JP3617806B2 - 熱アシスト磁気ヘッド及びそれを用いた熱アシスト磁気記録装置 - Google Patents

熱アシスト磁気ヘッド及びそれを用いた熱アシスト磁気記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3617806B2
JP3617806B2 JP2000215291A JP2000215291A JP3617806B2 JP 3617806 B2 JP3617806 B2 JP 3617806B2 JP 2000215291 A JP2000215291 A JP 2000215291A JP 2000215291 A JP2000215291 A JP 2000215291A JP 3617806 B2 JP3617806 B2 JP 3617806B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
recording medium
magnetic
assisted magnetic
slider
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000215291A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002032901A (ja
Inventor
実 米澤
誠 朝倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2000215291A priority Critical patent/JP3617806B2/ja
Publication of JP2002032901A publication Critical patent/JP2002032901A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3617806B2 publication Critical patent/JP3617806B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Magnetic Heads (AREA)
  • Recording Or Reproducing By Magnetic Means (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、記録媒体に対向して配置され、該記録媒体を加熱昇温して記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した記録層に記録磁界を印加することにより、磁気的情報を記録する熱アシスト磁気ヘッド及びこれを用いた熱アシスト磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録方式を用いた磁気記録装置は、年率100%近い驚異的なスピードで記録密度の高密度化を達成している。実際、1平方インチあたり100Gビットの記録密度がここ2年ほどのうちに研究レベルで達成されそうな勢いで、商品化もさらに加速して行われるものと予測される。
【0003】
しかし、一方でこの高密度化を妨げる要因もいくつか指摘されている。そのひとつは、記録媒体の熱擾乱耐性に関する問題であり、いま一つは、トラックピッチを狭くしたときのトラッキング方法に関する問題である。
【0004】
はじめに、第1の問題点である媒体の熱擾乱耐性について説明する。
【0005】
磁気記録の高密度化は、記録セルサイズの微細化により実現するが、記録セルの微細化により記録媒体からの信号磁界強度が減少するため、所定の信号対雑音比(S/N)を確保する上では、記録媒体ノイズの低減が必須となる。記録媒体ノイズの主因は、磁化転移部の乱れであり、乱れの大きさは記録媒体の磁化反転単位に比例する。磁気媒体には多結晶磁性粒子からなる薄膜(多粒子系薄膜)が用いられているが、この多粒子系薄膜の磁化反転単位は、粒子間に磁気的な交換相互作用が生じる場合、交換結合された複数の磁性粒子から構成される。
【0006】
従来、例えば数100Mbpsiから数Gbpsiの記録密度において、記録媒体の低ノイズ化は、主に磁性粒子間の交換相互作用を低減し磁化反転単位を小さくすることにより実現してきた。最新の10Gbpsi級の記録媒体における磁化反転単位は粒子2〜3個分にまで縮小されており、近い将来、磁化反転単位は磁性粒子1個に相当するまで縮小するものと予想される。
【0007】
従って、今後さらに磁化反転単位を縮小して所定のS/Nを確保するためには、磁性粒子自身を小さくする必要がある。磁性粒子の体積をVとおくと粒子の持つ磁気異方性エネルギーはKuVで表される。ここで、Kuは磁性粒子の磁気異方性エネルギー密度である。低ノイズ化のためにVを小さくするとKuVが小さくなり、室温付近の熱エネルギーによって記録情報が乱れるという熱擾乱問題が顕在化する。
【0008】
Shallokらの解析によれば、磁性粒子の磁気異方性エネルギーと熱エネルギー(kT:kはボルツマン定数、Tは絶対温度)の比、KuV/kTが100程度の値でないと記録寿命の信頼性を損ねる。従来から記録媒体の記録層に用いられてきたCoCr基合金のKu(2〜3×10erg/cc)では、低ノイズ化のために磁性粒子の微細化を進めると熱擾乱耐性の確保が困難な状況になりつつある。
【0009】
そこで、近年CoPt、FePdなど10erg/cc以上のKuを示す材料が注目を浴びてきているが、磁性粒子の微細化と熱擾乱耐性を両立するために単純にKuを上げると別の問題が顕在化する。それは記録感度の問題である。すなわち、記録媒体の記録層のKuを上げると記録媒体の保磁力Hc0(Hc0=Ku/Isb、ここでIsbは記録媒体の記録層の正味の磁化を表す)が上昇し、Hc0に比例して飽和記録に必要な磁界が増加する。
【0010】
磁気ヘッドから発生し記録媒体に印加される記録磁界は記録コイルへの通電電流の他に、記録磁極材料、磁極形状、スペーシング、記録媒体の種類、膜厚等に依存するが、記録の高密度化に伴い記録磁極先端部のサイズが縮小することを考慮すると、発生磁界の大きさには限界がある。
【0011】
例えば、最も発生磁界の大きな単磁極ヘッドと軟磁性裏打ち垂直記録媒体の組み合わせでも、記録磁界の大きさは高々10kOe程度が限界である。一方で将来の高密度・低ノイズ記録媒体に必要な5nm程度の磁性粒子の粒径で、十分な熱擾乱耐性を得る上では、10erg/cc以上のKuを示す材料を採用する必要があり、この場合、室温付近における記録媒体の記録に必要な磁界は10kOeを軽く上回る。従って、通常の磁気ヘッドでは記録ができなくなる。即ち、単純に記録媒体のKuを増加させてしまうと、記録自体ができなくなるという問題が顕在化するのである。
【0012】
この相反する命題を解決する手法として、近年注目されているのが、基本的には磁気異方性エネルギー密度Kuの高い記録層を採用し、記録時には加熱して記録層の保磁力を低下させ、現存の磁気ヘッドの磁束での記録を可能とするいわゆる熱アシスト磁気記録技術(特開平2−37501号公報参照)である。これは記録層自身のもつ磁気異方性エネルギーが、その温度の関数として変化することに着目したものである。この手法によれば、記録しない部分は熱擾乱の影響を受けない高い磁気異方性エネルギーを持つため、磁化反転単位が小さい場合でも高い信号品質を持ち、また記録する部分は加熱により磁気異方性エネルギーが下がるため既存の磁気ヘッドの記録磁束で記録が可能となる。
【0013】
しかし、このような方式で問題となるのは加熱手段である。エネルギー密度的には有利な光を利用した方法などが提案されているが、光で加熱できるスポットの縮小化には限界がある。
【0014】
一般に小さな加熱スポットを得る手段として、エバネッセント波などを用いて小さな光のスポットを形成する手段や、微小な光学的開口部を設けて光照射エリアを限定する方法などが提案されている。SIL(Solid Imersion Lens)などを用いて実効的なNA(Numerical Aperture)を1以上とし短波長のレーザを用いれば、そのスポット径は200nm程度にまでなら小さくすることが可能である。しかし、光のスポットが200nm程度でも記録可能な熱のスポットはそれより大きくなることがあり、高密度記録を行う磁気記録装置で必要とされる記録トラックのトラックピッチが100nm程度以下であることから、隣接トラックを過度に加熱してしまうことが避けられない可能性がある。
【0015】
一方、光学的開口部を用いた場合、基本的にはその照射エリアを小さくすることは可能であり、開口部の加工限界まで小さくすることができる。しかし、この方式の場合、開口部の透過効率が低くなることが予想され、十分な加熱を行うためには大出力の光源を用いなければならないなどの問題があった。
【0016】
次に、第2の問題点である高精度トラッキング方法について説明する。現在の磁気記録装置におけるトラックピッチは1ミクロン程度であり、正確な信号を記録再生するためには、この約10%にあたる0.1ミクロン程度の位置決め精度が必要とされる。記録媒体が高速に回転する磁気記録装置においては、その回転数が70Hz程度であり、この周波数で発生する振動外乱を抑圧して上記位置決め精度を達成することが課題である。従来の磁気記録装置においては、この外乱が極力発生しないように設計されるのが一般的であり、制御系に必要なゲインもそれほど高くする必要がなかった。従って、現状の制御の帯域は高々500Hz前後である。
【0017】
しかし、昨今の高密度化の影響を受けて、許容される位置決め精度が厳しい値になってきている。100Gbpsi以上の記録密度においては、トラックピッチは数100nm以下のオーダになり、位置決め精度も数10nmの値が必要となってくる。これに伴い、制御帯域は数kHzオーダを実現することが不可欠となっている。
【0018】
この高帯域制御系を実現するひとつの手法は、サンプリングの周波数をあげることである。現状、磁気記録装置で採用されているサーボ情報の取得方法は、サンプルサーボ方式ないしはセクタサーボ方式と呼ばれ、データ面上にあらかじめ埋め込まれた磁気的サーボ情報を再生しながら、同時に記録再生すべき磁気信号を記録再生するものである。たとえば、ディスク一周あたり60のセクタに分割され、各セクタに情報を記録再生する磁気記録装置では、各セクタの前部にサーボ情報の書き込まれたサーボセクタが存在する。ディスクが70Hzで回転する場合、このサーボセクタの情報を4.2kHzで読み取ることになり、これがサンプリング周波数となる。前記した制御帯域は、一般にこのサンプリング周波数の1/10程度にしか上げることができない。すなわち、高帯域制御系を実現するには、サーボ情報のサンプリング周波数を上げる必要があるのである。数kHz以上の制御帯域を実現するためには、数10kHzのサンプリング周波数が不可欠である。
【0019】
このように高帯域制御系を実現するために、サンプリング周波数を上げる必要がある。これを容易に実現する方法として、ディスク一周あたりのサーボセクタ領域を増やすことが考えられる。しかし、このようにサーボ情報を増やしてしまうと、記録可能領域においてデータを記録する領域を減らしてしまうことになる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、高密度記録を行う磁気記録装置では、磁化反転単位が小さくなる。これによって記録媒体の熱擾乱の問題が発生するため、熱擾乱耐性の高い、高磁気異方性エネルギーの磁気記録層の採用が必要になっていた。高磁気異方性エネルギー有する記録層への記録には大きな磁束を発生させる記録ヘッドが必要であるが、材料的な限界が知られている。この限界を考慮すると、高密度記録自体が不可能となるが、記録時に記録媒体の記録層の磁気異方性エネルギーを低下させる熱アシスト磁気記録技術が提案されている。この技術は、記録時に記録媒体を加熱する手法だが、この加熱手段によって形成される熱のスポットの縮小化には限界がある。つまり、高密度記録を行う磁気記録装置で想定される磁化反転単位のサイズより大幅に大きな熱のスポットしか形成できない可能性があり、記録に関係する記録媒体の部分以外の部分、すなわち隣接する記録トラックをも加熱してしまうことが避けられなかった。すなわち、このように記録しない部分を加熱してしまうことによって、その部分の磁気異方性エネルギーが低下してしまうため、熱擾乱によって隣接する記録トラックに記録された信号磁化が消去または劣化してしまう虞があった。
【0021】
また、高密度記録を行う磁気記録装置では、トラックピッチを狭くすることが不可欠であり、これにトラッキング制御する必要がある。このトラッキング制御の帯域は数kHz程度が必要であり、この実現のためには数10kHzのサンプリング周波数の実現が不可欠である。しかし、そのためにサーボ情報を増加させると、記録可能な領域において情報を記録するための領域を減らしてしまうという問題があたった。
【0022】
上記した問題に対し、本発明では、加熱手段によって形成された熱スポットによって、隣接トラックが加熱されて信号が消去されてしまう現象が発生するのを回避することが可能な熱アシスト磁気ヘッド及びそれを用いた熱アシスト磁気記録装置の提供を目的とする。
【0023】
また、本発明では、高周波のサンプリングを実現して高い帯域の位置決め制御を達成することが可能な熱アシスト磁気記録装置の提供を目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、回転可能な記録媒体に対向して配置され、該記録媒体を加熱昇温して記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した記録層に記録磁界を印加することにより、磁気的情報を記録可能な熱アシスト磁気ヘッドであって、前記記録媒体に対向して配置されるスライダと、このスライダの前記記録媒体との対向面に配置され、かつ前記記録媒体を加熱するための加熱手段から出射されたエネルギー線を前記記録媒体に向けて放出する放出部と、前記スライダの前記対向面において前記放出部の中心部を通り該記録媒体の回転方向に沿った方向に関して対称な位置に配置され、かつ前記記録層に記録磁界を印加する複数の磁気記録素子とを備えたことを特徴とする熱アシスト磁気ヘッドを提供する。
【0025】
また、本発明では、記録媒体を加熱昇温して記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した記録層に記録磁界を印加することにより、磁気的情報を記録する熱アシスト磁気記録装置であって、前記記録媒体を回転可能に保持する駆動手段と、前記記録媒体を加熱するためのエネルギー線を出射する加熱手段と、前記記録媒体に対向して配置されるスライダと、このスライダの前記記録媒体との対向面に配置され、かつ前記加熱手段から出射されたエネルギー線を前記記録媒体に向けて放出する放出部と、前記スライダの記録媒体対向面において前記放出部の中心部を通り該記録媒体の回転方向に沿った方向に関して対称な位置に配置され、かつ前記記録層に記録磁界を印加する複数の磁気記録素子とを備えた熱アシスト磁気ヘッドと、この熱アシスト磁気ヘッドを前記記録媒体上の所定位置に位置決めするための位置決め手段とを備えたことを特徴とする熱アシスト磁気記録装置を提供する。
【0026】
さらに、本発明では、ディスク状に形成され、同心円状もしくは螺旋状に設けられた複数の記録トラックを備えた記録媒体と、この記録媒体を回転可能に保持する回転駆動手段と、前記記録媒体の記録層の保磁力を低下させるべく該記録媒体を加熱昇温するためのエネルギー線を出射する加熱手段と、前記記録媒体に対向して配置されるスライダと、このスライダの前記記録媒体との対向面に配置され、かつ前記加熱手段から出射されたエネルギー線を前記記録媒体に向けて放出する放出部と、前記スライダの記録媒体対向面において前記放出部の中心部を通り該記録媒体の回転方向に沿った方向に関して対称な位置に配置され、かつ保磁力が低下した前記記録層に記録磁界を印加する複数の磁気記録素子と、この磁気記録素子により記録された磁気的情報を再生するための複数の磁気再生素子とを備えた熱アシスト磁気ヘッドと、この熱アシスト磁気ヘッドを前記記録媒体上の所定位置に位置決めするための位置決め手段とを備えたことを特徴とする熱アシスト磁気記録装置を提供する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
まず、本発明に係る熱アシスト磁気記録装置の概略について図1を参照しつつ説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る熱アシスト磁気記録装置を示す概略構成図である。
【0030】
記録媒体101はスピンドルモータ110に装着され、所定の回転数で回転される。記録媒体を加熱昇温するための加熱手段、記録媒体上において浮上もしくは接触した状態で情報の記録を行う磁気記録素子、及び記録した情報の再生を行う磁気再生素子を搭載したスライダ103は、薄膜状のサスペンション150の先端にジンバルを介して取り付けられている。なお、スライダ103はディスクの両面に設けられ、両面にアクセス可能に構成されることが多い。サスペンション150は、駆動コイルを保持するボビン部などを有するアクチュエータアーム102の一端に接続されている。一方、アクチュエータアーム102の他端には、ボイスコイルモータ120が設けられる。このボイスコイルモータ120は、前記駆動コイルを挟むように対向して設けられた、永久磁石および対向ヨークからなる磁気回路から構成される。アクチュエータアーム102は、軸受け部130によって回転可能に支持されており、前記ボイスコイルモータ120の駆動によって該アクチュエータアーム102が回転し、前記スライダ103が記録媒体101上の所定位置に位置決めされる構成となっている。
【0031】
このときの位置決め信号は、記録媒体上のヘッダ領域にあらかじめ磁気記録されたサーボセクタから読み取られる磁気的なサーボ情報を用いて演算されている。図2に記録媒体の記録トラック上におけるサーボ情報の概略構成を示す。記録トラック200上には各情報記録セクタ207の前部にサーボ情報201,202が設けられている。このサーボ情報としては、図に示すような、磁化方向の異なる信号が記録されており、この信号がスライダに搭載された磁気再生素子205によって再生されて、この再生信号206から、たとえば再生信号振幅が一定となるようにスライダの位置決めがなされる。なお、ヘッダ領域にはさらにスライダのシーク時におけるトラキングを行うためのサーボ情報203,204が設けられている。
【0032】
次に、図3及び図4を用いて、熱アシスト磁気記録における記録原理について説明する。
【0033】
図3は、記録媒体を構成する記録層の磁気異方性エネルギー密度Kuと温度Tとの関係を示すグラフである。記録層は室温付近できわめて高いKuを示し、通常の磁気記録素子が発生する磁界では、磁気的な記録が困難である。ところが、温度が上昇すると記録媒体のKuは低下し、温度T1においてKuが磁気記録素子の発生する磁界で記録できる値を下回り磁気的な記録が可能となる。この温度は後述するCoPtの多粒子系媒体の場合、約250℃前後である。
【0034】
さらに温度が高くなると、記録媒体のKuはさらに低下し、温度T2を超えると記録された磁気的情報が熱擾乱によって消失する虞がある。
【0035】
多粒子系薄膜を用いると、図3に示したように、室温で高いKuを示し、記録温度近傍で急峻なKuの低下が起こる。このため、室温では外部磁界を与えても記録情報は変化しないが、記録温度ではKuが1/10程度まで低下するため、磁気記録素子からの磁界で容易に磁気的情報を記録できる。また、温度幅が約50℃の範囲で急峻にKuが変化することから、温度が低下した領域では熱擾乱の影響で記録情報が消失する危機を回避できる。
【0036】
図4は、定常状態での加熱による記録媒体の回転方向に関する磁気異方性エネルギー密度Kuと温度Tとの関係を示す概念図である。
【0037】
加熱手段により記録層が加熱されて温度が上昇し、図4(a)に例示したような温度分布が形成される。記録層は図3に示したような温度特性を有するので、この温度分布に応じて図4(b)に示したようにKuが局所的に低下する(記録層の保磁力が低下することに相当する)。この低Ku域内は、磁気記録素子により書込みが可能な領域である。かかる領域内で磁気記録素子から記録磁界を印加すると、記録層上で情報信号に応じた極性反転が生じ磁気的信号が記録トラックに記録される。
[第1の実施形態]
以下、図5を参照しつつ本発明の第1の実施形態について説明する。前述のように、高密度磁気記録装置では、記録層の磁気異方性エネルギーを高くする必要があり、このような記録媒体には容易に記録することができない。この課題を解決するために加熱手段を設ける方法があるが、加熱手段を設けた場合、スライダに複数の磁気記録素子を設けておくと情報の記録時に隣接トラックの情報を消去せずに、トラックピッチを狭くとることができて、高密度記録が可能な熱アシスト磁気記録装置を構成できる。
【0038】
図5は、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッド及び熱アシスト磁気記録装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。図5では、記録媒体と熱アシスト磁気ヘッドの一部を示している。
【0039】
ここで、記録媒体10は、ガラスや樹脂などからなる基板9の上にCoPt、SmCo、NbCoなどの強磁性膜、あるいはTbFeCoなどのフェリ磁性膜、連続磁性膜、多粒子磁性膜などが記録層として形成されたディスク状の磁気記録媒体である。また、かかる材質の膜の積層構造で記録層が形成されていても構わない。
【0040】
この記録媒体上の記録トラックは、同心円状ないしは螺旋状に設けられる。図6に示すように、記録媒体10上の記録トラック41は、放射状または特定長を守るように情報記録セクタ(データ領域)42に分割される。このセクタの前部には、各セクタのアドレス情報など基本的な情報やサーボ情報が記録されたヘッダ領域43が設けられる。記録媒体への磁気記録は、このヘッダ領域43のサーボ情報を、第1の磁気再生素子、または第2の磁気再生素子で読み出し、そのサーボ情報にしたがってスライダを位置決めし、光照射によって媒体面を加熱して行われる。このサーボ方式の詳細については後述する。
【0041】
次に、図5に戻って、熱アシスト磁気ヘッドの構成について説明する。記録媒体10上を浮上するスライダ1の記録媒体の対向面には加熱手段から出射されるエネルギー線の記録媒体への放出部となる光学的開口部2が設けられている。ここで、加熱方法としては、光照射を仮定し、加熱手段としては例えば発光素子が用いられる。
【0042】
光学的開口部2の中心部(図15のA点参照)を通り記録媒体10の回転方向(図中の矢印で示した方向)に沿った方向に関して対称な位置には、それぞれ第1の磁気記録素子3と第2の磁気記録素子4が該光学的開口部2に近接配置され、そのまた近傍にそれぞれの磁気記録素子3,4の位置に対応して第1の磁気再生素子5と第2の磁気再生素子6が設けられている。
【0043】
磁気記録素子3,4及び磁気再生素子5,6の構成について図7を参照しつつ説明する。ここで、磁気記録素子3,4は垂直記録素子であり、主磁極25、導電性コイル26などから構成されている。また、磁気再生素子5,6は、下磁気シールド層21、絶縁層22、巨大磁気抵抗効果素子23、上磁気シールド層24が順次積層されてなる構造となっている。また、磁気記録素子3,4は、図8に示すようなリング型素子であっても構わない。この場合の磁気記録素子は、下磁極27、絶縁層28、導電性のコイル30、さらに絶縁層29、そして金属磁性体の上磁極31などの積層構造で実現されている。なお、磁気記録素子3,4と磁気再生素子5,6の積層構成によっては、磁気再生素子の磁気シールド層は磁気記録素子の磁極と兼用されていても構わない。
【0044】
各磁気記録素子3,4の主磁極25の記録媒体対向面での幅は、それぞれ約100nm程度以下になるように設けられ、磁気再生素子5、6の記録媒体対向面での幅は、磁気記録素子3,4の主磁極25の幅よりもやや小さくなるように設定されている。なお、図5において、Wで示す方向が記録トラック幅方向である。
【0045】
図9に記録媒体上のトラックと磁気記録素子3,4及び磁気再生素子5,6の記録媒体対向面における関係を示す。光学的開口部2によって媒体上に形成される記録可能温度の分布は16のような円形状となり、同時に特に高い温度の分布は17のように形成される。この記録可能温度分布16の中に、記録トラック18,19が存在し、磁気記録素子3,4によりこの二つのトラックに対して同時に情報の記録が行われる。
【0046】
このような構成とすることにより、光学的開口部2を介して光照射されて加熱された記録媒体上には記録可能な温度分布16すなわち熱スポットが形成される。この熱スポットは、二本のトラックの幅とほぼ同等な大きさの直径をもって形成されればよく、第1の磁気記録素子3と第2の磁気記録素子4のそれぞれで記録媒体への記録が同時に行われる。
【0047】
一方、読み出しは、同様にして第1の磁気再生素子5、または第2の磁気再生素子6で読み出されたサーボ情報にしたがってスライダが目標セクタに位置決めされて、データ領域の情報データが、第1の磁気再生素子5または第2の磁気再生素子6によって、あるいは両素子同時に読み出される。
【0048】
このような構成とすることによって、少なくとも隣接する記録トラックの情報を消去することなしに、高密度な情報記録が行える。
【0049】
また、第1の磁気記録素子3と第2の磁気記録素子4で同時に記録を行うため、情報の書き込みレートを早くすることが可能である。また、第1の磁気再生素子および第2の磁気再生素子で同時に情報を読み出すことで、情報の読み出し時の転送レートをあげることができる。
【0050】
また、図5のような構成で磁気記録素子3,4を配置すれば、光学的開口部2直下の記録トラック間に記録が行われない領域が形成される。これは、記録時に加熱手段により最も高温となる部分に記録を行わないことを意味し、加熱による記録媒体の劣化の影響を受けない情報記録を実現できることになる。磁気記録装置においてはランダムアクセスが行われるため、記録媒体の同一部分が何度も加熱されることになる。したがって、加熱手段により高温に加熱される領域では媒体が劣化しやすく、かかる領域に記憶された情報が失われる虞があるが、本実施形態に係る熱アシスト磁気記録装置においてはかかる虞がなく、装置の長寿命化を図ることができるとともに、高い信頼性を維持することができる。
【0051】
次に、上記したスライダの位置決めに関するサーボ方式について説明する。記録媒体上では、図6に示したように、サーボ情報が記録されたヘッダ領域43が、各情報記録セクタ42と交互に存在する構成となっている。本実施形態では、スライダの位置決めは2トラック同時に行われるので、サーボ情報は隣接する二つの記録トラックの少なくとも一方から得られればよい。例えば、記録トラック44のヘッダ領域は一周あたり150設けられ、もう一方の記録トラック45のヘッダ領域も一周あたり150記録トラック44のヘッダ領域と交互に設けられれば、サーボ情報が一周あたり300得られることになり、回転周波数が70Hzであっても21kHzのサンプリング周波数が得られることになる。従来の手法で21kHZのサンプリング周波数を得るには、すべてのトラックで300のヘッダ領域を設ける必要があり、本実施形態の構成とすることで、サーボ情報に必要な領域を半分に低減して、サンプリング周波数を高くとることが可能となる。
【0052】
また、それぞれのヘッダ領域で得られた再生信号をもとに位置決めサーボ情報を得る過程で、トラック44からのサーボ情報とトラック45からのサーボ情報を独立に処理するのではなく、相関を考慮した信号処理をすることで、さらに高精度なサーボを実現することも可能である。
【0053】
なお、図10に示すように記録トラック44と記録トラック45で一周あたりのサーボセクタの数が異なっていても構わない。例えば、記録トラック44には一周あたり60のサーボセクタ、記録トラック45には一周あたり240のサーボセクタが存在するように構成され記録媒体が70Hzで回転する場合、記録トラック44からのサーボ情報はサンプリング周波数4.2kHz、トラック45からのサーボ情報はサンプリング周波数16.8kHzで得られることになる。このような場合、特に制御的に周波数分離するフィルタを設けることなしに、記録トラック44からのサーボ情報を用いてスライダを支持するサスペンションを駆動する粗アクチュエータが制御され、記録トラック45からのサーボ情報で磁気記録再生素子を微小変位させる精アクチュエータを駆動して、精密な位置決めを実現することも可能である。図11に精アクチュエータを搭載したスライダ1の概略構成を示す。この精アクチュエータは、たとえば圧電素子で構成され、電圧を印加することで、第1の精アクチュエータ14が伸び、第2の精アクチュエータ15が縮んで、可動部52をトラック幅方向に変位させることが可能である。
【0054】
同様にして、図12のように、隣接する記録トラック44には全くヘッダ領域が存在せず、もう一方の記録トラック45にのみヘッダ領域が存在するように構成することも可能である。
【0055】
続いて、記録媒体の加熱手段について説明する。本実施形態では、加熱手段として、もっともエネルギー効率のよい、光を用いた加熱手段を採用している。光を用いる場合、光源をどの位置に置くかによって、必要な光源のパワーが増減するが、例えば図13に示したように、スライダ上に光源となる発光素子(例えばレーザ)13を設けてもよい。このような構成とする場合、図14(a)に示すように発光素子13から射出した光が導波路部50を介して光学的開口部2に照射される。これによって記録媒体10上には、図14(b)に示すような、光の強度分布が得られて、記録媒体10が加熱される。
【0056】
次に、光学的開口部2の形状と磁気記録素子3,4及び磁気再生素子5,6の配置に関してさらに詳しく説明する。
【0057】
図15乃至図18は、加熱手段の放出部である光学的開口部2の形状と磁気記録素子3,4及び磁気再生素子5,6の配置に関する実施形態を示した模式図である。各図はいずれも、光学的開口部2、磁気記録素子3,4の底面、及び磁気再生素子5,6の底面を記録媒体方向から見た状態を示している。
【0058】
図15(a),(b)に示すように、長手方向が記録媒体の回転方向に沿った長方形の光学的開口部2が形成される場合、図9に示したように、光学的開口部2の中心部A近傍の光強度がもっとも強くなる。従って、磁気記録素子3,4は、記録時に記録可能温度分布内に位置するように光学的開口部2の中心部Aに近接して配置する必要がある。そこで、図15に示すように、光学的開口部2に関して対称な位置に磁気記録素子3,4を配置する。これにより、光強度の強い位置、すなわち比較的温度の高い記録可能温度分布内に磁気記録素子3,4を配置することが可能となり、効率的な磁気記録が実現できる。なお、磁気記録素子3,4は光学的開口部2の中心部Aよりもトレーリング側(記録媒体の回転方向下流側)に位置しなければならない。図中でLがリーディング側(記録媒体の回転方向上流側)、Tがトレーリング側を示す。ここで、光学的開口部2の中心部Aから磁気記録素子の中心部Bまでの距離Dは記録可能温度分布を考慮すると記録トラック幅が100nmの場合、50〜300nmの範囲内であることが望ましい。ここで、距離Dが50nmの場合は、磁気記録素子3,4が光学的開口部2に最も近接配置される場合であり、距離Dが300nmの場合は、磁気記録素子3,4が記録可能温度分布外周近傍にを配置される場合である。なお、記録トラック幅がさらに小さくなる場合には、これに比例して距離Dの範囲も小さくすることが望ましい。
【0059】
また、磁気再生素子5,6は、磁気記録素子3,4に対応して、やはり光学的開口部2に関して対称な位置に配置される。その際、磁気再生素子5,6は図15(a)に示すように、磁気記録素子3,4よりもリーディング側(L)に設けられてもよいし、図15(b)に示すように、磁気記録素子3,4よりもトレーリング側(T)に設けられてもよい。
【0060】
なお、光学的開口部2は記録媒体の回転方向に沿った方向に関して対象な形状であればよい。従って、図16(a),(b)に示すような略正方形でもよく、図17(a),(b)に示すように、長手方向が記録媒体の回転方向と垂直な方向に沿った長方形でもよい。また、図18(a),(b)に示すような任意の形状でもよい。
【0061】
また、このとき光学的開口部2は、実際に穴のあいた形状で実現されても構わないし、光を透過する物質が充填されていても構わない。
【0062】
次に、加熱手段の一部である光学的開口部への光の集光手段について詳細に説明する。既に、スライダに発光素子を設ける一実施形態に関しては、図13及び図14を用いて説明した。ここでは、その変形例、並びにその他の実施形態について説明する。
【0063】
図19乃至図23は、加熱手段の一部である光学的開口部への光の集光手段に関する実施形態を示す模式図である。それぞれ、スライダと記録媒体面の断面の模式的に示している。
【0064】
図19に示す構成では、発光素子13からの光をレンズ61で集光し、スライダ上の光学的開口部2に微小なスポットを形成している。ここで、レンズ61の代わりに導波路50を高屈折材料で構成し、その屈折率変化によって微小なスポットを形成するようにしても構わない。
【0065】
図20(a)に示す構成では、一部位相を遅らせる位相差発生器62を配置して、光スポットの強度分布を中心が強くなるように変化させるようにしている。例えば、図20(b)に示すように、位相差発生器62は円環部63を有し、この円環部63を透過した光と円環部63以外を透過した光が、レーザ光源の波長λの1/2の位相差を発生するようにすれば、集光スポットの光強度分布で、図20(c)に示すように中心付近の強度を増大させることが可能である。このように構成することで、光利用効率の高い加熱手段を構成することができる。
【0066】
図21(a)に示す構成では、入射光軸に対してレンズ64を傾けて配置することで、集光面にコマ収差を発生させて、図21(b)に示すように光の強度分布65を制御するようにしている。
【0067】
図22(a)及び図23(a)のように光路中に回折格子66を設けて、図22(b)及び図23(b)に示すように±1次回折光によって集光面での光強度分布を調整することも可能である。図のように光路でλ/2の位相差を発生させるように回折格子66を設けて、強度分布を調整し、所望の温度分布を得るようにしてもよい。
【0068】
このように、最終的に得たいのは熱のスポットであることから、光学的に品位の高い光スポットを実現するよりは、より小さな熱のスポット、あるいは所望の熱スポットを得るように光学系を適宜構成することが可能であり、光学的開口部への光の集光手段を適宜選択することにより、磁気記録素子の配置等との関連で、最適な温度分布を形成することが可能となる。
【0069】
これまでは加熱手段である発光素子がスライダに搭載された構成について述べたが、スライダ外に発光素子を配置して、媒体面を加熱することも可能である。
【0070】
図24乃至図26は、スライダ1の外部に発光素子を設けて構成した実施形態である。図24に示す例では、スライダ1の外部に設けられる図示しない発光素子からの光を、やはりスライダ1の外部に設けられた第1の集光手段71により集光してスライダ1へ導き、さらにスライダ1に設けられた第2の集光手段72を介して光学的開口部に照射する。図25に示す例では、スライダ1の外部に設けられる図示しない発光素子からの光を、やはりスライダ1の外部に設けられた導波路73を介してスライダ1へ導き、さらにスライダ1に設けられた集光手段であるSIL74を介して光学的開口部に照射する。図26に示す例では、記録媒体10として透明媒体を用い、記録媒体10のスライダ1が対向して設けられる面と反対側の面に対向して設けられる第1の集光手段を介して記録媒体10を透過した光が、スライダ1に設けられた反射型の集光手段76を介して光学的開口部に照射される。
【0071】
このように、様々な光学的手段によって光学的開口部への光の集光を行うことが可能である。
[第2の実施形態]
本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドの第2の実施形態について説明する。
【0072】
図27及び図28は、サーボ情報を専用に再生する磁気再生素子81をスライダ1に設けた実施形態を示す模式図である。
【0073】
本実施形態では、図に示すようにサーボ用の磁気再生素子(サーボ情報再生素子)81が1つと、通常の情報を再生する磁気再生素子を2つ(5,6)、磁気記録素子を2つ(3,4)、及び加熱手段から出射された光の放出部である光学的開口部2をスライダ1に搭載した構成となっている。
【0074】
図28(a)にスライダの記録媒体との対向面における各素子及び光学的開口部の配置を示す。光学的開口部2に対して対称に磁気記録素子3,4が配置され、それに対応して磁気再生素子5,6が配置される。また、光学的開口部2の中心部を通り前記記録媒体の回転方向に沿って該光学的開口部2に並んでサーボ用磁気再生素子81が配置される。なお、磁気再生素子5,6及びサーボ情報再生素子81は、図28(b)に示すように配置しても構わない。
【0075】
例えば、図28(a)に示すような配置とすれば、図29に示すように加熱手段によって高温に加熱される領域にサーボ用の磁気再生素子が設けられ、その両脇に情報の記録再生を行う各素子が配置される構成となる。このような配置とすれば、記録トラックの間に設けられる領域にサーボ情報を記録することができ、記録トラックはデータ領域として利用することができることからフォーマット効率を向上させることが可能となる。
【0076】
サーボ情報再生素子81で再生される領域は、上記したように光学的開口部2からの光照射によって記録媒体の温度が最も上がる領域であり、記録媒体が劣化しやすい領域である。そこで、図29(b)に示すよう、あらかじめこの部分の記録層82の厚みを厚くするように記録媒体を構成するようにしてもよい。かかる構成では、厚膜領域にサーボ情報が記録されることになるが、サーボライト時には装置外で温度を上げつつ非常に大きな磁界によってサーボ情報を記録する製作法を用いることにより、装置内での加熱程度では磁気サーボ情報が消去されないような構成することも可能である。
【0077】
また、このサーボ情報が記録される部分のみ記録層の組成を図30のような温度特性を持つ特殊な組成としてもよい。かかる組成を有する記録層では、光を照射することによって残留磁化が増して、加熱時に限りサーボ情報が取り出せるような構成とすることが可能である。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更が可能のである。
【0079】
例えば、磁気記録素子および磁気再生素子は隣接する2本の記録トラックにおいて情報の記録再生を行うような構成となっているが、さらに、素子を設けることにより3本以上の記録トラックにおいて情報の記録・再生を行うようにしてもよい。
【0080】
また、加熱手段として光照射について説明したが、例えば電子線放出等の他の加熱手段を用いてもよい。なお、電子線放出による加熱を行う場合、スライダに設けられる加熱手段の放出部は電子線放出部(例えば電子ビームが電界放出されるエミッタコーンの先端部)となる。
【0081】
また、記録媒体及び磁気記録方式も、垂直記録に限定されず、面内記録であってもよい。
【0082】
また、磁気再生素子は上記した巨大磁気抵抗効果素子を用いるもののみならず、磁気トンネル型磁気抵抗効果素子を用いるものであっても構わない。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加熱手段から出射されるエネルギー線の放出部に近接して複数の磁気記録素子を設け、加熱によって形成される記録可能温度分布内の記録トラックに記録を行うことにより、隣接トラックが加熱されることによって信号磁化が消去されてしまう現象を回避することが可能となるとともに、高周波のサンプリングを実現することができる。
【0084】
また、磁気記録素子および磁気再生素子は加熱中心よりずらした位置に複数配置することで、もっとも加熱の影響を受けて劣化しやすい媒体部分は、情報信号の記録に用いずに常に安定な磁気記録・再生を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱アシスト磁気記録装置を示す概略構成図。
【図2】記録媒体の記録トラック上におけるサーボ情報の概略構成を示す図。
【図3】熱アシスト磁気記録における記録原理の説明図(記録媒体の磁気異方性エネルギー密度Kuと温度Tとの関係を示すグラフ)。
【図4】熱アシスト磁気記録における記録原理の説明図(定常状態での加熱による記録媒体の回転方向に関する磁気異方性エネルギー密度Kuと温度Tとの関係を示す概念図)。
【図5】本発明に係る熱アシスト磁気ヘッド及び熱アシスト磁気記録装置の第1の実施形態を示す概略構成図。
【図6】記録媒体上の記録トラックの構成を示す模式図。
【図7】磁気記録素子及び磁気再生素子の概略構成図。
【図8】リング型磁気記録素子の概略構成図。
【図9】記録媒体上のトラックと磁気記録素子及び磁気再生素子の記録媒体対向面における関係を示す図。
【図10】記録媒体上の記録トラックの構成を示す模式図。
【図11】精アクチュエータを搭載したスライダの概略構成図。
【図12】記録媒体上の記録トラックの構成を示す模式図。
【図13】スライダ上に光源となる発光素子を設けた熱アシスト磁気記録装置の概略構成図。
【図14】スライダ上に光源となる発光素子を設けた熱アシスト磁気ヘッドの概略構成図。
【図15】光学的開口部の形状と磁気記録素子及び磁気再生素子の配置に関する実施形態を示した模式図。
【図16】光学的開口部の形状と磁気記録素子及び磁気再生素子の配置に関する実施形態を示した模式図。
【図17】光学的開口部の形状と磁気記録素子及び磁気再生素子の配置に関する実施形態を示した模式図。
【図18】光学的開口部の形状と磁気記録素子及び磁気再生素子の配置に関する実施形態を示した模式図。
【図19】加熱手段の一部である光学的開口部への光の集光手段に関する実施形態を示す模式図。
【図20】加熱手段の一部である光学的開口部への光の集光手段に関する実施形態を示す模式図。
【図21】加熱手段の一部である光学的開口部への光の集光手段に関する実施形態を示す模式図。
【図22】加熱手段の一部である光学的開口部への光の集光手段に関する実施形態を示す模式図。
【図23】加熱手段の一部である光学的開口部への光の集光手段に関する実施形態を示す模式図。
【図24】スライダの外部に発光素子を設けて構成した熱アシスト磁気記録装置の概略構成図。
【図25】スライダの外部に発光素子を設けて構成した熱アシスト磁気記録装置の概略構成図。
【図26】スライダの外部に発光素子を設けて構成した熱アシスト磁気記録装置の概略構成図。
【図27】サーボ情報を専用に再生する磁気再生素子をスライダに設けた実施形態を示す模式図。
【図28】サーボ情報を専用に再生する磁気再生素子をスライダに設けた実施形態を示す模式図。
【図29】記録媒体上のトラックと磁気記録素子、磁気再生素子及びサーブ情報再生素子の記録媒体対向面における関係を示す図。
【図30】光を照射することによって残留磁化が増加する記録層の組成の温度特性を示す図。
【符号の説明】
1・・・スライダ
2・・・光学的開口部
3・・・第1の磁気記録素子
4・・・第2の磁気記録素子
5・・・第1の磁気再生素子
6・・・第2の磁気再生素子
9・・・基板
10・・・記録媒体
13・・・発光素子
14・・・第2の微小変位アクチュエータ
15・・・第1の微小変位アクチュエータ
21・・・下磁気シールド層
22・・・絶縁層
23・・・巨大磁気抵抗効果素子
24・・・上磁気シールド層
25・・・主磁極
26・・・導電性コイル
27・・・下磁極
28・・・絶縁層
29・・・絶縁層
30・・・導電性のコイル
31・・・上磁極
41・・・記録トラック
42・・・情報記録セクタ
43・・・ヘッダ領域
50・・・導波路
52・・・可動部
61・・・レンズ
62・・・位相差発生器
63・・・円環部
64・・・集光手段
65・・・コマ収差の光強度分布
66・・・回折格子
71・・・第1の集光手段
72・・・第2の集光手段
73・・・導波路
74・・・SIL
75・・・集光手段
76・・・反射型の集光手段
81・・・サーボ信号再生専用素子
101・・・記録媒体
102・・・アクチュエータアーム
103・・・スライダ
110・・・スピンドルモータ
120・・・磁気回路
130・・・軸受け部
150・・・サスペンション

Claims (21)

  1. 回転可能な記録媒体に対向して配置され、該記録媒体を加熱昇温して記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した記録層に記録磁界を印加することにより、磁気的情報を記録可能な熱アシスト磁気ヘッドであって、
    前記記録媒体に対向して配置されるスライダと、
    このスライダの前記記録媒体との対向面に配置され、かつ前記記録媒体を加熱するための加熱手段から出射されたエネルギー線を前記記録媒体に向けて放出する放出部と、
    前記スライダの前記対向面において前記放出部の中心部を通り該記録媒体の回転方向に沿った方向に関して対称な位置に配置され、かつ前記記録層に記録磁界を印加する複数の磁気記録素子と
    を備えたことを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド。
  2. 前記スライダは、前記加熱手段を搭載してなることを特徴とする請求項1記載の熱アシスト磁気ヘッド。
  3. 前記加熱手段は、発光素子であることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の熱アシスト磁気ヘッド。
  4. 前記放出部は光学的開口部であることを特徴とする請求項3記載の熱アシスト磁気ヘッド。
  5. 前記スライダは、前記磁気記録素子により記録された磁気的情報を再生する磁気再生素子を搭載してなることを特徴とする請求項1記載の熱アシスト磁気ヘッド。
  6. 前記磁気再生素子は、前記磁気記録素子に対応して前記放出部の中心部を通り前記記録媒体の回転方向に沿った方向に関して対称な位置に複数配置されることを特徴とする請求項5記載の熱アシスト磁気ヘッド。
  7. 前記スライダは、前記記録媒体上に記録されているサーボ情報を再生するためのサーボ情報再生素子を搭載してなることを特徴とする請求項1記載の熱アシスト磁気ヘッド。
  8. 前記サーボ情報再生素子は、前記放出部の中心部を通り前記記録媒体の回転方向に沿って該放出部に並んで配置されることを特徴とする請求項7記載の熱アシスト磁気ヘッド。
  9. 記録媒体を加熱昇温して記録層の保磁力を低下させ、この保磁力が低下した記録層に記録磁界を印加することにより、磁気的情報を記録する熱アシスト磁気記録装置であって、
    前記記録媒体を回転可能に保持する駆動手段と、
    前記記録媒体を加熱するためのエネルギー線を出射する加熱手段と、
    前記記録媒体に対向して配置されるスライダと、このスライダの前記記録媒体との対向面に配置され、かつ前記加熱手段から出射されたエネルギー線を前記記録媒体に向けて放出する放出部と、前記スライダの記録媒体対向面において前記放出部の中心部を通り該記録媒体の回転方向に沿った方向に関して対称な位置に配置され、かつ前記記録層に記録磁界を印加する複数の磁気記録素子とを備えた熱アシスト磁気ヘッドと、
    この熱アシスト磁気ヘッドを前記記録媒体上の所定位置に位置決めするための位置決め手段と
    を備えたことを特徴とする熱アシスト磁気記録装置。
  10. 前記加熱手段は、前記スライダに搭載されていることを特徴とする請求項9記載の熱アシスト磁気記録装置。
  11. 前記加熱手段は、発光素子であることを特徴とする請求項9または10のいずれか一項に記載の熱アシスト磁気記録装置。
  12. 前記放出部は光学的開口部であることを特徴とする請求項11記載の熱アシスト磁気記録装置。
  13. 前記熱アシスト磁気ヘッドは、前記磁気記録素子により記録された磁気的情報を再生する磁気再生素子を前記スライダに搭載してなることを特徴とする請求項9記載の熱アシスト磁気記録装置。
  14. 前記磁気再生素子は、前記磁気記録素子に対応して前記放出部の中心部を通り前記記録媒体の回転方向に沿った方向に関して対称な位置に複数配置されることを特徴とする請求項13記載の熱アシスト磁気記録装置。
  15. 前記熱アシスト磁気ヘッドは、前記記録媒体上に記録されているサーボ情報を再生するためのサーボ情報再生素子を前記スライダに搭載してなることを特徴とする請求項9記載の熱アシスト磁気記録装置。
  16. 前記サーボ情報再生素子は、前記放出部の中心部を通り前記記録媒体の回転方向に沿って該放出部に並んで配置されることを特徴とする請求項15記載の熱アシスト磁気記録装置。
  17. ディスク状に形成され、同心円状もしくは螺旋状に設けられた複数の記録トラックを備えた記録媒体と、
    この記録媒体を回転可能に保持する回転駆動手段と、
    前記記録媒体の記録層の保磁力を低下させるべく該記録媒体を加熱昇温するためのエネルギー線を出射する加熱手段と、
    前記記録媒体に対向して配置されるスライダと、このスライダの前記記録媒体との対向面に配置され、かつ前記加熱手段から出射されたエネルギー線を前記記録媒体に向けて放出する放出部と、前記スライダの記録媒体対向面において前記放出部の中心部を通り該記録媒体の回転方向に沿った方向に関して対称な位置に配置され、かつ保磁力が低下した前記記録層に記録磁界を印加する複数の磁気記録素子と、この磁気記録素子により記録された磁気的情報を再生するための複数の磁気再生素子とを備えた熱アシスト磁気ヘッドと、
    この熱アシスト磁気ヘッドを前記記録媒体上の所定位置に位置決めするための位置決め手段と
    を備えたことを特徴とする熱アシスト磁気記録装置。
  18. 前記位置決め手段は、前記記録媒体上に記録されているサーボ情報を、前記磁気再生素子の少なくとも一つにより再生して得られた信号に基づいて前記熱アシスト磁気ヘッドを該記録媒体上の所定位置に位置決めするものであることを特徴とする請求項17記載の熱アシスト磁気記録装置。
  19. 前記熱アシスト磁気ヘッドは、前記記録媒体上に記録されているサーボ情報を再生するためのサーボ情報再生素子を前記スライダに搭載してなることを特徴とする請求項15記載の熱アシスト磁気記録装置。
  20. 前記サーボ情報再生素子は、前記放出部の中心部を通り前記記録媒体の回転方向に沿って該放出部に並んで配置されることを特徴とする請求項19記載の熱アシスト磁気記録装置。
  21. 前記位置決め手段は、前記記録媒体上に記録されているサーボ情報を、前記サーボ情報再生素子により再生して得られた信号に基づいて前記熱アシスト磁気ヘッドを該記録媒体上の所定位置に位置決めするものであることを特徴とする請求項19または20のいずれか一項に記載の熱アシスト磁気記録装置。
JP2000215291A 2000-07-17 2000-07-17 熱アシスト磁気ヘッド及びそれを用いた熱アシスト磁気記録装置 Expired - Fee Related JP3617806B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000215291A JP3617806B2 (ja) 2000-07-17 2000-07-17 熱アシスト磁気ヘッド及びそれを用いた熱アシスト磁気記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000215291A JP3617806B2 (ja) 2000-07-17 2000-07-17 熱アシスト磁気ヘッド及びそれを用いた熱アシスト磁気記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002032901A JP2002032901A (ja) 2002-01-31
JP3617806B2 true JP3617806B2 (ja) 2005-02-09

Family

ID=18710731

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000215291A Expired - Fee Related JP3617806B2 (ja) 2000-07-17 2000-07-17 熱アシスト磁気ヘッド及びそれを用いた熱アシスト磁気記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3617806B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002032901A (ja) 2002-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3903365B2 (ja) 光アシスト磁気記録ヘッド及び光アシスト磁気記録装置
US7500255B2 (en) Data writing with plasmon resonator
JP3130929B2 (ja) 高い記憶密度と直接重ね書きケイパビリティを有する熱磁気記録システム
KR100431017B1 (ko) 기록 및 재생 헤드와, 이것을 합체시킨 기록 및 재생 장치
US8416646B2 (en) Magnetic recording disk drive with shingled writing and rectangular optical waveguide for wide-area thermal assistance
JP2011096354A (ja) 高光学効率のための熱アシスト磁気記録ヘッドとパターン化された媒体との統合設計方法
CN102779528A (zh) 具有叠瓦写入和宽区域热辅助的磁记录盘驱动器
US8164988B2 (en) All-optical magnetic recording system using circularly polarized light and bit-patterned media
JP3932840B2 (ja) 情報記録方法および情報記録装置
JP2006209960A (ja) 磁気記録再生装置
JPH03225650A (ja) 光ディスクシステム
JP2000195002A (ja) 光アシスト磁気記録装置
JPWO2008056467A1 (ja) 磁気記録媒体、磁気記録再生装置および磁気記録再生方法
JP4940417B2 (ja) 磁気記憶装置及び磁気記憶媒体
JP3827939B2 (ja) 熱アシスト磁気記録ヘッド及びこれを搭載する熱アシスト磁気記録装置
JP2002298301A (ja) 熱アシスト磁気記録再生装置及び熱アシスト磁気記録再生装置の制御方法
US9779770B1 (en) 3DMR media with multiple write field levels
JP3617806B2 (ja) 熱アシスト磁気ヘッド及びそれを用いた熱アシスト磁気記録装置
JP4540811B2 (ja) 磁気信号記録方法および磁気記録再生装置
JP2006059474A (ja) 磁気記録方法、磁気記録媒体、および磁気記録装置
JP2007012226A (ja) 磁気情報記録方法、及び磁気情報記録装置
JP2007115375A (ja) 磁気記録再生装置
JP4082403B2 (ja) マスター情報担体とその製造方法及び磁気記録媒体の製造方法
WO2010103982A1 (ja) 情報記憶媒体および情報記憶装置
JP4949313B2 (ja) 情報記録媒体、情報記録装置、情報記録方法、および該情報記録媒体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041104

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees