JP3699880B2 - 超音波探触子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波探触子、特に、体腔内挿入用の小型の超音波探触子の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、超音波振動子を含む超音波送受信部を被検者の体腔内に挿入して、被検部位の超音波画像を得る超音波エコーデータを取得する体腔内用超音波探触子が知られている。図7は従来の体腔内用の超音波探触子(図7は経膣用探触子)100の全体構成図である。超音波探触子100は、細いスティック形状を呈し、長手方向に体腔内に挿入される。超音波探触子100の先端部102の内部に複数の超音波振動子104がコンベックス状に配列され、挿入方向に対して扇状の超音波走査面106を形成し超音波エコーデータの取得を行っている。取得された超音波エコーデータは超音波探触子100が接続される超音波診断装置(不図示)に供給され、超音波断層画像として画像が合成され、各種診断に利用される。
【0003】
前記先端部102は、当該先端部102を体腔内の所望の位置に導くための挿入部108に固定され、さらに、挿入部108は超音波探触子100を操作使用するために把持する把持部110に接続されている。また、把持部110の後端からは超音波振動子104に接続される信号線が、挿入部108、把持部110の内部を介して引き出され、ケーブル112として超音波診断装置側に延びている。
【0004】
このような構成の超音波探触子100を用いて取得できる超音波画像は、断層画像である。従って、使用者は、一度の挿入操作により一断面しか取得することができず、他の部分で断層画像を取得しようとする場合、超音波探触子100を体腔内で移動(シフトや回転)を行う必要があり、操作が煩雑に成ったり、超音波探触子100の挿入時間の増加等を招き、被検者の負担を増大する。そのため、超音波探触子100を体腔内で移動させることなく複数の超音波断層画像を取得したいという要望が高まっている。さらに、複数の超音波断層画像の合成による三次元超音波画像を取得したいという要望も高まっている。
【0005】
上述したような複数の超音波断層画像を取得する方法としては、図7に示すような複数の超音波振動子104で構成される振動子アレイ104aを紙面鉛直方向に揺動させることによって、先端部102を含む超音波探触子100を体腔内で移動させることなく得ることができる。また、超音波診断装置側では、取得した複数の超音波断層画像を振動子アレイ104aの揺動量に基づいて合成することにより三次元超音波画像を形成することができる。
【0006】
図7のような構成の超音波振動子100の場合、挿入部108や先端部102は体腔内に容易に挿入できるように細径形状を呈している。そのため挿入部108や先端部102には、モータ等の揺動駆動源を設けることができず、把持部110等に配置されるモータの駆動力を先端部102まで導く必要がある。この駆動力の伝達は、細径の挿入部108を挿通可能であり、また、駆動伝達ロスの少ない回転駆動自在なシャフトを用いることが考えられる。そして、先端部102に導かれたシャフトの回転駆動力は、複数のギアを用いて運動方向の変換が行われ、振動子アレイ104aの揺動を行うようにするのが一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数のギアを用いた運動方向変換機構は、構成上、複雑化や大型化を招きやすく、細径形状の先端部102等への適用は好ましくない。特にギアの場合、ギア毎に先端部102内部を上下または左右に貫通しギアを支持する回動軸が必要になる。また、その回動軸は先端部102の中心軸上(振動子アレイ104aの揺動中心上)に配置する必要がある。前述したように、振動子アレイ104aは複数の超音波振動子104で構成されているため、超音波振動子104の配列数分の信号線(束ねられて信号線群になる)が先端部102から挿入部108側へ引き出される。従来、信号線群はFPCやラミネート加工され一体化されたケーブルが使用されるが、FPCやラミネート加工されたケーブルは柔軟性に欠ける。この時、先端部102内部に複数の回動軸を有する複雑な構造のギア列(運動方向変換機構)が存在し、かつギアが振動子アレイ104aの揺動中心に存在すると、信号線群の引き出しが困難になる上、損傷(例えば、断線)を招いたり、振動子アレイ104aが揺動するときに連れ動きする信号線群の動作を阻害し、結果的に振動子アレイ104aの揺動不良を招いたりするという問題がある。その結果、超音波診断装置に高品質の超音波エコーデータが提供できないという問題が生じる。さらに、複数のギアを用いた場合、ギアの噛合音も増大し、超音波探触子100の使用者や被検者に違和感を与えてしまうという問題もある。
【0008】
さらに、振動子アレイ104aを揺動させる場合、先端部102の超音波透過部102aと超音波振動子104の位置関係が常時変化するので超音波の屈折が生じ、超音波の送受信が安定して行えない場合が生じる。そのため、振動子アレイ104aを揺動させる場合、屈折が生じないように配慮する必要もある。
【0009】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、超音波探触子の先端部における、超音波振動子の揺動動作を小型かつシンプルな構成で行うと共に、超音波振動子から引き出される信号線群の配置の容易化や損傷や動作阻害を防止可能で、かつ良好な超音波の送受信を行い高品質の超音波エコーデータを得ることのできる超音波探触子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、体腔内に挿入される振動子ケースと、前記振動子ケース内に設けられ超音波の送受信を行う超音波振動子と、一端に作用端を有する一対のアーム部材であって、前記作用端が前記超音波振動子の両端に対して回転可能に係合する一対のアーム部材と、前記アーム部材を平行に進退させ前記超音波振動子を揺動軸を回動中心として揺動させる振動子ケース内に配置される平行進退機構と、を含み、前記平行進退機構は、前記一対のアーム部材に両端が回転自在に連結され、前記一対の作用端の並び方向に対して平行に配置される複数の連結アームと、前記各連結アームの中央部を回転自在に支持する支持部と、前記各連結アームを前記支持部を中心に回転させることにより、一対のアーム部材に対して進退力を伝達する駆動部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、超音波振動子を揺動するアーム部材は超音波振動子の両端に配置され、そのアーム部材を進退動作させることにより超音波振動子の揺動を行うので、振動子ケース内、特に超音波振動子の近傍をシンプルな構造にしつつ、超音波振動子の揺動をスムーズに行うことができる。
【0012】
上記のような目的を達成するために、上記構成において、前記振動子ケースは内部に、前記アーム部材と平行進退機構を収納する機構収納空間と、前記超音波振動子から引き出される信号線群を収納する信号線収納空間と、を区分け形成することを特徴とする。
【0013】
ここで、前記アーム部材や平行進退機構は、例えば、平板状部材で構成することが可能であり、振動子ケース内で偏った配置、例えば振動子ケースの長手方向の軸を挟んで一方側に集中的に配置することが可能で、機構収納空間と信号線収納空間とを容易に区分け形成することができる。その結果、信号線群の配置を十分な余裕を持って効率的かつ安全に行うことが可能になる。
【0014】
上記のような目的を達成するために、上記構成において、前記各アーム部材の作用端を含む作用軸と前記超音波振動子の揺動軸とは同一平面上に平行配列されることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、揺動軸を中心に回動する超音波振動子に対して、両端から効率的に揺動作用力を提供することができるので、超音波振動子の揺動を負荷なくスムーズに行うことができる。
【0016】
上記のような目的を達成するために、体腔内に挿入される振動子ケースと、前記振動子ケース内に設けられた揺動軸を回動中心として回動しながら超音波の送受信を行う超音波振動子と、前記振動子ケースの挿入先端部に形成され、前記揺動軸上の点を曲率中心とする曲面形状の超音波透過部と、を含み、前記超音波振動子は、複数の振動素子で構成され、各振動素子は前記曲率中心から等距離の曲面上に配列されていることを特徴とする。この構成によれば、各振動素子から超音波透過部までの距離は、常に一定になり、超音波振動子が揺動しても屈折のないより安定した超音波の送受波を行うことができる。
【0017】
また、上記のような目的を達成するために、上記振動子ケースと、超音波振動子と、アーム部材と平行進退機構を含むものにおいて、前記振動子ケースの挿入先端部は、前記揺動軸上の点を曲率中心とする曲面形状の超音波透過部を含むことを特徴とする。
【0018】
ここで、超音波透過部は均一な厚みを有しているものとする。この構成によれば、超音波振動子が揺動しても超音波振動子の超音波送受方向が超音波探触子の表面である超音波透過部と常に直角になるので、超音波の屈折を排除し安定した超音波の送受信を行うことが可能になる。
【0021】
上記のような目的を達成するために、上記構成において、前記超音波振動子から引き出される信号線は、当該信号線の伸長方向と直交する方向に配置される横糸により編み込み加工し形成された信号線群を用いることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、信号線群は各信号線の有する柔軟性を十分に維持することができるので、超音波振動子が揺動する場合でも、その揺動に対する抵抗に成らず、超音波振動子の揺動を阻害しない。また、各信号線はバラバラに成らないので、信号線群の全体的な強度が増し耐久性が向上する。更に、配線時等の取り扱いが容易になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。図1は、本実施形態の体腔内挿入型(図1は、経膣用)の超音波探触子10内部の概略構成を説明する断面図である。超音波探触子10は、図7に示す従来の体腔内挿入型の超音波探触子100と同様に、複数の超音波振動子が配列されて形成されている振動子アレイ12aを含む振動子ユニット12を内蔵配置する先端部14と、当該先端部14を体腔内の所望の位置に導くための挿入部16、使用者が把持して当該超音波探触子10の操作を行う把持部18とに大別される。なお、本実施形態においては、先端部14及び挿入部16等体腔内に挿入される部分を振動子ケース20と称するものとする。
【0024】
本実施形態の特徴的事項は、振動子ケース20内部(具体的には先端部14内部)に、超音波振動子(具体的には振動子ユニット12)を揺動するアーム部材及び当該アーム部材を進退動作させる平行進退機構を有しているところである。なお、本実施形態の場合、平行進退機構を挿入部16内部に配置された回転自在なシャフト22をカップリング24を介してモータ26で回転させることにより動作される例を示す。
【0025】
図1において、モータ26は、例えば、DCサーボモータであり、振動子ユニット12の揺動量を管理するために回転量検出器等を含んでいる。また、シャフト22が挿通される挿入部16の内部には、振動子ユニット12の各超音波振動子から引き出される信号線を束ねた信号線群28(図1においては、把持部18内部のみの図示を行っている)も挿通されるため、シャフト22と信号線群28との接触を避けるためシャフト22の周囲にはシャフトカバー30が配置されている。なお、シャフトカバー30は信号線群28の容易な挿通を可能にするため挿入部16の軸中心から偏位した位置に配置されることが好ましい。
【0026】
図2(a),(b)には、本実施形態の超音波探触子10の先端部14の内部構造を詳細に説明する上面視と側面視の断面図が示されている。前述したように、先端部14の内部には、振動子ユニット12及び当該振動子ユニット12を揺動させる一対のアーム部材32と平行進退機構34が配置されている。前記平行進退機構34は前記一対のアーム部材32に両端が回転自在に連結された連結アーム36a,36bと、前記各連結アーム36a,36bの中央部を回転自在に支持する支持部38a,38bと、一対のアーム部材32に対して進退力を伝達する駆動部としてのシャフト22とを含んでいる。また、振動子ユニット12は、例えば、樹脂ホルダ40の表面に沿って複数の超音波振動子が配列された振動子アレイ12aが配置されている。この振動子アレイ12aの超音波送受波面側には超音波のフォーカス等を行う音響レンズ42(超音波送受波面と音響レンズ42の間には、音響整合層が配置されるが図示を省略している)が配置され、振動子アレイ12aの裏面側には振動子の背面で音響的にダンピング作用を行わせるバッキング材44が配置される。この振動子ユニット12は、全体として略半球形状を呈するように構成されている。なお、振動子アレイ12aの各超音波振動子は図2(a)においては、樹脂ホルダ40の曲面に沿って紙面の略表裏方向、図2(b)においては、曲面に沿って略上下方向に配列されている。
【0027】
図2(a)において、振動子ユニット12は略半球体形状を呈する樹脂ホルダ40の略中心に位置する揺動軸Aを回動中心として、図2(a)中矢印P方向に、例えば90°(図中中央から上下に45°ずつ)揺動する。なお、後述するが振動子ユニット12はアーム部材32に支持されているので、揺動軸Aは実在しても仮想的に設けられてもよい。振動子ユニット12の両端と前記各アーム部材32の一端とは相互に回転自在に係合している。本実施形態の図2(a)においては、振動子ユニット12の両端に、支持軸46が形成され、アーム部材32の一端(本実施形態では作用端と称する)が当該支持軸46に回転自在に係合している。従って、図2(a)において、上側のアーム部材32が矢印M方向に移動し、図中下側のアーム部材32が矢印N方向に移動することにより、振動子ユニット12は揺動軸Aを中心に反時計回り方向に回動する。また、逆に上側のアーム部材32が矢印N方向に移動し、図中下側のアーム部材32が矢印M方向に移動することにより、振動子ユニット12は揺動軸Aを中心に時計回り方向に回動する。従って、一対のアーム部材32が互いに平行状態を維持したまま逆進退することにより振動子ユニット12の揺動が可能になる。この時、アーム部材32の進退力が作用する作用軸(支持軸46)と前記振動子ユニット12の揺動軸Aとを同一平面上で、かつ相互に平行になるように配列することにより、作用軸において進退力が最も効率的に作用し、振動子ユニット12の揺動を負荷なくスムーズに行うことができる。
【0028】
上述のように、前記アーム部材32の平行状態を維持したまま相互に逆進退させるために、本実施形態は、平行進退機構34を有している。前述したように、平行進退機構34は、前記一対のアーム部材32に両端が回転自在に連結された連結アーム36a,36bを含んでいる。連結アーム36aは、中央部の支持部38aを中心に回転自在に支持されている。そして、連結アーム36aは前記シャフト22の先端に固定された傘歯車48と噛合し、シャフト22の回転駆動力の運動方向を変換する傘歯車50が固定されている。従って、図2(a)において、シャフト22がモータ26により正回転(シャフト軸に沿って先端部を前方にして時計回り方向)すると傘歯車50は反時計方向に回動し、図3に示すように、連結アーム36aの上側が矢印M方向に向かって回動する。同時に、連結アーム36aの下側が矢印N方向に向かって回動する。その結果、上側のアーム部材32が矢印M方向に、下側のアーム部材32が矢印N方向に移動し、振動子ユニット12を反時計回り方向に回動させる。従って、シャフト22を上述と逆方向に回転させれば、振動子ユニット12を時計回り方向に回動させることができる。このように振動子ユニット12を揺動させることにより、振動子アレイ12aで形成される図2(b)に示した超音波走査面52が図2(a)中矢印P方向に揺動し、複数の超音波走査面52を形成し、超音波の送受波を行うことができる。その結果、超音波診断装置(不図示)では、複数の超音波走査面52と振動子ユニット12の揺動角度に基づいて、三次元の超音波画像を形成することができる。なお、振動子ユニット12の揺動角度はモータ26の回転量検出器等を用いて認識する。また、本実施形態においては、1セットの傘歯車48,50のみを使用しているので、動作時の噛合音が僅かであり、動作時に使用者や被検者に与える違和感を低減することができる。
【0029】
一方、連結アーム36bは、2本のアーム部材32の平行を維持するために設けている。この連結アーム36bも中央部が支持部38bで回動自在に支持され、その両端が2本のアーム部材32のアーム上の任意の位置に回転自在に接続されている。そして、連結アーム36a,36bは、前記アーム部材32の作用端、すなわち支持軸46の並び方向に対して平行に配置されている。さらに、支持部38a,38bと揺動軸Aが直線上に配置されている。このように、アーム部材32、連結アーム36a,36b、支持部38a,38b、揺動軸Aを配置することにより、シャフト22の回転制御を行うのみで、正確かつスムーズなアーム部材32の逆進退動作及び振動子ユニット12の揺動動作を行うことができる。
【0030】
このように、本実施形態では、振動子ユニット12の両端部をアーム部材32で進退駆動するので、振動子ユニット12の近傍、特に振動子ユニット12の中央部を比較的シンプルな構造にすることができる。その結果、振動子ユニット12の略中央から引き出される信号線群28の配置を余裕をもって行うことが可能になる。
【0031】
周知のように、振動子アレイ12aは複数の超音波振動子を配列して構成しているため、図4に示すように、その配列数に応じた大量の信号線28aが信号線群28として引き出される。この信号線群28は、振動子ユニット12の揺動と共に連れ動きするため、ある程度自由に動けるようにたるみを持たせて、かつ極力他部品と干渉しないように配置する必要がある。本実施形態において、図2(a),(b)から明らかなように、アーム部材32、連結アーム36a,36b等は、平板形状の部材で形成することができる。そのため、図2(b)に示すように、先端部14の内部において、アーム部材32、連結アーム36a,36b等を偏った配置、例えば先端部14の長手方向軸を挟んで下側に集中的に配置することができる。すなわち、振動子ユニット12を揺動させるための機構部品を収納する機構収納空間と信号線群28を収納する信号線収納空間とを容易に区分け形成することができる。その結果、信号線群28を他部品と干渉しないように、かつスムーズに振動子ユニット12の揺動に追従して動けるように配置することができる。また、超音波探触子10の組み立て時の信号線群28の配置を効率的かつ機構部材と干渉しないように安全に行うことが可能になる。
【0032】
また、図5に示すように、本実施形態において、信号線群28を構成する各信号線28aは、伸長方向Qと直交する方向に配置された複数の横糸54によって編み込み加工されることにより束ねられている。この横糸54は、柔軟かつ所定の強度を有し、変質等を起こさない材質であれば任意であり、例えばナイロン等が使用可能である。このように、複数の信号線28aを横糸54で編み込むことにより信号線28aの柔軟性を維持したまま、信号線28aがバラバラになることを容易に防止できる。なお、横糸54による編み込みの密度は、信号線群28の形状が維持できれば十分であり、編み込みピッチ(図5は信号線28aを1本おきに編み込んでいる)や横糸54の間隔は任意である。編み込みを疎にすれば信号線群28の柔軟性をより向上することができるし、密にすれば、信号線群28全体のまとまりを向上させ、さらに強度を向上することができる。
【0033】
ところで、本実施形態のように、先端部14の内部で振動子アレイ12aを揺動させる場合、先端部14に設けられた超音波透過部(音響膜)14a(図2(a)参照)と振動子アレイ12aとの相対的な位置関係が常に変化する。相対的な位置が変化する場合、振動子アレイ12aが固定、すなわち超音波透過部14aと振動子アレイ12aとの相対的な位置関係が常に一定の場合に比べ超音波の送受条件が変化するので超音波の屈折が生じやすい。そこで、本実施形態においては、図6に示すように、先端部14の先端に形成される超音波透過部14aが超音波ユニット12の揺動軸A上の点を曲率中心とする曲面形状に成るように構成している。すなわち、超音波透過部14aの内面14a1の曲率中心及び超音波透過部14aの外面14a2の曲率中心がいずれも揺動軸A上の点に一致するように構成されている。その結果、振動子ユニット12が揺動して、いずれの位置で超音波の送受信を行おうとも常に超音波は、超音波透過部14aに対して略垂直に入射し、超音波の屈折が低減する。その結果、良好な超音波信号の送受信を行うことが可能になり、超音波診断装置側で形成される超音波画像の品質を向上することができる。なお、振動子ユニット12上に超音波振動子を配列する場合にも、その配列を前記超音波透過部14aを形成する時と同じ曲率中心で定義される曲面上に配列、すなわち、曲率中心から等距離の曲面上に配列することにより、振超音波振動子と超音波透過部14aとの相対的な位置関係は、全ての部分で一致するようになり、さらに、超音波の入射の垂直性を向上し、超音波の屈折を排除し、安定した超音波信号の送受信を行うことが可能になる。その結果、超音波診断装置側において、更に高品質の超音波画像を形成することが可能になる。
【0034】
なお、本実施形態においては、経膣用や経直腸用等のように超音波探触子10の挿入方向正面に対して超音波の送受信を行う構造を例に取り説明したが、アーム部材32と振動子ユニット12の接続方向を変化させれば、挿入方向と異なる方向で超音波の送受信を行う超音波探触子、例えば経食道用等にも本実施形態と同様な構造が適用可能であり、同様の効果を得ることができる。また、本実施形態においては、連結アームを2本用いる例を示しているが、複数であればよく、本数が多い方が安定したアーム部材の平行進退を行うことが可能になる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、アーム部材が超音波振動子の両端に配置され、そのアーム部材を進退動作させることにより超音波振動子の揺動を行うので、振動子ケース内、特に超音波振動子の近傍をシンプルな構造にしつつ、超音波振動子の揺動をスムーズに行うことができる。
【0036】
また、超音波振動子の表面である超音波透過部を超音波振動子の揺動軸上の点を曲率中心とした曲面に沿って形成することにより、超音波振動子が揺動しても超音波振動子の超音波送受方向が超音波透過部と常に直角にすることができるので、超音波の屈折を排除し安定した超音波の送受信を行うことが可能になり、高品質の超音波画像を合成する超音波エコーデータを得ることができる。
【0037】
さらに、前記超音波振動子から引き出される信号線をその伸長方向と直交する方向に配置される横糸により編み込み加工することにより、超音波振動子が揺動する場合でも、信号線群の柔軟性を維持することが可能になる。その結果、信号線群が超音波振動子の揺動に対する抵抗に成らず、超音波振動子の揺動を阻害しないので、安定した超音波の送受信を行うことが可能になり、高品質の超音波画像を合成する超音波エコーデータを得ることができる。また、各信号線はバラバラに成らないので、全体的な強度が増し耐久性が向上する。更に、配線時等の取り扱いが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る超音波探触子の全体構造を説明する概略的な説明図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る超音波探触子の先端部の詳細構成を説明する説明図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る超音波探触子の揺動動作を説明する説明図である。
【図4】 本発明の実施形態に係る超音波探触子の振動子ユニットから引き出される信号線群を説明する説明図である。
【図5】 本発明の実施形態に係る超音波探触子の振動子ユニットの編み込み加工された信号線群を説明する説明図である。
【図6】 本発明の実施形態に係る超音波探触子の振動子ユニットと超音波透過部との関係を説明する説明図である。
【図7】 従来の体腔内挿入型の超音波探触子の構成を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 超音波探触子、12 振動子ユニット、14 先端部、16 挿入部、18 把持部、20 振動子ケース、22 シャフト、24 カップリング、26 モータ、28 信号線群、30 シャフトカバー、32 アーム部材、34平行進退機構、36a,36b 連結アーム。

Claims (7)

  1. 体腔内に挿入される振動子ケースと、
    前記振動子ケース内に設けられ超音波の送受信を行う超音波振動子と、
    一端に作用端を有する一対のアーム部材であって、前記作用端が前記超音波振動子の両端に対して回転可能に係合する一対のアーム部材と、
    前記アーム部材を平行に進退させ前記超音波振動子を揺動軸を回動中心として揺動させる振動子ケース内に配置される平行進退機構と、
    を含み、
    前記平行進退機構は、
    前記一対のアーム部材に両端が回転自在に連結され、前記一対の作用端の並び方向に対して平行に配置される複数の連結アームと、
    前記各連結アームの中央部を回転自在に支持する支持部と、
    前記各連結アームを前記支持部を中心に回転させることにより、一対のアーム部材に対して進退力を伝達する駆動部と、
    を含むことを特徴とする超音波探触子。
  2. 請求項1記載の超音波探触子において、
    前記振動子ケースは内部に、前記アーム部材と平行進退機構を収納する機構収納空間と、前記超音波振動子から引き出される信号線群を収納する信号線収納空間と、を区分け形成することを特徴とする超音波探触子。
  3. 請求項1または請求項2記載の超音波探触子において、
    前記各アーム部材の作用端を含む作用軸と前記超音波振動子の揺動軸とは同一平面上に平行配列されることを特徴とする超音波探触子。
  4. 体腔内に挿入される振動子ケースと、
    前記振動子ケース内に設けられた揺動軸を回動中心として揺動しながら超音波の送受信を行う超音波振動子と、
    前記振動子ケースの挿入先端部に形成され、前記揺動軸上の点を曲率中心とする曲面形状の超音波透過部と、
    を含み、
    前記超音波振動子は、複数の振動素子で構成され、各振動素子は前記曲率中心から等距離の曲面上に配列されていることを特徴とする超音波探触子。
  5. 請求項1から請求項3のいずれかに記載に超音波探触子において、
    前記振動子ケースの挿入先端部は、前記揺動軸上の点を曲率中心とする曲面形状の超音波透過部を含むことを特徴とする超音波探触子。
  6. 請求項記載の超音波探触子において、
    前記超音波振動子は、複数の振動素子で構成され、各振動素子は前記曲率中心から等距離に配列されていることを特徴とする超音波探触子。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の超音波探触子において、
    前記超音波振動子から引き出される信号線として、当該信号線の伸長方向と直交する方向に配置される横糸により編み込み加工し形成された信号線群を用いることを特徴とする超音波探触子。
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