JP3705270B2 - 赤外吸収測定方法および赤外吸収測定装置、ならびに半導体装置の製造方法 - Google Patents

赤外吸収測定方法および赤外吸収測定装置、ならびに半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低コストでかつ高精度の赤外吸収測定方法ならびに赤外吸収測定装置に関する。
【0002】
また、本発明は、前記赤外吸収測定方法を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0003】
【背景技術】
一般に、ある試料の赤外吸収を測定する場合(例えば、特許文献1参照)、試料の濃度に応じて適切なセル長を有するセルが適宜選択される。試料の濃度が高すぎる場合、吸光度が飽和するため、セル長がより長いセルを用いる必要がある。すなわち、試料の濃度に応じて、複数のセルを用意しなければならない。しかしながら、赤外吸収測定用のセルは高額であるため、複数のセルを用意すると測定コストが高騰するという問題が生じていた。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−82049号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低コストでかつ高精度の赤外吸収測定方法ならびに赤外吸収測定装置を提供することにある。
【0006】
また、本発明の目的は、前記赤外吸収測定方法を用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
1.赤外吸収測定方法
本発明の赤外吸収測定方法は、
(a)測定対象成分を含む試料ガスを減圧した状態で、該測定対象成分の赤外吸収を測定し、
(b)前記赤外吸収中において、前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積を算出し、
(c)前記吸光面積および前記減圧時の前記試料ガスの圧力から、該試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出すること、を含む。
【0008】
本発明の赤外吸収測定方法によれば、前記測定対象成分の濃度に応じて前記試料ガスの圧力を減圧して測定することができるため、前記測定対象成分の濃度に応じてセルを交換する必要がない。これにより、測定に要するコストを低減することができる。その結果、低コストでかつ高精度にて赤外吸収を測定することができる。
【0009】
また、減圧状態の前記試料ガスを導入して赤外吸収測定を行なうことにより、前記試料ガスが前記セル内に導入されてから排出されるまでに要する時間を、常圧下で前記試料ガスを測定する場合と比較して短くすることができる。このため、測定に要する時間を短縮することができ、測定の効率化を図ることができる。なお、本明細書中において「常圧」とは大気圧のことをいう。
【0010】
本発明の赤外吸収測定方法は、以下の態様(1)〜(5)をとることができる。
【0011】
(1)前記(c)において、検量線を参照して、前記吸光面積に対応する仮濃度Mを算出し、前記検量線を作成するために使用された、測定対象成分を含むガスの赤外吸収測定時の圧力をPとし、前記減圧時の前記試料ガスの圧力をPとしたとき、前記試料ガスの濃度Mは、以下の式(1)で示すことができる。
【0012】
=M/P 式(1)
前記検量線は、一定圧力下において、測定対象成分の吸光面積と、該吸光面積に対する測定対象成分の濃度との関係を示す。
【0013】
この方法によれば、前記減圧時の前記試料ガスの圧力Pを調整することにより、前記測定対象成分の濃度Mを正確に得ることができる濃度範囲内に仮濃度M(前述の式(1)参照)を設定することができる。これにより、前記検量線を利用して、前述した式(1)に基づいて、前記測定対象成分の濃度Mを正確に測定することができる。
【0014】
(2)前記測定対象成分は、赤外吸収領域に主ピーク領域および副ピーク領域を含み、前記ピーク領域が、前記主ピーク領域であることができる。この方法によれば、前記測定対象成分の濃度が非常に高い場合であっても、前記試料ガスを減圧することによって、セルを交換することなく、前記測定対象成分の濃度を正確に測定することができる。
【0015】
(3)さらに、(d)前記(a)における前記試料ガスの圧力と異なる圧力下で、該試料ガス中の前記測定対象成分の赤外吸収を測定し、
(e)前記(d)において測定された前記赤外吸収中において、前記測定対象成分を示すピーク領域から吸光面積を算出し、
(f)前記(e)において算出された前記吸光面積および前記(d)における前記試料ガスの圧力から、該試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出し、
(g)前記(c)において算出された前記測定対象成分の濃度と、前記(f)において算出された前記測定対象成分の濃度とを比較すること、を含むことができる。
【0016】
この方法によれば、それぞれのセルを用いて測定した赤外吸収から得られた前記測定対象成分の濃度を比較することによって、より高精度の赤外吸収測定が可能になる。
【0017】
(4)前記(d)において、前記試料ガスの圧力は常圧であることができる。
【0018】
(5)前記測定対象成分は、半導体製造装置から排出される排ガス中に含まれることができる。
【0019】
2.半導体装置の製造方法
本発明の半導体装置の製造方法は、前記測定対象成分が、半導体製造装置から排出される排ガス中に含まれ、上記の赤外吸収測定方法を用いて、前記試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出することができる。
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、前記セル内において、前記試料ガスが減圧状態で赤外吸収測定が行なわれるため、該セル内に前記試料ガスが滞在する時間を、常圧下で前記試料ガスを測定する場合と比較して短くすることができる。これにより、前記試料ガス中に含まれ、半導体製造装置から排ガスとともに排出される固形物が、前記セル内に付着するのを防止することができる。
【0021】
3.第1の赤外吸収測定装置
本発明の第1の赤外吸収測定装置は、
測定対象成分を含む試料ガスを減圧するポンプと、前記ポンプによって減圧された前記試料ガス中の前記測定対象成分の赤外吸収を測定する赤外吸収分析装置と、を含む。
【0022】
本発明の第1の赤外吸収測定装置によれば、前記赤外吸収測定方法と同様の作用効果を有する。
【0023】
4.第2の赤外吸収測定装置
本発明の第2の赤外吸収測定装置は、
赤外吸収測定用の第1および第2のセルを含み、試料ガス中の測定対象成分の赤外吸収を測定する赤外吸収分析装置と、
前記第1のセルに前記試料ガスを導入する第1のラインと、
前記第2のセルに前記試料ガスを導入する第2のラインと、を含み、
前記第1のセル内の前記試料ガスの圧力と、前記第2のセル内の前記試料ガスの圧力とが異なる。
【0024】
本発明の第2の赤外吸収測定装置によれば、より正確に測定された前記測定対象成分の濃度を測定結果として採用することができる。
【0025】
この場合、前記第1のセル内の前記試料ガス中の前記測定対象成分と、前記第2のセル内の前記試料ガス中の前記測定対象成分とについて、同時に赤外吸収測定が行なうことができる。これにより、前記第1のセル内の前記試料ガスと、前記第2のセル内の前記試料ガスとが異なる圧力で設定された状態で、前記第1および第2のセル内の前記試料ガスに含まれる前記測定対象成分を同時に測定し、それぞれのセルを用いて測定した赤外吸収から得られた前記測定対象成分の濃度を比較することができるため、より高精度の赤外吸収測定が可能になる。
【0026】
5.第3の赤外吸収測定装置
本発明の第3の赤外吸収測定装置は、
赤外吸収測定用のセルを含み、試料ガス中の測定対象成分の赤外吸収を測定する赤外吸収分析装置と、
試料ガス導入切替部と、
前記試料ガス導入切替部に並列に接続され、前記セルに該試料ガスを導入する前記第1および第2のラインと、を含み、
前記試料ガス導入切替部は、前記第1のラインまたは前記第2のラインのいずれか一方に、前記試料ガスを導入する機能を有し、
前記セルには、前記第1のラインまたは前記第2のラインから前記試料ガスが導入され、
前記第1のラインから前記セルに導入された前記試料ガスの圧力と、前記第2のラインから該セルに導入された前記試料ガスの圧力とが異なる。
【0027】
本発明の第3の赤外吸収測定装置によれば、前記第1のラインから導入された前記試料ガスの圧力と、前記第2のラインから導入された前記試料ガスの圧力とが異なることにより、前記測定対象成分の濃度に応じて、より適切な圧力下で前記試料ガスを測定することができる。これにより、前記測定対象成分の濃度をより正確に測定することができる。
【0028】
また、前記三方弁を切り替えることによって、前記測定対象成分の濃度が大きい場合は、前記第1のラインから減圧された前記試料ガスを導入し、前記測定対象成分の濃度が小さい場合は、前記第2のラインから常圧の前記試料ガスを導入して、赤外吸収測定を行なうことができる。これにより、前記試料ガスに含まれる前記測定対象成分の濃度に応じて、セルの交換を行なう必要がない。これにより、コストの削減を図ることができる。
【0029】
この場合、前記ガス導入切替部は、三方弁であり、前記三方弁の切り替えによって、前記第1のラインまたは前記第2のラインのいずれか一方から前記セルに前記試料ガスが導入されることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
[第1の実施の形態]
(赤外吸収測定装置)
図1は、本実施の形態の赤外吸収測定装置100を模式的に示す図である。
【0032】
本実施の形態の赤外吸収測定装置100においては、測定対象成分を含む試料ガスが、ガス導入ライン28を通って赤外吸収分析装置10へと導入された後、この赤外吸収分析装置10にて、前記測定対象成分の赤外吸収が測定される。すなわち、前記試料ガスに含まれる前記測定対象成分が、赤外吸収の測定対象となる。
【0033】
試料ガスは、1種類以上の前記測定対象成分を含む。本実施の形態においては、試料ガスが1種類の前記測定対象成分(CHF)を含む場合を例にとり説明する。
【0034】
また、この赤外吸収測定装置100は、図1に示すように、ガス導入ライン28の途中に、弁27が設置されている。弁27としては、例えばニードル弁を用いることができる。また、この赤外吸収測定装置100において、排気ライン26の途中には、ポンプ24が設置されている。試料ガスの圧力は、弁27およびポンプ24によって制御することができる。具体的には、この弁27およびポンプ24は、前記試料ガスを減圧するために用いられる。より具体的には、ガス導入ライン28に導入された試料ガスは、このポンプ24および弁27によって減圧された後、赤外吸収分析装置10へと導入される。これにより、赤外吸収分析装置10内では、前記試料ガスが減圧された状態で赤外吸収の測定が行なわれる。
【0035】
測定後、前記試料ガスは、赤外吸収分析装置10から排気ライン26を経て排出される。
【0036】
なお、図1においては、赤外吸収分析装置10としてFT−IRを使用した場合について示したが、この赤外吸収分析装置10の種類は特に限定されるわけではない。また、以降の説明において、測定データは、FT−IRとしてMIDAC社製IGA2000を用いた場合の実験結果である。この場合、測定においては1cm長のセルを使用した。
【0037】
(赤外吸収測定方法)
次に、図1に示す赤外吸収測定装置100を用いた赤外吸収測定方法について、具体的に説明する。
【0038】
(1)赤外吸収の測定
まず、前述したように、この赤外吸収測定装置100において、前記測定対象成分(CHF)を含む前記試料ガスを減圧した状態で、赤外吸収分析装置10にて前記測定対象成分の赤外吸収を測定する。具体的には、減圧された前記試料ガスが、赤外吸収分析装置10内のセル21に導入され、このセル21を用いて前記測定対象成分の赤外吸収が測定される。また、セル21内における前記試料ガスの圧力Pは、圧力センサ22によって検知される。測定後、前記試料ガスはセル21から排出され、排気ライン26によって外部に排出される。
【0039】
(2)吸光面積の算出
次いで、この赤外吸収分析装置10によって得られた前記測定対象成分の赤外吸収スペクトルから、前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積が算出される。この吸光面積の算出は、市販のソフトウエアを用いて行なうことができる。
【0040】
(3)測定対象成分の濃度の算出
次いで、前記(2)で得られた前記吸光面積と、前記(1)で得られた前記減圧時の前記試料ガスの圧力とから、前記測定対象成分の濃度を算出する。
【0041】
具体的には、まず、検量線を参照して、前記吸光面積に対応する仮濃度Mを算出する。この検量線は、前記測定対象成分の濃度と吸光面積との関係を示すものであり、以下の方法により作成される。なお、検量線を作成するかわりに、既知の検量線を用いることもできる。
【0042】
(A)検量線の作成
検量線は、既知の濃度の前記測定対象成分を含むガスについて赤外吸収を測定して吸光面積を算出し、該測定対象成分の濃度を複数変えて同様に吸光面積を算出した後、それぞれの濃度における吸光面積をプロットすることにより得られる。なお、検量線作成のための前記測定対象成分の濃度測定において、ガスの圧力は一定とする。ここでは、前記ガスの圧力を とする。
【0043】
赤外吸収では、圧力が一定の条件下において、測定されるガス中の前記測定対象成分の濃度と、該濃度における該測定対象成分の吸光面積とは、比例関係を有する。したがって、圧力が一定の条件下において、前記測定対象成分の各濃度に対する各吸光面積をプロットすることにより、検量線が得られる。
【0044】
一例として、前記測定対象成分がCHFである場合について説明する。図6は、CHFに基づく検量線である。この検量線は、前記測定対象成分(CHF)の濃度に対する吸光面積を示している。すなわち、図6において、縦軸は吸光面積、横軸はCHFの濃度をそれぞれ示している。
【0045】
CHFは、赤外吸収領域内に、主ピーク領域(1090−1247cm−1)と2つの副ピーク領域(1316−1437cm−1,2980−3080cm−1)とを有する。したがって、前記測定対象成分がCHFである場合、主ピーク領域と副ピーク領域それぞれについて検量線を作成することができる。図6では、主ピーク領域に基づく検量線と、2本の副ピーク領域に基づく2本の検量線とが示されている。
【0046】
本実施の形態においては、主ピーク領域に基づいて吸光面積を算出することにより、CHFの濃度を算出する場合について説明する。なお、図6において、縦軸(吸光面積)は、主ピーク領域に基づく検量線ではグラフの左端の目盛りを、副ピーク領域に基づく検量線では右端の目盛りをそれぞれ用いた値で示される。なお、図6に示す検量線は、測定対象成分(CHF)を含むガスが常圧下で赤外吸収測定が行なわれた測定結果に基づくものである。
【0047】
(B)濃度の算出
例えば、図6に示すように、前記測定対象成分がCHFである場合において、得られた吸光面積がSであるとする。このとき、図6の主ピーク領域に基づく検量線を参照すると、前記ガス中におけるCHFの濃度(仮濃度)はMである。
【0048】
前記ガスの圧力が一定の場合、前記測定対象成分の吸光面積は、前記測定対象成分の濃度に比例する。また、前記測定対象成分の吸光面積が同じである場合、前記測定対象成分の濃度と、前記測定対象成分の圧力とは、反比例の関係にある。
【0049】
前述したように、前記検量線を作成するために使用された、測定対象成分を含むガスの赤外吸収測定時の圧力がPであり、前記減圧時の前記試料ガスの圧力はPであるすると、前記試料ガス中における前記測定対象成分の濃度Mは、以下の式(1)で示される。
【0050】
=M/P (1)
したがって、仮濃度Mおよび圧力P,Pを測定することにより、前記式(1)に基づいて、前記試料ガス中における前記測定対象成分の濃度Mが得られる。
【0051】
(作用効果)
本実施の形態の作用効果を説明する前に、本実施の形態の作用効果と比較するために、一般的な赤外吸収測定方法について説明する。
【0052】
(1)一般的な赤外吸収測定方法
一般的な赤外吸収測定では、測定されるガス中の測定対象成分の濃度に応じて適切なセル長のセルを選択する必要がある。すなわち、一般に、前記測定対象成分の濃度が大きい場合、セル長が短いセルを使用し、前記測定対象成分の濃度が小さい場合、セル長が長いセルを使用する。
【0053】
また、測定対象成分の種類や濃度によっては、正確な検量線が得られない場合がある。ここでは、一例として、前記測定対象成分がCFである場合について説明する。図7は、CFに基づく検量線を示している。なお、図7において、縦軸(吸光面積)は、主ピーク領域に基づく検量線ではグラフの左端の目盛りを、副ピーク領域に基づく検量線では右端の目盛りをそれぞれ用いた値で示される。なお、図7に示す検量線は、測定対象成分(CF)を含むガスの圧力がほぼ大気圧に等しい状態で赤外吸収測定が行なわれた測定結果に基づくものである。
【0054】
前記測定対象成分としてCFを用いた場合、図7に示すように、主ピーク領域に基づく検量線において、濃度が高い領域で、検量線のリニアリティが失われている(図7の点線部分参照)。その理由を以下の(I)および(II)に示す。
【0055】
(I)図7に示すように、CFは赤外吸収領域中に主ピーク領域(1230−1305cm−1)と副ピーク領域(2160−2200cm−1)を有する。また、図8に、CFの赤外吸収スペクトルおよび副ピーク領域の拡大図を示す。さらに、図9(a),(b)に、CFの主ピーク領域の拡大図を示す。なお、図9(b)は図9(a)よりも分解能を高くして測定した結果を示している。
【0056】
図8では、CFの主ピーク領域に存在するピークはシングルピークにみえるが、拡大すると図9(a),(b)に示すように、CFの主ピーク領域には複数のピークが存在する。したがって、CFの主ピーク領域に基づく検量線を作成する場合、図9(b)に示す複数のピークの存在を無視して検量線を作成すると、正確な検量線が得られない。
【0057】
(II)図9(a),(b)には、CFが異なる濃度を有する場合における、主ピーク領域(1230−1305cm−1)の赤外吸収波形が示されている。具体的には、CFの濃度が、ピークが高い順から103.5ppm−m,10.3ppm−m,3.63ppm−m,0.41ppm−mである場合の赤外吸収波形が示されている。図9(a),(b)において、波形と横軸(波数)で囲まれた面積(吸光面積)は、CFの濃度に比例する。したがって、試料ガス中に含まれるCFの濃度を求める場合、赤外吸収測定を行なった後、図9(a),(b)を参照して吸光面積を算出し、図7の検量線を参照して、前記吸光面積からCFの濃度を算出することができる。
【0058】
CFの主ピーク領域においては、図9(b)に示すように、CFの濃度が0.41ppm−m,3.63ppm−m,10.3ppm−mと順に大きくなるにつれて、波形に含まれるピークが高くなる。しかしながら、CFの濃度がさらに103.5ppm−mとなった場合、一番高いピークは、濃度に比例して高くならず、ある吸光度のところで飽和してしまう。すなわち、試料ガス中に含まれるCFの濃度を、主ピーク領域に基づく検量線を用いて求める場合において、図7に示すように、CFの濃度が大きい領域では、吸光面積がCFの濃度に比例しないため、吸光面積に基づいて正確な濃度を算出することができないことがある。
【0059】
以上の(I)および(II)に示す理由により、CFの主ピーク領域に基づく検量線は、高濃度の領域において信頼性が低下する。これに対して、CFの濃度が高濃度の領域では、CFの副ピーク領域に基づく検量線を用いる方法もある。しかしながら、副ピーク領域に基づく検量線では、図7に示すように、CFの濃度が大きい範囲ではリニアリティが優れているのに対し、CFの濃度が小さい範囲ではリニアリティが小さい。この原因の一つとして、図8に示すように、CFにおいては、副ピーク領域に存在するピークの高さは、主ピーク領域に存在するピークの高さと比較して非常に小さいため、CFの濃度が小さい範囲では、ノイズの影響でCFのピークを正確に定量することが難しく、CFの濃度について誤差が大きくなることが考えられる。したがって、CFの濃度が小さい範囲では、副ピーク領域に基づく検量線を用いると、得られるCFの濃度の信頼性が低下することが考えられる。
【0060】
(2)作用効果
これに対して、本実施の形態の赤外吸収測定方法によれば、測定対象成分を含む試料ガスを減圧した状態で赤外吸収を測定し、前記赤外吸収中において前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積を算出する。そして、前記吸光面積および前記減圧時の前記試料ガスの圧力から、前記試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出する。すなわち、測定されるガス中の測定対象成分の濃度に応じて前記試料ガスを減圧した状態で赤外吸収を測定する。そして、前記赤外吸収から前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積を算出し、前記測定対象成分の検量線を参照して、前記吸光面積に対応する仮濃度Mを算出する。さらに、前記検量線を作成するために使用された、測定対象成分を含むガスの赤外吸収測定時の圧力をPとし、前記減圧時の前記試料ガスの圧力をPとしたとき、前述した式(1)を用いて、前記試料ガスの濃度Mを算出することができる。このため、前記測定対象成分の濃度に応じてセルを交換する必要がない。これにより、測定に要するコストを低減することができる。その結果、低コストでかつ高精度にて赤外吸収を測定することができる。
【0061】
また、本実施の形態の赤外吸収測定方法によれば、前記減圧時の前記試料ガスの圧力Pを調整することにより、前記測定対象成分の濃度Mを正確に得ることができる濃度範囲内に仮濃度M(前述の式(1)参照)を設定することができる。これにより、前記検量線を利用して、前述した式(1)に基づいて、前記測定対象成分の濃度Mを正確に測定することができる。
【0062】
例えば、前記測定対象成分がCFの場合のように、主ピーク領域に基づく検量線のうち高濃度の領域において検量線のリニアリティが低いため、高濃度の領域では正確な濃度得るのが困難である。一方、この場合、副ピーク領域に基づく検量線を用いると、ノイズの影響により検量線の信頼性が低下するため、正確な濃度が得られない。これに対し、本実施の形態の赤外吸収測定方法によれば、前記減圧時の前記試料ガスの圧力Pを調整することにより、前記主ピーク領域に基づく検量線において、正確な測定ができる濃度範囲内に仮濃度 (前述の式(1)参照)を設定することができる。これにより、前記主ピーク領域に基づく検量線を利用して、前述した式(1)に基づいて、前記測定対象成分の濃度Mを正確に測定することができる。
【0063】
さらに、セル21内で、減圧状態の前記試料ガスを導入して赤外吸収測定を行なうことにより、前記試料ガスがセル21内に導入されてから排出されるまでに要する時間を、常圧下で前記試料ガスを測定する場合と比較して短くすることができる。このため、測定に要する時間を短縮することができ、測定の効率化を図ることができる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、前記測定対象成分がCFの場合、主ピーク領域に基づく検量線を用いてCFの濃度を算出した場合について説明したが、主ピーク領域および副ピーク領域のうちどのピーク領域に基づく検量線を使用するかは、前記測定対象成分の種類や、前記試料ガスに含まれる他の成分に基づいて判断される。このことは、後述する実施の形態においても同様である。
【0065】
[第2の実施の形態]
図2は、本実施の形態の赤外吸収測定装置100と接続された半導体製造装置11を模式的に示す図である。本実施の形態においては、第1の実施の形態の赤外吸収測定装置100が、半導体製造装置11から排出されるガス中の測定対象成分を定量分析するために用いられる場合について説明する。
【0066】
本実施の形態の赤外吸収測定装置100では、半導体製造装置11から排出されたガスが、窒素ガス20と混合されて試料ガスが作製された後、この試料ガスがガス導入ライン28を介して赤外吸収分析装置10へと導入され、この赤外吸収分析装置10にて、前記試料ガスに含まれる各測定対象成分の赤外吸収が測定される。
【0067】
半導体製造装置11内では、例えばドライエッチングやCVD等の半導体製造プロセスが行なれる。ドライエッチング工程では、例えば、PFC(perfluorocarbon)が、ガスプラズマとして利用されている。本実施の形態においては、PFCのうちCをエッチングガスに用いた場合について説明する。しかしながら、本実施の形態の赤外吸収装置による測定対象となるガスは、これに限定されるわけではない。
【0068】
PFCは温室効果ガス(greenhouse gas)の一種である。温室効果ガスは、このPFCのほか、CO、NO、メタン等がある。これらの温室効果ガスは、赤外線領域に強い吸収をもち、大気中に放出されると、地表から放射されるエネルギーを吸収する。この吸収されたエネルギーは上空の宇宙空間と下層の地表に向かって放出される。この場合、地表から放出されたエネルギーの一部が温室効果ガスによって再び地表に戻されるため、地表の温度が上昇する。このような機構により、温室効果ガスは地球温暖化効果をもたらすと考えられている。
【0069】
温室効果ガスによる温暖化の影響の程度を比較する指標として、地球温暖化係数(global warming potential;GWP)がある。このGWPは、CO1単位重量に比べてそれぞれのガス1単位重量がどれだけの温暖化効果を持つかを表したものである。温室効果ガスの中でも温暖化効果が高いガスとしてPFCが挙げられる。PFCはGWP値がきわめて高く、たとえばCFのGWP値はCOの約6500倍である。また、PFCは他のガスと比較して安定であり、大気中の寿命が非常に長く、たとえばCFでは大気寿命が約50,000年である。したがって、PFCは一度大気中に放出されると長年にわたって地球を暖めることになる。
【0070】
このPFCは、半導体デバイスの製造工程において通常用いられるものであり、特に低圧プラズマを利用した装置で多く用いられている。例えばドライエッチング装置では、SiOやSiのエッチングにCF、C等のPFCが使用されている。また、CVD装置では、装置に付着したシリコン化合物等の膜をクリーニングするために、C等のガスプラズマが多く用いられる。さらに、ウエハを冷却する溶媒として液体PFCが用いられている。しかしながら、前述したように、PFCは高い温暖化効果を有するため、PFCの排出量の削減が国際的に求められている。
【0071】
ここで、PFCの排出量の削減を実証するためには、工場から排出されるPFCガスを測定する必要がある。現状では、工場から排出されるPFCガスを実際に測定することは難しいため、PFCを使用する半導体製造装置から排出されるPFCガスを測定して、投入ガスあたりの排出ガス量の比(エミッションファクター)と、工場で消費するガス量とから、PFCの排出量を規定することとなっている。エミッションファクターは、半導体製造装置から実際に排出されるPFCガスを測定して算出されるものである。
【0072】
半導体製造装置11のチャンバ12内で、Cを用いてドライエッチングを行なう場合、処理の対象となる半導体基板上に形成された絶縁層の組成等によって、排ガス中には、CF、CHF、C、C、C、C、C、COF、HF、SiF、OF、NF、SO、SF、SO、SOF、NO、NO、NO、CO、およびCO等が含まれている可能性がある。
【0073】
例えば、半導体製造装置11のチェンバ12内でドライエッチングを行なうために、Cのガスプラズマを発生させる場合、ポンプを用いてチェンバ12内をほぼ真空状態にした後、所定量のCを導入し高電圧を印加する。これにより、Cのガスプラズマが発生する。このガスプラズマが前記ドライエッチングに用いられる。この場合、使用されたCのうち所定の割合のものはCF等へと分解されるが、残りはそのままCの形でチェンバ12から排出される。この排ガスを、ポンプ14を用いて吸引し、必要に応じて、窒素ボンベ20から供給される窒素ガスで前記排ガスを希釈して、試料ガスが得られる。この試料ガスが赤外吸収分析装置10に導入された後、前記試料ガス中の各測定対象成分について赤外吸収が測定される。
【0074】
また、この赤外吸収測定装置100は、図1に示すように、前記試料ガスを減圧する。半導体製造装置11から排出された試料ガスは、ポンプ24と弁27との関係によって減圧された後、赤外吸収分析装置10のセル21に導入される。これにより、セル21内では、前記試料ガスが減圧された状態にて測定が行なわれる。この場合、前記試料ガスの圧力は、ポンプ24と弁27との関係によって調節することができる。
【0075】
測定後、前記試料ガスは、セル21から排気ライン26を経て除害装置16に導入され、この除害装置16にて前記試料ガス中の有害物質が除去された後、大気へと放出される。
【0076】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態の赤外吸収測定方法および測定装置100と同様の作用効果を有する。加えて、本実施の形態によれば、半導体装置の製造プロセスで生じる排ガス中の各測定対象成分について、高精度の分析が可能となる。例えば、PFC等の温室効果ガスの濃度を正確に測定することができる。
【0077】
また、半導体製造装置から排出される排ガスには、この製造プロセスによって生じた固形物が含まれている場合が多い。例えば、半導体製造プロセスが、絶縁層のエッチングである場合、エッチングにより生じた絶縁層由来の固形物が含まれている。本実施の形態の赤外吸収測定方法によれば、セル21内において前記試料ガスが減圧状態で赤外吸収測定が行なわれるため、セル21内に前記試料ガスが滞在する時間を、常圧下で前記試料ガスを測定する場合と比較して短くすることができる。これにより、セル21内に前記固形物が付着するのを防止することができる。
【0078】
なお、本実施の形態においては、赤外吸収測定装置100が半導体製造装置11と別途設置されている場合について示したが、赤外吸収測定装置100を半導体製造装置11内に設置することもできる。このことは、後述する他の実施形態でも同様である。
【0079】
[第3の実施の形態]
(赤外吸収測定装置)
図3は、本実施の形態の赤外吸収測定装置200と、この赤外吸収測定装置200に接続された半導体製造装置11を模式的に示す図である。本実施の形態においては、赤外吸収測定装置200が、半導体製造装置11から排出されるガス中の測定対象成分を定量分析するために用いられる場合について説明する。すなわち、赤外吸収測定装置が、半導体製造装置11から排出されるガス中の測定対象成分を定量分析するために用いられる点で、第2の実施の形態と共通する。
【0080】
本実施の形態の赤外吸収測定装置200は、赤外吸収測定に用いるセル(第1および第2のセル21,31)を2つ含む点で、セル(セル21)を1つ含む第1の実施の形態の赤外吸収測定装置100と異なる構成を有する。赤外吸収測定装置200において、第1の実施の形態の赤外吸収測定装置100と同様の構成要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0081】
本実施の形態においては、第2の実施の形態と同様に、半導体製造装置11のチェンバ12から排出された排ガスは、ポンプ14によって吸引される。その後、必要に応じて、前記排ガスは、窒素ボンベ20から供給される窒素ガスで希釈して、試料ガスが得られる。この試料ガスがセル21,31に導入された後、前記試料ガス中の各測定対象成分について赤外吸収が測定される。
【0082】
セル21,31にはそれぞれ、ガス導入ライン28,38を介して、測定対象成分を含む試料ガスが導入される。ガス導入ライン28,38はそれぞれ、セル21,31に前記試料ガスを導入する。すなわち、前記試料ガスは、ガス導入ライン28,38を介してセル21,31に導入された後、セル21,31を用いた赤外吸収分析結果に基づいて、前記ガスに含まれる各測定対象成分の赤外吸収が測定される。
【0083】
また、この赤外吸収測定装置200は、図3に示すように、前記試料ガスを減圧するためのポンプ24および弁27を含む。弁27は、ガス導入ライン(第1のライン)28の途中に設置されている。また、ポンプ24は、排気ライン26の途中に設置されている。半導体製造装置11から排出された試料ガスは、このポンプ24および弁27によって減圧された後、セル21へと導入される。これにより、セル21内では、前記試料ガスが減圧された状態にて測定が行なわれる。
【0084】
一方、ガス導入ライン28とは異なり、ガス導入ライン(第2のライン)38の途中に設置された弁37は、弁27よりもよりオープンな状態(開放された状態)となっている。したがって、セル31には、常圧下で前記試料ガスが導入される。これにより、セル31内では、前記試料ガスが常圧下で測定される。
【0085】
測定後、前記試料ガスは、セル21,31からそれぞれ排気ライン26,46を経て除害装置16へと導入され、この除害装置16にて前記試料ガス中の有害物質が除去された後、大気へと放出される。
【0086】
(赤外吸収測定方法)
次に、本実施の形態の赤外吸収測定方法について説明する。
【0087】
まず、前記試料ガスがセル21に導入される前に、該試料ガスは、ポンプ24と弁27との関係によって減圧されている。次いで、セル21へと導入された前記試料ガスは、第1の実施の形態の赤外吸収測定装置100と同様の方法にて、前記試料ガス中の測定対象成分の赤外吸収が測定される。すなわち、セル21内で前記試料ガスが減圧された状態で赤外吸収が測定される。ここで得られた赤外吸収中において前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積を算出する。そして、前記吸光面積および前記減圧時の前記試料ガスの圧力から、前記試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出する。この前記測定対象成分の濃度を算出する方法は、第1の実施の形態の欄で既に説明したため、詳しい説明は省略する。
【0088】
一方、ガス導入ライン38を介してセル31へと導入された前記試料ガスは、常圧下で赤外吸収が測定される。ここで得られた赤外吸収から前記試料ガス中の測定対象成分の濃度を求める方法は、一般的な方法を用いる。すなわち、得られた赤外吸収中において前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積を算出し、前記吸光面積から検量線を用いて、前記試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出する。ここで、検量線とは、前述したように、常圧下における前記測定対象成分の濃度に対する吸光面積の関係を示す線である。
【0089】
次いで、セル21を用いた測定により得られた前記測定対象成分の濃度と、セル31を用いた測定により得られた前記測定対象成分の濃度とを比較する。その結果、両者の濃度が同じであれば、正確な濃度測定がなされていることが確認できる。
【0090】
一方、セル21を用いた測定により得られた前記測定対象成分の濃度と、セル31を用いた測定により得られた前記測定対象成分の濃度とが異なる場合、いずれか一方の濃度を測定結果として採用することができる。
【0091】
例えば、第1の実施の形態で説明したように(図7参照)、前記測定対象成分としてCFを用いた場合において、前記試料ガス中のCFの濃度が低いときは、減圧状態の前記試料ガスを測定して得られた赤外吸収は、CFを示すピークに対してノイズが相対的に大きいため、得られるCFの濃度が正確でない場合がある。したがって、この場合、セル31を用いた測定により得られた赤外吸収から算出したCFの濃度、すなわち前記試料ガスが常圧下で測定されたCFの赤外吸収から得られたCFの濃度を、測定結果として採用することができる。
【0092】
これに対して、前記試料ガス中のCFの濃度が高いときは、高濃度領域における検量線のリニアリティが低いため(図7参照)、常圧下で前記試料ガスを測定して得られた赤外吸収から、前記主ピーク領域に基づく検量線を用いて算出したCFの濃度は正確でない場合がある。したがって、この場合、セル21を用いた測定により得られた赤外吸収から算出したCFの濃度、すなわち前記試料ガスが減圧下で測定されたCFの赤外吸収から得られたCFの濃度を、測定結果として採用することができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、セル21内の前記試料ガスを減圧状態にし、セル31内の前記試料ガスを常圧にした場合を示したが、セル21,31内の前記試料ガスをいずれも減圧状態にし、かつ、セル21,31内の前記試料ガスを異なる圧力にすることもできる。この場合についても、前記試料ガスに含まれるCFの濃度によって、セル21,31のうち、より正確な濃度のCFの濃度を測定結果として採用することができる。
【0094】
(作用効果)
本実施の形態によれば、前述した第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を有する。
【0095】
加えて、本実施の形態によれば、前記第1のセル内の前記試料ガスの圧力と、前記第2のセル内の前記試料ガスの圧力とが異なることにより、より正確に測定された前記測定対象成分の濃度を測定結果として採用することができる。
【0096】
すなわち、本実施の形態によれば、セル21内の前記試料ガスと、セル31内の前記試料ガスとが異なる圧力で設定された状態で、セル21,31内の前記試料ガスに含まれる前記測定対象成分を同時に測定し、それぞれのセルを用いて測定した赤外吸収から得られた前記測定対象成分の濃度を比較することができるため、より高精度の赤外吸収測定が可能になる。
【0097】
[第4の実施の形態]
(赤外吸収測定装置)
図4は、本実施の形態の赤外吸収測定装置300と、この赤外吸収測定装置300と接続された半導体製造装置11を模式的に示す図である。本実施の形態においては、赤外吸収測定装置300が、半導体製造装置11から排出されるガス中の測定対象成分を定量分析するために用いられる場合について説明する。すなわち、赤外吸収測定装置が、半導体製造装置11から排出されるガス中の測定対象成分を定量分析するために用いられる点で、第2の実施の形態と共通する。
【0098】
本実施の形態の赤外吸収測定装置300は、三方弁(ガス導入切替部)97を含み、ガス導入ライン28,38がこの三方弁97に並列に接続されている点で、第2の実施の形態の赤外吸収測定装置100と異なる構成を有する。赤外吸収測定装置300において、第2の実施の形態の赤外吸収測定装置100と同様の構成要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0099】
本実施の形態においては、第2および第3の実施の形態と同様に、半導体製造装置11のチェンバ12から排出された排ガスは、ポンプ14によって吸引される。その後、必要に応じて、前記排ガスは、窒素ボンベ20から供給される窒素ガスで希釈して、試料ガスが得られる。この試料ガスがセル21に導入された後、前記試料ガス中の各測定対象成分について、赤外吸収が測定される。
【0100】
セル21には、ガス導入ライン(第1のライン)28またはガス導入ライン(第2のライン)38を介して、測定対象成分を含む試料ガスが導入される。すなわち、前記試料ガスは、ガス導入ライン28,38のうちいずれか一方を介してセル21へと導入された後、セル21を用いた赤外吸収分析結果に基づいて、前記ガスに含まれる各測定対象成分の赤外吸収が測定される。
【0101】
ガス導入ライン28,38は、三方弁97に並列に接続されている。また、前記試料ガスは、三方弁97の栓の方向を切り替えることによって、ガス導入ライン28,38のいずれか一方を通ってセル21に導入される。すなわち、三方弁97は、ガス導入ライン28,38のいずれか一方に前記試料ガスを導入する機能を有する。
【0102】
また、ガス導入ライン28には、図4に示すように、前記試料ガスを減圧するための弁27が設置されている。この弁27は、ガス導入ライン28の途中に設置されている。また、この赤外吸収測定装置300において、排気ライン26の途中には、ポンプ24が設置されている。したがって、前記試料ガスがガス導入ライン28を通ってセル21に導入される場合、前記試料ガスは、このポンプ24および弁27によって減圧された後、セル21に導入される。この場合、セル21内では、前記試料ガスが減圧された状態にて赤外吸収測定が行なわれる。
【0103】
一方、ガス導入ライン28とは異なり、ガス導入ライン38の途中に設置された弁37は、オープンな状態(開放された状態)である。したがって、前記試料ガスがガス導入ライン38を通ってセル21へと導入される場合、セル21には、常圧下で前記試料ガスが導入される。この場合、セル21内では、前記試料ガスが常圧下で測定される。
【0104】
測定後、前記試料ガスは、セル21からそれぞれ排気ライン26を経て除害装置16へと導入され、この除害装置16にて前記試料ガス中の有害物質が除去された後、大気へと放出される。
【0105】
なお、本実施の形態では、ガス導入ライン28から導入された前記試料ガスが減圧状態であり、ガス導入ライン38から導入された前記試料ガスが常圧である場合を示したが、例えば、本実施の形態の赤外吸収測定装置300において、ガス導入ライン28,38から導入された前記試料ガスをいずれも減圧状態にし、かつ、ガス導入ライン28,38からそれぞれ導入された前記試料ガスが、それぞれ異なる圧力となるようにすることもできる。
【0106】
例えば、本実施の形態の赤外吸収測定装置300において、ガス導入ライン38に、例えばニードル弁からなる弁37を設置することができる。前記試料ガスの圧力は、弁37によって制御することができる。この場合、前記試料ガスに含まれるCFの濃度に応じて、三方弁97の栓を切り替えることによって、ガス導入ライン28,38のうちいずれか一方からセル21に前記試料ガスを導入することができる。すなわち、前記試料ガスに含まれるCFの濃度に応じて、ガス導入ライン28,38のうちいずれか一方を選択してセル21に前記試料ガスを導入することができる。このため、赤外吸収測定において、前記試料ガス中の前記測定対象成分(CF)の濃度に応じて、セル21内の前記試料ガスをより適切な圧力にすることができる。これにより、前記赤外吸収から得られるCFの濃度を、適切な濃度範囲に設定することができる。この結果、より正確なCFの濃度を測定結果として採用することができる。
【0107】
(赤外吸収測定方法)
次に、本実施の形態の赤外吸収測定方法について説明する。
【0108】
まず、三方弁97の栓の切り替えによって、ガス導入ライン28から前記試料ガスが導入される。この場合、該試料ガスは、ポンプ24および弁27によって減圧された後、セル21に導入される。次いで、セル21に導入された前記試料ガスは、第1の実施の形態の赤外吸収測定装置100と同様の方法にて、前記試料ガス中の測定対象成分の赤外吸収が測定される。すなわち、セル21内で前記試料ガスが減圧された状態で赤外吸収が測定された後、前記赤外吸収中において前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積を算出する。そして、前記吸光面積および前記減圧時の前記試料ガスの圧力から、前記試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出する。この前記測定対象成分の濃度を算出する方法は、第1の実施の形態の欄で既に説明したため、詳しい説明は省略する。
【0109】
一方、三方弁97の栓の切り替えによって、ガス導入ライン38から前記試料ガスが導入される。この場合、ガス導入ライン38を介してセル21に導入された前記試料ガスは、常圧下で赤外吸収が測定される。ここで得られた赤外吸収から、前記試料ガス中の測定対象成分の濃度を求める方法は、一般的な方法を用いる。すなわち、得られた赤外吸収中において前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積を算出し、前記吸光面積から検量線を用いて、前記試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出する。ここで、検量線とは、前述したように、常圧下において、前記測定対象成分の濃度に対する吸光面積の関係を示す線である。
【0110】
例えば、第1の実施の形態で説明したように(図7参照)、前記測定対象成分としてCFを用いた場合において、前記試料ガス中のCFの濃度が低いときは、減圧状態の前記試料ガスを測定して得られた赤外吸収は、CFを示すピークに対してノイズが相対的に大きいため、得られるCFの濃度が正確でない場合がある。したがって、この場合、三方弁97の切り替えによって、ガス導入ライン38からセル21に前記試料ガスを導入する。この場合、前記試料ガスが常圧下で測定されたCFの赤外吸収から得られたCFの濃度を、測定結果として採用することができる。
【0111】
これに対して、前記試料ガス中のCFの濃度が高いときは、高濃度領域における検量線のリニアリティが低いため(図7参照)、常圧下で前記試料ガスを測定して得られた赤外吸収から、前記主ピーク領域に基づく検量線を用いて算出したCFの濃度は正確でない場合がある。したがって、この場合、三方弁97の切り替えによって、ガス導入ライン28からセル21に前記試料ガスを導入する。これにより、前記試料ガスが減圧下で測定されたCFの赤外吸収から得られたCFの濃度を、測定結果として採用することができる。
【0112】
(作用効果)
本実施の形態によれば、前述した第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を有する。
【0113】
加えて、本実施の形態によれば、ガス導入ライン28から導入された前記試料ガスの圧力と、ガス導入ライン38から導入された前記試料ガスの圧力とが異なることにより、前記測定対象成分の濃度に応じて、より適切な圧力下で前記試料ガスを測定することができる。これにより、前記測定対象成分の濃度をより正確に測定することができる。
【0114】
また、三方弁97を切り替えることによって、前記測定対象成分の濃度が大きい場合は、ガス導入ライン28から減圧された前記試料ガスを導入し、前記測定対象成分の濃度が小さい場合は、ガス導入ライン38から常圧の前記試料ガスを導入して、赤外吸収測定を行なうことができる。これにより、前記試料ガスに含まれる前記測定対象成分の濃度に応じて、セルの交換を行なう必要がない。これにより、コストの削減を図ることができる。
【0115】
[第5の実施の形態]
(赤外吸収測定装置)
図5は、本実施の形態の赤外吸収測定装置300と、この赤外吸収測定装置300と接続された半導体製造装置11を模式的に示す図である。本実施の形態においては、第4の実施の形態と同様に、赤外吸収測定装置300が、半導体製造装置11から排出されるガス中の測定対象成分を定量分析するために用いられる場合について説明する。
【0116】
一方、本実施の形態の赤外吸収測定装置300は、半導体製造装置11に接続された除害装置16の前後における排ガスの濃度を測定するために設置されている点で、第4の実施の形態と異なる構成を有する。
【0117】
本実施の形態においては、第2〜第4の実施の形態と同様に、半導体製造装置11のチェンバ12から排出された排ガスは、ポンプ14によって吸引される。その後、必要に応じて、前記排ガスは、窒素ボンベ20から供給される窒素ガスで希釈して、試料ガスが得られる。この試料ガスがセル21に導入された後、前記試料ガス中の各測定対象成分について、赤外吸収が測定される。
【0118】
また、前記排ガスは、セル21からそれぞれ排気ライン26経て除害装置16へと導入され、この除害装置16にて前記試料ガス中の有害物質が除去された後、大気へと放出される。本実施の形態においては、除害装置16から排出される除害済ガスについても、セル21に導入された後、前記試料ガス中の各測定対象成分について、赤外吸収を測定することができる。
【0119】
(赤外吸収測定方法)
次に、本実施の形態の赤外吸収測定方法について説明する。
【0120】
はじめに、半導体製造装置11のチャンバ12から排出された排ガス中の測定対象成分を測定する場合について説明する。前記排ガスは前述したように、窒素ガス20によって希釈されて試料ガスが作製される。また、この排ガスは、除害装置16を通過する前であるため、除害装置16を通過した後に排出されるガス(除害済ガス)と比較して、前記測定対象成分の濃度が高い。
【0121】
まず、三方弁87を調整することによって、半導体製造装置11のチャンバ12から排出された排ガスを含む試料ガスが、三方弁97に導入される。次いで、三方弁97を調整することによって、前記試料ガスをガス導入ライン28へと導入する。ここで、弁27を絞ることにより、前記試料ガスを減圧状態にすることができる。この赤外吸収測定装置300においては、三方弁97の切り換え、ならびに弁27と弁37との絞り方の違いによって、前記試料ガスの圧力を調整することができる。この場合、該試料ガスがセル21に導入される前に、該試料ガスが減圧される。次いで、セル21へと導入された前記試料ガスは、第1の実施の形態の赤外吸収測定装置100と同様の方法にて、前記試料ガス中の測定対象成分の赤外吸収が測定される。すなわち、セル21内で前記試料ガスが減圧された状態で赤外吸収が測定された後、前記赤外吸収中において前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積を算出する。そして、前記吸光面積および前記減圧時の前記試料ガスの圧力から、前記試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出する。この前記測定対象成分の濃度を算出する方法は、第1の実施の形態の欄で既に説明したため、詳しい説明は省略する。
【0122】
次に、除害装置16から排出された除害済ガス中の測定対象成分を測定する場合について説明する。この場合、前記除害済ガス中に測定対象成分が残留しているかを確認することで、除害装置16が正常に機能しているかどうかを確認することができる。また、この除害済ガスは、除害装置16を通過した後であるため、除害装置16を通過する前の排ガスと比較して、前記測定対象成分の濃度が低い。
【0123】
まず、三方弁87を調整することによって、除害装置16から排出された排ガスを含む試料ガスが、三方弁97に導入される。次いで、三方弁97を調整することによって、前記試料ガスをガス導入ライン38へと導入する。ここで、弁37を開放することにより、前記試料ガスをより常圧に近い状態にすることができる。ガス導入ライン38を介してセル21へと導入された前記試料ガスは、常圧下で赤外吸収が測定される。ここで得られた赤外吸収から、前記試料ガス中の測定対象成分の濃度を求める方法は、一般的な方法を用いる。すなわち、得られた赤外吸収中において前記測定対象成分を示すピーク領域の吸光面積を算出し、前記吸光面積から検量線を用いて、前記試料ガス中の前記測定対象成分の濃度を算出する。ここで、検量線とは、前述したように、常圧下における前記測定対象成分の濃度に対する吸光面積の関係を示す線である。
【0124】
例えば、第1の実施の形態で説明したように(図7参照)、前記測定対象成分としてCFを用いた場合を例にとり説明する。除害装置16を通過した後のガス(除害済ガス)は、除害装置16を通過する前の排ガスと比較して、CFの濃度が低い。このように、前記試料ガス中のCFの濃度が低いときは、減圧状態の前記試料ガスを測定して得られた赤外吸収は、CFを示すピークに対してノイズが相対的に大きいため、得られるCFの濃度が正確でない場合がある。したがって、この場合、三方弁97の切り替えによって、ガス導入ライン38からセル21に前記試料ガスを導入する。これにより、前記試料ガスが常圧下で測定されたCFの赤外吸収から得られたCFの濃度を、除害装置16を通過した後の排ガス中のCFの濃度とすることができる。
【0125】
これに対して、除害装置16を通過する前の排ガスは、除害装置16を通過した後のガス(除害済ガス)と比較して、CFの濃度が高い。このように、前記試料ガス中のCFの濃度が高いときは、高濃度領域における主ピーク領域に基づく検量線のリニアリティが低いため(図7参照)、常圧下で前記試料ガスを測定して得られた赤外吸収から、前記検量線を用いて算出したCFの濃度は正確でない場合がある。したがって、この場合、三方弁97の切り替えによって、ガス導入ライン28からセル21に前記試料ガスを導入する。これにより、前記試料ガスが減圧下で測定されたCFの赤外吸収から得られたCFの濃度を、除害装置16を通過する前の排ガス中のCFの濃度とすることができる。
【0126】
ここで、除害装置16を通過する前の排ガス中のCFの濃度をC、除害装置16を通過した後の排ガス中のCFの濃度をCとすると、除害装置によるCFの除害率X(%)は、以下の式(2)で示される。
X=(1−C/C)×100 式(2)
以上に説明したように、本実施の形態によれば、除害装置16内の特定成分(ここではCF)の除害率Xを算出することができる。この結果、除害装置16の除害性能を評価することができる。
【0127】
(作用効果)
本実施の形態によれば、前述した第4の実施の形態と同様の作用効果を有する。
【0128】
また、除害装置16の前後におけるガス中の測定対象成分について、より正確な濃度を得ることができる。すなわち、測定する前記測定対象成分の濃度に応じて、前記試料ガスの圧力状態を変化させて、該測定対象成分の赤外吸収を測定することができるため、除害装置16の前後におけるガス中の測定対象成分について、同じピーク領域に基づく検量線を用いて前記測定対象成分の濃度を得ることができる。これにより、前記測定対象成分の濃度をより正確に得ることができる。
【0129】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0130】
【実施例】
次に、本発明の一実施例について説明する。本実施例においては、図1に示す赤外吸収測定装置100を用いて、SFを測定対象成分として含む試料ガスに対して赤外吸収測定を行なった結果を示す。具体的には、SFを窒素ガスに混合させて、試料ガスを既知の流量でセルに導入した。この試料ガスはポンプにて減圧された後、減圧された前記試料ガスをセルに導入して、赤外吸収を行なった。SFの流量は、12.5,25,50,100[cc/分]の4種類とした。一般に、SFの流量と、SFの濃度とは比例関係を有する。なお、本実施例においては、赤外吸収測定にあたり1cm長のセルを用いた。また、SFは主ピーク領域(910−1009cm−1)について吸光面積を測定し、主ピーク領域に基づく検量線を用いてSFの定量を行なった。なお、ここで用いた検量線は、大気圧下で測定した場合のデータ(SFの濃度および吸光面積)に基づいて作成されたものである。
【0131】
各濃度における前記試料ガスに対して赤外吸収を測定し、得られた赤外吸収波形からSFの吸光面積をそれぞれ求めた。この吸光面積から検量線を参照してSFの仮濃度を求めた。ここで、仮濃度をMとし、前記検量線を作成するために使用された、測定対象成分を含むガスの赤外吸収測定時の圧力をPとし、前記減圧時の前記試料ガスの圧力をPとすると、前記試料ガス中の前記SFの濃度Mは、前記式(1)で示される。この式(1)から、前述した各濃度の試料ガスについて、前記試料ガス中の前記SFの濃度Mを求めた。
【0132】
前述した各濃度の試料ガスについて、SFの流量と、SFの濃度(M)との関係を図10に示す。また、図10に、前述した各濃度の試料ガスについて、減圧を行なわずに赤外吸収を測定した結果を比較例として示す。
【0133】
実施例においては、図10に示すように、SFを含む試料ガスを減圧下で上記の各流量でセルに導入した場合、各流量の場合に算出されるSFの濃度は、流量に比例した。
【0134】
ところで、SFを試料ガスに用いた場合、一般に、第1の実施の形態の欄で説明したCFの場合と同様に、高濃度の領域において検量線のリニアリティが小さいため、高濃度の領域では、正確な濃度が得られない場合がある。図10を参照すると、比較例では、SFの濃度が小さい領域では、SFの流量とSFの濃度との間に比例関係が成立した。しかしながら、比較例において、SFの濃度が大きい領域(具体的にはSFの流量が100[cc/分])では、SFの流量とSFの濃度との間で比例関係が成立しなくなった。すなわち、比較例においては、SFの流量が大きい領域では、SFの流量が大きくなるにつれて、SFの濃度の増加が小さくなった。
【0135】
これに対して、実施例では、SFを含む試料ガスが減圧されることにより、SFの流量が大きい領域においても、SFの流量とSFの濃度との間に比例関係が得られた。
【0136】
以上により、本実施例によれば、SFを含む試料ガスを減圧することにより、高精度でSFの濃度を測定することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の赤外吸収測定装置を模式的に示す図である。
【図2】 第2の実施形態の赤外吸収測定装置を模式的に示す図である。
【図3】 第3の実施形態の赤外吸収測定装置を模式的に示す図である。
【図4】 第4の実施形態の赤外吸収測定装置を模式的に示す図である。
【図5】 第5の実施形態の赤外吸収測定装置を模式的に示す図である。
【図6】 CHFにおいて、主ピーク領域および副ピーク領域それぞれにおける濃度と吸光面積との関係(検量線)を示す図である。
【図7】 CFにおいて、主ピーク領域および副ピーク領域それぞれにおける濃度と吸光面積との関係(検量線)を示す図である。
【図8】 CFの主ピーク領域と副ピーク領域とを示す図である。
【図9】 CFの主ピーク領域の拡大図である。
【図10】 本発明の実施例の赤外吸収測定において、測定対象成分(SF)の濃度と流量との関係を示す図である。
【符号の説明】
10,110 赤外吸収分析装置、 11 半導体製造装置、 12 チャンバ、 14 ポンプ、 16 除害装置、 18 反応ガス、 20,30 窒素ボンベ、 21,31 セル、 22,32 圧力センサ、 23,33 温度センサ、 24 排気ポンプ、 25,27,34,37,45 弁、 26,46 排気ライン、 28,38 ガス導入ライン、 87,97 三方弁、100,200,300 赤外吸収測定装置

Claims (4)

  1. 赤外吸収測定用の第1および第2のセルを含み、試料ガス中の測定対象成分の赤外吸収を測定する赤外吸収分析装置と、
    前記第1のセルに前記試料ガスを導入する第1のラインと、
    前記第2のセルに前記試料ガスを導入する第2のラインと、を含み、
    前記第1のセル内の前記試料ガスの圧力と、前記第2のセル内の前記試料ガスの圧力とが異なる、赤外吸収測定装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1のセル内の前記試料ガス中の前記測定対象成分と、前記第2のセル内の前記試料ガス中の前記測定対象成分とについて、同時に赤外吸収測定が行なわれる、赤外吸収測定装置。
  3. 赤外吸収測定用のセルを含み、試料ガス中の測定対象成分の赤外吸収を測定する赤外吸収分析装置と、
    試料ガス導入切替部と、
    前記試料ガス導入切替部に並列に接続され、前記セルに該試料ガスを導入する前記第1および第2のラインと、を含み、
    前記試料ガス導入切替部は、前記第1のラインまたは前記第2のラインのいずれか一方に、前記試料ガスを導入する機能を有し、
    前記セルには、前記第1のラインまたは前記第2のラインから前記試料ガスが導入され、
    前記第1のラインから前記セルに導入された前記試料ガスの圧力と、前記第2のラインから該セルに導入された前記試料ガスの圧力とが異なる、赤外吸収測定装置。
  4. 請求項3において、
    前記ガス導入切替部は、三方弁であり、
    前記三方弁の切り替えによって、前記第1のラインまたは前記第2のラインのいずれか一方から前記セルに前記試料ガスが導入される、赤外吸収測定装置。
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