JP3701903B2 - 給湯器用湯水混合ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば太陽熱温水器等の自然エネルギーを利用した温水供給装置や、各種廃熱を利用した温水供給装置を給湯器に接続する為の給湯器用湯水混合ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
太陽熱温水器は、天候等により目的温度の温水が取り出せない為に、該太陽熱温水器の下流側に給湯器を補助熱源として接続した給湯システムが知られている。
【0003】
図4は、この種の給湯システムの概略図であり、太陽熱温水器(5)から引き出された上流側温水通路(56)は、本発明の対象たる給湯器用湯水混合ユニット(1)の温水通路(14)に接続されていると共に、該温水通路(14)には温水量調節弁(25)と湯温センサ(19)が上流側からこの順序で配設されている。一方、上水道からの冷水が流れる給水通路(10)は給湯器用湯水混合ユニット(1)の冷水通路(15)に接続されていると共に、該冷水通路(15)には冷水量調節弁(24)と冷水温センサ(23)が上流側からこの順序で配設されている。そして、該冷水量調節弁(24)と上記温水量調節弁(25)によって、温水通路(14)と冷水通路(15)を流れる温水と冷水の混合割合を調節する為の湯水混合器(20)が構成されている。又、上記温水通路(14)と冷水通路(15)の合流点から下流側に延長する混合水通路(29)には、混合水温センサ(33)が配設されていると共に、該混合水温センサ(33)の出力を監視する制御装置(11)によって上記湯水混合器(20)の動作が制御されるようになっている。
【0004】
又、上記混合水通路(29)は、給湯器本体(70)に形成された水入口(77)に接続されていると共に、給湯器用リモコン(71)は図示しない給湯器用制御装置と上記給湯器用湯水混合ユニット(1)内の制御装置(11)に電気接続されている。
このものでは、出湯蛇口(85)が開放されると、混合水温センサ(33)の検知温度が給湯器用リモコン(71)で設定された設定温度になるように、太陽熱温水器(5)からの温水と給水通路(10)からの冷水の混合割合が湯水混合器(20)で調節される。
【0005】
そして、湯水混合器(20)で混合された混合水は、消火状態に維持された給湯器(7)から出湯蛇口(85)に供給される。
又、太陽熱温水器(5)からの温水が給湯器用リモコン(71)でセットされた設定温度より低温の場合は、これに冷水が混合されることなしに、そのまま給湯器(7)に供給されると共に、これが給湯器(7)の本来的な機能によって設定温度まで加熱されて出湯蛇口(85)に供給される。
【0006】
従来のものでは、太陽熱温水器(5)と給湯器用湯水混合ユニット(1)とが前記上流側温水通路(56)によって接続された構成であるから、長時間利用しないと太陽熱温水器(5)と給湯器用湯水混合ユニット(1)とを接続する上流側温水通路(56)内に滞留している温水は自然冷却されて前記太陽熱温水器(5)内に実際に貯留されている温水よりもかなり低温になる。
【0007】
そのため、この状態で運転を開始すると、太陽熱温水器(5)に貯留されている温水の迅速利用を図る為に温水量調節弁(25)が比較的大きな開度に維持されると共に冷水量調節弁(24)が小開度に維持される。これにより、しばらくの間、前記低温の水が給湯器用湯水混合ユニット(1)に流入し、これに続けて前記太陽熱温水器(5)内の高温水が流入する。そして、給湯器用湯水混合ユニット(1)への流入水が上記低温水から高温水に変化すると、温水量調節弁(25)と冷水量調節弁(24)が開度調整されて混合水の温度が設定温度に調節される。
【0008】
ところが、上記太陽熱温水器(5)から給湯器用湯水混合ユニット(1)への流入水の温度が上記低温状態から急上昇した場合には、上記湯水混合器(20)を構成する温水量調節弁(25)や冷水量調節弁(24)の応答遅れにより、一時的に高温水が給湯器(7)側に供給されてしまう。
【0009】
特に、太陽熱温水器(5)から給湯器用湯水混合ユニット(1)への流入水が上記低温状態から例えば80℃程度に急上昇した場合には、給湯器(7)側に供給される一時的な上記高温水が出湯蛇口(85)から突然に流出して火傷等の危険が生じる。又、給湯器用湯水混合ユニット(1)から一次的に流出する混合水の温度があまり高温にない場合であっても、給湯器(7)が燃焼している場合には、該給湯器(7)の燃焼量が低下するまでの過渡期に前記一時的に昇温した温水が加熱昇温され、出湯蛇口(85)から安全温度を超える高温水が一時的に流出する危険がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる点に鑑みて成されたもので、
『温水供給装置からの温水が流れ且つ湯温センサ(19)が設けられた温水通路(14)と、
上水道からの冷水が流れ且つ冷水温センサ(23)が設けられた冷水通路(15)と、
前記温水通路(14)と冷水通路(15)の合流点から下流側に延長され且つ給湯器の水入口(77)に配管接続される混合水通路(29)を備えた通水路と、
前記混合水通路(29)に流れる混合水の温度が設定温度になるように前記冷水と前記温水の混合割合を調整する湯水混合器(20)とを具備する給湯器用湯水混合ユニット』に於いて、太陽熱温水器(5)等の温水供給装置から給湯器用湯水混合ユニット(1)への流入水が低温状態から急激に高温状態に変化した場合でも、高温水が給湯器(7)に供給される危険を防止することをその課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
[1項]
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、
『前記湯温センサ(19)の検知温度が、前記温水供給装置から供給されると想定される仮想最高温度に急上昇した場合でも、前記混合水の温度上昇量を前記湯水混合器(20)で安全変動温度以下に抑えることができるように実験的に求めた前記温水の基準流量を記憶する安全流量記憶手段と、
前記湯温センサ(19)の検知温度が前記設定温度未満にあるときは、前記温水通路(14)の流量Qsを前記安全流量記憶手段が記憶する前記基準流量に一致させるように前記湯水混合器(20)を制御する安全制御手段を具備する』ことである。
【0012】
上記技術的手段は次のように作用する。
安全流量記憶手段には、湯温センサ(19)の検知温度が温水供給装置から供給されると想定される仮想最高温度(例えば、80℃)に急上昇した場合でも、混合水の温度上昇量を湯水混合器(20)で安全変動温度(例えば、3deg)以下に抑えることが可能な温水の流量(温水通路(14)の流量)を実験で求めた値(基準流量)が記憶されている。尚、前記混合水の温度上昇量を安全変動温度以下に抑える為には、前記基準流量は小さい程好ましいが、該流量を過度に小さくすると、温水供給装置に貯留されている高温水を本給湯器用湯水混合ユニット(1)内に迅速に呼び込むことができない。従って、実験で求める上記基準流量としては、上記温水供給装置に貯留されている高温水を迅速に給湯器用湯水混合ユニット(1)に呼び込むことができる範囲で、混合水の温度上昇量を前記安全変動温度以下に抑え得る値を選ぶのが望ましい。
【0013】
そして、上記技術的手段によれば、前記湯温センサ(19)の検知温度が前記設定温度未満にあるときは前記温水通路(14)の流量Qsを前記実験値の流量に一致させるように安全制御手段によって前記湯水混合器(20)が制御される。
従って、温水通路(14)を流れる温水の温度が仮想最高温度(例えば、80℃)に急上昇した場合でも、混合水の温度上昇量を安全変動温度(例えば、3deg)以下に抑えることができ、これにより、危険温度の高温水が給湯器(7)側に供給される不都合がない。
【0014】
[2項]
前記1項に於いて、
『前記混合水通路(29)に配設された混合水温センサ(33)の検知温度をTout,前記湯温センサ(19)の検知温度をTs,前記冷水温センサ(23)の検知温度をTin,混合水通路(29)を流れる混合水の流量をQTとした場合、前記流量Qsは、
Qs=((Tout−Tin)/(Ts−Tin))QTの演算により求められる』ものとすれば、温水通路(14)の流量を測定する為の独立した流量センサを設ける必要がない。
【0015】
[3項]
前記1項に於いて、
『前記湯水混合器(20)は、前記冷水通路(15)の開度Ainに対する前記温水通路(14)の開度Asの開度比率Kを調整することにより、前記温水と冷水の混合割合を調整するものであり、
前記混合水通路(29)を流れる混合水の流量をQTとした場合、
開度比率K=基準流量/(QT-基準流量)
と成るように前記湯水混合器(20)が制御される』ものとすることができる。
【0016】
冷水通路(15)の流量をQin,温水通路(14)の流量をQsとした場合、これらは夫々、冷水通路(15)の開度Ainと温水通路(14)の開度Asに比例する。
従って、上記演算式は、開度比率K=As/Ain=Qs/Qin=基準流量/(QT-基準流量)となり、この式を変形すると、Qs×(QT-基準流量)=Qin×基準流量となる。
【0017】
ここで、Qin=(QT-基準流量)にすれば良いことを考慮すると、Qs=基準流量となる。
よって、本発明のように、開度比率K=基準流量/(QT-基準流量)となるように湯水混合器(20)を制御すると、温水通路(14)の流量を基準流量に調整することができる。
【0018】
[4項]
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、
『前記温水供給装置から供給されると想定される仮想最高温度と、前記湯温センサ(19)の検知温度が前記設定温度未満にあるときに於ける前記混合水の温度より高温の安全基準温度と、前記冷水温センサ(23)の検知温度とに基づいて、前記仮想最高温度の温水と前記検知温度の冷水とを混合することによって前記安全基準温度の混合水を得ることができる前記冷水と温水の安全混合割合を演算する演算手段と、
前記湯温センサ(19)の検知温度が前記設定温度未満にあるときは、前記温水と冷水の混合割合を前記演算手段で演算された前記安全混合割合に調整できるように前記湯水混合器(20)を制御する安全制御手段とを具備する』ことである。
【0019】
上記技術的手段は次のように作用する。
演算手段は、温水供給装置から供給されると想定される仮想最高温度(例えば、80℃)と、湯温センサ(19)の検知温度が設定温度未満にあるときの混合水温度より高い安全基準温度K(例えば、前記混合水温度より3deg高い温度)と、前記冷水温センサ(23)の検知温度に基づいて、温水と冷水の安全混合割合を演算する。即ち、前記仮想最高温度の温水と前記検知温度の冷水とを混合することによって前記安全基準温度の混合水を得ることができるような前記冷水と温水の安全混合割合を演算する。
【0020】
そして、前記湯温センサ(19)の検知温度が前記設定温度未満の場合は、前記温水と冷水の混合割合を前記安全混合割合に調整できるように前記湯水混合器(20)が安全制御手段で制御される。
従って、温水通路(14)の通水の温度が上記仮想最高温度に急上昇するようなことがあっても、湯水混合器(20)から流出する混合水の温度が上記安全基準温度を超えて昇温することがない。
【0021】
[5項]
前記4項に於いて、
『前記演算手段は、前記安全基準温度から前記冷水温センサ(23)の検知温度を減算した冷水側温度差ΔT2を、前記仮想最高温度から前記安全基準温度を減算した仮想温度差ΔT1で割り算した値ΔT2/ΔT1を前記安全混合割合として演算する』ものとすることができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は次の特有の効果を有する。
1項のものでは、温水通路(14)を流れる温水の温度が仮想最高温度(例えば、80℃)に急上昇した場合でも、混合水の温度上昇量を安全変動温度(例えば、3deg)以下に抑えることができ、これにより、危険温度の高温水が給湯器(7)側に供給される不都合がない。
【0023】
2項のものでは、既述したように、温水通路(14)の流量を測定する為の独立した流量センサを設ける必要がない。
【0024】
3項のものでは、前記2項のものと相違し、混合水温センサ(33),湯温センサ(19),冷水温センサ(23)等の検知温度を利用して流量Qsを演算する必要がないから、これらセンサの温度検知動作等に起因する湯水混合動作の応答遅れが生じる不都合がない。
【0025】
4項のものでは、温水通路(14)を流れる水の温度が上記仮想最高温度に急上昇するようなことがあっても、湯水混合器(20)から流出する混合水の温度が上記安全基準温度を超えて昇温することがなく、これにより、危険温度の高温水が給湯器(7)側に供給される不都合がない。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、上記した本発明の実施の形態を説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態に係る給湯器用湯水混合ユニット(1)を用いた給湯システムの概念図であり、太陽熱温水器(5)は給湯器用湯水混合ユニット(1)を介して給湯器(7)に配管接続されている。以下、各部の詳細を説明する。
【0027】
[太陽熱温水器(5)について]
太陽熱温水器(5)は、太陽熱を吸収する集熱器(50)と貯湯タンク(51)内とを循環するように形成された蓄熱配管(52)を具備しており、該蓄熱配管(52)には膨張タンク(53)と循環ポンプ(54)が配設されている。
又、貯湯タンク(51)の底部には上水道からの冷水を供給するソーラ用給水管(55)と水抜栓(57)を具備する水抜通路(58)が接続されていると共に、貯湯タンク(51)の頂部からは上流側温水通路(56)が引き出されている。
【0028】
[給湯器(7)について]
給湯器(7)は、図示しないガスバーナで加熱される熱交換器が内蔵された給湯器本体(70)と、該給湯器本体(70)に電気接続された給湯器用リモコン(71)を備えていると共に、該給湯器用リモコン(71)には、運転スイッチ(72)と、浴槽(81)に湯張りする際に操作する湯張りスイッチ(73)と給湯温度設定器(75)と、更に、給湯器の運転状態等を表示する表示部(74)が設けられている。
又、給湯器本体(70)と浴槽(81)との間は、湯張り及び追い焚き加熱に使用される往き管(82)と戻り管(83)で接続されていると共に、給湯器本体(70)から引き出された給湯通路(84)には出湯蛇口(85)が設けられている。
【0029】
[給湯器用湯水混合ユニット(1)について]
本発明の対象たる給湯器用湯水混合ユニット(1)には、上記太陽熱温水器(5)からの温水が流れる上流側温水通路(56)が接続される温水配管接続口(16)と、既述ソーラ用給水管(55)から分岐した給水通路(10)が接続される給水配管接続口(17)と、更に、給湯器本体(70)の水入口(77)に接続される給湯器接続口(18)が設けられている。
【0030】
上記温水配管接続口(16)の下流側に形成された温水通路(14)には、バキュームブレーカ(12)と、逆止弁(13)と、更に、湯温センサ(19)が、この順序で上流側から配設されている。又、温水通路(14)の上流端近傍には、該通路の滞留水を排水させる機能を具備する水抜栓(21)が設けられていると共に、該水抜栓(21)には、通水内の塵芥を除去する除塵フィルタ(38)が内臓されている。
【0031】
一方、冷水通路(15)には、逆止弁(22)と冷水温センサ(23)と更に湯水混合器(20)がこの順序で配設されていると共に、該湯水混合器(20)は、温水通路(14)と冷水通路(15)の合流点に配設された温水量調節弁(25)とその上流側に於ける冷水通路(15)内に配設された冷水量調節弁(24)とから構成されている。そして、上記冷水量調節弁(24)と温水量調節弁(25)は、これらに対応するステッピングモータ(240)(250)の回転によって先端の弁体(241)(251)を弁口(26)(27)に接離させ、これによって、弁口(26)(27)の開度を変化させて流量調節するように構成されている。又、上記冷水通路(15)に於ける冷水温センサ(23)の配設部と湯水混合器(20)の間から引き出されたバイパス通路(28)は前記合流点の下流側に位置する混合水通路(29)に接続されている。そして、このバイパス通路(28)には、該バイパス通路(28)を開閉する為の常開電磁弁(31)が設けられていると共に、上記混合水通路(29)には混合水の流量を計測する流量センサ(32)と混合水温センサ(33)と過昇温検知センサ(34)と更に水抜き栓(35)が設けられており、該水抜き栓(35)は上記混合水通路(29)等の水圧が過剰上昇したときに開弁して圧力を開放する逃がし弁機能を兼備している。又、冷水通路(15)の上流端近傍には、該通路を水抜きする為の水抜栓(30)が配設されていると共に、該水抜栓(30)には通水内の塵芥を除去する為の除塵フィルタ(39)が内臓されている。
【0032】
そして、既述湯温センサ(19),冷水温センサ(23),湯水混合器(20),常開電磁弁(31),流量センサ(32),混合水温センサ(33)及び過昇温検知センサ(34) 等の電気部品は制御装置(11)に電気接続されており、該制御装置(11)によって、湯水混合器(20)の動作が制御されるようになっている。
【0033】
[給湯動作の実際]
次に、上記給湯システムの動作を説明する。
給湯器用湯水混合ユニット(1)に組み込まれた制御装置(11)には、図2のフローチャートに示す内容の制御動作を実行するマイクロコンピュータが格納されており、以下、本実施の形態に係る給湯システムの動作を図2のフローチャートに従って説明する。
【0034】
先ず、長時間不使用状態に放置された上流側温水通路(56)(給湯器用湯水混合ユニット(1)と太陽熱温水器(5)を繋ぐ配管)内の滞留水は外気で冷却されて低温状態になっている。
この状態で湯張りスイッチ(73)の投入や出湯蛇口(85)の開放によって混合水通路(29)が通水状態になると、該通水状態が流量センサ(32) の出力に基づいて判断され(ステップ(ST1)参照)、常開電磁弁(31)が閉弁される(ステップ(ST2)参照)。
【0035】
上記通水状態が検出された運転開始初期に於いては、先ず、上流側温水通路(56)に滞留していた低温水が湯水混合器(20)に供給される。そこで、湯温センサ(19)の検知温度Tsが給湯温度設定器(75)で設定された設定温度Tset未満の場合は、温水通路(14)の流量Qsを基準流量としての14リットル/分に制限できるように湯水混合器(20)の動作を制御する(ステップ(ST3),(ST4))。尚、本実施の形態では、ステップ(ST4)の制御動作を実行するマイクロコンピュータの機能部が、既述1項目に記載の発明特定事項たる「安全制御手段」に対応する。
【0036】
上記14リットル/分の値は、定格出力で動作するステッピングモータ(240)(250)によって、太陽熱温水器(5)から供給されると想定される仮想最高温度(例えば、80℃)の温水で混合水通路(29)の混合水が現時点よりも安全変動温度ΔT(例えば、3deg)を超えて昇温するのを防止できるような温水の流量(温水通路(14)の流量)を実験的に求めたものである。そして、本実施の形態では、上記14リットル/分の値を記憶しているマイクロコンピュータのメモリー部が既述発明特定事項として記載の「安全流量記憶手段」に対応している。
次に、温水通路(14)の流量Qsを14リットル/分に制限する為の湯水混合器(20)の制御動作を更に説明する。
【0037】
即ち、混合水温センサ(33)の検知温度をTout,湯温センサ(19)の検知温度をTs,冷水温センサ(23)の検知温度をTin,混合水通路(29)を流れる混合水の流量をQT(流量センサ(32) の検知流量)とした場合、上記温水通路(14)の流量Qsは、
Qs=((Tout−Tin)/(Ts−Tin))QT ・・・▲1▼
で求められる。
【0038】
従って、混合水温センサ(33)の検知温度Toutは、
Tout=Qs÷QT×(Ts−Tin)+Tin ・・・▲2▼
となる。
【0039】
従って、上記▲2▼式のQsに「14リットル/分」を代入すると、温水通路(14)の通水の流量が14リットル/分になる場合の混合水温センサ(33)の検知温度Toutが求められる。
【0040】
そこで、上記▲2▼式のQsに「14リットル/分」を代入することによって求められる上記Toutの温度が混合水温センサ(33)で検出できるまで、温水量調節弁(25)と冷水量調節弁(24)の開度を適宜増減させる。これにより、太陽熱温水器(5)側から給湯器用湯水混合ユニット(1)への流入水が急激に上記仮想最高温度に昇温しても、混合水通路(29)に供給される混合水の昇温量を安全変動温度ΔTに抑えることができる。
【0041】
一方、湯温センサ(19)の検知温度Tsが給湯温度設定器(75)で設定された設定温度Tset以上にある場合は、ステップ(ST5)で混合水温センサ(33)の検知温度Toutが給湯温度設定器(75)で設定された設定温度Tsetとなるように、冷水通路(15)の冷水と温水通路(14)の温水の混合割合を湯水混合器(20)で調整する。
【0042】
このため、給湯器用湯水混合ユニット(1)の制御装置(11)に組み込まれたマイクロコンピュータは、給湯温度設定器(75)で設定された設定温度Tsetの混合水を得る為に必要な湯水混合割合、即ち、温水通路(14)側の温水に対する冷水通路(15)側の冷水の混合割合を調整する為に湯水混合器(20)に印加するフィードフォワード制御量FFXとして、
FFX=(Ts−Tset)/(Tset−Tin) ・・・▲3▼
を演算する。
【0043】
そして、湯水混合器(20)の動作開始後に混合水温センサ(33)が検知する温度Toutに基づいて演算されるフィードバック制御量FBXと上記FFXによって前記湯水混合器(20)の冷水量調節弁(24)や温水量調節弁(25)の開度を制御し、これにより、上記検知温度Toutが設定温度Tsetになるように調整する。
【0044】
尚、前記実施の形態では、▲2▼式のQsに「14リットル/分」を代入することによって求められる上記Toutの温度が混合水温センサ(33)で検出できるまで、温水量調節弁(25)と冷水量調節弁(24)の開度を適宜増減させたが、前記冷水通路(15)の開度Ainに対する前記温水通路(14)の開度Asの開度比率Kを調整するようにしても良い。
【0045】
具体的には、冷水通路(15)に設けられた冷水量調節弁(24)の開度をAin,温水通路(14)に設けられた温水量調節弁(25)の開度をAs,開度比率K=As/Ain,混合水通路(29)を流れる混合水の流量をQT,基準流量を14リットル/分とした場合、
開度比率K=14リットル毎分/(QT-14リットル毎分) ・・・▲4▼
と成るように前記湯水混合器(20)を制御する。
【0046】
このように制御すると、冷水通路(15)の流量をQin,温水通路(14)の流量をQsとした場合、これらは夫々、AsとAsに比例することから、▲4▼式の、開度比率Kは、開度比率K=As/Ain=Qs/Qin=14リットル毎分/(QT-14リットル毎分)となり、この式を変形すると、Qs×(QT-14リットル毎分)=Qin×14リットル毎分となる。
【0047】
そして、Qin=(QT-14リットル毎分)にすれば良いことを考慮すると、Qs=14リットル毎分となる。
従って、冷水量調節弁(24)と温水量調節弁(25)の開度に対応するステッピングモータ(240)(250)の制御パルス数の比率を開度比率Kにすると、温水通路(14)の流量Qsが、基準流量たる14リットル毎分になる。
【0048】
太陽熱温水器(5)側の上流側温水通路(56)と給水通路(10)の給水圧の比は、1又はほぼ一定になっていることが通常であるから、現実的には、上記As/Ainを開度比率Kに調整すると、温水通路(14)の流量を上記14リットル毎分に調整できるのである。
【0049】
このものでは、上記実施形態のものと相違し、混合水温センサ(33),湯温センサ(19),冷水温センサ(23)等の検知温度を利用して流量Qsを演算する必要がない。従って、これらセンサの温度検知動作等に起因する湯水混合動作の応答遅れが生じる不都合がない。
【0050】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る給湯器用湯水混合ユニット(1)は、上記図2のフローチャートに示す制御動作に代えて図3のフローチャートに示す制御動作を実行する点を除いて、既述実施の形態1のものと同様に構成されている。
先ず、ステップ(ST11)(ST12)では、既述図2のステップ(ST1)(ST2)と同様の制御が行われる。
【0051】
次に、太陽熱温水器(5)から供給されると想定される仮想最高温度(本実施の形態では、80℃に設定されているがこれより高温の100℃等でもよい)の温水と冷水通路(15)を流れる冷水とを混合することによって前記安全基準温度K(湯温センサ(19)の検知温度が設定温度Tset未満にある場合の混合水温センサ(33)の検知温度より例えば3deg程度高い温度に設定されている。)の混合水を得ることができるような安全混合割合(Qs1/Qin1)、即ち、湯水混合器(20)に供給される冷水通路(15)側からの冷水に対する温水通路(14)側からの温水の混合割合がステップ(ST14)(既述4項の発明特定事項たる「演算手段」に対応する)で演算される。具体的には、
Qs1/Qin1=(K―Tin)/(80℃―K℃) ・・・▲5▼
が演算される。
【0052】
尚、上記「K―Tin」は既述した冷水側温度差ΔT2に、「80℃―K℃」は既述した仮想温度差ΔT1に対応している。
そして、湯水混合器(20)に流入する冷水通路(15)側のからの冷水に対する温水通路(14)側からの温水の割合が上記▲5▼で決定される値になるように、湯水混合器(20)の冷水量調節弁(24)や温水量調節弁(25)の開度が制御される(ステップ(ST14)参照)。
【0053】
このようにすると、太陽熱温水器(5)側から給湯器用湯水混合ユニット(1)への流入水が上記仮想最高温度に昇温しても、混合水通路(29)に供給される混合水の温度が上記安全基準温度Kを超える危険を防止することができ、これにより、出湯蛇口(85)から一時的に熱湯が流出する不都合を回避することができる。
【0054】
尚、上記安全基準温度として、種々の温度を設定することができ、例えば、湯温センサ(19)の検知温度が設定温度Tset未満にある場合の混合水温センサ(33)の検知温度に上記3degを加算した値以外に、固定の20℃程度の低温に設定することや、温水使用者の安全が確保できれば60℃程度の固定の高温に設定することもできる。
尚、本実施の形態では、ステップ(ST14)の制御動作を実行するマイクロコンピュータの機能部が、既述4項に記載の発明特定事項たる「安全制御手段」に対応する。
【0055】
次に、ステップ(ST15)で湯温センサ(19)の検知温度Tsが給湯温度設定器(75)で設定された設定温度Tset未満であることが確認されると、流量センサ(32) が水流を検知している限り、ステップ(ST13)〜ステップ(ST18)を繰り返す制御が実行される。
【0056】
一方、太陽熱温水器(5)から給湯器用湯水混合ユニット(1)へ流入する水の温度が低温状態から上昇して上記検知温度Tsが設定温度Tset以上になると、ステップ(ST16)を実行し、これにより、混合水温センサ(33)の検知温度Toutが給湯温度設定器(75)でセットされた設定温度Tsetになるように、冷水通路(15)の冷水と温水通路(14)の温水の混合割合を湯水混合器(20)で調整する。そして、流量センサ(32) の検知流量が0になると、ステップ(ST17)からステップ(ST11)に制御が戻される。
【0057】
[その他]
▲1▼水供給装置としては、自然エネルギーを利用する既述太陽熱温水器(5)以外に、各種廃熱を利用した温水供給装置を適用することができる。
【0058】
▲2▼上記実施の形態では、混合水通路(29)に配設された流量センサ(32) の出力に基づいて、通水の有無や、混合水の流量を判定するようにしたが、給湯器本体(70)に組み込まれた流量センサの出力を通信ケーブル(79)から制御装置(11)に取り込み、この取り込んだ出力に基づいて、混合水の流量や通水の有無を判断するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る給湯器用湯水混合ユニット(1)を組み込んだ給湯システムの概念図
【図2】実施の形態1に係る給湯器用湯水混合ユニット(1)の制御動作を説明するフローチャート
【図3】実施の形態2に係る給湯器用湯水混合ユニット(1)の制御動作を説明するフローチャート
【図4】従来例の説明図
【符号の説明】
(1)・・・給湯器用湯水混合ユニット
(14)・・・温水通路
(15)・・・冷水通路
(19)・・・湯温センサ
(20)・・・湯水混合器
(29)・・・混合水通路
(33)・・・混合水温センサ
(77)・・・水入り口
Claims (5)
- 温水供給装置からの温水が流れ且つ湯温センサ(19)が設けられた温水通路(14)と、
上水道からの冷水が流れ且つ冷水温センサ(23)が設けられた冷水通路(15)と、
前記温水通路(14)と冷水通路(15)の合流点から下流側に延長され且つ給湯器の水入口(77)に配管接続される混合水通路(29)を備えた通水路と、
前記混合水通路(29)に流れる混合水の温度が設定温度になるように前記冷水と前記温水の混合割合を調整する湯水混合器(20)とを具備する給湯器用湯水混合ユニットに於いて、
前記湯温センサ(19)の検知温度が、前記温水供給装置から供給されると想定される仮想最高温度に急上昇した場合でも、前記混合水の温度上昇量を前記湯水混合器(20)で安全変動温度以下に抑えることができるように実験的に求めた前記温水の基準流量を記憶する安全流量記憶手段と、
前記湯温センサ(19)の検知温度が前記設定温度未満にあるときは、前記温水通路(14)の流量Qsを前記安全流量記憶手段が記憶する前記基準流量に一致させるように前記湯水混合器(20)を制御する安全制御手段を具備する、給湯器用湯水混合ユニット。 - 請求項1に記載の給湯器用湯水混合ユニットに於いて、
前記混合水通路(29)に配設された混合水温センサ(33)の検知温度をTout,前記湯温センサ(19)の検知温度をTs,前記冷水温センサ(23)の検知温度をTin,混合水通路(29)を流れる混合水の流量をQTとした場合、前記流量Qsは、
Qs=((Tout−Tin)/(Ts−Tin))QTの演算により求められる、給湯器用湯水混合ユニット。 - 請求項1に記載の給湯器用湯水混合ユニットに於いて、
前記湯水混合器(20)は、前記冷水通路(15)の開度Ainに対する前記温水通路(14)の開度Asの開度比率Kを調整することにより、前記温水と冷水の混合割合を調整するものであり、
前記混合水通路(29)を流れる混合水の流量をQTとした場合、
開度比率K=基準流量/(QT-基準流量)
と成るように前記湯水混合器(20)が制御される、給湯器用湯水混合ユニット。 - 温水供給装置からの温水が流れ且つ湯温センサ(19)が設けられた温水通路(14)と、
上水道からの冷水が流れ且つ冷水温センサ(23)が設けられた冷水通路(15)と、
前記温水通路(14)と冷水通路(15)の合流点から下流側に延長され且つ給湯器の水入口(77)に配管接続される混合水通路(29)を備えた通水路と、
前記混合水通路(29)に流れる混合水の温度が設定温度になるように前記冷水と前記温水の混合割合を調整する湯水混合器(20)とを具備する給湯器用湯水混合ユニットに於いて、
前記温水供給装置から供給されると想定される仮想最高温度と、前記湯温センサ(19)の検知温度が前記設定温度未満にあるときに於ける前記混合水の温度より高温の安全基準温度と、前記冷水温センサ(23)の検知温度とに基づいて、前記仮想最高温度の温水と前記検知温度の冷水とを混合することによって前記安全基準温度の混合水を得ることができる前記冷水と温水の安全混合割合を演算する演算手段と、
前記湯温センサ(19)の検知温度が前記設定温度未満にあるときは、前記温水と冷水の混合割合を前記演算手段で演算された前記安全混合割合に調整できるように前記湯水混合器(20)を制御する安全制御手段とを具備する、給湯器用湯水混合ユニット。 - 請求項4に記載の給湯器用湯水混合ユニットに於いて、
前記演算手段は、前記安全基準温度から前記冷水温センサ(23)の検知温度を減算した冷水側温度差ΔT2を、前記仮想最高温度から前記安全基準温度を減算した仮想温度差ΔT1で割り算した値ΔT2/ΔT1を前記安全混合割合として演算する、給湯器用湯水混合ユニット。
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