JP3701288B6 - 封印装置 - Google Patents

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本発明は、物品を収納した筐体が開封された場合に、その旨を検出して記憶し報知することにより、筐体内の物品の例えば盗難、不正コピー、不正改造などの早期発見と早期かつ適切な対策を可能とし、ひいてはかかる不正を防止するための封印装置に関する。
重要データの収まったフレキシブルディスク、CD等を例えば金庫などの施錠可能な筐体内に保管していても、筐体が開封されてデータをコピーされ、元のままに戻されてしまえば、不正があったことすら気付かないことが起こり得る。重要書類であれば、写真に撮られたり複写されれば同様である。また、新技術による製品や設計図は見られただけでも価値を失う場合がある。
パチンコ機やパチスロ機においては認可されたプログラムのマイコン(制御装置)を封印された筐体内に収めて不正改造などを防止しているが、高度な技術で開封され、外観が同じ不正マイコンに交換されれば、発見は困難であり、不正遊技が可能になる。
また、最近急速に利用が広がっている、磁気カード、ICカード等の読み取り装置においても、筐体を開封し、その内部に暗証番号等を読み取って記憶したり無線でデータを転送する装置を組み付けるといった悪事の危険が増えている。事実、そのような犯行が報道されてもいる。
このような背景から、筐体の不正な開封を的確に検出する技術が必要とされ、そのための封印装置に関連する技術は本件出願人により、既に提案されている。例えば特開平9−34365号公報、特開平11−190972号公報、特開平11−202769号公報、特開平11−231790号公報、特開平11−258997号公報、特開平11−283890号公報などである。
特開平11−283890号公報(段落0050〜0088、図3)
本件発明者は、上記の各公報に示されるように鋭意研究を行ってきたが、封印装置の必要性に対する社会の認知度の未成熟と共に技術的にも改善すべき点があった。
例えば1)開封を検出する検出素子の小型化、低価格化、2)検出素子は、筐体が閉鎖されているときに閉、開封時に開となる構成が簡単、安価であるが、この場合に消費電力が少なく長時間記憶を可能とする回路方式が未熟であった、3)内部電源を空の状態にしておいて封印装置を筐体に装着し、筐体の閉鎖後に内部電源を充電するという手順を採っていたので、内部電源を充電するための長い待ち時間を必要とする等である。
請求項1記載の発明は、 閉鎖される筐体に付設されて該筐体の開封を検出する封印装置であって、外部電源によって充電される内部電源と、前記筐体が開封されると接点が開になる検出素子(SE)と、該検出素子(SE)が閉のときと開のときとで電位が変化する信号を受ける第1のC−MOSゲート(Q1)と、該第1のC−MOSゲート(Q1)の出力をダイオード(D2)とコンデンサ(C2)で積分した信号を受けるC−MOSバッファ(Q2)と、ダイオード(D3)を経由して入力される前記C−MOSバッファ(Q2)の出力によって充電される電気2重層コンデンサ(C3)とを備え、前記内部電源から前記第1のC−MOSゲート(Q1)及びC−MOSバッファ(Q2)に電力を供給することで、前記外部電源が遮断されているときでも前記筐体が開封されたことを記憶可能な封印装置において、
前記外部電源に由来する電源で動作し前記電気2重層コンデンサ(C3)の電位を判定して出力レベルを変化させる第2のC−MOSゲート(Q3)と、前記外部電源の電圧を分圧して低下させた電源で前記第2のC−MOSゲート(Q3)を動作させる手段又は前記外部電源の電圧を分圧して低下させたバイアス電圧を前記電気2重層コンデンサ(C3)の電位に加算する手段とを備え、前記第2のC−MOSゲート(Q3)の出力レベルに従って開封の有無を報知することを特徴とする筐体の封印装置である。
筐体が開封されて検出素子(SE)が閉から開になると第1のC−MOSゲート(Q1)の入力電位が変化しC−MOSゲート(Q1)の出力レベルが反転する。そのC−MOSゲート(Q1)の出力はダイオード(D2)を経てンデンサ(C2)を充電する。
このコンデンサ(C2)の電位、すなわちC−MOSゲート(Q1)の出力をダイオード(D2)とコンデンサ(C2)で積分した信号を受けるC−MOSバッファ(Q2)は、コンデンサ(C2)の電位が判定閾値(電源電圧のほぼ1/2)以上である間は電源端子に供給される電力が出力端子に流れる(C−MOSバッファ(Q2)内では電源端子〜出力端子間が抵抗体となる)ので、出力端子に結ばれているダイオード(D3)を経由したC−MOSバッファ(Q2)の出力によって電気2重層コンデンサ(C3)が充電される。この電気2重層コンデンサ(C3)は記憶素子であり、充電の有無が記憶の有無に対応する。
第2のC−MOSゲート(Q3)は、外部電源に由来する電源で動作し電気2重層コンデンサ(C3)の電位を判定して出力レベルを変化させる。
ここで、本発明では外部電源の電圧を分圧して低下させた電源で第2のC−MOSゲート(Q3)を動作させる手段又は外部電源の電圧を分圧して低下させたバイアス電圧を電気2重層コンデンサ(C3)の電位に加算する手段が備わっている。
良く知られていることだが、C−MOSゲートは、電源電圧のほぼ1/2を判定閾値とし、入力電圧がこの判定閾値より上か下かで出力のロー(L)、ハイ(H)が決まる。以下、ローをL、ハイをHと記述する。
充電(開封記憶)された電気2重層コンデンサ(C3)の電位は徐々に低下するので、そのまま放置されるとやがてはC−MOSゲート(Q3)の判定閾値を下回る。すると、C−MOSゲート(Q3)の出力レベルは「開封記憶無し」を示すレベルになる。
しかしながら、外部電源の電圧を分圧して低下させた電源でC−MOSゲート(Q3)を動作させる手段を備えた場合、C−MOSゲート(Q3)の判定閾値が分圧で低下され
た分に応じて低くなっているから、電気2重層コンデンサ(C3)の電位が低くなっても「開封記憶有り」を示すレベルを維持できる。つまり、電気2重層コンデンサ(C3)の電位がC−MOSゲート(Q3)の判定閾値を下回るまでには長時間を要するわけで、長時間の記憶(有効に「開封記憶有り」と判定される記憶)が可能になる。
また、外部電源の電圧を分圧して低下させたバイアス電圧を電気2重層コンデンサ(C3)の電位に加算する手段を備えた場合、C−MOSゲート(Q3)の入力電圧がバイアス分だけ高められるので、電気2重層コンデンサ(C3)のより低い電位をも「開封記憶有り」と判定できる。
これにより記憶時間を著しく長くでき、また部品の小型化が可能になる。また、筐体が閉鎖されているときに閉、開封時に開となる、構成が簡単、安価である検出素子を用いて、消費電力が少なく長時間記憶を可能にできる。
請求項2記載の発明は、 閉鎖される筐体に付設されて該筐体の開封を検出する封印装置であって、外部電源によって充電される内部電源と、前記筐体の開封を検出する検出素子(SE)と、前記内部電源で作動し前記検出素子(SE)が前記筐体の開封を検出したことを記憶する記憶素子とを有する封印装置において、紐状のセンサスイッチワイヤを有し、該センサスイッチワイヤを引かれると前記検出素子(SE)の信号を無効にする状態から前記検出素子(SE)の信号を有効にする状態に変化するセンサスイッチを備え、前記センサスイッチワイヤの一方の端を前記筐体に設けられた穴や隙間等の引出口から該筐体の外部に出されて前記筐体の内部に付設され、前記筐体の閉鎖後に前記センサスイッチワイヤが引かれて前記センサスイッチが前記検出素子(SE)の信号を有効にする状態に切り替えられることを特徴とする封印装置である。
センサスイッチは紐状のセンサスイッチワイヤを有し、センサスイッチワイヤを引かれると検出素子(SE)の信号を無効にする状態から検出素子(SE)の信号を有効にする状態に変化する。
センサスイッチワイヤの一方の端を筐体に設けられた穴や隙間等の引出口から筐体の外部に出されて筐体の内部に付設され、筐体の閉鎖後にセンサスイッチワイヤが引かれてセンサスイッチが検出素子(SE)の信号を有効にする状態に切り替えられる。
つまり、封印装置の内部電源に充電してから(或いは充電しつつ)筐体を閉鎖する。このときセンサスイッチは検出素子(SE)の信号を無効にする状態にされている。よって、封印装置をセットするために筐体を開けても、その開封は記憶されない。
そして、筐体の閉鎖後にセンサスイッチワイヤを引いてセンサスイッチを検出素子(SE)の信号を有効にする状態に変化させる。この後は、筐体が開封されると検出素子(SE)がこれを検出し、内部電源で作動する記憶素子が筐体の開封を記憶する。
内部電源を空の状態にしておいて封印装置を筐体に装着し、筐体の閉鎖後に内部電源を充電するという手順を採る必要はなく、内部電源を充電するための長い待ち時間を必要としない。
なお、センサスイッチは、センサスイッチワイヤを引かれると検出素子(SE)の信号を無効にする状態から検出素子(SE)の信号を有効にする状態に不可逆的に変化する構成とするのが望ましい。
請求項1、2に記載の各発明は、それぞれ上記のように、本発明が解決しようとする課題として挙げた1)、2)、3)のいずれかを解決するが、請求項1、2のいずれかと請求項3又は請求項4とを組み合わせることにより2つの課題を解決できるし、請求項1及び2と請求項3又は請求項4とを組み合わせることにより3つの課題をすべて解決できる。
即ち、請求項3記載の封印装置は、請求項1又は2記載の封印装置において、前記検出素子(SE)は、前記筐体の蓋部と底部との一方側に設けられる導電性材質の結合材と他方側に設けられる第1及び第2の検出接点とからなり、前記筐体が閉鎖されているときは前記結合材が前記検出接点間を閉となし、前記筐体が開封されると前記結合材の作用が無くなり前記検出接点間が開になるべく構成されていることを特徴とする。
筐体の蓋部と底部との一方側に導電性材質の結合材を、他方側に第1及び第2の検出接点を設けて検出素子を構成し、筐体が閉鎖されているときは結合材が例えば両方の検出接点に接触して検出接点間を閉となし、筐体が開封されると結合材の作用が無くなり検出接点間が開になるので、請求項1又は2記載の封印装置に利用できる。
請求項3の検出素子は、例えば請求項1記載の封印装置の検出素子(SE)として用いるのが好適であるが、これに限らず、筐体が開封されると接点が開になる検出素子を使用する封印装置すべてに利用できる。
この検出素子は、第1及び第2の検出接点と導電性材質の結合材とからなるので、検出素子の小型化と低価格化が可能になる。
請求項4記載の封印装置は、請求項1又は2記載の封印装置において、前記検出素子(SE)は、前記筐体の蓋部と底部との一方側に設けられる結合材と他方側に設けられる第1及び第2の検出接点とからなり、前記筐体が閉鎖されているときは前記結合材が前記検出接点間の導通を阻止して該接点間を開となし、前記筐体が開封されると前記結合材による導通の阻止が解除されて前記検出接点間が閉となるべく構成されていることを特徴とする。
筐体の蓋部と底部との一方側に結合材を、他方側に第1及び第2の検出接点を設けて検出素子を構成し、筐体が閉鎖されているときは結合材が例えば両検出接点間に進入して検出接点間が閉となるのを阻み、筐体が開封されると結合材による導通阻止の作用が無くなり検出接点間が閉になるので、請求項3の検出素子と同様に請求項又は2の封印装置に利用できる。
この検出素子は、第1及び第2の検出接点と結合材とからなるので、検出素子の小型化と低価格化が可能になる。
次に、本発明の最良の実施形態を各種の具体例にて説明する。なお、以下の各例では説明を判りやすくするために部品定数などの数値、ディバイスの部品名などを具体的に開示するが、あくまでも例示であり、本発明はこれら具体的な数値等に限定されるわけではない。
[回路構成例1]
封印装置の回路構成例1を図1により説明する。この回路構成例は、後述する各種の検出素子の内、筐体が閉鎖されているときは閉で筐体が開封されると開になる型式の検出素子を採用した例である。
まず、コネクタCN−1、CN−2間には外部電源5Vが印加可能とされている。図示は省略しているが、電源スイッチにて外部電源をオン、オフできる。
パワースイッチP−SWは、封印装置10が組み込まれた電気装置(例えば制御基板)のテスト時などに、コンデンサC1(電気2重層コンデンサであり、内部電源となる。)への充電を禁止するために設けられている。抵抗R1は、このパワースイッチP−SWが閉じているときの電流制限の役目を担う。
パワースイッチP−SWの役割は、内部電源C1と並列にバイパスを形成するためである。封印装置10をセットする際に電源(ここでは内部電源C1)が空の状態でなければ、セット時に開封されたと記憶してしまう。封印装置10は、単独で使用されるだけでなく、他の電気装置(例えば遊技機の制御基板、クレジットカードリーダの制御基板等)に組み込まれて用いられることがある。この場合、外部電源(5V)は制御基板等から貰うことになる。
その制御基板等は、生産、出荷に際して、品質確認のために当然、電気的試験が行われる。パワースイッチP−SWの役割は、このときに内部電源C1が充電されるのを防止するために設けられている。
すなわち、制御基板等に組み込まれる場合には、パワースイッチP−SWの接点P−SW1、P−SW2をパワースイッチワイヤP−SW−Wireで短絡した状態で制御基板等の電気的試験を行う。その電気的試験の後、外部電源の5Vが無い状態でパワースイッチワイヤP−SW−Wireを除去してパワースイッチP−SWを開にし、封印装置10を筐体内にセットしてから外部電源(5V)を与えるという手順が守られる。以下、パワースイッチワイヤP−SW−Wireを除去済みとして説明する。
外部電源は、抵抗R1、ダイオードD1を介して内部電源C1を充電する。図示では内部電源C1は0.33Fと比較的大きな容量値であることと、内部抵抗が新品時でも75Ω程と大きく、長期に使用すると内部抵抗は1kΩ程にも増大(劣化)するので、充電に要する時間は短くはない。実用的には、30分〜数時間で充電されるのが望ましい。なお、制御基板等に組み込まれる場合には、制御基板等の作動中に自然に充電される。
ダイオードD1は、コネクタCN−1、CN−2間を短絡させて内部電源C1の電荷を放電させるのを防止するために設けてある。従って、順方向には電圧降下が少なく逆方向には漏れ電流の少ない、小型ショットキーダイオード、例えば1SS332等が望ましい
内部電源C1の+極は、C−MOSバッファQ1、Q2の電源端子VDDと結ばれると共に、抵抗R6を介してC−MOSバッファQ1の入力端子INに結ばれる。
C−MOSバッファQ1の入力端子INは、検出素子SEの接点SE1、SE2及び抵抗R7を介して内部電源C1の−極へ結ばれ(以下、「グランド」という)、またコンデンサC4を介してもグランドされる。
C−MOSバッファQ1の出力OUTはダイオードD2を介してC−MOSバッファQ2の入力INに結ばれ、またC−MOSバッファQ2の入力INはコンデンサC2を介してグランドされる。
C−MOSバッファQ2の出力OUTは、ダイオードD3を介してC−MOSインバータQ3の入力INに結ばれる。
C−MOSインバータQ3の電源端子VDDは外部電源5Vを抵抗R3、抵抗R4、抵抗R5で分割した、抵抗R3と抵抗R4の結合点の2Vに結ばれ、入力端子INはコンデンサC3を介して抵抗R4と抵抗R5の中間点0.4Vの点に結ばれ、電源端子VSSがグランドされる。
出力端子0UTは、抵抗内蔵型のトランジスタTRのベースに結ばれる。このトランジスタTRのエミッタはグランドされ、コレクタは緑LED、抵抗R2を介して外部電源の+極に結ばれる。
次に封印装置10の動作を説明する。なお封印装置10の動作は、外部電源が与えられている状態か否かで2種類に分かれる。
外部電源が与えられている状態においては、抵抗R3と抵抗R4の中間点は2Vになるように設計され、C−MOSインバータQ3の電源として与えられている。また、抵抗R4と抵抗R5の中間点は0.4Vになるように設計され、C−MOSインバータQ3の入力は、コンデンサC3に電荷がなければ0.4Vになる。この入力電位0.4Vは、C−MOSインバータQ3においてL入力と判定される保証値0.5Vよりさらに低いため、C−MOSインバータQ3の出力OUTはHである約2Vが発生し、トランジスタTRを介して緑LEDを点灯させ、「安全状態=開封されていない」を報知する。
外部電源が与えられていない状態では、抵抗R3を介するC−MOSインバータQ3への電源は与えられず、不作動になる。また、抵抗R2を介する緑LEDへの電源も与えられないので、これも不灯である。勿論、外部電源が与えられた瞬間に上記の通り緑LEDが点灯して、「安全」を報知する。
次に、検出素子SEとの関連を説明する。
検出素子SEは、前述したように筐体の閉鎖時には閉で、筐体が開封されたときに開になる形式である。図1の回路図から判るように、内部電源C1の電荷は抵抗R6、検出素子SE、抵抗R7を介して放電する。この無駄な放電を少なくするために、本例では抵抗R6は20MΩと高い抵抗値が用いられ、漏れ電流は5V/20MΩ=0.25μAとされている(実際は、ダイオードD1での電圧降下があるので、これよりも小さい。)。
検出素子SEは、後に各種の方式を具体的に図示して説明するが、封印装置10はトラック等での輸送途中における不正開封を検知したり、電気ノイズの多い環境で用いられる装置を監視する場合もあるので、振動、衝撃、電気ノイズ等で誤作動してはいけない。
可動部を含む検出素子SEは大きな衝撃を受ければ、一瞬接点SE1、SE2間が浮く
(開く)ことは宿命的であるが、コンデンサC4がこの問題に対応する。本例ではR6=20MΩ、C4=0.022μFであるから、その時定数は20×106×0.022×
10-6=0.44秒となり、0.1秒程度の検出素子SEの開方向誤作動には不感応とされている。
ここでコンデンサC4の値をいたずらに大きくして上記安全性を高めることには問題が生じる。例えばC4=1μFとして時定数を20秒にすれば筐体が開かれた後20秒間検知できず、不正行為者が開封して20秒以内に検出素子SEを再び閉にする行為に対応できなくなる。
図1の例での時定数0.44秒の場合には、不正行為者が手際よく、例えば1秒で検出素子SEを再び閉に戻したとしても、既にC−MOSバッファQ1の出力OUTからダイオードD2を介してコンデンサC2に充電されている。しかも、ダイオードD2により逆流が防止され、また図4に例示するように封印装置10の構成が樹脂ポッティング及び保護ケースに入れられ、不正に対して強固であるため、不正は行えない。
コンデンサC4は電気的ノイズの多い環境に対応する点でも重要である。コンデンサのインピーダンス分は1/2πfcとして表される。0.022μFは、周波数1MHzに対しては7.2Ωであり、1KHzなら7.2KΩである。また、商用周波数50Hzに対しては144KΩである。
C−MOSバッファQ1の出力がダイオードD2を介してコンデンサC2に蓄えられてC−MOSバッファQ2に与えられることは前述したが、コンデンサC2に蓄積される性質は、電気ノイズとしていかに時間的に短いノイズであっても、C−MOSバッファQ1の入力レベルでVC1/2[V]以上の電位があれば繰り返し入力されることでC−MOSバッファQ2の入力電圧をVC1/2[V]以上にして誤作動させるということを意味する。すなわち、コンデンサC4の効果で電気ノイズをVC1/2[V]以下に保つ作用は重要である。
検出素子SEは、後に各種の例を説明するが、図5に示す電線で筐体を縛り、電線の縛りを解かないかぎり筐体を開封できない方式は、構成が簡単で安価にできる点で優れている。ただし、図5の説明で述べるように、電線のバイパスを設けられると不正に対して無防備となる欠点を有する。
抵抗R7は上記欠点に対応するものである。検出素子SEを制御基板のグランド(封印装置10のグランドと同一)に結ぶ作業を行う人の手が接点SE1又はSE2に触れると人体は誘導電位を有しているために、C−MOSバッファQ1の入力INにVC1/2[V]以上の電位を与える。電位の大きさは抵抗R7の抵抗値で調整でき、その値が大きい方が感度が良く、0Ωにすればその機能は無くなる。すなわち、検出素子SEの欠点を補う回路構成を有しているのである。
なお、本例は抵抗R7の存在による誘導電位を利用しているが、人体の持つ静電容量を利用する技術、例えばエレベータ等によく使われているタッチスイッチの技術を抵抗R7の代わりに用いることが可能であるのは言うまでもない。
検出素子SEに関連する説明が少し長くなったので、ここで再度図1の動作を説明する。筐体が閉鎖されている状態では検出素子SEは閉であり、C−MOSバッファQ1の入力INの電位は、内部電源C1の電圧を5−0.4=4.6Vとすれば(0.4VはダイオードD1の電圧降下)、4.6×1/21=0.22Vであり、C−MOSバッファQ1の電源電圧VDDの1/2より十分低い。そのため、C−MOSバッファQ1の出力O
UTはほぼ0Vであり、コンデンサC2を充電することはない。また、C−MOSバッファQ2の入力もローレベル(以下、ローレベルはL、ハイレベルはHと書く。)であり、コンデンサC3を充電することはないし、C−MOSインバータQ3の入力もLである。
外部電源が与えられているときなら、抵抗R3、抵抗R4、抵抗R5の分圧で与えられる2VがC−MOSインバータQ3の電源電圧であることから、その出力OUTの電位もほぼ2Vとなり、トランジスタTRを介して緑LEDを点灯している。外部電源が与えられていないときは緑LEDは点灯しないが、与えられた瞬間に上記説明の動作で点灯する。
次に、筐体が開封されて検出素子SEが開になったとする。
C−MOSバッファQ1の入力端子INの電位は20MΩを介しても4.6VのHである(実際には、C−MOSバッファQ1の入力漏れ電流、コンデンサC4の漏れ電流で少々電位は下がるが、それにしても十分にHである。)。C−MOSバッファQ1の出力OUTもHになり、ダイオードD2を介してコンデンサC2を充電し、C−MOSバッファQ2の入力もHにする。その結果、C−MOSバッファQ2の出力もHとなり、ダイオードD3を介し、コンデンサC3、抵抗R5を通してコンデンサC3を充電する。
いま、外部電源(5V)が与えられていれば、C−MOSインバータQ3の電源電圧VDDは2Vであり、入力電圧は抵抗R4、抵抗R5の中間電位(バイアス電位)=0.4VとコンデンサC3の電位の加算値となる。
C−MOSゲートは、入力電圧が電源電圧の1/2の電圧で、その出力のL、Hを反転させることは良く知られていることであり、ここではコンデンサC3の電圧が0.6V以上でC−MOSインバータQ3の出力をLにして緑LEDを消灯させる。外部電源が与えられていなければ、緑LEDは元々消灯しており、外部電源を与えても点灯はしないという動作になる。
さて、C−MOSバッファQ2は、C−MOSバッファQ1の出力をそのまま(LならL、HならH)C−MOSインバータQ3に伝えるだけであるから一見無用とも見える。しかし、その存在は重要である。その理由は、内部電源C1、コンデンサC3の内部抵抗が大きいことに起因する。内部電源C1は電気2重層コンデンサでもリチウム電池などの2次電池でもよいが、共に内部抵抗は大きく、特に使用時間と共に劣化して大きな値となる。
いま、内部電源C1でコンデンサC3を充電するときの時定数を考える。内部電源C1は劣化が進み内部抵抗は500Ωとし、コンデンサC3は未使用状態のため初品特性の120Ωとする。充電ループには抵抗R5も含まれる。0.047Fのコンデンサを(500Ω+120Ω+170Ω)=790Ωの抵抗を介して充電するのであるから、0.047×790≒37秒となる。37秒という時間は、不正行為者が筐体を開封後、検出素子SEを再び閉にする行為に対して十分過ぎる時間であることに注意を要する。
これに対して、C−MOSバッファQ1、Q2と2段に構成し、コンデンサC2(0.1μF)にダイオードD2で逆流防止して充電する本例では、コンデンサC2への充電は一瞬に完了し、上記不正行為者が筐体を開封後に検出素子SEを再び閉にしてもコンデンサC2の電位は残るため、不正は成り立たない。
なお、0.1μFのコンデンサC2の時定数は、C−MOSバッファQ2の入力漏れ電流が平均的に10-5μAであることから、漏れ抵抗は5V/10-5μA=5×105MΩ
と考えられ、5×105×106×0.1×10-6=5×104秒ときわめて大きく、コン
デンサC3を十二分の時間を掛けながら充電する。
また、C−MOSバッファQ1、Q2がC−MOSバッファであることも重要である。その理由は、容量値の大きなコンデンサC3を充電するには内部電源C1の電位も低下してしまうことに関連する。C−MOSバッファは、電源電圧が1V近くまで低下しても入力電圧が電源電圧の1/2以上か否かで正しく動作する物が容易に入手でき、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ等で構成する回路方式に比して効率よく電荷の移動ができる。
次に、コンデンサC3が何ボルトまで充電されるかを計算する。内部電源C1も電気2重層コンデンサとして、その容量値は0.33Fとする。電荷保存の法則により、0.33F×4.6V=(0.33+0.047)F×xVから、x≒4.03Vとなる。ダイオードD3の電圧降下を0.4Vとすると、コンデンサC3には約3.6Vの電圧が生じる。
次に、コンデンサC3の3.6Vが0.6V(抵抗R5で0.4Vのバイアスを掛けているため、0.6+0.4=1Vが、2V電源電圧で作動するC−MOSインバータQ3のL、H反転レベルである)に低下するまでの時間を計算する。なお0.6Vまで低下するに要する時間が記憶素子としてのコンデンサC3の記憶時間である。
C−MOSインバータQ3の入力電流とダイオードD3の漏れ電流の合計は0.1μA程であり、コンデンサC3に3.6V印加時の抵抗で表すと3.6V/0.1μA=36MΩで、0.047Fとの時定数は36MΩ×0.047F≒1.7×106秒=(1.
7×106)/(3.6×103)時間=4.7×102時間となり、48時間を大幅に上
回っている
上記計算は内部電源C1が4.6Vある事例であるが、外部電源が絶たれた後は内部電源C1もダイオードD1の漏れ、C−MOSバッファQ1、Q2の消費電流で徐々に電圧降下する。図1に示した部品の場合、100時間経過後に内部電源C1は2V以上を保持する。いま、2Vであったとして、上記4.6Vのときと対比して計算すると、0.33F×2V=(0.33+0.047)F×xVから、x=1.75V、ダイオードD3の電圧降下0.4Vを引いて、1.35Vの電圧が生じる。
1.35Vが0.6Vまで低下する時間は、C−MOSインバータQ3の入力電流とダイオードD3の漏れ電流の合計は印加電圧が3.6Vから1.35Vに低下していることから0.1μA以下となるが、多めの0.1μAあったとしても、時定数の4.7×102時間の半分の時間2.35×102時間後には、1.35×0.6=0.81Vが残り、未だ0.6Vを上回りHを記憶している。
なお、記憶時間を大きく伸ばす作用は、C−MOSインバータQ3の電源電圧を外部電源(5V)より低くしていることと、バイアス電圧を加えることで、コンデンサC3に充電された電位を有効利用していることに大きく依存している。
[回路構成例2]
図2に示すのは、検出素子SEの配置を図1の例とは異ならせ、Q1をC−MOSインバータとした例であり、関連で抵抗R6の配置が変化しているがその作用は図1の場合と同一である。また、抵抗R3が省略され、C−MOSインバータQ3には外部電源の5Vが印加されているが、バイアス電圧は1.5Vと高くなっている。図2の回路構成にすれば部品点数の低減効果がある。なお、Q1は、図1ではC−MOSバッファ、図2ではC−MOSインバータで同機能が達成されているから、発明の要素としてはバッファ及びインバータの上位概念であるC−MOSゲートと言える。
[回路構成例3]
図3に示すのは、図1(回路構成例1)の抵抗R1、パワースイッチP−SW、C−MOSバッファQ1、抵抗R6、抵抗R7を廃して、抵抗R8、コンデンサC5、センサスイッチS−SWを追加し、検出素子SEは筐体が閉鎖されているときに開で筐体が開封されると閉になる形式を採用した例である。なお、図1(回路構成例1)と同一機能の部品には同一の符号を付けてあるので、それら重複部分の説明は省略する。
図3の回路構成においては、外部電源(5V)からは、ダイオードD1を介して内部電源C1(電気2重層コンデンサ又は2次電池)が充電される。内部電源C1の+極からはQ2の電源端子VDDと抵抗R8が結ばれる。抵抗R8の他端からはコンデンサC5の一端と検出素子SEの一方の接点SE1が結ばれる。検出素子SEの他方の接点SE2からはセンサスイッチS−SWの一方の端子S−SW1とダイオードD2を介してコンデンサC2の一方の端とQ2の入力端子INが結ばれる。内部電源C1の−極には、前記のコンデンサC5の他端、センサスイッチS−SWの他方の端子S−SW2、コンデンサC2の他端、Q2の電源端子VSSが結ばれる。D3、C3、R3、R4、R5、Q3、TR、R2、緑LEDは図1と同一である。
内部電源C1は、図1に示したパワ−スイッチP−SWが無いため、外部電源が与えられれば充電される。図1の例では封印装置10が付けられた制御基板の品質試験中は充電しない旨を説明したが、本例は該試験中にも充電される。
また、リチウム2次電池等、初期状態においては充電されていて改めて充電しなくてもよい形式の2次電池を用いてもよい。
コンデンサC5は抵抗R8を介して充電される。抵抗R8は内部電源C1の内部抵抗が大きいことから、検出素子SEがオンして電気2重層コンデンサC3を充電する大きな電流が流れたときに電圧降下が発生し、Q2への入力電圧が十分上がらなくなる不具合を防止すると共に樹脂モールド等で保護しきれない検出素子SEの接点SE1とグランドをショートして内部電源C1を空にしようとする不正行為を防止する。
センサスイッチS−SWの端子S−SW1、S−SW2は、封印装置10が筐体内にセットされるまでは、センサスイッチワイヤS−SW−Wireでシートされている。
検出素子SEは、封印装置10が筐体内にセットされ筐体が閉鎖されるまでは、当然、「閉」を検出し、接点SE1、SE2間は閉している。すなわち、封印装置10が他の装置例えば制御基板に取り付けられ、制御基板の品質検査のために通電される状態では、Q2の入力にHを与えようとしている。しかし、上述したようにセンサスイッチS−SWでグランドに落とされているので、Q2の入力は当然Lであり、検出素子SEは不感にされている。
制御基板の品質検査が終わり、封印装置10共々筐体内にセットされるとき、センサスイッチS−SWのセンサスイッチワイヤS−SW−Wireは筐体の穴又は隙間等の引出口から筐体外へ引き出され、筐体を封印した後にセンサスイッチワイヤS−SW−Wireを引くことで端子S−SW1、S−SW2間を開放し、検出素子SEの作用を有効とする。
コンデンサC2の役目は図1の場合と同様であり、不正行為者が筐体を開封した後に検出素子SEを無効化しようとしても、充電されたコンデンサC2の電荷で長時間Q2をオンさせ続ける作用がある。
ダイオードD2は検出素子SEの接点SE2、センサスイッチS−SWの端子S−SW
1をグランドにつなぐことでコンデンサC2の電荷を放電させる不正行為を防止する。
センサスイッチS−SWの適用は、図3の例に限るものではなく、図1の例にも図2の例にも適用できる。このことは、一般化した表現として次のように述べることができる。すなわち、筐体の開封を検知し、記憶する封印装置をセットできる条件は、セット時は筐体が開いた状態にあるのだから、電源を空にするか検出素子を不感にするか少なくとも一方が必要であり、筐体が閉じられた後に電源及び検出素子の双方を稼働状態にすることが必要なのである。
センサスイッチS−SWの使用は、センサスイッチワイヤS−SW−Wireを筐体外へ引き出し、引きちぎるという操作が必要にはなるものの、封印装置10がセットされた直後から作動状態に入るというメリットがある。
内部電源C1は、電気2重層コンデンサであれリチウム等の2次電池であれ、空の状態から満充電させるには数時間を掛けて徐々に充電しないと十分な特性が得られないという問題があるので、上記のメリットは重要である。
なおC−MOSインバータQ3は図1、図2、図3とも1段のトランジスタTRを作動させているが2段のトランジスタを介しての駆動ならばバッファでもよいことから、発明の構成要素としては上位概念のゲートと言える。
[封印装置の構造例]
図4に示す封印装置10は、図1、図2又は図3に示した回路部品をプリント基板に実装して構成されている。
端子CN−1〜CN−4及びSE1、SE2は回路図に示したのと同一機能端子であり、図1、図2のパワ−スイッチP−SWと図3のセンサスイッチS−SWが兼用して示されている。
P−SWの端子P−SW1、P−SW2はプリント基板上に直径0.5mm程の銅箔として作られている。被覆付きの銅線で一部の被覆が除去されている直径0.5mm程のパワ−スイッチワイヤP−SW−Wireが、これらにハンダ付けされることでP−SWがショートされていることを図示してある。
封印装置10を作動状態にするには、パワ−スイッチワイヤP−SW−Wireを強く引き、端子P−SW1、P−SW2のショートを断にした後、外部電源(5V)を与え、内部電源C1を充電して用いる。
図4に示されるセンサスイッチS−SWは同様の構成で作られているがセンサスイッチワイヤS−SW−Wireの長さが、筐体の外部に引き出せるだけの長さを有していることが異なる。
封印装置10を作動状態にするには、筐体を閉鎖した後に筐体の穴又は隙間等の引出口から外部に出ているセンサスイッチワイヤS−SW−Wireを強く引き、端子S−SW1、S−SW2間の電気的ショートを断にすることで成り立つ。
なお、図4では緑LEDが端子CN−3、CN−4と並列に設けられており、外部に緑LEDを設けなくても判別できるようにされているが、外部にも緑LEDを設ける場合には、各々に抵抗を直列に入れて、電流がいずれか1個のLEDに集中して光が不均一になるのを防止するという、複数のLEDを用いるときの常套手段が採用される。
また、図中1−Aの線より上の領域は、絶縁物である樹脂でポッティングすることで不正行為から保護されることを示しており、さらに保護ケースに入れて耐性を高めることもある。
[検出素子SEの構成例]
図5〜図7に示す検出素子SEは、底部2と蓋部3とからなる筐体4(本例では遊技機の制御基板を収容する基板ボックス)を電線5で縛ることで構成したものであり、構成が簡単であると同時に安価でもある特徴を有する。
図5では、筐体4の底部2に封印装置10を含む制御基板6がネジ7にて止着され、蓋部3が被せられた後、ワンウェイビスである封印ネジ8で固着し筐体4が閉鎖された状態が示されている。
蓋部3にはコネクタ12のための開口部11が設けられており、コネクタ12を介して外部との電気的な結合がなされる。
制御基板6上には検出素子SEの端子SE1、SE2がピンとして設けられており、蓋部3には、端子SE1、SE2に対応して、電線5を通すための開口14が設けられている。
電線5の両端にはピン(端子SE1、SE2)に整合するコンタクト13が圧着されており、開口14から通されたコンタクト13をピン(端子SE1、SE2)に嵌合させると、図1(又は図2)の回路図に示すように検出素子SEが閉じた状態となる。この電線5の長さは、これを蓋部3の外面沿いに這わせて端子SE1、SE2間を結んだときに、緩み、弛みが生じない長さに設定されており、コンタクト13をピンから外すか電線5を切断しない限り筐体4を開けることはできない。
図6の例では、電線5は2本とされ、各々の一端はそれぞれ端子SE1、SE2に結ばれ、他端はそれぞれギボシ・メス接続子15、ギボシ・オス接続子16が圧着されている。ギボシ・メス接続子15及びギボシ・オス接続子16は蓋部3に設けられた引出口17から筐体4の外部に引き出されている。筐体4を閉鎖した後にギボシ・メス接続子15とギボシ・オス接続子16とを結合させれば、2本の電線5が一連となって図1(又は図2)の回路図に示すように検出素子SEが閉じた状態となる。
言うまでもないことであるが、この場合も電線5の長さに余裕があり過ぎて、ギボシ・メス接続子15とギボシ・オス接続子16の結合を解除せずに蓋部3を底部2から引き離すこと(つまり、筐体4を開封すること)が可能であってはならない。
しかし、電線5の長さに余裕が少なすぎると、引出口17に電線5を通したままで蓋部3を被せる作業ができなくなる。
そこで、各々オス、メスのギボシを端部に有する誘導紐18用いれば、この作業を行い易くできる。つまり、誘導紐18をそれぞれギボシ・メス接続子15、ギボシ・オス接続子16に結合させて引出口17に電線5を通し、蓋部3を被せてから誘導紐18を外してギボシ・メス接続子15とギボシ・オス接続子16を結合させるのである。このようにすれば、電線5の長さの余裕を最小に押さえることができ、また作業性も良好になる。
封印のための作業性だけを比較すれば図5の方が優れているが、図5には制御基板6の両端に近い所までピン(端子SE1、SE2)用の配線を引き回す必要があるという欠点がある。実施に当たっては、このような利点、欠点を比較したうえで適宜に選択すればよい。
図5、図6の構成は、上述の通りきわめてシンプルで優れるが、欠点もある。図1の回路図を参照して説明すると、コンタクト13の一方は接点SE1に相当し、制御基板のコネクタ12のいずれかにはグランドがある。いま、十分な長さの不正用電線20を用意し、一端のクリップを制御基板のグランドピンに結合し、他端のクリップを端子SE1側のコンタクト13に結合すれば、Q1の入力はグランドに落とされたこととなり、検出素子SEを不感にしたのと同じことになる。この状態で電線5の接点SE2側のコンタクト13をピンから外せば、蓋部3を開けることができ、不正が可能になる。
しかし、この欠点は図1の抵抗R7の作用で解決される。1MΩという高い抵抗値でグランドと結ばれた接点SE1、SE2すなわちQ1の入力は、人体が触れることで、人体の誘導電位のため、Q1をオンさせる作用があり、上記のような不正を防ぐことができる。図6の場合も同様に不正を防げる。
前述したことではあるが、誘導電位ではなく、人体の静電容量を検知する回路に変更することも可能である。これらの手法に限定されないが、人体が触れたことを検知できる手段を封印装置10内に設けることで、図5、図6の簡単な検出素子SEを実用にできる。
勿論、不正行為者は、絶縁物の道具で作業する等の知恵を使うことが想定される。それに対しては重要部分を筐体4の外に出さない構成が有効である。次に、検出素子SEの重要部分を筐体4の外には出さない構成例をいくつか説明する。
まず、図7の例は、図5と同様に電線5で蓋部3と底部2とを縛っているが、電線5の一端を制御基板6上に銅箔として設けられた接点SE1にハンダ付けし、蓋部3の引出口17を通して一旦引きだした電線5の他端を、蓋部3の第2の引出口19から引き込んで、やはり制御基板6上に銅箔として設けられた接点SE2にハンダ付けした例である。引出口19は、電線5と接点SE2とをハンダ付けするためにハンダごての先端を差し込める寸法である。また、接点SE2となる銅箔は引出口19の全域に対応して設けられている(引出口19には銅箔しか露出していない。)。
図1において抵抗R7を0Ωとした場合を想定すると、接点SE2はグランドに結ばれていることになる。つまり、図5に示した不正用電線20のバイパス回路で接点SE2とグランドピンとを結んでも、グランドとグランドとを結んでいるだけで何の作用もない。また、接点SE1は閉鎖された筐体4内であるから不正は行えない。
すなわち、図7の例は、一本の電線5のみで(両端ハンダ付けでコネクタ不要)、簡単、安価でありながら、バイパス回路による不正も防止でき、かつ人体の接触を検知するためのタッチスイッチ等の回路を要さない、実用性の高い手段である。
但し、本例の電線5の被覆はきわめて強固であるか、又は、逆に弱くて、何らかの加工にに対して痕跡が残りやすい性質のものが好ましい。
その理由は、筐体4の外部に出ている電線5を切断はしないが被覆を通過して芯線に接するように刃物で挟み、その刃物を図5で示した不正用電線20で基板6のグランドに結合させた後、ハンダ付けされた図示SE2のハンダを外し、筐体4を開け、不正を行い、再び図示SE2のハンダを付ける、という不正が可能となり得るからである。
この用途には、被覆付きシールド電線を電線5として用いるのが好適である。シールドで保護された芯線を切断しないように芯線に刃物を接触させることが困難になると共にシールドは切るが芯線は切らない特殊工具を考え出し、用いたとしてもシールドと芯線が電気的に接することからグランドに落ちることを検知して不正加工信号を得ることが可能であり、封印装置の信号として利用できるからである。また、被覆付きシールド電線であれ
、通常の被覆付き電線にしろ、被覆自体、又は被覆の外にガラス質等の破壊すると痕跡が明確に残るパイプを被せるとか、刃物が効かない金属のパイプを被せるとかで、不正をより確実に防止できる。
また、蓋部3と底部2との連結構造21をヒンジ状にすることで不正開封に対する耐性が高まる。
ところで、電線5を用いる上記の方法は、組み付け作業が少しばかり行いにくいという点では欠点がある。以下に、組み付け作業を行いやすい検出素子の例をいくつか示す。
図8は、以下に述べる各検出素子SEに共通な部分を説明するための図面である。ここに示す共通事項としては、次の(1)〜(6)である。(1)筐体4の蓋部3と底部2との一方側、この例では底部2側に封印装置10及び検出素子SEの接点SE1、SE2が配され(底部2に直接又は間接的に固定されており)、(2)他方側すなわち蓋部3には結合開口(ここでは蓋部開口23)が設けられている。(3)蓋部開口23を通過して筐体4内に入出可能な作用部27を備える結合材25が、作用部27を筐体4内に入れた状態で、少なくとも筐体4の内側に脱落不能に、しかも蓋部開口23を閉塞して蓋部3に装着される。(4)筐体4が閉鎖された状態では、結合材25が接点SE1、SE2に作用して検出素子SEを開又は閉となしている。(5)筐体4が開封されると、結合材25が蓋部3と一体的に底部2側から離れることで、結合材25による作用が解除されて検出素子SEを閉又は開(筐体4が閉鎖されていたときとは逆の状態)にさせる。(6)結合材25を除去した場合も筐体4の開封と同様に検出素子SEが変化する。
結合材25を、少なくとも筐体4の内側に脱落不能にするには、結合材25の上端部に、例えば蓋部開口23よりも大径の係止部29を設ければよい。結合材25を蓋部開口23に嵌合させたり螺合させたりすれば、蓋部開口23を閉塞すると共に抜け落ちを防止できる。また、結合材25の下端側(作用部側)を接点SE1、SE2側(すなわち封印装置10本体側)に係合、嵌合又は螺合させる等の離脱防止手段にて、接点SE1、SE2からの離脱を防止してもよい。
作用部27は導体とする(例えば接点SE1、SE2間に進入して検出素子SEを閉にする)場合もあれば、絶縁体とする場合(例えば接点SE1、SE2間に進入して検出素子SEを開にする)もある。
次に、検出素子SEの具体的な構成例を説明する。
まず、図9((a)は正面図、(b)はA−A断面図)に示す検出素子SEの接点SE1、SE2は、リン青銅等のバネ用板材を例えばプレス加工して製造されている。
接点SE1、SE2は互いに鏡像となる形状で、図9(b)に良好に示されるとおり、上部は「く」の字状に屈曲させられている。上端は開口部31とされ、下方の折り目にて狭隘な接合部32が形成されている。開口部31同士の間隔は結合材25の作用部27の径よりも大きく、接合部32同士の間隔は作用部27の径よりも小さく設定される。
したがって、開口部31から結合材25(作用部27)が押し込まれた際には、開口部31に続く傾斜面が案内面となって誘導し、接合部32間に進入した作用部27を弾性反発力で挟持する。
接点SE1、SE2の下部には、間に配されたインシュレータ35を挟んで互いに平行に対面配置される平板部33が設けられ、取付穴34にてインシュレータ35に熱溶着されている。また、平板部33からはインシュレータ35からはみ出す端子部36が延出されている。接点SE1、SE2は、端子部36にてプリント基板6のパターンにハンダ付けされることで(図8参照)、端子SE1、SE2(図4参照)に結ばれて封印装置10
の一部となる。
インシュレータ35の中央部には上下に貫通する穴が開けられており、その上半部にはメネジ37が設けられ、下半部は余裕域38とされている。
本例の場合、結合材25として金属製の有頭ネジ、例えば3ミリのビスが用いられる。ビスの頭部が係止部29でありネジ部が作用部27となる。3ミリのビスを結合材25とする場合、その頭部の径は5.5ミリであることから蓋部開口23は直径4ミリ程の穴とされる。また、上記接合部32間の寸法は2.5ミリ程にされる。なお、蓋部開口23の径を4ミリ程とするのは、蓋部3側と底部2側との位置ずれに対応するためである。
インシュレータ35のメネジ37は結合材25となる有頭ネジ(オネジ)に整合するものとされ、筐体4の閉鎖時には結合材25が螺合する。これは、強い振動条件でも安定に検出素子SEを作用させることを目的としており、振動が少ない(或いは振動がない)用途であれば、メネジ37を廃して接合部32による挟持のみとしてもよい。
上記の構成であるから、筐体4が閉鎖されているときは、金属である接点SE1、SE2間が金属である結合材25の作用で閉とされ、筐体4が開封されて結合材25が接点SE1、SE2間から離脱すれば検出素子SEは開になる。
次に、構成がより簡単で小型化に適した検出素子SEを図10により説明する。
図10(a)は底部2側に取り付けられたプリント基板6の一部を示している。この図に示すように、プリント基板6を貫通するガイド穴41が設けられている。
図10(b)は図10(a)の断面図であり、この図と図10(a)に示すとおり、ガイド穴41の周囲には接点SE1、SE2を構成する銅箔部が、それぞれプリント基板6の表裏に残されている。ガイド穴41の内面にはメッキ層等による導電部材は設けられておらず(スルーホールではなく)、接点SE1、SE2間は絶縁されている。なお、詳細の図示は省略しているが、接点SE1、SE2は、プリント基板6のパターンにて封印装置10の端子SE1、SE2(図4参照)に結ばれている。
図10(c)は結合材25の正面図、図10(d)は同平面図である。本例の結合材25は導電性ゴム等の柔軟性と導電性を有する材料で作られている。結合材25の一端にはフランジ状の係止部29が設けられ、他端にはテーパ状の誘導部45が設けられている。それらの中間部はガイド穴41よりも小径の本体部42であるが、この本体部42の外周には径方向に突出し、軸方向に延びるリブ部43が複数(本例では4条)設けられている。各リブ部43の頂部を結ぶ仮想円の直径はガイド穴41よりも大きく設定されている。また、リブ部43(図示は1箇所であるが複数のリブ部43でもよい)の下端部には、抜け止め部44が突出形成されている。
筐体4を閉鎖して蓋部開口23から結合材25を押し込むと、その作用部27(リブ部43)が弾性変形しながらガイド穴41に進入する。リブ部43がガイド穴41を貫通すると、ガイド穴41によって収縮方向に弾性変形させられたリブ部43がその弾性反発力で接点SE1、SE2に密接するので、接点SE1、SE2間が導通する(検出素子SEが閉になる)。この際に、ガイド穴41の上下(開口部分)で外側に膨出しているリブ部43aも該導通を補強する。
その後筐体4が開封されると、結合材25は係止部29によって蓋部3と共に底部2から引き離されるので、リブ部43がガイド穴41から抜ける。すなわち、リブ部43による接点SE1、SE2間の導通は解除され、検出素子SEが開になる。
なお、プリント基板6の銅箔は通常35μmで薄いため、接触の安定化を図るためにメッキで例えば70μm程に厚くしたり、他の金属板を接合してさらに厚くすることもできる。
また、銅箔は錆が進行しやすいので、プリント基板6の表面、裏面共にハンダレベラー(ハンダメッキ)加工を行い、特にガイド穴41の内面側になる銅箔の縁部もメッキで保護するのが望ましい。
結合材25は一体の導線性ゴムでなく、例えば樹脂部材に導電性ゴムでできたリングをはめてもよいし、スリ割りを設けて変形し易くした樹脂製の結合材25の表面をプラスチックメッキして導電性を付与してもよい。
結合材25の抜け止めは、リブ部43がガイド穴41の壁面との間で弾性変形させられたことに起因する反発力、その摩擦力で成り立つが、上述の抜け止め部44を設けて、これをガイド穴41の縁部に係止させることで、より確実な抜け止めを図るとよい。なお、抜け止め部44は必須ではない。
次に、他の検出素子SEの例を図11により説明する。
図11(a)は底部2側に取り付けられたプリント基板6の一部を示す平面図、同(b)は、その断面図である。これらに示すように、プリント基板6には貫通穴がガイド穴51として設けられている。このガイド穴51を挟んで対向する位置に一対の接点取付穴52が設けられ、それぞれに導電性ゴムで作られた接点SE1、SE2が取り付けられている。
そして、プリント基板6上には、銅箔部53が各々の接点SE1、SE2と接し、かつ封印装置10の端子SE1、SE2(図4参照)と結ぶように設けられている。
図11(b)に示すように、接点SE1、SE2は同形で、張出部55、円柱部56及びロック部57を備えている。張出部55は、接点取付穴52の径を上回わる円盤状である。円柱部56の径は接点取付穴52の径をわずかに上回り、長さはプリント基板6の板厚よりもわずかに短い。ロック部57の先端部の径は接点取付穴52の径より小さく、円柱部56側の径は接点取付穴52の径よりも大きい。
両接点SE1、SE2は、ロック部57側から接点取付穴52に押し込まれて取り付けられている。円柱部56の長さがプリント基板6の板厚よりもわずかに短いので、円柱部56には引っ張り応力が働いており、その力により張出部55をプリント基板6上の銅箔部53に密接させ、またロック部57をプリント基板6の裏面に密接させて、張出部55と銅箔部53との電気的接触を安定、確実にしている。また張出部55はガイド穴51の上方に張り出している。
図11(c)に正面図を、図11(d)に底面図を示す結合材25は、金属やプラスチックメッキされた樹脂等、導電性の材質である。
結合材25の頭部は蓋部開口23よりも大径の係止部29とされ、その上面にはマイナスドライバ等の工具を挿し込むための溝58が設けられている。
係止部29の下側にはオネジ部59が連設されている。このオネジ部59は、蓋部開口23に設けられるメネジ(図示略)と螺合可能で、該螺合によって結合材25が蓋部3に装着される。溝58は、この螺合作業に利用される。
オネジ部59の下方には円柱状の作用部27が連接され、下端はテーパ状の誘導部61となっている。
作用部27の径はガイド穴51よりも小径であるが、ガイド穴51上に張り出している張出部55間の距離よりは大径である。このため、図11(a)に示すように作用部27をガイド穴51に挿通させた際には、両方の張出部55と圧接して張出部55同士、すなわち接点SE1、SE2を導通させる。
上記構成の接点SE1、SE2及び結合材25による検出素子SEの作用は図9で説明した検出素子SEと同様である。この検出素子SEは、結合材25がオネジ部59を蓋部開口23のメネジに螺合させて蓋部3に取り付けられるので、振動に強いという長所がある。一方、結合材25とガイド穴51の同心度(蓋部3と底部2の位置の精度)を保つ管理に技術を要する面がある。
次に、他の検出素子SEの例を図12により説明する。
図12(a)は底部2側に取り付けられたプリント基板6の一部を示す平面図、同(b)は、その断面図である。
これらに示すように、プリント基板6には貫通穴がガイド穴62として設けられている。
ガイド穴62上には、バネ用リン青銅線の接点SE1、SE2が、ガイド穴62の直径と平行に、ただし直径を大きく外れて配されている。接点SE1、SE2は、ガイド穴62上でわずかな隙間を保っていて、接触はしていない。また、接点SE1、SE2は、ガイド穴62から離れた場所で、その端部をプリント基板6上の銅箔部63にハンダ付けされている。銅箔部63は封印装置10の端子SE1、SE2(図4参照)と結ばれている。
接点SE1、SE2は、接点SE1+接点SE2+上記隙間の長さの1本の上記線材を用い、その線材の両端をそれぞれ銅箔部63にハンダ付けした後に、プレス等で隙間分を切断して分離されている。このように製造すると、作業性が良く、また隙間の寸法を均一化できるというメリットがある。
図12(c)に正面図を、図12(d)に底面図を示す結合材25は、金属やプラスチックメッキされた樹脂等、導電性の材質である。
結合材25の頭部は蓋部開口23よりも大径の係止部29とされている。
係止部29の下側には、接点SE1、SE2の隙間側端部からガイド穴62の内面までの距離L(ガイド穴62の直径に沿って長い方)よりも大きい径の谷部64と、それよりも大径であるがガイド穴62の直径よりは小径の山部65とが交互に形成された作用部27が設けられている。そして、下端部にはテーパ状の誘導部66となっている。
この検出素子SEにおいては、閉鎖した筐体4の蓋部開口23を通して結合材25を押し込めば、誘導部66の働きでその先端部がガイド穴62に入る。さらに押し込むと作用部27がバネ材の接点SE1、SE2を押しのけながらガイド穴62に進入する。結合材25は係止部29が蓋部3の当たる位置まで入る。このままの位置又は山部65と谷部64とで形成するテーパ状の部分にバネ材(接点SE1、SE2)の弾性力が作用してわずかに押し戻された位置で結合材25の位置が定まり、脱落しない。
上記のように結合材25が挿入された状態では、結合材25によって接点SE1、SE2が電気的に閉じた状態とされる。一方、蓋部3を開ければ係止部29で当たっていることから、結合材25も蓋部3に付着して移動し、接点SE1、SE2間から離脱するから、接点SE1、SE2間の隙間が復活して電気的に開になる。
以上の各検出素子SEは、筐体4が閉鎖しているときに閉、開封されると開になる形式であるが、次に、その逆に動作する検出素子SEを説明する。
図13に示す例は、図9に示した検出素子SEの開閉動作を逆にした例である。主な構成は図9と同じであるから、それぞれ同符号を付して説明を省略する。図9との違いは、接点SE1、SE2となる部分が結合材25の移動域から外れる位置に延出されていて、結合材25が作用していないときには自身の撓もうとする力で互いに接触して、電気的に閉じている点である。
また、本例の結合材25は絶縁物で作られており、例えばポリアセタール製のビスが用いられる。材質が絶縁性である点を除けば、形状などは図9の結合材25と同様である。
こうした構成であるから、筐体4を閉鎖して蓋部開口23を通して結合材25を挿入すると、これが開口部31で迎え入れられ、接合部32間を押し広げながらメネジ部37に達する。さらに、係止部29が蓋部3に当たるまで結合材25をねじ込む。接合部32間の寸法が結合材25であるビスの直径より小さく作られているから、接合部32間が押し広げられ、その作用で接点SE1、SE2間も開く。つまり、検出素子SEが開になる。
筐体4を開封するために結合材25であるビスを除去すれば、接合部32間が弾性復帰するので接点SE1、SE2間も閉、つまり検出素子SEが閉に戻る。
次の例は、図14、図15により説明する。
図14(a)は底部2側に取り付けられたプリント基板6の一部平面図、図14(b)はその側面図である。
プリント基板6にはガイド穴71が貫通して設けられている。また、プリント基板6には、接点SE1、SE2となる2本の接点棒が固着されている。これらは、それぞれ封印装置10の端子SE1、SE2(図4参照)につながる銅箔70にハンダ付けされている。
両接点棒SE1、SE2の間にはバネ支軸72が、プリント基板6にハンダ付けで固定されている。バネ支軸72にはトーションバネ73が遊嵌され、その脱落を防ぐための止め輪74(E型、C型等)が嵌着されている。
トーションバネ73には弾性変形が与えられており、その反発力で一端を接点棒SE1に他端を接点棒SE2に押し当てている。また、接点棒SE2側の中間部にはバネを屈曲させて作用部受け75が形成されている。
結合材25の構造は図15(a)、(b)に示すとおりである。なお、本例においては結合材25の材質は導電性でも絶縁性でも、どちらでもよい。
結合材25の頭部には蓋部開口23を上回る径の係止部29が設けられ、その下方にガイド穴71の径をわずかに下回る円柱状の胴部76が連設されている。胴部76の先端はテーパ状の誘導部77とされている。胴部76の側面からは板状の作用部27が胴部76の径方向に延出されており、その先端面には脱落防止溝78が設けられている。
また、図15(c)に示すように、蓋部開口23は、結合材25の胴部76の径をわずかに上回る径の円弧部23aと作用部27を通過させる寸法の長穴23bとで構成されている。
閉鎖された筐体4の蓋部開口23から結合材25を挿通させると、誘導部77の作用でプリント基板6のガイド穴71に入る。さらに結合材25を入れると、作用部27がプリント基板6に当たるので、それ以上は進入できなくなる。作用部27の位置が図14(a)に示す位置Aであったとして、結合材25を反時計回りに回すと、作用部27は位置B
でトーションバネ73の作用部受け75に収まる。作用部27の突出長さは、このときにトーションバネ73を時計回り方向に回転させる寸法に作られているので、この結合材25の回転はトーションバネ73を接点棒SE2から引き離す。このため、トーションバネ73と接点SE2との接触が解かれて検出素子SEは電気的に開となる。
また、筐体4を開封するために蓋部3を持ち上げれば、作用部27を上記位置Bにしたまま、結合材25が蓋部3と共に上方に移動するので、作用部27が作用部受け75から外れる。その結果、トーションバネ73は弾性力で接点棒SE2との接触を回復し、検出素子SEは電気的に閉となる。
なお、結合材25の脱落はトーションバネ73の力を利用していることから、脱落を防止するには、結合材25を軽い樹脂で作ったり、中空形状にして軽くしたり、或いは図示した脱落防止溝78を設けたりすればよい。脱落防止溝78は必須ではない。
次の例を、図16、図17により説明する。
図16(a)は底部2側に取り付けられたプリント基板6の一部平面図、図16(b)はそのA−A断面図である。
プリント基板6にはガイド穴81が貫通して設けられている。
プリント基板6の裏面には、銅箔と板バネ82とで構成される接点SE1が設けられている。詳しくは、板バネ82の一方の端部が、接点SE1となる銅箔上に配されており、その端部及びプリント基板6を貫通する鋲83によってかしめられている。
この板バネ82の他端(自由端)は、ガイド穴81を越えて、銅箔の接点SE2に達している。板バネ82には基底的な弾性変形が与えられており、その反発力により自由端の凸部84を接点SE2に圧接させている。なお、接点SE1、SE2は、それぞれ封印装置10の端子SE1、SE2(図4参照)に結ばれている。
結合材25の構造は図17(a)、(b)に示すとおりである。なお、本例においては結合材25の材質は導電性でも絶縁性でも、どちらでもよい。
結合材25の頭部88は上記各例の係止部29に相当するが、本例においては、この頭部88の外周部にはオネジ部87が設けられており、上面にはマイナスドライバのような工具を挿し込むための溝85が設けられている。オネジ部87は、蓋部開口23に設けられたメネジ86(図17(c)参照)に螺合可能である。
頭部88には円柱状の円柱部89が連設されており、円柱部89の下端89aからは円柱部89より小径の円柱である作用部90が延出されている。
ガイド穴81との関係では、円柱部89はガイド穴81よりも大径、作用部90はガイド穴81よりも小径である。従って、作用部90はガイド穴81に進入できるが円柱部89は進入できない。また作用部90の長さLはプリント基板6の板厚よりも長い。
本例の場合、筐体4を閉鎖してから蓋部開口23に結合材25を差し込み、例えばドライバを溝85に差し込んで回す。すると、オネジ部87とメネジ86との螺合により、結合材25は前進(下降)するので、作用部90がガイド穴81に入りこむ。さらに回すと作用部90の先端90aが板バネ82に当接し、結合材25の下降に伴って板バネ82を撓ませて凸部84を接点SE2から離脱させる。
結合材25の下降は円柱部89の下端89aがプリント基板6に接触したところで阻まれる。
作用部90の長さLは、円柱部89の下端89aがプリント基板6に接触した際に板バ
ネ82の凸部84を接点SE2から離脱させるに十分な長さに設定される。また、それだけではなく、作用部90と板バネ82の相対位置が、図16(b)に示すように自由端側(記号Dで示す)に最大ずれても凸部84を接点SE2から離脱させるに十分な長さ、かつ鋲83側(記号Eで示す)へ最大ずれても板バネ82の弾性限界を超えない長さに設定される。
この検出素子SEは振動に強く、かつ蓋部3側と底部2側との位置ずれに対する寸法許容量が大きいという特徴がある。振動に強い理由は、結合材25が蓋部3にネジ止めされることと、結合材25の固定に板バネ82の力を必要としないことによる。寸法許容量については、ガイド穴81及び作用部90の径を大きく取れることによる。
ただし、この例で採用している、結合材25が蓋部3にネジ止めされる構成には、次のような弱点がある。すなわち、不正行為者が、筐体4を開封するに当たり、蓋部3を微量に持ち上げる毎に結合材25をネジ込むことを繰り返したとする。その結果、結合材25は筐体4内に入り、蓋部3から離れることになる。しかし、この問題に対しては、結合材25の重量だけでは板バネ82の力が上回り、接点SE1、SE2間が閉するように設計すれば解決できる。
なお、このようなネジ込む行為に対する耐性をより高めて確実性を増すには、図18に例示するような構成を採用すればよい。
図18に示すように、蓋部3に凹部91を設けて、その底に蓋部開口23(メネジ付き)を設ける。一方、結合材25には、凹部91に入る寸法で蓋部開口23よりは大きな径の頭部92(上記各例における係止部29に該当)を設け、その上面に溝85を設ける。そして、頭部92の下に蓋部開口23のメネジに螺合可能なオネジ部87を連設し、オネジ部87の下方に上記例と同様の円柱部89及び作用部90を設ける。
このように構成すれば、結合材25を最大限ネジ込んだとしても、頭部92が凹部91の底に当たるまでであり、ネジ込んでも結合材25が蓋部3から離脱しない。
以上、回路構成例1〜3、封印装置の構造例及び検出素子SEの構成例により本発明の実施形態を説明した。本発明の実施に際しては、これらの例中から封印装置の用途や使用環境等に応じて、好適な組合せを選択すればよい。また、例示した以外の構成(本発明に属する範囲で)を採用することもできる。
なお、上記の各例では、特に検出素子の構成例では、筐体が蓋部と底部との2部分で構成されるとしたが、3部分以上で構成される筐体であっても、いずれかの部分が開けられる(開封される)のであるから、その部分に結合材を取り付けるものと考えるのが自然である。また、蓋部と底部を逆にしても本発明を適用できることは言うまでもない。
封印装置の回路構成例1の回路図。 封印装置の回路構成例2の回路図。 封印装置の回路構成例3の回路図。 封印装置の構造例の説明図。 電線を用いる検出素子の構成例の説明図。 電線を用いる検出素子の構成例の説明図。 電線を用いる検出素子の構成例の説明図。 結合材を用いる検出素子例の共通な部分の説明図。 結合材の挿入で閉になる検出素子の構成例の説明図。 結合材を導電性ゴムで構成する検出素子の説明図。 接点SE1、SE2を導電性ゴムで構成する検出素子の説明図。 接点SE1、SE2を線材で構成する検出素子の説明図。 結合材の離脱で閉になる検出素子の説明図。 接点SE1にとーションバネを用いる検出素子の説明図。 図14に使用する結合材の説明図。 接点SE1に板バネを用いる検出素子の説明図。 図16に使用する結合材の説明図。 図16に使用する結合材の他の例の説明図。
符号の説明
2・・・底部、
3・・・蓋部、
4・・・筐体、
5・・・電線、
6・・・プリント基板(制御基板)、
10・・・封印装置、
17、19・・・引出口、
23・・・蓋部開口、
25・・・結合材、
27・・・作用部、
29・・・係止部、
C1・・・内部電源、
C3・・・電気2重層コンデンサ、
P−SW・・・パワ−スイッチ、
Q1・・・C−MOSバッファ(C−MOSゲート)、
Q2・・・C−MOSバッファ、
Q3・・・C−MOSインバータ(C−MOSゲート)、
R1〜R8・・・抵抗、
S−SW・・・センサスイッチ、
SE・・・検出素子、
SE1、SE2・・・接点(検出接点)。

Claims (4)

  1. 閉鎖される筐体に付設されて該筐体の開封を検出する封印装置であって、
    外部電源によって充電される内部電源と、前記筐体が開封されると接点が開になる検出素子(SE)と、該検出素子(SE)が閉のときと開のときとで電位が変化する信号を受ける第1のC−MOSゲート(Q1)と、該第1のC−MOSゲート(Q1)の出力をダイオード(D2)とコンデンサ(C2)で積分した信号を受けるC−MOSバッファ(Q2)と、
    ダイオード(D3)を経由して入力される前記C−MOSバッファ(Q2)の出力によって充電される電気2重層コンデンサ(C3)とを備え、
    前記内部電源から前記第1のC−MOSゲート(Q1)及びC−MOSバッファ(Q2)に電力を供給することで、前記外部電源が遮断されているときでも前記筐体が開封されたことを記憶可能な封印装置において、
    前記外部電源に由来する電源で動作し前記電気2重層コンデンサ(C3)の電位を判定して出力レベルを変化させる第2のC−MOSゲート(Q3)と、
    前記外部電源の電圧を分圧して低下させた電源で前記第2のC−MOSゲート(Q3)を動作させる手段又は前記外部電源の電圧を分圧して低下させたバイアス電圧を前記電気2重層コンデンサ(C3)の電位に加算する手段とを備え、
    前記第2のC−MOSゲート(Q3)の出力レベルに従って開封の有無を報知する
    ことを特徴とする封印装置。
  2. 閉鎖される筐体に付設されて該筐体の開封を検出する封印装置であって、
    外部電源によって充電される内部電源と、前記筐体の開封を検出する検出素子(SE)と、前記内部電源で作動し前記検出素子(SE)が前記筐体の開封を検出したことを記憶する記憶素子とを有する封印装置において、
    紐状のセンサスイッチワイヤを有し、該センサスイッチワイヤを引かれると前記検出素子(SE)の信号を無効にする状態から前記検出素子(SE)の信号を有効にする状態に変化するセンサスイッチを備え、
    前記センサスイッチワイヤの一方の端を前記筐体に設けられた穴や隙間等の引出口から該筐体の外部に出されて前記筐体の内部に付設され、前記筐体の閉鎖後に前記センサスイッチワイヤが引かれて前記センサスイッチが前記検出素子(SE)の信号を有効にする状態に切り替えられる
    ことを特徴とする封印装置。
  3. 請求項1又は2記載の封印装置において、
    前記検出素子(SE)は、
    前記筐体の蓋部と底部との一方側に設けられる導電性材質の結合材と他方側に設けられる第1及び第2の検出接点とからなり、
    前記筐体が閉鎖されているときは前記結合材が前記検出接点間を閉となし、前記筐体が開封されると前記結合材の作用が無くなり前記検出接点間が開になるべく構成されている
    ことを特徴とする封印装置。
  4. 請求項1又は2記載の封印装置において、
    前記検出素子(SE)は、
    前記筐体の蓋部と底部との一方側に設けられる結合材と他方側に設けられる第1及び第2の検出接点とからなり、
    前記筐体が閉鎖されているときは前記結合材が前記検出接点間の導通を阻止して該接点間を開となし、前記筐体が開封されると前記結合材による導通の阻止が解除されて前記検出接点間が閉となるべく構成されている
    ことを特徴とする封印装置。
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