JP3705609B2 - 磁気ディスク装置のヘッドアクチュエータ - Google Patents

磁気ディスク装置のヘッドアクチュエータ Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は磁気ディスク装置のヘッド位置決め用のヘッドアクチュエータに関する。
【0002】
近年、磁気ディスク装置の小型化・薄型化・高速化が要求されている。装置の小型化・薄型化のためには、アクチュエータの小型化・薄型化は不可避な問題であるし、また、装置の高速化にはアクチュエータの慣性モーメント(又は質量)の低減、モータ部の磁束密度の増大が必要となる。
【0003】
【従来の技術】
従来のヘッドアクチュエータには可動コイル型のものが多く用いられている。しかし、可動コイル型アクチュエータではコイルの剛性が低いため振動特性に悪影響を与えるおそれがある。また可動部材にFPC(フレキシブルプリント板)などを貼り、電力を供給する必要がある。
【0004】
これらの問題に対しては、可動磁石型のアクチュエータが有利である。
図4に従来の可動磁石型のアクチュエータの1例を示す。これは閉磁気回路となる枠型のヨーク1にコイル2が設けられ、そのコイル2に対向した空間にストローク長以上の磁石3,3′が2個並べて図示なき可動部に固定されており、コイル2に通電することにより、磁石3,3′は矢印A方向又はA′方向に駆動される。
【0005】
また、図5に従来の可動磁石型アクチュエータの他の例を示す。これは、アウターヨーク5とコイル2を巻回したセンターヨーク4との間の空間に筒状の磁石3を設け、該磁石3を図示なき可動部に固定したものであり、コイル2に通電することにより磁石3を矢印B又はB′方向に駆動するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の可動磁石型アクチュエータにおいて、図4に示したものは、ストローク長以上の長さの磁石が2個並べて可動部に固定している為、可動部の質量(または慣性モーメント)が大きくなり、且つ磁気回路の可動方向の幅が大きくなるという問題がある。また、図5に示したものは、センターヨーク4に全べての磁束が集まる為、センターヨークは飽和を避けるため断面積を大きくしなければならず、このためアクチュエータの小型化が困難になるという問題があった。
【0007】
このため、小型化が可動な可動磁石型アクチュエータとして図6に示す構造のものが提案されている。(参考文献、特開昭58−213308)これは、閉磁気回路となる枠型のヨーク1にコイル2,2′を巻回し、コイル2とコイル2′の間の空間に磁石3を設けている。しかし、この型のアクチュエータは小型化は可能であるが、磁石3の位置による単位電流あたりの駆動力の変化が大きいという問題がある。また磁気抵抗が小さいためコイルのインダクタンスが非常に大きいので高速アクセスには不向きであるという問題もある。
【0008】
本発明は、小型化、高速化が可能で、且つ、磁石の位置による駆動力の変化が少ない磁気ディスク装置のヘッドアクチュエータを実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ディスク装置のヘッドアクチュエータにおいては、ヘッドアクチュエータの可動部に、可動方向に垂直に磁化された唯一の磁石13を備え、該磁石13の上下に空間を隔てて2つの磁性体板16,16′を配置し、該磁性体板16,16′の一方もしくは両方に前記磁石13の移動方向に沿い、且つ磁石13の動作範囲に対応する部分にコイル17を巻回し、さらに上下2つの磁性体板16,16′の端同士の一方を非磁性部材18で連結し、他方の端同士は開放したままとし、上記上下の磁性体板16,16′の少なくとも一方の開放端の厚さt2と前記連結した端の厚さt1に差をつけ、前記コイル17が通電されないときに前記開放端側に向かうリトラクト力が働くように、前記磁性体板の前記磁石13に対向する面を傾斜させたことを特徴とする。
【0010】
また、それに加えて、上記上下の磁性体板16,16′の一方又は両方の内側の面に傾斜を持たせたことを特徴とする。
【0011】
この構成を採ることにより、小型化、高速化が可能で、且つ、磁石の位置による単位電流あたりの駆動力の変化が少ない磁気ディスク装置のヘッドアクチュエータが得られる。
【0012】
【作用】
本発明では、図1に示すように、コイル17を巻回した2枚の磁性体板16,16′を、その端部で非磁性部材18により連結して構成したことにより、コイル17に通電すると、磁石13との相互作用により、磁石は矢印A方向又はA′方向へ移動する。
このとき、磁石13の位置と単位電流あたりの駆動力の関係は表1から分かるように、位置による単位電流あたりの駆動力の変動は従来に比して小さくなる。
【0013】
【実施例】
図1は本発明の第1の実施例を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は磁気回路の断面図である。
(a)図において、10は中心軸11回りに回転可能に設けられた支持アームであり、該支持アーム10の一方には磁気回路12により駆動される磁石13が取付けられ、他方には支持ばね14を介して磁気ヘッド15が取付けられている。
【0014】
磁石13を駆動する磁気回路12は(b)図に示すように、磁石13の上下に間隔を隔てて2枚の磁性体板16,16′が配置されている。そして該磁性体板16,16′には磁石13の可動範囲に対応してコイル17が巻回されている。図においてコイル17は磁性体板のそれぞれに設けられているが一方のみでも良い。また、該磁性体板16,16′は、その両端同士を例えばAlあるいはCu合金等の非磁性部材18で連結されている。
【0015】
このように構成された本実施例は、コイル17に電流を流すことにより磁石13はコイル17が発生する磁束との相互関係により矢印A又はA′方向に移動し、磁気ヘッド15を移動して図示なき磁気ディスク上の所要のトラックに位置決めすることができる。そして、この場合磁気抵抗が大きいためインダクタンスを小さくすることができ、また磁石13を駆動する力は、磁石の位置による変化が少ない。
【0016】
表1は、上記の理由を説明するため、有限要素法を用いて磁界解析を行なった結果を示したものである。
【0017】
【表1】
Figure 0003705609
【0018】
表1より、磁性体板が非磁性体で連結されている本実施例は、磁性体板の両端が磁性体で連結されている従来例に比して磁束密度の変化が少ないことがわかる。
【0019】
磁石の位置により磁束密度分布が異なると、電流を流さなくても磁石は力を受ける。この力は一般に磁束密度の2乗の差に比例するため、表1の場合、従来例の磁気回路は本実施例の磁気回路に比べ、磁石は約9倍の力を磁気回路の端方向に受けることになる。
【0020】
この力は、モータを動かすのに有効な力でなく、むしろ小さいことが望ましいものである。それは、この力がモータ制御にとって外乱的なものであり、位置決めするためには、コイルに余分の電流を流し、この力を打ち消す必要があるからである。
【0021】
図2は本発明の第2の実施例を示す図で、(a)は磁気回路の断面図、(b)は(a)図の磁気回路を用いたヘッドアクチュエータの断面図、(c)は(b)図のZ矢視図である。
本実施例の磁気回路が前実施例と異なるところは、2枚の磁性体板16,16′を非磁性部材18で連結するのを一方の端部のみとしたことである。
【0022】
このように構成された磁気回路12は、2枚の磁性体板16,16′の一方の端部が開放しているため、(b)図に示すように、磁気ヘッド15が四節リンク機構19で支持されて直線運動するヘッドアクチュエータに用いられる。
なお、本実施例の効果は、2枚の磁性体板16,16′を連結する部材が非磁性であり、連結部の数は磁気的特性には関係ないため、前実施例と同様な効果が得られる。また、このアクチュエータでは、磁気回路の幅を小さく構成しないと装置のフォームファクターに収まらないため、本発明は重要な役割を果たす。
【0023】
図3は本発明の第3の実施例を示す図である。
本実施例は基本的には第1の実施例と同様であり、異なるところは、一方の磁性体板16の両端の厚さt1、t2に差をつけ、磁石13に対向する面を傾斜させたことである。
【0024】
このように構成された本実施例は、ギャップ長さが徐々に変化するため、位置による磁束密度の変化が生じる。この磁束密度の変化を積極的に利用すればリトラクト機構が容易に構成できる。本実施例ではコイルに通電されないときは矢印X方向にリトラクト力が働き、所定の位置に移動する。
【0025】
【発明の効果】
本実施例によれば、磁石が1個ですむため小型化が可能であり、且つ2枚の磁性体板を連結する部材に非磁性体を使用することにより、磁石の位置による駆動力の変動を小さくすることができる。またインダクタンスが小さくなるので、高速化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図で、(a)は分解斜視図、(b)は磁気回路の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図で、(a)は磁気回路の断面図、(b)は(a)図の磁気回路を用いたヘッドアクチュエータの平面図、(c)は(b)図のZ矢視図である。
【図3】本発明の第3の実施例の磁気回路の断面図である。
【図4】従来のヘッドアクチュエータの磁気回路の1例を示す図である。
【図5】従来のヘッドアクチュエータの磁気回路の他の例を示す図である。
【図6】従来のヘッドアクチュエータの改良された磁気回路を示す図である。
【符号の説明】
10…支持アーム
11…中心軸
12…磁気回路
13…磁石
14…支持ばね
15…磁気ヘッド
16,16′…磁性体板
17…コイル
18…非磁性部材
19…四節リンク機構

Claims (1)

  1. ヘッドアクチュエータの可動部に、可動方向に垂直に磁化された唯一の磁石(13)を備え、該磁石(13)の上下に空間を隔てて2つの磁性体板(16,16′)を配置し、該磁性体板(16,16′)の一方もしくは両方に前記磁石(13)の移動方向に沿い、且つ磁石(13)の動作範囲に対応する部分にコイル(17)を巻回し、さらに上下2つの磁性体板(16,16′)の端同士の一方を非磁性部材(18)で連結し、他方の端同士は開放したままとし、上記上下の磁性体板(16,16′)の少なくとも一方の開放端の厚さ(t2)と前記連結した端の厚さ(t1)に差をつけ、前記コイル(17)が通電されないときに前記開放端側に向かうリトラクト力が働くように、前記磁性体板の前記磁石(13)に対向する側の面を傾斜させたことを特徴とする磁気ディスク装置のヘッドアクチュエータ。
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