JP3704804B2 - 被処理物の液切り方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、液体が表面に付着したセラミックワークなどの被処理物に気体を吹き付けて被処理物の表面の付着液を取り除くようにする被処理物の液切り方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、電子部品の製造工程においては、図11に示すように、網材からなるバケット80に入れられて水洗処理された、表面に水が付着した状態の多数のセラミック成形体(ワーク)81に圧縮空気を吹き付けて水切りを行なう場合がある。その場合、例えば、図12示すように、多数の被処理物(ワーク)81を入れたバケット80を処理液槽83に浸漬して必要な処理を行い、次に水洗槽84に浸漬して一次洗浄し、続いて水洗槽85に浸漬して二次洗浄する。そして、水洗槽85から引き上げた後、図13に示すように、バケット80に下方両側に配設した2本の送気管86の直径1mm前後の噴射孔87から、圧縮空気を被処理物81に吹き付けることにより被処理物81の水切りを行っている。
【0003】
あるいは、図15および図16に示すように、バケット80の上方の噴射ノズル90のテーパーが付けられた外周面に設けられた直径1mm前後の複数の噴射孔91から、圧縮空気を被処理物81に吹き付けることにより、被処理物81の水切りを行う方法もある。
【0004】
なお、上記の処理液としては、クラック有無の検査液やメッキ液などが例示される。前者は、検査液のしみ込み状況から被処理物にクラックが生じているか否かを判定するのに用いられるものであるが、二次水洗処理のあと乾燥を早めるために水切りが行われる。後者の場合も、メッキ液を洗い落とす水洗処理のあと乾燥を早めるために水切りが行われる。
【0005】
しかしながら、図11に示す水切り方法では、図14に示すように、下方より圧縮空気が吹き付けられても、水が上方へ押し上げられるだけで被処理物の表面に残留する付着水88も少なくないことから、水切りが十分にできないという問題点がある。なお、この場合、圧縮空気の吹付けが終われば残留した付着水88が下方に移動してきて、圧縮空気の吹付け前に近い状態となってしまう。さらに、圧縮空気の吹き付けが、被処理物81の支持材であるバケット80の網材越しとなり、圧縮空気の力が弱められてしまうため水切りの効率が悪いという問題点がある。
【0006】
また、図15に示す水切り方法では、圧縮空気の吹付け状態にばらつきが生じ、部分的に水切りが十分に行われないという問題がある。すなわち、図17に示すように、噴射孔91からの圧縮空気がよく当たる一点鎖線内の領域92は水切りが進行しやすいが、一点鎖線外の領域93では水切りの進行が遅れるため、水切りむらが発生する。
【0007】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、液体が表面に付着した被処理物に対して十分かつむらのない液切りを行うことのできる被処理物の液切り方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明(請求項1)の被処理物の液切り方法は、
液体が表面に付着した被処理物に気体を吹き付けて、被処理物の表面に付着した液体を除去する被処理物の液切り方法において、
( a ) 気体を供給する気体供給路と、
( b ) 被処理物に気体を吹き付ける気体噴射機構部と、
( c ) 前記気体供給路と前記気体噴射機構部を接続するとともに前記気体噴射機構部を旋回可能に保持する旋回保持部と
を備え、かつ、
前記気体噴射機構部が、
被処理物の上方に略水平に配設され、前記旋回保持手段により旋回可能に保持された送気管と、
前記送気管の両端側に配設され、気体を被処理物に吹き付けるとともに送気管を旋回させる推進力を生じさせるように、気体を斜め下方に噴射する第1の気体噴射ノズルと、
前記送気管の両端側に配設された第1の気体噴射ノズルの間に、気体を被処理物に向けて噴射する第2の気体噴射ノズルとを備えているとともに、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルの少なくとも一部が、気体噴射量を調節するための調節機構を備えている気体吹き付け手段を用い、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルから気体を噴射し、該気体噴射を動力として前記気体噴射機構部を旋回させつつ、上方から被処理物に気体を吹き付けることにより、被処理物の表面に付着した液体を除去すること
を特徴としている。
【0009】
また、本願発明(請求項2)の被処理物の液切り方法は、
液体が表面に付着した被処理物に気体を吹き付けて、被処理物の表面に付着した液体を除去する被処理物の液切り方法において、
( a ) 気体を供給する気体供給路と、
( b ) 被処理物に気体を吹き付ける気体噴射機構部と、
( c ) 前記気体供給路と前記気体噴射機構部を接続するとともに前記気体噴射機構部を旋 回可能に保持する旋回保持部と
を備え、かつ、
前記気体噴射機構部が、
被処理物の上方に略水平に配設され、前記旋回保持手段により旋回可能に保持された送気管と、
前記送気管の両端側に配設され、気体を被処理物に吹き付けるとともに送気管を旋回させる推進力を生じさせるように、気体を斜め下方に噴射する第1の気体噴射ノズルと、
前記送気管の両端側に配設された第1の気体噴射ノズルの間に、気体を被処理物に向けて噴射する第2の気体噴射ノズルとを備えるとともに、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルが気体噴射方向を変更することができるように構成された気体吹き付け手段を用い、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルから気体を噴射し、該気体噴射を動力として前記気体噴射機構部を旋回させつつ、上方から被処理物に気体を吹き付けることにより、被処理物の表面に付着した液体を除去すること
を特徴としている。
【0010】
また、請求項3の被処理物の液切り方法は、
液体が表面に付着した被処理物に気体を吹き付けて、被処理物の表面に付着した液体を除去する被処理物の液切り方法において、
( a ) 気体を供給する気体供給路と、
( b ) 被処理物に気体を吹き付ける気体噴射機構部と、
( c ) 前記気体供給路と前記気体噴射機構部を接続するとともに前記気体噴射機構部を旋回可能に保持する旋回保持部と
を備え、かつ、
前記気体噴射機構部が、
被処理物の上方に略水平に配設され、前記旋回保持手段により旋回可能に保持された送気管と、
前記送気管の両端側に配設され、気体を被処理物に吹き付けるとともに送気管を旋回させる推進力を生じさせるように、気体を斜め下方に噴射する第1の気体噴射ノズルと、
前記送気管の両端側に配設された第1の気体噴射ノズルの間に、気体を被処理物に向けて噴射する第2の気体噴射ノズルとを備え、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルの少なくとも一部が、気体噴射量を調節するための調節機構を備えるとともに、気体噴射方向を変更することができるように構成された気体吹き付け手段を用い、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルから気体を噴射し、該気体噴射を動力として前記気体噴射機構部を旋回させつつ、上方から被処理物に気体を吹き付けることにより、被処理物の表面に付着した液体を除去すること
を特徴としている。
【0011】
また、請求項4の被処理物の液切り方法は、前記気体噴射量を調節するための調節機構として、前記第1及び/又は第2の気体噴射ノズルの先端開口部に、該先端開口部を塞いでしまわないように配設された先端チップと、前記第1及び/又は第2の気体噴射ノズルの先端部を覆うように配設された、先端が絞り用開口部とされ、かつ、先細り形状を有する筒状の絞り部材であって、前記先端チップとの位置関係を変化させることにより、前記絞り用開口部の開口状態が変化し、気体噴射量が変化するように構成された調節機構が用いられていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5の被処理物の液切り方法は、被処理物に吹き付ける気体として、加熱及び乾燥の少なくとも一方の処理を予め施した気体を用いることを特徴としている。
【0013】
【作用】
本願発明の被処理物の液切り方法では、上方より気体を被処理物に吹き付けることから、被処理物の表面の付着液が、自身の重さも除去作用として働くかたちで滴下し被処理物のまわりに留まることなく確実に除去される。また、被処理物の下方より被処理物に気体を吹き付ける従来の場合、被処理物の支持材越しに気体を吹き付けることになるため、被処理物の支持材に当たった際に噴射気体の勢いが弱められてしまうが、被処理物の上方より気体を吹き付ける本願発明の場合には、被処理物に気体を直接噴射することが可能で、噴射気体の勢いを無駄なく液切りに利用することができるようになる。
【0014】
さらに、気体噴射に伴って気体噴射機構部が旋回して気体の吹付け位置を変化させながら被処理物に気体を吹き付けてゆくことから、気体が被処理物全体にまんべんなく行き渡るようになる。さらに、旋回に必要な動力が気体噴射によってもたらされることから、気体噴射機構部を旋回させるのに格別の構成や動力を必要とせず、コストの上昇を招くことなく効率よく液切りを行なうことができるようになる。
【0015】
また、前記気体噴射機構部を、被処理物の上方に略水平に配設され、旋回保持手段により旋回可能に保持された送気管と、送気管の両端側に配設され、気体を被処理物に吹き付けるとともに送気管を旋回させる推進力を生じさせるように、気体を斜め下方に噴射する第1の気体噴射ノズルとを備えてなる形態としているので、気体噴射による旋回力を大きくすることが可能になり、気体噴射機構部を効率よく旋回させることが可能になる。
【0016】
さらに、送気管の両端側に配設された第1の気体噴射ノズルの間に、気体を被処理物に向けて噴射する第2の気体噴射ノズルが配設されており、第2の気体噴射ノズルも、送気管の水平旋回に伴って旋回して吹付け位置を変化させながら被処理物に気体を吹き付けてゆくことから、噴射気体の吹付けが、被処理物全体によりまんべんなく行き渡る。
【0017】
また、第1及び第2の気体噴射ノズルの少なくとも一部が、気体噴射量を調節するための調節機構を備えているので、被処理物に吹き付ける気体の量を被処理物の形状や嵩などに応じた適量とすることが可能になる。
【0018】
また、請求項2の被処理物の液切り方法は、第1及び第2の気体噴射ノズルの噴射方向を変更することができるようにしているので、被処理物への気体の吹付け方向を被処理物の形状や嵩などに適合したものとすることが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
【0019】
また、請求項3の被処理物の液切り方法においては、第1及び第2の気体噴射ノズルの少なくとも一部が、気体噴射量を調節するための調節機構を備えるとともに、気体噴射方向を変更することができるように構成されているので、被処理物に吹き付ける気体の量を被処理物の形状や嵩などに応じた適量とすることが可能になるとともに、被処理物への気体の吹付け方向を被処理物の形状や嵩などに適合したものとすることが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることができる。
【0020】
また、請求項4の被処理物の液切り方法のように、気体噴射量を調節するための調節機構として、第1及び/又は第2の気体噴射ノズルの先端開口部に、該先端開口部を塞いでしまわないように配設された先端チップと、第1及び/又は第2の気体噴射ノズルの先端部を覆うように配設された、先端が絞り用開口部とされ、かつ、先細り形状を有する筒状の絞り部材であって、先端チップとの位置関係を変化させることにより、絞り用開口部の開口状態が変化し、気体噴射量が変化するように構成された調節機構を用いることにより、気体噴射量を確実に調整することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることができる。
【0021】
また、請求項5の被処理物の液切り方法のように、被処理物に吹き付ける気体として、加熱および乾燥の少なくとも一方の処理が予めなされている気体を用いることにより、吹き飛ばしによる除去作用に乾燥や加熱による除去作用が加わり、さらに効率よく被処理物の液切りを行なうことが可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。なお、ここでは被処理物としての電子部品用のセラミック成形体(ワーク)に圧縮空気を吹き付けることにより水切りを行う場合を例にとって、適宜に図面を参照しながら説明する。
【0023】
まず、実施例で使用する圧縮空気(気体)の吹付け装置について説明する。図1はこの実施の形態で用いる吹付け装置1の要部断面図、図2は吹付け装置1の要部斜視図、図3は吹付け装置1の要部平面図、図4は吹付け装置1の要部側面図である。
【0024】
吹付け装置1は、気体噴射ノズル2(第1の気体噴射ノズル)と、第1の気体噴射ノズル2に圧縮空気を送給する送気管3を備えている。
【0025】
送気管3は、網状のバケットBの中の多数の被処理物Pの上方に水平に配設されているとともに水平旋回できるよう支持されている。すなわち、送気管3は基部3aで元管(気体供給路)4に回転継手(旋回保持部)5を介して接続されており、送気管3が長手方向中央を通る鉛直部分を回転軸として回転し、水平旋回できるように構成されている。一方、第1の気体噴射ノズル2は送気管3の両端側に配設されており、送気管3の長手方向に対して直角で、かつ噴出口2aが斜め下方に向くように取り付けられている。
【0026】
また、送気管3には、第1の気体噴射ノズル2の配設位置からみて支持位置側寄りとなる位置に、圧縮空気を被処理物Pに向けて吹き付ける第2の気体噴射ノズル6が複数配設されている。そして、圧縮空気は、元管4から送気管3を経て第1の気体噴射ノズル2及び第2の気体噴射ノズル6から噴射される。このとき、第2の気体噴射ノズル6からは真下に圧縮空気が噴射されるため、送気管3を旋回させる作用は生じないが、第1の気体噴射ノズル2からは斜めに圧縮空気が噴射されるため、送気管3を旋回させる作用が生じる。なお、第1の気体噴射ノズル2は送気管3の両端側に配設されているため、気体噴射により、送気管3に作用する旋回力は他の位置に配設した場合に比べて大きくなる。その結果、格別の構成や動力を必要とせずに、送気管3を確実に水平旋回させることが可能になる。
【0027】
なお、送気管3の旋回速度は、圧縮空気の噴射量、供給圧、あるいは、図4に示すように、第1の気体噴射ノズル2の鉛直に対する角度(取り付け角度)θを調節することなどにより変化させることができる。なお、角度θは被処理物Pの形状や大きさ、嵩高さなどに応じて適当に設定される。
【0028】
また、この実施の形態においては、第1の気体噴射ノズル2と第2の気体噴射ノズル6は、送気管3に固定されているため、送気管3の水平旋回に伴って被処理物Pの上方で水平旋回すると同時に、第1の気体噴射ノズル2と第2の気体噴射ノズル6の両方から被処理物Pへ圧縮空気が吹き付けられる。
【0029】
図5に示すように、第1の気体噴射ノズル2と第2の気体噴射ノズル6によって、デッドゾーンを生じることなく、一点鎖線で描く円C1が示す範囲に対しては空気吹付けがムラなく行われて水切りがなされることから、バケットBの大きさを円C1内となるように選定することにより、被処理物Pを十分に水切りすることができる。特に、二点鎖線で描く円C2が示す範囲に対しては、より強く空気が吹き付けられるため、さらに十分な水切りを行なうことができる。
【0030】
上記のように構成された、吹付け装置1は、図8に示すように、被処理物Pの処理ラインに設置される。図8の処理ラインでは、多数の被処理物Pを入れた網状のバケットBを処理液槽15に浸漬して必要な処理を行った後、水洗槽16に浸漬して一次洗浄を行い、続いて水洗槽17に浸漬して二次洗浄を行う。そして、水洗槽17の上方には吹付け装置1が配置されており、バケットBの中の被処理物Pへ上方から圧縮空気を吹き付けて水切りを行う。
【0031】
バケットBとしては、例えば、縦25cm、横25cm、深さ60cmのものを用い、縦4mm、横4mm、深さ9mmの被処理物Pを4kgの量で入れるとともに、送気管3の長さを12cmにした。そして、図9に示すように、バケットBの中央に送気管3を位置させた。
【0032】
第1の吹付け装置を配置して水切りを実施したところ、むらなく十分に被処理物Pの水切りを行なうことができた。
【0033】
なお、吹付け装置としては、上述の第2の気体噴射ノズル6の代わりに、図6に一点鎖線円で示すように第2の気体噴射ノズル8を配設した構成を有する吹付け装置を用いることも可能である。なお、3個の第2の気体噴射ノズル8は、それぞれO−リングと袋ナットなどを組み合わせることにより手動で簡単に向きを変えることができるように構成されている。
この吹付け装置を用い、気体噴射ノズル8の噴射方向を様々に変更して水切りを行ったところ、よりむらのない均一な水切りを行なうことができた。
【0034】
さらに、第1の気体噴射ノズル2及び第2の気体噴射ノズル8として、例えば、図7に示すように気体噴射量の調節機構を備えたノズルを用いた吹付け装置を用いることも可能である。なお、図7に示す気体噴射量の調節機構は、噴射ノズル先端部の外周面に長手方向に沿って付けられているネジ(詳細図示省略)に絞り(絞り用部材)11の外周面に長手方向に沿って付けられているネジ(詳細図示省略)が螺合し、絞り(絞り用部材)11を回すことにより、絞り(絞り用部材)11の位置が上下して絞り11の開口(絞り用開口部)とノズル先端(先端チップ)2bの間隔が変化し、開口状態が変化して気体噴射量が変わるように構成されている。
この吹付け装置を用い、絞り11の位置を様々に変更することにより気体噴射量を調節して水切りを行ったところ、さらに効率よく水切りを行なうことができた。
【0035】
また、気体として、加熱および乾燥の処理が予めなされている空気を用いたところ、さらに効率よく被処理物の水切りを行なうことができた。
なお、加熱及び乾燥の処理は、例えば、元管4側に乾燥部(図示省略)と加熱部(図示省略)を配設することにより容易に行なうことができる。
【0036】
また、図10に示すように、第1の気体噴射ノズル2に対する角度(取り付け角度)θを30°に調節するとともに、エア圧力:0.5pa、風量:3Nl/分として、水切りを行ったところ、従来は1分程度を必要としたものが、20秒程度で十分かつむらのない水切りを実現することができた。
【0037】
上記の実施の形態では、被処理物Pに付着した水を除去する場合を例にとって説明したが、除去する対象は水以外の液体であってもよい。また、上記の実施の形態では、被処理物Pがセラミック成形体(ワーク)である場合について説明したが、被処理物はセラミック成形体に限られるものではなく、他の電子部品や機械部品などであってもよい。
【0038】
また、上記の実施の形態では、気体として空気を用いた場合について説明したが、気体は空気に限られるものではなく、例えばチッソガス等の不活性ガスなどを気体として用いることも可能である。
【0039】
また、上記の実施の形態では、第1の気体噴射ノズル2が送気管3の両端に設けられている場合について説明したが、第1の気体噴射ノズル2の位置は送気管3の両端部よりも内側であってもよい。
【0040】
さらに、上記の実施の形態では、風量調節用の絞り11を全ての気体噴射ノズルに設けるようにした場合について説明したが、特定のノズルだけに風量調節用の絞り11を設けるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、加熱および乾燥の両方の処理が予め施された空気を気体として用いたが、加熱と乾燥の一方だけの処理が予め施された空気を用いてもよく、加熱や乾燥などの処理が施されていない空気を用いることも可能である。
【0042】
本願発明は、さらにその他の点においても上記実施の形態に限定されるものではなく、吹付け装置の構成や配置する設置ラインの種類などに関し、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0043】
【発明の効果】
本願発明(請求項1)の被処理物の液切り方法によれば、被処理物の上方より気体を吹き付ける構成であるため、被処理物の表面の付着液を被処理物まわりに留まらせることなく確実に追い出せるとともに、被処理物に気体を直接噴射することが可能であることから、噴射気体の勢いを効果的に液切りに利用できる上、第1および第2の気体噴射ノズルが気体の吹付け位置を変化させながら被処理物に気体を吹き付けてゆくことから、気体が、被処理物全体にまんべんなく行き渡り、十分でむらのない液切りを実現することができる。さらに、送気管の水平旋回に格別の構成や動力を必要としないため、本願発明の実施は容易かつ経済的に実施することが可能で、実用上きわめて有意義である。
【0044】
また、気体噴射機構部を、被処理物の上方に略水平に配設され、旋回保持手段により旋回可能に保持された送気管と、送気管の両端側に配設され、気体を被処理物に吹き付けるとともに送気管を旋回させる推進力を生じさせるように、気体を斜め下方に噴射する第1の気体噴射ノズルとを備えてなる形態としているので、気体噴射による旋回力を大きくすることが可能になり、気体噴射機構部を効率よく旋回させることが可能になる。
【0045】
さらに、送気管の両端側に配設された第1の気体噴射ノズルの間に、気体を被処理物に向けて噴射する第2の気体噴射ノズルが配設されており、第2の気体噴射ノズルも、送気管の水平旋回に伴って旋回して吹付け位置を変化させながら被処理物に気体を吹き付けてゆくことから、噴射気体の吹付けが、被処理物全体によりまんべんなく行き渡ることになり、液切りをより十分でよりむらなく行うことが可能になる。
【0046】
また、第1及び第2の気体噴射ノズルの少なくとも一部が、気体噴射量を調節するための調節機構を備えているので、被処理物に吹き付ける気体の量を被処理物の形状や嵩などに応じた適量とすることが可能になる。
【0047】
また、請求項2の被処理物の液切り方法は、第1及び第2の気体噴射ノズルの噴射方向 を変更することができるようにしているので、被処理物への気体の吹付け方向を被処理物の形状や嵩などに適合したものとすることが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
【0048】
また、請求項3の被処理物の液切り方法においては、第1及び第2の気体噴射ノズルの少なくとも一部が、気体噴射量を調節するための調節機構を備えるとともに、気体噴射方向を変更することができるように構成されているので、被処理物に吹き付ける気体の量を被処理物の形状や嵩などに応じた適量とすることが可能になるとともに、被処理物への気体の吹付け方向を被処理物の形状や嵩などに適合したものとすることが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることができる。
【0049】
また、請求項4の被処理物の液切り方法のように、気体噴射量を調節するための調節機構として、第1及び/又は第2の気体噴射ノズルの先端開口部に、該先端開口部を塞いでしまわないように配設された先端チップと、第1及び/又は第2の気体噴射ノズルの先端部を覆うように配設された、先端が絞り用開口部とされ、かつ、先細り形状を有する筒状の絞り部材であって、先端チップとの位置関係を変化させることにより、絞り用開口部の開口状態が変化し、気体噴射量が変化するように構成された調節機構を用いることにより、気体噴射量を確実に調整することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることができる。
【0050】
また、請求項5の被処理物の液切り方法のように、被処理物に吹き付ける気体として、加熱および乾燥の少なくとも一方の処理が予めなされている気体を用いることにより、吹き飛ばしによる除去作用に乾燥や加熱による除去作用が加わり、さらに効率よく被処理物の液切りを行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明を実施するのに用いる気体の吹付け装置の要部断面図である。
【図2】 本願発明を実施するのに用いる気体の吹付け装置の要部斜視図である。
【図3】 本願発明を実施するのに用いる気体の吹付け装置の要部平面図である。
【図4】 本願発明を実施するのに用いる気体の吹付け装置の要部側面図である。
【図5】 図1〜4の気体の吹付け装置の吹付け有効領域を示す模式図である。
【図6】 気体の吹付け装置の他の例を示す要部正面図である。
【図7】 気体の吹付け装置の気体噴射ノズルの構成を示す部分断面図である。
【図8】 本願発明を実施する場合の被処理物の処理ラインの例を示す説明図である。
【図9】 被処理物収容バケットと送気管の位置関係を示す平面図である。
【図10】 気体噴射ノズルの鉛直に対する角度θを示す説明図である。
【図11】 被処理物とバケットを示す斜視図である。
【図12】 従来の水切り方法を適用した処理ラインを示す説明図である。
【図13】 従来の水切り方法を示す斜視図である。
【図14】 従来の水切り方法による処理状況を示す説明図である。
【図15】 従来の他の水切り方法を示す斜視図である。
【図16】 従来の他の水切り方法を示す正面図である。
【図17】 従来の他の水切り方法による処理状況を示す説明図である。
【符号の説明】
1 圧縮空気の吹付け装置
2 第1の気体噴射ノズル
2a 噴出口
2b ノズル先端(先端チップ)
3 送気管
3a 送気管の基部
4 元管(気体供給路)
5 回転継手(旋回保持部)
6,8 第2の気体噴射ノズル
11 絞り(絞り用部材)(気体噴射量の調節機構)
P 被処理物(ワーク)
Claims (5)
- 液体が表面に付着した被処理物に気体を吹き付けて、被処理物の表面に付着した液体を除去する被処理物の液切り方法において、
(a) 気体を供給する気体供給路と、
(b)被処理物に気体を吹き付ける気体噴射機構部と、
(c)前記気体供給路と前記気体噴射機構部を接続するとともに前記気体噴射機構部を旋回可能に保持する旋回保持部と
を備え、かつ、
前記気体噴射機構部が、
被処理物の上方に略水平に配設され、前記旋回保持手段により旋回可能に保持された送気管と、
前記送気管の両端側に配設され、気体を被処理物に吹き付けるとともに送気管を旋回させる推進力を生じさせるように、気体を斜め下方に噴射する第1の気体噴射ノズルと、
前記送気管の両端側に配設された第1の気体噴射ノズルの間に、気体を被処理物に向けて噴射する第2の気体噴射ノズルとを備えているとともに、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルの少なくとも一部が、気体噴射量を調節するための調節機構を備えている気体吹き付け手段を用い、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルから気体を噴射し、該気体噴射を動力として前記気体噴射機構部を旋回させつつ、上方から被処理物に気体を吹き付けることにより、被処理物の表面に付着した液体を除去すること
を特徴とする被処理物の液切り方法。 - 液体が表面に付着した被処理物に気体を吹き付けて、被処理物の表面に付着した液体を除去する被処理物の液切り方法において、
( a ) 気体を供給する気体供給路と、
( b ) 被処理物に気体を吹き付ける気体噴射機構部と、
( c ) 前記気体供給路と前記気体噴射機構部を接続するとともに前記気体噴射機構部を旋回可能に保持する旋回保持部と
を備え、かつ、
前記気体噴射機構部が、
被処理物の上方に略水平に配設され、前記旋回保持手段により旋回可能に保持された送気管と、
前記送気管の両端側に配設され、気体を被処理物に吹き付けるとともに送気管を旋回させる推進力を生じさせるように、気体を斜め下方に噴射する第1の気体噴射ノズルと、
前記送気管の両端側に配設された第1の気体噴射ノズルの間に、気体を被処理物に向けて噴射する第2の気体噴射ノズルとを備えるとともに、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルが気体噴射方向を変更することができるように構成された気体吹き付け手段を用い、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルから気体を噴射し、該気体噴射を動力として前記気体噴射機構部を旋回させつつ、上方から被処理物に気体を吹き付けることにより、被処理物の表面に付着した液体を除去すること
を特徴とする被処理物の液切り方法。 - 液体が表面に付着した被処理物に気体を吹き付けて、被処理物の表面に付着した液体を除去する被処理物の液切り方法において、
( a ) 気体を供給する気体供給路と、
( b ) 被処理物に気体を吹き付ける気体噴射機構部と、
( c ) 前記気体供給路と前記気体噴射機構部を接続するとともに前記気体噴射機構部を旋回可能に保持する旋回保持部と
を備え、かつ、
前記気体噴射機構部が、
被処理物の上方に略水平に配設され、前記旋回保持手段により旋回可能に保持された送気管と、
前記送気管の両端側に配設され、気体を被処理物に吹き付けるとともに送気管を旋回させる推進力を生じさせるように、気体を斜め下方に噴射する第1の気体噴射ノズルと、
前記送気管の両端側に配設された第1の気体噴射ノズルの間に、気体を被処理物に向けて噴射する第2の気体噴射ノズルとを備え、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルの少なくとも一部が、気体噴射量を調節するための調節機構を備えるとともに、気体噴射方向を変更することができるように構成された気体吹き付け手段を用い、
前記第1及び第2の気体噴射ノズルから気体を噴射し、該気体噴射を動力として前記気体噴射機構部を旋回させつつ、上方から被処理物に気体を吹き付けることにより、被処理物の表面に付着した液体を除去すること
を特徴とする被処理物の液切り方法。 - 前記気体噴射量を調節するための調節機構として、前記第1及び/又は第2の気体噴射ノズルの先端開口部に、該先端開口部を塞いでしまわないように配設された先端チップと、前記第1及び/又は第2の気体噴射ノズルの先端部を覆うように配設された、先端が絞り用開口部とされ、かつ、先細り形状を有する筒状の絞り部材であって、前記先端チップとの位置関係を変化させることにより、前記絞り用開口部の開口状態が変化し、気体噴射量が変化するように構成された調節機構が用いられていることを特徴とする請求項1または3記載の被処理物の液切り方法。
- 被処理物に吹き付ける気体として、加熱及び乾燥の少なくとも一方の処理を予め施した気体を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の被処理物の液切り方法。
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