JP3704315B2 - アルミニウムプレート式オイルクーラー - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、概してアルミニウムプレート式オイルクーラーに関する。より詳しくは、本発明は、アルミニウムプレート式オイルクーラーを形成するプレートの全表面を覆う内部及び外側中間部を有するアルミニウムプレート式オイルクーラーに関する。ここで「中間部（center）」は、オイルクーラープレートと接触する個々のフィン形成表面に言及している。該中間部は、オイルクーラーの内側（オイルの側）又は外側（水即ち冷却剤の側）に配置することができる。
【０００２】
【従来技術】
プレート式オイルクーラーは、車及びトラックで利用されるトランスミッション又はエンジンのオイルを冷却するため使用される。オイルクーラーは、オイルから冷却剤に熱を交換するための手段を提供するため車両のラジエーターの入口又は出口の冷却剤タンク内に配置される。プレート式オイルクーラーは、様々な金属を利用して生成される。構成材料は、プレート間に支えられた鋼鉄フィン即ち中間部表面、銅−ニッケル及び鋼鉄プレートを備える。フィン表面は、オイルに乱流を惹起し即ち混合し、オイルから冷却剤への熱転移のため利用可能な表面積を改善する。
【０００３】
自動車の製造に伴うコストを減少し、並びに、自動車の走行距離性能を改善しようとする努力において、例えばアルミニウムなどの代替材料が、プレート式オイルクーラー設計で使用するため考えられてきた。アルミニウムオイルクーラーは、より高密度のステンレス鋼材料と比較してアルミニウムのより低い密度に起因して、例えば実質的な重量節約などの、従来材料を超える利点を有する。アルミニウムは、一般の構成材料のあるものと比較して、より高い熱伝導率を有し、これによって、従来の設計態様から１つ又はそれ以上のプレートの必要性を無くすことにより追加のコスト及び重量の節約を可能にする。
【０００４】
構成材料としてアルミニウムを利用する１つの欠点は、例えばステンレス鋼などの他の構成材料と比較して降伏強度が低いことである。オイルクーラーが典型的な作動条件及び引き続く３．４５ＭＰａ（５００ｐｓｉ）までの破裂強度要求下で含まなければならない通常０．３４５ＭＰａ乃至１．０３ＭＰａ（５０乃至１５０ｐｓｉ）の高圧力の故に、特別の設計上の考慮が、アルミニウムプレートクーラーに対して利用されなければならない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、破裂強度及び圧力サイクル寿命を増大させた、アルミニウムプレートクーラーを提供することである。また、本発明の目的は、強度及びブレーズ接合作業による漏れ耐性が増大した状態で製造することのできるアルミニウムプレート式オイルクーラーを提供することでもある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記に略述された欠点を解決すると共に、優れた耐久性及び増加した強度を有し、製造することの容易なオイルクーラーを提供する、アルミニウムプレート式オイルクーラーが提供される。本発明のアルミニウムプレート式オイルクーラーは、対をなす複数のプレートを備え、該プレートはオイル流れ経路を画成するためそれらの周辺部に沿って固定される。該プレートは、オイル用の入口ポート及び出口ポートを提供するように形成された打ち出し加工領域（embossed regions）を備える。頂部及び底部の補強プレートは、対をなす複数のプレートの頂部及び底部に位置決めされている。内側中間部は、熱転移面積を増加させ、オイルクーラー内のオイルに乱流を惹起するため、これらのプレート間に位置決めされている。外側中間部は、オイルクーラーの冷却剤側に熱転移面積を増加させるため対をなす複数のプレートの各々の間に配置されている。外側中間部は、冷却剤の流れがオイルの流れに垂直であるようにシート上に形成されたフィンを有する、波形状アルミニウムシートである。外側中間部は、プレートの全表面積を覆っており、プレート上の打ち出し加工領域と対応するように形成された孔を備える。この設計は、ブレーズ接合作業中に内側中間部とプレートとの間に品質の高い結合を確実にするため、プレート上に均一な内側負荷を提供する。
【０００７】
本発明の様々な利点は、添付図面を参照しつつ、次の詳細な説明及び請求の範囲を読むことにより、当業者に明らかとなる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１、図２及び図８を参照すると、本発明のアルミニウムプレート式オイルクーラー２が示されている。アルミニウムプレート式オイルクーラー２は、対をなす複数のプレート５を備え、該プレートは、それらの周辺部１０の回りで一緒に固定されている。対をなす複数のプレート５は、外側中間部１５により互いから分離されている。対をなす複数のプレート５の頂部２７及び底部２８に各々配置された、頂部及び底部の補強部２０、２５も設けられている。
【０００９】
図２を参照すると、対をなす複数のプレート５は、該プレート５が、オイル流れ経路３０を画成するため互いから間隔を隔てられるように、それらの周辺部１０に沿って固定されている。プレート５は、オイル流れ経路３０にオイルを流入させるべく入口ポート３７及び出口ポート３９を各々設けるようにプレートの両端部に形成された打ち出し加工領域３５を備える。
【００１０】
内側中間部４０は、プレート５の間に、且つ、オイル流れ経路３０内のオイルからプレート５に熱を転移させるためオイル流れ経路３０内部に位置決めされる。内側中間部４０は、オイルと接触する追加の表面積を設けることにより熱転移を増加させる。内側中間部４０は、曲がり部４２により接続されて左右に並んだ関係の略平坦なフィン４１を形成する、波形状即ち折り畳み金属シートである。フィン４１の各々は、フィンのほとんどの領域に亘って延在する、１組のルーバー４３を有する。フィン４１は、オイルが、入口３７から出口３９まで通過するため各フィンのルーバー４３を通って流れなければならないようにオイル流れの方向に交差して延在する。本発明により利用される形式の内側中間部の説明は、米国特許番号４，９４５，９８１号で開示された設計に類似しており、該特許を参照することにより、その設計は本明細書中に組み込まれる。前述したように、該設計は類似しているが、更に後述されるように幾つかの相違点が存在する。
【００１１】
米国特許番号４，９４５，９８１号で開示された内側中間部とは反対に、本発明の内側中間部４０は、アルミニウムオイルクーラー２に増大した強度を提供するためプレート５の全表面に沿って延在する。打ち出し加工部３５は、内側中間部４０がプレート５の内側の打ち出し加工部３５の回りに延在するようにサイズが定められ、形成されている。そのような構成は、アルミニウムプレート式オイルクーラーの破裂強度を更に１．３８乃至２．０７ＭＰａ（２００乃至３００ｐｓｉ）だけ増加させることを実証した。
【００１２】
内側中間部４０及びプレート５は、内側中間部４０が、オイル流れ経路３０内に配置されたとき、プレート５が、内側中間部５の回りのオイル迂回を無くすため、２．５４ｃｍ（１インチ）のうち０．０３０（約０．０７６ｃｍ）を越えない、プレート５に対するクリアランスを有する。内側中間部４０とプレート５との間のそのようなクリアランスを維持することは、オイルクーラーの熱効率を減少させ得る中間部４０の回りの迂回を無くすことによって内側中間部４０の効率を増加させる。
【００１３】
上述したように、プレート５は、それらの周辺部１０に沿って一緒に固定され、内側中間部４０を包み込む。プレート５は、締め付けられたとき、何らかの漏洩の可能性を無くす、連続的な雄型／雌型フランジ５０を形成するように一緒に締め付けられる。プレート５は、該プレート内に内側中間部を永久的に取り付けるため、並びに、連続的な雄型／雌型フランジ５０を確実に密封するため、プレートの両側に配置されたブレーズ接合被覆部を有する。図５を参照すると、連続的な雄型／雌型フランジ５０は、ブレーズ接合された密封部分がブレーズ作業中に形成され得る、３つの接合点５１、５２、５３を提供する。そのような配位は、漏洩の可能性を最小にする。
【００１４】
図１及び図２を参照すると、外側中間部１５は、プレート５から冷却剤への熱転移面積を増大させるため対をなす複数のプレート５の各々の間に位置決めされる。外側中間部１５は、複数のフィン１７がその上に形成された波形状アルミニウムシートである。フィン１７は、曲がり部１６により接合された第１及び第２の表面１８、１９を含む。フィン１７は、冷却剤の流れが、内側オイル流れ経路３０内のオイルの流れに垂直であるように形成される。図１及び図２で理解できるように、外側中間部１５は、プレート５の全表面を覆う。この配位は、ブレーズ接合作業中にプレート５上に均一な内側負荷を提供する。外側負荷は、ブレーズ接合設備、及び／又は、ブレーズ作業中に利用される束ワイヤにより提供される。均一な内側負荷は、内側中間部４０とプレート５との間に完全な結合が形成されることを確実にする。外側中間部１５は、打ち出し加工部３５に対応するため形成された孔２１及び２２を備える。孔２１及び２２は、外側中間部１５が打ち出し加工部３５を完全に取り巻くことを可能にし、打ち出し加工部３５の回りの領域に追加の支持を提供する。
【００１５】
再び図１、図２及び図８を参照すると、本発明のアルミニウムプレート式オイルクーラー２は、頂部及び底部の補強部２０、２５を各々備える。頂部及び底部の補強部２０、２５は、オイルクーラー２がブレーズ接合作業中にブレーズ備品にブレーズ接合することを防止するため、プレート５とは反対に、裸地になっている。頂部の補強部２０は、アルミニウムにブレーズ接合することができ、且つ、補強をなす上で必要となる構造的特性を示す、任意の材料から作られてもよい。高い流体速度条件の下で摩滅又は腐食するアルミニウムの傾向の故に、摩滅及び／又は腐食に対する高い耐性を示す、補強用材料を利用することが有用である。頂部の補強部は、オイルクーラーが、ラジエーターの入口又は出口をまたがるように取り付けられるところで高い流体速度条件を被り得る。従って、頂部の補強部は、アルミニウムにブレーズ接合することができ、且つ、高いレベルの摩滅及び腐食耐性を示す、３００シリーズ（series）のステンレス鋼であるのが好ましい。
【００１６】
代替の実施形態では、頂部の補強部は、高速度流体を、アルミニウムプレート式オイルクーラー２のアルミニウム構成部品から離れるように差し向けることによって破損が生じることを更に防止する延長流れダイバーター（diverter）６０を備えてもよい。図７を参照すると、流れダイバーター６０は、プレート５の外側を延在する頂部補強部の延長部分を含み、これにより、ラジエーターの入口又は出口からの高速度流体による摩滅又は腐食からそれらを防止することが理解できるはずである。
【００１７】
アルミニウムプレート式オイルクーラー２が、ラジエータータンクの幅の小さいパーセンテージしか占めない、プレート数を意味するプレートのスタック高さを有する状況に対しては、冷却剤はオイルクーラー２を迂回する機会を有する。そのような状況では、底部補強部２５は、バッフル６７を備えてもよい。図９を参照すると、バッフル６７を備えるラジエータータンク内のオイルクーラー２の断面図が示されている。バッフル６７は、アルミニウムプレート式オイルクーラー２の対をなすプレート５の間に冷却剤の流れを差し向けるため、底部補強部２５に対して約９０度の角度をなして形成される、アングルプレート６９である。
【００１８】
好ましい実施形態が開示されたが、当業者ならば、本発明の範囲内で様々な変形がなされることを理解するであろう。かくして、請求の範囲が、本発明の真の範囲及び内容を決定するため研究されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、オイルクーラーの斜視図である。
【図２】図２は、オイルクーラーの破断斜視図である。
【図３】図３は、プレート及び内側中間部の平面図である。
【図４】図４は、周辺部に沿って固定されたプレートを示す断面図である。
【図５】図５は、プレートの継ぎ目により形成されたブレーズ接合点を示す拡大図である。
【図６】図６は、流れダイバーターを有する頂部補強部の平面図である。
【図７】図７は、流れダイバーターを有する頂部補強部の断面図である。
【図８】図８は、オイルクーラーの底面図である。
【図９】図９は、底部補強部がバッフルを備えた状態で示されたオイルクーラーの断面環境図である。
【符号の説明】
２ アルミニウムプレート式オイルクーラー
５ 対をなす複数のプレート
１０ プレートの周辺部
１５ 外側周辺部
１７ フィン
２０ 頂部の補強部
２１、２２ 孔
２５ 底部の補強部
２７ 頂部
２８ 底部
３０ オイル流れ経路
３５ 打ち出し加工領域
３７ 入口ポート
３９ 出口ポート
４０ 内側中間部
４１ 略平坦なフィン
４２ 曲がり部
４３ １組のルーバー
５０ 連続的な雄型／雌型フランジ
５１、５２、５３ ブレーズ接合密封部分
６０ 延長流れダイバーター
６７ バッフル
６９ アングルプレート

Claims (9)

1. プレート式オイルクーラーであって、
   対をなす複数のプレートであって、該複数のプレートはそれらの周辺部に沿って一緒に固定され且つ互いに間隔を隔てられ、これによってオイル流れ経路を画成し、オイル用の入口ポート及び出口ポートを設けるため該プレート上に形成された打ち出し加工領域を備える、前記対をなす複数のプレートと、
   前記対をなす複数のプレートの頂部及び底部に配置された、頂部及び底部の補強プレートと、
   前記プレートの間に位置決めされた内側中間部であって、該プレートと熱的接触し、且つ、前記オイル流れ経路内のオイルから該プレートに熱を転移するため該オイル流れ経路内にある、前記内側中間部と、
   前記対をなす複数のプレートの各々の間に配置され、且つ、該プレートから冷却剤への熱転移を増加させるため該プレートと熱的に接触する、外側中間部と、
   前記外側中間部は、曲がり部により接続された第１及び第２の平坦表面を有する複数のフィンを備える波形状アルミニウムシートであり、該フィンは、冷却剤の流れがオイルの流れに垂直であるように形成され、
   前記外側中間部は、前記プレートの全表面を覆っており、且つ、ブレーズ接合作業中に前記内側中間部と前記プレートとの間の結合を確実にするべく該プレート上に均一な内側負荷を課すため前記打ち出し加工領域と対応するように形成された孔を備える、前記プレート式オイルクーラー。
2. 前記内側中間部は、前記アルミニウムプレート式オイルクーラーに増加した強度を提供するため前記プレートの全表面に沿って延在する、請求項１に記載のプレート式オイルクーラー。
3. 前記内側中間部と前記プレートとの間のクリアランスは、前記内側中間部の回りのオイルの迂回を無くすため、約０．０７６ｃｍより小さい、請求項１に記載のプレート式オイルクーラー。
4. 前記プレートは、ブレーズ接合作業中にブレーズ接合部が形成されるところが３箇所存在するように、該プレートの周辺部に沿って一緒に固定される、請求項１に記載のプレート式オイルクーラー。
5. 前記頂部及び底部の補強プレートは、ブレーズ備品がブレーズ接合作業中に該頂部及び底部の補強プレートにブレーズ接合することを防止するため裸地である、請求項１に記載のプレート式オイルクーラー。
6. 前記頂部の補強部はステンレス鋼である、請求項１に記載のプレート式オイルクーラー。
7. 前記頂部の補強部は３００シリーズのステンレス鋼である、請求項１に記載のプレート式オイルクーラー。
8. 前記頂部補強プレートは、前記オイルクーラーがラジエーターの入口又は出口をまたがるとき該オイルクーラーの破損を防止するように形成された延長流れ差し向け部分を更に備える、請求項１に記載のプレート式オイルクーラー。
9. 前記底部の補強部は、冷却剤の流れを差し向けるため形成されたバッフルを更に備える、請求項１に記載のプレート式オイルクーラー。

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