JP3705898B2 - 真空機器の表面処理アルミニウム構成部品及びその製造方法 - Google Patents

真空機器の表面処理アルミニウム構成部品及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学気相蒸着(CVD)装置、イオンプレーティング装置、ドライエッチング装置、プラズマCVD装置、物理蒸着(PVD)装置のような真空機器に備えられるガス分散板、サセプター、ヒータカバー等の表面処理アルミニウム構成部品とその製造方法に係わり、外面のプラズマ等に対する耐食性を向上させるとともに真空環境下でのガス放出量を少なくし、しかも内部に設けられた冷却用の水路の壁面の耐食性を向上させたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製品は、真空機器の真空排気可能な処理容器内で真空蒸着、スパッタリング、化学的気相成長法等の方法により基板上にSi34、W、Al等の薄膜を形成させることにより作製されている。ところで、このような真空機器に備えられるガス分散板、サセプター、ヒータカバー等の構成部品としては、ステンレス鋼が用いられているが、ステンレス鋼の使用は、重量が重いことや、クロム、ニッケルなどの重金属が系内に混入することに起因して半導体等の薄膜の性能が低下してしまう場合があるため、アルミニウムまたはアルミニウム合金材の使用が試みられている。
ところが上述のような真空機器を用いて成膜あるいはエッチングする際は、通常150〜400゜C程度の高温雰囲気下で処理されることが多く、このような高温下で使用されるアルミニウムまたはアルミニミウム合金素材からなる構成部品は、エッチングに用いる塩素ガスやフッ素プラズマ等により強く腐食を受けるという問題があった。その理由は、エッチングに用いる塩素ガス等の反応性ガスの分解が促進されることや、熱により反応性ガスとアルミニウムまたはアルミニウム合金の反応性が促進されるからである。
また、薄膜を成膜する際には処理容器内の基板以外の構成部品にも薄膜が付着することがあり、その場合は不要な箇所に付着した薄膜の除去を含ハロゲン系のエッチングガスで行っているために該エッチングガスにより構成部品が腐食を受けるという問題もあった。
【0003】
そこで、上述のような熱による問題の発生を抑制するために、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる構成部品の内部に水路を加工して設け、該水路に水を通して冷却することが行われている。
また、構成部品の表面の腐食対策としては、硫酸電解液により硫酸アルマイト処理を施して多孔質陽極酸化皮膜を形成する方法が考えられている。しかしながらこの多孔質陽極酸化皮膜は、皮膜中に水分や硫酸が多量に含まれているため、これが放出ガスとなって処理容器内に多量に放出されて薄膜の汚染の原因となったり、処理容器内を高真空にするという目的を十分に達成できなかったり、また、高温雰囲気下で使用されると熱により皮膜にクラックが入り易く、さらに剥離して基板に付着することがあり、これにより得られる製品の品質が低下してしまい実用的でなかった。
また、硫酸アルマイトは、電流を良く通すことから水路のような内部に設けられる部分には電流が回り込むことができないため、水路の壁面には多孔質陽極酸化皮膜は形成されておらず、よって水路が冷却水により腐食を受けるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、外面のプラズマ等に対する耐食性を向上させるとともに真空環境下でのガス放出量を少なくし、しかも内部に設けられた冷却用の水路の壁面の耐食性を向上させた真空機器の表面処理アルミニウム構成部品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、真空機器に備えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる構成部品であって、
上記構成部品は内部に冷却用の水路が設けられ、少なくとも外面に厚さが0.3〜0.9μmで、かつ含水率が10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜が形成され、上記水路の壁面に厚さが0.2〜3.0μmのベーマイト皮膜が形成されていることを特徴とする真空機器の表面処理アルミニウム構成部品を上記課題の解決手段とした。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の真空機器の表面処理アルミニウム構成部品が少なくとも備えられたことを特徴とする真空機器を上記課題の解決手段とした。
【0006】
請求項3記載の発明は、内部に冷却用の水路を有し、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる構成部品の少なくとも外面に、硼酸、硼酸塩、アジピン酸、酒石酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩の群から選ばれる1種または2種以上からなる電解質水溶液により陽極酸化処理を施して含水量10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜を形成した後、外面に無孔質陽極酸化皮膜が形成された構成部品を80〜100゜Cの温水中に浸漬して上記水路にベーマイト皮膜を形成する工程を少なくとも備えることを特徴とする真空機器の表面処理アルミニウム構成部品の製造方法を上記課題の解決手段とした。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の表面処理アルミニウム構成部品をプラズマCVD装置のヒータカバーと基板カバーとガス分散板に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本発明の表面処理アルミニウム構成部品の実施形態のヒータカバーと基板カバーとガス分散板が備えられた連続処理型のプラズマCVD装置の例を示す概略構成図である。
このプラズマCVD装置は、真空排気可能な処理容器10と、該処理容器10内にウエハ(基板)11を送り出すための送出機構12と、プラズマシリコン酸化膜などの薄膜が形成されたウエハ11を回収するための回収機構14と、上記処理容器10内に供給する反応性ガスに高周波(RF)を印加するための高周波印加機構16と、処理容器10内に送り出されたウエハ11を加温するためのヒータ18と、該ヒータ18を覆うように設けられたヒータカバー20と、該ヒータカバー20の上方に隙間21を隔てて配置された基板カバー22から概略構成されており、成膜する際にはこれらヒータカバー20と基板カバー22の間にウエハ11が配置されるようになっている。
上記処理容器10は、Al−Mg系の5000系合金、Al−Mg−Si系の6000系合金などの強度の大きいアルミニウム合金からなるものである。
また、上記処理容器10には、処理容器10内を真空排気する負圧源(図示略)と接続された排気管25と、処理容器10内に反応ガスを送り込む供給管26が接続されている。また、処理容器10内の供給管26の先端には、ガス分散板23が接続されている。
【0008】
上記ヒータカバー20及び基板カバー22は、本発明の表面処理アルミニウム構成部品の一実施形態のものであり、表面処理アルミニウムからなるものである。これらヒータカバー20及び基板カバー22は、ヒータ18からの熱が広がって逃げるのを防止して、ウエハ11を効率良く均一に加温するためのものである。
上記ヒータカバー20及び基板カバー20の素材となる材料としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。ここで用いられるアルミニウムまたはアルミニウム合金素材としては、特に限定されず、純アルミ系の1000系合金、Al−Cu系、Al−Cu−Mg系の2000系合金、Al−Mn系の3000系合金、Al−Si系の4000系合金、Al−Mg系の5000系合金、Al−Mg−Si系の6000系合金、Al−Zn−Mg−Cu系、Al−Zn−Mg系の7000系合金、7N01合金、Al−Fe−Mn系の8000系合金などが用いられ、成形用合金、構造用合金、電気用合金、AC1A、AC2A、AC3A、AC4Bなどの鋳造用合金が用いられる。
また、これらの合金に溶体化処理、時効処理などの種々の調質処理を施したものも用いられる。さらに、これらのアルミニウム合金の表面にクラディングしたクラッド材も使用できる。
本発明にあっては、上述の合金の中でも処理容器10をなす材料と同様のAl−Mg系の5000系合金、Al−Mg−Si系の6000系合金が好しく、特に強度が要求されない場合には純アルミ系の1000系合金が好ましい。
【0009】
上記ヒータカバー20には、図2に示すように内部に冷却用の水路20aが設けられている。さらにこのヒータカバー20には、少なくとも外面に厚さが0.3〜0.9μmで、かつ含水率が10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜が形成されており、また、水路20aの壁面に厚さが0.2〜3.0μmのベーマイト皮膜が形成されることにより、表面処理が施されている。
上記基板カバー22には、ヒータカバー20と同様に内部に冷却用の水路22aが設けられている。
さらにこの基板カバー22には、少なくとも外面に厚さが0.3〜0.9μmで、かつ含水率が10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜が形成されており、また、水路22aの壁面に厚さが0.2〜3.0μmのベーマイト皮膜が形成されている。
上記ガス分散板23も本発明の表面処理アルミニウム構成部品の一実施形態のものであり、表面処理アルミニウムからなるものである。このガス分散板23の素材となる材料としては、上述のアルミニウムまたはアルミニウム合金と同様のものが用いられる。このガス分散板23には、内部に冷却用の水路(図示略)が設けられている。さらにこのガス分散板23には、少なくとも外面に厚さが0.3〜0.9μmで、かつ含水率が10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜が形成されており、また、水路の壁面に厚さが0.2〜3.0μmのベーマイト皮膜が形成されることにより、表面処理が施されている。
【0010】
つぎに、上記ヒータカバー20の製造方法について詳しく説明する。
上述のようなアルミニウムまたはアルミニウム合金素材を用いてヒータカバー20を成形し、ついで後加工によりヒータカバー20の内部に冷却用の水路20aを形成する。
この後、このヒータカバー20に対して前処理を施す。この前処理としては特に限定されず、要は素材の表面に付着した油脂分を除去し、アルミニウムまたはアルミニウム合金表面の不均質な酸化物皮膜が除去できるものであればよい。例えば、弱アルカリ性の脱脂液による脱脂処理を施したのち、水酸化ナトリウム水溶液でアルカリエッチングをしたのち、硝酸水溶液中でデスマット処理を行う方法や、脱脂処理後に酸洗浄を行う方法などが適宜選択して用いられる。
【0011】
ついで、この前処理が施されたヒータカバー20を電解質水溶液中に浸漬し、該ヒータカバー20を陽極に接続し直流電源でアノード酸化処理する陽極酸化処理を施すことにより、これらヒータカバー20の少なくとも外面に無孔質陽極酸化皮膜を形成する。
電解質水溶液としては、生成する無孔質陽極酸化皮膜を溶解しにくく、かつ無孔質の陽極酸化皮膜を生成する電解質である硼酸、硼酸塩、アジピン酸、酒石酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩などの群から選ばれる1種または2種以上を溶解した皮膜溶解性の低い電解質水溶液が用いられる。これらの電解質のなかでも硼酸、硼酸塩、アジピン酸が好ましい。
【0012】
電解質水溶液中の電解質濃度は、1〜200g/lが好ましい。電解質濃度が1g/lより低濃度では皮膜むらが生じ易く、一方、200g/lを超えると溶解し難く沈澱を生じることがあるからである。
また、電解質水溶液は、ph2〜9、好ましくはph3〜8である。電解質水溶液のphが3より小さいと陽極酸化皮膜が多孔質化する傾向が生じ、phが8を超えると皮膜が電解液に溶解し生成率が低下するからである。
電解質水溶液の温度(電解浴温)は、30〜95゜C、好ましくは40℃〜60℃の範囲である。浴温が30℃未満では、電解質の溶解性が低く、液抵抗による電圧ロスが大きくなるからである。一方、浴温が95℃を超えると、沸騰を伴うことや加熱にコストを要するからである。また、浴温が40〜60℃であると、無孔質陽極酸化皮膜の含水量を少なくするのに効果的である。
【0013】
この電解浴中で、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材は、連続あるいは断続であっても陽極となるように電源に接続されて電解される。陰極には不溶性の導電材料が用いられる。
電解電流は、上述のように直流電流が用いられ直流電解では直流密度0.2〜5A/dm2 程度である。電流密度が0.2A/dm2 未満では皮膜形成に長時間を要してしまう。一方、5A/dm2 を超えると、皮膜やけ等の表面欠損が生じ易くなるからである。
電解時間は、数秒〜30分程度で目的とする皮膜厚さと電解条件により選択して電解が行われる。
【0014】
印加電圧は、直流電流では、電圧1Vに対して形成される酸化皮膜厚さが約14オングストロームとなる関係があることから約200〜650V、好ましくは約350〜500Vの範囲とされる。高電圧で電解し膜厚を0.5〜0.7μmと膜厚とすることで、高耐食性が得られるとともに、後工程でのベーマイト処理でも皮膜は変質しない。
このような陽極酸化処理によってヒータカバー20の少なくとも外面に厚さの均一な無孔質陽極酸化皮膜が形成される。無孔質陽極酸化皮膜の膜厚は、0.3μm〜0.9μm、好ましくは0.5μm〜0.7μm程度である。膜厚が0.3μm未満であると、厚さが薄すぎて反応性ガスやプラズマ等に対する耐食性が不十分となるからである。一方、0.9μmより厚い膜厚は電解処理では得られないため、膜厚の上限は0.9μmである。
【0015】
このようにして得られた陽極酸化皮膜は無孔質であり、その空孔率は最大でも5%程度以下が好ましく、また含水率は10重量%以下が好ましい。陽極酸化皮膜の空孔率が5%を超えると、陽極酸化皮膜の表面積が大きくなり、吸着される水分やガス等も多くなってしまい、含水量が増えたのと同様の悪影響を及ぼす恐れがある。また、空孔率が5%を超えると無孔質皮膜とは言えなくなるからである。
【0016】
無孔質陽極酸化皮膜の含水量が10重量%を超えると、皮膜から揮散する水分(皮膜から放出されるガス)の量が増加し、処理容器10内の真空度を十分上げることができないため真空特性が悪く、また、該揮散した水が塩素ガスやプラズマ等と反応し、薄膜を汚染し、半導体基板の特性に悪影響を与えるという問題がある。
【0017】
上記空孔率及び含水量(含水率)は、上述の電解条件によって決定される。
上述の陽極酸化処理は、コイル状などの未加工の状態のアルミニウムまたはアルミニウム合金素材に対して行うこともできるが、切削加工などの加工を施して成形したものに対して行うことが好ましい。
【0018】
上述のような陽極酸化処理により形成された無孔質陽極酸化皮膜は、無孔質で電流を流さないことから、多孔質陽極酸化処理(硫酸アルマイト処理)とは異なり、水路20aの壁面にも無孔質陽極酸化皮膜は形成されるが、ヒータカバー20の形状によっては膜厚が1/5〜1/10程度と薄くなる部分が生じたり、電解処理で発生するガスが滞留し易い部分では皮膜が形成され難いために、無孔質陽極酸化皮膜が形成されたヒータカバー20に建浴水中でベーマイト処理(水和処理)を施すことにより、水路20aの壁面にベーマイト皮膜を形成する。
建浴水としては、高温の水を使用できるが、特に、電気伝道度が0.1μS以下のイオン交換水を用いるのが、素材のアルミニウムまたはアルミニウム合金素材の表面の黒変の防止とベーマイト皮膜を生成し易いなどの点で好ましい。
【0019】
建浴水の温度は、80℃〜沸点(100℃)の範囲である。
本発明でのベーマイト処理は、20〜180分程度である。
建浴水には、不純物の付着を防ぐために純水のみを用いることが好ましいが、アンモニア、アミン、アルコールアミン、アミド、トリエタノールアミン等のアルカリ添加剤を添加して用いることもでき、なお、ベーマイト皮膜の生成速度が速くなる場合は、ベーマイト処理時間を短時間とする必要がある。
【0020】
このようなベーマイト処理によってアルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる水路20aの壁面に、ベーマイト皮膜が形成される。ベーマイト皮膜の膜厚は、0.2μm〜3.0μm、好ましくは1.0μm〜2.0μm程度である。
ベーマイト皮膜の膜厚が0.2μm未満であると、水路20aに通される冷却水に対する耐食性は十分に得られない。一方、膜厚を3.0μmを超えて厚くしても、もはや効果の大きな増大は期待できず、また、皮膜を形成するための処理時間が長くなるためコスト的に不利となる。
上述のようなベーマイト処理の際、ヒータカバー20の外面には、無孔質陽極酸化皮膜が形成されているために水和処理は進行せず、一方、内部の水路20aは無孔質陽極酸化皮膜が十分に形成されていないためベーマイト皮膜(水和皮膜)が形成される。
以上のようにすると本発明の表面処理アルミニウム構成部品の実施形態のヒータカバー20が得られる。
【0021】
上記基板カバー22の製造方法は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いて基板カバー22を成形し、ついで後加工により基板カバー22の内部に冷却用の水路22aを形成した後、上述のヒータカバー20の製造方法と同様にして基板カバー22の少なくとも外面に厚さが0.3〜0.9μmで、かつ含水率が10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜を形成し、水路22aの壁面に厚さが0.2〜3.0μmのベーマイト皮膜を形成すると、本発明の表面処理アルミニウム構成部品の実施形態の基板カバー22が得られる。
また、上記ガス分散板23の製造方法は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いてガス分散板23を成形し、ついで後加工によりガス分散板23の内部に冷却用の水路を形成した後、上述のヒータカバー20の製造方法と同様にしてガス分散板23の少なくとも外面に厚さが0.3〜0.9μmで、かつ含水率が10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜を形成し、水路の壁面に厚さが0.2〜3.0μmのベーマイト皮膜を形成すると、本発明の表面処理アルミニウム構成部品の実施形態のガス分散板23が得られる。
【0022】
このようなプラズマCVD装置を用いてウエハ11上に薄膜を形成するには、排気管25に接続された負圧源を作動させて処理容器10内を減圧した後、供給管26から反応性ガスを供給するとともに高周波印加機構16により該反応性ガスに高周波を印加し、ヒータカバー20と基板カバー22との隙間21に送出機構12から順次送り出されたウエハ11をヒータ18により加熱しながら薄膜を形成し、回収機構14により薄膜形成後のウエハ11を順次回収する。この際、必要に応じてヒータカバー20の水路20a及び基板カバー22の水路22aに冷却用の水を流しながら行う。
【0023】
本発明の表面処理アルミニウム構成部品の実施形態のヒータカバー20ならびに基板カバー22およびガス分散板23にあっては、少なくとも外面に厚さが0.3〜0.9μmで、かつ含水率が10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜が形成されたことにより、皮膜からのガス放出量が少ないうえ外面のプラズマ等に対する耐食性が優れる。また、水路の壁面に厚さが0.2〜3.0μmのベーマイト皮膜が形成されたことにより、冷却水に対する耐食性が優れる。
また、無孔質陽極酸化皮膜の形成にあっては、封孔処理を必要とせず、多孔質陽極酸化皮膜を形成する場合と比べて電解時間も短くて済むので、下地処理時間を短縮でき、生産性が向上するとともにコストダウンが可能である。
また、無孔質陽極酸化皮膜の空孔率を5%以下したものにあっては、特に、表面に吸着される水分やガスを低減する効果ならびに耐食性が格段に優れる。
従って、このような実施形態のヒータカバー20ならびに基板カバー22及びガス分散板23が備えられたプラズマCVD装置にあっては、真空環境下においても上記水分に起因する皮膜からのガスの放出量が少くなるので、真空特性が優れ、また、上記皮膜から放出されたガスが、塩素ガス等の反応性ガスやプラズマ等と反応することも殆どなくなるので、このようなプラズマCVD装置を用いて薄膜を形成すると、薄膜が汚染されることが改善され、特性の安定した半導体基板が得られ易いという利点がある。
【0024】
なお、真空機器についての実施形態においては、処理容器10内にヒータカバー20と基板カバー22とガス分散板23が配置された場合について説明したが、本発明に係わる真空機器においてはいずれか一つのものあるいは二つのものが備えられたものでもよい。また、真空機器についての実施形態においては、本発明の表面処理アルミニウム構成部品をプラズマCVD装置に備えた場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、CVD装置、イオンプレーティング装置、ドライエッチング装置、PVD装置のような真空機器に備えても良い。
また、表面処理アルミニウム構成部品についての実施形態においては、ヒータカバー20ならびに基板カバー22およびガス分散板23に適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、本発明に係わる表面処理アルミニウム構成部品は、サセプター等に適用することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
アルミニウム合金としてJIS5052合金素材からなる試験片を成形した後、この試験片の内部に後加工により水路を形成した。ついで、この試験片を弱エッチング性の脱脂剤で脱脂処理した後、80g/lの硼酸と0.5g/lの硼酸アンモニウムを溶解した電解質水溶液で、140〜640V、電流密度1A/dm2、45℃の電解を施し、少なくとも外面に無孔質陽極酸化皮膜を形成した。ここでは電解電圧を変更することにより、無孔質陽極酸化皮膜の膜厚を調整した。電解終了後、合金を水洗し、80゜Cで乾燥させた。
ついで、無孔質陽極酸化皮膜が形成された試験片を沸騰水(イオン交換水)中でベーマイト処理を施して水路の壁面にベーマイト皮膜を形成することにより、表面処理が施された種々の試験片を得た(サンプルNo.1〜8)。ここでは、ベーマイト処理時間を変更することにより、ベーマイト皮膜の膜厚を調整した。
【0026】
また、比較例としてJIS5052合金素材を用いて上述の方法と同様にして作製した内部に水路を有する試験片を脱脂処理した後、50℃、10%の水酸化ナトリウム水溶液で、2分間エッチング処理し水洗した。ついで、室温、10%の硝酸に1分間浸漬しデスマットした後、15%〜20%硫酸で、1.3A/dm2で、5〜20℃、20分の電解を施し、試験片の外面に多孔質陽極酸化皮膜を形成することにより、表面処理が施された試験片を得た(サンプルNo. 9〜11)。さらに、サンプルNo.11の試験片については、沸騰水(イオン交換水)中でベーマイト処理を施すことにより、水路の壁面にベーマイト皮膜を形成した。
なお、サンプルNo.9〜10の試験片の多孔質陽極酸化皮膜は封孔処理は施していないものである。また、サンプルNo.9の試験片を作製する際の硫酸アルマイト処理は、20゜Cの15%硫酸を用いて行った。サンプルNo.10〜11の試験片作製する際の硫酸アルマイト処理は、5゜Cの20%硫酸を用いて行った。
【0027】
得られたサンプルNo.1〜11の試験片の陽極酸化皮膜の含水量を熱重量分析によって測定した。その結果を下記表1に示す。
また、サンプルNo.1〜11の試験片の外面側の耐食性、ガス放出性、水路の耐食性について評価した。その結果を下記表1に合わせて示す。
ここでの外面側の耐食性は、10-6トール以下の真空に吸引した雰囲気下で、40eVのCF4プラズマを試験片に30分間照射し、膜厚の変化を測定することにより評価した。評価基準は、膜厚の減少が10%以下のものを(○)、膜厚の減少が10%を超えるものを(×)とした。
また、外面側の耐食性は、10-6トール以下の真空に吸引した雰囲気下で、試験片を300℃まで加熱したときの放出されたガスの量をガスマスにより分析することにより評価した。評価基準は、ガスが殆ど放出されないものを(○)、やや放出されたものを(△)、放出量が多いものを(×)、極めて多量に放出されたものを(××)とした。
また、水路の耐食性は、試験片の水路にそれぞれ40゜Cの水道水を30日間流したときの壁面の状態を観察することにより評価した。その結果を下記表1に合わせて示す。評価基準は、腐食部の面積が10%未満のものを(○)、腐食部の面積が10〜30%のものを△、腐食部の面積が30%を超えるものを(×)とした。
【0028】
【表1】
Figure 0003705898
【0029】
上記表1に示した結果から明らかなように硫酸アルマイト処理により多孔質陽極酸化皮膜が形成されたサンプルNo.9(比較例)のものは、外面側の耐食性が悪く、その理由は、孔から腐食性ガスやプラズマが侵入し耐食性が低下してしまうからである。また、サンプルNo.11のものにおいては、ガス放出量が多く、その理由はベーマイト処理を行う際に陽極酸化皮膜の孔より水和反応がより進行し、皮膜の含水量が30〜60重量%程度になってしまうからである。
一方、無孔質陽極酸化膜が形成されたものでは、上述のような水和反応はわずかしから進行しないことがわかった。また、含水率が10重量%以下で、かつ厚さが0.3〜0.9μmの無孔質陽極酸化皮膜が外面に形成されたサンプルNo.1〜5のものは、含水量も少なく、しかも孔からの腐食性ガスやプラズマの侵入が防がれるため、外面側の耐食性が優れるうえガス放出量も少ないことがわかる。
また、外面に無孔質陽極酸化皮膜が形成されたものでも、該無孔質陽極酸化皮膜の含水量が10重量%を超えるものや、厚みが0.3μm未満であるサンプルNo.7〜8のものは、外面の耐食性が悪くなったり、ガス放出量が多いことがわかる。また、ベーマイト皮膜の厚さが0.15μmと薄いサンプルNo.6のものは、水路の耐食性が悪いことがわかる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の真空機器の表面処理アルミニウム構成部品にあっては、少なくとも外面に厚さが0.3〜0.9μmで、かつ含水率が10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜が形成され、内部に設けられられた水路の壁面に厚さが0.2〜3.0μmのベーマイト皮膜が形成されたことにより、皮膜からのガス放出量が少ないうえ外面のプラズマ等に対する耐食性が優れ、しかも内部の水路の冷却水に対する耐食性が優れる。
また、上記無孔質陽極酸化皮膜の形成にあっては、封孔処理を必要とせず、多孔質陽極酸化皮膜を形成する場合と比べて電解時間も短くて済むので、下地処理時間を短縮でき、生産性が向上するとともにコストダウンが可能である。
また、本発明の真空機器の表面処理アルミニウム構成部品が備えられた真空機器にあっては、真空環境下においても皮膜中の水分に起因する皮膜からのガスの放出量が少くなるので、真空特性が優れ、また、上記皮膜から放出されたガスが塩素ガス等の反応性ガスやプラズマ等と反応することも殆どなくなるので、このような真空機器を用いてエッチングや薄膜の形成を行うと、エッチング不良が生じたり、薄膜が汚染されることが改善され、特性の安定した半導体基板等が得られ易いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の表面処理アルミニウム構成部品の実施形態のヒータカバーと基板カバーとガス分散板が備えられた連続処理型のプラズマCVD装置の例を示す概略構成図である。
【図2】 図1のプラズマCVD装置に備えられたヒータカバーを基板側から見た図である。
【符号の説明】
20・・・ヒータカバー、20a・・・水路、22・・・基板カバー、22a・・・水路、23・・・ガス分散板。

Claims (3)

  1. 真空機器に備えられるアルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる構成部品であって、
    前記構成部品は内部に冷却用の水路が設けられ、少なくとも外面に厚さが0.3〜0.9μmで、かつ含水率が10重量%以下の無孔質陽極酸化皮膜が形成され、前記水路の壁面に厚さが0.2〜3.0μmのベーマイト皮膜が形成されていることを特徴とする真空機器の表面処理アルミニウム構成部品。
  2. 請求項1記載の真空機器の表面処理アルミニウム構成部品が少なくとも備えられたことを特徴とする真空機器。
  3. 内部に冷却用の水路を有し、アルミニウムまたはアルミニウム合金素材からなる構成部品の少なくとも外面に、硼酸、硼酸塩、アジピン酸、酒石酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩の群から選ばれる1種または2種以上からなる電解質水溶液により陽極酸化処理を施して含水量10%以下の無孔質陽極酸化皮膜を形成した後、外面に無孔質陽極酸化皮膜が形成された構成部品を80〜100゜Cの温水中に浸漬して前記水路にベーマイト皮膜を形成する工程を少なくとも備えることを特徴とする真空機器の表面処理アルミニウム構成部品の製造方法。
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