JP3701498B2 - 消臭洗浄剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器、まな板、包丁、魚焼きグリル、スポンジ等の台所用品向けの消臭洗浄剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
食器、まな板等の硬質表面には、生魚等の臭気が残りやすく、洗浄により完全に除去することは難しい。生魚等の食品由来の不快臭は、アンモニアに代表されるアミン系化合物、酢酸、酪酸等の低級脂肪酸化合物、メルカプタンに代表されるイオウ化合物が原因であり、特にアミン系化合物は、1回の洗浄ではなかなか除去できない不快臭の1つである。その理由は、臭気物質が油やワックス等の油性物質に取り込まれた状態で硬質表面に付着しているためと考えられる。
【0003】
消臭性能を有する洗浄剤としては、特開平9−137194号公報に植物性の消臭成分を配合したものや、特開平8−302393号公報に特定の界面活性剤とキレート剤を配合したものが開示されているが、これらの洗浄剤では、食品由来の臭気を十分に除去することはできなかった。
【0004】
本発明は、洗浄力に優れ、洗浄表面に付着した食材臭を除去ないし抑制することができる消臭洗浄剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(a)及び(b)成分を含有する消臭洗浄剤であり、該消臭洗浄剤の10重量%水溶液と1重量%アンモニア水溶液の50:1(重量比)混合溶液の25℃におけるpHが7.0〜9.2であり、かつ該消臭洗浄剤の10重量%水溶液と5重量%酢酸水溶液の50:1(重量比)混合溶液の25℃におけるpHが4.8〜7.0である消臭洗浄剤を提供する。
(a)分子中に炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する界面活性剤 0.1〜90重量%
(b)シネオール、カンファー、ピネン、リモネン、リナロール、酢酸リナロール、ネロール、酢酸ネリル、カルバクロール、チモール、シトロネロール、シトラール、ゲラニオール、サンタロール、ボルネオール、カルボン、酢酸ベンジル、オイゲノール、セドレン、酢酸ボルニル、メントール、メントン、メチルチャビコール、シメン、プレゴール、アネトール、ツヨン及びターピネオールから選ばれる2種以上の香料 0.001〜1.0重量%
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる(a)成分の界面活性剤は、分子中に炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれも配合することができる。
(a)成分の含有量は、0.1〜90重量%、好ましくは5〜80重量%であり、台所用向けの洗浄剤とする場合は20〜80重量%が好ましい。
【0007】
本発明の消臭洗浄剤は、特定条件で調整した時のpHが決められた範囲内に収まる性質(以下pH緩衝能という)を有する。即ち、洗浄剤の10重量%水溶液と1重量%アンモニア水溶液の50:1(重量比)混合溶液の25℃におけるpHが7.0〜9. 2、好ましくは7.0〜8.5であり、かつ該洗浄剤の10重量%水溶液と5重量%酢酸水溶液の50:1(重量比)混合溶液の25℃におけるpHが4. 8〜7.0、好ましくは5.5〜7.0であり、このようなpH緩衝能は、消臭洗浄剤に配合される単独の成分又は組合わせによって達成される。
【0008】
本発明において、pH緩衝能を満たすための好ましい態様は、界面活性剤としては、(i)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩とアミンオキシドとを併用して配合する態様又は(ii)ポリカルボン酸型界面活性剤を配合する態様であり、これらは単独、互いの組合わせ又はその他pH変化を抑制させる成分との併用によって消臭洗浄剤はpH緩衝能を示し、優れた消臭性能を得ることができる。
【0009】
(i)のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、炭素数8〜18のアルキル基、好ましくは炭素数10〜14アルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を配合することが好ましい。このポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩のポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数(POE)は、1〜10、好ましくは1〜6である。対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンから選ばれる1種以上であり、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウムから選ばれる1種以上である。
【0010】
またアミンオキシドは、炭素数が8〜18のアルキル基を有するアミンオキシドが好ましい。アミンオキシドの例としては下記式(1)〜(3)で表されるものを挙げることができ、その中でも式(1)で表されるものが好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】
[式中、R1 は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2 は炭素数1〜5のアルキレン基を示す。]
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩とアミンオキシドの消臭洗浄剤中の配合量は、他の緩衝成分との兼ね合いにより決定されるが、洗浄力を考慮する上で、合計で10〜60重量%含有されることが好ましく、15〜40重量%含有されることがより好ましい。更には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩/アミンオキシドの重量比が、40/60〜90/10であることが好ましく、特に50/50〜80/20であることが好ましい。
【0013】
(ii)のポリカルボン酸型界面活性剤は、分子中に少なくとも2個、好ましくは2又は3個のカルボキシル基と、炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有し、かつデービス法(界面活性剤物性・応用・化学生態学,北原文雄ら著,講談社サイエンティフィック 第7刷発行,P24〜27に記載の方法)で求めたHLBがカルボン酸の状態で4〜15、好ましくは4〜10である。
このようなカルボン酸型界面活性剤は、一般式(I )で表される化合物が特に好ましい。
【0014】
【化2】
【0015】
[式中、R3 はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R4 、R5 、R6 はそれぞれ独立に水素、メチル基又はエチル基を示し;R7 は水素原子、C2 H4 OH又はCOOM(ここでMは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)を示し;Xはメチレン基、アミノ基、エーテル基を示し;l、m、nはそれぞれ独立に0又は1を示し;p、q、rは0、1又は2で、p+q+r=3となる数を示し(ただし、Xがメチレン基又はエーテル基の場合は、p及びqは1又は2を示す。);R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、X、l、m、n、p、q、rは上記のデービス法で求めたHLBが4〜15になるように選ばれるものである。ただし、HLBはMを水素原子として求めるものとする]。
【0016】
特に、このポリカルボン酸型界面活性剤は、酸の状態として重量分当たりの酸価が、300〜600mgKOH/gのものが好ましく、特に300〜500mlKOH/gが好ましい。酸価の測定方法は酸の状態で0. 5gをトルエン/エタノール(容量比50/50、フェノールフタレイン0. 5重量%添加)溶媒50mgに溶解させ、0.1NのKOHで滴定し、フェノールフタレインが着色した時点を終点とし、要したKOHの量をmgで表した数値である。
【0017】
ポリカルボン酸型界面活性剤の好ましい具体例としては、下記式(4)〜(9)で表される化合物又はその塩が挙げられ、その中でも特に(7)〜(9)のものが消臭性能の点で好ましい。なお、ポリカルボン酸型界面活性剤は一部又は全部がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミンによる塩になっていてもよく、pH条件により消臭洗浄剤中で一部又は全部が酸の状態で存在してもよい。
【0018】
【化3】
【0019】
[式中、R8 は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基で、上記HLB及び酸価を満足するように選ばれる。]
ポリカルボン酸型界面活性剤の配合量は、他の緩衝成分との兼ね合いにより決定されるが、0.1〜15重量%配合されることが好ましく、0.2〜10重量%配合されることが洗浄性及び消臭性能向上の上でより好ましい。
【0020】
本発明の消臭洗浄剤を、食器用の消臭洗浄剤として使用する場合は、(i)と(ii)にて示した成分を界面活性剤中の60重量%〜100重量%を占める割合で配合することが好ましく、 上述の(i)と(ii)の界面活性剤を併用することが最も好ましい。
【0021】
本発明の消臭洗浄剤は、さらに消臭効果を高めるために、少なくとも1つのカルボキシル基、好ましくは分子中に1〜3のカルボキシル基を有する炭素数が3〜7の化合物(以下低級カルボン酸化合物という)を配合することが好ましい。具体的には乳酸、グルコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸等の各種アミノ酸及びそれらの塩を挙げることができる。これらの中でも乳酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸及びそれらの塩が好ましい。
低級カルボン酸化合物は、好ましくは0. 1〜20重量%、より好ましくは0. 2〜10重量%配合される。
【0022】
なお、これら低級カルボン酸化合物の一部は、従来から緩衝成分として知られているが、本発明の消臭洗浄剤において、pH緩衝能を既に満たす配合系に対して、更に補助的な成分として、これら低級カルボン酸化合物を添加することが好ましい。好ましくは、ポリカルボン型界面活性剤と併用することである。
【0023】
上記以外の消臭洗浄剤のpH緩衝能に寄与する剤としては、アミン塩やリン酸塩が挙げられ、また酸や塩基性の基を有するポリマーを挙げることができる。ポリマーとしてはカルボン酸基を有するポリマーが好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びイタコン酸から選ばれる1種以上のモノマーを重合して得られるもの用いることができ、またポリアスパラギン酸も使用することができる。
【0024】
本発明では、pH緩衝能を有する系に加え、(b)成分として上記の群から選ばれる2種以上の香料を配合するが、(b)成分はリモネンと他の1種以上の香料との組み合わせが好ましい。
(b)成分の含有量は、消臭性能の点から、0.001〜1.0重量%、好ましくは0.005〜1.0重量%であり、リモネンを用いた場合にはリモネンが0.002〜0.5重量%となるように配合することが好ましい。
【0025】
本発明の消臭洗浄剤には、洗浄力、消臭性能を損なわない範囲で、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール、p−トルエンスルホン酸塩、m−キシレンスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸塩類等の可溶化剤、色素、防腐・防黴剤、増粘剤等を配合することができる。
【0026】
本発明の消臭洗浄剤は、残部は水であり、液状が好ましいが、均一な溶液以外にエマルション型や液晶小滴又は固体を分散させたようなものでもよく、その他の形態のものであっても使用上不都合のない流動性のあるものであればよい。粘度は用途に応じた状態に適宜調整される。
【0027】
本発明の消臭洗浄剤のpHは、食材臭に効果的な消臭性能を得るために、25℃における原液のpHが、好ましくは5. 5〜8. 5、より好ましくは6. 0〜8. 0である。pHの調整には、酸剤としてポリカルボン酸型界面活性剤の酸型、有機ポリカルボン酸、硫酸、塩酸及びカルボン酸基を有するポリマーから選ばれる1種以上を用いることが好ましく、アルカリ剤としてアルカリ金属の水酸化物、アルカノールアミンから選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0028】
【実施例】
実施例1〜3、比較例1〜2
表2に示す各成分を用い、消臭洗浄剤を得た。原液のpHは塩酸水溶液又は水酸化ナトリウム水溶液で調整した。表2中、アンモニア添加pHは、洗浄剤の10重量%水溶液と1重量%アンモニア水溶液の50:1(重量比)混合溶液の25℃におけるpHを意味し、酢酸添加pHは、洗浄剤の10重量%水溶液と5重量%酢酸水溶液の50:1(重量比)混合溶液の25℃におけるpHを意味する。各成分及び各評価方法の詳細は下記のとおりである。結果を表2に示す。
(a−1)
【0029】
【化4】
【0030】
(HLB=5.9、酸価=371)
ラウリルアルコール372.6g、NaOH2gを4つ口フラスコに入れ、120℃まで昇温した。その後、26.7kPaの減圧下で3時間、生成する水を除去しながら反応させた。窒素ガスの流入により常圧にもどした後、イタコン酸ジメチル79.1gを1時間かけて滴下した。3時間後、室温まで冷却し、反応混合物にエタノール300g、イオン交換水200g、NaOH90gを添加し、90℃で2時間反応させた。20℃まで冷却後、イオン交換水2000ml、ヘキサン1500ml、20%硫酸水溶液563.5gを添加し、攪拌中和した。ヘキサン層をイオン交換水で洗浄後、蒸留を行い化合物(a−1)を得た。
(a−2)
【0031】
【化5】
【0032】
(HLB=6.2、酸価=360)
クエン酸96.1g(105℃/26.7kPa/5時間乾燥させたもの)、アセトニトリル200gを4つ口フラスコに入れ、80℃まで昇温した。ラウリン酸クロリド120.3gを3時間かけて滴下した。この時発生するHClを窒素ガスを流しながら留去した後、さらに3時間窒素ガスを流した。その後アセトニトリルを減圧留去し、得られた固形分をエタノールで再結晶して精製し、化合物(a−2)を得た。
(a−3):アルケニルコハク酸(アルケニル鎖の炭素数12のもの。HLB=4.6、酸価=395)
(b)成分
表1に示す各香料を用いて香料組成物(香料1、2、3)及び比較香料を調製し、用いた。尚、表中の各香料の数値は重量%を示す。
【0033】
【表1】
【0034】
(その他の成分)
アンヒトール20N(ドデシルジメチルアミンオキシド,花王(株)製)
エマール70C( ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム,POE=2,花王(株)製)。
【0035】
<消臭対象物(まな板)の調製>
生のいわしを3枚におろし、身の部分をミキサーに入れ破砕した。このすり身5gを縦25cm、横40cmの木製のまな板にスプーンでこすりつけ、1時間放置した。その後、固形分を水で洗い流した。
【0036】
<消臭性能評価>
消臭対象物に対して表2の洗浄剤3g及び水(硬度3. 5DH、Mgイオン/Caイオン=1/3の調整水を使用)27gを染み込ませたスポンジ(10. 5×7 .5×4. 0cm、材質:ポリウレタンフォーム)を用いて手洗い洗浄した。その後、30歳代の男性及び女性10人(各5人ずつ)のパネルに消臭対象物の臭いを嗅いでもらい、下記の六段階臭気強度表示法で評価し、平均点を求めた。平均点0以上1未満を◎、1以上2未満を○、2以上3未満を△、3以上5以下を×として結果を示す。
0:無臭
1:何の臭いか分からないが、ややかすかに何かを感じる強さ(検知閾値のレベル)
2:何の臭いか分かる、容易に感じる弱い臭い(認知閾値のレベル)
3:明らかに感じる臭い
4:強い臭い
5:耐えられないほど強い臭い
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】
本発明の消臭洗浄剤は、食材臭を伴う汚れに対する洗浄力及び消臭性能が優れる。
Claims (1)
- 下記(a)及び(b)成分を含有する消臭洗浄剤であり、該消臭洗浄剤の10重量%水溶液と1重量%アンモニア水溶液の50:1(重量比)混合溶液の25℃におけるpHが7.0〜8.5であり、かつ該消臭洗浄剤の10重量%水溶液と5重量%酢酸水溶液の50:1(重量比)混合溶液の25℃におけるpHが5.5〜7.0である消臭洗浄剤。
(a)成分が(i)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩とアミンオキシド、及び/又は(ii)ポリカルボン酸型界面活性剤を含む界面活性剤であり、(i)のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩とアミンオキシドが重量比40/60〜90/10で、かつ合計で消臭洗浄剤中に10〜60重量%含有され、消臭洗浄剤中の(a)成分の含有量が20〜80重量%で、消臭洗浄剤に含まれる界面活性剤中(a)成分が60〜100重量%を占める。
(b)シネオール、カンファー、ピネン、リモネン、リナロール、酢酸リナロール、ネロール、酢酸ネリル、カルバクロール、チモール、シトロネロール、シトラール、ゲラニオール、サンタロール、ボルネオール、カルボン、酢酸ベンジル、オイゲノール、セドレン、酢酸ボルニル、メントール、メントン、メチルチャビコール、シメン、プレゴール、アネトール、ツヨン及びターピネオールから選ばれる2種以上の香料であり、香料としてリモネンを含有し、香料全体の消臭洗浄剤中の含有量が0.005〜1.0重量%で、消臭洗浄剤中のリモネンの含有量が0.002〜0.5重量%。
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