JP3703634B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングホイール等の操作部材の操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータの動きを、転舵角が変化するように車輪に伝達可能な車両の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーブ走行等の進路変更時における速度超過やドライバーの運転ミス等により、車両がスピンやドリフトを起こした場合、ドライバーの意図に沿って車両を操舵することができなくなる。
【0003】
そのようなドリフトやスピン等を防ぐため、車両の制動力や駆動力を制御する技術が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の制御は、左右一方の車輪の制動力の増大により車両挙動を不安定にするヨーモーメントを打ち消し、駆動力の減少により車速を低減することでヨーモーメントの収束性を高めていた。
【0005】
しかし、駆動力を減少させた場合は車速が減少するため、車両挙動を迅速に安定化することができず、進路変更時の走行軌跡が長くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することのできる車両の操舵装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、操作部材の操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータの動きを、転舵角が変化するように車輪に伝達可能な車両の操舵装置において、車両の横滑り角に相関する変量1を検出するセンサと、その車両の横滑り角と変量との関係を記憶する手段と、その検出変量と記憶した関係に基づいて、車両挙動が車両の横滑りによる不安定状態か否かを判断する手段と、車両挙動が不安定状態である場合に、車両の駆動力の増大により車両挙動を安定化するモーメントが発生するか否かを判断する手段と、車両の駆動力の増大により車両挙動を安定化するモーメントが発生する場合に、車両の駆動力を増大する手段とを備えることを特徴とする。
車両の横滑り角は、横滑りがない場合に車両が進行する方向と、横滑りした車両の前後方向に沿う車体中心線とがなす角度として定義される。
その車両の横滑り角に相関する変量として、例えば車両の車速、ヨーレート、横加速度を検出できる。
その変量と車両の横滑り角との対応関係を記憶し、その関係と検出変量とから演算される車両の横滑り角に対応する値が予め設定した値よりも大きいか否かにより車両挙動が不安定状態か否かを判断できる。その車両の横滑り角に対応する値として、例えば、車両の横滑り角の絶対値、車両の横滑り速度(車両の横滑り角の変化速度)の絶対値が求められる。
本発明の構成によれば、車両の横滑りにより車両挙動が不安定になった場合、車両の駆動力を増大することで、車両挙動を安定化するモーメントを発生させることができる。その駆動力の増大により車速が増加するため、車両挙動を迅速に安定化することができ、進路変更時の走行軌跡を短縮できる。
【0008】
車両挙動が不安定状態である場合に、車両の横滑り角を打ち消すように前記操舵用アクチュエータを制御する手段を備えるのが好ましい。
車両の横滑りがない場合の車両の進行方向は車両の重心の進行方向に対応することから、その車両の横滑り角を打ち消すことで車両挙動を安定化する上で理想的な転舵角にできる。
【0009】
車両の転舵角を検出する手段を備え、車両挙動が不安定状態である場合に、車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角から検出変量に基づいて定められる車両の横滑り角を差し引いた目標転舵角から、現時点の検出転舵角を差し引いた偏差をなくすように、前記操舵用アクチュエータが制御されるのが好ましい。
車両挙動が不安定状態である時、現時点の検出転舵角が、車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角から車両の横滑り角を差し引いた目標転舵角であれば、その車両の横滑り角を打ち消すための操舵がなされていることになる。よって、目標転舵角から現時点の検出転舵角を差し引いた偏差をなくすように操舵用アクチュエータを制御することで、車両の横滑り角を打ち消して車両挙動を安定化する上で理想的な転舵角にすることができる。
【0010】
車両挙動が不安定状態である場合、車両がオーバーステア状態かアンダーステア状態かを判断する手段を備え、車両がアンダーステア状態である場合、及び、オーバーステア状態であって前記目標転舵角に基づく転舵方向に転舵がなされている場合、車両の駆動力を増大させることで車両挙動を安定化させるモーメントを発生させるのが好ましい。
車両がアンダーステア状態である場合、車両の駆動力の増大により車両挙動を安定化させるモーメントを発生させることができる。
車両がオーバーステア状態である場合、目標転舵角に基づく転舵方向に転舵がなされていれば、車両の駆動力の増大により車両挙動を安定化させるモーメントを発生させることができる。すなわち、車両が横滑りによりオーバーステア状態である場合、車両の横滑り角が増大すると、その車両の横滑り角を打ち消すための目標転舵角にするにはカウンタ操舵がなされる必要がある。そのカウンタ操舵が操舵用アクチュエータによりなされることで、その目標転舵角に基づく転舵方向に実際に転舵されると、駆動力の増大により車両挙動を安定化させるモーメントを発生させることができる。
これにより、車両挙動が不安定になった場合、その挙動に応じて駆動力を増大することで挙動を安定化するモーメントを確実に発生させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に示す車両の操舵装置は、ステアリングホイール(操作部材)1の回転操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータ2の動きを、ステアリングギヤ3により転舵角が変化するように前部左右車輪4に伝達することで、そのステアリングホイール1を車輪4に機械的に連結することなく、車両を操舵できる。
【0012】
その操舵用アクチュエータ2は、例えば公知のブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。そのステアリングギヤ3は、その操舵用アクチュエータ2の出力シャフトの回転運動をステアリングロッド7の直線運動に変換する運動変換機構を有する。そのステアリングロッド7の動きは、タイロッド8とナックルアーム9を介して車輪4に伝達される。そのステアリングギヤ3は、公知のものを用いることができ、操舵用アクチュエータ2の動きを車輪4の転舵角に変換できれば構成は限定されない。なお、操舵用アクチュエータ2が駆動されていない状態では、車輪4がセルフアライニングトルクにより直進操舵位置に復帰できるようにホイールアラインメントが設定されている。
【0013】
そのステアリングホイール1は、車体側により回転可能に支持される回転シャフト10に連結されている。そのステアリングホイール1を操舵するのに要する操舵反力を作用させるため、その回転シャフト10にトルクを付加する反力アクチュエータ19が設けられている。その反力アクチュエータ19は、その回転シャフト10と一体の出力シャフトを有するブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。
【0014】
ステアリングホイール1を直進操舵位置に復帰させる方向の弾力を付与する弾性部材30が設けられている。この弾性部材30は、例えば、回転シャフト10に弾力を付与する渦巻きバネにより構成できる。上記反力アクチュエータ19が回転シャフト10にトルクを付加していない時、その弾力によりステアリングホイール1は直進操舵位置に復帰する。
【0015】
ステアリングホイール1の操作入力値として、その回転シャフト10の回転角に対応する操作角δhを検出する角度センサ11が設けられている。そのステアリングホイール1の操作トルクTとして、その回転シャフト10により伝達されるトルクを検出するトルクセンサ12が設けられている。
【0016】
その車輪4の転舵角δを検出する転舵角センサ13が設けられ、本実施形態では、その転舵角δに対応するステアリングロッド7の作動量を検出するポテンショメータにより構成されている。
【0017】
その角度センサ11とトルクセンサ12と転舵角センサ13は、コンピュータにより構成されるステアリング系制御装置20に接続される。その制御装置20に、車両の横滑り角に相関する変量として、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサ15と、車両のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ16と、車速vを検出する速度センサ14が接続されている。
【0018】
車両の前後左右車輪4を制動するための制動システムが操舵装置に接続される。すなわち、ブレーキペダル51の踏力に応じた制動圧をマスターシリンダ52により発生させる。その制動圧は、制動圧制御ユニット53により増幅されると共に各車輪4のブレーキ装置54に分配され、各ブレーキ装置54が各車輪4に制動力を作用させる。その制動圧制御ユニット53は、コンピューターにより構成される走行系制御装置60に接続される。この走行系制御装置60に、ステアリング系制御装置20と、各車輪4それぞれの制動力を個別に検出する制動力センサ61と、各車輪4それぞれの回転速度を個別に検出する車輪速センサ62が接続される。この走行系制御装置60は、その車輪速センサ62により検知される各車輪4の回転速度と制動力検知センサ61によるフィードバック値に応じて、制動圧を増幅すると共に分配することができるように制動圧制御ユニット53を制御する。これにより、各車輪の制動力を個別に制御することが可能とされている。なお、制動圧制御ユニット53は、ブレーキペダル51の操作がなされていない場合でも、走行系制御装置60からの信号に応じて内蔵するポンプにより制動圧を発生することが可能とされている。
【0019】
また、その走行系制御装置60に、車両の駆動用エンジンへの燃料供給系におけるスロットルバルブの開度制御用アクチュエータ70が接続され、その走行系制御装置60からの信号によりスロットルバルブの開度を変更して車両の駆動力を制御することが可能とされている。
【0020】
図2のフローチャートを参照して上記ステアリング系制御装置20による制御手順を説明する。なお、以下の説明において、転舵角および車両の横滑り角は、車両の直進方向に対して左右一方に向かう場合の符号を正、左右他方に向かう場合の符号を負とする。
まず、各センサによる車速v、横加速度Gy、ヨーレートγ、転舵角δ、操作角δh、操作トルクTの検出データが読み込まれる(ステップ1)。
【0021】
次に、操作反力として目標操舵トルクT* を付与できるように反力アクチュエータ19を制御する(ステップ2)。本実施形態では、その目標操舵トルクT* は操作角δhの関数K1とされ、その関数は予め定められて制御装置20に記憶される。この関数に基づき検出操作角δhに応じて定まる目標操舵トルクT* から検出操作トルクTを差し引いた偏差が零になるように、反力アクチュエータ19が制御される。
【0022】
次に、車両の横滑り角に相関する検出変量に基づいて車両挙動が不安定状態か否かが判断される(ステップ3)。この判断は、例えば車両の横滑り角の絶対値、または横滑り速度(車両の横滑り角の変化速度)の絶対値が予め定めた設定値以下か否かにより判断することができる。
すなわち、図3において、車両100は横滑りのない状態では破線で示す経路を進行するのに対して、矢印Aで示すモーメントにより車両の横滑り角が大きくなると、2点鎖線で示すようにオーバーステア状態になってスピンするおそれがあり、また、矢印Bで示すモーメントにより車両の横滑り角が大きくなると、1点鎖線で示すようにアンダーステア状態になってドリフトするおそれがある。そのようなスピンやドリフトが生じる前に車両挙動が不安定状態か否かを判断できるように、その車両の横滑り角の絶対値や横滑り速度の設定値を定める。
図4に示すように、矢印40で示す方向に車速vで旋回する車両100に横滑りが生じていない場合、矢印41で示す方向に作用する横加速度Gyと矢印42で示す方向に作用するヨーレートγとの関係は、Gy=γ・vである。その矢印42で示す方向のヨーレートγが車両の横滑りにより減少するとオーバーステア状態になり、そのヨーレートγが増加するとアンダーステア状態になる。その車両の横滑り角βと変量Gy、γ、vとの関係が制御装置20に記憶され、その関係から車両の横滑り角βが求められる。本実施形態では、その車両の横滑り角βは、予め設定した時間におけるGy/v−γの時間積分値、すなわち、∫(Gy/v−γ)dt=βにより求められる。
【0023】
ステップ3において車両挙動が不安定状態でない場合、転舵角を目標値δ* にすることができるように操舵用アクチュエータ2を制御する(ステップ4)。本実施形態では、その目標転舵角δ* は操作入力値である操作角δhの関数K2とされ、その関数は予め定められて制御装置20に記憶される。この関数に基づき検出操作角δhに応じて定まる目標転舵角δ* から検出転舵角δを差し引いた偏差が零になるように、操舵用アクチュエータ2が制御される。
なお、検出操作角δhに代えて検出操作トルクTを操作入力値とし、目標転舵角δ* を操作トルクTの関数とし、検出操作トルクTから目標転舵角δ* を定めるようにしてもよい。
【0024】
ステップ3において車両挙動が不安定状態である場合、ステップ3において演算された車両の横滑り角βを打ち消すための操舵がなされているか否かが判断される(ステップ5)。本実施形態では、ステップ3において車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角をδoとして、現時点での検出転舵角δが、δ=δo−βか否かが判断される。
すなわち、図5の(1)に示すように、横滑りがない場合に車両100が進行する破線で示す方向と、オーバーステア状態の横滑りした車両100の前後方向に沿う1点鎖線で示す車体中心線とがなす車両の横滑り角をβとする。その車両の横滑りがないとした場合の車両100の転舵角は、車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角δoである。よって、現時点での検出転舵角δがδ=δo−βであれば、車両の横滑り角βを打ち消すための操舵がなされていることになる。その車両の横滑りがない場合の車両100の進行方向は車両100の重心の進行方向に対応することから、その車両の横滑り角βを打ち消すことで、車両挙動を安定化する上で理想的な転舵角にできる。
また、図5の(2)に示すように、車両の横滑りがない場合に車両100が進行する破線で示す方向と、アンダーステア状態の横滑りした車両100の前後方向に沿う2点鎖線で示す車体中心線とがなす車両の横滑り角をβとする。その車両の横滑りがないとした場合の車両100の転舵角は、車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角δoである。よって、現時点での検出転舵角δがδ=δo−βであれば、車両の横滑り角βを打ち消すための操舵がなされていることになる。その車両の横滑りがない場合の車両100の進行方向は車両100の重心の進行方向に対応することから、その車両の横滑り角βを打ち消すことで、車両挙動を安定化する上で理想的な転舵角にできる。
【0025】
ステップ5において車両の横滑り角βが打ち消されていない場合、その車両の横滑り角βを打ち消すように、すなわち転舵角を目標値δ* にすることができるように、操舵用アクチュエータ2を制御する(ステップ6)。本実施形態では、ステップ3において車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角δoから上記検出変量に基づいて定められる車両の横滑り角βを差し引くことで目標転舵角δ* =δo−βが求められる。その目標転舵角δ* から検出転舵角δを差し引いた偏差が零になるように操舵用アクチュエータ2が制御される。
【0026】
ステップ5において車両の横滑り角βを打ち消す操舵がなされている場合、あるいは、ステップ6において操舵用アクチュエータ2が制御された後に、車両がオーバーステア状態かアンダーステア状態かが判断される(ステップ7)。
車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角δoに基づく転舵方向と車両の横滑りの方向が、互いに一致する場合はオーバーステア状態であり、互いに逆である場合はアンダーステア状態である。すなわち、車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角δoと車両の横滑り角βの正負の符号が一致する場合はオーバーステア状態であり、一致しない場合はアンダーステア状態であると判断できる。
【0027】
ステップ7においてオーバーステア状態である場合、目標転舵角δ* に基づく転舵方向に転舵がなされているか否かが判断される(ステップ8)。すなわち、δ=δo−βが成立する場合、目標転舵角δ* に基づく転舵方向に転舵がなされていると判断できる。これにより、車両挙動が不安定状態である場合に、車両の駆動力の増大により車両挙動を安定化するモーメントが発生するか否かが判断される。
図5の(1)に示すように、車両100がオーバーステア状態である場合に目標転舵角δ* に基づく転舵方向に転舵がなされていれば、車両の駆動力の増大により、矢印Eで示すように車両挙動を安定化させるモーメントを発生させることができる。すなわち、車両が横滑りによりオーバーステア状態である場合、車両の横滑り角βが増大すると、その車両の横滑り角βを打ち消すための目標転舵角δ* にするにはカウンタ操舵がなされる必要がある。そのカウンタ操舵が操舵用アクチュエータ2によりなされることで、その目標転舵角δ* に基づく転舵方向に実際に転舵されると、駆動力の増大により車両挙動を安定化させるモーメントを発生させることができる。
なお、車両が横滑りによりオーバーステア状態になる当初は、車両の横滑り角βが小さいため、その車両の横滑り角βを打ち消すための目標転舵角δ* にするにはカウンタ操舵の必要はないが、そのように車両の横滑り角βが小さい間は車両挙動は不安定でないことから、ステップ3において不安定状態であると判断されることはない。よって、不安定な車両挙動によりオーバーステア状態になる場合は、目標転舵角δ* に基づく転舵方向に転舵がなされていれば、車両の駆動力を増大させることで車両挙動を安定化させるモーメントを発生させることができる。
【0028】
ステップ8において、目標転舵角δ* に基づく転舵方向に転舵がなされている場合、車両の駆動力が増大するようにスロットルバルブの開度制御用アクチュエータ70を制御し、車両の駆動力を増大することで車両挙動を安定化させるモーメントを発生させる(ステップ9)。そのスロットルバルブの開度制御量と車両の横滑り角βの関係は予め定められてステアリング系制御装置20あるいは走行系制御装置60に記憶され、その記憶された関係と上記演算された車両の横滑り角βに基づき開度制御用アクチュエータ70が制御される。
【0029】
ステップ7においてオーバーステア状態でない場合、すなわちアンダーステア状態である場合、目標転舵角δ* に基づく転舵方向は、車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角δoに基づく転舵方向と同一方向になる。この場合は、車両の駆動力の増大により、図5の(2)において矢印Fで示すように、車両挙動を安定化させるモーメントが発生する。この場合、ステップ9において車両の駆動力を増大することで車両挙動を安定化させるモーメントを発生させる。
【0030】
ステップ9で駆動力が制御される場合、あるいは、ステップ8において目標転舵角δ* に基づく転舵方向が、車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角δoに基づく転舵方向と同一方向である場合、車両挙動を安定化させるモーメントを発生させるように走行系制御装置60により制動圧制御ユニット53を介して制動力を制御する(ステップ10)。すなわち、オーバーステア状態である場合は、駆動輪以外の外輪の制動力を内輪の制動力よりも大きくすることで、図5の(1)において矢印Eで示す車両挙動を安定化させるモーメントを発生させ、また、アンダーステア状態である場合は、駆動輪以外の内輪の制動力を外輪の制動力よりも大きくすることで、図5の(2)において矢印Fで示す車両挙動を安定化させるモーメントを発生させる。
【0031】
しかる後に、制御を終了するか否かを、例えば車両のエンジン始動用キースイッチのオン・オフに基づき判断し(ステップ11)、終了しない場合はステップ1に戻る。
【0032】
上記構成によれば、車両の横滑りにより車両挙動が不安定になった場合、車両挙動に応じて車両の駆動力を増大することで、車両挙動を安定化するモーメントを確実に発生させることができる。その駆動力の増大により車速が増加するため、車両挙動を迅速に安定化することができ、進路変更時の走行軌跡を短縮できる。また、車両挙動が不安定状態である場合に、車両の横滑り角を打ち消すように操舵用アクチュエータ2を制御することで、車両の進行方向が車両の重心の進行方向に一致するように操舵でき、車両挙動を安定化する上で理想的な転舵角にすることができる。
【0033】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、操作部材と車輪を機械的に連結した車両に本発明を適用してもよい。また、車両挙動を安定化させるモーメントを、駆動力のみの制御により発生させるようにしてもよい。また、操作部材は回転操作されるステアリングホイールに限定されず、例えば、操作入力値が操作トルクに対応する場合、回転しないように車体に取り付けられるハンドルを用いることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、車両挙動が不安定になった場合に駆動力を増大させることで迅速に車両挙動を安定化させ、進路変更時の走行軌跡を短縮できる車両の操舵装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の操舵装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態の操舵装置の制御手順を示すフローチャート
【図3】本発明の実施形態の操舵装置の作用説明図
【図4】本発明の実施形態の操舵装置を備えた車両のヨーレートと横加速度との関係の説明図
【図5】本発明の実施形態の操舵装置を備えた車両の(1)はオーバーステア状態の作用説明図、(2)はアンダーステア状態の作用説明図
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 操舵用アクチュエータ
4 車輪
13 転舵角センサ
14 速度センサ
15 横加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
20 ステアリング系制御装置
60 走行系制御装置
Claims (2)
- 操作部材の操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータの動きを、転舵角が変化するように車輪に伝達可能な車両の操舵装置において、
車両の横滑り角に相関する変量を検出するセンサと、
その車両の横滑り角に対応する値と変量との関係を記憶する手段と、
その検出変量と記憶した関係により求めた車両の横滑り角に対応する値に基づいて、車両挙動が車両の横滑りによる不安定状態か否かを判断する手段と、
車両挙動が不安定状態である場合に、車両の駆動力の増大により車両挙動を安定化するモーメントが発生するか否かを判断する手段と、
車両の駆動力の増大により車両挙動を安定化するモーメントが発生する場合に、車両の駆動力を増大する手段と、
車両挙動が不安定状態である場合に、車両の横滑り角を打ち消すように前記操舵用アクチュエータを制御する手段と、
車両の転舵角を検出する手段とを備え、
車両挙動が不安定状態である場合に、車両挙動が不安定状態であると判断される直前の検出転舵角から検出変量に基づいて定められる車両の横滑り角を差し引いた目標転舵角から、現時点の検出転舵角を差し引いた偏差をなくすように、前記操舵用アクチュエータが制御されることを特徴とする車両の操舵装置。 - 車両挙動が不安定状態である場合、車両がオーバーステア状態かアンダーステア状態かを判断する手段を備え、
車両がアンダーステア状態である場合、及び、オーバーステア状態であって前記目標転舵角に基づく転舵方向に転舵がなされている場合、車両の駆動力を増大させることで車両挙動を安定化させるモーメントを発生させる請求項1に記載の車両の操舵装置。
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JP3884199B2 (ja) | 車両用操舵装置 |
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