JP3699759B2 - 情報記録媒体の再生装置・再生方法 - Google Patents
情報記録媒体の再生装置・再生方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3699759B2 JP3699759B2 JP32486495A JP32486495A JP3699759B2 JP 3699759 B2 JP3699759 B2 JP 3699759B2 JP 32486495 A JP32486495 A JP 32486495A JP 32486495 A JP32486495 A JP 32486495A JP 3699759 B2 JP3699759 B2 JP 3699759B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- probe
- information
- information recording
- probes
- recording medium
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
- B82Y10/00—Nanotechnology for information processing, storage or transmission, e.g. quantum computing or single electron logic
-
- G—PHYSICS
- G11—INFORMATION STORAGE
- G11B—INFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
- G11B11/00—Recording on or reproducing from the same record carrier wherein for these two operations the methods are covered by different main groups of groups G11B3/00 - G11B7/00 or by different subgroups of group G11B9/00; Record carriers therefor
- G11B11/002—Recording on or reproducing from the same record carrier wherein for these two operations the methods are covered by different main groups of groups G11B3/00 - G11B7/00 or by different subgroups of group G11B9/00; Record carriers therefor using recording by perturbation of the physical or electrical structure
- G11B11/007—Recording on or reproducing from the same record carrier wherein for these two operations the methods are covered by different main groups of groups G11B3/00 - G11B7/00 or by different subgroups of group G11B9/00; Record carriers therefor using recording by perturbation of the physical or electrical structure with reproducing by means directly associated with the tip of a microscopic electrical probe as defined in G11B9/14
-
- G—PHYSICS
- G11—INFORMATION STORAGE
- G11B—INFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
- G11B9/00—Recording or reproducing using a method not covered by one of the main groups G11B3/00 - G11B7/00; Record carriers therefor
- G11B9/12—Recording or reproducing using a method not covered by one of the main groups G11B3/00 - G11B7/00; Record carriers therefor using near-field interactions; Record carriers therefor
- G11B9/14—Recording or reproducing using a method not covered by one of the main groups G11B3/00 - G11B7/00; Record carriers therefor using near-field interactions; Record carriers therefor using microscopic probe means, i.e. recording or reproducing by means directly associated with the tip of a microscopic electrical probe as used in Scanning Tunneling Microscopy [STM] or Atomic Force Microscopy [AFM] for inducing physical or electrical perturbations in a recording medium; Record carriers or media specially adapted for such transducing of information
- G11B9/1418—Disposition or mounting of heads or record carriers
- G11B9/1427—Disposition or mounting of heads or record carriers with provision for moving the heads or record carriers relatively to each other or for access to indexed parts without effectively imparting a relative movement
- G11B9/1436—Disposition or mounting of heads or record carriers with provision for moving the heads or record carriers relatively to each other or for access to indexed parts without effectively imparting a relative movement with provision for moving the heads or record carriers relatively to each other
- G11B9/1454—Positioning the head or record carrier into or out of operative position or across information tracks; Alignment of the head relative to the surface of the record carrier
-
- G—PHYSICS
- G11—INFORMATION STORAGE
- G11B—INFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
- G11B9/00—Recording or reproducing using a method not covered by one of the main groups G11B3/00 - G11B7/00; Record carriers therefor
- G11B9/12—Recording or reproducing using a method not covered by one of the main groups G11B3/00 - G11B7/00; Record carriers therefor using near-field interactions; Record carriers therefor
- G11B9/14—Recording or reproducing using a method not covered by one of the main groups G11B3/00 - G11B7/00; Record carriers therefor using near-field interactions; Record carriers therefor using microscopic probe means, i.e. recording or reproducing by means directly associated with the tip of a microscopic electrical probe as used in Scanning Tunneling Microscopy [STM] or Atomic Force Microscopy [AFM] for inducing physical or electrical perturbations in a recording medium; Record carriers or media specially adapted for such transducing of information
- G11B9/1463—Record carriers for recording or reproduction involving the use of microscopic probe means
- G11B9/1472—Record carriers for recording or reproduction involving the use of microscopic probe means characterised by the form
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Nanotechnology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Mathematical Physics (AREA)
- Theoretical Computer Science (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Optical Head (AREA)
- Micromachines (AREA)
- Optical Recording Or Reproduction (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体に光の回折限界を越えて超高密度に記録された情報を再生するための装置、方法、更にはこれらの装置、方法に適した情報記録媒体の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、レーザ光線の高い空間コヒーレンス性を利用して、該レーザ光を回折限界近くにまで集光したレーザスポットを用いて、情報の記録、再生を行う光ディスク装置が実用化されている。
これらの光ディスクにおける記録密度及び再生限界はレーザ波長でほぼ決定されてしまう。そのため、更なる記録媒体の大容量化の要求に応えるための超高密度記録化技術、及び超微小記録ピットの再生技術の研究が行われている。
このような次世代超高密度記録メモリーの1つとして、エバネッセント場におけるフォトンのトンネリング現象を用いて記録、再生する、いわゆるフォトン走査型トンネル顕微鏡(以下、PSTMという)を応用した光メモリーが提案されている。
【0003】
このPSTMについては、例えば文献( 日本物理学会誌Vol.48,No1,1993 p25)にて詳しく説明されている。図16にこのPSTMの原理を説明する図を示す。同図において、入射光600を基板608上の観察対象物体601の界面に対し、通常全反射(反射光603)を起こすような角度で入射させる。この時、観察対象物体601の界面近傍には該界面から離れるにしたがって指数関数的に光強度が減衰するエバネッセント場602が形成される。
観察対象物体601の界面が完全に平坦であるならば、全反射により発生するエバネッセント場602も平面内で均一となるが、観察対象物体601の界面に微小な凹凸、微小物体等が存在すると、形成されるエバネッセント場602もこれらの形状に応じて乱され、微小な凹凸あるいは微小物体の表面近傍にのみエバネッセント場602が局在する。そのため、光ファイバーや金属等で形成された先端の鋭いプローブ604をこの局在化したエバネッセント場602に近づけると、このエバネッセント場602が散乱されるため、その散乱光を、あるいは光ファイバーで散乱光を伝播光605に変換したものを検出器606で検出することにより、エバネッセント場602の強度が測定できる。このエバネッセント場602の乱れに応じた検出器606の出力を利用し、その出力が一定になるように前記プローブ604と観察対象物体601の距離を制御させ、プローブ604を観察対象物体601に対して走査、あるいは、プローブ604に対して観察対象物体601を移動させることにより、図17に示すように、観察対象物体601の表面形状に対応した出力607を得ることができる。
このPSTMの解像度は基本的にプローブ604の先端形状に依存するため、先端部の鋭さを向上させれば、エバネッセント場602はその形状に応じて局在化しているため、通常の光学的顕微鏡における光の回折限界を越える解像度を得ることが可能となる。
【0004】
上述のような超解像性を利用した超高密度光メモリーとしては、日本化学学会第65春季年会(1993)講演予稿集IIp287に報告されている。図18はこの光メモリーへの応用を示す原理図である。
同図において、記録及び再生のためのレーザ光700はプローブ701に適当な方法で入射されて該プローブ701中を導波され、鋭く尖った先端部では該先端部の三次元形状とほぼ同程度の拡がりを有するエバネッセント場702が形成される。
記録媒体703としては、透明基板704上にフォトクロミック材料を含む記録層705を形成したものが用いられ、前記プローブ701を記録層705に記録用のレーザ光の波長程度以下の距離まで近接させ、エバネッセント光により記録層705にフォトクロミック反応を起こさせる。記録層705にこのフォトクロミック反応を起こさせることにより、記録層705の透過率を変化させることで情報の記録が行われる。
【0005】
一方、情報の再生は、エバネッセント場702が透明基板704側へ透過する光706の強度を検出器707で検出することにより行われる。従って、プローブ701を透明基板704に対して相対的に走査することにより、記録情報を再生することができる。
このようなPSTMを利用した光メモリーでは、従来の光メモリーの記録密度を大幅に向上させることが可能である。
【0006】
また、微小プローブを用いて基板上の微小領域で光(磁気)化学反応を行わせることで記録を行い、更にその結果生じる局所的な光学特性の変化をNSOM(近視野走査型光学顕微鏡)を用いて再生する方法がいくつか知られている。例えば文献(Near-field magneto-optics and high density data storage,E.Betziget.al,Appl. Phys.Lett.61(2),13 July 1992 p142)には、NSOMで光磁気記録の高密度化を図る技術が記載されている。
この技術では、記録媒体として、高いファラデー効率を有するコバルト−白金積層膜を選択している。記録はアルゴンレーザ(488nm)を微小プローブを用い、コバルト−白金積層膜をキューリー点以上に加熱し、局所的に磁化を反転させることにより行われる。他方、読み出しはコバルト−白金積層膜にアルゴンレーザ(515nm)を照射し、透過光偏光面の傾きの二次元分布を検出することにより行われる。この方法での記録分解能は約100nm、再生分解能は約30〜50nmであり、45Gb/in2 の記録が達成されている。
【0007】
アゾベンゼン誘導体LB膜は、紫外光及び可視光で可逆的なシスートランス異性化反応を起こすため、フォトンモードによる高密度記録材料として注目されている。文献(Liu,Z.F.;Hashimoto,K.;Fujishima,A. Nature, 1990,347,658.) には、PSTMの材料としてアゾベンゼン誘導体を用いた高密度記録、再生技術が提案されている。この技術では、紫外アルゴンレーザ(350nm)の光を先端径約100nmのファイバーで形成されたプローブを用いて、光異性化反応を局所的に行っている。再生は、レーザ光強度を落とし、媒体を透過した透過光強度の変化を検出することにより行われている。
【0008】
これら提案されているシステムでは、データ転送速度は非常に遅いものと考えられ、また、再生においては透過光を利用しているため、基本的に記録部が未記録部と光学定数が異なっていることが必要で、そのため再生感度が悪いといった問題がある。
【0009】
ところで、PSTMを含め、プローブを利用したいわゆるプローブメモリーは、一般的に言ってプローブと記録層との距離を原子オーダーから数十nmオーダーという非常に両者近接させた状態で距離制御をしなければならない。
この距離制御は、物体の観測においては、プローブの物体との相対的走査速度が遅くてかまわないため、比較的容易に達成できる。しかしながら、情報記録媒体の記録、再生にあっては、記録密度とともに記録、再生のスピード(高速アクセス、高データ転送レート)が非常に重要であり、また、超高密度というプローブメモリーの特徴を活かすためには、音声、動画の再生を可能にすることが望まれる。そのためには高速でプローブ走査を行わせ、且つ、プローブと記録媒体間の距離制御を非常に正確に行わなければならない。
【0010】
これらの問題を解決する方法として、例えば文献(OPTICAL DATA STORAGE US-ING A SOLID IMMERSION LENS, MORIS'94 p123 )に記載の実験がある。この実験では、スポット径を高NAを実現するSILにより縮小し、高転送レートを達成するためにSILを浮上ヘッドに搭載している。この浮上したSILの表面に発生するエバネッセント場により、MOメディアの信号を再生し、SILを用いることで分解能が向上していることを実験により明らかにしている。
しかし、この実験では、エバネッセント場がSILの底面全反射により発生しているため、エバネッセント場が広域にわたり存在すること、及びMOメディアを用いて再生しているため、エバネッセント場が効率良くカップリングしないという問題を有している。
【0011】
その他、光を利用しないAFM(原子間力顕微鏡)やSTM(走査型トンネル顕微鏡)を用いたプローブメモリー、光を組み合わせたAFMプローブメモリーもいくつか提案されている。例えば文献(O plus E 1994 年10月 p48)には、相変化光ディスク材料を用いたテラビットメモリー方式が発表されている。
これはAFMを用いて、従来の相変化材料に現在の光ディスクの数千倍の記憶容量を可能にするものである。記録媒体として、相変化材料であるGeSbTe合金(厚さ20nm)を導電性基板上にスパッタリングしたものを用い、ディスク表面に微小な力(10~ 9N)でAFM探針(金被覆窒化ケイ素)を接触させて3Vのパルス電圧を印加する。これにより、探針先端で発生するジュール熱で相変化材料が局所的に結晶化し、ディスクの表面形状を変化させることなくΦ約10nmの微細領域の抵抗値を100倍以上(1011Ω〜109 Ω以下)に変化させることができる。
再生は、探針に約0.5Vの電圧を印加し、ディスク面の抵抗値を読み出すことにより行われる。この再生方式では、従来AFM方式においては情報を凹凸で記録していたのに対し、記録面は平坦である。従って、従来の記録面に探針を接触させて記録凹凸を再生する、AFMコンタクトレコーディングでは、再生スピードが探針の機械的共振周波数で制限されるのに対し、この方法では平坦記録面のため再生スピードを探針の機械的共振周波数以上に設定できる(高速データ転送速度化)。
しかし、この方法でも基本的にはAFMコンタクトレコーディングであるため、探針の摩擦、振動のため再生スピード、アクセス速度は制限され、また記録面を傷付けるといった問題がある。
【0012】
その他、関連する技術としては以下のものが知られている。
▲1▼特開平7−21564号公報(フォトン走査型トンネル顕微鏡を利用したメモリーにおいて、波長の異なる2つのエバネッセント場を用いることで、記録層とプローブとの距離を高精度に制御するもの)
▲2▼特開平6−331805号公報(透光性材料からなるほぼ円錐形の突起と、突起の先端部分を除いて突起の円錐面に反射膜を有する光プローブ素子、及び光プローブ素子の製造方法に関するもの)
▲3▼特開平4−14620号公報(情報再生時に再生レーザ光照射面で表面プラズモンを励起し、ピット部と非ピット部の反射率差を利用して再生するもの)
▲4▼特開平6−139620号公報(少なくとも記録再生層と加熱層を有し、記録再生層に熱記録する媒体であって、熱の発生源として加熱層に励起される表面プラズモン共鳴現象を利用したもの)
▲5▼特開平6−139647号公報(エバネッセント波と面外方向の位置情報を記録単位とする記録層との相互作用を用いた情報記録再生方法。記録再生は反射率変化を検出することにより行われる。)
▲6▼特開平6−223419号公報(プローブを用いて、金属酸化物に含まれる酸素量を制御し、金属酸化物中の酸素量の大小の状態を利用して記憶するもの)
▲7▼特開平6−267071号公報(エバネッセント光を記録、再生、消去光源とし、記録媒体として熱不可逆性を有するフォトクロミック材料を用いたもの)
【0013】
また、以上の単一プローブ走査形態に対し、マルチプローブを用いる、いわゆる走査型多機能顕微鏡(SXM)も提案されている。
これは物理量のベクトルを同時に測定するもので、n個の物理量のうち1つが一定となるようにフィードバックをかけてプローブの走査を行うもので、検出された物理量の分離は、周波数ドメインか時間軸上で行われる。例えば文献(C.S-chonenberger,S.F.ALvarado,S.E.Lambert,and I.L.Sanders:“Separation of m-agnetic and topographic effects in force microscopy ”,J.Appl.Phys.67(12),pp7278〜7280(1990))には、MFMにクーロン力測定の機能を付加し、磁気的な情報とクーロン力によって得られる表面形状を周波数ドメインで分離する技術が発表されている。
【0014】
また、文献(O.Watanuki,F.Sai,and K.Sueoka: “Magnetic-force-sensing STM : novel application of STM for simultaneous measurement of topographyand field gradient of magnetic recording heads”,Ultramicroscopy 42-44, pp315 〜320(1992) )には、磁気ヘッドの表面形状と磁気力を同時に測定することが可能な磁気力検出型STMが発表されている。この報告では、図19に示すように、薄膜ヘッド800に数10kHz程度の交流を流すことでヘッドの磁気に交流磁界を発生させ、ヘッドの表面をカンチレバー付きのFeプローブ802で走査すると、Feプローブ802が振動し、トンネル電流がIt が励振される。振幅が小さい場合は、磁気力はトンネル電流It の交流成分をロックインアンプで抽出した信号の線形関数で表される。また、ローパスフィルターで交流成分をカットしたトンネル電流は通常のSTMの動作に利用され、磁気力に対応した表面形状の測定に利用される。このように2つの物理量は周波数ドメインで分離され、且つ同時に検出される。
この走査型多機能顕微鏡(SXM)を利用したものを含め、従来から提案されているマルチプローブを用いた再生は、おのおののプローブが個別に独立した情報記録部を再生する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、プローブを利用した高密度メモリーでは、記録媒体とプローブを両者の相互作用が生じる領域にまで近接させなければならないため、情報記録媒体として要求されるような再生速度で、しかも現有の記録媒体とプローブの位置制御手段を利用する限り、一般に再生感度が悪くなる。図9(b)に示すように、1つの記録部に対して1つのプローブを用いる従来方式では、再生信号の検出感度は波形バラツキが大きく、悪い。また、4分割フォトディテクターのラジアル方向の反射光量が同じになるようにフィードバックをかけてはいるものの、同図からうまくトラッキングがかかっていないのが判る。
このような再生感度の問題は、再生時のデータ転送速度の低下をもたらすため、プローブメモリーのキーポイントともなっている。
【0016】
また、この種のプローブメモリーでは、プローブと記録部との距離を原子オーダーから数十nmオーダーという非常に両者を近接させた状態で距離制御をしなければならないため、制御回路が極めて複雑になり、価格高騰や信頼性の問題等をもはらんでいる。
また、記録、再生時には所定の場所にプローブを正確に位置させるためのトラッキング手段が必要となるが、現在までに具体的且つ実用的なトラッキング手段の提案はなされていない。
【0017】
すなわち、これまでの情報記録媒体の記録密度を大幅に向上させるプローブを利用したプローブメモリーの技術思想が現実に具体化されてはいるものの、従来技術においては再生感度が悪いためにデータ転送速度を向上させることができず、プローブメモリー本来の特徴を十分に活かせないレベルにあった。
一方、マルチプローブ方式においても、各プローブはそれぞれ別個独立の記録部に対応するものであるから、個々にみれば上記単一プローブ方式が抱える問題をそのまま抱えることになる。
【0018】
本発明は、これまでの情報記録媒体の記録密度を大幅に向上させるプローブを利用したメモリーにおいて、プローブと記録媒体との間の相互作用を高め、よって再生感度の向上を図ることができるとともにデータ転送速度の向上を図ることができる情報記録媒体の再生装置並びに再生方法の提供を、その目的とする。
また、本発明は、これまでの情報記録媒体の記録密度を大幅に向上させるプローブを利用したメモリーにおいて、プローブと記録媒体との間隔を複雑な制御系を用いることなく数十から数百nmで制御し、且つプローブと記録媒体との間の相互作用を高め、よって再生感度の向上を図るとともにデータ転送速度の向上を図ることができる情報記録媒体の再生装置並びに再生方法の提供を、その目的とする。
また、本発明は、これまでの情報記録媒体の記録密度を大幅に向上させるプローブを利用したメモリーにおいて、プローブと記録媒体との間の相互作用を高め、よって再生感度の向上を図るとともにデータ転送速度の向上を図ることを可能にするトラッキング手段を有する情報記録媒体の再生装置並びに再生方法の提供を、その目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1つの記録部に1つのプローブを対応させ、これが故にもたらされる再生感度の上限の低さを認容しつつ再生感度の不安定性を複雑な距離制御回路でカバーする、という上記各従来技術の思想に対し、再生感度を左右する根本的原因である「プローブと記録媒体との間の相互作用の変化量」自体を大きくすれば再生感度の向上が得られ、これを基にプローブの走査速度の高速化並びにトラッキング精度の向上をも容易に図ることができる、という考えに基づいている。
すなわち、本発明は、プローブメモリーの特徴を最大限に活かすべく、従来技術の動向とは全く異なった観点から再生感度向上へのアプローチを狙ったものである。
具体的には、請求項1記載の発明では、プローブを走査させることにより情報記録媒体の再生を行う装置において、前記情報記録媒体の情報記録面に形成された1つの記録部に対して、同時に該記録部と相互作用可能な範囲に複数のプローブを配置させる手段と、上記記録部と複数のプローブ間の相互作用変化を検出する手段と、該相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得る手段とを備えている、という構成を採っている。
【0020】
請求項2記載の発明では、プローブを走査させることにより情報記録媒体の再生を行う装置において、情報記録媒体を回転させる手段と、前記情報記録媒体の情報記録面に形成された1つの記録部に対して同時に該記録部と相互作用可能な範囲に複数のプローブを配置させる手段と、該複数プローブを情報記録媒体の回転力により一定距離浮上させる手段と、上記記録部と複数のプローブ間の相互作用変化を検出する手段と、該相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得る手段とを備えている、という構成を採っている。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の構成において、上記記録部と複数プローブ間の相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得ると同時に該記録部と複数プローブ間の相互作用変化の複数情報をもとにトラッキングを行う制御手段を備えている、という構成を採っている。
【0021】
請求項4記載の発明では、プローブを走査させることにより情報記録媒体の再生を行う方法において、前記情報記録媒体の情報記録面に形成された1つの記録部に対して、同時に該記録部と相互作用可能な範囲に複数のプローブを配置させ、上記記録部と複数のプローブ間の相互作用変化をそれぞれ個別に検出し、該相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得る、という手順を採っている。
請求項5記載の発明では、プローブを走査させることにより情報記録媒体の再生を行う方法において、前記情報記録媒体の情報記録面に形成された1つの記録部に対して同時に該記録部と相互作用可能な範囲に複数のプローブを配置させ、該複数プローブを情報記録媒体の回転力により一定距離浮上させ、上記記録部と複数のプローブ間の相互作用変化をそれぞれ個別に検出し、該相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得る、という手順を採っている。
請求項6記載の発明では、請求項4又は5記載の方法において、上記記録部と複数プローブ間の相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得ると同時に、該記録部と複数プローブ間の相互作用変化の複数情報をもとにトラッキングを行う、という手順を採っている。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図11に基づいて説明する。
図1に本発明の再生装置及び再生方法の原理図を示す。この例で示す再生装置200は、1つの記録部109に対して複数のプローブ203を相互作用可能な範囲に同時に配置させる手段208と、図示しないレーザ光照射手段と、情報記録媒体113を回転させる手段111と、記録部109と各プローブ203との間の相互作用変化を検出する手段としての複数のフォトディテクター205と、相互作用変化の複数情報をもとに1つの記録部109の総和再生信号を出力する制御手段207とから概略構成されている。
【0023】
手段208は、3つのプローブ203が取付けられたスライダ202と、このスライダ202を支持する支持機構209と、この支持機構209を介してプローブ203とスライダ202とから構成されるヘッド部210を情報記録媒体113に対して位置調整するヘッド粗動・微動機構206とから構成されている。ヘッド粗動・微動機構206は、図2に示すように、ヘッド部210をトラッキング方向に粗動調整するもので、磁気ディスクで利用されているボイスコイルモータを採用している。図面上明示しないが、ヘッド粗動・微動機構206は実質的には粗動調整のみを行い、微動調整は、支持機構209又はスライダ202又はプローブ203に組み込まれたピエゾ素子等の微動アクチュエータ又はマイクロマシン技術に係るマイクロアクチュエータ等によって行われるようになっている。微動アクチュエータの設置位置は、ヘッド単位(究極的にはプローブ単位)の微調整を高精度に行う観点から、できるだけプローブ203に近い方が望ましい。この粗動・微動調整は、制御手段207からの動作信号の出力を受けてなされる。
【0024】
本実施例における再生装置2はコンタクト再生方式を採用しており、各プローブ203は、図3(a)に示すように、情報記録媒体113の記録面に一定の荷重で接触している(但し、図1では構成を明確にするために離間させている)。また、図5に示すように、各プローブ203は走査方向Sに対して略直角に並設されている。
各プローブ203は、図3(a)に示すように、取付部203aと、反射面部203bと、この反射面部203bから下方に略直角に曲げられた接触部203cとからから構成されており、取付部203aをもってスライダ202の下面に取付けられている。各プローブ203は非常に弱い力(原子間力等)で機械的に撓むように設定されており、従って、スライダ202に個別に取付けられた各プローブ203はおのおの独立した撓み変形を呈するようになっている。
【0025】
図示しないレーザ光照射手段から照射された再生レーザ光201は、図5に示すように、各プローブ203の反射面部203b上にスポット光として同時に照射され、反射光204を発生させる。
各プローブ203は、図3(b),図4(b)に示すように、情報記録媒体113の記録部109に対応した場合、それぞれ独立に相互作用(機械的撓み変形)を起こし、反射光204の反射光量及び反射角度を変化させる。この変化を2分割以上の分割を有するフォトディテクター205で検出することで、各プローブ203の動きを知ることができる。
【0026】
各フォトディテクター205の検出値は、制御手段207により全反射光量の総和として算出され、1つの記録部109の再生信号として出力される。
本実施例では、同一素材の同一なプローブ203を3つ走査方向に対して直角方向に配置したが、図11に示すように、M,Nの配置態様でも良い(但し、Nはあまり好ましくない)。また、プローブ203の特性はそれぞれ異なっても良く、場合によっては3つのプローブ203の特性を変えた方が再生感度、トラッキング精度(後述)の点で有利になる。本実施例では、コンタクトタイプ(接触型)のAFMを再生方法に選び、スライダ202の自重を増やすことで、及びスライダ202に生じる負圧を利用すること、プローブ203の大きさを適当にすることにより、情報記録媒体113の回転によってもある一定の荷重で各プローブ203が情報記録面と接触するようにしている。すなわち、スライダ202は各プローブ203を情報記録媒体113の回転により一定距離浮上させる手段としての機能をも有する。
【0027】
一方、情報記録媒体113は、図6に示すように、直径約100nmのアクリル球105を水中に分散させ、アルコールで適当に希釈し、ディスク状ガラス基板104上に塗布し(b)、溶媒を蒸発させることでアクリル球105を均一に1層だけ分散させ、その上から金106を蒸着することで記録部109を形成したものを利用している(c)。図1に示すように、情報記録媒体113は、回転手段としてのターンテーブル111に乗せられ、図示しないモータによって回転する。
情報記録媒体113が回転すると、スライダ202は情報記録面と所定の距離301(図1)を保って浮上し、各プローブ203は一定の荷重で情報記録面を走査する。
【0028】
プローブメモリーにおける情報の再生は、上述の通り、記録部109とプローブ203との間における何らかの相互作用変化を検出することにより行われるが、本実施例では1つの記録部109と相互作用可能な範囲に複数のプローブ203が配置されているため、1つの記録部109における相互作用変化量が従来に比べて大きくなり、この結果S/N比が高まり、情報再生が正確になる。これによって、データ転送速度の向上が図れる。
【0029】
本実施例では、各プローブ203が個別に情報を検出し、全ての変化量を加味するすることで1つの情報記録部の情報を再生するところに特徴があるが、勿論、1つのプローブ203に走査型多機能顕微鏡(SXM)のような多機能性が付加されていても何ら問題はない。
また、各プローブ203は、同一材料、同一形状である必要はなく、また記録部109とプローブ203の間隔も同一である必要はない。更に、各プローブ203は、検出する記録部109との相互作用力の種類も同一である必要はない。これは例えば、記録面と接触して再生する方式と、記録面と非接触で再生する方式とが混在していても良いということである。具体的には、原子間力、トンネル電流、磁気力、静電力、クーロン力、剪断力、摩擦力、フォトントンネリング等によるプローブと情報記録部との相互作用を組み合わせるものである。勿論、複数プローブの情報記録部との相互作用の種別は重複しても良く、全て同一であっても良い。
【0030】
図12乃至図15はプローブ203の変形例及びその光反射状態を示したものである。図12に示す例は、略コ字形の取付基板211に3つのプローブ203を一体に形成したものであり、図14に示す例は、略V字形の取付基板212に3つのプローブ203を一体に形成したものである。両例とも上記例に比べてプローブ203の取扱い性の向上、スライダ202に対する取付作業の効率向上を図れる。
【0031】
本実施例におけるプローブ形態は、他にはSTM,AFM等で用いられるものがそのまま利用可能である。好ましくは、プローブと情報記録部間距離を大きくすることができるように、すなわちスライダ202の浮上量が大きくてもプローブと情報記録部が相互作用するような力、方式を選択することが必要である。接触型の場合は浮上部材は用いなくても、用いても良いが、複数プローブのうちいくつかは非接触型プローブを用いるときは、接触型プローブも浮上部材に搭載した方がプローブチップを作成するうえで都合が良い。
プローブは、針状のものであることは勿論、微小な開口であったり、微小な突起であっても構わない。
【0032】
非接触型で比較的プローブと情報記録部間の距離を大きくすることができる方法として、プローブからしみだすエバネッセント場、あるいは情報記録部からしみだすエバネッセント場等を利用するいわゆるフォトンSTMがある。このエバネッセント場を利用するためのプローブとしては、微小開口または微小突起が使用される。具体的には、浮上部材の情報記録部対向側に存在する微小開口又は微小突起は、その開口の大きさ又は突起の先端径、あるいは突起の先端曲率半径が再生光の波長λに対してλ/500〜λ/10程度が好ましい。
微小開口の作製法は、レーザ光を利用した加工や、単に機械的な方法による加工等、どんな方法を用いてもよい。再生レーザ光は、この微小開口にダイレクトに照射してもよいし、途中に光ファイバー、光導波路を介して照射しても良い。
【0033】
他方、微小突起は、スライダ202の材料自身に設けても良いし、別途製作した微小突起をスライダ202に付着させても良い。微小突起は例えばフィラメント加熱式プラー(puller)を用いて2段引きガラスマイクロピペットにアルミニウムを蒸着被覆する方法(A.Lewis and K.Lieberman : Anal.Chem.,63(1991)625A-638A) 、あるいは石英ロッド、シングルモード石英光ファイバーの先端を鋭利に研磨してアルミニウムを蒸着被覆後、ピンホールを開口させる方法、シングルモード光ファイバーをCO2 レーザ加熱式マイクロピペットプラーで加工し、アルミニウムを被覆する方法、あるいは光ファイバーの一端を化学エッチングにより先鋭化し、先端部を選択的に金属で被覆する方法(大津フォトン制御プロジェクト研究報告書 平成5年度)等により作製できる。これらの方法で作製された微小突起は、光ファイバー、石英ロッド、マイクロピペットに光を導波させることでエバネッセント場を発生させることができる。
更に、スライダ202面に微結晶を圧着、接着させたり、適当な材料、例えばポリスチレンラテックス球を圧着、接着させる(片岡ら:精密工学会誌Vol.60,No8,1994 p1122)ことでも微小突起としての機能は十分である。但しこれらの方法の場合、光はスライダ202面で全反射させることが必要になるため、全反射が生じるような材料面の形成、及びレーザ入射角を選択しなければならない。
【0034】
上述のように、複数のプローブ203と情報記録部との間の相互作用を大きくすることが本実施例の特徴であるが、そのために情報の記録は、記録材料の非形状変化的なものより、表面形状変化を伴った記録が特に好ましい。但し、物理的形状変化に他の化学的変化等が加わっていても良い。
情報記録部における凸部形成方法としては、上記記録部109の形成方法の他に、例えばAFMを利用したクラスター蒸着法を用いることができる。これは、図7に示すように、例えばSi基板401のSiO2 記録層402上に、金蒸着したカンチレバー403から金クラスター404を電界蒸着するもので、例えばΦ10〜20nm、高さ数nmの記録部405(Auドット)を形成することができる。
更に他の例としては、熱刺激により形状記憶現象を示す形状記憶樹脂を用いたタイプが挙げられる。これは形状記憶樹脂がその弾性率が急激に変化する温度以上に加熱されると、樹脂が膨張して凸状の隆起が形成される現象を利用するものである。この形状記憶樹脂としては、ポリノルボルネン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリウレタン等が挙げられる。以上の方法により所望の記録部を形成することができるが、本実施例で使用できる記録部109を形成する方法は、これらの方法に限定されるものではない。
【0035】
次に、本実施例における浮上部材としてのスライダ202について説明する。
スライダ202により、複数のプローブ203を情報記録媒体113に対して一定距離浮上させることにより、複数のプローブ203と情報記録部との間隔を複雑な制御回路を用いることなく制御することができる。
スライダ202は、情報記録部が化学的変化等による物理的形状変化を伴わない場合、複数のプローブ203と接する情報記録媒体113表面の凹凸周波数に追従することが好ましい。他方、情報記録部が物理的形状変化を伴う場合は、スライダ202が、情報記録面自身(未記録部)の凹凸周波数には追従するが、情報記録部の物理的形状変化には追従しないようにすることが好ましい。
このように、スライダ202が情報記録部の凹凸周波数よりも低周波数の情報記録面のうねりに対して追従するようにしたので、物理的形状変化を伴う情報記録部にスライダ202が反応するのを防ぎ、また、情報記録面のうねりに対し、複数のプローブ203が常に追従することで複数のプローブ203と情報記録部との間隔が一定に保たれ、安定で正確な情報再生が行える。
【0036】
スライダ202は、従来ハードディスクに用いられているスライダをそのまま利用することができる。浮上ヘッドとしては、微小開口、または微小突起等、すなわちプローブと情報記録部との間で効率良く相互作用が生じるように、できるだけ少ない浮上量を保つことが必要がある。具体的には、浮上量として、〜300nmが好ましい。下限は極限的には〜0nmであるが、現実的には数十〜100nmの範囲が好ましい。この〜10nmという距離は、スライダ202面と情報記録面との距離で達成できなくても、微小開口、又は微小突起等のプローブを有する部材をスライダ202の情報記録面との対向面に配置させ、この微小開口又は微小突起等のプローブが情報記録面と〜10nmに近接すれば良い。この場合、微小突起等のプローブ203はスライダ202の浮上量や振動等の問題が生じなければ、情報記録面と接触しても構わない。また、この微小開口、又は微小突起等のプローブ203はスライダ202の大きさに比べ非常に微小に形成されることが好ましく、そのため、スライダ202の浮上量には殆ど影響を与えない。
【0037】
浮上機構は現有のものを転用、又は改良することで使用可能であるが、現在通常磁気ディスクで採用されているコンタクトスタートストップ方式(CSS方式:浮上ヘッドを情報記録面に接触させたまま装置の起動、停止を行う方式)をそのまま採用することは、プローブと情報記録面が100nmオーダーで離れていても十分な再生信号が得られる場合を除き、好ましくない。これは、スライダの低浮上化に伴うスライダの静止時における吸着、及び混合潤滑領域における摩擦摩耗の問題が生じるためである。特に、吸着はスライダ面が微小化すればするほど顕著になる。現在ではこの吸着現象緩和のために、平滑にした磁気ディスク表面にわざわざ粗さをつけるテクスチャリングが施されている。この表面粗し方法は、本実施例においては記録部109のコントラストを低下させるものであるため、好ましいものではない。
従って、本実施例では、平滑記録面であっても吸着等の問題を低減するため、CCS方式ではなく、非接触に起動、停止する方式を利用することが好ましい。この非接触方式としては、セルフローディング型浮上ヘッドスライダ機構、スライダ昇降型ロード/アンロード機構、ランプロード型ロード/アンロード機構等が利用可能である。
【0038】
次に、1つの記録部に対するプローブのマルチ化によるトラッキングの精度向上の原理を図8に基づいて説明する。
例えば原子間力を検出する複数(3つ)のプローブ203が、記録部109に対して(A),(B),(C)の状態で位置する場合、各位置における複数プローブ203から検出される相互作用力は、それぞれ(a),(b),(c)となり、それぞれ出力波形が異なる。従って、各プローブ203から個別に検出される量から記録部109に対するプローブ203の位置を判定することができる。原子間力を利用するプローブでは、一般的にプローブのたわみをプローブに照射したレーザ光の反射量の変化、あるいは反射角度の変化を2分割、4分割のフォトディテクターで検出するが、上記のように本実施例でもこの方法を利用した。この場合、それぞれのプローブ203に対するフォトディテクター205が必要であるが、レーザ光201は複数のプローブ203を同時に1つのレーザ光源で照射して構わない。
このようにすることで、左右のプローブ203の記録部109との相互作用によるたわみが同じになるように、すなわち、左右のプローブ203に対するフォトディテクター205の出力が同じになるように制御手段207によりフィードバックをかけ、ヘッド粗動・微動機構206を動作させることで、高精度なトラッキングが可能となるものである。この例では左右のプローブ203が同一材料、同一形状で、しかも情報記録面との距離が同じに設定されている場合であるが、それぞれの条件が異なる場合は、そのオフセット分を差し引くことで正確なトラッキングが行われる。
【0039】
トラッキングをかけないで走査した時には、3つのプローブ203による信号変動が同期して確認され、また、3つのプローブ203の信号が同時に検出された。これは、記録部109に対して、3つのプローブ203が同時に相互作用していることによるものと考えられる。トラッキング信号として、中央のプローブ203を除く左右のプローブ203の信号を用い、その左右の信号が同程度となるようにフィードバックをかけた。
この時の再生信号と、1つのプローブしか用いなかった場合(b)との比較を図9に示す。この結果からも明らかなように、1つの記録部109に対して複数のプローブ203を用いることで再生の感度が向上する(a)。また、再生感度の向上に伴って、正確なトラッキングが行えることが判る。
【0040】
以上の実施例では接触型のプローブを用いたが、更なる高速データ転送速度を達成するためには、ノンコンタクト方式が適しており、この場合は浮上部材の追従性を考慮する必要がある。そこで、情報記録面とプローブが約50nmで浮上するスライダに、前述の3つのプローブ203を配置して同様の実験を行った。この結果もコンタクト方式に比べて信号強度はかなり低下するものの、1つのプローブを用いる場合と比べて図9と同様な結果が得られた。但し、この場合、コンタクト方式と比べて、若干トラッキングが不安定となったが、これはプローブと情報記録面との間の相互作用力として原子間力を用いているためである。相互作用としてエバネッセント場等を選べば、プローブと情報記録面との間の相互作用を高めることができ、トラッキングも容易となる。
【0041】
図10は支持体501表面の記録部504の周波数よりも低周波数の凹凸、具体的には支持体501表面のうねりにスライダは追従するが、この場合支持体501表面自身に存在する微小な凹凸と記録部504とを区別できるようにした例である。
支持体501中の記録部504以上の高周波数の最大凸部502と支持体501中の記録部504以上の高周波数の最大凹部503との高低差(dmax +dmin )以上に記録部504の高さを設定している(d>dmax +dmin )。
【0042】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、1つの記録部に対するプローブをマルチ化し、それぞれのプローブの検出量を総和して1つの記録部の再生信号を得る方式としたので、
請求項1又は4記載の発明によれば、従来の情報記録媒体の記録密度を大幅に向上させるプローブメモリーにおいて、プローブと記録部との間の相互作用を高めることができ、これによってプローブメモリーの利点を最大限に引き出した状態で再生感度の向上並びにデータ転送速度の向上を図ることができる。
請求項2又は5記載の発明によれば、複数のプローブを情報記録媒体の回転力により一定距離浮上させる方式としたので、プローブと記録部との間隔を複雑な制御回路を用いることなく精度維持できるので、プローブメモリーの利点を最大限に引き出した状態で再生感度の向上並びにデータ転送速度の向上を図ることができることに加え、コスト低減並びに信頼性の向上を図ることができる。
請求項3又は6記載の発明によれば、記録部と複数のプローブ間の相互作用変化の複数情報をもとにトラッキングを行う方式としたので、プローブメモリーの利点を最大限に引き出した状態で再生感度の向上並びにデータ転送速度の向上を図ることができることに加え、トラッキングの精度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す再生装置の概要図である。
【図2】情報記録面に対するヘッド部の調整方向を示す概要平面図である。
【図3】プローブの取付状態並びに変形状態を示す要部側面図である。
【図4】プローブの取付状態並びに変形状態を示す要部斜視図である。
【図5】プローブの取付状態を示す要部平面図である。
【図6】情報記録媒体における記録部の作製方法を示す図である。
【図7】情報記録媒体における記録部の他の作製方法を示す図である。
【図8】記録部に対する複数のプローブの位置変化による相互作用力の変化を示す図である。
【図9】再生感度を示すグラフで、(a)は本実施例、(b)は従来例である。
【図10】記録部の高さの設定条件を示す図である。
【図11】走査方向に対するプローブの配置形態の変形例を示す図である。
【図12】プローブの形状の変形例を示す要部斜視図である。
【図13】同レーザ光反射状態を示す概要図である。
【図14】プローブの形状の他の変形例を示す要部斜視図である。
【図15】同レーザ光反射状態を示す概要図である。
【図16】従来のPSTMの原理を示す図である。
【図17】図16で示したPSTMによる出力を示す図である。
【図18】従来の光メモリーへの応用を示す原理図である。
【図19】従来の磁気力検出型STMの原理図である。
【符号の説明】
111 情報記録媒体を回転させる手段
113 情報記録媒体
119 記録部
202 スライダ(複数プローブを情報記録媒体の回転力により一定距離浮上させる手段)
203 プローブ
205 フォトディテクター(記録部と複数のプローブ間の相互作用変化を検出する手段)
208 1つの記録部と相互作用可能な範囲に複数のプローブを配置させる手段
207 制御手段
Claims (6)
- プローブを走査させることにより情報記録媒体の再生を行う装置において、
前記情報記録媒体の情報記録面に形成された1つの記録部に対して、同時に該記録部と相互作用可能な範囲に複数のプローブを配置させる手段と、上記記録部と複数のプローブ間の相互作用変化を検出する手段と、該相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得る手段とを備えていることを特徴とする情報記録媒体の再生装置。 - プローブを走査させることにより情報記録媒体の再生を行う装置において、
情報記録媒体を回転させる手段と、前記情報記録媒体の情報記録面に形成された1つの記録部に対して同時に該記録部と相互作用可能な範囲に複数のプローブを配置させる手段と、該複数プローブを情報記録媒体の回転力により一定距離浮上させる手段と、上記記録部と複数のプローブ間の相互作用変化を検出する手段と、該相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得る手段とを備えていることを特徴とする情報記録媒体の再生装置。 - 上記記録部と複数プローブ間の相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得ると同時に該記録部と複数プローブ間の相互作用変化の複数情報をもとにトラッキングを行う制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の情報記録媒体の再生装置。
- プローブを走査させることにより情報記録媒体の再生を行う方法において、
前記情報記録媒体の情報記録面に形成された1つの記録部に対して、同時に該記録部と相互作用可能な範囲に複数のプローブを配置させ、上記記録部と複数のプローブ間の相互作用変化をそれぞれ個別に検出し、該相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得ることを特徴とする情報記録媒体の再生方法。 - プローブを走査させることにより情報記録媒体の再生を行う方法において、
前記情報記録媒体の情報記録面に形成された1つの記録部に対して同時に該記録部と相互作用可能な範囲に複数のプローブを配置させ、該複数プローブを情報記録媒体の回転力により一定距離浮上させ、上記記録部と複数のプローブ間の相互作用変化をそれぞれ個別に検出し、該相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得ることを特徴とする情報記録媒体の再生方法。 - 上記記録部と複数プローブ間の相互作用変化の複数情報をもとに前記1つの記録部の再生信号を得ると同時に、該記録部と複数プローブ間の相互作用変化の複数情報をもとにトラッキングを行うことを特徴とする請求項4又は5記載の情報記録媒体の再生方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32486495A JP3699759B2 (ja) | 1995-12-13 | 1995-12-13 | 情報記録媒体の再生装置・再生方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32486495A JP3699759B2 (ja) | 1995-12-13 | 1995-12-13 | 情報記録媒体の再生装置・再生方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09161338A JPH09161338A (ja) | 1997-06-20 |
JP3699759B2 true JP3699759B2 (ja) | 2005-09-28 |
Family
ID=18170504
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32486495A Expired - Fee Related JP3699759B2 (ja) | 1995-12-13 | 1995-12-13 | 情報記録媒体の再生装置・再生方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3699759B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4020229B2 (ja) * | 1998-05-11 | 2007-12-12 | セイコーインスツル株式会社 | 近視野光学ヘッド |
JP4490978B2 (ja) * | 1998-08-12 | 2010-06-30 | 東京エレクトロン株式会社 | コンタクタ |
JP4157204B2 (ja) * | 1998-10-19 | 2008-10-01 | セイコーインスツル株式会社 | 情報再生装置、情報記録装置、情報再生方法および情報記録方法 |
-
1995
- 1995-12-13 JP JP32486495A patent/JP3699759B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09161338A (ja) | 1997-06-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Mamin et al. | High-density data storage based on the atomic force microscope | |
US6055220A (en) | Optical disk data storage system with improved solid immersion lens | |
CN1050433C (zh) | 光头装置和光盘存储系统 | |
Terris et al. | Near‐field optical data storage | |
US5598387A (en) | High-density optical data storage unit and method for writing and reading information | |
US5796706A (en) | Information recording apparatus | |
JP4060150B2 (ja) | マイクロ集積型近接場光記録ヘッド及びこれを利用した光記録装置 | |
EP0378444A2 (en) | Reproducing apparatus | |
KR100399052B1 (ko) | 다중 기능 근접 탐침을 이용한 고밀도 정보 기록 및 재생 장치 | |
JP4485012B2 (ja) | 光ヘッド | |
EP0549236A2 (en) | Optical disk storage system and head apparatus therefor | |
JP2002222550A (ja) | 光情報記憶装置及び光情報記憶方法 | |
US6479816B1 (en) | Near-field optical probe | |
JP3699759B2 (ja) | 情報記録媒体の再生装置・再生方法 | |
JP3574521B2 (ja) | 光情報記録媒体再生装置及び再生方法 | |
JPH0765428A (ja) | 熱磁気記録再生消去方法および装置 | |
Hosaka | SPM based storage | |
JPH11250460A (ja) | 情報記録及び/又は再生方法、並びに、情報記録及び/又は再生装置 | |
US6934240B2 (en) | Optical element, optical head and signal reproducing method | |
JP3005077B2 (ja) | 記録及び/又は再生方法及び装置 | |
JPH08315434A (ja) | 情報処理装置 | |
JPH10222885A (ja) | 情報記録再生装置 | |
JP2920915B2 (ja) | 記憶再生装置 | |
Esener et al. | Alternative Storage Technologies | |
JP3140933B2 (ja) | 記録再生装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050208 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050406 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050705 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050711 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090715 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090715 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100715 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110715 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120715 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120715 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130715 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |