JP3703538B2 - 有害ガスの除害方法及び除害剤 - Google Patents

有害ガスの除害方法及び除害剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害ガスの除害方法及び除害剤に関し、詳しくは、半導体製造工場等から排出される有害ガスを固体除害剤を用いた乾式処理により除害する方法及びこれに用いる除害剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、半導体製造工程では、シラン,アルシン,ホスフィンや各種ハロゲン化物あるいは有機金属化合物等の有害成分を使用するため、これらの有害成分を含むガスが排気される。したがって、これらの有害成分を含む排気ガスを大気中に放出する際には無害化処理を行う必要がある。
【0003】
上記有害成分を無害化するための処理としては、従来のスクラバ等による湿式乃至湿潤状態の除害剤による半湿式から、近年は、取扱い性等に優れた固体除害剤を用いた乾式による処理技術へと移行してきている。このような乾式無害化処理を行うための固体除害剤としては、例えば、特公平3−64166号,同3−64167号,同4−17082号,同4−19886号等の各公報に示されるように、酸化銅(CuO)をはじめとする各種の金属酸化物を反応主成分としたものが提案されている。
【0004】
固体除害剤を用いた乾式除害処理は、固体除害剤を充填した充填筒(カラム)内に有害成分を含むガスを流通させるのが一般的であり、簡単な装置構成で実施できるなど、多くのメリットがあるため、近年広く普及してきているが、実際の運転時に、固体除害剤が、その能力を十分に発揮しないことがあった。
【0005】
すなわち、一般的に、固体除害剤による乾式無害化処理においては、ガスの流量及び有害成分の濃度と、固体除害剤の除害能力及び使用量とにより、処理能力を予め推測することができるが、固体除害剤をカラムに充填して用いた場合、予測された処理能力に達する前にカラム出口から有害成分が流出してくることがあった。このため、実際の現場では、相当の余裕をもって固体除害剤の使用量や使用時間を決定しなければならなかった。
【0006】
本発明者らの知見によれば、この固体除害剤の処理能力の低下の原因は、有害成分と固体除害剤との除害反応により生じる水分が充填層の一部を閉塞することが主な原因であると考えられる。例えば、有害成分の一種であるであるアルシンは、固体除害剤である酸化銅に接触すると、下記の反応により無害化される際に水分を発生させる。
2AsH3 +3CuO → Cu3 As+As+3H2
【0007】
そこで本出願人は、先に、上記反応で生じた水分を脱水剤で除去することにより固体除害剤の処理能力の低下を防止することを提案し、固体除害剤の処理能力の向上に成果を得た。しかし、有害成分の濃度が高くなったり、ガスの流速が速くなったりして負荷が増大すると、予想される発生水分量以上の余分な脱水剤を必要とすることも判明した。本発明は、この提案の改良に関するものであって、実際の無害化処理の運転状況が、例えば、1日24時間の中で、排ガスの無害化処理を行う時間が8時間程度であり、その他の時間は乾燥窒素ガスを流通させるという運転状況に対応して、より経済的に有害成分の無害化処理を行うことができる有害ガスの除害方法及び除害剤を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の有害ガスの除害方法は、第1の構成として、固体除害剤と、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤との混合物に接触させることを特徴とし、さらに、第2の構成として、有害成分を含むガスを、第1の固体除害剤に接触させた後、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤に接触させ、さらに、第2の固体除害剤に接触させることを特徴としている。
【0009】
上記第2の構成において、第1の固体除害剤と第2の固体除害剤とは、同種の固体除害剤であってもよく、異なる固体除害剤であってもよい。異なる固体除害剤を用いる場合は、第1の固体除害剤を水酸化銅を反応主成分とするものとし、第2の固体除害剤を金属酸化物を反応主成分とするものとすることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明方法の第3の構成は、有害成分を含むガスを、水酸化銅と、金属酸化物と、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤とを混合した固体除害剤に接触させることを特徴としている。
【0011】
加えて、本発明方法の第4の構成は、有害成分を含むガスを、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する吸脱着可能な固体脱水剤を含む固体除害剤に接触させて無害化処理を行うとともに、該無害化処理を行わないときには、乾燥不活性ガスを流通させて前記固体脱水剤に吸着している水分を脱着することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の有害ガスの除害剤は、固体除害剤に、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤を添加混合したこと、特に、水酸化銅と金属酸化物とを混合した固体除害剤に、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤を添加混合したことを特徴としている。
【0013】
まず、本発明の対象となる有害成分は、特に、半導体製造工場等で使用される揮発性無機水素化物,揮発性無機ハロゲン化物,有機金属化合物である。前記揮発性無機水素化物としては、ジボラン,シラン,ジシラン,ゲルマン,アンモニア,ホスフィン,アルシン,硫化水素,セレン化水素等を挙げることができ、また、揮発性無機ハロゲン化物としては、三フッ化ホウ素,三塩化ホウ素,四フッ化ケイ素,ジクロルシラン,トリクロルシラン,四塩化ケイ素,トリクロルアルシン,六フッ化タングステン,フッ素,塩素,フッ化水素,塩化水素,臭化水素等、ハロゲンガスも含む各種ガスを挙げることができる。
【0014】
さらに、有機金属化合物としては、アルキル基を含むものとして、ジメチル亜鉛,ジエチル亜鉛,トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリメチルガリウム,トリエチルガリウム,トリメチルインジウム,トリエチルインジウム,テトラメチル錫,テトラエチル錫,ターシャリーブチルホスフィン,トリメチルアルシン,トリエチルアルシン,ターシャリーブチルアルシン等を、アルコキシド基を含むものとして、ジメトキシ亜鉛,トリブトキシガリウム,トリメトキシボロン,トリエトキシボロン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラメトキシゲルマン,テトラエトキシゲルマン,テトラターシャリーブトキシ錫,トリメトキシホスフィン,トリエトキシホスフィン,トリメトキシアルシン,トリエトキシアルシン,テトラエトキシセレン,テトラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトライソプロポキシチタン,テトライソプロポキシジルコニウム,テトラターシャリーブトキシジルコニウム,ペンタメトキシタンタル,ペンタエトキシタンタル等をそれぞれ挙げることができる。
【0015】
前記固体除害剤としては、従来からこの種の有害成分の無害化処理に用いられている金属酸化物や金属水酸化物、金属酸化水酸化物等、各種化合物を使用することができ、例えば、金属酸化物としては、酸化銅,酸化マグネシウム,酸化カルシウム,二酸化チタン,酸化クロム,酸化マンガン,酸化鉄,酸化ニッケル,酸化亜鉛,酸化アルミニウム,二酸化ケイ素,酸化コバルト,酸化ストロンチウム,酸化バリウム,酸化セリウム等を用いることができ、金属水酸化物としても各種のものを使用可能だが、特に水酸化銅を使用することが好ましい。
【0016】
この水酸化銅は、ガス中の有害成分を無害化する際の処理能力が金属酸化物に比べて高く、効率良く無害化処理を行うことができるが、使用条件によっては、金属酸化物に比べて処理後の有害成分の残存量が多くなることがある。一方の金属酸化物は、有害成分を極微量にまで除去処理することはできるが、破過に至るまでの処理量が少ない。したがって、有害成分を含むガスを水酸化銅に接触させて有害成分の大部分を無害化処理するとともに、残存する有害成分を金属酸化物に接触させることにより、金属酸化物の負荷を低減させることができ、金属酸化物を単独で用いたときよりも長時間使用することが可能になる。また、使用条件により水酸化銅で十分に無害化処理を行えなかった場合でも、金属酸化物で確実に有害成分を無害化することができる。
【0017】
上記水酸化銅は、主に水酸化第二銅(Cu(OH)2 )を意味するが、水酸化第一銅を含んでいても良い。また、水酸化銅としては、結晶性のものと非晶質のものの両方が使用できるが、結晶性のものの方が非晶質のものより温度に対する安定性が高いので、有害成分の濃度が高く、反応熱が高い場合に、より安定的に使用できる。さらに、水酸化銅に、例えば、ベリリウム,バナジウム等の単体やこれらの化合物を添加することにより安定性を向上できるので、水酸化銅にこれらを安定化剤として添加することもできる。
【0018】
また、水酸化銅と金属酸化物とを混合して有害成分の無害化処理を行う場合、それぞれを単独で用いた場合に比べてガス中の有害成分を効率よく無害化することができる。通常、2成分の除害剤を混合すると、両者の平均値が除害能力のように思えるが、この場合は両除害剤の処理能力に相乗効果を生じ、水酸化銅又は金属酸化物をそれぞれ単独で用いたときより処理量が増大する。
【0019】
さらに、前記水酸化銅は、前記有害成分と反応すると青色から黒色に変色するので、カラムを透明な材料で作成するか、カラムに透明な窓を設けておけば、反応の進行に伴って青色/黒色の破過前線が上流側から下流側へと移動するのが観察できる。したがって、特別な検知手段を用いずに除害剤の破過を事前に知ることができ、除害剤の交換時期を的確に知ることができる。
【0020】
記脱剤は、雰囲気の湿度に応じて水分を吸脱着するものであって、図3に示すように、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着(放出)する性質を有するものである。このような性質を有する脱水剤は、例えば、富士シリシア化学株式会社から、商品名「フジシリカゲルB形」、「フジシリカゲルID形」として市販されており、本発明では、これらの水分吸脱着機能を有する脱水剤を単独あるいは混合して、さらには他の吸湿剤(水分脱着機能を有しないものも含む)を適宜混合して使用することができる。
【0021】
このような固体脱水剤により、固体除害剤と有害成分との反応で発生した水分を除去することにより、水分が充填層を閉塞して固体除害剤の処理能力を低下させることを防止できる。そして、無害化処理運転の時間帯に発生して脱水剤に吸着した水分は、それ以外の時間帯に乾燥不活性ガス、例えば乾燥窒素ガスを流通させることによって脱水剤から脱着放出させることができ、脱水剤を活性化することができる。これにより、脱水剤の長寿命化が図れるとともに、使用量の低減も図れる。なお、このとき放出された水分が固体除害剤に付着したり、充填層を閉塞したりしても、乾燥ガスを連続的に導入することにより、これらの水分を蒸発させて排出することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面を参照してさらに詳細に説明する。図1及び図2は、本発明方法を実施する際の固体除害剤及び固体脱水剤の充填例を示すものである。
【0023】
まず、図1は、ガスの流れの上流側から、第1のカラム1に第1の固体除害剤、例えば水酸化銅を反応主成分とする固体除害剤Aを、第2のカラム2に雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤Bを、第3のカラム3に第2の固体除害剤、例えば金属酸化物を反応主成分とする固体除害剤Cを、それぞれ充填して導管4から導入されるガス中の有害成分を無害化処理するものである。
【0024】
すなわち、導管4から第1のカラム1に導入されたガス中の有害成分は、その内部に充填された水酸化銅を反応主成分とする固体除害剤Aに接触して無害化処理された後、導管5から第2のカラム2に導入されて固体除害剤Aによる無害化処理で生成した水分が固体脱水剤Bで吸着除去され、さらに、導管6から第3のカラム3に導入されて金属酸化物を反応主成分とする固体除害剤Cに接触して無害化処理され、導管7から排出される。
【0025】
また、図2は、一つのカラム11内に、ガス入口側から層状に、水酸化銅を反応主成分とする固体除害剤A,雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤B,金属酸化物を反応主成分とする固体除害剤Cの順に積層したもので、図1に示した例と同様に、導管12から導入される有害成分を含むガスは、固体除害剤A,固体脱水剤B,固体除害剤Cの順に接触して無害化処理された後、導管13から排出される。
【0026】
なお、図1及び図2から明らかなように、2個のカラムを使用し、上流側のカラムに固体除害剤A及び固体脱水剤Bを層状に充填し、下流側のカラムに固体除害剤Cのみを充填するようにしてもよく、上流側のカラムに固体除害剤Aのみを充填し、下流側のカラムに固体脱水剤B及び固体除害剤Cを層状に充填するようにしてもよい。
【0027】
このように、有害成分を含むガスを、固体除害剤A,固体脱水剤B,固体除害剤Cの順に接触させることにより、固体除害剤Aとの反応で生成した水分が固体除害剤Cに悪影響を及ぼすのを防止して効率良くかつ確実に有害成分の無害化処理を行うことができる。さらに、上述のように、有害成分を含むガスを、固体除害剤A,固体脱水剤B,固体除害剤Cの順に接触させる場合、固体除害剤Aや固体除害剤Cの部分にも、固体脱水剤Bを混合しておけば、発生した水分を直ちに吸着除去できるので、脱水効果をより向上させることができる。
【0028】
また、一つのカラム内に前記固体除害剤と前記固体脱水剤とを混合して充填した場合でも、固体除害剤による無害化反応で発生した水を直ちに固体脱水剤で吸着除去することができるので、水分の悪影響を排除して十分な無害化効果を得ることができる。さらに、水酸化銅と金属酸化物と前記固体脱水剤とを混合した除害剤は、水酸化銅と金属酸化物との相乗効果で、それぞれを単独で使用した場合に比べて処理量が増大するとともに、無害化反応で発生した水を直ちに固体脱水剤で吸着除去することができるので、長期にわたって安定した無害化処理を行うことができる。しかも、水酸化銅が剤全体に分散するように混合しておくことにより、除害剤の破過を事前に知ることができる。
【0029】
さらに、ガス流れの上流側に固体除害剤と固体脱水剤との混合物を使用し、下流側に別の固体除害剤のみを使用した場合でも、また、ガス流れの上流側に固体除害剤のみを、下流側に別の固体除害剤と固体脱水剤との混合物を使用しても、同様に効率のよい無害化処理を行うことができる。このとき、2個のカラムにそれぞれを充填するようにしてもよく、1個のカラム内にそれぞれを層状に充填するようにしてもよい。
【0030】
そして、一般的な半導体製造部門や実験部門においては、連続して有害成分を含むガスを排出する運転を行うことはまれであり、1日24時間の中で有害成分を含むガスが排出される実運転時間が約8時間で、その他の時間は、装置内や配管内に大気や水分が侵入しないように、乾燥不活性ガス、通常は乾燥窒素ガスを流通させておく待機運転を行っているのが実情である。また、数日間の長期連続運転を行う場合でも、通常は、休日に待機状態となる。
【0031】
したがって、反応により生じた水分を除去する脱水剤(乾燥剤)として、前述のように雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤を用いると、上記待機運転中に導入される不活性ガスで固体脱水剤に吸着している水分を脱着させることができる。すなわち、除害装置運転中に固体脱水剤に吸着した水分を待機中に脱着させて固体脱水剤を活性化できるので、1日24時間中、実運転時間が8時間、待機時間が16時間の場合、固体脱水剤は、最低8時間分の脱水能力を有していればよく、固体除害剤の処理能力に関係なく、固体脱水剤の使用量を大幅に低減することができる。また、繰返して活性化させることができるので、少量の固体脱水剤を長期にわたって使用することができる。
【0032】
さらに、固体除害剤の破過を検知するために、下流側に検知剤を充填した透明カラムを接続する場合、有害成分と固体除害剤との反応で生じた水分が検知剤を劣化させ、その能力を損なうことがあるが、前述のように固体脱水剤を使用して水分を除去することにより、検知剤の劣化も防止できるので、固体除害剤の破過を確実に検知することができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び比較例を説明する。
実施例1
内径40mmのカラム内に酸化鉄(Fe2 O3 )からなる固体除害剤400gと、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤(富士シリシア化学株式会社製フジシリカゲルB形)40gとをよく混合したものを充填し、窒素ガス中に塩化水素2%を含む試験ガスを流してカラム出口で塩化水素の濃度を測定した。試験ガスを毎秒2cmの流速で8時間、乾燥窒素ガスを同じ流速で16時間、交互に流す操作を4日間続けたが、固体除害剤は破過せずに無害化処理を続けることができ、また、固体脱水剤の脱水能力も失われていなかった。
【0034】
比較例1
固体脱水剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様にした。その結果、7時間後に固体除害剤が破過してカラムから流出するガス中の塩化水素濃度が5ppmに達した。
【0035】
比較例2
固体脱水剤として、吸着した水分を脱着する機能がほとんどないシリカゲル(富士シリシア化学株式会社製フジシリカゲルRD形)を80g用いた以外は、実施例1と同様にした。その結果、試料ガスの延べ流通時間が20時間に達した時点で固体除害剤が破過し、カラムから流出するガス中の塩化水素濃度が5ppmに達した。このとき、固体脱水剤は、実施例1に対して2倍量を用いたにもかかわらず、脱水能力はほとんど残っていなかった。
【0036】
実施例2
内径40mmのカラム内に市販の酸化銅(CuO)粉末を格子状に成形した固体除害剤600gと、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤(富士シリシア化学株式会社製フジシリカゲルID形)40gとを充填し、このカラムの出口にニッケル塩と金塩との混合物からなる検知剤を内径25mmの透明なカラムに高さ30mmで充填したカラムを接続した。
【0037】
窒素ガス中にアルシン2%を含む試験ガスを毎秒1cmの流速で8時間、乾燥窒素ガスを同じ流速で16時間、交互に流す操作を4日間続けたが、検知剤の変色は観察されず、出口ガス中のアルシンを測定器(日本酸素製HD−1)で測定したがアルシンは検出されなかった。したがって、固体除害剤の能力がいまだ有効であり、無害化処理をさらに続けることが可能であった。また、固体脱水剤の脱水能力も失われていなかった。
【0038】
比較例3
固体脱水剤を使用しなかった以外は、実施例2と同様にした。その結果、6時間後にカラム出口のアルシン濃度が50ppbとなり固体除害剤が破過したことが判明したが、検知剤は変色していなかった。このことから、無害化反応で生成した水分が固体除害剤の処理能力を低下させるだけでなく、検知剤の検知能力も低下させることがわかった。
【0039】
比較例4
固体脱水剤として、吸着した水分を脱着する機能がほとんどないシリカゲル(富士シリシア化学株式会社製フジシリカゲルRD形)を80g用いた以外は、実施例2と同様にした。その結果、試料ガスの延べ流通時間が20時間に達した時点でカラム出口のアルシン濃度が50ppbに達するとともに検知剤が黒色に変色した。このとき、固体脱水剤の脱水能力は、極僅かしか残っていなかった。
【0040】
実施例3
試験ガスとして窒素ガス中にホスフィン1.5%を含むガスを用いた以外は、実施例2と同様にした。その結果、4日後でも無害化処理を続けることができた。
【0041】
実施例4
1モル/リットルの硫酸銅溶液と、1モル/リットルの水酸化ナトリウム溶液とを混合して得た沈澱物(水酸化銅)を乾燥した後、押出成型機によって、直径1mm、長さ5mmのペレットに成型し、水酸化銅を反応主成分とする第1の固体除害剤とした。また、硝酸銅,硝酸アルミニウム,炭酸ナトリウムの3種の水溶液を混合して得られた沈澱物を焼成し、酸化第二銅をアルミナに担持させて金属酸化物(酸化第二銅)を反応主成分とする第2の固体除害剤とした。固体脱水剤には、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する脱水剤として、富士シリシア化学株式会社製のフジシリカゲルID形を用いた。
【0042】
上記第1の固体除害剤を500g,固体脱水剤Bを30g,第2の固体除害剤を100gの順序で内径50mmのカラムに層状に充填し、第1の固体除害剤側から、窒素中にシラン1%を含む試験ガスを8時間と、乾燥窒素ガスを16時間とを、交互に毎秒2cmの流速で流した。この操作を7日間続けたが、両固体除害剤は破過することなく、また、固体脱水剤の脱水能力も失われていなかった。
【0043】
比較例5
脱水剤として、吸着した水分を脱着する機能がほとんどないシリカゲル(富士シリシア化学株式会社製フジシリカゲルRD形)を60g用いた以外は、実施例4と同様にした。その結果、試料ガスの延べ流通時間が40時間に達した時点でカラム出口のシラン濃度が5ppmになった。
【0044】
実施例5
実施例4における第1の固体除害剤500g,固体脱水剤30g,第2の固体除害剤100gを十分に混合してカラムに充填した以外は、実施例4と同様にした。その結果、実施例4と同様に7日後でも固体除害剤は破過せず、固体脱水剤の脱水能力も失われていなかった。
【0045】
実施例6
試験ガスとして窒素中にトリメチルアルミニウム2%を含むガスを用いた以外は、実施例5と同様にした。その結果、4日後でも無害化処理を継続することができた。
【0046】
実施例7
市販の水酸化銅粉末を直径1mm、長さ5mmのペレットに成型した固体除害剤と、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤(富士シリシア化学株式会社製フジシリカゲルID形)とを用い、直径30mmのカラムの上流側から、前記固体除害剤100gと固体脱水剤5gとの混合物/固体脱水剤5g/前記固体除害剤100gと固体脱水剤5gとの混合物の順に層状に積層した。実施例4と同様に、窒素中にシラン1%を含む試験ガスを8時間と、乾燥窒素ガスを16時間とを、交互に毎秒1cmの流速で流したところ、3日後でも破過しなかったが、上流側の固体除害剤(水酸化銅)は、ほとんどが元の青色から黒色に変色しており、破過が近付いていることがわかった。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、固体除害剤を使用した乾式による無害化処理において、少量の脱水剤を使用することにより、固体除害剤の処理能力を十分に発揮させることが可能となり、固体除害剤の利用効率を大幅に向上させることができ、有害成分を効率良くかつ経済的に無害化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 固体除害剤及び固体脱水剤を充填したカラムの配置例を示す説明図である。
【図2】 カラム中の固体除害剤及び固体脱水剤の充填例を示す説明図である。
【図3】 雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤の吸着等温線の一例を表す図である。
【符号の説明】
A…水酸化銅を反応主成分とする第1の固体除害剤、B…雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤、C…金属酸化物を反応主成分とする第2の固体除害剤

Claims (10)

  1. 有害成分を含むガスを、固体除害剤と、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤との混合物に接触させることを特徴とする有害ガスの除害方法。
  2. 有害成分を含むガスを、第1の固体除害剤に接触させた後、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤に接触させ、さらに、第2の固体除害剤に接触させることを特徴とする有害ガスの除害方法。
  3. 前記第1の固体除害剤は、反応主成分となる固体除害剤と、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤との混合物であることを特徴とする請求項2記載の有害ガスの除害方法。
  4. 前記第2の固体除害剤は、反応主成分となる固体除害剤と、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤との混合物であることを特徴とする請求項2記載の有害ガスの除害方法。
  5. 前記第1の固体除害剤は、水酸化銅を反応主成分とすることを特徴とする請求項2記載の有害ガスの除害方法。
  6. 前記第2の固体除害剤は、金属酸化物を反応主成分とすることを特徴とする請求項2記載の有害ガスの除害方法。
  7. 有害成分を含むガスを、水酸化銅と、金属酸化物と、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤とを混合した固体除害剤に接触させることを特徴とする有害ガスの除害方法。
  8. 有害成分を含むガスを、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤を含む固体除害剤に接触させて無害化処理を行うとともに、該無害化処理を行わないときには、乾燥不活性ガスを流通させて前記固体脱水剤に吸着している水分を脱着することを特徴とする有害ガスの除害方法。
  9. 固体除害剤に、雰囲気湿度が高いときには水分を吸着し、雰囲気湿度が低いときには吸着している水分を脱着する固体脱水剤を添加混合したことを特徴とする有害ガスの除害剤。
  10. 前記固体除害剤は、水酸化銅と金属酸化物とを混合したものであることを特徴とする請求項9記載の有害ガスの除害剤。
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