JP3705925B2 - Mos集積回路および不揮発性メモリ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体記憶装置さらには内部昇圧回路を有するMOS半導体集積回路におけるウェル電位の逆転による順方向電流の防止に適用して特に有効な技術に関し、例えば記憶情報を電気的に消去可能な不揮発性メモリに利用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フラッシュメモリは、コントロールゲートおよびフローティングゲートを有するMOSFETからなる不揮発性記憶素子をメモリセルに使用しており、1個のMOSFETでしきい値電圧を情報として記憶するメモリセルを構成することができる。かかるフラッシュメモリにおいては、書き込み動作では、不揮発性記憶素子のドレイン電圧を例えば5V(ボルト)にし、コントロールゲートが接続されたワード線を例えば−11Vにすることにより、フローティングゲートから電荷をドレイン領域へ引き抜いて、しきい値電圧を低い状態(論理“0”)にする。消去動作では、ウェル領域を例えば−11Vにし、コントローゲート(ワード線)を12Vのような高電圧にしてフローティングゲートに負電荷を注入してしきい値を高い状態(論理“1”)にする。これにより、1つのメモリセルに1ビットのデータを記憶させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなフラッシュメモリにおいては、書込み動作によりメモリセルのしきい値が低くなり過ぎることがあり、そのようなメモリセルをそのままにしておくと次の消去の際に時間がかかり過ぎたりそのビットだけ消去ができなくなるといった不具合が生じる。そこで、本発明者らは、しきい値が低くなり過ぎたメモリセルのしきい値を高くする消し戻し機能をフラッシュメモリに持たせることについて検討した。その結果、消し戻し動作では、しきい値を少しだけ変化させれば良く逆に大きなしきい値変化は回避したいので消去動作のときよりも低い昇圧電圧を用いることが望ましいが、そのようにすると以下に述べるような不具合が生じることが明らかとなった。
【0004】
すなわち、従来のフラッシュメモリでは正の昇圧電源が1つであったため、昇圧電源をワード線に分配する回路を構成するPチャネルMOSFET(以下、PMOSと記す)のNウェル領域を昇圧電源に接続しておけば、ウェルとPMOSのソース・ドレインのPN接合が常に逆バイアス状態にされ、順方向電流が流れるのを防止することができた。
【0005】
これに対し、消し戻し機能等を付加すると、2種類以上の昇圧電源が必要となり、各昇圧電圧をワード線に分配する回路を構成するPMOSを、異なる昇圧電圧を分配する回路ごとに別個のNウェル領域上に形成したとしても、出力側の配線(昇圧電圧供給用配線)を介して最も高い昇圧電圧を分配する回路から出力された電圧がそれよりも低い昇圧電圧を分配する回路を構成するPMOSのソース・ドレインに回り込んで、その回路のNウェル領域とソース・ドレイン領域との間のPN接合に順方向電圧が印加されて順方向電流が流れてしまい、不所望な消費電流が増加するとともに昇圧回路による昇圧が充分に行なえなくなるというものである。
【0006】
この発明の目的は、複数の昇圧電源を必要とするフラッシュメモリのようなMOS集積回路において、昇圧電圧を分配する回路を構成するPMOSのウェル領域における順方向電流を防止し、これによって不要な消費電流を減らすとともに昇圧回路において充分な昇圧動作が行なえるようにすることにある。
【0007】
この発明の前記ならびにほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものを概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0009】
すなわち、複数の昇圧電圧を発生する昇圧回路を備えたMOS集積回路において、例えば電圧分配回路のような昇圧電圧を扱う回路のウェル領域の電位を最も高い昇圧電圧を扱う回路のウェル電位と同一になるように構成するとともに、必要な時にのみ昇圧回路を動作させるようにしかつその場合に最も高い昇圧電圧を発生する昇圧回路を最初に動作させてウェル電位が安定してから他の昇圧電圧を発生する昇圧回路の動作を開始させ、昇圧電圧を扱う回路の動作が停止するときは最も高い昇圧電圧を発生する昇圧回路の動作を最後に停止させるようにしたものである。
【0010】
上記した手段によれば、異なる昇圧電圧を扱う回路を構成するMOSFETのソース・ドレイン領域とそのウェル領域との間のPN接合が順方向にバイアスされるのを回避して順方向電流が流れるのを防止することができ、これによって昇圧回路が充分に高くかつ安定した昇圧電圧を発生することができるようになる。また、必要なとき以外は昇圧回路を停止させるようにしているため、回路全体としての消費電流を低減することができる。
【0011】
また、複数の不揮発性メモリセルからなるメモリアレーと、前記メモリセルへのデータの書込み、消去に必要な複数の昇圧電圧を発生する昇圧回路とを備えた不揮発性メモリにおいて、上記複数のメモリセルの各々は、しきい値電圧が高い状態のとき消去状態とされ、しきい値が低い状態のとき書込み状態とされ、書込みによってしきい値が低くなり過ぎたメモリセルのしきい値を戻す消し戻し動作モードを有し、該消し戻し動作は消去動作時に選択ワード線に印加される昇圧電圧よりも低い他の昇圧電圧をワード線に印加して行なうように構成する。
【0012】
これにより、低い昇圧電圧を選択ワード線等に供給する電圧分配回路を構成するMOSFETのソース・ドレイン領域とそのウェル領域との間のPN接合が順方向にバイアスされるのを回避して順方向電流が流れるのを防止することができ、昇圧回路が充分に高くかつ安定した昇圧電圧を発生することができるようになり、消費電流が少なくかつ効率良く書込み消去を行なえる信頼性の高い不揮発性メモリを得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をフラッシュメモリに適用した場合の実施例を図面を用いて説明する。
【0014】
図1には、本発明を適用したフラッシュメモリの一実施例が示されている。特に制限されないが、図1に示されている各回路ブロックは、単結晶シリコンのような1個の半導体チップ1上に形成されている。
【0015】
図1において、11はフローティングゲートを有するMOSFETからなるメモリセルがマトリックス状に配置されたメモリアレー、12はメモリアレー11から読み出されたデータを増幅するセンスアンプ回路、13はセンスアンプ12により増幅された読出しデータを外部へ出力したり外部から入力された書込みデータ信号を内部に適した信号に変換したりするデータ入出力回路、14は外部から入力されたアドレス信号をデコードして上記メモリアレー11内のワード線を指定する選択信号やメモリアレー11内のビット線を指定する選択信号を形成するアドレス入力&デコーダ回路である。
【0016】
また、15は上記アドレス入力&デコーダ回路14で形成されたワード線やビット線等の選択信号に基づいて上記メモリアレー11内の指定されたワード線やビット線等に所望の電位を印加したりする電圧分配回路、16は外部から供給される例えば3Vのような電源電圧Vccからメモリ内部で必要とされる複数の昇圧電圧(正および負の昇圧電圧)を発生する電源回路、17はこの電源回路16で必要とされる基準電圧を発生する基準電圧発生回路、18は外部から入力されるコマンドコードおよびチップイネーブル信号CEやアウトイネーブル信号OE、ライトイネーブル信号WEなどに基づいてデータの読出しや書込み、消去等の動作モードを判定し、判定した動作モードに応じて上記各回路をそれぞれ所定の順序で動作させるタイミング制御信号を形成する制御回路である。
【0017】
上記電圧分配回路15は、上記アドレス入力&デコーダ回路14で形成されたワード系の選択信号に基づいて上記メモリアレー11内の指定されたワード線に所望の電位を印加したりサブビット線(後述)をビット線に接続するためのセレクトゲート線を駆動したりするワード線電圧分配回路51と、外部から入力された書込みデータを保持し上記アドレス入力&デコーダ回路14で形成されたビット線の選択信号に基づいて上記メモリアレー11内の指定されたビット線に所望の電位を印加するビット線電圧分配回路52、上記制御回路18で判定された読出し、書込み、消去等の動作モードに応じて上記メモリアレー11内のソース線とウェル領域にそれぞれ所定の電位を印加するソース線ドライバ回路53とウェルドライバ回路54とから構成されている。
【0018】
上記電源回路16は、正の昇圧電圧を発生する正昇圧電源回路61と、負の昇圧電圧を発生する負昇圧電源回路62と、電源電圧を分圧して書込みや消去動作の後のベリファイ動作のときに用いられる2.0Vや0.8Vのような電圧を発生するベリファイ電源回路63とから構成されている。
【0019】
また、上記制御回路18は、特に制限されないが、公知のマイクロプログラム方式のCPUの制御部と同様な構成とされている。すなわち、制御回路18は、外部から入力されるコマンドコードに対応した複数の制御コード(マイクロ命令群)が格納されたROM(リード・オンリ・メモリ)と、このROMから読み出された制御コードを解読して内部回路を動作モードに応じてそれぞれ所定の順序で動作させるタイミング制御信号を形成するプロセッサ部とにより構成されている。しかも、この制御回路18は、外部からコマンドが与えられるとそのコマンドに対応した制御コードが順次読み出されて自動的に対応する処理を開始するように構成されている。また、この実施例では、上記コマンドはリードデータおよびライトデータの入出力用端子I/Oから入力されるように構成されている。
【0020】
図2には、メモリアレー11の具体例が示されている。この実施例のメモリアレー11は、図2に示すように、列方向(メインビット線MBL方向)に配列され各々ソースおよびドレインが共通接続された並列形態のn+1個のメモリセル(フローティングゲートを有するMOSFET)MC0〜MCnからなるメモリ列MCCを基本単位とし、このメモリ列MCCが行方向(ワード線WL方向)および列方向(メインビット線MBL方向)にそれぞれ複数個配設されて構成される。
【0021】
各メモリ列MCCのメモリセルMC0〜MCnのゲート端子はそれぞれ異なるワード線WL0,WL1,WL2‥‥‥‥WLnに接続されている。これとともに、各メモリ列MCCはn+1個のメモリセルMC0〜MCnのドレインがそれぞれ共通のサブビット線SBLに、またソースがそれぞれ共通のソース線SLに接続され、サブビット線SBLは選択MOSFET Qsgを介してメインビット線MBLに接続可能に構成され、またソース線SLには接地電位または負電圧が印加可能に構成されている。
【0022】
そして、上記選択MOSFET Qsgのゲート端子が、前述のワード系のアドレス信号をデコードすることにより形成されるセレクトゲート駆動信号が印加されるセレクトゲート線SGに接続されており、メモリ列MCC内のメモリセルMC0〜MCnが接続されたワード線WL0〜WLnのうち1本が選択レベルにされるときはこのメモリ列のセレクトゲート線SGもほぼ同時に選択レベルにされて、選択スイッチQsgがオンされてサブビット線SBLがメインビット線MBLに接続されるように制御される。
【0023】
なお、特に制限されないが、上記複数のメモリ列MCCのうちワード線方向に配設されているものは半導体基板上の同一のPウェル領域内に形成され、このウェル領域には接地電位または負電圧が印加可能に構成されている。さらに、メモリアレー11全体がP型半導体基板上に形成されたNウェル領域内に形成され、周辺回路が形成されるウェル領域と分離されている。
【0024】
ここで、上記メモリセルMCへデータを書き込んだり、データを消去したり、データを読み出したりするときにセレクトゲート線SG、ワード線WL、メインビット線MBL、共通ソース線SLおよびウェル領域WELLにそれぞれ印加される電圧の関係を表1に示す。
【0025】
【表1】
表1において、「プレライト」とは、メモリセルの消去を行なう前にしきい値のばらばらなメモリセルの中でしきい値の高いセルのしきい値を下げて全部のメモリセルのしきい値を揃える動作である。また、「消し戻し」とは、書込み動作によってしきい値が下がり過ぎたメモリセルのしきい値を書込みの期待値レベルまで戻してやる動作である。なお、表1には示されていないが、その他に通常の読出し動作や書込み後に行われる書込みベリファイ動作がある。また、必要に応じて、経時変化でしきい値が下がった場合に行なうリフレッシュ動作およびリフレッシュベリファイ動作などが設けられることもある。
【0026】
さらに、表1において、「GND」は接地電位、「Float」は電位的にフローティング状態にされることを、また「書込み」動作モードにおいて、メインビット線MBLの欄に記されている「3.9−8.1」なる数字は3.9Vから8.1Vまでの電圧が段階的に印加されることを意味している。すなわち、初めに3.9Vのような低い電圧をメインビット線MBLに印加して書込みを行なっても充分にしきい値が下がらなかったメモリセルに対しては再度書込みが行われるが、そのときにメインビット線MBLには3.9Vよりも高い所定の電圧が段階的に印加されることとなる。
【0027】
図3には、図1に示されている回路ブロックのうち、正昇圧電源回路61と、ワード線電圧分配回路51の具体的な回路例が示されている。このうち、正昇圧電源回路61は、ワード線電位のうち最も高い書込み用電圧VP12を発生する第1昇圧回路61Aと、ワード線電位のうち最も低い消去ベリファイ用電圧VP8を発生する第2昇圧回路61Bと、中間電位の消し戻し用電圧VP6を発生する第3昇圧回路61Cとから構成される。
【0028】
さらに、上記各昇圧回路61A,61B,61Cは、第1昇圧回路61Aについて代表的に示されているように、クロック信号CLKによって電荷を徐々に容量にチャージアップすることで昇圧電圧を発生するチャージポンプ回路611と、該チャージポンプ回路611で昇圧された電圧VP12(VP8,VP6)が基準電圧発生回路17から供給される基準電圧Vrpと比較し所望の電圧になったことを検出する電圧検出回路612と、昇圧電圧VP12(VP8,VP6)が所望の電圧に達すると電圧検出回路612からの信号によって上記クロック信号CLKの供給を遮断するNANDゲート613などから構成され、基準電圧Vrpを変えることによって任意の昇圧電圧を発生させることができる。
【0029】
また、電圧検出回路612は制御回路18から供給されるイネーブル信号VP12E(VP8E,VP6E)によって制御され、このイネーブル信号VP12Eが非動作状態を指示しているときはNANDゲート613を遮断してチャージポンプ611の昇圧動作を停止させる機能を有する。
【0030】
一方、ワード線電圧分配回路51は、メモリアレー11内の各ワード線WL0〜WLnに対応して設けられたワードドライバ回路WDR0〜WDRnと、上記第1昇圧回路61Aで発生された昇圧電圧VP12を制御回路18から供給される選択信号SELVP12に従って供給したり遮断したりする第1電圧スイッチ回路51Aと、上記第2昇圧回路61Bで発生された昇圧電圧VP8を制御回路18から供給される選択信号SELVP8に従って供給したり遮断したりする電圧第2スイッチ回路51Bと、上記第3昇圧回路61Cで発生された昇圧電圧VP6を制御回路18から供給される選択信号SELVP6に従って供給したり遮断したりする第3電圧スイッチ回路51Cとから構成される。
【0031】
さらに、上記各電圧スイッチ回路51A〜51Cは、第1電圧スイッチ回路51Aについて代表的に示されているように、制御回路18から供給される選択信号SELVP12(SELVP8,SELVP6)を反転するインバータINVと、このインバータの出力信号と上記選択信号SELVP12(SELVP8,SELVP6)がゲート端子にそれぞれ印加されたNチャネルMOSFET MN1,MN2と、これらのMOSFET MN1,MN2と昇圧電圧供給ラインVDRとの間にそれぞれ直列に接続され互いのドレイン電圧が印加されたPチャネルMOSFET MP1,MP2と、MOSFET MP2のドレイン電圧がゲート端子に印加され前記チャージポンプ回路611とワードドライバ回路WDR0〜WDRnとの間を接続する昇圧電源ラインVDRをスイッチングするPチャネルMOSFET MP3とから構成されている。
【0032】
上記MOSFET MN1,MN2,MP1,MP2は一種のレベルシフト回路を構成しており、制御回路18から供給される選択信号SELVP12のハイレベルが例えば電源電圧Vccでロウレベルが接地電位GNDであるような場合にも、これをVP12−GND(SELVP8−GND,SELVP6−GND)で振幅する信号に変換することでスイッチングMOSFET MP3を確実にオン、オフできるようにされている。また、上記昇圧電圧VP12,VP8,VP6の供給を受けるワードドライバ回路WDR0〜WDRnは、前記アドレス入力&デコーダ回路14から供給されるワード線選択信号AW0〜AWnによっていずれか一つが活性化されて対応するワード線WLを昇圧電圧のレベルまで駆動するように構成されている。
【0033】
さらに、本実施例においては、昇圧回路61A〜61Cで発生された昇圧電圧のうち最も高い電圧VP12が、上記第1電圧スイッチ回路51Aを構成するPチャネルMOSFET MP1,MP2,MP3はもちろんのこと、上記第2電圧スイッチ回路51Bを構成するPチャネルMOSFET MP1,MP2,MP3が形成されたNウェル領域および第3電圧スイッチ回路51Cを構成するPチャネルMOSFET MP1,MP2,MP3が形成されたNウェル領域に印加されるように構成されている。
【0034】
これによって、第1電圧スイッチ回路51Aがオンされた状態のときに、昇圧電圧供給ラインVDRを介して最も高い昇圧電圧VP12を供給する電圧スイッチ回路51Aから出力された電圧VP12がそれよりも低い昇圧電圧を分配する第2電圧スイッチ回路51Bおよび第3電圧スイッチ回路51Cを構成するPMOS MP3のソース・ドレインに回り込んでその回路のNウェル領域とソース・ドレイン領域との間のPN接合に順方向電圧が印加されて順方向電流が流れるのを防止することができる。
【0035】
従来の一般的な回路設計手法に従うと、ウェルの給電ラインVDRは図3に×印で示されているような箇所で切断され、第2電圧スイッチ回路51Bおよび第3電圧スイッチ回路51Cはそれぞれ自己の扱う昇圧電圧VP8,VP6がそのPMOSのウェル領域に対するバイアス電圧とされることが多い。その場合、昇圧電圧供給ラインVDRを介して最も高い昇圧電圧VP12がそれよりも低い昇圧電圧を分配する第2電圧スイッチ回路51Bおよび第3電圧スイッチ回路51Cを構成するPMOS MP3のソース・ドレインに回り込んで、その回路のNウェル領域とソース・ドレイン領域(P型拡散領域)との間のPN接合に順方向電圧が印加されて順方向電流が流れるおそれがあった。また、それによって、昇圧回路61Aにおいて発生される昇圧電圧が目標とする電圧VP12(12V)まで充分に達しなくなるおそれがあった。
【0036】
これに対し、本実施例では、上述のように、昇圧回路61Aで発生された最も高い電圧VP12が、上記第2電圧スイッチ回路51Bを構成するPチャネルMOSFET MP1,MP2,MP3および第3電圧スイッチ回路51Cを構成するPチャネルMOSFET MP1,MP2,MP3が形成されたNウェル領域に印加されるように構成されているため、その回路のNウェル領域とソース・ドレイン領域との間のPN接合に順方向電圧が印加されて順方向電流が流れるのを防止することができる。その結果、不所望な消費電流が減少されるとともに昇圧回路61Aによる昇圧が充分に行なわれるようになる。
【0037】
なお、図1にはメモリアレー11内のワード線WL0〜WLnに電圧を分配する回路の実施例を示したが、メインビット線MBLとサブビット線SBLを接続する選択スイッチQsgを制御するセレクトゲート線SGに電圧を分配する回路やメインビット線MBLに電圧を分配する回路も同様に、最も高い昇圧電圧が<それよりも低い電圧を分配する回路を構成するPMOSのウェル領域に印加されるように構成されている。
【0038】
さらに、本実施例においては、第2昇圧回路61Bまたは第3昇圧回路61Cが動作されるときに、図4および図5に示されているように、最も電圧の高い第1昇圧回路61Aをまっ先にオンさせるとともに、動作終了時には最も電圧の高い第1昇圧回路61Aを最後にオフさせるように構成されている。これによって、電圧分配回路51B,51Cを構成するPMOS MP1〜MP3のウェル領域に最も高い昇圧電圧が印加されるため、ウェルとソース・ドレイン領域との間のPN接合に順方向電流が流れるのを防止し、安定しかつ所望のレベルの昇圧電圧が得られるようになる。
【0039】
なお、図4および図5に示すような制御は、制御回路18から出力される制御信号VP12E,SELVP12,VP8E,SELVP8,VP6E,SELVP6等によって行なわれる。図4には、ソフトウェアすなわち制御回路18のROM内のマイクロプログラムで行なう場合の手順が示されているが、このような順序で各昇圧回路を活性化させる制御信号は制御回路18のハードウェアで形成することも可能である。
【0040】
図5には、一例として消し戻し動作の際の各信号のタイミングが示されている。消去ベリファイ動作の際のタイミングは、VP6とVP8の波形が入れ替わるとともに発生される電圧が異なるだけで、タイミングは図5と同様である。また、ワード線に最も高い昇圧電圧VP12を供給するときには第1昇圧回路61Aのみ動作させればよく、第2昇圧回路61Bおよび第3昇圧回路61Cはオフさせておくことができる。
【0041】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記実施例では、メモリセルのしきい値の高い状態を書込み状態に対応させ、しきい値の低い状態を消去状態に対応させたが、逆にすることももちろん可能である。
【0042】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野である一括消去型フラッシュメモリに適用した場合について説明したが、この発明はそれに限定されるものでなく、不揮発性メモリ一般さらには複数の昇圧電圧を必要としMOSFETからなる回路を有する半導体集積回路に広く利用することができる。
【0043】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0044】
すなわち、この発明は、複数の昇圧電源を必要とするMOS集積回路において、昇圧電圧を扱う回路を構成するPMOSのウェル領域における順方向電流を防止し、これによって不要な消費電流を減らすとともに昇圧回路において充分な昇圧動作を行なわせることができる。フラッシュメモリのような不揮発性メモリに適用した場合には、消費電流が少なくかつ効率良く書込みおよび消去を行なえる信頼性の高いメモリが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したフラッシュメモリの一実施例の概略を示す全体ブロック図である。
【図2】本発明を適用したフラッシュメモリのメモリアレーの構成例を示す回路図である。
【図3】図1に示されている回路ブロックのうち正昇圧電源回路とワード線電圧分配回路の具体的な回路例を示す回路構成図である。
【図4】発生する電圧の低い昇圧回路を動作させるときの動作手順を示すフローチャートである。
【図5】消し戻し動作の際の昇圧回路を動作順序を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
11 メモリアレー
12 センスアンプ回路
13 データ入出力回路
14 アドレス入力&デコーダ回路
15 電圧分配回路
16 電源回路
17 基準電圧発生回路
18 制御回路
51 ワード線電圧分配回路
52 カラムラッチ回路
53 ソース線ドライバ回路
54 ウェルドライバ回路
61 正昇圧電源回路
62 負昇圧電源回路
63 ベリファイ電源回路
51A 第1電圧スイッチ回路
51B 第2電圧スイッチ回路
51C 第3電圧スイッチ回路
52 ビット線電圧分配回路
53 ソース線ドライバ回路
54 ウェルドライバ回路
61A 第1昇圧回路
61B 第2昇圧回路
61C 第3昇圧回路
611 チャージポンプ回路
612 電圧検出回路
613 NANDゲート
MC メモリセル
WL ワード線
SL 共通ソース線
MBL メインビット線
SBL サブビット線
Claims (4)
- 複数の昇圧電圧を発生する昇圧回路を備えたMOS集積回路において、昇圧電圧を扱う回路のウェル領域の電位を、最も高い昇圧電圧を扱う回路のウェル電位と同一の電位にするように構成するとともに、必要な時にのみ昇圧回路を動作させるようにしかつその場合に最も高い昇圧電圧を発生する昇圧回路を最初に動作させてウェル電位が安定してから他の昇圧電圧を発生する昇圧回路の動作を開始させ、昇圧電圧を扱う回路の動作が停止するときは最も高い昇圧電圧を発生する昇圧回路の動作を最後に停止させるようにしたことを特徴とするMOS集積回路。
- 複数の不揮発性メモリセルからなるメモリアレーと、前記メモリセルへのデータの書込み、消去に必要な複数の昇圧電圧を発生する昇圧回路とを備えた不揮発性メモリにおいて、上記メモリアレー内のワード線に動作モードに応じた昇圧電圧を供給する電圧分配回路のウェル領域の電位を、最も高い昇圧電圧を供給する電圧分配回路のウェル電位と同一の電位にするように構成したことを特徴とする不揮発性メモリ。
- 上記昇圧回路は必要な時にのみ動作させるようにしかつその場合に最も高い昇圧電圧を発生する昇圧回路を最初に動作させてウェル電位が安定してから他の昇圧電圧を発生する昇圧回路の動作を開始させ、上記電圧分配回路の動作が停止するときは最も高い昇圧電圧を発生する昇圧回路の動作を最後に停止させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の不揮発性メモリ。
- 上記複数のメモリセルの各々は、しきい値電圧が高い状態のとき消去状態とされ、しきい値が低い状態のとき書込み状態とされ、書込みによってしきい値が低くなり過ぎたメモリセルのしきい値を戻す消し戻し動作モードを有し、該消し戻し動作は消去動作時に選択ワード線に印加される昇圧電圧よりも低い他の昇圧電圧をワード線に印加して行なうように構成されてなることを特徴とする請求項2もしくは3に記載の不揮発性メモリ。
Priority Applications (1)
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JP10071198A JP3705925B2 (ja) | 1998-04-13 | 1998-04-13 | Mos集積回路および不揮発性メモリ |
Applications Claiming Priority (1)
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