JP3700197B2 - 液晶配向剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶配向剤に関し、さらに詳しくは、比較的穏やかなラビング条件によるラビング処理によっても良好な液晶配向性を示し、かつ優れた電気的特性を有する液晶配向膜を形成することのできる液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板の当該表面にポリイミドなどからなる液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に、例えば正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造の液晶セルとし、当該液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにした、いわゆるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。
また、最近においては、TN型液晶表示素子に比してコントラストおよび視覚特性に優れたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子が開発されている。このSTN型液晶表示素子は、ネマチック型液晶物質に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶材料として用い、当該液晶分子の長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捻れる状態となることにより生じる複屈折効果を利用するものである。
【0003】
これらの液晶表示素子における液晶分子の配向制御のために、一般に、有機ポリマーよりなる薄膜にラビング処理を施して得られる液晶配向膜が用いられる。そして、この有機ポリマーとしては、通常、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリイミドなどのイミド系ポリマーが好適なものとして使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
而して、液晶配向膜の形成材料としてイミド系ポリマーよりなる液晶配向剤を使用する場合において、良好な液晶配向性を有する液晶配向膜を得るためには、ラビング処理におけるラビングの程度を高いものとする必要がある。
具体的に説明すると、一般に、ラビング処理は、適宜の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用い、基板上に液晶配向剤を塗布して形成された薄膜の表面に、回転する当該ロールの周面を接触させて擦過させることによって行われる。そして、ラビングの程度を高くするために、使用される布の毛足押し込み長を大きくすること、ロールの回転数を大きくすること、またはラビングの回数を増加することが行われている。
【0005】
しかしながら、このようにしてラビングの程度を高いものとすると、液晶配向膜が基板から剥離されたり、液晶配向膜に傷がついたりして良好な液晶配向性を得ることができない、という問題点が生じると共に、液晶セルにおいて液晶相を駆動させるためのアクティブ素子が破壊されてしまうという問題点を伴うため、比較的穏やかなラビング条件でのラビング処理による場合にも、良好な液晶配向性が得られる優れた液晶配向膜を形成することのできる液晶配向剤の提供が望まれている。
【0006】
一方、液晶配向膜の改良技術として、液晶分子との相互作用を大きくする目的で、液晶配向膜を構成するイミド系ポリマーにおいてベンゼン環などの芳香族成分の含有割合を大きくする方法も検討されている。しかしながら、当該イミド系ポリマーにおいて芳香族成分の導入割合を大きくすること自体に限界がある。また、液晶配向膜に良好な電気的特性が得られることを考慮して、テトラカルボン酸二無水物として完全脂環式の化合物を使用することが検討されているが、この場合には、得られるイミド系ポリマーを芳香族成分が高い割合で導入されたものとすることは、実際上、非常に困難である。
【0007】
本発明の目的は、比較的穏やかなラビング条件によるラビング処理による場合にも、良好な液晶配向性を有し、しかも優れた電気的特性を有する液晶配向膜を形成することのできる液晶配向剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶配向剤は、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを反応させて得られるポリアミック酸および/またはそのポリアミック酸を脱水閉環した重合体を含有してなり、
前記テトラカルボン酸二無水物が下記化合物A01〜A05から選ばれたものであり、前記ジアミン化合物が下記の一般式(B)で表されるモノ置換フェニレンジアミンを含むことを特徴とする。
ここに、前記テトラカルボン酸二無水物は、以下の条件(1)〜条件(4)を満たすものである。
条件(1)芳香族環を1つ以上含有すること
条件(2)2つの酸無水物基を形成する4つのカルボニル基が芳香族環に直接結合していないこと
条件(3)分子構造が対称形であること
条件(4)エーテル結合を形成する酸素原子を含まないこと
以上において、条件(3)の「分子構造が対称形である」とは、当該テトラカルボン酸二無水物の分子構造を構造式で表すときに、線対称の状態に表すことができることを意味する。
【化3】
【化4】
〔一般式(B)中、Ra は、−COO−、−CONH−および−CO−よりなる群から選ばれる2価の有機基を示し、Rb はステロイド骨格、あるいは、トリフルオロメチル基を含有する1価の有機基を示す。〕
【0009】
以下、本発明について、具体的に説明する。
本発明において、上記の条件(1)〜条件(4)のすべてを満たすテトラカルボン酸二無水物(以下「特定のテトラカルボン酸二無水物」という。)の具体例としては、化2の一般式(1)または一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
【0010】
【化2】
【0011】
〔一般式(1)中、R1 は1つ以上の芳香族環を含む2価の有機基を示し、R2 は水素原子またはアルキル基を示す。〕
〔一般式(2)中、R3 は1つ以上の芳香族環を含む2価の有機基を示し、R4 は水素原子またはアルキル基を示す。〕
【0012】
一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、例えば以下の方法で合成することができる。
すなわち、先ず、化3の一般式(3)で表されるジカルボニル化合物を、適宜の溶媒中において、塩基触媒の存在下にシアノ酢酸エステルと縮合反応させることにより、化3の一般式(4)で示される化合物を合成する。
【0013】
次に、この一般式(4)で表される化合物に対し、適宜の溶媒中において、シアン化カリウムによる処理および塩酸による処理をこの順で行うことにより、化3の一般式(5)で表されるテトラカルボン酸に変換し、続いて、このテトラカルボン酸を、例えば無水酢酸によって脱水環化させることにより、目的とする一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得ることができる。
【0014】
【化3】
【0015】
〔一般式(3)中、R5 は1つ以上の芳香族環を含む2価の有機基を示し、R6 は水素原子またはアルキル基を示す。〕
〔一般式(4)中、R7 は1つ以上の芳香族環を含む2価の有機基を示し、R8 は水素原子またはアルキル基を示し、R9 はアルキル基を示す。〕
〔一般式(5)中、R10は1つ以上の芳香族環を含む2価の有機基を示し、R11は水素原子またはアルキル基を示す。〕
【0016】
上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば化4の式で示される例示化合物A01および例示化合物A02、その他を挙げることができる。
【0017】
【化4】
【0018】
また、上記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、例えば以下の方法で合成することができる。
すなわち、上記一般式(4)で表される化合物を、適宜の溶媒中において、メルドラム酸のナトリウム塩による処理および塩酸による処理をこの順で行うことにより、化5の一般式(6)で表されるテトラカルボン酸を得、続いて、このテトラカルボン酸を、例えば無水酢酸によって脱水環化させることにより、目的とする一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物を得ることができる。
【0019】
【化5】
〔一般式(6)中、R12は1つ以上の芳香族環を含む2価の有機基を示し、R13は水素原子またはアルキル基を示す。〕
【0020】
上記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば化6の式で示される例示化合物A03〜例示化合物A05、その他を挙げることができる。
【0021】
【化6】
これらの特定のテトラカルボン酸二無水物は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
本発明においては、上記特定のテトラカルボン酸二無水物と共に、他のテトラカルボン酸二無水物を併用することができる。
かかる他のテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンなどの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;
【0023】
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、その他を挙げることができる。
【0024】
これらのうち、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物および3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水物が好ましく、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンが特に好ましい。
【0025】
これらの他のテトラカルボン酸二無水物の使用割合は、本発明の効果を失わない範囲とされることが必要であり、通常、特定のテトラカルボン酸二無水物との合計、すなわちテトラカルボン酸二無水物の全量に対して95モル%以下とされる。
【0026】
テトラカルボン酸二無水物と反応されるジアミン化合物は、特に制限されるものではなく種々のジアミン化合物を用いることができる。その具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]オクタフルオロビフェニル、ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2’−ジメチルプロパン、3,5−ジアミノ安息香酸、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニルなどの芳香族ジアミン化合物;
【0027】
ジアミノテトラフェニルチオフェンなどの芳香族環に結合された2個のアミノ基(−NH2 )と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン化合物;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7 ]ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族または環状脂肪族ジアミン化合物;下記化7の一般式(7)で表されるモノ置換フェニレンジアミン類;化8の一般式(8)で表されるジアミノオルガノシロキサン;その他を挙げることができる。
【0028】
【化7】
〔一般式(7)中、R14は、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−よりなる群から選ばれる2価の有機基を示し、R15はステロイド骨格、あるいは、トリフルオロメチル基を含有する1価の有機基を示す。〕
【0029】
【化8】
〔一般式(8)中、R16はメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基またはフェニル基などのアリール基のような炭素数1〜12の炭化水素基を示し、pは1〜3の整数、qは1〜20の整数、rは1〜3の整数である。〕
【0030】
また、芳香族環に結合された2個のアミノ基(−NH2 )と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン化合物の具体例としては、下記化9〜化11で例示化合物B01〜例示化合物B11として示されるものを挙げることができる。
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
これらの中では、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、並びに一般式(7)で表されるジアミン化合物のうち、例示化合物B01、例示化合物B05(アミノ基の各々が芳香環のパラ位に結合したもの)および例示化合物B07(bが1または2であるパラ置換体のもの)は、これらを用いて得られる液晶配向剤によって形成される液晶配向膜が長期間にわたって良好な液晶配向性を有するものとなることから、好ましい。
特に、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリンおよび例示化合物B01がとりわけ好ましい。
【0035】
これらのジアミン化合物は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
本発明の液晶配向剤を構成するポリアミック酸は、特定のテトラカルボン酸二無水物を含有するテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを反応させることによって得られる。この反応は有機溶媒中で、通常、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の反応温度で行われる。
【0037】
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物中のアミノ基1当量に対してテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
【0038】
上記反応のための有機溶媒は、当該反応によって生成するポリアミック酸(以下「特定重合体A」という。)を溶解するものであれば、特に制限されるものではない。好ましく用いられる有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。
【0039】
上記有機溶媒には、特定重合体Aの貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類を、生成する特定重合体Aが析出しない割合で併用することができる。
かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
【0040】
有機溶媒の使用割合は、通常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量が、反応溶液の全量に対して0.1〜30重量%になる割合とすることが好ましい。
【0041】
本発明の液晶配向剤を構成する、ポリアミック酸を脱水閉環した重合体(以下「特定重合体B」という。)は、通常、ポリイミドまたはポリイソイミドであり、上記した特定重合体Aを、加熱によるイミド化処理により、または脱水剤およびイミド化触媒の存在下でイミド化処理することにより、得ることができる。
加熱によるイミド化処理における加熱温度は、通常、60〜250℃、好ましくは100〜170℃である。また、脱水剤およびイミド化触媒の存在下でイミド化処理する場合の反応は、上記と同様の有機溶媒中で行うことができる。その反応温度は、通常、0〜180℃、好ましくは60〜150℃である。
【0042】
脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。この脱水剤の使用量は、特定重合体Aの繰り返し単位1モルに対して1.6〜20モルとするのが好ましい。
また、イミド化触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。このイミド化触媒の使用割合は、使用する脱水剤1モルに対し、0.5〜10モルとするのが好ましい。
【0043】
本発明で用いられる特定重合体Aまたは特定重合体Bは、その対数粘度ηlnの値が、好ましくは0.05〜10dl/g、さらに好ましくは0.05〜5dl/gのものである。
ここに、各重合体の対数粘度ηlnの値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、重合体の濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測定を行い、下記数1で示される式によって求められるものである。
【0044】
【数1】
【0045】
また、特定重合体Aの合成において、生成する重合体の分子量の調節、基板に対する塗布性の改善などの目的で、酸無水物、モノアミン化合物を添加することも可能であり、こうして調製された末端修飾型の特定重合体Aまたは特定重合体Bも液晶配向剤として有用である。
【0046】
ここで、末端修飾用の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水フタル酸などが挙げられる。
また、末端修飾用のモノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。
【0047】
特定重合体Aおよび/または特定重合体Bよりなる本発明の液晶配向剤には、それ自体の特性またはこれより形成される液晶配向膜の特性を向上させるために種々の添加剤を含有させることができる。
このような添加剤としては、例えば、液晶表示素子を構成する基板の表面に対する液晶配向膜の接着性を向上させる目的から、官能性シラン含有化合物を含有させることができる。
【0048】
かかる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0049】
本発明の液晶配向剤は、適宜の溶剤に必須の成分を溶解させることによって均一な溶液として得ることができる。
ここに溶剤としては、特定重合体Aおよび/または特定重合体Bならびに各種添加剤を溶解するものであれば特に制限はなく、通常、特定重合体Aの調製において用いられるものと同じ有機溶媒が使用される。また、この際の溶液濃度は、通常、固形分濃度で0.1〜20重量%であることが好ましい。
【0050】
本発明の液晶配向剤を用いて、例えば次のような方法により、液晶配向膜が形成され、さらに液晶表示素子が作製される。
(1)透明導電膜が設けられている液晶表示素子用の基板の一面に当該液晶配向剤を塗布し、塗布面を加熱することにより、液晶配向膜の材料である薄膜を形成する。
ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。
【0051】
基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2 )からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2 O3 −SnO2 )からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォトエッチング法や予めマスクを用いる方法などが用いられる。液晶配向剤の塗布方法としては、印刷法のほか、ロールコーター法、スピンナー法、カーテンコート法などの方法を用いることができる。
【0052】
液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜に対する接着性をさらに良好にするために、基板の一面および透明導電膜上に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布することもできる。また、塗布面の乾燥または加熱温度は80〜300℃とされ、好ましくは120〜200℃とされる。なお、形成される薄膜の乾燥膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0053】
(2)形成された薄膜に配向処理が施される。本発明の液晶配向剤の場合には、この配向処理は、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどからなる布を巻き付けたロールで薄膜の表面を一定方向に擦過するラビング処理法により行われる。この配向処理により、当該薄膜に液晶分子に対する配向能が付与されて液晶配向膜が形成される。なお、ラビング時に発生するゴミを除去するなどの目的で、イソプロピルアルコールによる洗浄処理がなされることが好ましい。
【0054】
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交、平行または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板をその偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0055】
液晶材料としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
【0056】
また、これらの液晶に、例えばコレステリルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
【0057】
本発明の液晶配向剤を用いると、比較的穏やかなラビング条件によるラビング処理によっても、良好な液晶配向性を有し、しかも優れた電気的特性を有する液晶配向膜を形成することができる。
また、本発明の液晶配向剤により形成された薄膜または液晶配向膜には、例えば特開平6−222366号公報または特開平6−281937号公報に示されているような、紫外線を照射することによってプレチルト角を変化させるような処理、あるいは特開平5−107544号公報に示されているような、液晶配向膜上にレジストを部分的に塗布して液晶配向膜のラビング方向を部分的に変えるような処理を行うことによって、液晶表示素子の視覚特性を改善することが可能である。
【0058】
本発明の配向膜形成剤は、STN型液晶表示素子用の液晶配向膜やTN型液晶表示素子用の液晶配向膜を形成するために特に好適に用いることができる。
また、本発明の液晶配向剤により形成される液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、基板間に注入充填される液晶材料の種類を選択することにより、SH(Super Homeotropic)型液晶表示素子または強誘電性液晶表示素子としても好適に使用することができる。
さらに、本発明の液晶配向剤により形成される液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性に優れ、種々の装置に有効に使用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用いられる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
液晶セルの配向性評価は、電圧をオン・オフさせた時の液晶セル中の配向不良の有無を偏光顕微鏡で観察し、配向不良のない場合を「良好」と判定した。なお、この評価においては、液晶配向膜の配向能の優劣を明確にする目的で、液晶のツイスト角が240度になるようにラビング処理を施し、作製したセルを用いて評価を行った。
電気的特性の評価としては、液晶セルの電圧保持率を測定した。電圧保持率は液晶セルに5Vの電圧を印加した後に回路を遮断し、16.7msec経過後の保持電圧を測定することにより評価した。なお、この評価においては、液晶のツイスト角が90度になるようにラビング処理を施して得られる液晶配向膜による液晶セルを用いた。
【0060】
合成例1
例示化合物A03として示されたテトラカルボン酸二無水物31.56g(104.4ミリモル)と、p−フェニレンジアミン10.72g(99.2ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物2.72g(5.2ミリモル)とを、N−メチル−2−ピロリドン405gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させ、この反応生成物をメチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.87dl/gの特定重合体Aaの40.25gを得た。
【0061】
合成例2
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、例示化合物A04として示された化合物32.38g(98.0ミリモル)を用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミン10.07g(93.1ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を2.55g(4.9ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度が0.82dl/gの特定重合体Abの40.70gを得た。
【0062】
合成例3
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、例示化合物A05として示された化合物を33.57g(88.7ミリモル)用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミンを9.12g(84.3ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を2.31g(4.4ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度が0.93dl/gの特定重合体Acの41.54gを得た。
【0063】
合成例4
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、例示化合物A03として示された化合物を23.36g(77.3ミリモル)および2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を7.42g(33.1ミリモル)用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミンを11.34g(104.9ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を2.87g(5.5ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度が1.03dl/gの特定重合体Adの40.24gを得た。
【0064】
合成例5
合成例4で得られた特定重合体Adの40.00gを800gのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、これにピリジン41.29gと無水酢酸31.97gとを添加して110℃で4時間イミド化反応させた。
次いで、反応混合液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させ、この反応生成物をメチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.84dl/gの特定重合体Bdの35.70gを得た。
【0065】
合成例6
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、例示化合物A04として示された化合物を27.16g(82.2ミリモル)および2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を4.61g(20.6ミリモル)用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミンを10.56g(97.7ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を2.68g(5.1ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にして特定重合体Aeを得た。
さらにこの特定重合体Aeを用いて合成例5と同様にしてイミド化反応を行うことにより、対数粘度が0.91dl/gの特定重合体Beの33.55gを得た。
【0066】
合成例7
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、例示化合物A03として示された化合物を15.82g(5.23ミリモル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンを15.71g(52.3ミリモル)用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミンを10.75g(99.4ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を2.72g(5.2ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にして特定重合体Afを得た。
さらにこの特定重合体Afを用いて合成例5と同様にしてイミド化反応を行うことにより、対数粘度が0.77dl/gの特定重合体Bfの34.78gを得た。
【0067】
合成例8
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、例示化合物A01として示された化合物を30.62g(111.7ミリモル)用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミンを11.47g(106.1ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を2.91g(5.6ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にして対数粘度が0.95dl/gの特定重合体Agの41.22gを得た。
【0068】
合成例9
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、例示化合物A02として示された化合物を31.56g(104.4ミリモル)用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミンを10.72g(99.2ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を2.72g(5.2ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にして対数粘度が0.90dl/gの特定重合体Ahの39.53gを得た。
【0069】
比較合成例1
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を28.58g(127.5ミリモル)を用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミンを13.10g(121.0ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を3.32g(6.4ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にしてポリアミック酸イを得た。
さらにこのポリアミック酸イを用いて合成例5と同様にしてイミド化反応を行うことにより、対数粘度が0.92dl/gのイミド系重合体ロの35.12gを得た。
【0070】
比較合成例2
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物を28.30g(129.8ミリモル)用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミンを13.33g(123.3ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を3.38g(6.5ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にして対数粘度0.99dl/gのポリアミック酸ハの35.60gを得た。
【0071】
比較合成例3
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を31.30g(105.5ミリモル)用い、ジアミン化合物として、p−フェニレンジアミンを10.93g(101.1ミリモル)および例示化合物B01として示されたジアミン化合物を2.27g(4.4ミリモル)用いたこと以外は合成例1と同様にして対数粘度が1.03dl/gのポリアミック酸ニの34.23gを得た。
【0072】
実施例1
合成例1で得られた特定重合体Aaの6gをγ−ブチロラクトン120gに溶解させて固形分濃度が約5重量%の溶液を得、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して液晶配向剤溶液を調製した。
この溶液を、表面にITO膜からなる透明電極が設けられている液晶表示素子作製用のガラス基板の一面に、回転数2000rpmのスピンナーを用いて1分間塗布処理し、200℃で1時間乾燥することにより、乾燥膜厚0.05μmの薄膜を形成した。
【0073】
この薄膜の表面に対し、レーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用い、以下に示すラビング条件(a)に従ってラビング処理を行い、その後、当該薄膜をイソプロピルアルコールにより洗浄して、液晶配向膜を形成した。
ラビング条件(a):
毛足押し込み長0.2mm、ロール回転数100rpm、ラビング回数1回
【0074】
このようにして得られた液晶配向膜を有する基板2枚のそれぞれの外縁部に、直径6μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、液晶配向膜におけるラビング方向が240度ツイストまたは90度ツイストの状態となるように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。
次いで、基板の対向する表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、カイラル剤を配合したネマティック型液晶「MLC−2001」(メルク社製)を注入充填し、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを構成した。そして、この液晶セルを構成する基板の両外面に、偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致するように偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を作製した。
【0075】
また、液晶配向膜の形成におけるラビング処理を、下記のラビング条件(b)および(c)に従って行ったほかは同様にして液晶表示素子を作製した。
ラビング条件(b):
毛足押し込み長0.2mm、ロール回転数200rpm、ラビング回数2回
ラビング条件(c):
毛足押し込み長0.4mm、ロール回転数200rpm、ラビング回数2回
【0076】
このようにして得られた液晶表示素子の各々について、液晶配向性を調べたところ、ラビングの程度が高い場合は勿論、ラビングの程度が低い場合にも、すなわち、ラビング条件がいずれであっても良好な配向性が得られた。
また、電圧保持率を測定したところ、いずれも、60℃において98.5%と良好であった。
【0077】
実施例2〜実施例8
実施例1における特定重合体Aaの代わりに、合成例2〜合成例8で得られた特定重合体Ab、特定重合体Ac、特定重合体Bd、特定重合体Be、特定重合体Bf、特定重合体Agおよび特定重合体Ahの各々を用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を作製し、各液晶表示素子について、液晶配向性の良否および電圧保持率の測定を行った。結果は表1に示すとおりであり、いずれも良好であった。
【0078】
【表1】
【0079】
比較例1
比較合成例1で得られたイミド系重合体ロを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を作製し、その評価を行ったところ、60℃における電圧保持率は98.4%と良好であったが、液晶配向性が悪く、特に穏やかなラビング条件(a)によるラビング処理では、顕著な配向不良が観察された。
【0080】
比較例2
比較合成例2で得られたポリアミック酸ハを用い、薄膜形成時の乾燥の条件を温度250℃、1時間とした以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を作製し、その評価を行ったところ、液晶配向性は良好であったが、60℃における電圧保持率は91.1%と低いものであった。
【0081】
比較例3
比較合成例3で得られたポリアミック酸ニを用い、薄膜形成時の乾燥の条件を温度250℃、1時間とした以外は、実施例1と同様にして液晶表示素子を作製し、その評価を行ったところ、液晶配向性は良好であったが、60℃における電圧保持率が92.5%と低いものであった。
【0082】
本発明の好ましい実施態様を掲げると次のとおりである。
(1)テトラカルボン酸二無水物が、例示化合物A01、例示化合物A02、例示化合物A03、例示化合物A04および例示化合物A05から選ばれたものである、請求項2に記載の液晶配向剤。
(2)ジアミン化合物が、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリンおよび例示化合物B01から選ばれたものである、請求項2に記載の液晶配向剤。
【0083】
【発明の効果】
本発明の液晶配向剤によれば、比較的穏やかなラビング条件によるラビング処理によっても、良好な液晶配向性を有し、しかも優れた電気的特性を有する液晶配向膜を形成することができる。
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