JP3704695B2 - 記録媒体記録再生装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体記録再生装置および方に関し、特に、複数のマークに記録されている情報を同時に読み出す記録媒体記録再生装置および方に関する。
【0002】
【従来の技術】
多値記録光ディスク等において、複数の磁気マークに同時にレーザビームを照射し、記録されている情報を再生する方法が本出願人によって考えられている。
【0003】
図14は、このような多値記録光ディスクに記録されている磁気マークと、再生信号との関係を示す図である。図14(A)は、光ディスクに記録されている磁気マークを模式的に示した図である。この図に示すように、それぞれ所定の値(データ)が記録されている磁気マークは、トラック上に連続するように形成されている。これらの磁気マークは、先頭から5つずつ1まとめにされ、1つの情報グループを形成しており(例えば、値a0乃至値a4を有する第0番目乃至第4番目の磁気マークが1つの情報グループを形成しており)、各情報グループの先頭(例えば、第0番目と第5番目の磁気マーク)には値“0”を有するダミーデータが記録されている。各磁気マークには、4つの値(“0”乃至“3”)のうちの何れかの値が記録されている。
【0004】
このような磁気マークから情報を再生する場合、光ディスク装置は、2つの磁気マークに対して読みとりレーザ光のスポット(以下、読みとりスポットと略記する)を照射し、これら2つの磁気マークに記録されている情報を読み出す。そして、トラックに沿って読みとりスポットを磁気マーク1つ分ずつ移動させていき、記録されている情報を順次読みだしていく。
【0005】
このとき、第i番目の読みとりスポットから得られる値Siは、読みとりスポットが照射されている第(i−1)番目と第i番目の2つの磁気マークに記録されている値ai-1と値aiとの和に等しくなる。従って、読みとりスポットを移動させ、図14(C)に示す基本クロックに同期して、情報を読み出した場合(サンプリングした場合)、得られる値は図14(B)に示すようになる。
【0006】
即ち、図14(A)に示すように、第0番目乃至第4番目の磁気マークに記録されている値a0乃至a4が、0,1,3,2,2であるとすると、第1番目の読みとりスポットから読み出される値S1は、第0番目と第1番目の磁気マークに記録されている値を加算した値“1”(=0+1)であり、また、第2乃至第4の読みとりスポットから読み出される値S2乃至S4は、それぞれ、“4”(=1+3),“5”(=3+2),“4”(=2+2)となる。
【0007】
このとき、第0番目の磁気マークは、前述のようにダミーマークであり、その値は“0”に固定されているので、第1番目の読みとりスポットにより読み出される値S1は、第1番目の磁気マークに記録されている値“1”に等しい。また、第2番目の読みとりスポットから読み出される値S2は、第1番目と第2番目の磁気マークに記録されている値の和(=4)であるので、この値から、先に再生された第1番目の磁気マークの値“1”を減じることによって、第2番目の磁気マークに記録されている値“3”(=4−1)を再生することができる。更に、第3番目の磁気マークに記録されている値は、第3番目の読みとりスポットにより読み出された値“5”から、第2番目の磁気マークの値“3”を減じることにより得ることができる。このようにして、各読みとりスポットにより読み出された値から、1つ前に再生された磁気マークの値を減算する処理を繰り返すことにより、各磁気マークに記録されている情報を正確に再生することができる。
【0008】
このような方法によれば、磁気マークの形成される間隔を、読みとりスポットの直径よりも小さくすることが可能となるので、光ディスクの記録密度を一層高めることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法では、記録する情報に対してダミーマークを付加して記録するので、ダミーマークが記録される分だけ記録密度が低下するという課題があった。
【0010】
また、記録密度を高める目的で、ダミーマークを挿入する割合を少なくすると、例えば、光ディスクについた傷などにより、再生された情報が元の情報と異なる状況が一旦生ずると、それ以降に再生される情報はダミーマークが再び現れるまで誤差を含んだものとなる。以下に、その理由を説明する。
【0011】
いま、図14(A)に示すように、光ディスクの第0番目乃至第4番目の磁気マークに記録されている値が、順に“0”,“1”,“3”,“2”,“2”であるとし、第1乃至第4番目の読みとりスポットによりこれらの情報を読み出す場合を考える。第i番目のスポットから読み出される値Siは、前述のように、第i番目と第(i−1)番目の磁気マークに記録されている値aiと値ai-1を用いて次のように表される。
i=ai+ai-1 ・・・(1)
【0012】
従って、第i番目の磁気マークに記録されている値aiは、式(1)を変形することにより、以下のように表される。
i=Si−ai-1 ・・・(2)
【0013】
例えば、i=1の場合、即ち、第1番目の磁気マークに記録されている値a1は、式(2)を用いて次のように表される。
1=S1−a0 ・・・(3)
【0014】
0は、ダミーデータであるので、その値は“0”である。従って、式(3)の右辺のa0に“0”を代入することで、a1が求まる。同様にして、求まった値を式(2)の右辺のai-1に次々と代入することで、以下のようにa1乃至a4を得ることができる。
1=S1−a0=1−0=1
2=S2−a1=4−1=3
3=S3−a2=5−3=2
4=S4−a3=4−2=2
【0015】
いま、第2番目の読みとりスポットにより読み出された値S2が、光ディスクの傷などのため、“4”から“3”に減少した(図14(B)参照)とすると、再生される値a1乃至a4は以下のようになる。
1=S1−a0=1−0=1
2=S2−a1=3−1=2
3=S3−a2=5−2=3
4=S4−a3=4−3=1
【0016】
このように、誤差が一旦生ずると、この誤差はダミーデータが再度読み出されるまで次々と伝搬されていく。従って、以上の例では、第2番目の読みとりスポットにより読み出された値S2だけが誤差を含んでいたにも拘わらず、それ以降の全ての再生値も誤差を含むことになる。即ち、光ディスクが本来有する以上の誤差を生ずることになるという課題があった。
【0017】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、記録媒体の記録密度を高めると共に、再生時に生ずる誤差が伝搬されることを防ぐことを可能とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の記録媒体記録再生装置は、入力された情報を記録しようとするマークを含む合計(n+1)個(nは1以上の整数)のマークを同時に読み出した場合、マークの情報を一義的に決定することができるように、情報に所定の演算を施す第1の演算手段と、第1の演算手段による演算結果の値を表すマークを、記録媒体に記録する記録手段と、読みだそうとするマークを含む合計(n+1)個のマークを同時に読み出す読み出し手段と、読み出し手段により読み出された合計(n+1)個のマークに対応する整数値に基づき、読み出そうとするマークに対応する情報を一義的に決定するための演算を施す第2の演算手段と、第2の演算手段によって得られた値を記録されていた情報として出力する出力手段とを備え、第1の演算手段は、情報系列{a i }(i=1,2,3,・・・,k)に対応する情報をマークとして記録し、記録された情報系列の第j番目のマークを含む(n+1)個のマークを読み出した場合に読み出される整数値S j の信号検出レベルに応じて、元の情報a i が対応できるように、情報に所定の演算を施し、第2の演算手段は、読み出し手段によって読み出された第j番目の整数値S j に対して、
条件式:a j =[S j mod
を満たす値a j を演算することを特徴とする。
【0019】
本発明の記録媒体記録再生方法は、入力された情報を記録しようとするマークを含む合計(n+1)個(nは1以上の整数)のマークを同時に読み出した場合、マークの情報を一義的に決定することができるように、情報に所定の演算を施す第1の演算ステップと、第1の演算ステップによる演算結果の値を表すマークを、記録媒体に記録する記録ステップと、読みだそうとするマークを含む合計(n+1)個のマークを同時に読み出す読み出しステップと、読み出しステップにより読み出された合計(n+1)個のマークに対応する整数値に基づき、読み出そうとするマークに対応する情報を一義的に決定するための演算を施す第2の演算ステップと、第2の演算ステップによって得られた値を記録されていた情報として出力する出力ステップとを備え、
第1の演算ステップは、情報系列{a i }(i=1,2,3,・・・,k)に対応する情報をマークとして記録し、記録された情報系列の第j番目のマークを含む(n+1)個のマークを読み出した場合に読み出される整数値S j の信号検出レベルに応じて、元の情報a i が対応できるように、情報に所定の演算を施し、第2の演算ステップは、読み出し手段によって読み出された第j番目の整数値S j に対して、
条件式:a j =[S j mod
を満たす値a j を演算することを特徴とする。
【0021】
本発明の記録媒体記録再生装置および方法においては、入力された情報を記録しようとするマークを含む合計(n+1)個(nは1以上の整数)のマークを同時に読み出した場合、マークの情報を一義的に決定することができるように、情報に所定の演算が行われ、この演算結果の整数値を表すマークが記録媒体に記録される。また、読みだそうとするマークを含む合計(n+1)個のマークが同時に読み出され、読み出された合計(n+1)個のマークに対応する整数値に基づき、読み出そうとするマークに対応する情報を一義的に決定するための演算が行われ、この演算結果の値が記録されていた情報として出力される。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を応用した光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。この図において、光ディスク1は、スピンドルモータ2により所定の角速度で回転されている。スピンドルサーボ回路3は、スピンドルモータ2が所定の角速度で回転するように制御している。ピックアップ4(記録手段、記録ステップ、読み出し手段、読み出しステップ)は、サーボ回路5により制御され、レーザビームを光ディスク1の所望の位置に照射するようになされている。
【0033】
PLL(Phase Locked Loop)回路6は、ピックアップ4により読み出されたエンボストピットの再生信号をもとに、クロック信号(以下、基本クロックという)を生成する。また、PLL回路6は、光ディスク1に記録するデータ(以下、記録データという)が1バイト(=8ビット)入力される毎にクロック信号(以下、バイトクロック信号という)を発生する。
【0034】
ECC(Error Correction Code)付加回路7は、入力された8ビット単位の記録データに対してエラー訂正符号(ECC)を付加する。データ変換回路8は、ECC付加回路7の出力を2ビット単位のデータに変換する。多値振幅データ符号化回路18(演算手段、演算ステップ、第1の演算手段、第1の演算ステップ)は、再生時に誤差の伝搬が生じないように、記録データに対して後述する変換を施し、得られたデータを多値振幅変調回路9へ出力する。多値振幅変調回路9は、2ビット単位のデータを、対応する4値のアナログ信号に変換し、マグネットドライブ回路10へ供給する。マグネットドライブ回路10は、多値振幅変調回路9の出力する信号に対応して、外部磁界発生コイル11(記録手段、記録ステップ)を駆動し、外部磁界を発生させる。なお、この外部磁界発生コイル11は、光ディスク1を挟んでピックアップ4と対向する位置に配置されており、情報を記録する際に、レーザビームが照射されている領域に対して外部磁界を印加するようになされている。
【0035】
記録パルス生成回路12は、PLL回路6の出力する基本クロックに同期して記録用のパルス信号を生成し、レーザパワーコントロール回路13へ供給する。レーザパワーコントロール回路13は、記録パルス生成回路12からパルス信号が供給された場合、ピックアップ4の図示せぬ半導体レーザを制御し、記録用のレーザビームを照射させる。
【0036】
ピックアップ4により、光ディスク1より読み出された再生信号(MO信号)は、イコライザ14に供給され、読みとりスポットが照射されている磁気マークに隣接している他の磁気マークからの符号間干渉成分が除去される。7値復号回路15(演算手段、演算ステップ、第2の演算手段、第2の演算ステップ)は、再生信号をその振幅に応じて7段階の値(詳細は後述する)に復号し、これを2ビットのデータに変換した後、8ビット変換回路16へ出力する。8ビット変換回路16は、入力された2ビットのデータを8ビットのデータに変換し、ECC復号回路17(出力手段、出力ステップ)に供給する。ECC復号回路17は、入力されたデータの誤り訂正を行い、訂正されたデータを出力する。
【0037】
制御回路19は、操作装置20からの出力に応じて、記録パルス生成回路12を制御し、記録パルスを生成させる。
【0038】
次に、光ディスク1の構成例を説明した後、図1に示す実施例の動作について説明する。
【0039】
図2は、光ディスク1の構成の一例を示す断面図である。光ディスク1は、ポリカーボネイト製の光ディスク基板30、窒化シリコン層31,32、およびMO(Magneto Optic)膜33,34により構成されている。光ディスク基板30の上に窒化シリコン層31が、窒化シリコン層31の上にMO膜33が、MO膜33の上に窒化シリコン層32が、窒化シリコン層32の上にMO膜34が、それぞれ形成されている。
【0040】
MO膜33は、テルビウム、鉄、およびコバルト(Tb,Fe,Co)を主成分とする薄膜である。また、MO膜34は、テルビウム、鉄、およびコバルト(Tb,Fe,Co)を主成分とする薄膜と、白金およびコバルト(Pt,Co)を主成分とする薄膜の2層から形成されている。また、窒化シリコン層31には、エンボストピット35が形成されており、このピットに記録された情報をもとにPLL回路6において基本クロック信号を生成する他、このピットからの反射光に基づき、サーボ回路5がトラッキング制御を行う。
【0041】
このような光ディスク1に対して、対物レンズ4aを介して記録用のレーザービームを照射しておき、外部磁界発生コイル11により外部磁界を印加すると、2つのMO膜33,34は光磁気特性が異なるので、それぞれ異なる状態に磁化される。従って、外部磁界を4段階に変化させれば、これら2つのMO膜33,34を1つの記録層として考えた場合、そこに、合わせて4つの異なる値の磁気マークが形成されることになる。
【0042】
図3は、記録用のレーザービームの強度分布と、レーザビームにより形成される磁気マークとの関係を示す図である。ピックアップ4に内蔵されている図示せぬ半導体レーザより放出されたレーザービームは、対物レンズ4aにより光ディスク1上の所定の位置に直径約1μmのスポット(図3(C))を結ぶ。レーザービームの強度の分布は、図3(A)に示すようなガウス分布となっているので、レーザビームが照射された領域は、スポットの中心に近い部分ほど温度が高くなる。レーザビームを照射する時間Twを適当に調節することにより、キュリー温度Tcを越える領域のトラック方向の長さが0.5μmになるようにする。キュリー温度Tcを越えた領域は、外部磁界発生コイル11により印加される外部磁界により磁化され、トラック方向の長さが0.5μmの磁気マーク(図3(B))となる。
【0043】
なお、スポットの直径Dは、レンズの開口数(Numerical Aperture)をNA、レーザビームの波長をλ、kを定数とすると、以下の式で表され、本実施例においては、D=1μmとなるように設定してある。
D=k・(λ/NA) ・・・(4)
【0044】
なお、定数kは、理論的にはRayleighの条件から、0.61程度となるが、実際の光ディスクでは、スキューやフォーカスずれなどが生ずるため、経験的に0.7程度であると思われる。
【0045】
磁気マークとして記録された情報を読みとる際は、記録する場合よりも強度の小さい再生用レーザービームを磁気マークに照射し、反射光のカー回転角を検出することにより、記録された情報を読み出す。
【0046】
図4は、外部磁界と形成される磁気マークとの関係を示す波形図である。図4(A)は、ピックアップ4の図示せぬ半導体レーザより光ディスク1に照射される記録用レーザビームのパワーの時間的変化を示しており、この図に示すように、レーザビームは、周期Tの間隔で、Twの時間だけ照射される。また、図4(B)は、そのときに印加される外部磁界の強さを示している。外部磁界は、外部磁界発生コイル11により発生され、記録する情報に応じて、“+Hw1”,“+Hw2”,“−Hw1”,“−Hw2”の何れかの強さとされる。
【0047】
外部磁界が印加されている際に、記録用レーザビームが照射されると、光ディスク1のMO膜33,34のキュリー温度Tcを越えた領域は、外部磁界に応じて磁化される。これら2つのMO膜33,34の磁化を合わせると、前述のように、4つの状態(情報)を記録することができる。図4(C)は、これら4つの状態に対応する磁気マークを模式的に示したものである。また、図4(D)は、磁気マークの磁化の方向とその強さを示している。即ち、この図において、円の大きさは磁化の大きさを示しており、大きい円で示される第1の大きさと、小さい円で示される第2の大きさの2種類からなる。また、円内の“×”は、紙面の表から裏方向への磁化を示しており、一方、“・”は、紙面の裏から表方向への磁化を示している。
【0048】
例えば、この図に示すように、“−Hw2”の外部磁界が印加され、記録用のレーザビームが照射されたとすると、光ディスク1に形成される磁気マークの磁化の方向は、図4(D)に示すように、紙面の表から裏方向であり、その大きさは、第1の大きさである。また、“−Hw1”の外部磁界によれば、第2の大きさで、紙面の表から裏方向への磁化がなされる。“+Hw1”の外部磁界の場合では、第2の大きさで、紙面の裏から表方向への磁化がなされる。更に、“+Hw2”の外部磁界によれば、第1の大きさで、紙面の裏から表方向への磁化がなされることになる。
【0049】
図4(E)は、図4(C)に示す磁気マークを読みとりスポットにより2つずつ同時に読みとった場合に得られる値を示している。例えば、第1番目と第2番目の磁気マークからは、これらに記録されている値“0”と“1”とを加算した値“1”が読み出される。また、第2番目と第3番目の磁気マークからは、これらに記録されている値“1”と“3”を加算した値“4”(=1+3)が読み出される。更に、第3番目乃至第5番目の磁気マークには、値“3”,“2”,“2”がそれぞれ記録されているので、第3番目と第4番目の磁気マークからは、値“5”(=3+2)が、第4番目と第5番目の磁気マークからは値“4”(=2+2)がそれぞれ読み出される。
【0050】
図5は、光ディスク1に形成されているエンボストピット(図2のエンボストピット35に対応する)を示す図である。図5(B)に示すように、各トラックの所定の半径線上には、3つのエンボストピット50乃至52が配置されており、光ディスク1の全体を俯瞰すると、図5(A)に示すように放射状の線となる。エンボストピット50は、トラック上に配置されており、また、エンボストピット51,52は、エンボストピット50に対して、トラックに平行な方向と、トラックに垂直な方向に若干のオフセットを伴って配置されている。このような3つのエンボストピット50乃至52からなる放射状の線は、光ディスク1上に約1,400本配置されており、各線に挟まれた扇形の領域には情報を記録するための磁気マークが形成される。なお、エンボストピット50は、PLL回路6が基本クロックまたはバイトクロック信号を生成する際に使用され、また、エンボストピット51,52は、トラッキング制御を行う際に使用される。
【0051】
続いて、図1に示す実施例の動作について説明する。以下では、先ず、本実施例の動作の概略を説明し、続いて、本実施例の各部の動作について説明する。
【0052】
図6は、同一の情報を本実施例と従来例により記録した場合に形成される磁気マークを比較した図である。これらの図に示すように、本実施例の読みとりスポットや形成される磁気マークの形状は、従来例の場合と同様である。即ち、本実施例(図6(B))は、従来例の場合(図6(A))と同様に、磁気マークのトラック方向の長さは0.5μmであり、また、読みとりスポットの直径は1μmである。更に、読みとりスポットは従来例と同様に、2つの磁気マーク上に照射され、これら2つの磁気マークに記録されている情報が同時に読み出される。
【0053】
いま、データ変換回路8より、記録データ系列{ai}=(1,3,1,2,・・・)が供給されたとする。このとき、従来例では、記録データ系列{ai}にダミーデータ(この例では、第0番目のデータa0=0)が付加された後、これらのデータが磁気マークとしてそのまま記録されることになる(図6(A))。この記録されたデータを再生する際は、前述のように第i番目と第(i−1)番目の磁気マークに記録されている値ai,ai-1を同時に読みとる。その際読みとられる値Siは、以下のように表される。但し、この場合、ダミーデータは第0番目のデータa0のみであるとする。
i=ai-1+ai ・・・(5)
【0054】
従って、読みとりスポットにより読みとられた値Siから記録データ系列{ai}を再生するためには、以下の式に示すように、読みとられた値Siから1つ前に再生された磁気マークの値ai-1を減算すればよい。
i=Si−ai-1 ・・・(6)
【0055】
式(6)に示すように、第i番目の磁気マークに記録されている値aiを再生するためには、第(i−1)番目の磁気マークに記録されている値ai-1を用いることになり、読みとった値に誤差が一旦含まれると、その誤差はそれ以降に再生される値に次々と伝搬されることになる。
【0056】
そこで、式(6)の右辺から項ai-1を削除するために、値aiを直接記録せずに、以下の式に示すように、その直前に記録された磁気マークの値bi-1を減算し、得られた値biを記録するようにする。
i=ai−bi-1 ・・・(7)
【0057】
このような変換を施した後に得られた値を記録するようにすると、読みとられた値Siは以下の式で与えられる。即ち、読みとられた値Siからもとのデータaiが直接得られることになる。
i=bi-1+(ai−bi-1)=ai ・・・(8)
【0058】
しかしながら、式(7)の右辺は、ai<bi-1のとき負の値をとる。光ディスク1に記録可能なデータは、前述のように、“0”乃至“3”であるので、この場合、データを記録することができなくなる。そこで、ai<bi-1の場合でも式(7)が正の値をとるように、式(7)を次のように変形する。
i=[ai−bi-1]mod M ・・・(9)
ここで、[]mod Mは、括弧内の値のMの剰余を求める演算記号である。
【0059】
このような変形をおこなうと、biの値は0乃至(M−1)(≧0)となり、また、読みとられた値Siは以下の式で表すことができる。
i=bi-1+[ai−bi-1]mod M ・・・(10)
【0060】
次に、このような変換を経て記録された値を再生する場合の変換式を求める。先ず、式(10)の両辺の剰余をとると、以下の式を得る。
[Si]mod M=[bi-1+[ai−bi-1]mod M]mod M・・・(11)
【0061】
ここで、−(M−1)≦ai−bi-1≦(M−1)であることから、式(11)の右辺の括弧内の[ai−bi-1]mod Mは、(ai−bi-1)≧0の場合は、[ai−bi-1]mod M=ai−bi-1となり、また、ai−bi-1<0の場合は、[ai−bi-1]mod M=M+ai−bi-1となる。ところで、[]mod Mの[]内に、Mを加算しても演算結果は同じである([x+M]mod M=[x]mod M)ので、ai−bi-1<0の場合、式(11)は、[bi-1+M+ai−bi-1]mod M=[bi-1+ai−bi-1]mod Mとなる。従って、これらの結果を総合すると、式(11)は以下のように変形される。
Figure 0003704695
【0062】
ここで、0≦ai≦(M−1)であるので、式(12)は次のように変形される。
i=[Si]mod M ・・・(13)
【0063】
従って、図6(B)に示すように、記録データ系列{ai}に式(9)に示す変換を施した結果得られるデータ系列{bi}を記録し、再生時は式(13)に示す変換を施すようにすれば、読みとられた値Siから一義的に元の記録データ系列{ai}を復号することができるので、読みとり時に誤差が生じた場合でも、誤差の伝搬が生じない。
【0064】
次に、図7を参照して本実施例の動作を具体的に説明する。いま、記録データ系列{ai}が、例えば、{1,3,1,2,0,3,・・・}であるとし、式(9)により変換されたデータ系列{bi}の初期値(固定パターン情報)b0=0とする。この場合、光ディスク1に記録されるデータ系列{bi}は、次のようになる(図7(A)参照)。
0=0
1=[a1−b0]mod 4=[1−0]mod 4=1
2=[a2−b1]mod 4=[3−1]mod 4=2
3=[a3−b2]mod 4=[1−2]mod 4=3
4=[a4−b3]mod 4=[2−3]mod 4=3
5=[a5−b4]mod 4=[0−3]mod 4=1
6=[a6−b5]mod 4=[3−1]mod 4=2
【0065】
光ディスク1に記録されたデータ系列{bi}から読みとられた値Si(イコライザ14の出力)(図7(B))を、基本クロック(図7(C))に同期してサンプリングした値は、式(13)に示す変換が施され、以下に示す、元の記録データ系列{ai}を得る。
1=[S1]mod 4=[0+1]mod 4=1
2=[S2]mod 4=[1+2]mod 4=3
3=[S3]mod 4=[2+3]mod 4=1
4=[S4]mod 4=[3+3]mod 4=2
5=[S5]mod 4=[3+1]mod 4=0
6=[S6]mod 4=[1+2]mod 4=3
【0066】
いま、仮に、第2番目の読みとりスポットにより読みとられた値S2の値が“3”から“2”に減少した場合(誤差を含んでいる場合)、読みとり信号は以下のようになる。
1=[S1]mod 4=[1]mod 4=1
2=[S2]mod 4=[3]mod 4=2
3=[S3]mod 4=[5]mod 4=1
4=[S4]mod 4=[6]mod 4=2
5=[S5]mod 4=[4]mod 4=0
6=[S6]mod 4=[3]mod 4=3
【0067】
この場合、誤差を含むデータは、a2だけにとどまり、誤差はこれ以降のデータには伝搬されない。従って、このような変換を施してから記録データを記録することにより、読みとり時に誤差が生じた場合でも、その誤差の伝搬を防止することができる。
【0068】
続いて、図1に示す実施例の各部の動作について説明する。
【0069】
ピックアップ4は、サーボ回路5により制御されており、光ディスク1の所定の位置にレーザビームを照射する。光ディスク1からの反射光は、ピックアップ4に入射され、対応する電気信号に変換された後、RF信号としてPLL回路6へ出力される。PLL回路6は、RF信号中に含まれているエンボストピット50の成分をもとに、記録された磁気マーク(図4(C))の繰り返し周波数に一致する基本クロック(図4(F)))を生成し、データ変換回路8、多値振幅変調回路9、記録パルス生成回路12、7値復号回路15、8ビット変換回路16、および多値振幅データ符号化回路18へ供給する。
【0070】
また、PLL回路6は、4つの基本クロック信号につき1つのバイトクロック信号(図4(G))も生成しており、このバイトクロック信号は、データ変換回路8へ供給されている。
【0071】
入力された8ビットの記録データは、ECC付加回路7により、誤り訂正符号が付加され、更に、データ変換回路8により2ビットのパラレルデータに変換(分解)される。
【0072】
図8は、データ変換回路8の構成の一例を示すブロック図である。この図において、8ビットのフリップフロップ70(LS574)は、ECC付加回路7より出力される8ビットのデータをバイトクロック信号が再度“H”の状態になるまでホールドする。4進カウンタ71は、基本クロック信号に同期してデータセレクタ72,73を駆動し、フリップフロップ70にホールドされているデータを2ビットのパラレルデータに変換して出力する。
【0073】
即ち、バイトクロック信号(図4(G))が“H”の状態になると、フリップフロップ70は、ECC付加回路7より出力されている8ビットのデータを端子DA0(LSB(Least Significant Bit)入力端子)乃至DA7(MSB(Most Significant Bit)入力端子)の入力を受け、ホールドする。ホールドされたデータは、端子E0(LSB出力端子)乃至E7(MSB出力端子)より出力され、そのうちの下位4ビット(端子E0乃至E3からの出力)は、データセレクタ72へ供給され、上位4ビット(端子E4乃至E7からの出力)は、データセレクタ73へ供給される。4進カウンタ71は、バイトクロック信号(図4(G))が“H”の状態になると、以前のカウントデータをクリアし、カウントアップを開始する。カウントアップは、基本クロック信号(図4(F))に同期して“0”から1ずつカウント値をインクリメントすることにより行われるので、4進カウンタ71の出力信号は、図4(H)に示すように、バイトクロック信号の周期を4分割する信号となる。
【0074】
データセレクタ72,73は、4進カウンタ71の出力に応じて、接続を切り替える。即ち、4進カウンタ71のカウント値が“0”の場合は、データセレクタ72,73は、右端にある端子E3,E7をそれぞれ選択する。また、カウント値が“1”の場合は、データセレクタ72,73は、右端から第2番目にある端子E2,E6を選択する。同様の動作は、バイトクロック信号が再度“H”の状態になるまで繰り返され、フリップフロップ70にホールドされている8ビットのデータが、データセレクタ72,73により選択され、2バイトのパラレルデータとして次々と出力されることになる。
【0075】
このようなデータ変換回路8により得られた2ビットのパラレルデータ(記録データ系列{ai})は、多値振幅データ符号化回路18へ入力される。図9は、この多値振幅データ符号化回路18の構成の一例を示すブロック図である。この図において、記録データ系列{ai}は演算回路90へ入力される。演算回路90は、入力された第i番目の記録データaiから、遅延回路91の出力値bi-1を減じ、その結果を4で割った余り(剰余)を求める演算を行う。また、遅延回路91は、入力されたデータを1基本クロック(図4(F))分だけ遅延し、出力する。このような構成により、第i番目の記録データaiから1基本クロック前のデータbi-1を減算し、その結果を4で割った余りのデータ(=[ai−bi-1]mod 4)を求めることができる。
【0076】
図10は、図9に示す多値振幅データ符号化回路18の更に詳細な構成例を示すブロック図である。この図において、ai0,ai1は、データ変換回路8から第i番目に出力される出力信号(記録データai)のそれぞれ下位ビット(端子E0乃至E3の出力)と上位ビット(端子E4乃至端子E7の出力)を示している。また、bi0,bi1は、記録媒体に記録される第i番目のデータの下位ビット(LSB)と上位ビット(MSB)を示している。演算回路90は、排他的論理和回路110乃至112、否定回路113、および、論理積回路114により構成されている。また、遅延回路91a,91bは、図9の遅延回路91に対応しており、入力されたデータデータbi1,bi0を1基本クロック分だけ遅延して、データb(i-1)1,b(i-1)0として出力する。
【0077】
この実施例においては、bi-1=[b(i-1)1,b(i-1)0]の2の補数を、ai=[ai1,ai0]に対して加算し、その結果の下位2ビットを抽出することで式(9)に示す演算を行っている。即ち、減算“ai−bi-1”は、bi-1の2の補数をaiに加算することにより求められる。その結果は、本来3ビットとなるが、4の剰余を求める演算(第2ビット目以下を抽出する演算)が続けてなされるので、最上位のビット(第3ビット目)は無視できる。結果として、2の補数による減算により得られた値の下位2ビットを抽出することで式(9)に示す演算を行うことができる。
【0078】
このような論理演算を行う回路は多数考えられるが、本実施例では上位ビットと下位ビットに対して以下のような演算を行う回路を構成している。
【数1】
Figure 0003704695
【数2】
Figure 0003704695
【0079】
即ち、式(14)に示すように、bi0は、記録データの下位ビットai0と遅延回路91aの出力データとの間で排他的論理和回路110により、排他的論理和をとった値となる。また、bi1は、式(15)に示すように、否定回路113によるai0の否定値とbi0との間で論理積回路114により論理積を演算し、更に、得られた値と、ai1とb(i-1)1との間で排他的論理和回路111と112により排他的論理和をとった値となる。このような構成によれば、式(9)に示す演算を簡単に実現することができる。
【0080】
多値振幅データ符号化回路18の出力は、多値振幅変調回路9に入力される。多値振幅変調回路9は、D/A変換器などにより構成されており、入力された2ビットのパラレルデータ(MSB,LSB)を以下に示すようなアナログ信号に変換する。
2ビットデータ 出力信号
(0,0) −2
(0,1) −1
(1,0) +1
(1,1) +2
【0081】
多値振幅変調回路9の出力は、マグネットドライブ回路10へ供給される。マグネットドライブ回路10は、外部磁界発生コイル11を駆動し、以下に示すように、入力されたアナログ信号に対応した大きさと方向を有する外部磁界(図4(B))を発生する。
入力信号 外部磁界の強度
−2 −Hw2
−1 −Hw1
+1 +Hw1
+2 +Hw2
【0082】
外部磁界が印加されると同時に、ピックアップ4から記録用のレーザビーム(図4(A))が照射され、光ディスク1のMO膜33,34はこの外部磁界により磁化され、磁気マークが形成される。すなわち、操作装置20より記録モードを指令すると、制御回路19は、記録パルス生成回路12を制御し、記録パルス生成回路12に、PLL回路6から出力されている基本クロック信号に応じて記録用パルス信号を生成させ、レーザパワーコントロール回路13へ供給させる。レーザパワーコントロール回路13は、記録パルス生成回路12から供給されるパルス信号が“H”の状態になると、ピックアップ4に内蔵されている図示せぬ半導体レーザの出力を、通常の出力(再生時の出力=1mW)から、記録時の出力(=15mW)に増大させる。
【0083】
半導体レーザより放射されたレーザビームは、ピックアップ4に内蔵されている対物レンズ4a(図2参照)により、光ディスク1上の直径約1μm程度の領域に収束される。その結果、レーザビームが照射されている領域の中心部の温度は上昇し、キュリー温度Tcを越えるので、外部磁界発生コイル11により印加されている外部磁界(多値振幅変調回路9より供給されている4値の信号に対応する磁界)に応じて磁化されることになる。その結果、光ディスク1上には、外部磁界に対応する磁気マーク(図4(C))が形成されることになる。
【0084】
次に、以上のようにして記録された情報を再生する場合の動作について説明する。
【0085】
光ディスク1上に磁気マークとして記録されている情報は、ピックアップ4に内蔵されている半導体レーザから照射されるレーザビームにより読み出され、イコライザ14へ入力される。このとき、レーザビームは2つの磁気マークに照射されており、これら2つの磁気マークに記録されている値を加算した値が読み出される。
【0086】
イコライザ14は、前述のように、読みとりスポットが照射されている磁気マークに隣接している他の磁気マークからの符号間干渉を除去し、目的となる2つの磁気マークに記録されている値を抽出する。
【0087】
イコライザ14の出力信号は、図11に示される入出力特性を有する7値復号回路15へ入力される。この7値復号回路15の構成例を図12に示す。7値復号回路15は、アナログ信号であるイコライザ14の出力信号を、2ビットのディジタルデータに変換するようになされており、以下にその詳細を説明する。
【0088】
8ビットのA/Dコンバータ130は、イコライザ14の出力信号の入力を受け、入力された信号(アナログ信号)を基本クロック信号に同期してA/D変換する。その結果得られた8ビットのデータは、ROM(Read Only Memory)131のアドレス入力端子に供給され、この8ビットデータにより指定されるアドレスに格納されているデータが、出力端子F0(LSB出力端子)乃至F2より出力される。なお、MSB出力端子である出力端子F2は使用されておらず、このビットは無視される。その結果、式(13)に示す4の剰余を求める演算が結果的に実行されることになる。
【0089】
いま、イコライザ14の出力信号の値(アナログ値)が“0”であるとすると、この出力は、A/D変換器130により8ビットのディジタルデータ“00000000”に変換される。ROM131のアドレス“00000000”には、3ビットの変換用のデータ“000”が格納されているため、端子F0乃至F2からはデータ“000”が出力され、このうち下位2ビット“00”([0]mod 4=0)が8ビット変換回路16へ供給される。また、イコライザ14の出力信号の値が“6”の場合は、A/D変換器130の出力データは“00000110”となり、ROM131のアドレス“00000110”に格納されているデータ“110”が出力され、このうち下位2ビット“10”([6]mod 4=2)が8ビット変換回路16へ供給されることになる。
【0090】
8ビット変換回路16は、7値復号回路15から供給される2ビットのパラレルデータを4つ蓄積し、元の8ビットのデータに復号する。図13にこの8ビット変換回路16の構成の一例を示す。
【0091】
8ビット変換回路16は、図13に示すように、フリップフロップ150乃至153により構成されており、それぞれのフリップフロップ150乃至153が基本クロックの所定のタイミングに同期してデータを読み込み、ホールドする。即ち、基本クロックA(図7(C))に同期して、フリップフロップ150が7値復号回路15の出力(F1,F0)を読み込み、ホールドする。また、フリップフロップ151乃至153は、それぞれクロックB乃至D(図7(C))に同期して7値復号回路15の出力を読み込み、ホールドする。
【0092】
いま、図7(A)に示す、第1番目乃至第4番目の読みとりスポットから読みとられた値S1乃至S4が8ビット変換回路16へ順次入力されたとする。このとき、フリップフロップ150には、クロックA(図7(C))に同期して入力された第0番目の磁気マークと、第1番目の磁気マークより得られた2ビットデータ“01”(=[0+1]mod 4)(D4,D0)がホールドされる。また、フリップフロップ151には、第1番目と第2番目の磁気マークより得られたデータ“11”(=[1+2]mod 4)(D5,D1)がホールドされる。更に、フリップフロップ152,153には、それぞれ“01”(=[2+3]mod 4)(D6,D2)と“10”(=[3+3]mod 4)(D7,D3)がホールドされる。そして、各フリップフロップ150乃至153より出力されるデータの各ビットを、D0乃至D7の順番になるように並び替えることにより、元の記録データを再生することができる。
【0093】
このようにして再生されたデータは、ECC復号回路17に供給され、光ディスク1の傷や、再生回路のノイズなどの影響により発生した符号の誤りが訂正され、出力される。
【0094】
以上のような動作は、全ての記録データ系列{ai}が再生されるまで繰り返され、再生された値が8ビットのデータに変換され、順次出力されていく。
【0095】
以上のような実施例によれば、記録されている情報を再生する際に、万一読みとり誤差が生じても、この誤差が他のデータに伝搬されることがない。
【0096】
以上の実施例では、4値の磁気マークを2つずつ読みとりスポットで読みとるようにしたが、M値(3以上)の磁気マークを(n+1)(n≧1)個ずつ再生するようにしてもよい。一般化した変換式を示すと次のようになる。
【0097】
即ち、いま、情報系列{ai}(i=1,2,・・・,k)を磁気マークとして記録し、記録された情報系列の第j番目の磁気マークを含む(n+1)個の磁気マークを読み出しスポットで読み出した場合、読み出される値Sjが、以下の式で表されるとする。
j=Aj-n・aj-n+Aj-n+1・aj-n+1+・・・+Aj-1・aj-1+aj ・・・(16)
ここで、Aj-nは、値aj-nが記録されている磁気マークが値Sjに与える影響を表す重み係数である。
【0098】
このとき、値ajに対して、次の式で示す変換を行う。そして、得られた値bjを磁気マークに記録する。
j=[aj−(Aj-n・bj-n+Aj-n+1・bj-n+1+・・・+Aj-1・bj-1)]mod M ・・・(17)
【0099】
そして再生時には、読みとりスポットにより、第j番目の磁気マークを含めて(n+1)個の磁気マークを同時に読みとる。このとき、読みとられた値Sjに対して以下の式で示す変換を行い、得られたデータを出力する。
j=[Sj]mod M ・・・(18)
【0100】
このような変換を行うことにより、(n+1)個のM値の磁気マークに対して読みとりスポットを照射し、記録されているデータを一義的に再生することができると共に、誤差の伝搬が生ずることを防止することができる。
【0101】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、記録媒体に高密度でデータを記録再生することが可能となると共に、再生時に複数のマークから同時に記録されている情報を読み出し、もとの情報を一義的に決定できるので、記録媒体の傷などにより生じた読みとり時の誤差が伝搬されることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す光ディスク1の構成の一例を示す断面図である。
【図3】レーザビームの強度分布と形成される磁気マークとの関係を示す図である。
【図4】図1に示す実施例の主要部の信号の波形と光ディスク1に形成される磁気マークとの関係を示す図である。
【図5】図1に示す光ディスク1に形成されているエンボストピットの構成の一例を示す図である。
【図6】本実施例と従来の例によって光ディスク1上に形成される磁気マークを比較する図である。
【図7】図1に示す実施例により光ディスク1上に形成される磁気マークと、これらの磁気マークから再生される信号との関係を示す図である。
【図8】図1に示すデータ変換回路8の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図1に示す多値振幅データ符号化回路18の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図9に示す多値振幅データ符号化回路18の更に詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図1に示す7値復号回路15の入出力特性を示す図である。
【図12】図1に示す7値復号回路15の構成の一例を示すブロック図である。
【図13】図1に示す8ビット変換回路16の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】従来における多値記録光ディスクに形成される磁気マークと、その磁気マークから再生されるデータとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 光ディスク, 4 ピックアップ(記録手段、記録ステップ、読み出し手段、読み出しステップ), 11 外部磁界発生コイル(記録手段、記録ステップ), 15 7値復号回路(演算手段、演算ステップ、第2の演算手段、第2の演算ステップ), 17 ECC復号回路(出力手段、出力ステップ), 18 多値振幅データ符号化回路(演算手段、演算ステップ、第1の演算手段、第1の演算ステップ)

Claims (4)

  1. 入力された情報をM値(Mは3以上の整数)を表すマークとして記録媒体に記録し、記録された情報を再生する記録媒体記録再生装置において、
    前記入力された情報を記録しようとする前記マークを含む合計(n+1)個(nは1以上の整数)のマークを同時に読み出した場合、前記マークの情報を一義的に決定することができるように、前記情報に所定の演算を施す第1の演算手段と、
    前記第1の演算手段による演算結果の値を表す前記マークを、前記記録媒体に記録する記録手段と、
    読みだそうとする前記マークを含む合計(n+1)個のマークを同時に読み出す読み出し手段と、
    前記読み出し手段により読み出された合計(n+1)個のマークに対応する整数値に基づき、読み出そうとする前記マークに対応する情報を一義的に決定するための演算を施す第2の演算手段と、
    前記第2の演算手段によって得られた値を記録されていた情報として出力する出力手段とを備え、
    前記第1の演算手段は、情報系列{ai}(i=1,2,3,・・・,k)に対応する情報を前記マークとして記録し、記録された前記情報系列の第j番目のマークを含む(n+1)個のマークを読み出した場合に読み出される整数値Sjの信号検出レベルに応じて、元の情報aiが対応できるように、前記情報に所定の演算を施し、
    前記第2の演算手段は、前記読み出し手段によって読み出された第j番目の整数値Sjに対して、
    条件式:aj=[Sj]mod M
    を満たす値ajを演算する
    ことを特徴とする記録媒体記録再生装置。
  2. 前記第1の演算手段は、情報系列{ai}(i=1,2,3,・・・,k)を前記マークとして記録し、記録された前記情報系列の第j番目のマークを含む(n+1)個のマークを読み出した場合に読み出される整数値Sjが、
    j=Aj-n・aj-n+Aj-n+1・aj-n+1+・・・+Aj-1・aj-1+aj
    (Aj-nは、値aj-nが記録されているマークが整数値Sjに与える影響を表す重み係数)
    と表されるとき、前記値ajに対して、
    条件式:bj=[aj−(Aj-n・bj-n+Aj-n+1・bj-n+1+・・・+Aj-1・bj-1)]mod M ([]mod Mは、[]内の値をMで除した場合の剰余を示す)
    を満たす値bjを演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体記録再生装置。
  3. 前記第1の演算手段は、前記入力された情報に、予め定められた値を有する固定パターン情報を少なくとも1つ付加する
    ことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体記録再生装置。
  4. 入力された情報をM値(Mは3以上の整数)を表すマークとして記録媒体に記録し、記録された情報を再生する記録媒体記録再生方法において、
    前記入力された情報を記録しようとする前記マークを含む合計(n+1)個(nは1以上の整数)のマークを同時に読み出した場合、前記マークの情報を一義的に決定することができるように、前記情報に所定の演算を施す第1の演算ステップと、
    前記第1の演算ステップによる演算結果の値を表す前記マークを、前記記録媒体に記録する記録ステップと、
    読みだそうとする前記マークを含む合計(n+1)個のマークを同時に読み出す読み出しステップと、
    前記読み出しステップにより読み出された合計(n+1)個のマークに対応する整数値に基づき、読み出そうとする前記マークに対応する情報を一義的に決定するための演算を施す第2の演算ステップと、
    前記第2の演算ステップによって得られた値を記録されていた情報として出力する出力ステップとを備え、
    前記第1の演算ステップは、情報系列{ai}(i=1,2,3,・・・,k)に対応する情報を前記マークとして記録し、記録された前記情報系列の第j番目のマークを含む(n+1)個のマークを読み出した場合に読み出される整数値Sjの信号検出レベルに応じて、元の情報aiが対応できるように、前記情報に所定の演算を施し、
    前記第2の演算ステップは、前記読み出し手段によって読み出された第j番目の整数値Sjに対して、
    条件式:aj=[Sj]mod M
    を満たす値ajを演算する
    ことを特徴とする記録媒体記録再生方法。
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