JP3704226B2 - 液化方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばセルロース成分含有物質、デンプン成分含有物質、糖成分含有物質、ポリウレタン成分含有物質およびそれらの複合物質等を種々の化学工業原料や燃料源等となりうる溶液に液化する方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不要となったセルロース成分含有物質(例えば製材した残りの木粉、竹、コーヒーやビール等の漉し滓、古紙、漢方薬に供した残りの草根・木皮、木綿・麻・レーヨン等を使用した繊維等)を有効に利用する方法として、液化して得られた樹脂溶液を種々の樹脂原料や梱包用の発泡体原料等に用いることが知られている。
【0003】
セルロース成分含有物質を液化するには、セルロース成分含有物質と溶媒となる薬品(例えばフェノールおよび酸触媒、ポリエチレングリコールとグリセリンおよび酸触媒)を所定の比率で混合し、これを高温下で攪拌することにより、セルロース成分含有物質が薬品に反応して樹脂溶液に液化する。
【0004】
本発明の出願人は、この種の液化方法および液化装置として、特開平5−140322号公報、特開平5−140323号公報および特開平5−179253号公報に記載されたものを先に提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述の液化方法および液化装置は、処理形式がバッチ式(特開平5−140322号公報、特開平5−140323号公報参照)または連続バッチ式(特開平5−179253号公報参照)であるため、実用化するに当たっての問題として、処理に非常に長時間を要するとともに、大容量で高耐圧を有する高耐蝕性の液化装置が必要であった。
【0006】
その結果、セルロース成分含有物質、デンプン成分含有物質、糖成分含有物質、ポリウレタン成分含有物質およびそれらの複合物質等を液化して種々の化学工業材料や燃料源等となりうる溶液とするには、処理費や装置に莫大な費用がかかり、生産スケールでは未だ実用化されていないのが現状である。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、処理や装置費用の低減と生産性の向上を図り、生産スケールでの実用化可能な液化方法およびその装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、セルロース成分含有物質、フェノールおよび酸触媒、又は、セルロース成分含有物質、ポリエチレングリコール、グリセリンおよび酸触媒を所定の比率で混合し、この混合物をポリテトラフルオロエチレンで製作した筒体を通し、筒体の外部からマイクロ波を照射してセルロース成分含有物質が、フェノールおよび酸触媒、又は、ポリエチレングリコール、グリセリンおよび酸触媒に反応する温度に加熱し、連続的に攪拌させながら搬送させることによりセルロース成分含有物質を液化するようにしたことを特徴とする液化方法を提供する。
【0009】
また、耐蝕性材料で製作された槽の内部に、セルロース成分含有物質、フェノールおよび酸触媒、又は、セルロース成分含有物質、ポリエチレングリコール、グリセリンおよび酸触媒を所定の比率で混合させる混合装置と、ポリテトラフルオロエチレンで製作され、前記混合装置で混合された混合物が供給される筒体と、前記筒体の内部に設けた混合物を連続的に攪拌させながら搬送させる手段と、前記筒体の外部に設けたマイクロ波照射器とマイクロ波拡散ガードとを備えた加熱液化装置とを備えたことを特徴とする液化装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、セルロース成分含有物質、フェノールおよび酸触媒、又は、セルロース成分含有物質、ポリエチレングリコール、グリセリンおよび酸触媒を所定の比率で混合し、この混合物を、セルロース成分含有物質が、フェノールおよび酸触媒、又は、ポリエチレングリコール、グリセリンおよび酸触媒に反応する温度に加熱し、連続的に攪拌させながら搬送することによりセルロース成分含有物質を液化させることが可能ある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、液化方法およびその装置の実施例を図1に基づいて説明する。尚、この実施例は、セルロース成分含有物質(例えば製材した残りの木粉、竹、コーヒーやビール等の漉し滓、古紙、漢方薬に供した残りの草根・木皮、木綿・麻・レーヨン等を使用した繊維等)を液化するものである。
【0012】
図1は液化方法を実施する装置の一例を示すものであり、セルロース成分含有物質と溶媒となる薬品(例えばフェノールおよび酸触媒、ポリエチレングリコールとグリセリンおよび酸触媒)とを混合させる混合装置Aと、セルロース成分含有物質と薬品とを混合させた混合物を連続的に供給させる供給装置Bと、混合物を高温下で液化させる加熱液化装置Cとで構成される。
【0013】
混合装置Aは、高耐蝕性材料で製作される槽1の内部に、モーター2によって回転駆動されるブレンダー3を設けるとともに、槽1の下端部に仕切弁4を設けている。槽1には、図示されていないがセルロース成分含有物質投入装置と薬品投入装置とが付設されており、このセルロース成分含有物質投入装置と薬品投入装置とによってセルロース成分含有物質と薬品とが所定の割合で投入される。
【0014】
供給装置Bは、高耐蝕性材料で製作され、混合装置Aの槽1の下端に連通して接続される筒体5の内部に、モーター6によって回転駆動されるスクリューフィーダー7を設けている。
【0015】
加熱液化装置Cは、耐熱性を有する高耐蝕性材料で製作され、その基端(図中左端)が供給装置Bの筒体5と同軸上に連通して接続される筒体8の内部に、モーター6によって供給装置Bのスクリューフィーダー7と同期して回転駆動されるスクリューフィーダー9を設けるとともに、筒体8の外部に熱媒油や水蒸気等の間接加熱装置10を設けている。間接加熱装置10は、熱媒油や水蒸気等の温度をコントロールする熱媒昇温器11と、筒体8の外周に設けた加熱ジャケット12とを導管13および14によって接続しており、熱媒昇温器11で所定の温度に昇温された熱媒油や水蒸気等が導管13および14によって熱媒昇温器11と加熱ジャケット12との間で循環される。また、筒体8の先端(図中右端)には取出弁15が設けてあるとともに、この取出弁15の下方に取出槽16を配置している。
【0016】
次に、上記装置を使用して液化方法について説明する。
【0017】
先ず、予め混合装置Aの槽1にセルロース成分含有物質と薬品(例えばフェノールおよび酸触媒、ポリエチレングリコールとグリセリンおよび酸触媒)とを所定の割合で投入してモーター2によって回転駆動するブレンダー3で混合し、セルロース成分含有物質と薬品とが所定の比率で混合された混合物を槽1内に収容させておく。
【0018】
次に、槽1の仕切弁4を開き、槽1内に収容された混合物を供給装置Bの筒体5内に落下させる。すると、混合物は、モーター6によって回転駆動されるスクリューフィーダー7により筒体5の先端側(図中右端側)に順次搬送されて加熱液化装置Cの筒体8内に連続的に供給される。
【0019】
この後、混合物は、加熱液化装置Cの筒体8内においてモーター6によって回転駆動されるスクリューフィーダー9により攪拌されながら筒体8の先端側(図中右端側)に順次搬送されるとともに、間接加熱装置10の加熱ジャケット12内を流通する熱媒油や水蒸気等によって間接加熱される。このように混合物を攪拌させながら加熱することにより、セルロース成分含有物質を均一、かつ、迅速に加熱することができる。
【0020】
そして、混合物は筒体8内において攪拌されながら搬送されるとともに、間接加熱装置10の加熱ジャケット12内を流通する熱媒油や水蒸気等によって加熱される間に、セルロース成分含有物質が薬品に反応して液化する。
【0021】
このように液化された液化物は、スクリューフィーダー9で筒体8の先端に順次搬送され、取出弁15から取出槽16に順次取り出される。以後は、混合装置Aの槽1内にセルロース成分含有物質と薬品とを所定の割合で順次投入させてモーター2によって回転駆動するブレンダー3で混合させるとともに、セルロース成分含有物質と薬品とが所定の比率で混合された混合物を供給装置Bの筒体5内に該混合物が途切れないように落下させることにより、セルロース成分含有物質を連続して液化させる。
【0022】
この装置は、混合装置Aでセルロース成分含有物質と薬品とを所定の比率で混合させた混合物を、供給装置Bで加熱液化装置Cに連続的に供給するとともに、その混合物を加熱液化装置Cで連続的に攪拌させながら加熱させているから、セルロース成分含有物質を連続的に液化させることが可能ある。そのため、品質の非常に均一な溶液が非常に短時間で得られ、しかも、エネルギーロスが無くて大幅な省エネルギーを図れる。例えば製材した残りの木粉と薬品とを所定の比率(木粉:フェノール:硫酸=1:1: 0.3)で混合し、これを 150℃で連続加熱したところ、約10分で溶液が得られたとともに、液化率も93%と非常に効果的な結果が得られた。これに対して、従来のバッチ式では、製材した残りの木粉を溶液に液化するのに約2時間半要するとともに、液化率も80%であった。
【0023】
また、この装置は、装置全体の構造が非常に簡単であるため、装置費用の大幅な削減が図れるとともに、メンテナンスも非常に容易であり、かつ、処理量を大容量化する場合も簡単に増設できる。
【0024】
従って、セルロース成分含有物質等を液化して種々の樹脂材料や梱包用の発泡体原料等となりうる樹脂溶液とするのに、処理や装置費用の低減と生産性の向上を図ることができ、生産スケールでの実用化へ大きく寄与する。
【0025】
図2〜図4は本発明の実施形態に係わる液化装置を示しており、いずれも加熱反応装置Cの加熱手段が違っている。
【0026】
即ち、図2に示す構成では、加熱液化装置Cの筒体8をマイクロ波を透過し得る耐熱性を有する高耐蝕性材料、例えばポリテトラフルオロエチレン等で製作するとともに、この筒体8の外部にマイクロ波照射器17とマイクロ波拡散ガード18とからなる直接加熱装置19を設け、直接加熱装置19のマイクロ波照射器17から照射されるマイクロ波によって筒体8内を攪拌されながら搬送される混合物を直接加熱することにより、セルロース成分含有物質等を薬品に反応させて液化している。
【0027】
図3に示す構成では、加熱液化装置Cの筒体8をマイクロ波を透過し得る耐熱性を有する高耐蝕性材料、例えばポリテトラフルオロエチレン等で製作される1次筒体8aと、単に耐熱性を有する高耐蝕性材料で製作される2次筒体8bとに前後に分割し、1次筒体8aの外部に直接加熱装置19を設けるとともに、2次筒体8bの外部に間接加熱装置10を設け、1次筒体8aおよび2次筒体8b内を攪拌されながら搬送される混合物を直接加熱装置19および間接加熱装置10によって直接加熱および間接加熱することにより、セルロース成分含有物質等を薬品に反応させて液化している。
【0028】
図4に示す構成では、加熱液化装置Cの筒体8を単に耐熱性を有する高耐蝕性材料で製作される1次筒体8aと、マイクロ波を透過し得る耐熱性を有する高耐蝕性材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等で製作される2次筒体8bとに前後に分割し、1次筒体8aの外部に間接加熱装置10を設けるとともに、2次筒体8bの外部に直接加熱装置19を設け、1次筒体8aおよび2次筒体8b内を攪拌されながら搬送される混合物を間接加熱装置10および直接加熱装置19によって間接加熱および直接加熱することにより、混合物のセルロース成分含有物質等を薬品に反応させて液化している。
【0029】
尚、前記実施例では、セルロース成分含有物質を液化させる場合について説明しているが、セルロース成分含有物質を液化させるだけでなく、セルロース成分含有物質以外のデンプン成分含有物質(例えばコメ、コムギ、ジャガイモ、トウモロコシ、モミガラ、フスマ等)、糖成分含有物質(例えば砂糖、バガス等)、ポリウレタン成分含有物質(例えばポリウレタンフォーム、ウレタンゴム等)およびこれらの複合物質等を液化させる場合にも適用できる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明よればセルロース成分含有物質を連続的に液化することができるから、セルロース成分含有物質を液化して種々の化学工業材料や燃料源等となりうる溶液とするのに、処理や装置費用の低減と生産性の向上が図れて生産スケールでの実用化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】化方法およびその装置を示すフローシートである。
【図2】本発明装置の一実施形態を示すフローシートである。
【図3】本発明装置の変形例を示すフローシートである。
【図4】本発明装置の変形例を示すフローシートである。
【符号の説明】
A 混合装置
B 供給装置
C 加熱液化装置
D 冷却装置
1 槽
3 ブレンダー
5 筒体
7 スクリューフィーダー
8 筒体
9 スクリューフィーダー
10 間接加熱装置
11 熱媒昇温器
12 加熱ジャケット
17 マイクロ波照射器
18 マイクロ波拡散ガード
19 直接加熱装置

Claims (4)

  1. セルロース成分含有物質、フェノールおよび酸触媒、又は、セルロース成分含有物質、ポリエチレングリコール、グリセリンおよび酸触媒を所定の比率で混合し、
    この混合物をポリテトラフルオロエチレンで製作した筒体を通し、前記筒体の外部からマイクロ波を照射して前記セルロース成分含有物質が、フェノールおよび酸触媒、又は、ポリエチレングリコール、グリセリンおよび酸触媒に反応する温度に加熱し、連続的に攪拌させながら搬送させることによりセルロース成分含有物質を液化するようにしたことを特徴とする液化方法。
  2. 前記混合物の加熱方法として、混合物が流通する筒体の外周に、熱媒油や水蒸気が循環する加熱ジャケットを配設した間接加熱方法を適宜組み合わせたことを特徴とする請求項1の液化方法。
  3. 耐蝕性材料で製作された槽の内部に、セルロース成分含有物質、フェノールおよび酸触媒、又は、セルロース成分含有物質、ポリエチレングリコール、グリセリンおよび酸触媒を所定の比率で混合させる混合装置と、
    ポリテトラフルオロエチレンで製作され、前記混合装置で混合された混合物が供給される筒体と、前記筒体の内部に設けた混合物を連続的に攪拌させながら搬送させる手段と、前記筒体の外部に設けたマイクロ波照射器とマイクロ波拡散ガードとを備えた加熱液化装置とを備えたことを特徴とする液化装置。
  4. 前記加熱液化装置の混合物を加熱させる手段として、混合物が流通する筒体の外周に、熱媒油や水蒸気が循環する加熱ジャケットを適宜組み合わせたことを特徴とする請求項3の液化装置。
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