JP3702192B2 - 情報再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度情報記録が可能な情報再生装置のトラッキング技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パソコン等情報処理機器の飛躍的な機能向上により、ユーザの扱う情報量は著しく増大してきている。このような状況により、従来より飛躍的に記録密度の高い情報記録再生装置に対する期待は高まりつつある。記録密度を向上させるためには、情報記録媒体において記録を書き込む単位である一つの記録マークの大きさを微小化することが必要である。しかし、従来の記録再生装置において記録マークの微小化は大きな困難に直面している。記録密度を上げるためにはトラック幅を小さくする必要があるが、必然的に隣接トラック間との干渉が大きくなり、クロスイレースやクロストークの問題が生じる。これを解決する手段として、例えば特開平7−210863号公報や特開平9−7143号公報等で、磁気記録トラックが非磁性帯で分離されたディスクリート記録媒体が提案されている。
【0003】
また、磁気記録媒体を用いた磁気記録の場合には、記録層には粒度分布の広い多結晶体を用いている。しかし結晶の熱揺らぎのため、小さい多結晶体では記録が不安定となる。記録セルが大きい場合は問題ないが、記録マークが小さいと記録の不安定性やノイズの増大が生じてしまう。これは記録マークに含まれる結晶粒の数が少なくなるためでありまた、記録マーク間の相互作用が相対的に大きくなることも要因となる。これを防ぐためには熱揺らぎに強い結晶粒の小さくそろった記録媒体を用いていれば良い。しかしながら、そのような記録媒体では書き込みに非常に大きな磁界が必要になり、結果的に書き込めなくなる等の問題が生じる。
【0004】
そのような熱揺らぎに強く結晶粒の小さくそろった記録媒体に対しては、加熱して保磁力を低下させて書き込み、急冷することによってその記録を保持させる方法が提案され、「熱アシスト磁気記録」と呼ばれている。熱を与える手段としては近接場光を照射する方法や電子線を照射する方法が、加熱スポットを小さくできることから高密度情報記録に有利である。
【0005】
しかしながら、厳密な熱設計が必要であると共に、記録密度を上げるためにはトラック幅を小さくする必要がある。このため、必然的に隣接トラック間との干渉が大きくなり、加熱によるクロスイレースが特に問題となる。この解決にもディスクリート記録媒体は有効である。
【0006】
凹凸を有するディスクリート記録媒体では、凹部による静電容量や反射光をトラッキングに用いている。更に、凹部にトラッキング用の磁気信号を付与することにより一つの読み出しヘッドによるトラッキング方式が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、静電容量や反射光によるトラッキング方法では、検出のために磁気センサとは異なる複雑なセンサを製造するため機械構成が複雑となり、一体型のヘッドを製造しにくい問題点がある。このため、従来のディスクリート磁気記録媒体を用いた情報再生装置は、製造や操作が複雑になり、コスト高になる不具合を有する。
【0008】
また、凹部にトラッキング用の磁気信号を付与するのは操作が複雑になる。更に、一つの読み出しヘッドによるトラッキングではトラッキング幅が100nm以下になると十分にトラッキング出来ないという問題点がある。このため、従来のディスクリート磁気記録媒体を用いた情報再生装置においては、狭トラック幅では十分なトラッキングが行えない等の問題がある。
【0009】
上記問題点を鑑み、本発明に係る情報再生装置は、製造や操作が容易で、狭トラック幅でも十分にトラッキングが可能な情報再生装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の特徴は、記録媒体、この記録媒体に記録された情報を読み出すための読み出し手段とを備えたヘッド、ヘッドの位置を記録媒体の表面上において駆動・制御するヘッド駆動・制御機構とを含む情報再生装置に関する。記録媒体は、記録トラックと、この記録トラックの両側に配置され、この記録トラックとは熱特性の異なる非記録帯とからなる。ヘッドは、温度センサと、記録トラックに記録された情報を読み出すための読み出し手段とを備えている。温度センサは、記録トラックと非記録帯との境界部の上方に配置されている。そして、ヘッドに搭載された温度センサの出力を、ヘッドの位置の駆動・制御に際してトラッキング信号として用いる情報再生装置であることを要旨とする。ここで、「記録トラックとは熱特性の異なる」とは、例えば、記録トラックの熱伝導率と非記録帯の熱伝導率とが異なるような材料で構成された構造の場合が該当する。或いは、記録トラックを凸部、非記録帯を凹部とすれば、ヘッドと記録媒体との間の気流の線速が、記録トラックの上部では速く、非記録帯の上部では遅くなる。即ち、「記録トラックとは熱特性の異なる」とは、記録トラックの上部と非記録帯の上部における温度センサの冷却速度が異なるような構造を意味する。記録トラックの上部と非記録帯の上部における温度センサの冷却速度が異なるような構造にしておき、記録トラックと非記録帯との境界部に温度センサを配置しておけば、ヘッドと記録トラックとの相対的な位置のずれを温度の変化として検出出来る。特に、読み出し対象としている記録トラックに隣接する2つの他の記録トラックと、読み出し対象としている記録トラックを挟む2つの非記録帯とのそれぞれの境界部に第1及び第2の温度センサを配置する構成が好ましい。即ち、第1及び第2の温度センサの出力を差動増幅することにより、高感度な位置検出が可能となる。この結果、狭トラック幅でも十分にトラッキングが可能な情報再生装置を、簡単な構造で実現出来、その操作も容易である。
【0011】
本発明の第1の特徴において、ヘッドが、記録トラックに情報を書き込むための書き込み手段を更に備えれば、書き込み/読み出し可能な情報再生装置が提供出来る。
【0012】
本発明の第1の特徴に係る温度センサを用いた位置検出は、情報の読み出し以外にも、情報の書き込みに対しても用いることが出来、更に情報の書き込み/読み出しの両方に対しても用いることが出来る。
【0013】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴で述べた記録媒体と同様な構造の記録媒体を外部から挿入し、この記録媒体に記録された情報を読み出することが可能なドライブ装置に関する。即ち、このドライブ装置は、読み出し手段を備えたヘッドと、ヘッドの位置を記録媒体の表面上において駆動・制御するヘッド駆動・制御機構を有する。そして、ヘッドには、第1の特徴と同様に、記録トラックと非記録帯との境界部の上方に配置可能な温度センサが更に備えられている。読み出し手段は、外部から挿入された記録媒体の記録トラックに記録された情報を読み出す。そして、ヘッドの位置の駆動・制御に際して、温度センサの出力をトラッキング信号として用いる情報再生装置であることを要旨とする。第1の特徴で述べたように、記録トラックの上部と非記録帯の上部における温度センサの冷却速度が異なるようにされているので、記録トラックと非記録帯との境界部に温度センサを配置しておけば、ヘッドと記録トラックとの相対的な位置のずれを温度の変化として検出出来る。
【0014】
本発明の第2の特徴によれば、狭トラック幅でも十分にトラッキングが可能なドライブ装置としての情報再生装置を、簡単な構造で実現出来、その操作も容易である。
【0015】
また、本発明の第2の特徴において、ヘッドが、記録トラックに情報を書き込むための書き込み手段を更に備えれば、書き込み/読み出し可能な情報再生装置が提供出来ることは勿論である。
【0016】
本発明の第2の特徴に係る温度センサを用いた位置検出は、情報の読み出し以外にも、情報の書き込みに対しても用いることが出来、更に情報の書き込み/読み出しの両方に対しても用いることが出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1に本発明の第1の実施の形態に係る情報再生装置におけるヘッド構成部と記録媒体との相対的な位置関係の概略を示す。
【0019】
図1の平面図に示すように、第1の実施の形態に係る記録媒体は、実質的に平行に走行する複数の磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・が、この磁気記録トラックとは熱特性が異なる非記録帯(非磁性帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・で分離され、複数のトラックを構成している。即ち、トラック間のクロスイレースを、非記録帯(非磁性帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・で防止するように構成されている。本発明の第1の実施の形態に係る記録媒体は、表面が凹凸構造を有し、凸部に磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・が形成されているディスクリート磁気記録媒体でも良い。表面に凹凸構造を有することにより、磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・と非記録帯(非磁性帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・で熱伝導率や気流が異なる。「気流が異なる」とは、図2に示すヘッド6と記録媒体21との間の気流の線速が、磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・の上部では速く、非記録帯(非磁性帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・の上部では遅くなるという意味である。したがって、この熱伝導率や気流の線速の相違に起因した温度変化を、第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15bが検出し、これを差動増幅してトラッキング信号として用いることが可能である。表面に凹凸構造を有する場合は、非記録帯(非磁性帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・としては空気のような気体であっても良い。一方、金等の非磁性金属、SiO2やAl2O3、ポリマー等の誘電体で、複数の磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・の間を埋め込んで、平坦な構造としても良い。非磁性金属や誘電体で埋め込んで平坦な構造とした場合でも、埋め込む非記録帯(非磁性帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・の熱伝導率を選ぶことにより熱設計はより容易となる。非記録帯(非磁性帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・の下部に磁性膜があっても良い。
【0020】
第1の実施の形態に係る情報再生装置に用いる記録媒体の形状としてはディスク状、カード状等の種々の形状が採用可能である。ディスク状の場合は、磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・は同心円状若しくはスパイラル状が好ましい。カード状の場合は磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・は平行直線状が好ましい。
【0021】
この記録媒体(ディスク)21の上を、移動するヘッド16は、図2及び図3に示すように、書き込み手段(磁場印加部)13、読み出し手段(磁気センサ)14、第1の温度センサ15a,第2の温度センサ15bとを備え、これらが一体化するように組み立てられている。なお、読み出し専用の情報再生装置であれば、書き込み手段13は、省略可能である。図2のヘッド16の断面は、図3のA−A方向に沿った断面図である。ヘッド16は、図示を省略した筐体の底蓋上に固定された回転軸の回りに、軸受部材を介して回動自在に支持されたシーク機構によって駆動される。シーク機構は、圧電素子を構成要素とする2段アクチュエータ(図示省略)によって制御され、ヘッド16の位置決めをするヘッド駆動・制御機構である。ヘッド16が、その回動範囲の端点において最小限の衝撃で停止するために、弾性部材にて形成された緩衝部材(図示省略)が設けられている。そして、図2に示すように、記録媒体(ディスク)21は、筐体の底蓋上に設けたスピンドルモータ26上に押圧板(図示省略)等により固定され、このスピンドルモータ26により駆動され、回転する。
【0022】
本発明の第1の実施の形態に係る情報再生装置は、記録媒体(ディスク)21を常時スピンドルモータ26上に固定した使用態様の他、記録媒体(ディスク)21を外部から挿入し、書き込み/読み出しをするドライブ装置としての態様も可能である。後者の場合は、記録媒体21は、収納皿等に搭載されて、ドライブ装置の内部に挿入される。記録媒体21を搭載した収納皿は、ドライブ装置の筐体のベースプレートの内側両側面に設けられたガイド部材にスライド状に案内され、ドライブ装置内の所定の位置に導かれる。そして、記録媒体21は、筐体の底蓋上に設けたスピンドルモータ26上に押圧板等により固定され、このスピンドルモータ26により駆動され、回転する。所定の読み出し、若しくは書き込みの終了後、スピンドルモータ26による駆動が停止する。そして、バネの付勢力等によって押圧板等によるロックを解放し、インジェクタ等を介してドライブ装置外に押し出される。
【0023】
ヘッド16の平面構造の概略は図3に示すように、縦80nm、幅20nmの単磁極書き込み手段(磁場印加部)13、縦80nm、幅20nmの読み出し手段(GMR素子)14、幅40nm、長さ200nmの温度感知部(抵抗体部)42を持つSi半導体温度センサ15a,15bからなる。温度感知部(抵抗体部)42の周りは中空部41になっている。GMR素子14はプレーナ型の素子であり、同一の基板から製造する。読み出し手段(GMR素子)14と書き込み手段(単磁極書き込み部)13は200nm離れている。
【0024】
第1の温度センサ15a及び第2の温度センサ15bからの信号を差動増幅し、その出力が極小となるように制御することにより、図1に一点鎖線で示したヘッド16のトラッキング制御をすることが可能となる。即ち、第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15bの周りの気流の線速や、下地記録媒体への熱伝導が記録トラック11a,11b,11c,・・・・・と非記録帯(非磁性帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・とで異なることに着目してトラッキング制御している。即ち磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・の上では、ヒートシンクとなる記録媒体への熱伝導が大きくなり、また気流の線速も早くなるため、非磁性帯(非記録帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・の上に比して、第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15b部が冷却されやすくなる。このため、第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15bにより、トラック方向に垂直方向の冷却速度の変化を、温度変化として検出し、トラッキング制御出来る。
【0025】
図4に示すように、第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15bのそれぞれの温度感知部(抵抗体部)42は、熱容量の大きいヘッド16に接触しないように中空部41に浮かすのが高感度検出のためには好ましい。本発明の第1の実施の形態に係る情報再生装置のヘッド16に搭載される第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15bは、温度により電気抵抗が変化する材料により形成することが可能である。即ち、温度センサ15a,15bとしては電気抵抗の温度変化を用いたものや、熱起電力を検出するものが、簡単に製造出来るので好ましい。更に、半導体の電気抵抗の温度変化を利用したものは、Siプロセスで製造出来、磁気センサ等との集積化や軽量化のため最も好ましい。また温度により電気抵抗が変化する材料としては半導体若しくは、Sb−Te等のカルコゲン合金類が好ましい。特にカルコゲン合金類はアモルファス・溶融状態と結晶状態では電気抵抗が大きく異なる。
【0026】
第1の実施の形態では、トラッキング用の第1の温度センサ15a及び第2の温度センサ15bの出力を差動増幅した結果が0になるように、ヘッド16の位置を制御することにより、垂直磁気記録媒体材料CoCrPtの場合で、読み出し速度200Mbps以上でトラッキングが可能である。
【0027】
一方、同じ垂直磁気記録媒体材料CoCrPtを用いた均一記録媒体系を用いた情報再生装置では、トラックの垂直方向で、熱の流れの不均一性が得られないので、温度センサによるトラッキングは不能である。このため、通常のサーボライタを用いたサーボ信号を用いてトラッキングする必要がある。GMR読み出しヘッドによる通常のサーボライタを用いたトラッキングでは、読み出し速度100Mbpsが限度である。
【0028】
本発明の第1の実施の形態に係る記録媒体の磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・は、図5及び図6を用いて説明するような金型61を用いてレジストに凹凸を製造する工程を経て製造することが可能である。即ち、以下に説明するように、均一に堆積された磁性体膜(記録媒体層)43の上にレジスト45aを塗布し、それに金型61を押しつけてレジスト45aに凹凸を製造し、それをマスクとして磁性体膜(記録媒体層)43をエッチングすることにより凹部に磁性体膜(記録媒体層)43がないディスクリート記録媒体を得ることができる。
【0029】
(イ)まず、直径2.5インチのガラスディスク基板41上に、Pd下地層42を30nmを堆積する。更に連続して、垂直磁気記録媒体材料CoCrPtを膜厚50nm堆積し記録媒体層43を製造する。その上に、図5(a)に示すようにアルミナ膜44を膜厚5nm堆積する。
【0030】
(ロ)一方、電子線リソグラフィー及びメッキにより間隔70nm、幅40nm、高さ50nmのスパイラル形状凸部を持つNi金型61を用意しておく。そして、アルミナ膜44の上にレジスト膜45aをスピンコートし、この別途用意したNi金型61を、レジスト膜45aに押しつけ、図5(b)に示すような凹凸パターンを転写する。
【0031】
(ハ)凹凸パターンを転写されたレジスト膜45aをエッチングマスクとして用い、RIEにより記録媒体層43にまで達するまでアルミナ層44のエッチングを行い、図5(c)に示すようにアルミナ層44に溝構造を形成する。レジスト膜45aは目減りして薄いレジスト膜45bとなる。
【0032】
(ニ)レジスト膜45bを除去して、アルミナ層44をマスクとしたArイオンミリングにより、図6(d)に示すように、記録媒体層43をエッチングし、Pd下地層42に達する溝部を形成する。
【0033】
(ホ)そして、図6(e)に示すように、溝部を埋め込むようにして、全面にダイヤモンドライクカーボン保護膜45を堆積する。更に、化学的機械研磨(CMP)等の手法により、図6(e)に示すように、表面を平坦化すれば、記録媒体が完成する。埋め込まれたダイヤモンドライクカーボン保護膜45が非記録帯(非磁性帯)として機能する。
【0034】
或いは、光ディスクを製造するように、金型を用いたポリマーの射出成形を用いて、凹凸を転写する方法でも良い。ポリマーの射出成形で得た凹凸面に磁気記録媒体を堆積すると、凹凸面とも磁気記録媒体が作成されたディスクリート記録媒体が作成される。いずれの方法も、大量生産に向いた方法であり、かつ記録トラック幅を狭くできるため特に好ましい。
【0035】
このようにして作成した記録媒体を原子間力顕微鏡により観察すれば、幅70nmの磁気記録トラック44が、幅40nmのダイヤモンドライクカーボンからなる非磁性帯45で分離された凹凸のスパイラルが形成されているのが確認出来る。
【0036】
更に、本発明の第1の実施の形態に係るディスクリート磁気記録媒体の製造方法としては、光リソグラフィーや電子線リソグラフィーを用いる方法も可能である。更に、原子間力顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、近接場光顕微鏡等の超微細な走査型プローブを用いて、機械的に加工する方法も採用可能である。光リソグラフィーは生産性に富むが磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・の幅を狭くすることが困難である。電子線リソグラフィーや走査型プローブを用いた方法は記録トラック幅を狭くできるが、生産性に劣る。
【0037】
ヘッド16の平面構造は、種々のトポロジーが採用可能である。図1〜図3に示す構造では、第1の温度センサ15a及び第2の温度センサ15bは、書き込み手段13を挟まない位置に配置されていた。しかし、図7に示すように、第1の温度センサ15a及び第2の温度センサ15bを、書き込み手段13を挟む位置に配置しても良い。更に、図示を省略しているが、第1の温度センサ15a及び第2の温度センサ15が、書き込み手段13及び読み出し手段14の両方を挟む位置に配置されても構わない。
【0038】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る情報再生装置は、磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・を加熱する手段を有する。加熱する手段としてはサーマルヘッド、レーザー光照射、近接場光照射、電子線照射等があるが、加熱領域を小さくできる近接場光照射若しくは電子線照射が最も好ましい。本発明の第2の実施の形態に係る情報再生装置においては、このうち、近接場光照射部17を有するヘッド16について説明する。また、本発明の第2の実施の形態に係る情報再生装置は、読み出し手段(磁気センサ)14としてプレーナ型のGMR素子を使用している。プレーナ型GMR素子はウエハー面が記録媒体対向面となるため、本発明のように近接場光照射手段や光センサが必要な場合、同一基板に製造することができ、またヘッド実装が簡単になる。
【0039】
第2の実施の形態に係る記録装置の断面図を図9に示す。ヘッド16の平面構造の概略を図10に示す。第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15b、近接場光照射部17、読み出し手段(GMR素子)14及び書き込み手段(磁場印加部)13と磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・との相対的配置関係を図8に示す。第2の実施の形態に係る記録装置においては、ディスク(記録媒体)21に対し、図9に示すようにヘッド16が配置される。ヘッド16には、近接場光照射部17、書き込み手段(磁場印加部)13、読み出し手段(GMR素子)14、第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15bが一体化されて、搭載されている。
【0040】
ヘッド16は、図示を省略した筐体の底蓋上に固定された回転軸の回りに、軸受部材を介して回動自在に支持されたシーク機構によって駆動される。シーク機構は、圧電素子を構成要素とする2段アクチュエータ(図示省略)によって制御され、ヘッド16の位置決めをするヘッド駆動・制御機構である。そして、図9に示すように、記録媒体(ディスク)21は、筐体の底蓋上に設けたスピンドルモータ26上に押圧板(図示省略)等により固定され、このスピンドルモータ26により駆動され、回転する。近接場光照射部17は波長650nmの面発光レーザー31を光源に用いている。
【0041】
ヘッド16の平面構造の概略は図10に示すとおりである。即ち、縦70nm、幅100nmの近接場光照射部17、縦80nm、幅20nmの単磁極書き込み手段(磁場印加部)13、縦80nm、幅20nmの読み出し手段(GMR素子)14、幅40nm、長さ200nmの温度感知部を持つカルコゲン合金からなる第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15bとから構成されている。第2の実施の形態では近接場光照射部17から発生する熱を用いてカルコゲン合金温度感知部を、相変化付近の温度にまで上げ、記録媒体21の熱伝導度の変化を高感度に検出する。GMR素子14はプレーナ型の素子である。ヘッド16と磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・の配置は図8に示すように、磁気記録トラック11a,11b,11c,・・・・・、非磁性帯(非記録帯)12a,12b,12c,12d,・・・・・、近接場光照射部17、単磁極書き込み手段(磁場印加部)13、読み出し手段(GMR素子)14、第1の温度センサ15a、第2の温度センサ15bからなる。近接場光照射部17と単磁極書き込み手段(磁場印加部)13は100nm離れており、読み出し手段(GMR素子)14と単磁極書き込み手段(磁場印加部)13は200nm離れている。
【0042】
第2の実施の形態では、トラッキング用の第1の温度センサ15a及び第2の温度センサ15bが検出する信号の差が0になるように、ヘッド16の位置を制御することにより読み出し速度150Mbpsでトラッキングが可能である。更に、第2の実施の形態では、面発光レーザー31の照射パワーを5mWに上げて、書き込み速度70Mbpsで情報の書き込みが可能である。隣接するトラック中の磁気信号のクロスイレースも0.001%以下である。
【0043】
本発明の第2の実施の形態に係る記録媒体も、第1の実施の形態と同様に、金型61を用いてレジストに凹凸を製造する工程を経て製造することが可能である。即ち、
(イ)まず、直径2.5インチのガラスディスク基板41上にPd下地層42を30nm、更に熱アシスト用垂直磁気記録媒体材料TbFeCoからなる膜厚50nmの記録媒体層43を製造する。その上に、図11(a)に示すようにシリコン酸化膜(SiO2膜)54を膜厚50nmで堆積する。
【0044】
(ロ)そして、SiO2膜54の上にレジスト膜45aをスピンコートする。電子線リソグラフィー、メッキにより製造した間隔70nm、幅40nm、高さ50nmのスパイラル形状凸部を持つNi金型61をレジスト膜45aに押しつけ、図11(b)に示すように、凹凸パターンを転写する。
【0045】
(ハ)凹凸パターンが転写されたレジスト膜45aをエッチングマスクとして用い、RIEによりSiO2層54を記録媒体層43が露出するまで、エッチングする。この結果、図11(c)に示すように、SiO2層54に溝構造が形成される。レジスト膜45aはRIEで目減りし、薄いレジスト膜4bになる。
【0046】
(ニ)薄いレジスト膜4bを除去後、SiO2層54をマスクとして、Arイオンミリングをすることにより、図12(d)に示すように記録媒体層43をエッチングし、溝部を形成する。
【0047】
(ホ)次にこの溝部の上からアルミナ膜55を、図12(e)に示すように厚さ50nmで堆積する。この後、CMPにより平坦化し、図12(f)に示す構造の記録媒体が完成する。
【0048】
このようにして作成した記録媒体を磁気力顕微鏡により観察すれば、幅70nmの磁気記録トラック54が、幅40nmのアルミナの非磁性帯55で分離されたスパイラルが形成されているのが確認出来る。
【0049】
ヘッド16の平面構造は、種々のトポロジーが採用可能である。図8〜図10に示す構造では、第1の温度センサ15a及び第2の温度センサ15bが、近接場光照射部17を挟み込み、書き込み手段13及び読み出し手段14を挟まない位置に配置されていた。しかし、図13〜図15に示すように、第1の温度センサ15a及び第2の温度センサ15bが、近接場光照射部17を挟み込まず、書き込み手段13及び読み出し手段14を挟み込む位置に配置しても構わない。更に図示を省略しているが、図8〜図10に示すトポロジーと図13〜図15に示すトポロジーとの中間的な位置に第1の温度センサ15a及び第2の温度センサ15bを配置しても構わない。
【0050】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0051】
【発明の効果】
本発明では、加熱によるクロスイレースが少なく、狭トラック幅でも十分にトラッキングが可能な情報再生装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報再生装置におけるヘッド構成部と記録媒体との相対的な位置関係を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る情報再生装置の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る情報再生装置におけるスライダヘッドの平面構造の概略図である。
【図4】図4(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るスライダヘッドに搭載される温度センサの平面図で、図4(b)は、この温度センサの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る記録媒体の製造方法を説明するための工程断面図である(その1)。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る記録媒体の製造方法を説明するための工程断面図である(その2)。
【図7】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る情報再生装置におけるヘッド構成部と記録媒体との相対的な位置関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る情報再生装置におけるヘッド構成部と記録媒体との相対的な位置関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る情報再生装置の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る情報再生装置におけるスライダヘッドの平面構造の概略図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る記録媒体の製造方法を説明するための工程断面図である(その1)。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る記録媒体の製造方法を説明するための工程断面図である(その2)。
【図13】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る情報再生装置におけるヘッド構成部と記録媒体との相対的な位置関係を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る情報再生装置の断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る情報再生装置におけるスライダヘッドの平面構造の概略図である。
【符号の説明】
11a,11b,11c 磁気記録トラック
12a,12b,12c,12d 非磁性帯(非記録帯)
13 書き込み手段(磁場印加部)
14 読み出し手段(磁気センサ)
15a,15b 温度センサ
16 ヘッド
17 近接場光照射部
21 ディスク(記録媒体)
25 スライダヘッド
26 スピンドルモータ
Claims (4)
- 記録トラック、該記録トラックの両側に配置され該記録トラックとは熱特性の異なる非記録帯からなる記録媒体と、
前記記録トラックと前記非記録帯との境界部の上方に配置可能な温度センサ、前記記録トラックに記録された情報を読み出すための読み出し手段を備えたヘッドと、
前記ヘッドの位置を前記記録媒体の表面上において駆動・制御するヘッド駆動・制御機構とを含み、前記駆動・制御に際し、前記温度センサの出力をトラッキング信号として用いることを特徴とする情報再生装置。 - 前記ヘッドは、前記記録トラックに情報を書き込むための書き込み手段を更に備えていることを特徴とする請求項1記載の情報再生装置。
- 記録トラック、該記録トラックの両側に配置され該記録トラックとは熱特性の異なる非記録帯からなる記録媒体に記録された情報を読み出すことが可能なドライブ装置であって、
前記記録トラックと前記非記録帯との境界部の上方に配置可能な温度センサ、前記記録トラックに記録された情報を読み出すための読み出し手段を備えたヘッドと、
前記ヘッドの位置を前記記録媒体の表面上において駆動・制御するヘッド駆動・制御機構とを含み、前記駆動・制御に際し、前記温度センサの出力をトラッキング信号として用いることを特徴とする情報再生装置。 - 前記ヘッドは、前記記録トラックに情報を書き込むための書き込み手段を更に備えていることを特徴とする請求項3記載の情報再生装置。
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