JP3701570B2 - 冊子状媒体の印刷装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のシート(紙等)が綴じ部で綴じられた手帳、日記帳、本等の冊子状媒体に印刷を行う冊子状媒体の印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の冊子状媒体の印刷装置として、図34に示す特開平9−300773号公報に開示されたものがある。図34に示すように、冊子状媒体の印刷装置100は、被印刷ページの両シート101a,101aを表面として綴じ部101bを中央に開かれた冊子101を載置する冊子載置台102と、この冊子載置台102上に載置された冊子101を副走査方向A2に移動させる4箇所の上下各一対の搬送ローラ103a,103bと、冊子載置台102の上方に配置され、ガイド軸104にガイドされて主走査方向A1に移動自在に設けられた印刷ヘッド部105とを備えている。そして、印刷ヘッド部105を印刷開始位置に位置設定し、位置設定された印刷ヘッド部105を主走査方向A1に移動しつつ1ライン目の印刷を行い、1ライン目の印刷が終了すると、印刷ヘッド部105を副走査方向A2に所定量だけ移動し、2ライン目の印刷に移行し、このような印刷動作を順次繰り返すことにより被印刷ページの両シート101a,101aに印刷を行うものである。
【0003】
ところで、複数のシートが綴じ部101bで綴じられた冊子101は、被印刷ページの両シート101a,101aを境として綴じ部101bを中央に両開きした際に左右に分割されるシート数によって左右の厚みが異なる状態となり、被印刷ページの高さ位置が変化する。
【0004】
一方、印刷ヘッド部105は接触式・非接触式を問わず、被印刷ページのシート101aに対して所定の位置関係に配置されないと、良好な印刷ができない。そのため、従来では被印刷ページのシート101aが開かれた際の冊子101の厚みを検出する厚み検出手段106を設け、この厚み検出手段106の検出結果に応じて印刷ヘッド部105の高さを調整することにより印刷ヘッド部105と被印刷ページのシート101aとを所定の位置関係にしたり、また、被印刷ページのシート101aが開かれた際の冊子101の高さを一定にするための高さ調整手段を設け、この高さ調整手段により高さを調整することにより印刷ヘッド部105と被印刷ページのシート101aとを所定の位置関係にしたりしていた。
【0005】
尚、この従来例に関する類似技術は、特開平7−25093号公報、特開平8−25747号公報、特開平8−156352号公報等に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の冊子状媒体の印刷装置100では、印刷ヘッド部105と被印刷ページのシート101aとを所定の位置関係に調整するための各種検出手段及びこれら検出手段に基づく調整手段が必要であるという問題がある。
【0007】
また、冊子101は、被印刷ページの両シート101a,101aを境として綴じ部101bを中央に両開きした際に、被印刷ページの両シート101a,101aには綴じ部101bの近傍に曲面部分が通常形成されるため、この部分で印刷歪みが発生するという問題がある。特に、綴じられているシート101aの枚数が多く、且つ、そのシート101aが腰の弱いものである場合に、綴じ部101bを中央に両開きすると大きな領域に亘って大きな曲面が形成されるため、非常に再現性の悪い印刷、場合によっては印刷物として価値のない印刷しかできない。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、綴じ部を中心に両開きした際の左右の厚みにかかわらず、且つ、被印刷ページのシートに曲面が発生することなく適切な印刷状態で印刷できる冊子状媒体の印刷装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、シート挿入孔が開口された冊子押圧面を有し、この冊子押圧面に綴じ部を中央として開かれ、且つ、被印刷ページのシートが前記シート挿入孔に挿入された冊子状媒体を前記冊子押圧面側に押圧する冊子押圧手段と、前記シート挿入孔に挿入された前記被印刷ページのシートを所定の印刷位置に位置決めする印刷ページ位置決め手段と、この印刷ページ位置決め手段で位置決めされた被印刷ページのシートの少なくとも一面に印刷を行う印刷ヘッド手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この冊子状媒体の印刷装置では、被印刷ページのシートを境として綴じ部を中央に両開きした際に、左右に分割されたシート数によって厚みが異なる状態となるが、この両開きした冊子状媒体を冊子押圧手段で冊子押圧面に押圧すると共に被印刷ページのシートのみをシート挿入孔に挿入し、この挿入したシートを印刷ページ位置決め手段によって位置決めし、被印刷ページのシートが綴じ部を中央に両開きした際に、左右に分割されたシートの厚みやその曲面に影響を受けることなく印刷ページ位置決め手段によって位置決めされた状態で印刷ヘッド手段により印刷が行われる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記冊子押圧手段は、前記冊子状媒体の背表紙部を前記冊子押圧面側に押圧することを特徴とする。
【0012】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、冊子押圧手段の押圧力が冊子状媒体の綴じ部を冊子押圧面に近接させる方向に直接的に作用し、綴じ部を弱い押圧力で有効に冊子状押圧面に近接させることができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記印刷ページ位置決め手段は、前記印刷ヘッド手段が前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの両面側にそれぞれ印刷ヘッド部を有する両面印刷用の場合に、該一対の印刷ヘッド部の副走査方向の移動に連動してそれぞれ移動する一対のシート押圧部材を有し、この一対のシート押圧部材によって印刷時における前記印刷ヘッド部の副走査方向の上流側を挟持することを特徴とする。
【0014】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、印刷ヘッド部で印刷されるシートの常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向の上流側が一対のシート押圧部材によって押圧支持される。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記印刷ページ位置決め手段は、前記印刷ヘッド手段が前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの一方面側に印刷ヘッド部を有する片面印刷用の場合に、前記印刷ヘッド部の副走査方向の移動に連動して移動するシート押圧部材と前記印刷ヘッドが配置されていない側に設けられた押圧力受けシートとを有し、前記シート押圧部材が印刷時における前記印刷ヘッド部の副走査方向の上流側で前記押圧力受けシートを押圧することを特徴とする。
【0016】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、印刷ヘッド部で印刷されるシートの常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向の上流側がシート押圧部材と押圧力受けシートによって押圧支持される。
【0017】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記印刷ヘッド手段の印刷ヘッド部は、冊子状媒体の綴じ部の長手方向に対して平行方向と直交方向にそれぞれ移動自在に設けられたことを特徴とする。
【0018】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項3又は請求項4の発明の作用に加え、印刷ヘッド部が走査可能な2次元領域の印刷が可能である。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートのサイズを検出するシートサイズ検出手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、各種サイズのシートについて適切な印刷領域で印刷が可能である。また、シートが配置されていない箇所にインクを塗布するようなエラーを防止できる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの傾斜を検出するシート傾斜検出手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、シート挿入孔に挿入された被印刷ページのシートが斜めである場合に、シート斜め検出手段によって検出される。
【0023】
請求項8の発明は、請求項7記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記シート挿入孔より挿入された前記印刷ページのシートの斜め状態を矯正するシート斜め補正手段を備え、前記シート傾斜検出手段がシートの斜め状態を検出した場合に、前記シート斜め補正手段で前記シートの斜め状態を矯正することを特徴とする。
【0024】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項7の発明の作用に加え、シートが斜め状態である場合に、シート斜め補正手段によってシートの斜め状態が自動的に矯正される。
【0025】
請求項9の発明は、請求項8記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記シート斜め補正手段は、冊子押圧手段が冊子状媒体への押圧力を強める動作を行うものであることを特徴とする。
【0026】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項8の発明の作用に加え、冊子押圧手段で冊子状媒体が冊子押圧面に強く押圧されると、綴じ部で冊子押圧面への近接度合いが弱い部分が冊子押圧面側に押圧変移され、これによって被印刷ページのシートの斜め挿入が矯正される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1〜図18は本発明の第1実施形態に係る両面印刷タイプの冊子状媒体の印刷装置を示し、図1は印刷装置の正面側から見た概略構成図、図2は印刷装置の側面側から見た概略構成図、図3は印刷装置の概略回路のブロック図、図4はシートのサイズや傾斜の検出を説明するための図、図5は印刷装置の全体概略のフローチャート、図6は初期化処理のフローチャート、図7は右の印刷ヘッド部の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図8は左の印刷ヘッド部の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図9は副走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図10は冊子状媒体のセット処理のフローチャート、図11は押し当てレバーの加圧処理のフローチャート、図12はシートサイズの取得処理のフローチャート、図13はシート幅の取得処理のフローチャート、図14はシート長さ・傾斜の取得処理の前半のフローチャート、図15はシート長さ・傾斜の取得処理の後半のフローチャート、図16はシートセット斜め補正処理のフローチャート、図17は印刷処理のフローチャート、図18は冊子状媒体の解放処理のフローチャートである。
【0029】
図1,図2に示すように、両面印刷タイプの冊子状媒体2の印刷装置1は、複数のシート(紙等)2aが綴じ部2bで綴じられた手帳、日記帳、本等の冊子状媒体2の所望のシート2a1に印刷を行うものであり、装置本体3の上面には水平面の冊子押圧面4が設けられている。この冊子押圧面4の左右方向のほぼ中央にはシート挿入孔5が開口されており、このシート挿入孔5の幅は冊子状媒体2に使用される最も厚手のシート2aでも十分に挿入可能な寸法に設定されている。そして、シート挿入孔5を境として装置本体3内には左右の部品収容室6a,6bが設けられている。
【0030】
また、図1,図2に示すように、両面印刷タイプの冊子状媒体2の印刷装置1は、被印刷ページのシート2aがシート挿入孔5に挿入された冊子状媒体2を冊子押圧面4側に押圧する冊子押圧手段10と、シート挿入孔5に挿入された被印刷ページのシート2aを所定の印刷位置に位置決めする印刷ページ位置決め手段40と、この印刷ページ位置決め手段40で位置決めされた被印刷ページの両シート2a,2aに印刷を行う印刷ヘッド手段18とを備えている。
【0031】
図1に示すように、冊子押圧手段10は、右の部品収容室6aに配置された押し圧制御モータ11と、装置本体3の上端部分に第1回転部12を介して支持され、装置本体3の冊子押圧面4の上方に延びるアーム部13と、このアーム部13の先端に第2回転部14を介して連結され、先端に押圧パッド16が設けられた押し当てレバー15とを有している。そして、押し当て制御モータ11の回転によって押し当てレバー15は、冊子状媒体2の背表紙部2cより上方に離間する待機位置と冊子状媒体2の背表紙部2cを冊子押圧面4側に押圧する押圧位置との間で変移されるようになっている。
【0032】
押し圧制御モータ11は直流モータにて構成され、図3に示すCPU58によって所望のトルク制御が可能とされている。第1回転部12には図示しないトルクリミッタが介在され、押し当てレバー15側から一定以上の回転トルクが押し圧制御モータ11側に作用せず、また、押し圧制御モータ11側から一定以上の回転トルクが押し当てレバー15側に作用しないようになっている。これにより冊子状媒体2の破損と共に、押し当てレバー15とアーム部13及び押し当て制御モータ11等の破損を防止している。
【0033】
さらに、第2回転部14には図示しない回転ロック手段が介在され、この回転ロック手段は通常ロック状態とされている。このロックを解除することによりアーム部13と押し当てレバー15との間の回転角度を自由に可変でき、これにより押し当てレバー15の角度等を自由に調整できる。また、冊子押圧手段10はこの第1実施形態ではシート斜め補正手段を兼用する。
【0034】
図1に示すように、印刷ヘッド手段18は、各印刷ヘッド部19a,19bを備えた左右一対のヘッドユニット20a,20bを有し、この各ヘッドユニット20a,20bは左右の部品収容室6a,6bにそれぞれ配置されている。左右の各ヘッドユニット20a,20bは、各部品収容室6a,6b内に立設された各垂直ガイドロッド21a,21bにガイドされた左右の垂直移動ブロック22a,22bを有し、この左右の垂直移動ブロック22a,22bは副走査方向駆動手段23によって同期して移動される。
【0035】
この副走査方向駆動手段23は、右の部品収容室6a内で装置本体3に固定された副走査モータ24と、この副走査モータ24の回転軸に固定されたプーリ7と、このプーリ7に一端側が掛けられたタイミングベルト8と、このタイミングベルト8の他端側が掛けられたプーリ9と、このプーリ9に同軸で固定された下方プーリ25と、この下方プーリ25の上方位置で、且つ、装置本体3に回転自在に支持された上方プーリ26と、この上方プーリ26と下方プーリ25間に掛けられた右タイミングベルト27と、プーリ9及び下方プーリ25に同軸で固定された連動用右プーリ28と、左部品収容室6bに配置された連動用左プーリ29と、この連動用左プーリ29と連動用右プーリ28間に掛けられた連動用タイミングベルト30と、連動用左プーリ29に同軸で固定された下方プーリ31と、この下方プーリ31の上方位置で、且つ、装置本体3に回転自在に支持された上方プーリ32と、この上方プーリ32と下方プーリ31間に掛けられた左タイミングベルト33とを有し、左右の各タイミングベルト27,33に左右の垂直移動ブロック22a,22bがそれぞれ固定されている。
【0036】
そして、副走査モータ24が駆動すると、右タイミングベルト27と共に連動用タイミングベルト30を介して左タイミングベルト33が同期して移動し、これにより左右の垂直移動ブロック22a,22bが同期して副走査方向(上下方向)A2に移動される。副走査モータ24は、ステッピングモータにて構成され、図3に示すCPU58は副走査モータ24に出力するパルス数によって垂直移動ブロック22a,22bの移動距離及び位置を制御できるようになっている。
【0037】
また、左右の垂直移動ブロック22a,22bには水平方向に配置された水平ガイドロッド34a,34bが設けられ、この水平ガイドロッド34a,34bに前記各印刷ヘッド部19a,19bがそれぞれガイドされて支持されている。この各印刷ヘッド部19a,19bは、各主走査方向駆動手段35a,35bによって非同期で移動される。
【0038】
図1,図2に示すように、各主走査方向駆動手段35a,35bは、垂直移動ブロック22a,22bに固定された主走査モータ36a,36bと、この主走査モータ36a,36bの回転軸に固定された一方のプーリ37a(以下図示の都合上、図2に示す35a側のみを符号で示す)と、この一方のプーリ37aの水平方向に離間した位置で、且つ、垂直移動ブロック22a,22bに回転自在に支持された他方のプーリ38aと、この他方のプーリ38aと一方のプーリ37a間に掛けられた水平タイミングベルト39aとからそれぞれ構成され、この各水平タイミングベルト39aに印刷ヘッド部19a,19bがそれぞれ固定されている。そして、各主走査モータ36a,36bが駆動すると、各水平タイミングベルト39aがそれぞれ移動し、これにより左右の印刷ヘッド部19a,19bが非同期で主走査方向(水平方向)A1に移動される。各主走査モータ36a,36bは、ステッピングモータにて構成され、図3に示すCPU58は各主走査モータ36a,36bに出力するパルス数によって各印刷ヘッド部19a,19bの移動距離及び位置を制御できるようになっている。
【0039】
左右の各印刷ヘッド部19a,19bは、図示しないヘッドホルダと、このヘッドホルダに着脱自在に装着されたインクタンクを有するピエゾ式インクジェットヘッド又はサーマル式インクジェットヘッドとから構成されており、インクジェットヘッドが交換可能で、且つ、シート2aにインクを吐出することにより非接触で印刷することができるようになっている。
【0040】
図2に示すように、印刷ページ位置決め手段40は、左右の垂直移動ブロック22a,22bにそれぞれ固定された一対のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bと、この各しごきローラ駆動ソレノイド41a,41bによって駆動される一対のシート押圧部材であるシートしごきローラ42a,42bとを有する。一対のシートしごきローラ42a,42bは、左右の同一垂直位置で、且つ、印刷時における前記印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向A2の上流側の近傍に配置されている。一対のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bの通電時に、一対のシートしごきローラ42a,42bはシート挿入孔5内に突出する図1にて実線で示す押圧位置に、非通電時に、一対のシートしごきローラ42a,42bはシート挿入孔5より退出する図1にて仮想線で示す待機位置に、それぞれ位置されるようになっている。そして、一対のシートしごきローラ42a,42bは、印刷時における印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向の上流側の近傍位置でシート2a1を挟持するようになっている。また、一対のシートしごきローラ42a,42bの挟持による位置決めによって、シート2a1は各印刷ヘッド部19a,19bに対してそれぞれ最適な印刷位置に位置されるように設定されている。
【0041】
図2に示すように、シートサイズ検出手段43は、シート挿入孔5に挿入されたシート2a1のサイズを検出するもので、右の印刷ヘッド部19aに固定された紙先端検出センサ44と、主走査モータ36a及び副走査モータ24の回転数を適宜にカウントする図示しないカウンタと、このカウンタのカウント値より所定の演算を行う図示しない演算部とから構成されている。紙先端検出センサ44は、例えば反射式光センサであり、シート2a1の検出状態ではオフ信号を、シート2a1の非検出状態ではオン信号を出力する。カウンタ及び演算部は後述する制御系が担当する。
【0042】
図2に示すように、シート傾斜検出手段45は、シート挿入孔に挿入されたシート2a1の傾斜を検出するもので、前記シートサイズ検出手段43と同様に、右の印刷ヘッド部19aに固定された紙先端検出センサ44と、主走査モータ36a及び副走査モータ24の回転数を適宜にカウントするカウンタと、このカウンタのカウント値より所定の演算を行う演算部とから構成されている。紙先端検出センサ44はシートサイズ検出手段43の一部を兼用している。カウンタ及び演算部は後述する制御系が担当する。
【0043】
図1に示すように、左右の各主走査ホームポジションセンサ46a,46bは左右の垂直移動ブロック22a,22bにそれぞれ設けられ、各印刷ヘッド部19a,19bが主走査ホームポジション位置であるか否かを検出する。具体的には、各主走査ホームポジションセンサ46a,46bは光遮断式の光センサにて構成され、印刷ヘッド部19a,19bに設けられた光遮蔽プレート47a(19a側のみ図2に示す)が検出光を遮断してオン信号を出力することによって主走査ホームポジションを検出するようになっている。この主走査ホームポジション(HP)位置は、図4に示すように、シート挿入孔5に挿入されるシート2a1の最大サイズよりも外側位置になるように設定されている。
【0044】
図1,図2に示すように、副走査ホームポジションセンサ48は装置本体3に設けられ、垂直移動ブロック22a,22b、即ち双方の印刷ヘッド部19a,19bが副走査ホームポジション(HP)位置であるか否かを検出するようになっている。具体的には、各副走査ホームポジションセンサ48は光遮断式の光センサにて構成され、右の垂直移動ブロック22aに設けられた図2に示す光遮蔽プレート49が検出光を遮断してオン信号を出力することによって副走査ホームポジションを検出するようになっている。
【0045】
また、図1,図2に示すように、冊子有無センサ50は、装置本体3に設けられ、冊子押圧面4に冊子状媒体2が載置されているか否かを検出する。さらに、制御ユニット51は右の部品収容室6aに、電源ユニット52は左の部品収容室6bにそれぞれ収容されている。電源ユニット52は各種電子部品に電源を供給するようになっており、制御ユニット51の構成は後述する。
【0046】
次に、印刷装置1の制御系を説明する。図3に示すように、制御ユニット51にはモータドライブ回路55と画像処理回路56とメモリ57及びCPU(中央演算処理回路)58等が搭載されている。モータドライブ回路55はCPU58からの制御信号に基づいて各種モータに駆動信号を出力する。画像処理回路56は、パソコンなどの外部上位装置59から供給される画像データを印刷データに変換する等の処理を行い、画像処理回路56で作成された印刷データに基づいて印刷ヘッド部19a,19bが駆動される。この一連の制御はCPU58によって行われる。メモリ57には、図5〜図18に示すフローチャートを実行するためのプログラムが格納されていると共に、加圧トルクテーブル等の各種データが格納されている。
【0047】
また、CPU58はメモリ57の読み出し・書き込みを制御できると共に、CPU58には紙先端検出センサ44と左右の主走査ホームポジションセンサ46a,46bと副走査ホームポジションセンサ48及び冊子有無センサ50のセンサ出力が入力されている。そして、CPU58は、図5〜図18に示すフローチャートを実行するべくモータドライブ回路56を介して押し圧制御モータ11と副走査モータ24と左右の主走査モータ36a,36bを制御したり、左右のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bの駆動を制御したり、左右の印刷ヘッド部20a,20bの駆動を制御したりする。この制御内容については、後述する。
【0048】
次に、印刷装置1の印刷動作を、図5〜図18のフローチャートに基づいて説明する。ここで、主走査モータ36a,36bは、正転方向(CW)で左右の各印刷ヘッド部19a,19bが主走査ホームポジション位置から離間する方向に、逆転方向(CCW)で左右の各印刷ヘッド部19a,19bが主走査ホームポジション位置に近接する方向にそれぞれ移動するものとする。副走査モータ24は、正転方向(CW)で左右のヘッドユニット20a,20b、即ち、左右の印刷ヘッド部19a,19bが副走査ホームポジション位置から離間する方向(降下方向)に、逆転方向(CCW)で左右のヘッドユニット20a,20b、即ち、左右の印刷ヘッド部19a,19bが副走査ホームポジション位置に近接する方向(上昇方向)に、それぞれ移動するものとする。押し圧制御モータ11は、正転方向(CW)で押し当てレバー15が待機位置より押圧位置に、逆転方向(CCW)で押し当てレバー15が押圧位置から待機位置に、それぞれ移動するものとする。
【0049】
ユーザは、被印刷ページの所望のシート2a1を境として綴じ部2bを中央に冊子状媒体2を両開きし、被印刷ページの所望のシート2a1のみをシート挿入孔5に挿入しつつ冊子状媒体2を冊子押圧面4に載置する。そして、印刷データ等を特定して印刷開始を選択すれば印刷動作が実行される。
【0050】
先ず、印刷動作の全体の概略は、図5を示すように、初期化処理を行い(ステップS1)、次に、冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2をセットする冊子セット処理を行い(ステップS2)、次に、冊子状媒体2のシート2aの印刷を行う印刷処理を行い(ステップS3)、最後に、冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2のセットを解除する冊子解放処理(ステップS4)を行う。以下、各処理を順に説明する。
【0051】
図6に示すように、初期化処理(ステップS1)では、左右の印刷ヘッド部19a,19bを各主走査ホームポジション位置に復帰させる処理(ステップS5,S6)と、この左右の印刷ヘッド部19a,19bを副走査ホームポジション位置に復帰させる処理(ステップS7)とが行われる。
【0052】
具体的には、図7に示すように、右の主走査モータ36aを逆転駆動し(ステップS8)、主走査ホームポジションセンサ46aがオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS9)。そして、主走査ホームポジションセンサ46aの検出光が光遮蔽プレート47aで遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、主走査モータ46aの駆動を停止させる(ステップS10)。これで、右の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0053】
次に、図8に示すように、左の主走査モータ36bを逆転駆動し(ステップS11)、主走査ホームポジションセンサ46bがオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS12)。そして、主走査ホームポジションセンサ46bの検出光が図示しない光遮蔽プレートで遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、主走査モータ36bの駆動を停止させる(ステップS13)。これで、左の印刷ヘッド部19bを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0054】
最後に、図9に示すように、副走査モータ24を逆転駆動し(ステップS14)、副走査ホームポジションセンサ48がオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS15)。そして、主走査ホームポジションセンサ48の検出光が光遮蔽プレート49で遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、副走査モータ24の駆動を停止させる(ステップS16)。これで、左右の印刷ヘッド部19a,19bを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0055】
図10に示すように、冊子セット処理(ステップS2)は、冊子有無センサ50の出力をチェックし(ステップS21)、冊子状媒体2が存在すれば、押し当てレバー加圧処理(ステップS22)と、シートサイズ取得処理(ステップS23)と、シート斜め補正処理(ステップS24)とが行われる。具体的には、図11に示すように、押し当てレバー加圧処理(ステップS22)は、押し圧制御モータ11を初期設定トルクで正転駆動する(ステップS25)。すると、押し当てレバー15が待機位置から降下してその押圧パッド16が冊子状媒体2の背表紙部2cを押圧する押圧位置に変移される。押し圧制御モータ11はこの初期設定トルクによってオンし続けられ、冊子状媒体2はこの初期設定トルクによる押圧力で冊子押圧面4に押圧される。
【0056】
図12に示すように、シートサイズ取得処理(ステップS23)は、左右のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bをオンし(ステップS26)、左右一対のシートしごきローラ42a,42bで所望のシート2a1を挟持した状態でシート幅取得処理(ステップS27)とシート長さ傾斜取得処理(ステップS28)とを行う。
【0057】
図13に示すように、シート幅取得処理(ステップS27)は、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS29)、主走査モータ36aを正転方向に駆動する(ステップS30)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS31)、主走査モータ36aのパルスカウンタのカウント値Hwsを取得する(ステップS32)。次に、引き続いて紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS33)、主走査モータ36aのパルスカウンタのカウント値Hweを取得し(ステップS34)、これで主走査モータ36aを停止する(ステップS35)。つまり、図4に示すように、カウント値Hwsは主走査ホームポジション位置からシート2a1の近接エッジまでの距離に対応する値を示し、カウント値Hweは主走査ホームポジション位置からシート2a1の遠隔エッジまでの距離に対応する値を示す。
【0058】
次に、Hw=Hwe−Hwsの演算を行い、シート幅Hwを算出する(ステップS36)。そして、右の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に戻して終了する(ステップS37)。
【0059】
図14及び図15に示すように、シート長さ傾斜取得処理(ステップS28)は、主走査モータ36aを正転方向に駆動し(ステップS40)、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS41)、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態としてカウントを開始する(ステップS42)。そして、カウント値がE1(E1は任意の定数)になると、主走査モータ36aの駆動を停止する(ステップS44)。次に、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS45)、副走査モータ24を正転方向に駆動する(ステップS46)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS47)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値V1を取得し(ステップS48)、これで副走査モータ24を停止する(ステップS49)。
【0060】
次に、図14に示すように、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS50)、主走査モータ36aを正転方向に駆動する(ステップS51a)。そして、カウント値がHw−(E1+E2)(E2は任意の定数)になると(ステップS51b)、主走査モータ36aの駆動を停止する(ステップS52)。つまり、カウント値がHw−(E1+E2)の位置は、図4ではaポイントとなり、シート2a1が印刷ヘッド部19aの主走査方向A1に対して傾斜がない場合にはシート2a1のエッジとなり、シート2a1に傾斜がある場合にはシート2aの外側(図4に示す位置)又は内側にシフトする位置となる。
【0061】
次に、図15に示すように、紙先端検出センサ44の出力をチェックし(ステップS53)、紙先端検出センサ44の出力がオンであれば、つまり、紙先端検出センサ44の位置がシート2aの外側(図4に示す位置)にシフトした位置であれば、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS54)、副走査モータ24を逆転方向に駆動し、印刷ヘッド部19a,19bを上昇させる(ステップS55)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS56)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値−V1αを取得する(ステップS57)。
【0062】
また、紙先端検出センサ44の出力がオフであれば、即ち、紙先端検出センサ44の位置がシート2aの内側にシフトした位置であれば、図15に示すように、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS58)、副走査モータ24を正転方向に駆動し、印刷ヘッド部19a,19bを降下させる(ステップS59)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS60)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値V1αを取得する(ステップS61)。つまり、図4に示すように、カウント値−V1α,V1αはシート2a1のエッジまでのシフト距離に対応する値を示す。
【0063】
次に、図15に示すように、シート2a1の傾斜角度Vθ=tan−1(|V1α|/Hw)の演算を行う(ステップS62)。そして、右の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に戻し(ステップS63)、更に左右の印刷ヘッド部19a,19bを副走査ホームポジション位置に戻して終了する(ステップS64)。尚、より正確な傾斜角度Vθを求める場合には、上記演算式においてHwに代えてHw−(E1+E2)を用いて演算する。
【0064】
次に、図16に示すように、シート斜め補正処理(ステップS24)は、シート2a1の傾斜角度VθがVθ<Er1(Er1は印刷不適当角度)であるか否かをチェックする(ステップS65)。Vθ<Er1でなければ、つまり、補正許容範囲を超えた傾斜角度Vθであれば、シートセットエラー処理を行う(ステップS71)。シートセットエラー処理は、その旨を表示パネルに表示したりしてユーザに冊子状媒体2のセットのやり直しを行わせる。Vθ<Er1であれば、即ち、最悪でも補正許容の傾斜角度Vθであれば、Vθ≧Er2(Er2は印刷可能角度)であるか否かをチェックする(ステップS66)。傾斜角度VθがEr2より小さければ、これで処理を終了する。傾斜角度VθがEr2より大きければ、メモリ57内の加圧トルクテーブルを参照して傾斜角度Vθに対応する指令トルク値(初期トルク値より大きなトルク)を取得し(ステップS67)、押し当て制御モータ11の回転駆動を指令トルクに基づくものに変更する(ステップS68)。冊子状媒体2は今まで以上に強い押圧力で押圧されるため、冊子状媒体2のシート2a1の傾斜が小さくなる方向に通常変移する。ここで、加圧トルクテーブルの対応データは、傾斜角度の大きさに比例して大きなトルクを作用させるように設定されている。
【0065】
図16に示すように、押し当てレバー15による傾斜補正が終了すると、上述したシート長さ傾斜取得処理(ステップS28)をやり直し、シート2a1の傾斜角度VθがEr2の範囲内でなったか否かをチェックする(ステップS69)。傾斜角度VθがEr2より小さい値になれば、これで処理を終了する。傾斜角度VθがEr2より小さくならなければ、押し当てレバー15による傾斜補正を繰り返し、一定時間経過しても傾斜角度VθがEr2より小さくならなければ、シートセットエラー処理を行う(ステップS71)。押し当てレバー15による傾斜補正を繰り返しにより、傾斜角度VθがEr2より小さくなれば、これで処理を終了する。
【0066】
図17に示すように、印刷動作処理(ステップS3)は、上位装置59からの画像データを含む入力があるか否かをチェックする(ステップS72)。そして、画像データ等の入力があれば画像データを抽出してこれを画像処理回路56で印刷データに変換し、変換した印刷データを各印刷ヘッド部19a,19bの図示しない駆動回路に出力して各印刷ヘッド部19a,19bの吐出ノズル17よりインクを吐出してそれぞれ1ライン目の印刷を実行する(ステップS74,S75)。
【0067】
そして、双方の印刷ヘッド部19a,19bの1ライン目の印刷が共に終了すると、副走査モータ24を所定パルスだけ回転して副走査方向A2に1ライン分だけ移動し(ステップS77)、各印刷ヘッド部19a,19bがそれぞれ2ライン目の印刷を実行する(ステップS74,S75)。このような動作を全ラインについて行い、1画面分の印刷が終了すると(ステップS78)、左右の印刷ヘッド19a,19bを主走査ホームポジション位置に戻す(ステップS80)と共に、副走査ホームポジション位置に戻し(ステップS81)、これで終了する。
【0068】
図18に示すように、冊子解放処理(ステップS4)は、左右のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bをオフし(ステップS82)、これにより一対のシートしごきローラ42a,42bが待機位置に変位してシート2a1が解放される。次に、押し圧制御モータ11をオフとし(ステップS83)、更に押し当て制御モータ11を解放設定トルクで一定時間だけ逆転駆動して停止する(ステップS84〜S86)。これにより、押し当てレバー15が押圧位置から上昇して冊子状媒体2の背表紙部2cから離間する待機位置に変移される。これで、ユーザは冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2を自由に取ることができる。異なる被印刷ページのシート2aに印刷を行いたい場合には上記した動作を繰り返せば良い。
【0069】
この冊子状媒体2の印刷装置1では、被印刷ページのシート2a1を境として綴じ部2bを中央に両開きした際に左右に分割されたシート数によって厚みが異なる状態となるが、この両開きした冊子状媒体2を冊子押圧手段10で冊子押圧面4に押圧すると共に、被印刷ページの所望のシート2a1のみをシート挿入孔5に挿入し、この挿入したシート2a1を印刷ページ位置決め手段40によって位置決めされ、被印刷ページのシート2a1が綴じ部2bを中央に両開きした際に左右に分割されたシート2aの厚みやその曲面に影響を受けることなく印刷ページ位置決め手段40によって位置決めされた状態で印刷ヘッド手段18により印刷が行われる。従って、綴じ部2bを中心に両開きした際の左右の厚みにかかわらず、且つ、被印刷ページのシート2a1に曲面が発生することなく適切な印刷状態で印刷できる。
【0070】
つまり、従来の印刷装置のように印刷ヘッド部と被印刷ページのシートとを所定の位置関係に調整するための各種検出手段及びこれら検出手段に基づく調整手段が必要ない。特に、綴じられているシート2aの枚数が多く、且つ、そのシート2aが腰の弱いものである場合には、綴じ部2bを中央に両開きすると大きな領域に亘って大きな曲面が形成されるが、このような冊子状媒体2についても全く曲面が形成されることなく印刷できるため、このような冊子状媒体2の印刷に有効である。
【0071】
また、シート2a1の両側に印刷ヘッド部19a,19bを設けたので、シート2a1の両面に同時に印刷を行うことができる。さらに、冊子押圧手段10は、冊子状媒体2の背表紙部2cを冊子押圧面4側に押圧するので、冊子押圧手段10の押圧力が冊子状媒体2の綴じ部2bを冊子押圧面4に近接させる方向に直接的に作用し、綴じ部2bを弱い押圧力で有効に冊子状押圧面4に近接させることができる。従って、被印刷ページのシート2a1を弱い押圧力でシート挿入孔5に深く挿入できる。
【0072】
さらに、印刷ページ位置決め手段40は、一対の印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向A2の移動に連動してそれぞれ移動する一対のシートしごきローラ42a,42bを有し、この一対のシートしごきローラ42a,42bによって印刷時における印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向A2の上流側を挟持するので、印刷ヘッド部19a,19bで印刷されるシート2a1の常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向A2の上流側が一対のシートしごきローラ42a,42bによって押圧支持されるため、印刷ヘッド部19a,19bで印刷される領域が確実に位置決めされ、且つ、印刷直後の箇所を一対のシートしごきローラ42a,42bが押圧することがなくインク滲み等が発生しない。
【0073】
また、印刷ヘッド手段18の印刷ヘッド部19a,19bは、冊子状媒体2の綴じ部2bの長手方向に対して平行方向と直交方向にそれぞれ移動自在に設けられたので、印刷ヘッド部19a,19bが走査可能な2次元領域の印刷が可能であるため、インクタンクを搭載したインクジェットタイプの印刷ヘッド部の使用に適する。さらに、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1のサイズを検出するシートサイズ検出手段43を備えているので、各種サイズのシートについて適切な印刷領域で印刷が可能である。また、シート2aが配置されていない箇所にインクを塗布するようなエラーを防止できるため、装置内部をインクで汚すことがない。
【0074】
さらに、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページの所望のシート2a1の傾斜を検出するシート傾斜検出手段45を備えているので、シート挿入孔5に挿入された被印刷ページのシート2a1が斜めである場合には、シート斜め検出手段45によって検出されるため、シート2aに斜めに印刷される事態を回避できる。また、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1の斜め状態を矯正するシート斜め補正手段である冊子押圧手段10を備え、シート傾斜検出手段45がシート2a1の斜め状態を検出した場合には、シート斜め補正手段である冊子押圧手段10でシート2a1の斜め状態を矯正するので、シート2a1が斜め状態である場合には、シート斜め補正手段である冊子押圧手段10によってシート2a1の斜め状態が自動的に矯正される。従って、ユーザがシート2a1の斜め補正作業を行うことなく、シート2a1に斜め印刷される事態を回避できる。
【0075】
また、シート傾斜検出手段45がシート2a1の斜め状態を検出した場合には、冊子押圧手段10が冊子状媒体2への押圧力を強める動作を行うので、冊子状媒体2が冊子押圧面4に強く押圧されると、綴じ部2bで冊子押圧面4への近接度合いが弱い部分が冊子押圧面4側に押圧変移され、これによって被印刷ページのシート2a1の斜め挿入が矯正されるため、斜め印刷を防止できる。また、冊子押圧手段10がシート斜め補正手段を兼用するため、別途にシート斜め補正手段を設ける必要がなく、部品点数の削減、装置の簡略化等に寄与する。
【0076】
さらに、一対の印刷ヘッド部19a,19bは、非接触式のインクジェットヘッドであるので、シート2a1の両面の同一箇所を同時に印刷可能であるため、高速の印刷動作が可能であると共に副走査方向A2のヘッド送りを単一の構成とすることができる。これに対し、接触式の印刷ヘッドを採用した場合には、接触式ヘッドに対応するシート2a1の裏面側を押圧部材で押圧した状態で印刷動作を実行する必要があるため、両面を同時に印刷することが現実的には不可能であり、それ故に各印刷ヘッド部についてそれぞれ副走査方向A2のヘッド送り機構を用意する必要がある。
【0077】
さらに、押し圧制御モータ11として直流モータを使用し、直流モータによる定トルク制御によって任意の一定の押圧力で冊子状媒体2を押圧するようにしたため、確実に任意の一定の押圧力で冊子状媒体2を押圧できる。つまり、任意の押圧力をバネ力によって得る場合にはバネの長さを可変する必要があり、そのためにはバネ位置可変の駆動源であるモータとバネ位置検出用のセンサとを付加する必要があり、機構の複雑化、それによるコストアップ、バネのバラツキによる押圧力の不安定等の問題が発生するが、直流モータによる定トルク制御ではそのような問題がない。
【0078】
図19〜図33は本発明の第2実施形態に係る片面印刷タイプの冊子状媒体の印刷装置を示し、図19は印刷装置の正面側から見た概略構成図、図20は印刷装置の概略回路のブロック図、図21は印刷装置の全体概略のフローチャート、図22は初期化処理のフローチャート、図23は印刷ヘッド部の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図24は印刷ヘッド部の副走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図25は冊子状媒体のセット処理のフローチャート、図26は押し当てレバーの加圧処理のフローチャート、図27はシートサイズの取得処理のフローチャート、図28はシート幅の取得処理のフローチャート、図29はシート長さ・傾斜の取得処理の前半のフローチャート、図30はシート長さ・傾斜の取得処理の後半のフローチャート、図31はシートセット斜め補正処理のフローチャート、図32は印刷処理のフローチャート、図33は冊子状媒体の解放処理のフローチャートである。
【0079】
図19に示すように、片面印刷タイプの冊子状媒体2の印刷装置1′は、複数のシート(紙等)2aが綴じ部2bで綴じられた手帳、日記帳、本等の冊子状媒体2の所望のシート2a1に印刷を行うものであり、装置本体3の上面には水平面の冊子押圧面4が設けられている。この冊子押圧面4の左右方向のほぼ中央にはシート挿入孔5が開口されており、このシート挿入孔5の幅は、冊子状媒体2に使用される最も厚手のシート2aでも十分に挿入可能な寸法に設定されている。そして、シート挿入孔5を境として装置本体3内には左右の部品収容室6a,6bが設けられている。
【0080】
また、図19に示すように、片面印刷タイプの冊子状媒体の印刷装置1′は、被印刷ページのシート2aがシート挿入孔5に挿入された冊子状媒体2を冊子押圧面4側に押圧する冊子押圧手段10と、シート挿入孔5に挿入された被印刷ページのシート2aを所定の印刷位置に位置決めする印刷ページ位置決め手段140と、この印刷ページ位置決め手段140で位置決めされた被印刷ページのシート2aに印刷を行う印刷ヘッド手段18とを備えている。
【0081】
図19に示すように、冊子押圧手段10は、前記第1実施形態のものと同一構成であるため、同一構成部分に同一符号を付してその説明を省略する。また、冊子押圧手段10は、この第2実施形態でも前記第1実施形態と同様に、シート斜め補正手段を兼用する。
【0082】
印刷ヘッド手段18は、単一の印刷ヘッド部19aを備えた単一のユニット20aのみを有し、この単一のヘッドユニット20aは右の部品収容室6aに配置されている。このヘッドユニット20aは、部品収容室6a内に立設された垂直ガイドロッド21aにガイドされた単一の垂直移動ブロック22aを有し、この垂直移動ブロック22aは副走査方向駆動手段123によって移動される。この副走査方向駆動手段123は、前記第1実施形態のものと比較して左の垂直移動ブロックに必要な駆動系を取り外した構成であり、同一構成部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0083】
また、単一の垂直移動ブロック22aには水平方向に配置された水平ガイドロッド34aが設けられ、この水平ガイドロッド34aに前記印刷ヘッド部19aがガイドされて支持されている。この印刷ヘッド部19aは、主走査方向駆動手段35aによって移動される。この主走査方向駆動手段35aの構成は、前記第1実施形態のものと同一構成であるため、同一構成部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0084】
単一の印刷ヘッド部19aは、この第2実施形態では前記第1実施形態のものと同様に、図示しないヘッドホルダと、このヘッドホルダに着脱自在に装着されたインクタンクを有するピエゾ式インクジェットヘッド又はサーマル式インクジェットヘッドとから構成されており、インクジェットヘッドが交換可能で、且つ、シート2aにインクを吐出することにより非接触で印刷することができるようになっている。
【0085】
図19に示すように、印刷ページ位置決め手段140は、右側の垂直移動ブロック22aに固定された単一のしごきローラ駆動ソレノイド41aと、このしごきローラ駆動ソレノイド41aによって駆動されるシート押圧部材であるシートしごきローラ42aと、印刷ヘッド19aが配置されていない左側で、且つ、シートしごきローラ42aの可動範囲の全域に亘って設けられた押圧力受けシート70とを有し、シートしごきローラ42aが印刷時における印刷ヘッド部19aの副走査方向A2の上流側で押圧力受けシート70を押圧するようになっている。そして、単一のシートしごきローラ42aと押圧力受けシート70との挟持による位置決めによって、被印刷ページの所望のシート2a1は印刷ヘッド部19aに対して最適な印刷位置に位置されるように設定されている。
【0086】
また、シートサイズ検出手段43及びシート傾斜検出手段45を有し、これらの構成も前記第1実施形態のものと同一であるため、同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0087】
主走査ホームポジションセンサ46aは、単一の垂直移動ブロック22aに設けられ、印刷ヘッド部19aが主走査ホームポジション位置であるか否かを検出する。具体的な構成は、前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。副走査ホームポジションセンサ48は装置本体3に設けられ、垂直移動ブロック22a、即ち、単一の印刷ヘッド部19aが副走査ホームポジション位置であるか否かを検出するようになっている。具体的な構成は、前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。また、制御ユニット51は右の部品収容室6aに、電源ユニット52は左の部品収容室6bにそれぞれ収容されている。
【0088】
次に、印刷装置1′の制御系を説明する。図20に示すように、前記第1実施形態と同様に、制御ユニット51には、モータドライブ回路55と画像処理回路56とメモリ157及びCPU(中央演算処理回路)158等が搭載されている。モータドライブ回路55及び画像処理回路56の構成は、前記第1実施形態と同様である。メモリ157には、図21〜図33に示すフローチャートを実行するためのプログラムが格納されていると共に、加圧トルクテーブル等の各種データが格納されている。
【0089】
また、CPU158はメモリ157の読み出し・書き込みを制御できると共に、CPU158には紙先端検出センサ44と主走査ホームポジションセンサ46aと副走査ホームポジションセンサ48及び冊子有無センサ50のセンサ出力が入力されている。そして、CPU158は、図21〜図33に示すフローチャートを実行するべくモータドライブ回路55を介して押し圧制御モータ11と副走査モータ24と主走査モータ36aを制御したり、しごきローラ駆動ソレノイド41aの駆動を制御したり、単一の印刷ヘッド部20aの駆動を制御したりする。この制御内容については後述する。
【0090】
次に、印刷装置1′の印刷動作を図21〜図33のフローチャートに基づいて説明する。ここで、主走査モータ36aは、正転方向(CW)で印刷ヘッド部19aが主走査ホームポジション位置から離間する方向に、逆転方向(CCW)で各印刷ヘッド部19aが主走査ホームポジション位置に近接する方向に、それぞれ移動するものとする。副走査モータ24は、正転方向(CW)でヘッドユニット20a、即ち、印刷ヘッド部19aが副走査ホームポジション位置から離間する方向(降下方向)に、逆転方向(CCW)でヘッドユニット20a、即ち、印刷ヘッド部19aが副走査ホームポジション位置に近接する方向(上昇方向)に、それぞれ移動するものとする。押し圧制御モータ11は、正転方向(CW)で押し当てレバー15が待機位置より押圧位置に、逆転方向(CCW)で押し当てレバー15が押圧位置から待機位置に、それぞれ移動するものとする。
【0091】
ユーザは、被印刷ページの所望のシート2a1を境として綴じ部2bを中央に冊子状媒体2を両開きし、被印刷ページの所望のシート2a1のみをシート挿入孔5に挿入しつつ冊子状媒体2を冊子押圧面4に載置する。そして、印刷データ等を特定して印刷開始を選択すれば印刷動作が実行される。
【0092】
先ず、印刷動作の全体の概略は、図21を示すように、初期化処理を行い(ステップS101)、次に、冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2をセットする冊子セット処理を行い(ステップS102)、次に、冊子状媒体2のシート2aの印刷を行う印刷処理を行い(ステップS103)、最後に、冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2のセットを解除する冊子解放処理(ステップS104)を行う。以下、各処理を順に説明する。
【0093】
図22に示すように、初期化処理(ステップS101)では、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に復帰させる処理(ステップS105)と、この単一の印刷ヘッド部19aを副走査ホームポジション位置に復帰させる処理(ステップS107)とが行われる。
【0094】
具体的には、図23に示すように、単一の主走査モータ36aを逆転駆動し(ステップS108)、主走査ホームポジションセンサ46aがオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS109)。そして、主走査ホームポジションセンサ46aの検出光が光遮蔽プレート(図示せず)で遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、主走査モータ46aの駆動を停止させる(ステップS110)。これで、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0095】
次に、図24に示すように、副走査モータ24を逆転駆動し(ステップS114)、副走査ホームポジションセンサ48がオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS115)。そして、主走査ホームポジションセンサ48の検出光が光遮蔽プレート49で遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、副走査モータ24の駆動を停止させる(ステップS116)。これで、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0096】
図25に示すように、冊子セット処理(ステップS102)は、冊子有無センサ50の出力をチェックし(ステップS121)、冊子状媒体2が存在すれば、押し当てレバー加圧処理(ステップS122)と、シートサイズ取得処理(ステップS123)と、シート斜め補正処理(ステップS124)とが行われる。具体的には、図26に示すように、押し当てレバー加圧処理(ステップS122)は、押し圧制御モータ11を初期設定トルクで正転駆動する(ステップS125)。すると、押し当てレバー15が待機位置から降下してその押圧パッド16が冊子状媒体2の背表紙部2cを押圧する押圧位置に変移される。押し圧制御モータ11はこの初期設定トルクによってオンし続けられ、冊子状媒体2はこの初期設定トルクによる押圧力で冊子押圧面4に押圧される。
【0097】
図27に示すように、シートサイズ取得処理(ステップS123)は、単一のしごきローラ駆動ソレノイド41aをオンし(ステップS126)、単一のシートしごきローラ42aで所望のシート2a1を挟持した状態でシート幅取得処理(ステップS127)とシート長さ傾斜取得処理(ステップS128)を行う。
【0098】
図28に示すように、シート幅取得処理(ステップS127)は、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS129)、主走査モータ36aを正転方向に駆動する(ステップS130)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS131)、主走査モータ36aのパルスカウンタのカウント値Hwsを取得する(ステップS132)。次に、引き続いて紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS133)、主走査モータ36aのパルスカウンタのカウント値Hweを取得し(ステップS134)、これで主走査モータ36aを停止する(ステップS135)。つまり、図4に示すように、カウント値Hwsは主走査ホームポジション位置からシート2a1の近接エッジまでの距離に対応する値を示し、カウント値Hweは主走査ホームポジション位置からシート2a1の遠隔エッジまでの距離に対応する値を示す。
【0099】
次に、Hw=Hwe−Hwsの演算を行い、シート幅Hwを算出する(ステップS136)。そして、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に戻して終了する(ステップS137)。
【0100】
図29及び図30に示すように、シート長さ傾斜取得処理(ステップS128)は、主走査モータ36aを正転方向に駆動し(ステップS140)、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS141)、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態としてカウントを開始する(ステップS142)。そして、カウント値がE1(E1は任意の定数)になると、主走査モータ36aの駆動を停止する(ステップS144)。次に、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS145)、副走査モータ24を正転方向に駆動する(ステップS146)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS147)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値V1を取得し(ステップS148)、これで副走査モータ24を停止する(ステップS149)。
【0101】
次に、図29に示すように、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS150)、主走査モータ36aを正転方向に駆動する(ステップS151a)。そして、カウント値がHw−(E1+E2)(E2は任意の定数)になると(ステップS151b)、主走査モータ36aの駆動を停止する(ステップS152)。つまり、カウント値がHw−(E1+E2)の位置は、図4ではaポイントとなり、シート2a1が印刷ヘッド部19aの主走査方向A1に対して傾斜がない場合にはシート2a1のエッジとなり、シート2a1に傾斜がある場合にはシート2aの外側(図4に示す位置)又は内側にシフトする位置となる。
【0102】
次に、紙先端検出センサ44の出力をチェックし(ステップS153)、紙先端検出センサ44の出力がオンであれば、つまり、紙先端検出センサ44の位置がシート2aの外側(図4に示す位置)にシフトした位置であれば、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS154)、副走査モータ24を逆転方向に駆動して印刷ヘッド部19aを上昇させる(ステップS155)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS156)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値−V1αを取得する(ステップS157)。
【0103】
また、紙先端検出センサ44の出力がオフであれば、即ち、紙先端検出センサ44の位置がシート2aの内側にシフトした位置であれば、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS158)、副走査モータ24を正転方向に駆動して印刷ヘッド部19aを降下させる(ステップS159)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS160)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値V1αを取得する(ステップS161)。つまり、図4に示すように、カウント値−V1α,V1αはシート2a1のエッジまでのシフト距離に対応する値を示す。
【0104】
次に、図30に示すように、シート2a1の傾斜角度Vθ=tan−1(|V1α|/Hw)の演算を行う(ステップS162)。そして、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に戻し(ステップS163)、更に単一の印刷ヘッド部19aを副走査ホームポジション位置に戻して終了する(ステップS164)。尚、より正確な傾斜角度Vθを求める場合には、上記演算式においてHwに代えてHw−(E1+E2)を用いて演算する。
【0105】
次に、図31に示すように、シート斜め補正処理(ステップS124)は、シート2a1の傾斜角度VθがVθ<Er1(Er1は印刷不適当角度)であるか否かをチェックする(ステップS165)。Vθ<Er1でなければ、つまり、補正許容範囲を超えた傾斜角度Vθであれば、シートセットエラー処理を行う(ステップS171)。シートセットエラー処理は、その旨を表示パネルに表示したりしてユーザに冊子状媒体2のセットのやり直しを行わせる。Vθ<Er1であれば、即ち、最悪でも補正許容の傾斜角度Vθであれば、Vθ≧Er2(Er2は印刷可能角度)であるか否かをチェックする(ステップS166)。傾斜角度VθがEr2より小さければ、これで処理を終了する。傾斜角度VθがEr2より大きければ、メモリ57内の加圧トルクテーブルを参照して傾斜角度Vθに対応する指令トルク値(初期トルク値より大きなトルク)を取得し(ステップS167)、押し当て制御モータ11の回転駆動を指令トルクに基づくものに変更する(ステップS168)。冊子状媒体2は今まで以上に強い押圧力で押圧されるため、冊子状媒体2のシート2a1の傾斜が小さくなる方向に通常変移する。ここで、加圧トルクテーブルの対応データは、傾斜角度の大きさに比例して大きなトルクを作用させるように設定されている。
【0106】
図31に示すように、押し当てレバー15による傾斜補正が終了すると、上述したシート長さ傾斜取得処理(ステップS128)をやり直し、シート2a1の傾斜角度VθがEr2の範囲内でなったか否かをチェックする(ステップS169)。傾斜角度VθがEr2より小さい値になれば、これで処理を終了する。傾斜角度VθがEr2より小さくならなければ、押し当てレバー15による傾斜補正を繰り返し、一定時間経過しても傾斜角度VθがEr2より小さくならなければ、シートセットエラー処理を行う(ステップS171)。押し当てレバー15による傾斜補正を繰り返しにより、傾斜角度VθがEr2より小さくなれば、これで処理を終了する。
【0107】
図32に示すように、印刷動作処理(ステップS103)は、上位装置59からの画像データを含む入力があるか否かをチェックする(ステップS172)。そして、画像データ等の入力があれば画像データを抽出してこれを画像処理回路56で印刷データに変換し、変換した印刷データを印刷ヘッド部19aの図示しない駆動回路に出力して印刷ヘッド部19aの吐出ノズル17よりインクを吐出して1ライン目の印刷を実行する(ステップS174)。そして、単一の印刷ヘッド部19aの1ライン目の印刷が終了すると、副走査モータ24を所定パルスだけ回転して副走査方向A2に1ライン分だけ移動し(ステップS177)、印刷ヘッド部19aが2ライン目の印刷を実行する(ステップS174)。このような動作を全ラインについて行い、1画面分の印刷が終了すると(ステップS178)、単一の印刷ヘッド19aを主走査ホームポジション位置に戻す(ステップS179)と共に副走査ホームポジション位置に戻し(ステップS181)、これで終了する。
【0108】
図33に示すように、冊子解放処理(ステップS104)は、単一のしごきローラ駆動ソレノイド41aをオフし(ステップS182)、これにより単一のシートしごきローラ42aが待機位置に変位してシート2a1が解放される。次に、押し圧制御モータ11をオフとし(ステップS183)、更に押し当て制御モータ11を解放設定トルクで一定時間だけ逆転駆動して停止する(ステップS184〜S186)。これにより、押し当てレバー15が押圧位置から上昇して冊子状媒体2の背表紙部2cから離間する待機位置に変移される。これで、ユーザは冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2を自由に取ることができる。
【0109】
この冊子状媒体2の印刷装置1′では、前記第1実施形態と同様に、被印刷ページのシート2a1を境として綴じ部2bを中央に両開きした際に左右に分割されたシート数によって厚みが異なる状態となるが、この両開きした冊子状媒体2を冊子押圧手段10で冊子押圧面4に押圧すると共に被印刷ページのシート2a1のみをシート挿入孔5に挿入し、この挿入したシート2a1を印刷ページ位置決め手段40によって位置決めされ、被印刷ページのシート2a1が綴じ部2bを中央に両開きした際に左右に分割されたシート2aの厚みやその曲面に影響を受けることなく印刷ページ位置決め手段140によって位置決めされた状態で印刷ヘッド手段18により印刷が行われる。従って、綴じ部2bを中心に両開きした際の左右の厚みにかかわらず、且つ、被印刷ページのシート2a1に曲面が発生することなく適切な印刷状態で印刷できる。
【0110】
つまり、従来の印刷装置のように印刷ヘッド部と被印刷ページのシートとを所定の位置関係に調整するための各種検出手段及びこれら検出手段に基づく調整手段が必要ない。特に、綴じられているシート2aの枚数が多く、且つ、そのシート2aが腰の弱いものである場合には、綴じ部2bを中央に両開きすると大きな領域に亘って大きな曲面が形成されるが、このような冊子状媒体2についても全く曲面が形成されることなく印刷できるため、このような冊子状媒体2の印刷に特に有効である。
【0111】
また、この印刷装置1′では、シート2a1の片側にのみ印刷ヘッド部19aを設けたので、シート2a1の片面に印刷を行うことができる。さらに、冊子押圧手段10は、冊子状媒体2の背表紙2cを冊子押圧面4側に押圧するので、冊子押圧手段10の押圧力が冊子状媒体2の綴じ部2bを冊子押圧面4に近接させる方向に直接的に作用し、綴じ部2bを弱い押圧力で有効に冊子状押圧面4に近接させることができる。従って、被印刷ページのシート2a1を弱い押圧力でシート挿入孔5に深く挿入できる。
【0112】
さらに、この印刷装置1′では、印刷ページ位置決め手段140は、単一の印刷ヘッド部19aの副走査方向A2の移動に連動して移動する単一のシートしごきローラ42aと、印刷ヘッド部19aが配置されていない側に設けられた押圧力受けシート70とを有し、シートしごきローラ42aが印刷時における印刷ヘッド部19aの副走査方向A2の上流側で押圧力受けシート70を押圧するので、印刷ヘッド部19aで印刷されるシート2a1の常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向A2の上流側がシートしごきローラ42aと押圧力受けシート70によって押圧支持されるため、印刷ヘッド部19aで印刷される領域が確実に位置決めされ、且つ、印刷直後の箇所をシートしごきローラ42aが押圧することがなくインク滲み等が発生しない。
【0113】
また、この印刷装置1′では、印刷ヘッド手段18の印刷ヘッド部19a,19bは、冊子状媒体2の綴じ部2bの長手方向に対して平行方向と直交方向にそれぞれ移動自在に設けられたので、印刷ヘッド部19a,19bが走査可能な2次元領域の印刷が可能であるため、インクタンクを搭載したインクジェットタイプの印刷ヘッド部の使用に適する。さらに、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1のサイズを検出するシートサイズ検出手段43を備えているので、各種サイズのシートについて適切な印刷領域で印刷が可能である。また、シート2aが配置されていない箇所にインクを塗布するようなエラーを防止できるため、装置内部をインクで汚すことがない。
【0114】
さらに、この印刷装置1′では、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1の傾斜を検出するシート傾斜検出手段45を備えているので、シート挿入孔5に挿入された被印刷ページのシート2a1が斜めである場合には、シート斜め検出手段45によって検出されるため、シート2aに斜めに印刷される事態を回避できる。また、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1の斜め状態を矯正するシート斜め補正手段である冊子押圧手段10を備え、シート傾斜検出手段45がシート2a1の斜め状態を検出した場合には、シート斜め補正手段である冊子押圧手段10でシート2a1の斜め状態を矯正するので、シート2a1が斜め状態である場合には、シート斜め補正手段である冊子押圧手段10によってシート2a1の斜め状態が自動的に矯正される。従って、ユーザがシート2a1の斜め補正作業を行うことなく、シート2a1に斜め印刷される事態を回避できる。
【0115】
また、この第2実施形態の印刷装置1′では、シート傾斜検出手段45がシート2a1の斜め状態を検出した場合には、冊子押圧手段10が冊子状媒体2への押圧力を強める動作を行うので、冊子状媒体2が冊子押圧面4に強く押圧されると、綴じ部2bで冊子押圧面4への近接度合いが弱い部分が冊子押圧面4側に押圧変移され、これによって被印刷ページのシート2a1の斜め挿入が矯正されるため、斜め印刷を防止できる。また、冊子押圧手段10がシート斜め補正手段を兼用するため、別途にシート斜め補正手段を設ける必要がなく、部品点数の削減、装置の簡略化等に寄与する。
【0116】
さらに、この第2実施形態の印刷装置1′によれば、前記第1実施形態と同様に、押し圧制御モータ11として直流モータを使用し、直流モータによる定トルク制御によって任意の一定の押圧力で冊子2を押圧するようにしたため、確実に任意の一定の押圧力で冊子2を押圧できる。つまり、任意の押圧力をバネ力によって得る場合にはバネの長さを可変する必要があり、そのためにはバネ位置可変の駆動源であるモータとバネ位置検出用のセンサとを付加する必要があり、機構の複雑化、それによるコストアップ、バネのバラツキによる押圧力の不安定等の問題が発生するが、直流モータによる定トルク制御ではそのような問題がない。
【0117】
また、前記第1及び第2実施形態によれば、単一の紙先端検出センサ44にてシート2a1の幅方向(主走査方向)及び長さ方向(副走査方向)のサイズを検出すると共にシート2a1の傾斜検出に必要なデータをも検出したので、最少数のセンサを搭載すれば良いという利点がある。但し、各検出データをそれぞれのセンサにて検出するようにすれば、検出処理に要する時間を短縮でき、印刷動作の迅速化になる。また、例えばシート2a1の傾斜検出は、主走査方向に間隔を開けて複数のシート先端検出センサを垂直移動ブロック22a(又は22b)に設け、この垂直移動ブロック22a(又は22b)を主走査方向に移動した際の各先端検出センサのシートエッジ検出のタイミング差よりシート2a1の傾斜データを取得ようにすれば、より迅速にシート2a1の傾斜検出が可能となる。
【0118】
さらに、前記第1及び第2実施形態によれば、シート2a1の斜め補正を冊子押圧手段10によって行っているが、画像データに斜め補正をかけ、斜め補正された画像データで印刷を行うようにしてシート2a1に斜めでない印刷画像を形成するようにしても良い。また、画像の斜め補正は、上部装置59側で行うようにして予め斜め補正された画像データを入力するようにしても良い。
【0119】
尚、前記第1実施形態によれば、印刷ページ位置決め手段14は一対のシートしごきローラ42a,42bを有し、一対のシートしごきローラ42a,42bが印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向A2の移動に連動してシート2a1上を回転しながら移動するため、シート2a1を位置決めしつつシート2a1へのダメージを極力防止できる。
【0120】
さらに、前記第2実施形態によれば、印刷ページ位置決め手段140は単一のシートしごきローラ42aを有し、このシートしごきローラ42aが印刷ヘッド部19aの副走査方向A2の移動に連動してシート2a1上を回転しながら移動するため、前記第1実施形態と同様に、シート2a1を位置決めしつつシート2a1へのダメージを極力防止できる。尚、印刷ページ位置決め手段14,140は、シート2a1を印刷位置に位置決めできるものであれば良く、印刷ヘッド部19a,19bに連動して移動するものでなく装置本体3に固定で設けられ、例えばシート2a1の有効印刷面の外側を単に押圧支持するものであっても良いことは勿論である。
【0121】
また、前記第1及び第2実施形態にあって、押し当てレバー15の先端に、押圧物が冊子2かそれ以外の物かを検出可能なインターロックスイッチを設け、冊子2以外の物が冊子押圧面4に載置された場合には冊子セット処理を行わないようにすれば、押し当てレバー15が不用意に作動してユーザが押し当てレバー15と冊子押圧面4との間で手を挟む等の事態を防止できる。
【0122】
さらに、前記第1及び第2実施形態によれば、装置本体3の上面である水平面を冊子押圧面4として設定したので、ユーザが冊子状媒体2を配置し易いという利点がある。しかし、冊子押圧面4を垂直面に設置しても良い。特に、第2実施形態の片面印刷の印刷装置1Bにおいては、印刷ヘッド部19aのインク吐出方向を真下方向に設定できる利点がある。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、被印刷ページのシートを境として綴じ部を中央に両開きした際に左右に分割されたシート数によって厚みが異なる状態となるが、この両開きした冊子状媒体を冊子押圧手段で冊子押圧面に押圧すると共に、被印刷ページのシートのみをシート挿入孔に挿入し、この挿入したシートを印刷ページ位置決め手段によって位置決めし、被印刷ページのシートが綴じ部を中央に両開きした際に左右に分割されたシートの厚みやその曲面に影響を受けることなく印刷ページ位置決め手段によって位置決めされた状態で印刷ヘッド手段により印刷が行われる。従って、綴じ部を中心に両開きした際の左右の厚みにかかわらず、且つ、被印刷ページのシートに曲面が発生することなく適切な印刷状態で印刷できる。これにより、従来の印刷装置のように印刷ヘッド部と被印刷ページのシートとを所定の位置関係に調整するための各種検出手段及びこれら検出手段に基づく調整手段が必要ない。特に、綴じられているシートの枚数が多く、且つ、そのシートが腰の弱いものである場合に、綴じ部を中央に両開きすると大きな領域に亘って大きな曲面が形成されるが、このような冊子状媒体についても全く曲面が形成されることなく印刷できるため、このような冊子状媒体の印刷に特に有効である。
【0124】
請求項2の発明によれば、冊子押圧手段の押圧力が冊子状媒体の綴じ部を冊子押圧面に近接させる方向に直接的に作用し、綴じ部を弱い押圧力で有効に冊子状押圧面に近接させることができるため、被印刷ページのシートを弱い押圧力でシート挿入孔に深く挿入できる。
【0125】
請求項3の発明によれば、印刷ヘッド部で印刷されるシートの常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向の上流側が一対のシート押圧部材によって押圧支持されるため、印刷ヘッド部で印刷される領域が確実に位置決めされ、且つ、印刷直後の箇所を一対のシート押圧部材が押圧することがなくインク滲み等が発生しない。
【0126】
請求項4の発明によれば、印刷ヘッド部で印刷されるシートの常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向の上流側がシート押圧部材と押圧力受けシートによって押圧支持されるため、印刷ヘッド部で印刷される領域が確実に位置決めされ、且つ、印刷直後の箇所をシート押圧部材が押圧することがなくインク滲み等が発生しない。
【0127】
請求項5の発明によれば、印刷ヘッド部が走査可能な2次元領域の印刷が可能であるため、インクタンクを搭載したインクジェットタイプの印刷ヘッド部の使用に適する。
【0128】
請求項6の発明によれば、シート挿入孔より挿入された被印刷ページのシートのサイズを検出するシートサイズ検出手段を備えたので、各種サイズのシートについて適切な印刷領域で印刷が可能である。また、シートが配置されていない箇所にインクを塗布するようなエラーを防止できるため、装置内部をインクで汚すことがない。
【0129】
請求項7の発明によれば、シート挿入孔に挿入された被印刷ページのシートが斜めである場合には、シート斜め検出手段によって検出されるため、シートに斜めに印刷される事態を回避できる。
【0130】
請求項8の発明によれば、シートが斜め状態である場合に、シート斜め補正手段によってシートの斜め状態が自動的に矯正されるため、ユーザがシートの斜め補正作業を行う事なく、シートに斜め印刷される事態を回避できる。
【0131】
請求項9の発明によれば、冊子押圧手段で冊子状媒体が冊子押圧面に強く押圧されると、綴じ部で冊子押圧面への近接度合いが弱い部分が冊子押圧面側に押圧変移され、これによって被印刷ページのシートの斜め挿入が矯正されるため、別途にシート斜め補正手段を設ける必要がなく、部品点数の削減、装置の簡略化等に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、両面印刷の印刷装置の正面側から見た概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、両面印刷の印刷装置の側面側から見た概略構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、両面印刷の印刷装置の概略回路のブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、シートのサイズや傾斜の検出を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示し、印刷装置の全体概略のフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態を示し、初期化処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態を示し、右の印刷ヘッド部(右のヘッドユニット)の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態を示し、左の印刷ヘッド部(左のヘッドユニット)の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態を示し、副走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態を示し、冊子状媒体のセット処理のフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態を示し、押し当てレバーの加圧処理のフローチャートである。
【図12】本発明の第1実施形態を示し、シートサイズの取得処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第1実施形態を示し、シート幅の取得処理のフローチャートである。
【図14】本発明の第1実施形態を示し、シート長さ・傾斜の取得処理の前半のフローチャートである。
【図15】本発明の第1実施形態を示し、シート長さ・傾斜の取得処理の後半のフローチャートである。
【図16】本発明の第1実施形態を示し、シートセット斜め補正処理のフローチャートである。
【図17】本発明の第1実施形態を示し、印刷処理のフローチャートである。
【図18】本発明の第1実施形態を示し、冊子状媒体の解放処理のフローチャートである。
【図19】本発明の第2実施形態を示し、片面印刷の印刷装置の正面側から見た概略構成図である。
【図20】本発明の第2実施形態を示し、片面印刷の印刷装置の概略回路のブロック図である。
【図21】本発明の第2実施形態を示し、印刷装置の全体概略のフローチャートである。
【図22】本発明の第2実施形態を示し、初期化処理のフローチャートである。
【図23】本発明の第2実施形態を示し、単一の印刷ヘッド部(単一のヘッドユニット)の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図24】本発明の第2実施形態を示し、副走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図25】本発明の第2実施形態を示し、冊子状媒体のセット処理のフローチャートである。
【図26】本発明の第2実施形態を示し、押し当てレバーの加圧処理のフローチャートである。
【図27】本発明の第2実施形態を示し、シートサイズの取得処理のフローチャートである。
【図28】本発明の第2実施形態を示し、シート幅の取得処理のフローチャートである。
【図29】本発明の第2実施形態を示し、シート長さ・傾斜の取得処理の前半のフローチャートである。
【図30】本発明の第2実施形態を示し、シート長さ・傾斜の取得処理の後半のフローチャートである。
【図31】本発明の第2実施形態を示し、シートセット斜め補正処理のフローチャートである。
【図32】本発明の第2実施形態を示し、印刷処理のフローチャートである。
【図33】本発明の第2実施形態を示し、冊子状媒体の解放処理のフローチャートである。
【図34】従来例の印刷装置の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 両面印刷の印刷装置
1′ 片面印刷の印刷装置
2 冊子状媒体
2a シート
2a1 被印刷ページのシート
2b 綴じ部
2c 背表紙
4 冊子押圧面
5 シート挿入孔
10 冊子押圧手段(シート斜め補正手段)
18 印刷ヘッド手段
19a,19b 印刷ヘッド部
40,140 印刷ページ位置決め手段
42a,42b シートしごきローラ(シート押圧部材)
43 シートサイズ検出手段
44 紙先端検出センサ
45 シート傾斜検出手段
70 押圧力受けシート
A1 主走査方向
A2 副走査方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のシート(紙等)が綴じ部で綴じられた手帳、日記帳、本等の冊子状媒体に印刷を行う冊子状媒体の印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の冊子状媒体の印刷装置として、図34に示す特開平9−300773号公報に開示されたものがある。図34に示すように、冊子状媒体の印刷装置100は、被印刷ページの両シート101a,101aを表面として綴じ部101bを中央に開かれた冊子101を載置する冊子載置台102と、この冊子載置台102上に載置された冊子101を副走査方向A2に移動させる4箇所の上下各一対の搬送ローラ103a,103bと、冊子載置台102の上方に配置され、ガイド軸104にガイドされて主走査方向A1に移動自在に設けられた印刷ヘッド部105とを備えている。そして、印刷ヘッド部105を印刷開始位置に位置設定し、位置設定された印刷ヘッド部105を主走査方向A1に移動しつつ1ライン目の印刷を行い、1ライン目の印刷が終了すると、印刷ヘッド部105を副走査方向A2に所定量だけ移動し、2ライン目の印刷に移行し、このような印刷動作を順次繰り返すことにより被印刷ページの両シート101a,101aに印刷を行うものである。
【0003】
ところで、複数のシートが綴じ部101bで綴じられた冊子101は、被印刷ページの両シート101a,101aを境として綴じ部101bを中央に両開きした際に左右に分割されるシート数によって左右の厚みが異なる状態となり、被印刷ページの高さ位置が変化する。
【0004】
一方、印刷ヘッド部105は接触式・非接触式を問わず、被印刷ページのシート101aに対して所定の位置関係に配置されないと、良好な印刷ができない。そのため、従来では被印刷ページのシート101aが開かれた際の冊子101の厚みを検出する厚み検出手段106を設け、この厚み検出手段106の検出結果に応じて印刷ヘッド部105の高さを調整することにより印刷ヘッド部105と被印刷ページのシート101aとを所定の位置関係にしたり、また、被印刷ページのシート101aが開かれた際の冊子101の高さを一定にするための高さ調整手段を設け、この高さ調整手段により高さを調整することにより印刷ヘッド部105と被印刷ページのシート101aとを所定の位置関係にしたりしていた。
【0005】
尚、この従来例に関する類似技術は、特開平7−25093号公報、特開平8−25747号公報、特開平8−156352号公報等に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の冊子状媒体の印刷装置100では、印刷ヘッド部105と被印刷ページのシート101aとを所定の位置関係に調整するための各種検出手段及びこれら検出手段に基づく調整手段が必要であるという問題がある。
【0007】
また、冊子101は、被印刷ページの両シート101a,101aを境として綴じ部101bを中央に両開きした際に、被印刷ページの両シート101a,101aには綴じ部101bの近傍に曲面部分が通常形成されるため、この部分で印刷歪みが発生するという問題がある。特に、綴じられているシート101aの枚数が多く、且つ、そのシート101aが腰の弱いものである場合に、綴じ部101bを中央に両開きすると大きな領域に亘って大きな曲面が形成されるため、非常に再現性の悪い印刷、場合によっては印刷物として価値のない印刷しかできない。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、綴じ部を中心に両開きした際の左右の厚みにかかわらず、且つ、被印刷ページのシートに曲面が発生することなく適切な印刷状態で印刷できる冊子状媒体の印刷装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、シート挿入孔が開口された冊子押圧面を有し、この冊子押圧面に綴じ部を中央として開かれ、且つ、被印刷ページのシートが前記シート挿入孔に挿入された冊子状媒体を前記冊子押圧面側に押圧する冊子押圧手段と、前記シート挿入孔に挿入された前記被印刷ページのシートを所定の印刷位置に位置決めする印刷ページ位置決め手段と、この印刷ページ位置決め手段で位置決めされた被印刷ページのシートの少なくとも一面に印刷を行う印刷ヘッド手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この冊子状媒体の印刷装置では、被印刷ページのシートを境として綴じ部を中央に両開きした際に、左右に分割されたシート数によって厚みが異なる状態となるが、この両開きした冊子状媒体を冊子押圧手段で冊子押圧面に押圧すると共に被印刷ページのシートのみをシート挿入孔に挿入し、この挿入したシートを印刷ページ位置決め手段によって位置決めし、被印刷ページのシートが綴じ部を中央に両開きした際に、左右に分割されたシートの厚みやその曲面に影響を受けることなく印刷ページ位置決め手段によって位置決めされた状態で印刷ヘッド手段により印刷が行われる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記冊子押圧手段は、前記冊子状媒体の背表紙部を前記冊子押圧面側に押圧することを特徴とする。
【0012】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、冊子押圧手段の押圧力が冊子状媒体の綴じ部を冊子押圧面に近接させる方向に直接的に作用し、綴じ部を弱い押圧力で有効に冊子状押圧面に近接させることができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記印刷ページ位置決め手段は、前記印刷ヘッド手段が前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの両面側にそれぞれ印刷ヘッド部を有する両面印刷用の場合に、該一対の印刷ヘッド部の副走査方向の移動に連動してそれぞれ移動する一対のシート押圧部材を有し、この一対のシート押圧部材によって印刷時における前記印刷ヘッド部の副走査方向の上流側を挟持することを特徴とする。
【0014】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、印刷ヘッド部で印刷されるシートの常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向の上流側が一対のシート押圧部材によって押圧支持される。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記印刷ページ位置決め手段は、前記印刷ヘッド手段が前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの一方面側に印刷ヘッド部を有する片面印刷用の場合に、前記印刷ヘッド部の副走査方向の移動に連動して移動するシート押圧部材と前記印刷ヘッドが配置されていない側に設けられた押圧力受けシートとを有し、前記シート押圧部材が印刷時における前記印刷ヘッド部の副走査方向の上流側で前記押圧力受けシートを押圧することを特徴とする。
【0016】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、印刷ヘッド部で印刷されるシートの常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向の上流側がシート押圧部材と押圧力受けシートによって押圧支持される。
【0017】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記印刷ヘッド手段の印刷ヘッド部は、冊子状媒体の綴じ部の長手方向に対して平行方向と直交方向にそれぞれ移動自在に設けられたことを特徴とする。
【0018】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項3又は請求項4の発明の作用に加え、印刷ヘッド部が走査可能な2次元領域の印刷が可能である。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートのサイズを検出するシートサイズ検出手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、各種サイズのシートについて適切な印刷領域で印刷が可能である。また、シートが配置されていない箇所にインクを塗布するようなエラーを防止できる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの傾斜を検出するシート傾斜検出手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項1の発明の作用に加え、シート挿入孔に挿入された被印刷ページのシートが斜めである場合に、シート斜め検出手段によって検出される。
【0023】
請求項8の発明は、請求項7記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記シート挿入孔より挿入された前記印刷ページのシートの斜め状態を矯正するシート斜め補正手段を備え、前記シート傾斜検出手段がシートの斜め状態を検出した場合に、前記シート斜め補正手段で前記シートの斜め状態を矯正することを特徴とする。
【0024】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項7の発明の作用に加え、シートが斜め状態である場合に、シート斜め補正手段によってシートの斜め状態が自動的に矯正される。
【0025】
請求項9の発明は、請求項8記載の冊子状媒体の印刷装置であって、前記シート斜め補正手段は、冊子押圧手段が冊子状媒体への押圧力を強める動作を行うものであることを特徴とする。
【0026】
この冊子状媒体の印刷装置では、請求項8の発明の作用に加え、冊子押圧手段で冊子状媒体が冊子押圧面に強く押圧されると、綴じ部で冊子押圧面への近接度合いが弱い部分が冊子押圧面側に押圧変移され、これによって被印刷ページのシートの斜め挿入が矯正される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1〜図18は本発明の第1実施形態に係る両面印刷タイプの冊子状媒体の印刷装置を示し、図1は印刷装置の正面側から見た概略構成図、図2は印刷装置の側面側から見た概略構成図、図3は印刷装置の概略回路のブロック図、図4はシートのサイズや傾斜の検出を説明するための図、図5は印刷装置の全体概略のフローチャート、図6は初期化処理のフローチャート、図7は右の印刷ヘッド部の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図8は左の印刷ヘッド部の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図9は副走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図10は冊子状媒体のセット処理のフローチャート、図11は押し当てレバーの加圧処理のフローチャート、図12はシートサイズの取得処理のフローチャート、図13はシート幅の取得処理のフローチャート、図14はシート長さ・傾斜の取得処理の前半のフローチャート、図15はシート長さ・傾斜の取得処理の後半のフローチャート、図16はシートセット斜め補正処理のフローチャート、図17は印刷処理のフローチャート、図18は冊子状媒体の解放処理のフローチャートである。
【0029】
図1,図2に示すように、両面印刷タイプの冊子状媒体2の印刷装置1は、複数のシート(紙等)2aが綴じ部2bで綴じられた手帳、日記帳、本等の冊子状媒体2の所望のシート2a1に印刷を行うものであり、装置本体3の上面には水平面の冊子押圧面4が設けられている。この冊子押圧面4の左右方向のほぼ中央にはシート挿入孔5が開口されており、このシート挿入孔5の幅は冊子状媒体2に使用される最も厚手のシート2aでも十分に挿入可能な寸法に設定されている。そして、シート挿入孔5を境として装置本体3内には左右の部品収容室6a,6bが設けられている。
【0030】
また、図1,図2に示すように、両面印刷タイプの冊子状媒体2の印刷装置1は、被印刷ページのシート2aがシート挿入孔5に挿入された冊子状媒体2を冊子押圧面4側に押圧する冊子押圧手段10と、シート挿入孔5に挿入された被印刷ページのシート2aを所定の印刷位置に位置決めする印刷ページ位置決め手段40と、この印刷ページ位置決め手段40で位置決めされた被印刷ページの両シート2a,2aに印刷を行う印刷ヘッド手段18とを備えている。
【0031】
図1に示すように、冊子押圧手段10は、右の部品収容室6aに配置された押し圧制御モータ11と、装置本体3の上端部分に第1回転部12を介して支持され、装置本体3の冊子押圧面4の上方に延びるアーム部13と、このアーム部13の先端に第2回転部14を介して連結され、先端に押圧パッド16が設けられた押し当てレバー15とを有している。そして、押し当て制御モータ11の回転によって押し当てレバー15は、冊子状媒体2の背表紙部2cより上方に離間する待機位置と冊子状媒体2の背表紙部2cを冊子押圧面4側に押圧する押圧位置との間で変移されるようになっている。
【0032】
押し圧制御モータ11は直流モータにて構成され、図3に示すCPU58によって所望のトルク制御が可能とされている。第1回転部12には図示しないトルクリミッタが介在され、押し当てレバー15側から一定以上の回転トルクが押し圧制御モータ11側に作用せず、また、押し圧制御モータ11側から一定以上の回転トルクが押し当てレバー15側に作用しないようになっている。これにより冊子状媒体2の破損と共に、押し当てレバー15とアーム部13及び押し当て制御モータ11等の破損を防止している。
【0033】
さらに、第2回転部14には図示しない回転ロック手段が介在され、この回転ロック手段は通常ロック状態とされている。このロックを解除することによりアーム部13と押し当てレバー15との間の回転角度を自由に可変でき、これにより押し当てレバー15の角度等を自由に調整できる。また、冊子押圧手段10はこの第1実施形態ではシート斜め補正手段を兼用する。
【0034】
図1に示すように、印刷ヘッド手段18は、各印刷ヘッド部19a,19bを備えた左右一対のヘッドユニット20a,20bを有し、この各ヘッドユニット20a,20bは左右の部品収容室6a,6bにそれぞれ配置されている。左右の各ヘッドユニット20a,20bは、各部品収容室6a,6b内に立設された各垂直ガイドロッド21a,21bにガイドされた左右の垂直移動ブロック22a,22bを有し、この左右の垂直移動ブロック22a,22bは副走査方向駆動手段23によって同期して移動される。
【0035】
この副走査方向駆動手段23は、右の部品収容室6a内で装置本体3に固定された副走査モータ24と、この副走査モータ24の回転軸に固定されたプーリ7と、このプーリ7に一端側が掛けられたタイミングベルト8と、このタイミングベルト8の他端側が掛けられたプーリ9と、このプーリ9に同軸で固定された下方プーリ25と、この下方プーリ25の上方位置で、且つ、装置本体3に回転自在に支持された上方プーリ26と、この上方プーリ26と下方プーリ25間に掛けられた右タイミングベルト27と、プーリ9及び下方プーリ25に同軸で固定された連動用右プーリ28と、左部品収容室6bに配置された連動用左プーリ29と、この連動用左プーリ29と連動用右プーリ28間に掛けられた連動用タイミングベルト30と、連動用左プーリ29に同軸で固定された下方プーリ31と、この下方プーリ31の上方位置で、且つ、装置本体3に回転自在に支持された上方プーリ32と、この上方プーリ32と下方プーリ31間に掛けられた左タイミングベルト33とを有し、左右の各タイミングベルト27,33に左右の垂直移動ブロック22a,22bがそれぞれ固定されている。
【0036】
そして、副走査モータ24が駆動すると、右タイミングベルト27と共に連動用タイミングベルト30を介して左タイミングベルト33が同期して移動し、これにより左右の垂直移動ブロック22a,22bが同期して副走査方向(上下方向)A2に移動される。副走査モータ24は、ステッピングモータにて構成され、図3に示すCPU58は副走査モータ24に出力するパルス数によって垂直移動ブロック22a,22bの移動距離及び位置を制御できるようになっている。
【0037】
また、左右の垂直移動ブロック22a,22bには水平方向に配置された水平ガイドロッド34a,34bが設けられ、この水平ガイドロッド34a,34bに前記各印刷ヘッド部19a,19bがそれぞれガイドされて支持されている。この各印刷ヘッド部19a,19bは、各主走査方向駆動手段35a,35bによって非同期で移動される。
【0038】
図1,図2に示すように、各主走査方向駆動手段35a,35bは、垂直移動ブロック22a,22bに固定された主走査モータ36a,36bと、この主走査モータ36a,36bの回転軸に固定された一方のプーリ37a(以下図示の都合上、図2に示す35a側のみを符号で示す)と、この一方のプーリ37aの水平方向に離間した位置で、且つ、垂直移動ブロック22a,22bに回転自在に支持された他方のプーリ38aと、この他方のプーリ38aと一方のプーリ37a間に掛けられた水平タイミングベルト39aとからそれぞれ構成され、この各水平タイミングベルト39aに印刷ヘッド部19a,19bがそれぞれ固定されている。そして、各主走査モータ36a,36bが駆動すると、各水平タイミングベルト39aがそれぞれ移動し、これにより左右の印刷ヘッド部19a,19bが非同期で主走査方向(水平方向)A1に移動される。各主走査モータ36a,36bは、ステッピングモータにて構成され、図3に示すCPU58は各主走査モータ36a,36bに出力するパルス数によって各印刷ヘッド部19a,19bの移動距離及び位置を制御できるようになっている。
【0039】
左右の各印刷ヘッド部19a,19bは、図示しないヘッドホルダと、このヘッドホルダに着脱自在に装着されたインクタンクを有するピエゾ式インクジェットヘッド又はサーマル式インクジェットヘッドとから構成されており、インクジェットヘッドが交換可能で、且つ、シート2aにインクを吐出することにより非接触で印刷することができるようになっている。
【0040】
図2に示すように、印刷ページ位置決め手段40は、左右の垂直移動ブロック22a,22bにそれぞれ固定された一対のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bと、この各しごきローラ駆動ソレノイド41a,41bによって駆動される一対のシート押圧部材であるシートしごきローラ42a,42bとを有する。一対のシートしごきローラ42a,42bは、左右の同一垂直位置で、且つ、印刷時における前記印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向A2の上流側の近傍に配置されている。一対のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bの通電時に、一対のシートしごきローラ42a,42bはシート挿入孔5内に突出する図1にて実線で示す押圧位置に、非通電時に、一対のシートしごきローラ42a,42bはシート挿入孔5より退出する図1にて仮想線で示す待機位置に、それぞれ位置されるようになっている。そして、一対のシートしごきローラ42a,42bは、印刷時における印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向の上流側の近傍位置でシート2a1を挟持するようになっている。また、一対のシートしごきローラ42a,42bの挟持による位置決めによって、シート2a1は各印刷ヘッド部19a,19bに対してそれぞれ最適な印刷位置に位置されるように設定されている。
【0041】
図2に示すように、シートサイズ検出手段43は、シート挿入孔5に挿入されたシート2a1のサイズを検出するもので、右の印刷ヘッド部19aに固定された紙先端検出センサ44と、主走査モータ36a及び副走査モータ24の回転数を適宜にカウントする図示しないカウンタと、このカウンタのカウント値より所定の演算を行う図示しない演算部とから構成されている。紙先端検出センサ44は、例えば反射式光センサであり、シート2a1の検出状態ではオフ信号を、シート2a1の非検出状態ではオン信号を出力する。カウンタ及び演算部は後述する制御系が担当する。
【0042】
図2に示すように、シート傾斜検出手段45は、シート挿入孔に挿入されたシート2a1の傾斜を検出するもので、前記シートサイズ検出手段43と同様に、右の印刷ヘッド部19aに固定された紙先端検出センサ44と、主走査モータ36a及び副走査モータ24の回転数を適宜にカウントするカウンタと、このカウンタのカウント値より所定の演算を行う演算部とから構成されている。紙先端検出センサ44はシートサイズ検出手段43の一部を兼用している。カウンタ及び演算部は後述する制御系が担当する。
【0043】
図1に示すように、左右の各主走査ホームポジションセンサ46a,46bは左右の垂直移動ブロック22a,22bにそれぞれ設けられ、各印刷ヘッド部19a,19bが主走査ホームポジション位置であるか否かを検出する。具体的には、各主走査ホームポジションセンサ46a,46bは光遮断式の光センサにて構成され、印刷ヘッド部19a,19bに設けられた光遮蔽プレート47a(19a側のみ図2に示す)が検出光を遮断してオン信号を出力することによって主走査ホームポジションを検出するようになっている。この主走査ホームポジション(HP)位置は、図4に示すように、シート挿入孔5に挿入されるシート2a1の最大サイズよりも外側位置になるように設定されている。
【0044】
図1,図2に示すように、副走査ホームポジションセンサ48は装置本体3に設けられ、垂直移動ブロック22a,22b、即ち双方の印刷ヘッド部19a,19bが副走査ホームポジション(HP)位置であるか否かを検出するようになっている。具体的には、各副走査ホームポジションセンサ48は光遮断式の光センサにて構成され、右の垂直移動ブロック22aに設けられた図2に示す光遮蔽プレート49が検出光を遮断してオン信号を出力することによって副走査ホームポジションを検出するようになっている。
【0045】
また、図1,図2に示すように、冊子有無センサ50は、装置本体3に設けられ、冊子押圧面4に冊子状媒体2が載置されているか否かを検出する。さらに、制御ユニット51は右の部品収容室6aに、電源ユニット52は左の部品収容室6bにそれぞれ収容されている。電源ユニット52は各種電子部品に電源を供給するようになっており、制御ユニット51の構成は後述する。
【0046】
次に、印刷装置1の制御系を説明する。図3に示すように、制御ユニット51にはモータドライブ回路55と画像処理回路56とメモリ57及びCPU(中央演算処理回路)58等が搭載されている。モータドライブ回路55はCPU58からの制御信号に基づいて各種モータに駆動信号を出力する。画像処理回路56は、パソコンなどの外部上位装置59から供給される画像データを印刷データに変換する等の処理を行い、画像処理回路56で作成された印刷データに基づいて印刷ヘッド部19a,19bが駆動される。この一連の制御はCPU58によって行われる。メモリ57には、図5〜図18に示すフローチャートを実行するためのプログラムが格納されていると共に、加圧トルクテーブル等の各種データが格納されている。
【0047】
また、CPU58はメモリ57の読み出し・書き込みを制御できると共に、CPU58には紙先端検出センサ44と左右の主走査ホームポジションセンサ46a,46bと副走査ホームポジションセンサ48及び冊子有無センサ50のセンサ出力が入力されている。そして、CPU58は、図5〜図18に示すフローチャートを実行するべくモータドライブ回路56を介して押し圧制御モータ11と副走査モータ24と左右の主走査モータ36a,36bを制御したり、左右のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bの駆動を制御したり、左右の印刷ヘッド部20a,20bの駆動を制御したりする。この制御内容については、後述する。
【0048】
次に、印刷装置1の印刷動作を、図5〜図18のフローチャートに基づいて説明する。ここで、主走査モータ36a,36bは、正転方向(CW)で左右の各印刷ヘッド部19a,19bが主走査ホームポジション位置から離間する方向に、逆転方向(CCW)で左右の各印刷ヘッド部19a,19bが主走査ホームポジション位置に近接する方向にそれぞれ移動するものとする。副走査モータ24は、正転方向(CW)で左右のヘッドユニット20a,20b、即ち、左右の印刷ヘッド部19a,19bが副走査ホームポジション位置から離間する方向(降下方向)に、逆転方向(CCW)で左右のヘッドユニット20a,20b、即ち、左右の印刷ヘッド部19a,19bが副走査ホームポジション位置に近接する方向(上昇方向)に、それぞれ移動するものとする。押し圧制御モータ11は、正転方向(CW)で押し当てレバー15が待機位置より押圧位置に、逆転方向(CCW)で押し当てレバー15が押圧位置から待機位置に、それぞれ移動するものとする。
【0049】
ユーザは、被印刷ページの所望のシート2a1を境として綴じ部2bを中央に冊子状媒体2を両開きし、被印刷ページの所望のシート2a1のみをシート挿入孔5に挿入しつつ冊子状媒体2を冊子押圧面4に載置する。そして、印刷データ等を特定して印刷開始を選択すれば印刷動作が実行される。
【0050】
先ず、印刷動作の全体の概略は、図5を示すように、初期化処理を行い(ステップS1)、次に、冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2をセットする冊子セット処理を行い(ステップS2)、次に、冊子状媒体2のシート2aの印刷を行う印刷処理を行い(ステップS3)、最後に、冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2のセットを解除する冊子解放処理(ステップS4)を行う。以下、各処理を順に説明する。
【0051】
図6に示すように、初期化処理(ステップS1)では、左右の印刷ヘッド部19a,19bを各主走査ホームポジション位置に復帰させる処理(ステップS5,S6)と、この左右の印刷ヘッド部19a,19bを副走査ホームポジション位置に復帰させる処理(ステップS7)とが行われる。
【0052】
具体的には、図7に示すように、右の主走査モータ36aを逆転駆動し(ステップS8)、主走査ホームポジションセンサ46aがオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS9)。そして、主走査ホームポジションセンサ46aの検出光が光遮蔽プレート47aで遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、主走査モータ46aの駆動を停止させる(ステップS10)。これで、右の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0053】
次に、図8に示すように、左の主走査モータ36bを逆転駆動し(ステップS11)、主走査ホームポジションセンサ46bがオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS12)。そして、主走査ホームポジションセンサ46bの検出光が図示しない光遮蔽プレートで遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、主走査モータ36bの駆動を停止させる(ステップS13)。これで、左の印刷ヘッド部19bを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0054】
最後に、図9に示すように、副走査モータ24を逆転駆動し(ステップS14)、副走査ホームポジションセンサ48がオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS15)。そして、主走査ホームポジションセンサ48の検出光が光遮蔽プレート49で遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、副走査モータ24の駆動を停止させる(ステップS16)。これで、左右の印刷ヘッド部19a,19bを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0055】
図10に示すように、冊子セット処理(ステップS2)は、冊子有無センサ50の出力をチェックし(ステップS21)、冊子状媒体2が存在すれば、押し当てレバー加圧処理(ステップS22)と、シートサイズ取得処理(ステップS23)と、シート斜め補正処理(ステップS24)とが行われる。具体的には、図11に示すように、押し当てレバー加圧処理(ステップS22)は、押し圧制御モータ11を初期設定トルクで正転駆動する(ステップS25)。すると、押し当てレバー15が待機位置から降下してその押圧パッド16が冊子状媒体2の背表紙部2cを押圧する押圧位置に変移される。押し圧制御モータ11はこの初期設定トルクによってオンし続けられ、冊子状媒体2はこの初期設定トルクによる押圧力で冊子押圧面4に押圧される。
【0056】
図12に示すように、シートサイズ取得処理(ステップS23)は、左右のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bをオンし(ステップS26)、左右一対のシートしごきローラ42a,42bで所望のシート2a1を挟持した状態でシート幅取得処理(ステップS27)とシート長さ傾斜取得処理(ステップS28)とを行う。
【0057】
図13に示すように、シート幅取得処理(ステップS27)は、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS29)、主走査モータ36aを正転方向に駆動する(ステップS30)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS31)、主走査モータ36aのパルスカウンタのカウント値Hwsを取得する(ステップS32)。次に、引き続いて紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS33)、主走査モータ36aのパルスカウンタのカウント値Hweを取得し(ステップS34)、これで主走査モータ36aを停止する(ステップS35)。つまり、図4に示すように、カウント値Hwsは主走査ホームポジション位置からシート2a1の近接エッジまでの距離に対応する値を示し、カウント値Hweは主走査ホームポジション位置からシート2a1の遠隔エッジまでの距離に対応する値を示す。
【0058】
次に、Hw=Hwe−Hwsの演算を行い、シート幅Hwを算出する(ステップS36)。そして、右の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に戻して終了する(ステップS37)。
【0059】
図14及び図15に示すように、シート長さ傾斜取得処理(ステップS28)は、主走査モータ36aを正転方向に駆動し(ステップS40)、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS41)、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態としてカウントを開始する(ステップS42)。そして、カウント値がE1(E1は任意の定数)になると、主走査モータ36aの駆動を停止する(ステップS44)。次に、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS45)、副走査モータ24を正転方向に駆動する(ステップS46)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS47)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値V1を取得し(ステップS48)、これで副走査モータ24を停止する(ステップS49)。
【0060】
次に、図14に示すように、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS50)、主走査モータ36aを正転方向に駆動する(ステップS51a)。そして、カウント値がHw−(E1+E2)(E2は任意の定数)になると(ステップS51b)、主走査モータ36aの駆動を停止する(ステップS52)。つまり、カウント値がHw−(E1+E2)の位置は、図4ではaポイントとなり、シート2a1が印刷ヘッド部19aの主走査方向A1に対して傾斜がない場合にはシート2a1のエッジとなり、シート2a1に傾斜がある場合にはシート2aの外側(図4に示す位置)又は内側にシフトする位置となる。
【0061】
次に、図15に示すように、紙先端検出センサ44の出力をチェックし(ステップS53)、紙先端検出センサ44の出力がオンであれば、つまり、紙先端検出センサ44の位置がシート2aの外側(図4に示す位置)にシフトした位置であれば、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS54)、副走査モータ24を逆転方向に駆動し、印刷ヘッド部19a,19bを上昇させる(ステップS55)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS56)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値−V1αを取得する(ステップS57)。
【0062】
また、紙先端検出センサ44の出力がオフであれば、即ち、紙先端検出センサ44の位置がシート2aの内側にシフトした位置であれば、図15に示すように、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS58)、副走査モータ24を正転方向に駆動し、印刷ヘッド部19a,19bを降下させる(ステップS59)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS60)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値V1αを取得する(ステップS61)。つまり、図4に示すように、カウント値−V1α,V1αはシート2a1のエッジまでのシフト距離に対応する値を示す。
【0063】
次に、図15に示すように、シート2a1の傾斜角度Vθ=tan−1(|V1α|/Hw)の演算を行う(ステップS62)。そして、右の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に戻し(ステップS63)、更に左右の印刷ヘッド部19a,19bを副走査ホームポジション位置に戻して終了する(ステップS64)。尚、より正確な傾斜角度Vθを求める場合には、上記演算式においてHwに代えてHw−(E1+E2)を用いて演算する。
【0064】
次に、図16に示すように、シート斜め補正処理(ステップS24)は、シート2a1の傾斜角度VθがVθ<Er1(Er1は印刷不適当角度)であるか否かをチェックする(ステップS65)。Vθ<Er1でなければ、つまり、補正許容範囲を超えた傾斜角度Vθであれば、シートセットエラー処理を行う(ステップS71)。シートセットエラー処理は、その旨を表示パネルに表示したりしてユーザに冊子状媒体2のセットのやり直しを行わせる。Vθ<Er1であれば、即ち、最悪でも補正許容の傾斜角度Vθであれば、Vθ≧Er2(Er2は印刷可能角度)であるか否かをチェックする(ステップS66)。傾斜角度VθがEr2より小さければ、これで処理を終了する。傾斜角度VθがEr2より大きければ、メモリ57内の加圧トルクテーブルを参照して傾斜角度Vθに対応する指令トルク値(初期トルク値より大きなトルク)を取得し(ステップS67)、押し当て制御モータ11の回転駆動を指令トルクに基づくものに変更する(ステップS68)。冊子状媒体2は今まで以上に強い押圧力で押圧されるため、冊子状媒体2のシート2a1の傾斜が小さくなる方向に通常変移する。ここで、加圧トルクテーブルの対応データは、傾斜角度の大きさに比例して大きなトルクを作用させるように設定されている。
【0065】
図16に示すように、押し当てレバー15による傾斜補正が終了すると、上述したシート長さ傾斜取得処理(ステップS28)をやり直し、シート2a1の傾斜角度VθがEr2の範囲内でなったか否かをチェックする(ステップS69)。傾斜角度VθがEr2より小さい値になれば、これで処理を終了する。傾斜角度VθがEr2より小さくならなければ、押し当てレバー15による傾斜補正を繰り返し、一定時間経過しても傾斜角度VθがEr2より小さくならなければ、シートセットエラー処理を行う(ステップS71)。押し当てレバー15による傾斜補正を繰り返しにより、傾斜角度VθがEr2より小さくなれば、これで処理を終了する。
【0066】
図17に示すように、印刷動作処理(ステップS3)は、上位装置59からの画像データを含む入力があるか否かをチェックする(ステップS72)。そして、画像データ等の入力があれば画像データを抽出してこれを画像処理回路56で印刷データに変換し、変換した印刷データを各印刷ヘッド部19a,19bの図示しない駆動回路に出力して各印刷ヘッド部19a,19bの吐出ノズル17よりインクを吐出してそれぞれ1ライン目の印刷を実行する(ステップS74,S75)。
【0067】
そして、双方の印刷ヘッド部19a,19bの1ライン目の印刷が共に終了すると、副走査モータ24を所定パルスだけ回転して副走査方向A2に1ライン分だけ移動し(ステップS77)、各印刷ヘッド部19a,19bがそれぞれ2ライン目の印刷を実行する(ステップS74,S75)。このような動作を全ラインについて行い、1画面分の印刷が終了すると(ステップS78)、左右の印刷ヘッド19a,19bを主走査ホームポジション位置に戻す(ステップS80)と共に、副走査ホームポジション位置に戻し(ステップS81)、これで終了する。
【0068】
図18に示すように、冊子解放処理(ステップS4)は、左右のしごきローラ駆動ソレノイド41a,41bをオフし(ステップS82)、これにより一対のシートしごきローラ42a,42bが待機位置に変位してシート2a1が解放される。次に、押し圧制御モータ11をオフとし(ステップS83)、更に押し当て制御モータ11を解放設定トルクで一定時間だけ逆転駆動して停止する(ステップS84〜S86)。これにより、押し当てレバー15が押圧位置から上昇して冊子状媒体2の背表紙部2cから離間する待機位置に変移される。これで、ユーザは冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2を自由に取ることができる。異なる被印刷ページのシート2aに印刷を行いたい場合には上記した動作を繰り返せば良い。
【0069】
この冊子状媒体2の印刷装置1では、被印刷ページのシート2a1を境として綴じ部2bを中央に両開きした際に左右に分割されたシート数によって厚みが異なる状態となるが、この両開きした冊子状媒体2を冊子押圧手段10で冊子押圧面4に押圧すると共に、被印刷ページの所望のシート2a1のみをシート挿入孔5に挿入し、この挿入したシート2a1を印刷ページ位置決め手段40によって位置決めされ、被印刷ページのシート2a1が綴じ部2bを中央に両開きした際に左右に分割されたシート2aの厚みやその曲面に影響を受けることなく印刷ページ位置決め手段40によって位置決めされた状態で印刷ヘッド手段18により印刷が行われる。従って、綴じ部2bを中心に両開きした際の左右の厚みにかかわらず、且つ、被印刷ページのシート2a1に曲面が発生することなく適切な印刷状態で印刷できる。
【0070】
つまり、従来の印刷装置のように印刷ヘッド部と被印刷ページのシートとを所定の位置関係に調整するための各種検出手段及びこれら検出手段に基づく調整手段が必要ない。特に、綴じられているシート2aの枚数が多く、且つ、そのシート2aが腰の弱いものである場合には、綴じ部2bを中央に両開きすると大きな領域に亘って大きな曲面が形成されるが、このような冊子状媒体2についても全く曲面が形成されることなく印刷できるため、このような冊子状媒体2の印刷に有効である。
【0071】
また、シート2a1の両側に印刷ヘッド部19a,19bを設けたので、シート2a1の両面に同時に印刷を行うことができる。さらに、冊子押圧手段10は、冊子状媒体2の背表紙部2cを冊子押圧面4側に押圧するので、冊子押圧手段10の押圧力が冊子状媒体2の綴じ部2bを冊子押圧面4に近接させる方向に直接的に作用し、綴じ部2bを弱い押圧力で有効に冊子状押圧面4に近接させることができる。従って、被印刷ページのシート2a1を弱い押圧力でシート挿入孔5に深く挿入できる。
【0072】
さらに、印刷ページ位置決め手段40は、一対の印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向A2の移動に連動してそれぞれ移動する一対のシートしごきローラ42a,42bを有し、この一対のシートしごきローラ42a,42bによって印刷時における印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向A2の上流側を挟持するので、印刷ヘッド部19a,19bで印刷されるシート2a1の常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向A2の上流側が一対のシートしごきローラ42a,42bによって押圧支持されるため、印刷ヘッド部19a,19bで印刷される領域が確実に位置決めされ、且つ、印刷直後の箇所を一対のシートしごきローラ42a,42bが押圧することがなくインク滲み等が発生しない。
【0073】
また、印刷ヘッド手段18の印刷ヘッド部19a,19bは、冊子状媒体2の綴じ部2bの長手方向に対して平行方向と直交方向にそれぞれ移動自在に設けられたので、印刷ヘッド部19a,19bが走査可能な2次元領域の印刷が可能であるため、インクタンクを搭載したインクジェットタイプの印刷ヘッド部の使用に適する。さらに、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1のサイズを検出するシートサイズ検出手段43を備えているので、各種サイズのシートについて適切な印刷領域で印刷が可能である。また、シート2aが配置されていない箇所にインクを塗布するようなエラーを防止できるため、装置内部をインクで汚すことがない。
【0074】
さらに、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページの所望のシート2a1の傾斜を検出するシート傾斜検出手段45を備えているので、シート挿入孔5に挿入された被印刷ページのシート2a1が斜めである場合には、シート斜め検出手段45によって検出されるため、シート2aに斜めに印刷される事態を回避できる。また、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1の斜め状態を矯正するシート斜め補正手段である冊子押圧手段10を備え、シート傾斜検出手段45がシート2a1の斜め状態を検出した場合には、シート斜め補正手段である冊子押圧手段10でシート2a1の斜め状態を矯正するので、シート2a1が斜め状態である場合には、シート斜め補正手段である冊子押圧手段10によってシート2a1の斜め状態が自動的に矯正される。従って、ユーザがシート2a1の斜め補正作業を行うことなく、シート2a1に斜め印刷される事態を回避できる。
【0075】
また、シート傾斜検出手段45がシート2a1の斜め状態を検出した場合には、冊子押圧手段10が冊子状媒体2への押圧力を強める動作を行うので、冊子状媒体2が冊子押圧面4に強く押圧されると、綴じ部2bで冊子押圧面4への近接度合いが弱い部分が冊子押圧面4側に押圧変移され、これによって被印刷ページのシート2a1の斜め挿入が矯正されるため、斜め印刷を防止できる。また、冊子押圧手段10がシート斜め補正手段を兼用するため、別途にシート斜め補正手段を設ける必要がなく、部品点数の削減、装置の簡略化等に寄与する。
【0076】
さらに、一対の印刷ヘッド部19a,19bは、非接触式のインクジェットヘッドであるので、シート2a1の両面の同一箇所を同時に印刷可能であるため、高速の印刷動作が可能であると共に副走査方向A2のヘッド送りを単一の構成とすることができる。これに対し、接触式の印刷ヘッドを採用した場合には、接触式ヘッドに対応するシート2a1の裏面側を押圧部材で押圧した状態で印刷動作を実行する必要があるため、両面を同時に印刷することが現実的には不可能であり、それ故に各印刷ヘッド部についてそれぞれ副走査方向A2のヘッド送り機構を用意する必要がある。
【0077】
さらに、押し圧制御モータ11として直流モータを使用し、直流モータによる定トルク制御によって任意の一定の押圧力で冊子状媒体2を押圧するようにしたため、確実に任意の一定の押圧力で冊子状媒体2を押圧できる。つまり、任意の押圧力をバネ力によって得る場合にはバネの長さを可変する必要があり、そのためにはバネ位置可変の駆動源であるモータとバネ位置検出用のセンサとを付加する必要があり、機構の複雑化、それによるコストアップ、バネのバラツキによる押圧力の不安定等の問題が発生するが、直流モータによる定トルク制御ではそのような問題がない。
【0078】
図19〜図33は本発明の第2実施形態に係る片面印刷タイプの冊子状媒体の印刷装置を示し、図19は印刷装置の正面側から見た概略構成図、図20は印刷装置の概略回路のブロック図、図21は印刷装置の全体概略のフローチャート、図22は初期化処理のフローチャート、図23は印刷ヘッド部の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図24は印刷ヘッド部の副走査ホームポジション復帰処理のフローチャート、図25は冊子状媒体のセット処理のフローチャート、図26は押し当てレバーの加圧処理のフローチャート、図27はシートサイズの取得処理のフローチャート、図28はシート幅の取得処理のフローチャート、図29はシート長さ・傾斜の取得処理の前半のフローチャート、図30はシート長さ・傾斜の取得処理の後半のフローチャート、図31はシートセット斜め補正処理のフローチャート、図32は印刷処理のフローチャート、図33は冊子状媒体の解放処理のフローチャートである。
【0079】
図19に示すように、片面印刷タイプの冊子状媒体2の印刷装置1′は、複数のシート(紙等)2aが綴じ部2bで綴じられた手帳、日記帳、本等の冊子状媒体2の所望のシート2a1に印刷を行うものであり、装置本体3の上面には水平面の冊子押圧面4が設けられている。この冊子押圧面4の左右方向のほぼ中央にはシート挿入孔5が開口されており、このシート挿入孔5の幅は、冊子状媒体2に使用される最も厚手のシート2aでも十分に挿入可能な寸法に設定されている。そして、シート挿入孔5を境として装置本体3内には左右の部品収容室6a,6bが設けられている。
【0080】
また、図19に示すように、片面印刷タイプの冊子状媒体の印刷装置1′は、被印刷ページのシート2aがシート挿入孔5に挿入された冊子状媒体2を冊子押圧面4側に押圧する冊子押圧手段10と、シート挿入孔5に挿入された被印刷ページのシート2aを所定の印刷位置に位置決めする印刷ページ位置決め手段140と、この印刷ページ位置決め手段140で位置決めされた被印刷ページのシート2aに印刷を行う印刷ヘッド手段18とを備えている。
【0081】
図19に示すように、冊子押圧手段10は、前記第1実施形態のものと同一構成であるため、同一構成部分に同一符号を付してその説明を省略する。また、冊子押圧手段10は、この第2実施形態でも前記第1実施形態と同様に、シート斜め補正手段を兼用する。
【0082】
印刷ヘッド手段18は、単一の印刷ヘッド部19aを備えた単一のユニット20aのみを有し、この単一のヘッドユニット20aは右の部品収容室6aに配置されている。このヘッドユニット20aは、部品収容室6a内に立設された垂直ガイドロッド21aにガイドされた単一の垂直移動ブロック22aを有し、この垂直移動ブロック22aは副走査方向駆動手段123によって移動される。この副走査方向駆動手段123は、前記第1実施形態のものと比較して左の垂直移動ブロックに必要な駆動系を取り外した構成であり、同一構成部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0083】
また、単一の垂直移動ブロック22aには水平方向に配置された水平ガイドロッド34aが設けられ、この水平ガイドロッド34aに前記印刷ヘッド部19aがガイドされて支持されている。この印刷ヘッド部19aは、主走査方向駆動手段35aによって移動される。この主走査方向駆動手段35aの構成は、前記第1実施形態のものと同一構成であるため、同一構成部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0084】
単一の印刷ヘッド部19aは、この第2実施形態では前記第1実施形態のものと同様に、図示しないヘッドホルダと、このヘッドホルダに着脱自在に装着されたインクタンクを有するピエゾ式インクジェットヘッド又はサーマル式インクジェットヘッドとから構成されており、インクジェットヘッドが交換可能で、且つ、シート2aにインクを吐出することにより非接触で印刷することができるようになっている。
【0085】
図19に示すように、印刷ページ位置決め手段140は、右側の垂直移動ブロック22aに固定された単一のしごきローラ駆動ソレノイド41aと、このしごきローラ駆動ソレノイド41aによって駆動されるシート押圧部材であるシートしごきローラ42aと、印刷ヘッド19aが配置されていない左側で、且つ、シートしごきローラ42aの可動範囲の全域に亘って設けられた押圧力受けシート70とを有し、シートしごきローラ42aが印刷時における印刷ヘッド部19aの副走査方向A2の上流側で押圧力受けシート70を押圧するようになっている。そして、単一のシートしごきローラ42aと押圧力受けシート70との挟持による位置決めによって、被印刷ページの所望のシート2a1は印刷ヘッド部19aに対して最適な印刷位置に位置されるように設定されている。
【0086】
また、シートサイズ検出手段43及びシート傾斜検出手段45を有し、これらの構成も前記第1実施形態のものと同一であるため、同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0087】
主走査ホームポジションセンサ46aは、単一の垂直移動ブロック22aに設けられ、印刷ヘッド部19aが主走査ホームポジション位置であるか否かを検出する。具体的な構成は、前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。副走査ホームポジションセンサ48は装置本体3に設けられ、垂直移動ブロック22a、即ち、単一の印刷ヘッド部19aが副走査ホームポジション位置であるか否かを検出するようになっている。具体的な構成は、前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。また、制御ユニット51は右の部品収容室6aに、電源ユニット52は左の部品収容室6bにそれぞれ収容されている。
【0088】
次に、印刷装置1′の制御系を説明する。図20に示すように、前記第1実施形態と同様に、制御ユニット51には、モータドライブ回路55と画像処理回路56とメモリ157及びCPU(中央演算処理回路)158等が搭載されている。モータドライブ回路55及び画像処理回路56の構成は、前記第1実施形態と同様である。メモリ157には、図21〜図33に示すフローチャートを実行するためのプログラムが格納されていると共に、加圧トルクテーブル等の各種データが格納されている。
【0089】
また、CPU158はメモリ157の読み出し・書き込みを制御できると共に、CPU158には紙先端検出センサ44と主走査ホームポジションセンサ46aと副走査ホームポジションセンサ48及び冊子有無センサ50のセンサ出力が入力されている。そして、CPU158は、図21〜図33に示すフローチャートを実行するべくモータドライブ回路55を介して押し圧制御モータ11と副走査モータ24と主走査モータ36aを制御したり、しごきローラ駆動ソレノイド41aの駆動を制御したり、単一の印刷ヘッド部20aの駆動を制御したりする。この制御内容については後述する。
【0090】
次に、印刷装置1′の印刷動作を図21〜図33のフローチャートに基づいて説明する。ここで、主走査モータ36aは、正転方向(CW)で印刷ヘッド部19aが主走査ホームポジション位置から離間する方向に、逆転方向(CCW)で各印刷ヘッド部19aが主走査ホームポジション位置に近接する方向に、それぞれ移動するものとする。副走査モータ24は、正転方向(CW)でヘッドユニット20a、即ち、印刷ヘッド部19aが副走査ホームポジション位置から離間する方向(降下方向)に、逆転方向(CCW)でヘッドユニット20a、即ち、印刷ヘッド部19aが副走査ホームポジション位置に近接する方向(上昇方向)に、それぞれ移動するものとする。押し圧制御モータ11は、正転方向(CW)で押し当てレバー15が待機位置より押圧位置に、逆転方向(CCW)で押し当てレバー15が押圧位置から待機位置に、それぞれ移動するものとする。
【0091】
ユーザは、被印刷ページの所望のシート2a1を境として綴じ部2bを中央に冊子状媒体2を両開きし、被印刷ページの所望のシート2a1のみをシート挿入孔5に挿入しつつ冊子状媒体2を冊子押圧面4に載置する。そして、印刷データ等を特定して印刷開始を選択すれば印刷動作が実行される。
【0092】
先ず、印刷動作の全体の概略は、図21を示すように、初期化処理を行い(ステップS101)、次に、冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2をセットする冊子セット処理を行い(ステップS102)、次に、冊子状媒体2のシート2aの印刷を行う印刷処理を行い(ステップS103)、最後に、冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2のセットを解除する冊子解放処理(ステップS104)を行う。以下、各処理を順に説明する。
【0093】
図22に示すように、初期化処理(ステップS101)では、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に復帰させる処理(ステップS105)と、この単一の印刷ヘッド部19aを副走査ホームポジション位置に復帰させる処理(ステップS107)とが行われる。
【0094】
具体的には、図23に示すように、単一の主走査モータ36aを逆転駆動し(ステップS108)、主走査ホームポジションセンサ46aがオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS109)。そして、主走査ホームポジションセンサ46aの検出光が光遮蔽プレート(図示せず)で遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、主走査モータ46aの駆動を停止させる(ステップS110)。これで、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0095】
次に、図24に示すように、副走査モータ24を逆転駆動し(ステップS114)、副走査ホームポジションセンサ48がオフからオンに切り替わるポイントをチェックする(ステップS115)。そして、主走査ホームポジションセンサ48の検出光が光遮蔽プレート49で遮蔽され、出力がオフからオンに切り替わると、副走査モータ24の駆動を停止させる(ステップS116)。これで、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に復帰させる。
【0096】
図25に示すように、冊子セット処理(ステップS102)は、冊子有無センサ50の出力をチェックし(ステップS121)、冊子状媒体2が存在すれば、押し当てレバー加圧処理(ステップS122)と、シートサイズ取得処理(ステップS123)と、シート斜め補正処理(ステップS124)とが行われる。具体的には、図26に示すように、押し当てレバー加圧処理(ステップS122)は、押し圧制御モータ11を初期設定トルクで正転駆動する(ステップS125)。すると、押し当てレバー15が待機位置から降下してその押圧パッド16が冊子状媒体2の背表紙部2cを押圧する押圧位置に変移される。押し圧制御モータ11はこの初期設定トルクによってオンし続けられ、冊子状媒体2はこの初期設定トルクによる押圧力で冊子押圧面4に押圧される。
【0097】
図27に示すように、シートサイズ取得処理(ステップS123)は、単一のしごきローラ駆動ソレノイド41aをオンし(ステップS126)、単一のシートしごきローラ42aで所望のシート2a1を挟持した状態でシート幅取得処理(ステップS127)とシート長さ傾斜取得処理(ステップS128)を行う。
【0098】
図28に示すように、シート幅取得処理(ステップS127)は、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS129)、主走査モータ36aを正転方向に駆動する(ステップS130)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS131)、主走査モータ36aのパルスカウンタのカウント値Hwsを取得する(ステップS132)。次に、引き続いて紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS133)、主走査モータ36aのパルスカウンタのカウント値Hweを取得し(ステップS134)、これで主走査モータ36aを停止する(ステップS135)。つまり、図4に示すように、カウント値Hwsは主走査ホームポジション位置からシート2a1の近接エッジまでの距離に対応する値を示し、カウント値Hweは主走査ホームポジション位置からシート2a1の遠隔エッジまでの距離に対応する値を示す。
【0099】
次に、Hw=Hwe−Hwsの演算を行い、シート幅Hwを算出する(ステップS136)。そして、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に戻して終了する(ステップS137)。
【0100】
図29及び図30に示すように、シート長さ傾斜取得処理(ステップS128)は、主走査モータ36aを正転方向に駆動し(ステップS140)、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS141)、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態としてカウントを開始する(ステップS142)。そして、カウント値がE1(E1は任意の定数)になると、主走査モータ36aの駆動を停止する(ステップS144)。次に、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS145)、副走査モータ24を正転方向に駆動する(ステップS146)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS147)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値V1を取得し(ステップS148)、これで副走査モータ24を停止する(ステップS149)。
【0101】
次に、図29に示すように、主走査モータ36aのパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS150)、主走査モータ36aを正転方向に駆動する(ステップS151a)。そして、カウント値がHw−(E1+E2)(E2は任意の定数)になると(ステップS151b)、主走査モータ36aの駆動を停止する(ステップS152)。つまり、カウント値がHw−(E1+E2)の位置は、図4ではaポイントとなり、シート2a1が印刷ヘッド部19aの主走査方向A1に対して傾斜がない場合にはシート2a1のエッジとなり、シート2a1に傾斜がある場合にはシート2aの外側(図4に示す位置)又は内側にシフトする位置となる。
【0102】
次に、紙先端検出センサ44の出力をチェックし(ステップS153)、紙先端検出センサ44の出力がオンであれば、つまり、紙先端検出センサ44の位置がシート2aの外側(図4に示す位置)にシフトした位置であれば、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS154)、副走査モータ24を逆転方向に駆動して印刷ヘッド部19aを上昇させる(ステップS155)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオンからオフに切り替わると(ステップS156)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値−V1αを取得する(ステップS157)。
【0103】
また、紙先端検出センサ44の出力がオフであれば、即ち、紙先端検出センサ44の位置がシート2aの内側にシフトした位置であれば、副走査モータ24のパルスカウンタをリセットし、このカウンタをスタート状態として(ステップS158)、副走査モータ24を正転方向に駆動して印刷ヘッド部19aを降下させる(ステップS159)。そして、紙先端検出センサ44の出力をチェックし、紙先端検出センサ44の出力がオフからオンに切り替わると(ステップS160)、副走査モータ24のパルスカウンタのカウント値V1αを取得する(ステップS161)。つまり、図4に示すように、カウント値−V1α,V1αはシート2a1のエッジまでのシフト距離に対応する値を示す。
【0104】
次に、図30に示すように、シート2a1の傾斜角度Vθ=tan−1(|V1α|/Hw)の演算を行う(ステップS162)。そして、単一の印刷ヘッド部19aを主走査ホームポジション位置に戻し(ステップS163)、更に単一の印刷ヘッド部19aを副走査ホームポジション位置に戻して終了する(ステップS164)。尚、より正確な傾斜角度Vθを求める場合には、上記演算式においてHwに代えてHw−(E1+E2)を用いて演算する。
【0105】
次に、図31に示すように、シート斜め補正処理(ステップS124)は、シート2a1の傾斜角度VθがVθ<Er1(Er1は印刷不適当角度)であるか否かをチェックする(ステップS165)。Vθ<Er1でなければ、つまり、補正許容範囲を超えた傾斜角度Vθであれば、シートセットエラー処理を行う(ステップS171)。シートセットエラー処理は、その旨を表示パネルに表示したりしてユーザに冊子状媒体2のセットのやり直しを行わせる。Vθ<Er1であれば、即ち、最悪でも補正許容の傾斜角度Vθであれば、Vθ≧Er2(Er2は印刷可能角度)であるか否かをチェックする(ステップS166)。傾斜角度VθがEr2より小さければ、これで処理を終了する。傾斜角度VθがEr2より大きければ、メモリ57内の加圧トルクテーブルを参照して傾斜角度Vθに対応する指令トルク値(初期トルク値より大きなトルク)を取得し(ステップS167)、押し当て制御モータ11の回転駆動を指令トルクに基づくものに変更する(ステップS168)。冊子状媒体2は今まで以上に強い押圧力で押圧されるため、冊子状媒体2のシート2a1の傾斜が小さくなる方向に通常変移する。ここで、加圧トルクテーブルの対応データは、傾斜角度の大きさに比例して大きなトルクを作用させるように設定されている。
【0106】
図31に示すように、押し当てレバー15による傾斜補正が終了すると、上述したシート長さ傾斜取得処理(ステップS128)をやり直し、シート2a1の傾斜角度VθがEr2の範囲内でなったか否かをチェックする(ステップS169)。傾斜角度VθがEr2より小さい値になれば、これで処理を終了する。傾斜角度VθがEr2より小さくならなければ、押し当てレバー15による傾斜補正を繰り返し、一定時間経過しても傾斜角度VθがEr2より小さくならなければ、シートセットエラー処理を行う(ステップS171)。押し当てレバー15による傾斜補正を繰り返しにより、傾斜角度VθがEr2より小さくなれば、これで処理を終了する。
【0107】
図32に示すように、印刷動作処理(ステップS103)は、上位装置59からの画像データを含む入力があるか否かをチェックする(ステップS172)。そして、画像データ等の入力があれば画像データを抽出してこれを画像処理回路56で印刷データに変換し、変換した印刷データを印刷ヘッド部19aの図示しない駆動回路に出力して印刷ヘッド部19aの吐出ノズル17よりインクを吐出して1ライン目の印刷を実行する(ステップS174)。そして、単一の印刷ヘッド部19aの1ライン目の印刷が終了すると、副走査モータ24を所定パルスだけ回転して副走査方向A2に1ライン分だけ移動し(ステップS177)、印刷ヘッド部19aが2ライン目の印刷を実行する(ステップS174)。このような動作を全ラインについて行い、1画面分の印刷が終了すると(ステップS178)、単一の印刷ヘッド19aを主走査ホームポジション位置に戻す(ステップS179)と共に副走査ホームポジション位置に戻し(ステップS181)、これで終了する。
【0108】
図33に示すように、冊子解放処理(ステップS104)は、単一のしごきローラ駆動ソレノイド41aをオフし(ステップS182)、これにより単一のシートしごきローラ42aが待機位置に変位してシート2a1が解放される。次に、押し圧制御モータ11をオフとし(ステップS183)、更に押し当て制御モータ11を解放設定トルクで一定時間だけ逆転駆動して停止する(ステップS184〜S186)。これにより、押し当てレバー15が押圧位置から上昇して冊子状媒体2の背表紙部2cから離間する待機位置に変移される。これで、ユーザは冊子押圧面4に載置された冊子状媒体2を自由に取ることができる。
【0109】
この冊子状媒体2の印刷装置1′では、前記第1実施形態と同様に、被印刷ページのシート2a1を境として綴じ部2bを中央に両開きした際に左右に分割されたシート数によって厚みが異なる状態となるが、この両開きした冊子状媒体2を冊子押圧手段10で冊子押圧面4に押圧すると共に被印刷ページのシート2a1のみをシート挿入孔5に挿入し、この挿入したシート2a1を印刷ページ位置決め手段40によって位置決めされ、被印刷ページのシート2a1が綴じ部2bを中央に両開きした際に左右に分割されたシート2aの厚みやその曲面に影響を受けることなく印刷ページ位置決め手段140によって位置決めされた状態で印刷ヘッド手段18により印刷が行われる。従って、綴じ部2bを中心に両開きした際の左右の厚みにかかわらず、且つ、被印刷ページのシート2a1に曲面が発生することなく適切な印刷状態で印刷できる。
【0110】
つまり、従来の印刷装置のように印刷ヘッド部と被印刷ページのシートとを所定の位置関係に調整するための各種検出手段及びこれら検出手段に基づく調整手段が必要ない。特に、綴じられているシート2aの枚数が多く、且つ、そのシート2aが腰の弱いものである場合には、綴じ部2bを中央に両開きすると大きな領域に亘って大きな曲面が形成されるが、このような冊子状媒体2についても全く曲面が形成されることなく印刷できるため、このような冊子状媒体2の印刷に特に有効である。
【0111】
また、この印刷装置1′では、シート2a1の片側にのみ印刷ヘッド部19aを設けたので、シート2a1の片面に印刷を行うことができる。さらに、冊子押圧手段10は、冊子状媒体2の背表紙2cを冊子押圧面4側に押圧するので、冊子押圧手段10の押圧力が冊子状媒体2の綴じ部2bを冊子押圧面4に近接させる方向に直接的に作用し、綴じ部2bを弱い押圧力で有効に冊子状押圧面4に近接させることができる。従って、被印刷ページのシート2a1を弱い押圧力でシート挿入孔5に深く挿入できる。
【0112】
さらに、この印刷装置1′では、印刷ページ位置決め手段140は、単一の印刷ヘッド部19aの副走査方向A2の移動に連動して移動する単一のシートしごきローラ42aと、印刷ヘッド部19aが配置されていない側に設けられた押圧力受けシート70とを有し、シートしごきローラ42aが印刷時における印刷ヘッド部19aの副走査方向A2の上流側で押圧力受けシート70を押圧するので、印刷ヘッド部19aで印刷されるシート2a1の常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向A2の上流側がシートしごきローラ42aと押圧力受けシート70によって押圧支持されるため、印刷ヘッド部19aで印刷される領域が確実に位置決めされ、且つ、印刷直後の箇所をシートしごきローラ42aが押圧することがなくインク滲み等が発生しない。
【0113】
また、この印刷装置1′では、印刷ヘッド手段18の印刷ヘッド部19a,19bは、冊子状媒体2の綴じ部2bの長手方向に対して平行方向と直交方向にそれぞれ移動自在に設けられたので、印刷ヘッド部19a,19bが走査可能な2次元領域の印刷が可能であるため、インクタンクを搭載したインクジェットタイプの印刷ヘッド部の使用に適する。さらに、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1のサイズを検出するシートサイズ検出手段43を備えているので、各種サイズのシートについて適切な印刷領域で印刷が可能である。また、シート2aが配置されていない箇所にインクを塗布するようなエラーを防止できるため、装置内部をインクで汚すことがない。
【0114】
さらに、この印刷装置1′では、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1の傾斜を検出するシート傾斜検出手段45を備えているので、シート挿入孔5に挿入された被印刷ページのシート2a1が斜めである場合には、シート斜め検出手段45によって検出されるため、シート2aに斜めに印刷される事態を回避できる。また、シート挿入孔5より挿入された被印刷ページのシート2a1の斜め状態を矯正するシート斜め補正手段である冊子押圧手段10を備え、シート傾斜検出手段45がシート2a1の斜め状態を検出した場合には、シート斜め補正手段である冊子押圧手段10でシート2a1の斜め状態を矯正するので、シート2a1が斜め状態である場合には、シート斜め補正手段である冊子押圧手段10によってシート2a1の斜め状態が自動的に矯正される。従って、ユーザがシート2a1の斜め補正作業を行うことなく、シート2a1に斜め印刷される事態を回避できる。
【0115】
また、この第2実施形態の印刷装置1′では、シート傾斜検出手段45がシート2a1の斜め状態を検出した場合には、冊子押圧手段10が冊子状媒体2への押圧力を強める動作を行うので、冊子状媒体2が冊子押圧面4に強く押圧されると、綴じ部2bで冊子押圧面4への近接度合いが弱い部分が冊子押圧面4側に押圧変移され、これによって被印刷ページのシート2a1の斜め挿入が矯正されるため、斜め印刷を防止できる。また、冊子押圧手段10がシート斜め補正手段を兼用するため、別途にシート斜め補正手段を設ける必要がなく、部品点数の削減、装置の簡略化等に寄与する。
【0116】
さらに、この第2実施形態の印刷装置1′によれば、前記第1実施形態と同様に、押し圧制御モータ11として直流モータを使用し、直流モータによる定トルク制御によって任意の一定の押圧力で冊子2を押圧するようにしたため、確実に任意の一定の押圧力で冊子2を押圧できる。つまり、任意の押圧力をバネ力によって得る場合にはバネの長さを可変する必要があり、そのためにはバネ位置可変の駆動源であるモータとバネ位置検出用のセンサとを付加する必要があり、機構の複雑化、それによるコストアップ、バネのバラツキによる押圧力の不安定等の問題が発生するが、直流モータによる定トルク制御ではそのような問題がない。
【0117】
また、前記第1及び第2実施形態によれば、単一の紙先端検出センサ44にてシート2a1の幅方向(主走査方向)及び長さ方向(副走査方向)のサイズを検出すると共にシート2a1の傾斜検出に必要なデータをも検出したので、最少数のセンサを搭載すれば良いという利点がある。但し、各検出データをそれぞれのセンサにて検出するようにすれば、検出処理に要する時間を短縮でき、印刷動作の迅速化になる。また、例えばシート2a1の傾斜検出は、主走査方向に間隔を開けて複数のシート先端検出センサを垂直移動ブロック22a(又は22b)に設け、この垂直移動ブロック22a(又は22b)を主走査方向に移動した際の各先端検出センサのシートエッジ検出のタイミング差よりシート2a1の傾斜データを取得ようにすれば、より迅速にシート2a1の傾斜検出が可能となる。
【0118】
さらに、前記第1及び第2実施形態によれば、シート2a1の斜め補正を冊子押圧手段10によって行っているが、画像データに斜め補正をかけ、斜め補正された画像データで印刷を行うようにしてシート2a1に斜めでない印刷画像を形成するようにしても良い。また、画像の斜め補正は、上部装置59側で行うようにして予め斜め補正された画像データを入力するようにしても良い。
【0119】
尚、前記第1実施形態によれば、印刷ページ位置決め手段14は一対のシートしごきローラ42a,42bを有し、一対のシートしごきローラ42a,42bが印刷ヘッド部19a,19bの副走査方向A2の移動に連動してシート2a1上を回転しながら移動するため、シート2a1を位置決めしつつシート2a1へのダメージを極力防止できる。
【0120】
さらに、前記第2実施形態によれば、印刷ページ位置決め手段140は単一のシートしごきローラ42aを有し、このシートしごきローラ42aが印刷ヘッド部19aの副走査方向A2の移動に連動してシート2a1上を回転しながら移動するため、前記第1実施形態と同様に、シート2a1を位置決めしつつシート2a1へのダメージを極力防止できる。尚、印刷ページ位置決め手段14,140は、シート2a1を印刷位置に位置決めできるものであれば良く、印刷ヘッド部19a,19bに連動して移動するものでなく装置本体3に固定で設けられ、例えばシート2a1の有効印刷面の外側を単に押圧支持するものであっても良いことは勿論である。
【0121】
また、前記第1及び第2実施形態にあって、押し当てレバー15の先端に、押圧物が冊子2かそれ以外の物かを検出可能なインターロックスイッチを設け、冊子2以外の物が冊子押圧面4に載置された場合には冊子セット処理を行わないようにすれば、押し当てレバー15が不用意に作動してユーザが押し当てレバー15と冊子押圧面4との間で手を挟む等の事態を防止できる。
【0122】
さらに、前記第1及び第2実施形態によれば、装置本体3の上面である水平面を冊子押圧面4として設定したので、ユーザが冊子状媒体2を配置し易いという利点がある。しかし、冊子押圧面4を垂直面に設置しても良い。特に、第2実施形態の片面印刷の印刷装置1Bにおいては、印刷ヘッド部19aのインク吐出方向を真下方向に設定できる利点がある。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、被印刷ページのシートを境として綴じ部を中央に両開きした際に左右に分割されたシート数によって厚みが異なる状態となるが、この両開きした冊子状媒体を冊子押圧手段で冊子押圧面に押圧すると共に、被印刷ページのシートのみをシート挿入孔に挿入し、この挿入したシートを印刷ページ位置決め手段によって位置決めし、被印刷ページのシートが綴じ部を中央に両開きした際に左右に分割されたシートの厚みやその曲面に影響を受けることなく印刷ページ位置決め手段によって位置決めされた状態で印刷ヘッド手段により印刷が行われる。従って、綴じ部を中心に両開きした際の左右の厚みにかかわらず、且つ、被印刷ページのシートに曲面が発生することなく適切な印刷状態で印刷できる。これにより、従来の印刷装置のように印刷ヘッド部と被印刷ページのシートとを所定の位置関係に調整するための各種検出手段及びこれら検出手段に基づく調整手段が必要ない。特に、綴じられているシートの枚数が多く、且つ、そのシートが腰の弱いものである場合に、綴じ部を中央に両開きすると大きな領域に亘って大きな曲面が形成されるが、このような冊子状媒体についても全く曲面が形成されることなく印刷できるため、このような冊子状媒体の印刷に特に有効である。
【0124】
請求項2の発明によれば、冊子押圧手段の押圧力が冊子状媒体の綴じ部を冊子押圧面に近接させる方向に直接的に作用し、綴じ部を弱い押圧力で有効に冊子状押圧面に近接させることができるため、被印刷ページのシートを弱い押圧力でシート挿入孔に深く挿入できる。
【0125】
請求項3の発明によれば、印刷ヘッド部で印刷されるシートの常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向の上流側が一対のシート押圧部材によって押圧支持されるため、印刷ヘッド部で印刷される領域が確実に位置決めされ、且つ、印刷直後の箇所を一対のシート押圧部材が押圧することがなくインク滲み等が発生しない。
【0126】
請求項4の発明によれば、印刷ヘッド部で印刷されるシートの常に近傍箇所で、且つ、印刷時の副走査方向の上流側がシート押圧部材と押圧力受けシートによって押圧支持されるため、印刷ヘッド部で印刷される領域が確実に位置決めされ、且つ、印刷直後の箇所をシート押圧部材が押圧することがなくインク滲み等が発生しない。
【0127】
請求項5の発明によれば、印刷ヘッド部が走査可能な2次元領域の印刷が可能であるため、インクタンクを搭載したインクジェットタイプの印刷ヘッド部の使用に適する。
【0128】
請求項6の発明によれば、シート挿入孔より挿入された被印刷ページのシートのサイズを検出するシートサイズ検出手段を備えたので、各種サイズのシートについて適切な印刷領域で印刷が可能である。また、シートが配置されていない箇所にインクを塗布するようなエラーを防止できるため、装置内部をインクで汚すことがない。
【0129】
請求項7の発明によれば、シート挿入孔に挿入された被印刷ページのシートが斜めである場合には、シート斜め検出手段によって検出されるため、シートに斜めに印刷される事態を回避できる。
【0130】
請求項8の発明によれば、シートが斜め状態である場合に、シート斜め補正手段によってシートの斜め状態が自動的に矯正されるため、ユーザがシートの斜め補正作業を行う事なく、シートに斜め印刷される事態を回避できる。
【0131】
請求項9の発明によれば、冊子押圧手段で冊子状媒体が冊子押圧面に強く押圧されると、綴じ部で冊子押圧面への近接度合いが弱い部分が冊子押圧面側に押圧変移され、これによって被印刷ページのシートの斜め挿入が矯正されるため、別途にシート斜め補正手段を設ける必要がなく、部品点数の削減、装置の簡略化等に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、両面印刷の印刷装置の正面側から見た概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、両面印刷の印刷装置の側面側から見た概略構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示し、両面印刷の印刷装置の概略回路のブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示し、シートのサイズや傾斜の検出を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態を示し、印刷装置の全体概略のフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態を示し、初期化処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態を示し、右の印刷ヘッド部(右のヘッドユニット)の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態を示し、左の印刷ヘッド部(左のヘッドユニット)の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態を示し、副走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図10】本発明の第1実施形態を示し、冊子状媒体のセット処理のフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態を示し、押し当てレバーの加圧処理のフローチャートである。
【図12】本発明の第1実施形態を示し、シートサイズの取得処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第1実施形態を示し、シート幅の取得処理のフローチャートである。
【図14】本発明の第1実施形態を示し、シート長さ・傾斜の取得処理の前半のフローチャートである。
【図15】本発明の第1実施形態を示し、シート長さ・傾斜の取得処理の後半のフローチャートである。
【図16】本発明の第1実施形態を示し、シートセット斜め補正処理のフローチャートである。
【図17】本発明の第1実施形態を示し、印刷処理のフローチャートである。
【図18】本発明の第1実施形態を示し、冊子状媒体の解放処理のフローチャートである。
【図19】本発明の第2実施形態を示し、片面印刷の印刷装置の正面側から見た概略構成図である。
【図20】本発明の第2実施形態を示し、片面印刷の印刷装置の概略回路のブロック図である。
【図21】本発明の第2実施形態を示し、印刷装置の全体概略のフローチャートである。
【図22】本発明の第2実施形態を示し、初期化処理のフローチャートである。
【図23】本発明の第2実施形態を示し、単一の印刷ヘッド部(単一のヘッドユニット)の主走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図24】本発明の第2実施形態を示し、副走査ホームポジション復帰処理のフローチャートである。
【図25】本発明の第2実施形態を示し、冊子状媒体のセット処理のフローチャートである。
【図26】本発明の第2実施形態を示し、押し当てレバーの加圧処理のフローチャートである。
【図27】本発明の第2実施形態を示し、シートサイズの取得処理のフローチャートである。
【図28】本発明の第2実施形態を示し、シート幅の取得処理のフローチャートである。
【図29】本発明の第2実施形態を示し、シート長さ・傾斜の取得処理の前半のフローチャートである。
【図30】本発明の第2実施形態を示し、シート長さ・傾斜の取得処理の後半のフローチャートである。
【図31】本発明の第2実施形態を示し、シートセット斜め補正処理のフローチャートである。
【図32】本発明の第2実施形態を示し、印刷処理のフローチャートである。
【図33】本発明の第2実施形態を示し、冊子状媒体の解放処理のフローチャートである。
【図34】従来例の印刷装置の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 両面印刷の印刷装置
1′ 片面印刷の印刷装置
2 冊子状媒体
2a シート
2a1 被印刷ページのシート
2b 綴じ部
2c 背表紙
4 冊子押圧面
5 シート挿入孔
10 冊子押圧手段(シート斜め補正手段)
18 印刷ヘッド手段
19a,19b 印刷ヘッド部
40,140 印刷ページ位置決め手段
42a,42b シートしごきローラ(シート押圧部材)
43 シートサイズ検出手段
44 紙先端検出センサ
45 シート傾斜検出手段
70 押圧力受けシート
A1 主走査方向
A2 副走査方向
Claims (9)
- シート挿入孔が開口された冊子押圧面を有し、この冊子押圧面に綴じ部を中央として開かれ、且つ、被印刷ページのシートが前記シート挿入孔に挿入された冊子状媒体を前記冊子押圧面側に押圧する冊子押圧手段と、前記シート挿入孔に挿入された前記被印刷ページのシートを所定の印刷位置に位置決めする印刷ページ位置決め手段と、この印刷ページ位置決め手段で位置決めされた前記被印刷ページのシートの少なくとも一面に印刷を行う印刷ヘッド手段とを備えたことを特徴とする冊子状媒体の印刷装置。
- 請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、
前記冊子押圧手段は、前記冊子状媒体の背表紙部を前記冊子押圧面側に押圧することを特徴とする冊子状媒体の印刷装置。 - 請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、
前記印刷ページ位置決め手段は、前記印刷ヘッド手段が前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの両面側にそれぞれ印刷ヘッド部を有する両面印刷用の場合に、該一対の印刷ヘッド部の副走査方向の移動に連動してそれぞれ移動する一対のシート押圧部材を有し、この一対のシート押圧部材によって印刷時における前記印刷ヘッド部の副走査方向の上流側を挟持することを特徴とする冊子状媒体の印刷装置。 - 請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、
前記印刷ページ位置決め手段は、前記印刷ヘッド手段が前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの一方面側に印刷ヘッド部を有する片面印刷用の場合に、前記印刷ヘッド部の副走査方向の移動に連動して移動するシート押圧部材と前記印刷ヘッドが配置されていない側に設けられた押圧力受けシートとを有し、前記シート押圧部材が印刷時における前記印刷ヘッド部の副走査方向の上流側で前記押圧力受けシートを押圧することを特徴とする冊子状媒体の印刷装置。 - 請求項3又は請求項4記載の冊子状媒体の印刷装置であって、
前記印刷ヘッド手段の印刷ヘッド部は、冊子状媒体の綴じ部の長手方向に対して平行方向と直交方向にそれぞれ移動自在に設けられたことを特徴とする冊子状媒体の印刷装置。 - 請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、
前記シート挿入孔より挿入された被印刷ページのシートのサイズを検出するシートサイズ検出手段を備えたことを特徴とする冊子状媒体の印刷装置。 - 請求項1記載の冊子状媒体の印刷装置であって、
前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの傾斜を検出するシート傾斜検出手段を備えたことを特徴とする冊子状媒体の印刷装置。 - 請求項7記載の冊子状媒体の印刷装置であって、
前記シート挿入孔より挿入された前記被印刷ページのシートの斜め状態を矯正するシート斜め補正手段を備え、前記シート傾斜検出手段がシートの斜め状態を検出した場合に、前記シート斜め補正手段で前記シートの斜め状態を矯正することを特徴とする冊子状媒体の印刷装置。 - 請求項8記載の冊子状媒体の印刷装置であって、
前記シート斜め補正手段は、冊子押圧手段が冊子状媒体への押圧力を強める動作を行うものであることを特徴とする冊子状媒体の印刷装置。
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