JP3702635B2 - 発進補助装置を備える車両 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大型トラック等の車両の後軸の駆動軸に装備される発進補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大型のトラック(3軸車)には、後軸の2軸を2軸とも駆動軸としている方式(6×4)と、後軸2軸のうちの前軸のみを駆動軸としている方式(6×2)がある。6×2はデファレンシャルギヤ装置機構が1基ですむことから、6×4に比べコストの点でも、重量の点でも有利であり、長距離便等良路指向のトラックで多く採用されている。
【0003】
近年法規制の緩和で、従来総重量20tが限度であったものが、25tまで許されることになった。但し、後軸2軸車のように2軸が近接している場合は、各軸の軸重は9.5t以下で2軸の総和が19t以下でなければならない。このため、以下の問題が生じる。
【0004】
従来の6×2方式では、発進性を確保するため、従動軸に対し駆動軸に約2倍の軸重を与えていた。しかしこのサスペンションをそのまま25t車に採用すると、積車状態の駆動軸の軸重が9.5tを超えてしまうため、駆動軸と従動軸の配分を略同じにせざるをえない、このため車両の総重量に対する駆動軸の軸重割合が少なく(特に空車状態)、発進性を満足できない。
その対策としては、例えば特開平7−237426号公報、特開平9−58243号公報に示される空車発進駆動補助装置が本出願人により提案されている。この装置は、駆動軸上部に設けたエアスプリングにエアを充填し、駆動軸の軸重を強制的に増加させ、発進性を確保するものである。
【0005】
図3は、空車発進駆動補助装置の概要を示す説明図である。
全体を符号1で示す大型トラックは、車両の後部フレーム10に2本の後車軸20,30を備える。2本の後車軸20,30のうち、車両の前方F側に配設される第1の車軸20は、デファレンシャルギヤ装置40を備える駆動軸であって、車両前部に搭載されるエンジン側からの駆動力を受けて車輪に装備したアクスル軸を駆動する。車両の後側に配設される第2の車軸30は、駆動力を受けない従動軸であって、装備された車輪は車両の荷重のみを支持する。
【0006】
駆動軸20と、フレーム10のブラケット12の間に搭載される空気ばね50は、図示しない空気供給源から加圧空気の供給を受けて、駆動軸20を地表側へ向けて押圧する。
そこで、車両が空積載状態の発進時等に、空気ばねを作動させて駆動軸の軸重を強制的に増加して、発進性を向上させることができる。
【0007】
第1の車軸20と第2の車軸30の間には、センサーバー60が取り付けられており、センサーバーの中央に取り付けたセンサーロッド65が、センサーバーの動きをフレーム10側に固定された軸重センサー70に伝達する。この軸重センサーの情報によって、車両の積載状況を検知して、発進駆動補助装置の作動を制御する。発進駆動補助装置を構成する空気ばね50は、デファレンシャルギヤ装置40を中心として、車両の両側にそれぞれ1基づつ、合計2基が装備される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この装置はイニシャル軸重を左右輪均等に増加させるので、発進駆動状態では、左右輪の軸重に差を生じる。すなわち、駆動力はエンジンからデファレンシャルギヤ装置40に伝達され、デファレンシャルギヤ装置40で90°方向変換されてタイヤを回転させるため、デファレンシャルギヤ装置40(駆動軸)には車両前方からみて、時計回りのモーメントが働き、このモーメントにより進行方向に対し左輪の輪重は増加、右輪の輪重は抜けが発生する。このため、輪重の抜けた右輪がスリップしやすく、右輪がスリップした時点で、デファレンシャルギヤ装置40が働き発進不能となる。すなわち、付加したイニシャル軸重より低いポテンシャルとなってしまう。
【0009】
例えば、一般的な6×2の25t車(空車重量11000Kg)の発進時の発進加速度及び駆動軸の左右輪重を測定すると、図4,図5に示すようになる。
通常の発進では、発進加速度は0.15Gであり、この加速度よる重心より後方に位置している駆動軸の輪重は左右ともに増加する。同時に、左右輪にはエンジンの回転方向のトルクが作用するため、輪重差が生じる。この差は以下の式で求められる。
駆動力F=車両質量M×発進加速度A
プロペラ回りのモーメントL=駆動力F×タイヤ半径R/ファイナルギヤ比r
左右輪重差S=モーメントL/タイヤトレッドT
一般的な6×2の25t車の値
M:11000Kg
A:0.15×9.8m/s2
r:4
R:0.5m
T:2m
を入れると、左右差はおよそ1000Nであり、100Kg重となる。
【0010】
そこで、この発明は前記装置のような、駆動軸の2個のエアスプリングによてイニシャル軸重を増加させる装置において、左右のエアスプリングの有効受圧面積に差をつけ、駆動力が作用したときに、左右輪の輪重が等しくなるような装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両は、後2軸を有し、後2軸のうち前車軸側を駆動軸とし、他の車軸を従動軸とするとともに、車両フレームと駆動軸の間に左右に1基づつ装備され、エアを給排することにより車輪の接地圧を増減させる空気ばねを有する発進補助装置を備える。そして、デファレンシャルギヤ装置からの回転反力により軸重が小さくなる側に設けられた空気ばねは、反対側に設けられる空気ばねに比べて大きくなる有効径寸法を有するものである。
また、他の手段として、デファレンシャルギヤ装置からの回転反力により軸重が小さくなる側に設けられた空気ばねは、反対側の空気ばねよりも車両外側に配設される構成とすることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施態様を示す駆動軸を車両後側からみた正面図である。
車両のフレーム10は、リーフスプリング14を介して駆動軸20を支持する。駆動軸20は、中央部にデファレンシャルギヤ装置40を装備しており、車両の前方に搭載されるエンジン側から供給される駆動力を90度の向きに変換するとともに、トルクを左側の車軸20Lと右側の車軸20Rに分割して、それぞれの車輪を駆動する。
【0013】
発進駆動補助装置100は、車軸20とフレーム10の間に配設される2基の空気ばね110,150を備える。
第1の空気ばね110は、可撓性の材料でつくられるダイアフラム120と、ダイアフラム120を取り付けるベース部材130を有する。ベース部材130は、ブラケット140を介して車軸20のハウジングの上部に固着される。ダイアフラム110の上面に設けられる受圧部材124は、図示しないブラケットを介してフレーム10側に固定される。受圧部材124には、ダイアフラム110に対して空気を供給、排除するパイプや弁部材122が設けられる。
【0014】
第1の空気ばね110は、受圧部材124の有効径D1を有し、車両の後方からみて左側の車軸20L側に搭載される。ベース部材130の中心は、デファレンシャルギヤ装置の中心から距離K1の位置に配設される。
【0015】
右側の車軸20R上に配設される第2の空気ばね150は、ダイアフラム160とダイアフラム160を取り付けるベース部材170を有し、ベース部材170はブラケット180を介して車軸上に固着されている。
ダイアフラム160の上部に配設される受圧部材164は、ダイアフラム160に対して空気を供給、排出するためのパイプや弁部材162を備える。
【0016】
受圧部材164は、有効径D2を有し、ベース部材170の中心位置はデファレンシャルギヤ装置40の中心位置から距離K1の位置に配設される。すなわち、第1の空気ばね110と第2の空気ばね160は、デファレンシャルギヤ装置40の中心位置から等距離に配設される。
第2の空気ばね150は、受圧部材164の有効径D2が第1の空気ばね110の受圧部材124の有効径D1に比べて大きな寸法のものが使用される。
【0017】
本実施例例では、車両右側の空気ばね150の有効受圧面積を130cm2、車両左側の空気ばね110の有効受圧面積を70cm2としている。また、一般的にこの種の空気ばねに与えるエア圧力は6Kg/cm2としている。したがって、空車での発進時このこの発進補助装置を作動させると、左側に比べ右側は空気ばね150の位置でおよそ360Kg、駆動軸位置でおよそ102Kg余分に荷重が与えられる。
この状態で、0.15G程度の加速度で発進すると、エンジンからのトルク分が相殺されて、実質の輪重は左右均等になる。
【0018】
図6,図7は、図1の実施例装置における左右のタイヤ位置での荷重を求める計算式を示す。
第1の空気ばね110の有効受圧面積:70cm2
第2の空気ばね150の有効受圧面積:130cm2
第1の空気ばね110の取付位置の車体中心C1からの距離K1:263.5mm
第2の空気ばね150の取付位置の車体中心C1からの距離K1:263.5mm
エア圧力:6Kg/cm2
左右のタイヤのトレッド(2T1):1855mm
とすると、
第1の空気ばね110が発生する力F1
=70cm2×6Kg/cm2=420Kg
第2の空気ばね150が発生する力F2
=130cm2×6Kg/cm2=780Kg
となる。
【0019】
次に、図7は2つの空気ばね110,150の力が左右のタイヤ位置で発生させる荷重を求める計算式を示す。
図7の(A)は、第1の空気ばね110による荷重を示す。
【0020】
図7の(B)は、第2の空気ばね150による荷重を示す。
【0021】
したがって、
左側のタイヤの荷重は、
X+X′=549(Kg)
右側のタイヤの荷重は、
Y+Y′=651(Kg)
となり、右側のタイヤにプラス651Kgの荷重が、左側のタイヤにプラス549Kgの荷重が加えられる。そして、右側のタイヤの荷重は、左側のタイヤの荷重に比べて、およそ102Kg余分の荷重が与えられることとなる。
したがって、右側輪が先にスリップすることなく、スムーズな発進が可能となる。
【0022】
図2は、本発明の他の実施態様を示す車両の後方からみた駆動軸20の正面図である。
全体を符号200で示す発進補助装置は、駆動軸20とフレーム10の間に配設される2基の空気ばね210を有する。
【0023】
各空気ばね210は、ダイアフラム220と、ダイアフラム220を支持するベース部材230を備える。ベース部材230はブラケット240を介して駆動軸20上に固着される。ダイアフラム220の上部に取り付けられる受圧部材224は、図示しないブラケットを介してフレーム10側に固定される。
受圧部材224は、ダイアフラム220に対して空気を供給、排出するためのパイプ、弁222を備える。
【0024】
車両の後方からみて左側の駆動軸20L側に搭載される第1の空気ばね210のベース部材230は、デファレンシャルギヤ装置40の中心位置から距離K1だけ離れた位置に配設される。
右側の駆動軸20R上に配設される第2の空気ばね210のベース部材230は、デファレンシャルギヤ装置40の中心から距離K2の位置に配設される。
【0025】
第1の空気ばねと第2の空気ばねは、同一の有効径D1を有し、同圧力の圧縮空気が供給される。
いま、空気ばね210の有効受圧面積を100平方センチメートル供給する空気圧を、6Kg/平方センチメートルとし、K1を200mm、K2を355mmに設定すると、右側の駆動軸20R側のタイヤの接地圧を左側のタイヤの接地圧よりも大きくすることができる。
【0026】
図8,図9は、図2に示す実施例装置における左右のタイヤ位置での荷重を求める計算式を示す。
空気ばね210の有効受圧面積:100cm2
左側の空気ばね210の取付位置の車体中心C1からの距離K1:200mm
左側の空気ばね210の取付位置の車体中心C1からの距離K2:355mm
エア圧力:6Kg/cm2
左右のタイヤのトレッド(2T1):1855mm
とすると、
空気ばね210が発生する力F1
=100cm2×6Kg/cm2=600Kg
となる。
【0027】
図9は、左右のタイヤにかかる荷重の計算式を示す。
となり、右側のタイヤにプラス650Kgの荷重が、左側のタイヤにプラス550Kgの荷重が加えられる。そして、右側のタイヤの荷重は、左側のタイヤに比べておよそ100Kg余分の荷重が与えられることとなる。
【0028】
【発明の効果】
この発明によれば、発進時に左右輪均等な輪重を得られるため、付加したイニシャル軸重を有効に活用でき、発進補助装置のポテンシャルを有効に働かせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発進補助装置を備えた駆動軸を車両の後方からみた正面図。
【図2】本発明の他の発進補助装置を備えた駆動軸を車両の後方からみた正面図。
【図3】従来の発進補助装置を備えた車両の要部の斜視図。
【図4】車両の軸重の変化を示す図。
【図5】車両の加速度の変化を示す図。
【図6】図1の実施例によるタイヤの荷重を求める計算式を示す説明図。
【図7】図1の実施例によるタイヤの荷重を求める計算式を示す説明図。
【図8】図2の実施例によるタイヤの荷重を求める計算式を示す説明図。
【図9】図2の実施例によるタイヤの荷重を求める計算式を示す説明図。
【符号の説明】
10 フレーム
20 駆動軸
40 デファレンシャルギヤ装置
100 発進補助装置
110 第1の空気ばね
120 ダイアフラム
130 ベース部材
140 ブラケット
150 第2の空気ばね
160 ダイアフラム
170 ベース部材
180 ブラケット
【発明の属する技術分野】
本発明は、大型トラック等の車両の後軸の駆動軸に装備される発進補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大型のトラック(3軸車)には、後軸の2軸を2軸とも駆動軸としている方式(6×4)と、後軸2軸のうちの前軸のみを駆動軸としている方式(6×2)がある。6×2はデファレンシャルギヤ装置機構が1基ですむことから、6×4に比べコストの点でも、重量の点でも有利であり、長距離便等良路指向のトラックで多く採用されている。
【0003】
近年法規制の緩和で、従来総重量20tが限度であったものが、25tまで許されることになった。但し、後軸2軸車のように2軸が近接している場合は、各軸の軸重は9.5t以下で2軸の総和が19t以下でなければならない。このため、以下の問題が生じる。
【0004】
従来の6×2方式では、発進性を確保するため、従動軸に対し駆動軸に約2倍の軸重を与えていた。しかしこのサスペンションをそのまま25t車に採用すると、積車状態の駆動軸の軸重が9.5tを超えてしまうため、駆動軸と従動軸の配分を略同じにせざるをえない、このため車両の総重量に対する駆動軸の軸重割合が少なく(特に空車状態)、発進性を満足できない。
その対策としては、例えば特開平7−237426号公報、特開平9−58243号公報に示される空車発進駆動補助装置が本出願人により提案されている。この装置は、駆動軸上部に設けたエアスプリングにエアを充填し、駆動軸の軸重を強制的に増加させ、発進性を確保するものである。
【0005】
図3は、空車発進駆動補助装置の概要を示す説明図である。
全体を符号1で示す大型トラックは、車両の後部フレーム10に2本の後車軸20,30を備える。2本の後車軸20,30のうち、車両の前方F側に配設される第1の車軸20は、デファレンシャルギヤ装置40を備える駆動軸であって、車両前部に搭載されるエンジン側からの駆動力を受けて車輪に装備したアクスル軸を駆動する。車両の後側に配設される第2の車軸30は、駆動力を受けない従動軸であって、装備された車輪は車両の荷重のみを支持する。
【0006】
駆動軸20と、フレーム10のブラケット12の間に搭載される空気ばね50は、図示しない空気供給源から加圧空気の供給を受けて、駆動軸20を地表側へ向けて押圧する。
そこで、車両が空積載状態の発進時等に、空気ばねを作動させて駆動軸の軸重を強制的に増加して、発進性を向上させることができる。
【0007】
第1の車軸20と第2の車軸30の間には、センサーバー60が取り付けられており、センサーバーの中央に取り付けたセンサーロッド65が、センサーバーの動きをフレーム10側に固定された軸重センサー70に伝達する。この軸重センサーの情報によって、車両の積載状況を検知して、発進駆動補助装置の作動を制御する。発進駆動補助装置を構成する空気ばね50は、デファレンシャルギヤ装置40を中心として、車両の両側にそれぞれ1基づつ、合計2基が装備される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この装置はイニシャル軸重を左右輪均等に増加させるので、発進駆動状態では、左右輪の軸重に差を生じる。すなわち、駆動力はエンジンからデファレンシャルギヤ装置40に伝達され、デファレンシャルギヤ装置40で90°方向変換されてタイヤを回転させるため、デファレンシャルギヤ装置40(駆動軸)には車両前方からみて、時計回りのモーメントが働き、このモーメントにより進行方向に対し左輪の輪重は増加、右輪の輪重は抜けが発生する。このため、輪重の抜けた右輪がスリップしやすく、右輪がスリップした時点で、デファレンシャルギヤ装置40が働き発進不能となる。すなわち、付加したイニシャル軸重より低いポテンシャルとなってしまう。
【0009】
例えば、一般的な6×2の25t車(空車重量11000Kg)の発進時の発進加速度及び駆動軸の左右輪重を測定すると、図4,図5に示すようになる。
通常の発進では、発進加速度は0.15Gであり、この加速度よる重心より後方に位置している駆動軸の輪重は左右ともに増加する。同時に、左右輪にはエンジンの回転方向のトルクが作用するため、輪重差が生じる。この差は以下の式で求められる。
駆動力F=車両質量M×発進加速度A
プロペラ回りのモーメントL=駆動力F×タイヤ半径R/ファイナルギヤ比r
左右輪重差S=モーメントL/タイヤトレッドT
一般的な6×2の25t車の値
M:11000Kg
A:0.15×9.8m/s2
r:4
R:0.5m
T:2m
を入れると、左右差はおよそ1000Nであり、100Kg重となる。
【0010】
そこで、この発明は前記装置のような、駆動軸の2個のエアスプリングによてイニシャル軸重を増加させる装置において、左右のエアスプリングの有効受圧面積に差をつけ、駆動力が作用したときに、左右輪の輪重が等しくなるような装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両は、後2軸を有し、後2軸のうち前車軸側を駆動軸とし、他の車軸を従動軸とするとともに、車両フレームと駆動軸の間に左右に1基づつ装備され、エアを給排することにより車輪の接地圧を増減させる空気ばねを有する発進補助装置を備える。そして、デファレンシャルギヤ装置からの回転反力により軸重が小さくなる側に設けられた空気ばねは、反対側に設けられる空気ばねに比べて大きくなる有効径寸法を有するものである。
また、他の手段として、デファレンシャルギヤ装置からの回転反力により軸重が小さくなる側に設けられた空気ばねは、反対側の空気ばねよりも車両外側に配設される構成とすることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施態様を示す駆動軸を車両後側からみた正面図である。
車両のフレーム10は、リーフスプリング14を介して駆動軸20を支持する。駆動軸20は、中央部にデファレンシャルギヤ装置40を装備しており、車両の前方に搭載されるエンジン側から供給される駆動力を90度の向きに変換するとともに、トルクを左側の車軸20Lと右側の車軸20Rに分割して、それぞれの車輪を駆動する。
【0013】
発進駆動補助装置100は、車軸20とフレーム10の間に配設される2基の空気ばね110,150を備える。
第1の空気ばね110は、可撓性の材料でつくられるダイアフラム120と、ダイアフラム120を取り付けるベース部材130を有する。ベース部材130は、ブラケット140を介して車軸20のハウジングの上部に固着される。ダイアフラム110の上面に設けられる受圧部材124は、図示しないブラケットを介してフレーム10側に固定される。受圧部材124には、ダイアフラム110に対して空気を供給、排除するパイプや弁部材122が設けられる。
【0014】
第1の空気ばね110は、受圧部材124の有効径D1を有し、車両の後方からみて左側の車軸20L側に搭載される。ベース部材130の中心は、デファレンシャルギヤ装置の中心から距離K1の位置に配設される。
【0015】
右側の車軸20R上に配設される第2の空気ばね150は、ダイアフラム160とダイアフラム160を取り付けるベース部材170を有し、ベース部材170はブラケット180を介して車軸上に固着されている。
ダイアフラム160の上部に配設される受圧部材164は、ダイアフラム160に対して空気を供給、排出するためのパイプや弁部材162を備える。
【0016】
受圧部材164は、有効径D2を有し、ベース部材170の中心位置はデファレンシャルギヤ装置40の中心位置から距離K1の位置に配設される。すなわち、第1の空気ばね110と第2の空気ばね160は、デファレンシャルギヤ装置40の中心位置から等距離に配設される。
第2の空気ばね150は、受圧部材164の有効径D2が第1の空気ばね110の受圧部材124の有効径D1に比べて大きな寸法のものが使用される。
【0017】
本実施例例では、車両右側の空気ばね150の有効受圧面積を130cm2、車両左側の空気ばね110の有効受圧面積を70cm2としている。また、一般的にこの種の空気ばねに与えるエア圧力は6Kg/cm2としている。したがって、空車での発進時このこの発進補助装置を作動させると、左側に比べ右側は空気ばね150の位置でおよそ360Kg、駆動軸位置でおよそ102Kg余分に荷重が与えられる。
この状態で、0.15G程度の加速度で発進すると、エンジンからのトルク分が相殺されて、実質の輪重は左右均等になる。
【0018】
図6,図7は、図1の実施例装置における左右のタイヤ位置での荷重を求める計算式を示す。
第1の空気ばね110の有効受圧面積:70cm2
第2の空気ばね150の有効受圧面積:130cm2
第1の空気ばね110の取付位置の車体中心C1からの距離K1:263.5mm
第2の空気ばね150の取付位置の車体中心C1からの距離K1:263.5mm
エア圧力:6Kg/cm2
左右のタイヤのトレッド(2T1):1855mm
とすると、
第1の空気ばね110が発生する力F1
=70cm2×6Kg/cm2=420Kg
第2の空気ばね150が発生する力F2
=130cm2×6Kg/cm2=780Kg
となる。
【0019】
次に、図7は2つの空気ばね110,150の力が左右のタイヤ位置で発生させる荷重を求める計算式を示す。
図7の(A)は、第1の空気ばね110による荷重を示す。
【0020】
図7の(B)は、第2の空気ばね150による荷重を示す。
【0021】
したがって、
左側のタイヤの荷重は、
X+X′=549(Kg)
右側のタイヤの荷重は、
Y+Y′=651(Kg)
となり、右側のタイヤにプラス651Kgの荷重が、左側のタイヤにプラス549Kgの荷重が加えられる。そして、右側のタイヤの荷重は、左側のタイヤの荷重に比べて、およそ102Kg余分の荷重が与えられることとなる。
したがって、右側輪が先にスリップすることなく、スムーズな発進が可能となる。
【0022】
図2は、本発明の他の実施態様を示す車両の後方からみた駆動軸20の正面図である。
全体を符号200で示す発進補助装置は、駆動軸20とフレーム10の間に配設される2基の空気ばね210を有する。
【0023】
各空気ばね210は、ダイアフラム220と、ダイアフラム220を支持するベース部材230を備える。ベース部材230はブラケット240を介して駆動軸20上に固着される。ダイアフラム220の上部に取り付けられる受圧部材224は、図示しないブラケットを介してフレーム10側に固定される。
受圧部材224は、ダイアフラム220に対して空気を供給、排出するためのパイプ、弁222を備える。
【0024】
車両の後方からみて左側の駆動軸20L側に搭載される第1の空気ばね210のベース部材230は、デファレンシャルギヤ装置40の中心位置から距離K1だけ離れた位置に配設される。
右側の駆動軸20R上に配設される第2の空気ばね210のベース部材230は、デファレンシャルギヤ装置40の中心から距離K2の位置に配設される。
【0025】
第1の空気ばねと第2の空気ばねは、同一の有効径D1を有し、同圧力の圧縮空気が供給される。
いま、空気ばね210の有効受圧面積を100平方センチメートル供給する空気圧を、6Kg/平方センチメートルとし、K1を200mm、K2を355mmに設定すると、右側の駆動軸20R側のタイヤの接地圧を左側のタイヤの接地圧よりも大きくすることができる。
【0026】
図8,図9は、図2に示す実施例装置における左右のタイヤ位置での荷重を求める計算式を示す。
空気ばね210の有効受圧面積:100cm2
左側の空気ばね210の取付位置の車体中心C1からの距離K1:200mm
左側の空気ばね210の取付位置の車体中心C1からの距離K2:355mm
エア圧力:6Kg/cm2
左右のタイヤのトレッド(2T1):1855mm
とすると、
空気ばね210が発生する力F1
=100cm2×6Kg/cm2=600Kg
となる。
【0027】
図9は、左右のタイヤにかかる荷重の計算式を示す。
となり、右側のタイヤにプラス650Kgの荷重が、左側のタイヤにプラス550Kgの荷重が加えられる。そして、右側のタイヤの荷重は、左側のタイヤに比べておよそ100Kg余分の荷重が与えられることとなる。
【0028】
【発明の効果】
この発明によれば、発進時に左右輪均等な輪重を得られるため、付加したイニシャル軸重を有効に活用でき、発進補助装置のポテンシャルを有効に働かせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発進補助装置を備えた駆動軸を車両の後方からみた正面図。
【図2】本発明の他の発進補助装置を備えた駆動軸を車両の後方からみた正面図。
【図3】従来の発進補助装置を備えた車両の要部の斜視図。
【図4】車両の軸重の変化を示す図。
【図5】車両の加速度の変化を示す図。
【図6】図1の実施例によるタイヤの荷重を求める計算式を示す説明図。
【図7】図1の実施例によるタイヤの荷重を求める計算式を示す説明図。
【図8】図2の実施例によるタイヤの荷重を求める計算式を示す説明図。
【図9】図2の実施例によるタイヤの荷重を求める計算式を示す説明図。
【符号の説明】
10 フレーム
20 駆動軸
40 デファレンシャルギヤ装置
100 発進補助装置
110 第1の空気ばね
120 ダイアフラム
130 ベース部材
140 ブラケット
150 第2の空気ばね
160 ダイアフラム
170 ベース部材
180 ブラケット
Claims (2)
- 後2軸を有し、後2軸のうち前車軸側を駆動軸とし、他の車軸を従動軸とするとともに、車両フレームと駆動軸の間に左右に1基づつ装備され、エアを給排することにより車輪の接地圧を増減させる空気ばねを有する発進補助装置を備える車両において、
デファレンシャルギヤ装置からの回転反力により軸重が小さくなる側に設けられた空気ばねは、反対側に設けられる空気ばねに比べて大きくなる有効径寸法を有する発進補助装置を備える車両。 - 後2軸を有し、後2軸のうち前車軸側を駆動軸とし、他の車軸を従動軸とするとともに、車両フレームと駆動軸の間に左右に1基づつ装備され、エアを給排することにより車輪の接地圧を増減させる空気ばねを有する発進補助装置を備える車両において、
デファレンシャルギヤ装置からの回転反力により軸重が小さくなる側に設けられた空気ばねは、反対側の空気ばねよりも車両外側に配設される発進補助装置を備える車両。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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JP3996298A JP3702635B2 (ja) | 1998-02-23 | 1998-02-23 | 発進補助装置を備える車両 |
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JPH11240317A JPH11240317A (ja) | 1999-09-07 |
JP3702635B2 true JP3702635B2 (ja) | 2005-10-05 |
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JP3996298A Expired - Fee Related JP3702635B2 (ja) | 1998-02-23 | 1998-02-23 | 発進補助装置を備える車両 |
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-
1998
- 1998-02-23 JP JP3996298A patent/JP3702635B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11240317A (ja) | 1999-09-07 |
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