の通信シーケンスチャートである。
【図9】具体例2の発呼局の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図10】具体例2の発呼局の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【図11】具体例3のパラメータ説明図である。
【図12】エラーコード生成処理とリダイヤル判定処理の説明図である。
【図13】具体例3の動作フローチャートである。
【符号の説明】
1 ファクシミリ装置
10 モデム
11 CPU(制御手段)
Claims (1)
- 回線と接続されて通信を行うモデムと、通信すべき画像情報を保持しておく画像メモリと、該モデムの動作と該画像情報の送受信を制御する制御手段と、通信エラーの原因を示す通信管理情報を格納する通信管理情報蓄積手段とを備え、
前記制御手段は、前記通信管理情報の通信エラーに応じて再接続が可能と判断したときには、前記画像情報を保存したままとして前記通信管理情報の通信エラーに応じたリダイヤル制御を行い、
新たな通信が開始されたときには、前記画像情報を読み出して送信し、
リダイヤル処理を繰り返しても通信エラーが発生するときには、前記画像情報の保存を解除してリダイヤルを中止することを特徴とするファクシミリ装置。
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