以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照符号及び名称を付してある。それらの機能も同様である。したがって、それらについての詳細な説明をその都度繰返すことはしない。
[第1の実施の形態]
〈情報記録再生装置100の構成〉
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報記録再生装置100の構成を示す斜視図である。図1を参照して、情報記録再生装置100は、ハードディスク装置である。情報記録再生装置100は、磁気情報の記録及び再生を行なう磁気ヘッド101と、磁気ヘッド101を支持固定するサスペンションアーム102と、サスペンションアーム102に連結され、サスペンションアーム102を磁気記録媒体103の上方で磁気記録媒体103のトラックの延びる方向と交差する方向に駆動して磁気ヘッド101を所望の位置に移動させる駆動部104と、円盤状の磁気記録媒体103を回転駆動させるスピンドルモータ105と、これらを制御するための制御部106と、を含む。制御部106は、駆動部104によるサスペンションアーム102の駆動を制御する機能、及び、磁気ヘッド101との電気信号の送受信を行なう信号処理系としての機能等を有する。情報記録再生装置100において、磁気ヘッド101及び磁気記録媒体103を除く上記した各部の構成は、当該分野において一般的な構成である。
情報記録再生装置100において、スピンドルモータ105が回転駆動されることによって、磁気情報を記録する磁気記録媒体103が回転し、空気流が発生する。発生した空気流を利用して磁気ヘッド101が磁気記録媒体103の上方を浮上高さ約10nmで浮上し、磁気記録媒体103に対して磁気情報の記録及び再生を行なう。
図2は、図1の磁気ヘッド101及び磁気記録媒体103の一部を拡大して示す斜視図であり、図3は、磁気ヘッド101における、磁気記録媒体103に対向する面の構成を示す平面図である。図2及び図3を参照して、磁気ヘッド101は、サスペンションアーム102の長手方向先端部に固定される直方体状のスライダ基板200と、スライダ基板200における磁気記録媒体103に対向する面(以下「下面」と記す場合がある。)に形成される記録再生素子210及び圧力センサ220と、を含む。記録再生素子210及び圧力センサ220は、スライダ基板200下面の中央部に、スライダ基板200の長手方向先端部からこの順に並んで形成される。なお、後述するように、圧力センサ220は、実際には、スライダ基板200の下面に対して突出するように形成されている。
スライダ基板200は、磁気記録媒体103が回転することによって生じる空気流を受けて、記録再生素子210及び圧力センサ220を磁気記録媒体103の上方に一定の浮上高さで浮上させる機能を有する。スライダ基板200としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、AlTiC(Al2O3・TiC)基板等を使用できる。本実施の形態では、スライダ基板200として、幅0.7mm、高さ0.23mm、奥行0.85mmのAlTiC基板を使用する。
記録再生素子210は、磁気記録媒体103に記録される磁気情報の読出し(再生)を行なうGMR(Giant MagnetoResistive)素子と、磁気記録媒体103に対して磁気情報の書込み(記録)を行なう単磁極と(以上いずれも図示せず。)を含む。記録再生素子210のサイズとしては、当該分野において一般的なサイズであれば特に限定されない。本実施の形態では、記録再生素子210として、スライダ基板200の下面において、長さ100nm、幅80nmの長方形領域を占めるサイズのものを使用する。
図4は、圧力センサ220の構成を示す図である。図4(A)は、磁気記録媒体103側から圧力センサ220を見たときの平面図であり、図4(B)は、図4(A)に示す圧力センサ220の4−4線断面図である。図4(A)及び図4(B)を参照して、圧力センサ220は、直方体状の圧電体402と、圧電体402の長手方向一端部を、スライダ基板200側とその反対側とから、この順に挟むように設けられる下部電極406及び上部電極404と、圧電体402の長手方向他端部をスライダ基板200側から支持するように設けられる支持層408と、を含む。
圧電体402は、圧電性を有する材料からなるものであれば特に限定されないが、圧電性に優れ、高感度に圧力を検出できる点から、チタン酸ジルコン酸鉛(以下「PZT」と記す。)からなるものが好ましい。本実施の形態では、幅140nm、高さ30nm、奥行200nmのPZTからなる圧電体402を使用する。
上部電極404は、圧電体402から電子を取出すことが可能な導電性材料からなるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、上部電極404として、幅40nm、厚み30nmの、白金(Pt)上にチタン(Ti)が積層された金属膜を使用する。
下部電極406は、圧電体402から電子を取出すことが可能な導電性材料からなるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、下部電極406として、幅40nm、厚み30nmの、Ti上にPtが積層された金属膜を使用する。
支持層408は、圧電体402の変形量を増加させる機能を有する。支持層408は、圧電体402を支持可能な材料からなるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、支持層408として、幅40nm、厚み30nmの、Ti上にPtが積層された金属膜を使用する。
圧電体402、上部電極404、下部電極406及び支持層408の厚み等のサイズとしては特に限定されず、磁気記録媒体103表面の構成等に応じて適宜設定されればよい。
ここで、磁気記録媒体103の構成について説明する。図5は、磁気記録媒体103の構成を示す断面図である。図5を参照して、磁気記録媒体103は、円盤状の基板501と、磁気情報が記録される複数の記録層502と、記録層502を保護する保護層503とを含む。
基板501としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、基板501がガラス基板からなるものを使用する。
複数の記録層502は、基板501表面又は後述する下地層504表面に、一定間隔を空けて同心円状に形成される。記録層502としては、磁性体からなるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、記録層502がCoCrPtの薄膜からなるものを使用する。
保護層503は、磁気ヘッド101等による外部からの物理的な接触から記録層502を保護する機能と、記録層502の酸化劣化を防ぐ酸化防止層としての機能とを有する。保護層503は、複数の記録層502の間に、記録層502と同一の厚みで形成される複数の膜を含む。すなわち、複数の記録層502は、保護層503によって分離されている。保護層503はさらに、複数の記録層502の表面に所定の厚みで形成される膜を含む。保護層503としては、非磁性体からなるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、保護層503が二酸化ケイ素(SiO2)からなるものを使用する。
基板501と、記録層502及び保護層503との間には、必要に応じて下地層504が形成されてもよい。下地層504は、記録層502に対して外部磁界を印加して情報を記録する際に、膜面に対して垂直方向の磁界を増強することで記録を補助する機能を有する。下地層504としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、軟磁性体からなるものを使用できる。本実施の形態では、下地層504がルテニウム(Ru)の膜からなるものを使用する。
保護層503表面には、必要に応じて潤滑層505が形成されてもよい。潤滑層505は、物理的な接触によって磁気記録媒体103及び磁気ヘッド101が破損することを防ぐ機能を有する。潤滑層505としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、潤滑層505がパーフルオロエーテルの膜からなるものを使用する。
基板501、記録層502、保護層503、下地層504及び潤滑層505の厚みとしては、当該分野において一般的な厚みであれば特に限定されず、用途等に応じて適宜設定されればよい。
上記したように、磁気記録媒体103は、磁性体からなる複数の記録層502が、非磁性体からなる保護層503によって分離されるディスクリート媒体である。また、磁気記録媒体103において、保護層503は、複数の記録層502の間に、記録層502と同一の厚みで形成されるとともに、記録層502の表面に所定の厚みで形成されるので、磁気記録媒体103の表面は、凹部506と凸部507とが同心円状に交互に配置された形状となる。本実施の形態において、凹部506には非記録トラックが形成され、凸部507には記録トラックが形成される。上記したように、磁気ヘッド101は磁気記録媒体103の上方を浮上高さ約10nmで浮上するので、磁気ヘッド101が磁気記録媒体103表面に衝突する危険性をなくし、磁気ヘッド101による磁気情報の記録及び再生を円滑に行なうために、凹部506と凸部507との高さの差は、1nm〜10nmであることが好ましい。本実施の形態では、磁気記録媒体103として、凹部506と凸部507との高さの差が5nmであり、凹部506の半径方向の幅が40nmであり、凸部507の半径方向の幅が60nmであるものを使用する。以下の説明及び図面において、個々の凹部506及び凸部507を区別する場合には、アルファベットを参照符号の末尾に付し、総称する場合は参照符号のみで表す。
磁気記録媒体103が上記した凹凸構造を表面に有することによって、磁気記録媒体103の回転時において、圧力センサ220と凸部507(記録トラック)との間に生じる気圧と、圧力センサ220と凹部506(非記録トラック)との間に生じる気圧とが異なるようになる。すなわち、圧力センサ220と磁気記録媒体103との間の気圧が、凸部507の上方では大きくなり、凹部506の上方では小さくなる。したがって、対向する領域に存在する凸部507の割合が大きくなるほど、すなわち、圧力センサ220と磁気記録媒体103との間隔が小さくなる部分が多くなるほど、圧力センサ220の出力値は大きくなる。これに対し、対向する領域に存在する凹部506の割合が大きくなるほど、すなわち、圧力センサ220と磁気記録媒体103との間隔が大きくなる部分が多くなるなるほど、圧力センサ220の出力値は小さくなる。制御部106は、上記した気圧の違いに基づいた圧力センサ220の出力値をトラッキング信号として用いて駆動部104を制御することで、トラッキング制御を行なう。
図6は、磁気ヘッド101と磁気記録媒体103との相対的な位置関係を示す平面図であり、図7は、図6に示す磁気ヘッド101及び磁気記録媒体103の6−6線断面図である。図6及び図7を参照して、記録再生素子210(幅80nm)は、記録再生素子210の幅が、凸部507(幅60nm)の幅を全て含む領域に対向する位置に存在する場合、すなわち、記録再生素子210が、凹部506dと凸部507dとの境界、及び、凸部507dと凹部506eとの境界を含む領域に対向する位置に存在する場合に、磁気情報の記録及び再生を行なうことができる。特に、記録再生素子210の幅を二等分する中心線(図示せず。)が、凸部507dの幅を二等分する中心線(図示せず。)に対向する位置に存在する場合に、凸部507dに対する磁気情報の記録及び再生を最も正確に行なうことができる。記録再生素子210が、上記した磁気情報の記録及び再生を最も正確に行なうことができる位置に存在するとき、圧力センサ220は、1つの凸部507d(幅60nm)と、この凸部507dに隣接する2つの凹部506d,506e(幅40nm)と、を含む領域に対向する位置に存在する。このとき、圧力センサ220に対向する領域に存在する凹部506の割合が最も大きくなるので、磁気記録媒体103の回転時において、圧力センサ220の出力値は最小値をとる。したがって、制御部106は、圧力センサ220の出力値が最小値をとるように、駆動部104を制御することで、高精度にトラッキング制御を行なうことができる。
〈圧力センサ220の製造方法〉
図8及び図9は、圧力センサ220の製造方法の一例を示す図である。図8及び図9を参照して、圧力センサ220は、フォトリソグラフィー等の微細加工技術を用いて、以下のようにして製造される。
図8(A)を参照して、まず、スライダ基板200の下面に、一定膜厚のレジスト801を塗布する。次いで、露光装置を用いて、所望のマスクパターンが形成されたマスクを介してレジスト801表面を感光させる。感光後、現像液に浸すことで現像処理を行ない、レジスト801の不要な部分(下部電極406及び支持層408を形成する部分)を除去することで所望のレジストパターンを形成する。
図8(B)を参照して、EB(Electron−Beam)蒸着法等の公知の方法を用いて、スライダ基板200の下面及びレジスト801の表面に対し、Ti及びPtをこの順に蒸着して積層することで、Ti上にPtが積層された厚み30nmの金属膜を形成する。次いで、リフトオフ法等の公知の方法を用いて、レジスト801及びレジスト801上に積層された金属膜を除去することで、下部電極406及び支持層408を形成する。
図8(C)を参照して、スライダ基板200の下面、下部電極406及び支持層408の表面に、一定膜厚のレジスト802を塗布する。次いで、露光装置を用いて、所望のマスクパターンが形成されたマスクを介してレジスト802表面を感光させる。感光後、現像液に浸すことで現像処理を行ない、レジスト802の不要な部分(後述する保護膜803を形成する部分)を除去することで所望のレジストパターンを形成する。
図8(D)を参照して、スパッタ法等の公知の方法を用いて、レジスト802表面及びスライダ基板200の下面表面に、窒化アルミニウム(AlN)からなる厚み30nmの膜を成膜する。次いで、リフトオフ法等の公知の方法を用いて、レジスト802、及び、レジスト802上に積層されたAlN膜を除去することで、保護膜803を形成する。
図9(E)を参照して、スライダ基板200の下面、下部電極406、支持層408、及び、保護膜803の表面に、一定膜厚のレジスト804を塗布する。次いで、露光装置を用いて、所望のマスクパターンが形成されたマスクを介してレジスト804表面を感光させる。感光後、現像液に浸すことで現像処理を行ない、レジスト804の不要な部分(圧電体402を形成する部分)を除去することで所望のレジストパターンを形成する。
図9(F)を参照して、スパッタ法等の公知の方法を用いて、レジスト804、下部電極406、支持層408、及び、保護膜803の表面に、PZTからなる厚み30nmの膜を成膜する。次いで、リフトオフ法等の公知の方法を用いて、レジスト804及びレジスト804上に積層されたPZT膜を除去し、700℃で加熱処理を施すことで圧電体402を形成する。
図9(G)を参照して、スライダ基板200の下面及び圧電体402の表面に、一定膜厚のレジスト(図示せず。)を塗布する。次いで、露光装置を用いて、所望のマスクパターンが形成されたマスクを介してレジスト表面を感光させる。感光後、現像液に浸すことで現像処理を行ない、レジストの不要な部分(上部電極404を形成する部分)を除去することで所望のレジストパターンを形成する。所望のレジストパターンの形成後、EB蒸着法等の公知の方法を用いて、レジスト及び圧電体402の表面に対し、Pt及びTiをこの順に蒸着して積層することで、Pt上にTiが積層された厚み30nmの金属膜を形成する。次いで、リフトオフ法等の公知の方法を用いて、レジスト及びレジスト上に積層された金属膜を除去することで、上部電極404を形成する。
図9(H)を参照して、上部電極404の形成後、全体をアルカリ溶液に浸漬して保護膜803を除去することで、圧力センサ220を製造できる。
このように、圧力センサ220は、フォトリソグラフィー等の微細加工技術を用いて製造されるので、数十nm単位の寸法を有する圧力センサ220を精度良く製造することができる。
〈磁気記録媒体103の製造方法〉
図10は、磁気記録媒体103の製造方法の一例を示す図である。図10を参照して、磁気記録媒体103は、フォトリソグラフィー等の微細加工技術を用いて、以下のようにして製造される。
図10(A)を参照して、まず、基板501表面に、スパッタ法等の公知の方法を用いて、厚み20nmの下地層504、厚み30nmの記録層502、厚み5nmの保護層503を、この順に成膜して積層する。
図10(B)を参照して、保護層503表面に、一定膜厚のレジスト805を塗布する。次いで、露光装置を用いて、所望のマスクパターンが形成されたマスクを介してレジスト805表面を感光させる。感光後、現像液に浸すことで現像処理を行ない、レジスト805の不要な部分(保護層503を形成する部分)を除去することで所望のレジストパターンを形成する。
図10(C)を参照して、ドライエッチング等の公知の方法を用いて、記録層502及び保護層503の、レジスト805によって被覆されていない部分を除去する。
図10(D)を参照して、スパッタ法等の公知の方法を用いて、レジスト805及び下地層504の表面に、厚み30nmの保護層503を成膜する。
図10(E)を参照して、リフトオフ法等の公知の方法を用いて、レジスト805及びレジスト805上に積層された保護層503を除去する。次いで、ディップコーティング法等の公知の方法を用いて、保護層503表面に、厚み1nmの潤滑層505を塗布することで、磁気記録媒体103を製造できる。
このように、磁気記録媒体103はフォトリソグラフィー等の微細加工技術を用いて製造されるので、数十nm単位の幅を有する凹部506及び凸部507を精度良く製造することができる。
〈動作〉
図1〜図7を参照して、磁気情報の再生又は記録時において、情報記録再生装置100は、以下のように動作する。なお、以下に示す動作を除いた情報記録再生装置100の動作は、従来の一般的な情報記録再生装置の動作と同じである。
情報記録再生装置100において、まず、スピンドルモータ105の回転駆動によって磁気記録媒体103が回転し、空気流が発生する。発生した空気流を利用して磁気ヘッド101が磁気記録媒体103の上方を浮上高さ約10nmで浮上する。磁気ヘッド101は、駆動部104によって磁気記録媒体103の回転方向に対して交差する方向に移動するように制御され、記録再生素子210は、磁気記録媒体103に対して磁気情報の再生又は記録を行なう。このとき、発生した空気流によって圧力センサ220と磁気記録媒体103との間に気圧が生じる。圧力センサ220は、この気圧の変化を検出して出力値として制御部106に対して出力する。制御部106は、入力された出力値の最小値からのずれを検出することで、磁気ヘッド101と、磁気情報の再生又は記録を行なう凸部507との位置ずれを検出する。そして、入力された出力値が最小値をとるように駆動部104を制御することで、トラッキング制御を行なう。
[第1の変形例]
情報記録再生装置100の第1の変形例は、磁気ヘッド101の圧力センサ220に代えて、2つの圧力センサ901a,901bが設けられる点を除いて、上記実施の形態に係る情報記録再生装置100と同一の構成である。本変形例において、情報記録再生装置100と同一の機能を有する構成部には同一の参照符号及び名称を付し、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図11は、第1の変形例に係る磁気ヘッド900と磁気記録媒体103との相対的な位置関係を示す平面図であり、図12は、図11に示す磁気ヘッド900及び磁気記録媒体103の11−11線断面図である。図11及び図12を参照して、圧力センサ901a、記録再生素子210、及び、圧力センサ901bは、スライダ基板200下面の中央部に、スライダ基板200の短手方向に沿ってこの順に並んで形成される。すなわち、圧力センサ901a,901bは、記録再生素子210を挟むように形成される。圧力センサ901a,901bは、スライダ基板200の下面において、記録再生素子210に対し、磁気記録媒体103の回転方向に対して互いに対称となる位置にそれぞれ設けられる。
本変形例では、圧力センサ901a,901bには、幅40nm、高さ30nm、奥行200nmの圧電体402を用いる。上部電極404、下部電極406及び支持層408には、厚み30nmの金属膜を使用する。上部電極404、下部電極406及び支持層408の幅は、図4(B)に示す4−4線断面図における断面の向く方向が、図12に示す11−11線断面図における断面が向く方向と同じである場合、すなわち、図4(B)に示す断面がトラック延長方向に対して垂直である場合には、圧電体402の幅の半分以下、すなわち、20mm以下とする必要がある。一方、上記した4−4線断面図における断面の向く方向が、図12に示す11−11線断面図における断面が向く方向に対して垂直である場合、すなわち、図4(B)に示す断面がトラック延長方向に対して平行である場合には、上部電極404、下部電極406及び支持層408の幅は、圧電体402の奥行の半分以下、すなわち、100nm以下(例えば、40nm)とすればよい。
記録再生素子210(幅80nm)が、上記した磁気情報の記録及び再生を最も正確に行なうことができる位置に存在するとき、圧力センサ901aは、圧力センサ901aの幅を二等分する中心線(図示せず。)が、凹部506cと凸部507cとの境界線に対向する位置に存在する。圧力センサ901bは、圧力センサ901bの幅を二等分する中心線(図示せず。)が、凸部507eと凹部506fとの境界線に対向する位置に存在する。このとき、圧力センサ901a,901bに対向する領域に存在する凹部506及び凸部507の割合が同じになるので、磁気記録媒体103の回転時において、圧力センサ901a,901bの出力値の差は0をとる。したがって、制御部106は、圧力センサ901a,901bの出力値の差が0をとるように、駆動部104を制御することで、高精度にトラッキング制御を行なうことができる。
〈動作〉
図11及び図12を参照して、磁気情報の再生又は記録時において、情報記録再生装置100の第1の変形例は、以下のように動作する。なお、以下に示す動作を除いた情報記録再生装置100の第1の変形例の動作は、従来の一般的な情報記録再生装置の動作と同じである。
情報記録再生装置100の第1の変形例において、まず、スピンドルモータ105の回転駆動によって磁気記録媒体103が回転し、空気流が発生する。発生した空気流を利用して磁気ヘッド900が磁気記録媒体103の上方を浮上高さ約10nmで浮上する。磁気ヘッド900は、駆動部104によって磁気記録媒体103の回転方向に対して交差する方向に移動するように制御され、記録再生素子210は、磁気記録媒体103に対して磁気情報の再生又は記録を行なう。このとき、発生した空気流によって圧力センサ901a,901bと磁気記録媒体103との間に気圧が生じる。圧力センサ901a,901bは、この気圧の変化を検出して出力値として制御部106に対して出力する。制御部106は、圧力センサ901a,901bの出力値の差の0からのずれを検出することで、磁気ヘッド900と、磁気情報の再生又は記録を行なう凸部507との位置ずれを検出する。そして、入力された出力値の差が0をとるように駆動部104を制御することで、トラッキング制御を行なう。
[第2の変形例]
上記第1の実施の形態及び第1の変形例においては、ディスクリート媒体である磁気記録媒体103が使用されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、ビットパターンド媒体である磁気記録媒体303が使用されてもよいし、連続媒体である磁気記録媒体が使用されてもよい。図13は、磁気ヘッド101と磁気記録媒体303との相対的な位置関係を示す平面図である。図13を参照して、凸部507には、磁気情報の再生又は記録を行なう記録層502を含む記録部903と、記録層502を含まない非記録部904とが交互に形成されている。このように、磁気記録媒体として、ビットパターンド媒体又は連続媒体を使用する場合には、上記した各層の厚みを適宜調整することで凹部506及び凸部507を形成すればよい。
〈作用・効果〉
上記第1の実施の形態によれば、情報記録再生装置100及びその変形例は、凹部506と凸部507とが同心円状に交互に配置される凹凸構造を表面に有する円盤状の磁気記録媒体103(303)が装着されるハードディスク装置であって、磁気記録媒体103(303)を回転させるスピンドルモータ105と、磁気記録媒体103(303)に対し、磁気情報の記録及び再生を行なう記録再生素子210、及び、圧力センサ220(901)を有する磁気ヘッド101(900)と、磁気ヘッド101(900)を磁気記録媒体103(303)の回転方向に対して交差する方向に移動させる駆動部104と、圧力センサ220(901)からの出力をトラッキング信号として用いて、駆動部104を制御する制御部106とを含み、圧力センサ220(901)は、凸部507及び凹部506に対向する位置に設けられる。
情報記録再生装置100及びその変形例において、制御部106は、磁気記録媒体103表面の凹凸構造に対向する位置に設けられる圧力センサ220(901)からの出力をトラッキング信号として用いて、駆動部104による磁気ヘッド101の移動を制御する。このように、制御部106は、磁気記録媒体103の回転時において、圧力センサ220(901)と凸部507との間に生じる気圧と、圧力センサ220(901)と凹部506との間に生じる気圧との違いに基づく圧力センサ220(901)の出力を用いてトラッキング制御を行なうので、磁気ヘッド101と凸部507との相対的な位置ずれを即時に応答性良く検出することができる。したがって、狭小化された記録トラック幅を有する磁気記録媒体103(303)に対しても、高精度にトラッキング制御を行なうことができるので、磁気情報の記録及び再生を正確に行なうことができる。
また上記第1の実施の形態によれば、圧力センサ220は、圧力センサ220の幅が、1つの凸部507の幅(60nm)と、この凸部507に隣接する2つの凹部506の幅(40nm×2)とを含む大きさ(140nm)となるように形成され、制御部106は、圧力センサ220からの出力が最小値をとるように、駆動部104を制御する。これによって、トラッキング制御をより一層高精度に行なうことができる。
なお、圧力センサ220は、圧力センサ220の幅が、1つの凹部506の幅(40nm)と、この凹部506に隣接する2つの凸部507の幅(60nm×2)とを含む大きさ(160nm)となるように形成されてもよい。この場合、制御部106は、圧力センサ220からの出力が最大値をとるように、駆動部104を制御する。
また上記第1の実施の形態によれば、磁気ヘッド900は、記録再生素子210、及び、2つの圧力センサ901a,901bを有し、圧力センサ901a,901bは、記録再生素子210に対し、磁気記録媒体103の回転方向に対して互いに対称となるようにそれぞれ設けられ、制御部106は、2つの圧力センサ901a,901bからの出力の差が0をとるように、駆動部104を制御する。これによって、2つの圧力センサ901a,901bが外乱を受けた場合においても、外乱の影響が低減されるので、トラッキング制御をより一層高精度に行なうことができる。
また上記第1の実施の形態によれば、磁気記録媒体103の、凸部507の上面から所定の距離離れた位置に、磁気情報を記録するための記録層502が形成され、凹部506の上面から上記所定の距離離れた位置には、記録層502が形成されない。このように記録層502が形成されることによって、記録再生素子210を有する磁気ヘッド101と磁気記録媒体103との接触による不具合を生じさせることなく、磁気情報の記録又は再生時において、記録層502と磁気ヘッド101との距離を短くすることができる。したがって、より一層信頼性の高い磁気情報の記録及び再生を行なうことができる。
[第2の実施の形態]
〈情報記録再生装置1000の構成〉
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る情報記録再生装置1000の構成を示す斜視図である。図14を参照して、情報記録再生装置1000は、光ディスク装置である。情報記録再生装置1000は、光情報の記録及び再生を行なう光ヘッド1101と、光ヘッド1101を支持固定する支持部材1102と、支持部材1102に連結され、支持部材1102を光記録媒体1103の下方で光記録媒体1103のトラックの延びる方向と交差する方向に駆動して光ヘッド1101を所望の位置に移動させる駆動部1104と、円盤状の光記録媒体1103を回転駆動させるスピンドルモータ1105と、これらを制御するための制御部1106と、を含む。制御部1106は、駆動部1104による支持部材1102の駆動を制御する機能、及び、光ヘッド1101との電気信号の送受信を行なう信号処理系としての機能等を有する。情報記録再生装置1000において、光ヘッド1101及び光記録媒体1103を除く上記した各部の構成は、当該分野において一般的な構成である。本実施の形態において、支持部材1102は、スライダ機構によって滑動する構成であるが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、支持部材1102は、当該分野において一般的に使用されるアクチュエータによって駆動されることで移動する構成であってもよい。
情報記録再生装置1000において、スピンドルモータ1105が回転駆動されることによって、光情報を記録する光記録媒体1103が回転する。駆動部1104の駆動によって光ヘッド1101が光記録媒体1103の下方を移動して、光記録媒体1103に対して光情報の記録及び再生を行なう。
図15は、光ヘッド1101における、装着された光記録媒体1103に対向する面の構成を示す平面図である。図15を参照して、光ヘッド1101は、支持部材1102上面の中央部に固定される直方体状の保持部材1200と、保持部材1200における光記録媒体1103に対向する面(以下「上面」と記す場合がある。)に形成される記録再生素子1210及び2つの圧力センサ1220a,1220bと、を含む。圧力センサ1220a、記録再生素子1210、及び、圧力センサ1220bは、保持部材1200上面の中央部に、保持部材1200の短手方向に沿ってこの順に並んで形成される。すなわち、圧力センサ1220a,1220bは、記録再生素子1210を挟むように形成される。圧力センサ1220a,1220bは、保持部材1200の上面において、記録再生素子1210に対し、光記録媒体1103の回転方向に対して互いに対称となる位置にそれぞれ設けられる。
保持部材1200としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、保持部材1200として、幅0.7mm、高さ0.23mm、奥行0.85mmのAlTiCからなるスライダ基板を使用する。なお、支持部材1102がアクチュエータによって駆動される構成である場合、保持部材1200がアクチュエータを兼ねてもよい。この場合、保持部材1200のサイズとしては、記録再生素子1210及び圧力センサ1220a,1220bを搭載可能な大きさであればよい。
記録再生素子1210は、光記録媒体1103に記録される光情報の読出し(再生)及び光記録媒体1103に対して光情報の書込み(記録)を行なうレーザ素子と、レーザ光を絞る絞り部材と(以上いずれも図示せず)を含む。記録再生素子1210のサイズとしては、当該分野において一般的なサイズであれば特に限定されない。本実施の形態では、記録再生素子1210として、保持部材1200の上面において、一辺の長さが1μmの正方形領域を占めるサイズのものを使用する。
図16は、圧力センサ1220aの構成を示す図である。図16(A)は、装着された光記録媒体1103側から圧力センサ1220aを見たときの平面図であり、図16(B)は、図16(A)に示す圧力センサ1220aの16−16線断面図である。なお、圧力センサ1220bの構成は、圧力センサ1220aの構成と同じである。図16(A)及び図16(B)を参照して、圧力センサ1220aは、直方体状の圧電体1402と、圧電体1402の長手方向一端部を、保持部材1200側とその反対側とからこの順に挟むように設けられる下部電極1406及び上部電極1404と、圧電体1402の長手方向他端部を保持部材1200側から支持するように設けられる支持層1408と、を含む。
圧電体1402には、第1の実施の形態の圧電体402と同様のものを使用できる。本実施の形態では、幅200nm、高さ50nm、奥行400nmのPZTからなる圧電体1402を使用する。
上部電極1404には、第1の実施の形態の上部電極404と同様のものを使用できる。本実施の形態では、上部電極1404として、幅60nm、厚み50nmの、Pt上にTiが積層された金属膜を使用する。
下部電極1406には、第1の実施の形態の下部電極406と同様のものを使用できる。本実施の形態では、下部電極1406として、幅60nm、厚み50nmの、Ti上にPtが積層された金属膜を使用する。
支持層1408には、第1の実施の形態の支持層408と同様のものを使用できる。本実施の形態では、支持層1408として、幅60nm、厚み50nmの、Ti上にPtが積層された金属膜を使用する。
圧電体1402、上部電極1404、下部電極1406及び支持層1408の厚み等のサイズとしては特に限定されず、光記録媒体1103の構成等に応じて適宜設定されればよい。なお、圧力センサ1220a,1220bは、第1の実施の形態の圧力センサ220と同様の製造方法によって製造できる。
ここで、情報記録再生装置1000に装着される光記録媒体1103の構成について説明する。図17は、光記録媒体1103の構成を示す断面図である。図17を参照して、光記録媒体1103は、円盤状の基板1501と、基板1501の下面に形成される複数の凸層1502と、基板1501の上面にこの順に積層される、第1の保護層1503、記録層1504、第2の保護層1505、反射層1506及びカバー層1507と、を含む。
基板1501としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、基板1501がポリカーボネート基板からなるものを使用する。
複数の凸層1502は、基板1501の下面、すなわち光ヘッド1101側の面の表面に、一定間隔を空けて同心円状に形成される。凸層1502の構成材料としては、基板1501表面に複数の凸構造を形成可能であり、かつ、光情報の記録及び再生に用いる光を透過可能なものであれば特に限定されない。本実施の形態では、凸層1502がSiO2膜からなるものを使用する。
第1の保護層1503及び第2の保護層1505は、外部からの物理的な接触から記録層1504を保護する機能と、記録層1504の酸化劣化を防ぐ酸化防止層としての機能とを有する。第1の保護層1503及び第2の保護層1505としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、第1の保護層1503及び第2の保護層1505がZnO−SiO2膜からなるものを使用する。
記録層1504は、光情報を記録する。記録層1504としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、記録層1504がGeSbTe膜からなるものを使用する。
反射層1506は、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、反射層1506がアルミニウム(Al)膜からなるものを使用する。
カバー層1507は、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されない。本実施の形態では、カバー層1507がポリカーボネート膜からなるものを使用する。
基板1501、凸層1502、第1の保護層1503、記録層1504、第2の保護層1505、反射層1506及びカバー層1507の厚みとしては特に限定されず、用途等に応じて適宜設定されればよい。
上記したように、光記録媒体1103の下面には複数の凸層1502が形成されるので、光記録媒体1103の下面表面は、凹部1508と凸部1509とが同心円状に交互に配置された形状となる。本実施の形態において、凹部1508には記録トラックが形成され、凸部1509には記録トラックが形成されない。すなわち、凹部1508に相当する部分に位置する記録層1504に、光情報が記録される。凸部1509と凹部1508との高さの差は、1nm〜1000nmであることが好ましい。本実施の形態では、光記録媒体1103として、凸部1509と凹部1508との高さの差が50nmであり、凸部1509の半径方向の幅が300nmであり、凹部1508の半径方向の幅が200nmであるものを使用する。以下の説明及び図面において、個々の凸部1509及び凹部1508を区別する場合には、アルファベットを参照符号の末尾に付し、総称する場合は参照符号のみで表す。
図18は、光ヘッド1101と光記録媒体1103との相対的な位置関係を示す平面図であり、図19は、図18に示す光ヘッド1101及び光記録媒体1103の18−18線断面図である。図18及び図19を参照して、記録再生素子1210(幅1μm)は、記録再生素子1210の幅が、1つの凹部1508(幅200nm)の幅と、それに隣接する2つの凸部1509(幅300nm)の幅とを含む領域に対向する位置に存在する場合、すなわち、記録再生素子1210が、凹部1508cと凸部1509dとの境界、及び、凸部1509eと凹部1508eとの境界を含む領域に対向する位置に存在する場合に、光情報の記録及び再生を行なうことができる。特に、記録再生素子1210の幅を二等分する中心線(図示せず。)が、凹部1508dの幅を二等分する中心線(図示せず。)に対向する位置に存在する場合に、凹部1508dに対する光情報の記録及び再生を最も正確に行なうことができる。記録再生素子1210が、上記した光情報の記録及び再生を最も正確に行なうことができる位置に存在するとき、圧力センサ1220aは、圧力センサ1220aの幅を二等分する中心線(図示せず。)が、凸部1509fと凹部1508fとの境界線に対向する位置に存在する。圧力センサ1220bは、圧力センサ1220bの幅を二等分する中心線(図示せず。)が、凹部1508bと凸部1509cとの境界線に対向する位置に存在する。このとき、圧力センサ1220a,1220bに対向する領域に存在する凹部1508及び凸部1509の割合が同じになるので、光記録媒体1103の回転時において、圧力センサ1220a,1220bの出力値の差は0をとる。したがって、制御部1106は、圧力センサ1220a,1220bの出力値の差が0をとるように、駆動部1104を制御することで、高精度にトラッキング制御を行なうことができる。
〈光記録媒体1103の製造方法〉
図20は、光記録媒体1103の製造方法の一例を示す図である。図20を参照して、光記録媒体1103は、フォトリソグラフィー等の微細加工技術を用いて、以下のようにして製造される。
図20(A)を参照して、まず、基板1501表面に、スパッタ法等の公知の方法を用いて、SiO2からなる厚み50nmの膜1801を成膜する。
図20(B)を参照して、膜1801表面に、一定膜厚のレジスト1802を塗布する。次いで、露光装置を用いて、所望のマスクパターンが形成されたマスクを介してレジスト1802表面を感光させる。感光後、現像液に浸すことで現像処理を行ない、レジスト1802の不要な部分(凸層1502を形成しない部分)を除去することで所望のレジストパターンを形成する。
図20(C)を参照して、ドライエッチング等の公知の方法を用いて、膜1801の、レジスト1802によって被覆されていない部分を除去する。次いで、レジスト1802を溶解する溶液に全体を浸漬してレジスト1802を除去することで、複数の凸層1502を形成する。
図20(D)を参照して、基板1501の、凸層1502が形成された面とは反対側の面の表面に、スパッタ法等の公知の方法を用いて、厚み50nmの第1の保護層1503、厚み30nmの記録層1504、厚み30nmの第2の保護層1505、及び、厚み30nmの反射層1506を、この順に成膜して積層する。次いで、反射層1506表面に、厚み0.8mmのカバー層1507を貼り付けることで、光記録媒体1103を製造できる。
このように、光記録媒体1103は、フォトリソグラフィー等の微細加工技術を用いて製造されるので、数十nm単位の幅を有する凹部1508及び凸部1509を精度良く製造することができる。
〈動作〉
図14〜図19を参照して、光情報の再生又は記録時において、情報記録再生装置1000は、以下のように動作する。なお、以下に示す動作を除いた情報記録再生装置1000の動作は、従来の一般的な情報記録再生装置の動作と同じである。
情報記録再生装置1000において、まず、スピンドルモータ1105の回転駆動によって光記録媒体1103が回転し、空気流が発生する。光ヘッド1101は、駆動部1104によって光記録媒体1103の回転方向に対して交差する方向に移動するように制御され、記録再生素子1210は、光記録媒体1103に対して光情報の再生又は記録を行なう。このとき、発生した空気流によって圧力センサ1220a,1220bと光記録媒体1103との間に気圧が生じる。圧力センサ1220a,1220bは、この気圧の変化を検出して出力値として制御部1106に対して出力する。制御部1106は、圧力センサ1220a,1220bの出力値の差の0からのずれを検出することで、光ヘッド1101と凹部1508との位置ずれを検出する。そして、入力された出力値の差が0をとるように駆動部1104を制御することで、トラッキング制御を行なう。
[変形例]
上記第2の実施の形態においては、基板1501の下面に複数の凸層1502が設けられたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、基板1501自体が、下面表面に凹凸構造を有するものであってもよい。
また、カバー層1507の上面に複数の凸層1502が設けられてもよい。この場合、光ヘッド1101及び支持部材1102等は、装着された光記録媒体1103の上方に位置するように設けられ、光情報の記録再生は、カバー層1507側から行なわれる。凸層1502の構成材料としては、カバー層1507表面に複数の凸構造を形成可能であり、かつ、光情報の記録及び再生に用いる光を透過可能なものであれば特に限定されない。
〈作用・効果〉
上記第2の実施の形態によれば、情報記録再生装置1000及びその変形例は、凹部1508と凸部1509とが同心円状に交互に配置される凹凸構造を表面に有する円盤状の光記録媒体1103が装着される光ディスク装置であって、光記録媒体1103を回転させるスピンドルモータ1105と、光記録媒体1103に対し、光情報の記録及び再生を行なう記録再生素子1210、及び、圧力センサ1220を有する光ヘッド1101と、光ヘッド1101を光記録媒体1103の回転方向に対して交差する方向に移動させる駆動部1104と、圧力センサ1220からの出力をトラッキング信号として用いて、駆動部1104を制御する制御部1106とを含み、圧力センサ1220は、凸部1509及び凹部1508に対向する位置に設けられる。
情報記録再生装置1000及びその変形例において、制御部1106は、光記録媒体1103表面の凹凸構造に対向する位置に設けられる圧力センサ1220からの出力をトラッキング信号として用いて、駆動部1104による光ヘッド1101の移動を制御する。このように、制御部1106は、光記録媒体1103の回転時において、圧力センサ1220と凸部1509との間に生じる気圧と、圧力センサ1220と凹部1508との間に生じる気圧との違いに基づく圧力センサ1220の出力を用いてトラッキング制御を行なうので、光ヘッド1101と凹部1508との相対的な位置ずれを即時に応答性良く検出することができる。したがって、狭小化された記録トラック幅を有する光記録媒体1103に対しても、高精度にトラッキング制御を行なうことができるので、光情報の記録及び再生を正確に行なうことができる。
また上記第2の実施の形態によれば、光ヘッド1101は、記録再生素子1210、及び、2つの圧力センサ1220a,1220bを有し、圧力センサ1220a,1220bは、記録再生素子1210に対し、光記録媒体1103の回転方向に対して互いに対称となるようにそれぞれ設けられ、制御部1106は、2つの圧力センサ1220a,1220bからの出力の差が0をとるように、駆動部1104を制御する。これによって、2つの圧力センサ1220a,1220bが外乱を受けた場合においても、外乱の影響が低減されるので、トラッキング制御をより一層高精度に行なうことができる。
また上記第2の実施の形態によれば、光記録媒体1103の、凹部1508に対応する部分において、光ヘッド1101から所定の距離離れた位置に、光情報を記録するための記録層1504が形成される。このように記録層1504が形成されることによって、光ヘッド1101から記録層1504に対して発射される光において、光記録媒体1103の入射面から記録層1504までの光路長を短くすることができる。したがって、より一層信頼性の高い情報の記録及び再生を行なうことができる。
また上記第1及び第2の実施の形態によれば、圧力センサ220(901),1220は、圧電体402,1402と、圧電体402,1402を挟むように設けられる上部電極404,1404及び下部電極406,1406とを含む。このように、圧力センサ220(901),1220が、製造が容易な簡単な構造であることによって、高精度のトラッキング制御が可能な情報記録再生装置100,1000をより一層容易に製造することができる。また、圧力センサ220(901),1220は、圧電体402,1402の変形量を検出するので応答性に優れる。したがって、より一層高精度なトラッキング制御を行なうことができる。
また上記第1及び第2の実施の形態によれば、凸部507,1509及び凹部506,1508のうちいずれか一方には、情報が記録される記録トラックが形成され、他方には、情報が記録されない非記録トラックが形成される。これによって、狭小化された記録トラック幅を有する磁気記録媒体103及び光記録媒体1103に対しても、より一層高精度にトラッキング制御を行なうことができるようになり、情報の記録及び再生をより一層正確に行なうことができるようになる。
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、圧力センサ220(901),1220には、圧電体402,1402、上部電極404,1404、下部電極406,1406及び支持層408,1408からなるものを使用したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、磁気記録媒体103又は光記録媒体1103の回転時において、圧力センサ220(901),1220と凸部507,1509との間に生じる気圧と、圧力センサ220(901),1220と凹部506,1506との間に生じる気圧との違いに基づく静電容量の変化量等を検出するものを使用してもよい。
また上記実施の形態では、磁気記録媒体103及び光記録媒体1103は円盤状であったが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、磁気記録媒体103及び光記録媒体1103はカード状であってもよい。この場合、複数の凸部507,1509は並行直線状に形成されることが好ましい。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、この発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。この発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。