JP3699538B2 - ガイドレール組合せ決定装置およびその方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エレベータ、鉄道、モノレール等において、移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するためのレール組み合わせ決定装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばエレベータ設備における乗りかごの昇降路は、長尺材からなる多数のガイドレールを組み合わせて構成される。一般に、エレベータの昇降路を構成するガイドレールは直線状でかつ同一寸法となっている。
【0003】
したがって、従来からエベレータ等で昇降路を構成するために多数のガイドレールを接続する場合には、個々のレール間の相互関係を全く考慮することなく、製作された多くのガイドレールの中から無作為に選択して組み合わせている。
【0004】
一方、最近ではビルの高層化が進んでおり、特に超高層ビルに備えられる超高速エレベータには、かごを超高速度で運転することが求められるようになってきた。
【0005】
しかし、エレベータを高速運転した場合、レールの組み合わせによってはかごに振動の発生する場合がある。
これは、個々のレールがそれぞれ固有の曲がり形状を持っていることに起因していると考えられ、レールの形状を考慮せずにレールを組み合わせた場合、かごに振動の原因となる横方向の力を作用させる組み合わせの成立する可能性があるためである。
【0006】
図19は従来技術でガイドレールを構成させたときの様子を示す図である。
同図に示すような組み合わせでガイドレールを据え付けたのでは、その昇降路を走行するかごに大きな振動の発生する恐れがある。また、エレベータの振動はその速度にほぼ比例して増大することが知られている。
【0007】
エレベータのかごに発生する振動を低減するためには、個々のガイドレールの曲がりを除去すれば解決するが、そのためには高い加工精度と品質管理が要求されるなど多くの問題がある。
【0008】
また、かごに振動の原因となる横方向の力を作用させる組み合わせが成立しないようにレールを据え付ければ良いが、振動を低減し得るレールの組み合わせはどのようなものであるのかは十分に判明していない。
【0009】
なお、ELEVATOR TECHNOLOGY 3 Proceedingof ELVCON’90(Y.Sugiyama et al)には、ガイドレールの曲がりパターンによってその接続順序を決定するという記事が記載されている。
【0010】
しかし、この記事は曲がりパターンをどのように解析し、エレベータの据え付け時に振動を低減するためどのようなレールを組み合わせるのかについては何等触れておらず、この記事からでは振動を低減し得るガイドレールの組み合わせを知ることはできなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来は個々のレールの接続順序を考慮することなく無作為に選択してレールを組み合わせていたので、かごに横方向の力を作用させる組み合わせが成立して振動の発生する走行路が形成される可能性があった。
【0012】
本発明は、以上のような実情を考慮してなされたもので、走行路を形成する複数のガイドレールを、振動の低減が図られるように組み合わせることのできるレール組み合わせ決定装置および方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度の高いガイドレールを選択し、移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0014】
次に、請求項2に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となるガイドレールの組合せを検索し、当該組合せを移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0015】
また、請求項3に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組を検索し、当該継ぎ合せの組を移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0016】
さらに、請求項4に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高いもの同士の組であって、かつ、レール長手方向の基準直線に対する張り出しが反対方向となりかつその張り出し量の差が所定値以下となるようにガイドレールの継ぎ合せの組を検索し、当該継ぎ合せの組を移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0017】
さらにまた、請求項5に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組を検索する継ぎ合わせ検索手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となる組合せのうちの一方のガイドレールを、継ぎ合わせ検索手段により検索された他方のガイドレールに対して検索する組合せ検索手段と、継ぎ合わせ検索手段及び組合せ検索手段により検索されたガイドレールの組み合わせを移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0018】
次に、請求項6に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定し、その測定結果から加工精度及び形状パターンを基準として各ガイドレールを分類する分類手段と、分類手段の分類結果を用い、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似する形状パターンのガイドレールを継ぎ合せに関する組として検索する継ぎ合わせ検索手段と、分類手段の分類結果を用い、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となる組合せのうちの一方のガイドレールを、継ぎ合わせ検索手段により検索された他方のガイドレールに対して検索する組合せ検索手段と、継ぎ合わせ検索手段及び組合せ検索手段により検索されたガイドレールの組み合わせを移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0019】
また、請求項7に対応する発明は、請求項1〜5に対応する発明において、各ガイドレールの形状測定は、レール長手方向と各々直交する横方向及び縦方向について行い、その両方向についての測定結果をガイドレール組合せ決定のための測定結果として供するガイドレール組合せ決定装置である。
【0020】
さらに、請求項8に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定方法において、各ガイドレールの形状を測定し、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度の高いガイドレールを選択し、移動体が高速走行する部分に配置するガイドレール組合せ決定方法である。
【0021】
次に、請求項9に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定方法において、各ガイドレールの形状を測定し、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となるガイドレールの組合せを検索し、当該組合せを移動体が高速走行する部分に配置するガイドレール組合せ決定方法である。
【0022】
また、請求項10に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定方法において、各ガイドレールの形状を測定し、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組を検索し、当該継ぎ合せの組を移動体が高速走行する部分に配置するガイドレール組合せ決定方法である。
(作用)
したがって、まず、請求項1又は8に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置又は方法においては、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度の高いガイドレールが選択され、移動体が高速走行する部分に配置される。
【0023】
すなわち、ガイドレールの形状データの中から例えば曲がり具合の少ない品質の高いレールが検索され、エレベータが高速走行する部分にこの品質の高いレールを配置することで、エレベータの振動を低減することができる。
【0024】
次に、請求項2又は9に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置又は方法においては、請求項1に対応する発明と同様に作用する他、複数の測定対象の中で左右対称となるガイドレールの組合せが検索され、当該組合せが移動体が高速走行する部分に配置される。
【0025】
すなわち、ガイドレールの形状データの中から左右対称となるようなレールの対が検索され、これらレールの対の内、曲がり具合の少ない品質の高いレールの対を移動体が高速走行する部分に配置し振動が低減されることになる。
【0026】
したがって、より一層振動の低減が図られる。
また、請求項3又は10に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置又は方法においては、請求項1に対応する発明と同様に作用する他、複数の測定対象の中でレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組が検索され、当該継ぎ合せの組が移動体が高速走行する部分に配置される。
【0027】
つまり、レール端部の傾きが近似するレールを検索し、その検索したレールの組において品質の高い組を、移動体が高速走行する部分に配置されるよう接続順序が決定される。
【0028】
したがって、より一層振動の低減が図られる。
また、請求項4に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置においては、請求項1に対応する発明と同様に作用する他、測定対象の中でレール長手方向の基準直線に対する張り出しが反対方向となりかつその張り出し量の差が所定値以下となるようにガイドレールの継ぎ合せの組が検索され、当該継ぎ合せの組が移動体が高速走行する部分に配置される。
【0029】
したがって、より一層振動の低減が図られる。
さらに、請求項5に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置においては、請求項1に対応する発明と同様に作用する他、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組が検索される。 さらに、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となる組合せのうちの一方のガイドレールが、継ぎ合わせ検索手段により検索された他方のガイドレールに対して検索される。
【0030】
また、組合せ決定手段により、継ぎ合わせ検索手段及び組合せ検索手段により検索されたガイドレールの組み合わせがを移動体が高速走行する部分に配置される。
【0031】
このとき、例えば継ぎ合わせが検索され、継ぎ合わせ片に対するその組み合わせが検索され、さらに、この組み合わせに対する継ぎ合わせが検索されという具合に順次、レール組み合わせを決定していくことができる。
【0032】
したがって、より一層振動の低減が図られる。
さらに、請求項6に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置においては、請求項5に対応する発明と同様に作用する他、分類手段により、各ガイドレールの形状が測定され、その測定結果から加工精度及び形状パターンを基準として各ガイドレールが分類される。
【0033】
そして、以下の組合せ検索、継ぎ合わせ検索は、この分類結果に基づいて行われる。
したがって、より効率的なガイドレール組合せ決定を行うことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(発明の第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置の一例を示す構成図である。
【0035】
図2は同実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置の一例を示す外観図である。
図1に示すガイドレール組み合わせ決定装置は、測定センサ12によりガイドレール1の形状を測定するレール形状測定装置30と、このレール形状測定装置30の動作を制御する制御装置8と、測定センサ12の出力からガイドレール1の曲がり具合を演算する演算装置9と、演算装置9により得られた各ガイドレールの形状データに基づきガイドレール1の組み合わせを決定する組み合わせシミュレーション装置10によって構成されている。
【0036】
なお、本実施形態では、制御装置8、演算装置9及び組み合わせシミュレーション装置10は、図2に示す制御盤15に収められている。
図1及び図2に示すように、レール形状測定装置30は、ガイドレール1を移動させる搬送装置2、ガイドレール1の形状測定面を清掃する清掃装置3、ワークとなるガイドレール1を反転させて測定状態にする反転装置4、測定後のワークを搬出装置まで移動させる移動装置5、反転されたワークを測定位置にセットする位置決め装置6、ワークを測定位置まで上昇させる支持装置7、測定センサ12を備え、制御盤15内の制御装置8により制御されている。
【0037】
一方、組合せシミュレーション装置10は、本実施形態における主要構成をなす部分であるが、この部分については後述し、まず、図2を参照して、上記レール形状測定装置30について説明する。
【0038】
搬送装置2は、ガイドレール1の搬送ラインに沿って複数の搬送ローラ2a〜2dを配置しており、測定対象となるガイドレール1を搬送ローラ2a側から2d側へ向けて移送する。搬送ローラ2a,2b間の搬送ライン上に清掃装置3が設置されている。また搬送ローラ2b,2d間に移載装置5が配置されている。
【0039】
移載装置5は、搬送装置2によるガイドレール1の搬送方向に対して直交する方向に配設された平行な一対のコンベア5a,5bを有しており、そのコンベア5a,5bによりガイドレール1,1´を上記搬送方向と直交する方向へ平行移動する。
【0040】
上記搬送装置2の搬送ライン上であって、コンベア5a,5bに近接した位置に支持装置7の一対の昇降片7a,7bが設けられている。この昇降片7a,7bは同期して上下方向へ移動するようになっている。
【0041】
またコンベア5a,5bを挟み、かつ、搬送ラインからずれた位置に、位置決め装置6の位置調整部材6a,6bを配置している。位置調整部材6a,6bは、ガイドレール1の高さに対応して上下すると共に、各々独立にガイドレール1の長手方向へも移動可能になっている。
【0042】
一方、支持装置7により測定状態に支持されたガイドレール1の長手方向に沿ってリニアガイド11が近接配置されている。
ガイドレール1の形状を測定する形状測定装置の測定センサ12は、互いに直交する2方向へレーザ光を出射する2つのレーザ変位センサを備えている。この測定センサ12は、リニアガイド11に対して慴動自在に取り付けられた電動可動部13に固定されている。
【0043】
またコンベア5bに近接してナンバリング装置14が配置されている。
上記搬送装置2、清掃装置3、反転装置4、移載装置5、位置決め装置6、支持装置7、測定センサ12、電動可動部13、ナンバリング装置14は図示しないケーブルを介して制御盤15に接続され、その制御盤15に収納された制御装置8により動作制御されている。
【0044】
このレール形状測定装置30においては以下のような動作がなされる。
まず、搬送装置2により搬入されてきたガイドレール1は、測定センサ12でその曲がり具合を測定する前に、清掃装置3でエアーによりレール表面の塵や埃等が取り除かれる。
【0045】
清掃されたガイドレール1は搬送装置2によりコンベア5a,5b上まで移動される。コンベア5a,5b上に渡されたガイドレール1を反転装置4により測定する向きに反転した後、コンベア5a,5bで位置決め装置6の位置調整部材6a,6b間へ移動する。
【0046】
位置決め装置6は、ガイドレール1を位置調整部材6a,6bで保持して位置決めを行い、ガイドレール1を測定センサ12の走行路であるリニアガイド11と平行にする。
【0047】
次に、支持装置7の昇降片7a,7bをガイドレールの下から上昇させて、測定センサ12から照射されるレーザスポットが、レールの被測定面にあたるよう姿勢調整する。
【0048】
以上の動作でガイドレール1の形状測定のための準備が完了する。次に、測定センサ12でガイドレール1にレーザを照射しながら電動可動部13をリニアガイド11上の一端から他端に向けて走らせる。
【0049】
ここで、図3は本実施形態におけるガイドレールを縦方向及び横方向から測定する様子を示す図である。
測定センサ12を構成する一対のレーザ変位センサは、図3に示すように、各々のレーザスポットでそれぞれ対向しているガイドレール1の被測定面21をスキャンすることにより、ガイドレール1の長手方向における各位置の変位を測定し、形状測定データとして演算装置9へ送出する。
【0050】
尚、ガイドレール1は断面T字型をしているため、互いに直交する2面を被測定面とすることにより、長手方向に対して直交する2方向の曲がり具合を知ることができる。
【0051】
形状測定の済んだガイドレール1′は、コンベア5a,5b上に載せられてナンバリング装置14の位置まで移送される。そしてナンバリング装置14がインクジェット方式やペン方式にてレール番号をマーキングする。このとき、レール番号は後述する演算装置9から制御装置8を介して指示される。
【0052】
以上のようにして、対象となる全てのガイドレール1の形状を測定し、その形状データを順次演算装置9へ送出する。
次に、制御盤15内の演算装置9の処理内容について詳しく説明する。
【0053】
先ず、制御装置8を介し、上述した形状測定にて得られたガイドレールの形状測定データが演算装置9に入力される。演算装置9は、レールの形状データを縦方向、横方向についてそれぞれdH 1(n) ,dV 1(n) ,dH 2(n) ,dV 2(n) 等の数列で表す。例えば、測定センサ12による測定ポイントを1本のレールについて10箇所とすると、ある2つのガイドレールの形状は次式で表される。
【0054】
dH 1(n) ={dH 1(1) ,dH 1(2) ,…dH 1(10)}横方向の形状…(1)
dV 1(n) ={dV 1(1) ,dV 1(2) ,…dV 1(10)}縦方向の形状…(2)
dH 2(n) ={dH 2(1) ,dH 2(2) ,…dH 2(10)}横方向の形状…(3)
dV 2(n) ={dV 2(1) ,dV 2(2) ,…dV 2(10)}縦方向の形状…(4)
演算装置9により演算され、(1)式〜(4)式のように表された形状測定データが組み合わせシミュレーション装置10のメモリに記憶される。
【0055】
次に、制御盤15内の組み合せシミュレーション装置10について詳しく説明する。
図4は本実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【0056】
同図に示す組み合せシミュレーション装置10は、演算装置9の演算結果を格納すると共に分類テーブルその他シミュレーション装置10における処理内容を記憶するメモリと、レール組合決定進行部32と、組み合わせ検索基準に基づきレールの組み合わせ検索を行う組み合わせ判定部33と、継ぎ合わせ検索基準に基づきレールの継ぎ合わせ検索を行う継ぎ合わせ判定部34と、ガイドレールのパターン分類を行うパターン分類部35と、決定されたガイドレールの組み合わせ結果を出力する出力部36とによって構成されている。
【0057】
レール組合決定進行部32は、所定の組み合わせ論理に基づきガイドレールの組み合わせの決定を進行させる部分であり、その組み合わせ決定の進行を、決定進行状況に応じて、組み合わせ判定部33及び継ぎ合わせ判定部34に組み合わせもしくは継ぎ合わせ検索を行わせることで進行させる。
【0058】
次に、組み合せシミュレーション装置10によるガイドレール組み合わせ決定動作について図5を用いて説明する。つまり、その組み合わせは高速エレベータにおいても振動を低減できる昇降路となるレールの組み合わせである。
【0059】
図5は本実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図である。
まず、シミュレーション装置10において、各ガイドレールの形状データがメモリから読み出され(S1)、パターン分類部35により、その形状データが解析され、類似した形状のものがグループ化されパターン分類される(S2)。
【0060】
例えば、図6に示すようなA〜Jのパターンに分類されたとする。
図6はガイドレールの分類パターンを例示する図である。
パターン分類がなされたならば、さらに、パターン分類部35により、各パターン毎のレールの曲がり具合に着目して例えば図7に示すようなグレード分けが行われる(S3)。
【0061】
図7はガイドレールのグレードを例示する図である。
ここではグレードaのレールが最も高精度で、aからfにかけて順次精度が低下する。したがって、この段階(S3)において形状パターンとグレードの2つの要素によりグループ化され、例えば図8に示すような分類テーブルが作成される。
【0062】
図8はガイドレールの分類パターン及びグレードとから作成された分類テーブルの一例を示す図である。
本実施形態ではこの分類テーブルを参照してガイドレール組み合わせが決定されていくこととなる。ところで、図5におけるステップS4以下の動作を説明する前に、当該決定を行う上でのレール検索基準となる組み合わせ検索基準及び継ぎ合わせ検索基準について説明する。
【0063】
ここで、組み合わせとは、対となるガイドレールの組みをいう。例えばエレベータでは同一水平面上ではカゴをガイドする4つのガイドレールが設けられて組となっていることが多い。しかし、これらの4つのガイドレールは互いに対向する2つのガイドレールからなる組2つが直交して設けられていると考えることができるので、以下の説明では、互いに対向する2つのガイドレールからなる組を上記組み合わせと取り扱う。
【0064】
一方、継ぎ合わせとは、鉛直方向に接続される2つのガイドレールの組み方をいう。
(組み合わせ検索基準)
まず、組み合わせ判定部33によりその検索が行われる、組み合わせの検索基準について説明する。
【0065】
図8に示す分類テーブルから、各々グループ毎にガイドレールの形状が左右対称となる組み合わせを検索する。例えばA−aとF−aの組み合わせを対向する一対のレールとする。この組み合わせが最も精度の高い組み合わせとなっており、この組み合わせを移動体が高速走行する部分に位置づけする。
【0066】
図9はガイドレールの組み合わせパターンを示す図である。
同図(a)に示す場合(以下、パターン(a)という)では、互いに対向する一対のレールが同方向へ湾曲し、それに続く一対のレールも同様に同方向へ湾曲している。
【0067】
一方、同図(b)に示す場合(以下、パターン(b)という)では、互いに対向する一対のレールが逆方向へ湾曲して左右対称になっている。
パターン(a)は対となる両レールが平行となっているため平行移動型に分類することができ、また、パターン(b)は対となる両レールが対称となっているため左右対称型に分類することができる。
【0068】
なお、エレベータの振動は速度にほぼ比例して増大することが知られているので、パターン(b)の組み合わせとなることをレールの組み合わせ順序を決定する際の一つの条件として入れている。
【0069】
この点について図10を用いて詳しく説明する。
図10はエレベータの走行速度と振動の関係を組み合わせパターン毎にシミュレーションした結果を示す図である。
【0070】
同図に示すシミュレーション結果から、レール形状が平行移動型である場合、すなわちパターン(a)については、エレベータのかごが加振力を受けることになるため、走行速度の増加にともない振動が増加する。
【0071】
これに対してレール形状が左右対称である場合、すなわちパターン(b)については、レールの曲がりによりかごに働く力は相殺され振動が低減される。
このシミュレーション結果よりエレベータが高速走行する場合には、振動を低減させるためにガイドレールの形状は左右対称にすることが望ましいことが判る。すなわち、ガイドレールの組み合わせはパターン(b)の構成が望ましく、このような組み合わせとすれば、エレベータは振動の少ない乗り心地の良いものとなる。
【0072】
よって、本実施形態では、多数のガイドレールの中から、その組み合わせがパターン(b)の構成となるようにし、かつ分類テーブルから最も対称性のよい組み合わせとなるようにガイドレールの組み合わせが決定される。
【0073】
次に図11を用いて組み合わせの対称性の解析について説明する。
図11は、あるグループ(例えば図6のAパターン)の各ガイドレールと、そのグループと対称形状をなす他のグループ(例えば図6のFパターン)の各ガイドレールとの対称性を解析する手法を示したものである。
【0074】
双方のグループの各ガイドレールの形状データは、上述したようにメモリにdH 1(n) ,dV 1(n) ,dH 2(n) ,dV 2(n) 等の数列の形で記憶されている。その測定データを用いてレール#1の縦方向測定データdV 1(n) と、レール#2の縦方向測定データdV 2(n) との変位差をガイドレールの長手方向10箇所について求めて、その変位差の差和TV を求めるための式が(5)式で表される。
【0075】
【数1】
また、横方向の測定データについても同様に
【0076】
【数2】
で表すことができる。
【0077】
このようにして得られた総和TH とTV は、比較対称となった2つのレール#1,#2の形状差を示すものである。本実施形態では、組み合わせパターンについて向かい合うパターン間で、ガイドレール毎にTH とTV の和Tを求める。この和Tの最も大きいレールの組が対称性の最も高い組となる。
【0078】
したがって対となるガイドレールの組み合わせは、レール間の形状差Tが大きいものから順に確定させる。
(継ぎ合わせ検索基準)
次に、継ぎ合わせ判定部34によりその検索が行われる、継ぎ合わせ検索基準について説明する。
【0079】
継ぎ合わせ検索基準としては、以下に2種類の検索基準を説明する。本実施形態では継ぎ合わせ検索基準1を用いて図6に示す決定動作を行うが、このための継ぎ合わせ検索基準として継ぎ合わせ検索基準2もしくは3を用いてもよい。
【0080】
継ぎ合わせ検索基準1:
何本ものガイドレールを継ぎ合わせてエレベータの昇降路を形成する場合、図12に示すように、継ぎ合わせ部分が滑らかになっていないと振動発生の原因となる。
【0081】
図12はガイドレールの継ぎ合わせの様子を示す図である。
そこで、図13に示すように、組み合わせの左右対称性のみならず継ぎ合わせ部分のレール形状がスムーズになるようにガイドレールの据え付け順序を決定する必要がある。
【0082】
図13はエレベータ経路でガイドレールの組み合わせの左右対称性及び継ぎ合わせが良好な場合を示す図である。
ガイドレール継ぎ合わせの適合性は、レール端部の傾きから判断する。横方向の曲がりについてのレール端部の傾きRH と縦方向の曲がりについてのレール端部の傾きRV が互いに一致するガイドレール同志が最も継ぎ合わせの適合性が高いと判断する。
【0083】
図14は本実施形態における継ぎ合わせの適合性の判定手法を示す図である。
同図に示すようにガイドレールのレール端部2箇所の変位からレール端部の傾きを求める。次の(7)式,(8)式は、横方向の曲がりにおけるレール端部の傾きRH ,RV を求めるための数式である。
【0084】
【数3】
【0085】
【数4】
【0086】
次に、走行路の長手方向に隣接する両パターンの中から継ぎ合わせ適合性の高いガイドレールを検索する。
上述したようにレール端部の傾きRH ,RV が一致するガイドレール同士が最も継ぎ合わせの適合性が高いので、レール端部の傾きが等しくなるように、例えば縦方向の曲がりについて次の(5)式を満たすようなガイドレールの組み合わせを検索する。
【0087】
【数5】
【0088】
なお、左右対称をなすガイドレールの組み合わせが決定される場合には、組み合わせ毎にレールの継ぎ合わせの適合性が判定されることになる。
継ぎ合わせ検索基準2:
継ぎ合わせの適合性を判定するもう一つの方法について説明する。
【0089】
例として図15に示すような継ぎ合わせ検索グループ1,2,3があった場合を考える。
図15はガイドレールの継ぎ合わせの組を例示する図である。
【0090】
同図のそれぞれについて、基準直線と形状曲線との差(図示された斜線部分)を求め、これが最小となるグループ(同図では(2))が最も精度の高いものと判定する。言い換えると同図において例えば基準直線より上の部分を正とし、下の部分を負とすると、継ぎ合わせの組について積分値をとり、この値が最も小さくなる組を選択する。
【0091】
そしてこのような組を最高速で走行する部分に割り付ける。
継ぎ合わせ検索基準3:
本継ぎ合わせ検索方法は、上記継ぎ合わせ検索基準1と検索基準2とを組み合わせたものである。
【0092】
あるガイドレールに対する継ぎ合わせとなるガイドレールを検索する場合、この方法においては、まず、分類テーブルから31当該あるガイドレールに対し検索基準2の基づき許容範囲内の積分値を有する継ぎ合わせ組となるようなガイドレールをすべて検索し、継ぎ合わせとなるガイドレールの候補とする。
【0093】
次に、上記候補のそれぞれに対し検索基準1を適用し、最も適合性の高いガイドレールを上記あるガイドレールに対する継ぎ合わせとなるガイドレールとして決定する。
【0094】
以上に、レール検索基準となる組み合わせ検索基準及び継ぎ合わせ検索基準について説明した。次に、これらの検索基準に基づくガイドレール組み合わせ決定動作について、図5に示す流れ図のステップS4からその続きを説明する。
【0095】
ステップS3において、分類テーブルが作成された後、レール組み合わせ決定進行部32により、最高速部分の組み合わせ決定がすべて終了しているか否かが判定される(S4)。
【0096】
次に、まず、最高速部分の組み合わせ決定のスタート時であれば、分類テーブルの最高グレードのガイドレールが任意に1本選択され最初の1本とされる。一方、最初の一本でなければ、ステップS6で後述する組み合わせがなされたガイドレールの何れかに接続されるべきレールの継ぎ合わせ検索が、継ぎ合わせ判定部34によって行われる(S5)。なお、この本実施形態においては上記した検索基準のうち継ぎ合わせ検索基準1が使用されるが、検索基準2もしくは3を用いてもよい。
【0097】
次に、ステップS5で継ぎ合わせのなされたレールに対する組み合わせ選択が組み合わせ判定部33によって行われ、ステップS4に戻る(S6)。
ステップS4においては、最高速部分の組み合わせ決定がすべて終了しているか否かが再び判定され、最高速部分経路の組み合わせが完成すればステップS7に進む。
【0098】
ステップS7〜ステップS9においては、ステップS4〜ステップS6と同様にして、レール組み合わせ決定進行部32により、高速部分経路の組み合わせ決定がなされ、経路の組み合わせが完成すればステップS10に進む。
【0099】
ステップS10〜ステップS13においては、ステップS4〜ステップS6と同様にして、レール組み合わせ決定進行部32により、その他部分経路の組み合わせ決定がなされ、経路の組み合わせが完成すれば終了する。
【0100】
なお、超高速部分経路決定のステップS7〜ステップS9、高速部分経路決定のステップS4〜ステップS6、その他部分経路決定のステップS10〜ステップS13の順に分類テーブルからグレードの高いガイドレールが選択され組み合わされる。したがって、この順に高品質のガイドレールが使用されることになる。
【0101】
これまで述べてきたような組み合わせシミュレーションにより、組み合わせおよび継ぎ合わせの形状を考慮し、且つ品質毎に分けられたガイドレールが選択される。そして移動速度を考慮したガイドレールの据え付け順序はメモリに保存され、必要に応じて表示出力またはプリントする。
【0102】
図16は前述した組み合わせシミュレーションにより決定されたガイドレールの据え付け順序をCRTに出力した例を示す図である。
ガイドレールの据え付け時には、この出力例に記されているレール番号を参照することにより、エレベータ走行時に振動の少ないガイドレールの組み合わせ構成が実現可能になる。
【0103】
上述したように、本発明の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置及び方法によれば、各ガイドレールの形状を測定してこれらを複数のパターンに分類し、その分類パターンを組み合わせて、ガイドレールの形状が左右対称で、継ぎ合わせ適合性の高いレールを検索し、移動体の走行速度を考慮してガイドレールの据え付け順序を決定するので、走行路を形成する複数のガイドレールを、振動の低減が図られるように組み合わせることができる。したがって、たとえ超高速走行であっても、エレベータ走行時に振動の少ない乗り心地のよいエレベータを実現することができる。
【0104】
また本実施形態によれば、移動体の走行方向と直交するガイドレールの2つの方向(縦方向と横方向)に関して、その据え付け順序を決定しているので、滑らかな走行路を形成でき、より振動の少ないガイドレールの組み合わせ構成を実現できる。
(発明の第2の実施の形態)
本実施形態のガイドレール組合せ決定装置及び方法では、図4におけるレール組合決定進行部32におけるガイドレールの組み合わせ決定の進行方法のみが第1の実施形態と異なっており、他の部分は第1の実施形態と同様に構成され動作する。
【0105】
組合せシミュレーション部10の各部の動作を含むガイドレールの組み合わせ決定進行を図17を用いて説明する。
図17は本発明の第2の実施の形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図である。
【0106】
同図においてまずステップS11〜S13の動作は第1の実施形態の図5の流れ図で説明したステップS1〜S3の動作と同様であり、これにより分類テーブルが作成される。
【0107】
次に、最高速部分の経路を構成するのに必要な本数のガイドレールがグレードの高い順に選択される(S14)。
次に、選択されたガイドレールの中で全ガイドレールが組になるように組み合わせ検索が行われる(S15)。
【0108】
そして、組み合わされた全組について組み合わせ同士で継ぎ合わせ検索が行われ、最高速部分経路のガイドレール組み合わせが決定される(S16)。
なお、上記フローでは、最高速部分経路のガイドレール組み合わせ決定についてのみ述べたが最高速部分の決定の後、さらに高速部分,その他部分の決定を同様に行うようにしてもよい。
【0109】
上述したように、本発明の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置及び方法によれば、各ガイドレールの形状を測定してこれらを複数のパターンに分類し、その分類パターンを組み合わせて、ガイドレールの形状が左右対称で、継ぎ合わせ適合性の高いレールを検索し、移動体の走行速度を考慮してガイドレールの据え付け順序を決定するので、第1の実施形態を同様な効果を奏することができる。
(発明の第3の実施の形態)
本実施形態のガイドレール組合せ決定装置及び方法では、図4におけるレール組合決定進行部32におけるガイドレールの組み合わせ決定の進行方法のみが第1の実施形態と異なっており、他の部分は第1の実施形態と同様に構成され動作する。
【0110】
組合せシミュレーション部10の各部の動作を含むガイドレールの組み合わせ決定進行を図18を用いて説明する。
図18は本発明の第3の実施の形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図である。
【0111】
同図においてまずステップS21〜S24の動作は第2の実施形態の図17の流れ図で説明したステップS11〜S14の動作と同様であり、これにより分類テーブル作成、必要本数ガイドレールの選択が行われる。
【0112】
次に、選択されたガイドレールから経路を構成するのに必要な本数の継ぎ合わせ検索が行われる(S25)。すなわちこの場合は、片側のガイドレールについて経路長さになるまで継ぎ合わせのみが行われることになる。
【0113】
そして、継ぎ合わされた片側の経路について、それぞれのガイドレールに対し、ステップS24で選択されたガイドレールから組み合わせ検索が行われ、最高速部分経路のガイドレール組み合わせが決定される(S26)。
【0114】
なお、上記フローでは、最高速部分経路のガイドレール組み合わせ決定についてのみ述べたが最高速部分の決定の後、さらに高速部分,その他部分の決定を同様に行うようにしてもよい。
【0115】
上述したように、本発明の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置及び方法によれば、各ガイドレールの形状を測定してこれらを複数のパターンに分類し、その分類パターンを組み合わせて、ガイドレールの形状が左右対称で、継ぎ合わせ適合性の高いレールを検索し、移動体の走行速度を考慮してガイドレールの据え付け順序を決定するので、第1の実施形態を同様な効果を奏することができる。
【0116】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
例えば上記実施形態ではエレベータ用ガイドレールについて説明したが、本発明はエレベータに限らず、鉄道用のレールやモノレール用のレールなど、長尺材を組み合わせて走行路を形成するガイドレールの組み合わせについて適用できる。
【0117】
また、据え付け順序を外部出力する際には、プリンタに印字をしたり、CRTに表示出力するほか、データ信号として外部に出力することもできる。
また、形状測定装置におけるガイドレールの形状測定については、レーザ変位センサに限らず渦電流センサや超音波センサなどの非接触センサ、画像処理を用いた形状測定法、車輪や接触子を用いた機械的計測法などを適用することもできる。更にレールの測定ポイント数においても変更可能である。
【0118】
また、接続順序を決定する際には最初に継ぎ合わせを決定してから組み合わせを決定しても良い。
なお、実施形態に記載した手法のうちコンピュータにより実現される部分については、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0119】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、各ガイドレールを測定して加工精度の高いレールを高速移動部分に用いるようにしたので、走行路を形成する複数のガイドレールを、振動の低減が図られるように組み合わせることのできるレール組み合わせ決定装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置の一例を示す構成図。
【図2】同実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置の一例を示す外観図。
【図3】同実施形態におけるガイドレールを縦方向及び横方向から測定する様子を示す図。
【図4】同実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置の主要部の構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図。
【図6】ガイドレールの分類パターンを例示する図。
【図7】ガイドレールのグレードを例示する図。
【図8】ガイドレールの分類パターン及びグレードとから作成された分類テーブルの一例を示す図。
【図9】ガイドレールの組み合わせパターンを示す図。
【図10】エレベータの走行速度と振動の関係を組み合わせパターン毎にシミュレーションした結果を示す図。
【図11】あるグループの各ガイドレールと、そのグループと対称形状をなす他のグループの各ガイドレールとの対称性を解析する手法を示した図。
【図12】ガイドレールの継ぎ合わせの様子を示す図。
【図13】エレベータ経路でガイドレールの組み合わせの左右対称性及び継ぎ合わせが良好な場合を示す図。
【図14】同実施形態における継ぎ合わせの適合性の判定手法を示す図。
【図15】ガイドレールの継ぎ合わせの組を例示する図。
【図16】同実施形態における組み合わせシミュレーションにより決定されたガイドレールの据え付け順序をCRTに出力した例を示す図。
【図17】本発明の第2の実施の形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図。
【図18】本発明の第3の実施の形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図。
【図19】従来技術でガイドレールを構成させたときの様子を示す図。
【符号の説明】
1…ガイドレール
2…搬送装置
8…制御装置
9…演算装置
10…組み合わせシミュレーン装置
12…測定センサ
14…ナンバリング装置
15…制御盤
30…レール形状測定装置
【発明の属する技術分野】
この発明は、エレベータ、鉄道、モノレール等において、移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するためのレール組み合わせ決定装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばエレベータ設備における乗りかごの昇降路は、長尺材からなる多数のガイドレールを組み合わせて構成される。一般に、エレベータの昇降路を構成するガイドレールは直線状でかつ同一寸法となっている。
【0003】
したがって、従来からエベレータ等で昇降路を構成するために多数のガイドレールを接続する場合には、個々のレール間の相互関係を全く考慮することなく、製作された多くのガイドレールの中から無作為に選択して組み合わせている。
【0004】
一方、最近ではビルの高層化が進んでおり、特に超高層ビルに備えられる超高速エレベータには、かごを超高速度で運転することが求められるようになってきた。
【0005】
しかし、エレベータを高速運転した場合、レールの組み合わせによってはかごに振動の発生する場合がある。
これは、個々のレールがそれぞれ固有の曲がり形状を持っていることに起因していると考えられ、レールの形状を考慮せずにレールを組み合わせた場合、かごに振動の原因となる横方向の力を作用させる組み合わせの成立する可能性があるためである。
【0006】
図19は従来技術でガイドレールを構成させたときの様子を示す図である。
同図に示すような組み合わせでガイドレールを据え付けたのでは、その昇降路を走行するかごに大きな振動の発生する恐れがある。また、エレベータの振動はその速度にほぼ比例して増大することが知られている。
【0007】
エレベータのかごに発生する振動を低減するためには、個々のガイドレールの曲がりを除去すれば解決するが、そのためには高い加工精度と品質管理が要求されるなど多くの問題がある。
【0008】
また、かごに振動の原因となる横方向の力を作用させる組み合わせが成立しないようにレールを据え付ければ良いが、振動を低減し得るレールの組み合わせはどのようなものであるのかは十分に判明していない。
【0009】
なお、ELEVATOR TECHNOLOGY 3 Proceedingof ELVCON’90(Y.Sugiyama et al)には、ガイドレールの曲がりパターンによってその接続順序を決定するという記事が記載されている。
【0010】
しかし、この記事は曲がりパターンをどのように解析し、エレベータの据え付け時に振動を低減するためどのようなレールを組み合わせるのかについては何等触れておらず、この記事からでは振動を低減し得るガイドレールの組み合わせを知ることはできなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来は個々のレールの接続順序を考慮することなく無作為に選択してレールを組み合わせていたので、かごに横方向の力を作用させる組み合わせが成立して振動の発生する走行路が形成される可能性があった。
【0012】
本発明は、以上のような実情を考慮してなされたもので、走行路を形成する複数のガイドレールを、振動の低減が図られるように組み合わせることのできるレール組み合わせ決定装置および方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度の高いガイドレールを選択し、移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0014】
次に、請求項2に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となるガイドレールの組合せを検索し、当該組合せを移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0015】
また、請求項3に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組を検索し、当該継ぎ合せの組を移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0016】
さらに、請求項4に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高いもの同士の組であって、かつ、レール長手方向の基準直線に対する張り出しが反対方向となりかつその張り出し量の差が所定値以下となるようにガイドレールの継ぎ合せの組を検索し、当該継ぎ合せの組を移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0017】
さらにまた、請求項5に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組を検索する継ぎ合わせ検索手段と、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となる組合せのうちの一方のガイドレールを、継ぎ合わせ検索手段により検索された他方のガイドレールに対して検索する組合せ検索手段と、継ぎ合わせ検索手段及び組合せ検索手段により検索されたガイドレールの組み合わせを移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0018】
次に、請求項6に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、各ガイドレールの形状を測定し、その測定結果から加工精度及び形状パターンを基準として各ガイドレールを分類する分類手段と、分類手段の分類結果を用い、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似する形状パターンのガイドレールを継ぎ合せに関する組として検索する継ぎ合わせ検索手段と、分類手段の分類結果を用い、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となる組合せのうちの一方のガイドレールを、継ぎ合わせ検索手段により検索された他方のガイドレールに対して検索する組合せ検索手段と、継ぎ合わせ検索手段及び組合せ検索手段により検索されたガイドレールの組み合わせを移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段とを備えたガイドレール組合せ決定装置である。
【0019】
また、請求項7に対応する発明は、請求項1〜5に対応する発明において、各ガイドレールの形状測定は、レール長手方向と各々直交する横方向及び縦方向について行い、その両方向についての測定結果をガイドレール組合せ決定のための測定結果として供するガイドレール組合せ決定装置である。
【0020】
さらに、請求項8に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定方法において、各ガイドレールの形状を測定し、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度の高いガイドレールを選択し、移動体が高速走行する部分に配置するガイドレール組合せ決定方法である。
【0021】
次に、請求項9に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定方法において、各ガイドレールの形状を測定し、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となるガイドレールの組合せを検索し、当該組合せを移動体が高速走行する部分に配置するガイドレール組合せ決定方法である。
【0022】
また、請求項10に対応する発明は、複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定方法において、各ガイドレールの形状を測定し、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組を検索し、当該継ぎ合せの組を移動体が高速走行する部分に配置するガイドレール組合せ決定方法である。
(作用)
したがって、まず、請求項1又は8に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置又は方法においては、測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度の高いガイドレールが選択され、移動体が高速走行する部分に配置される。
【0023】
すなわち、ガイドレールの形状データの中から例えば曲がり具合の少ない品質の高いレールが検索され、エレベータが高速走行する部分にこの品質の高いレールを配置することで、エレベータの振動を低減することができる。
【0024】
次に、請求項2又は9に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置又は方法においては、請求項1に対応する発明と同様に作用する他、複数の測定対象の中で左右対称となるガイドレールの組合せが検索され、当該組合せが移動体が高速走行する部分に配置される。
【0025】
すなわち、ガイドレールの形状データの中から左右対称となるようなレールの対が検索され、これらレールの対の内、曲がり具合の少ない品質の高いレールの対を移動体が高速走行する部分に配置し振動が低減されることになる。
【0026】
したがって、より一層振動の低減が図られる。
また、請求項3又は10に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置又は方法においては、請求項1に対応する発明と同様に作用する他、複数の測定対象の中でレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組が検索され、当該継ぎ合せの組が移動体が高速走行する部分に配置される。
【0027】
つまり、レール端部の傾きが近似するレールを検索し、その検索したレールの組において品質の高い組を、移動体が高速走行する部分に配置されるよう接続順序が決定される。
【0028】
したがって、より一層振動の低減が図られる。
また、請求項4に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置においては、請求項1に対応する発明と同様に作用する他、測定対象の中でレール長手方向の基準直線に対する張り出しが反対方向となりかつその張り出し量の差が所定値以下となるようにガイドレールの継ぎ合せの組が検索され、当該継ぎ合せの組が移動体が高速走行する部分に配置される。
【0029】
したがって、より一層振動の低減が図られる。
さらに、請求項5に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置においては、請求項1に対応する発明と同様に作用する他、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組が検索される。 さらに、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となる組合せのうちの一方のガイドレールが、継ぎ合わせ検索手段により検索された他方のガイドレールに対して検索される。
【0030】
また、組合せ決定手段により、継ぎ合わせ検索手段及び組合せ検索手段により検索されたガイドレールの組み合わせがを移動体が高速走行する部分に配置される。
【0031】
このとき、例えば継ぎ合わせが検索され、継ぎ合わせ片に対するその組み合わせが検索され、さらに、この組み合わせに対する継ぎ合わせが検索されという具合に順次、レール組み合わせを決定していくことができる。
【0032】
したがって、より一層振動の低減が図られる。
さらに、請求項6に対応する発明のガイドレール組合せ決定装置においては、請求項5に対応する発明と同様に作用する他、分類手段により、各ガイドレールの形状が測定され、その測定結果から加工精度及び形状パターンを基準として各ガイドレールが分類される。
【0033】
そして、以下の組合せ検索、継ぎ合わせ検索は、この分類結果に基づいて行われる。
したがって、より効率的なガイドレール組合せ決定を行うことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(発明の第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置の一例を示す構成図である。
【0035】
図2は同実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置の一例を示す外観図である。
図1に示すガイドレール組み合わせ決定装置は、測定センサ12によりガイドレール1の形状を測定するレール形状測定装置30と、このレール形状測定装置30の動作を制御する制御装置8と、測定センサ12の出力からガイドレール1の曲がり具合を演算する演算装置9と、演算装置9により得られた各ガイドレールの形状データに基づきガイドレール1の組み合わせを決定する組み合わせシミュレーション装置10によって構成されている。
【0036】
なお、本実施形態では、制御装置8、演算装置9及び組み合わせシミュレーション装置10は、図2に示す制御盤15に収められている。
図1及び図2に示すように、レール形状測定装置30は、ガイドレール1を移動させる搬送装置2、ガイドレール1の形状測定面を清掃する清掃装置3、ワークとなるガイドレール1を反転させて測定状態にする反転装置4、測定後のワークを搬出装置まで移動させる移動装置5、反転されたワークを測定位置にセットする位置決め装置6、ワークを測定位置まで上昇させる支持装置7、測定センサ12を備え、制御盤15内の制御装置8により制御されている。
【0037】
一方、組合せシミュレーション装置10は、本実施形態における主要構成をなす部分であるが、この部分については後述し、まず、図2を参照して、上記レール形状測定装置30について説明する。
【0038】
搬送装置2は、ガイドレール1の搬送ラインに沿って複数の搬送ローラ2a〜2dを配置しており、測定対象となるガイドレール1を搬送ローラ2a側から2d側へ向けて移送する。搬送ローラ2a,2b間の搬送ライン上に清掃装置3が設置されている。また搬送ローラ2b,2d間に移載装置5が配置されている。
【0039】
移載装置5は、搬送装置2によるガイドレール1の搬送方向に対して直交する方向に配設された平行な一対のコンベア5a,5bを有しており、そのコンベア5a,5bによりガイドレール1,1´を上記搬送方向と直交する方向へ平行移動する。
【0040】
上記搬送装置2の搬送ライン上であって、コンベア5a,5bに近接した位置に支持装置7の一対の昇降片7a,7bが設けられている。この昇降片7a,7bは同期して上下方向へ移動するようになっている。
【0041】
またコンベア5a,5bを挟み、かつ、搬送ラインからずれた位置に、位置決め装置6の位置調整部材6a,6bを配置している。位置調整部材6a,6bは、ガイドレール1の高さに対応して上下すると共に、各々独立にガイドレール1の長手方向へも移動可能になっている。
【0042】
一方、支持装置7により測定状態に支持されたガイドレール1の長手方向に沿ってリニアガイド11が近接配置されている。
ガイドレール1の形状を測定する形状測定装置の測定センサ12は、互いに直交する2方向へレーザ光を出射する2つのレーザ変位センサを備えている。この測定センサ12は、リニアガイド11に対して慴動自在に取り付けられた電動可動部13に固定されている。
【0043】
またコンベア5bに近接してナンバリング装置14が配置されている。
上記搬送装置2、清掃装置3、反転装置4、移載装置5、位置決め装置6、支持装置7、測定センサ12、電動可動部13、ナンバリング装置14は図示しないケーブルを介して制御盤15に接続され、その制御盤15に収納された制御装置8により動作制御されている。
【0044】
このレール形状測定装置30においては以下のような動作がなされる。
まず、搬送装置2により搬入されてきたガイドレール1は、測定センサ12でその曲がり具合を測定する前に、清掃装置3でエアーによりレール表面の塵や埃等が取り除かれる。
【0045】
清掃されたガイドレール1は搬送装置2によりコンベア5a,5b上まで移動される。コンベア5a,5b上に渡されたガイドレール1を反転装置4により測定する向きに反転した後、コンベア5a,5bで位置決め装置6の位置調整部材6a,6b間へ移動する。
【0046】
位置決め装置6は、ガイドレール1を位置調整部材6a,6bで保持して位置決めを行い、ガイドレール1を測定センサ12の走行路であるリニアガイド11と平行にする。
【0047】
次に、支持装置7の昇降片7a,7bをガイドレールの下から上昇させて、測定センサ12から照射されるレーザスポットが、レールの被測定面にあたるよう姿勢調整する。
【0048】
以上の動作でガイドレール1の形状測定のための準備が完了する。次に、測定センサ12でガイドレール1にレーザを照射しながら電動可動部13をリニアガイド11上の一端から他端に向けて走らせる。
【0049】
ここで、図3は本実施形態におけるガイドレールを縦方向及び横方向から測定する様子を示す図である。
測定センサ12を構成する一対のレーザ変位センサは、図3に示すように、各々のレーザスポットでそれぞれ対向しているガイドレール1の被測定面21をスキャンすることにより、ガイドレール1の長手方向における各位置の変位を測定し、形状測定データとして演算装置9へ送出する。
【0050】
尚、ガイドレール1は断面T字型をしているため、互いに直交する2面を被測定面とすることにより、長手方向に対して直交する2方向の曲がり具合を知ることができる。
【0051】
形状測定の済んだガイドレール1′は、コンベア5a,5b上に載せられてナンバリング装置14の位置まで移送される。そしてナンバリング装置14がインクジェット方式やペン方式にてレール番号をマーキングする。このとき、レール番号は後述する演算装置9から制御装置8を介して指示される。
【0052】
以上のようにして、対象となる全てのガイドレール1の形状を測定し、その形状データを順次演算装置9へ送出する。
次に、制御盤15内の演算装置9の処理内容について詳しく説明する。
【0053】
先ず、制御装置8を介し、上述した形状測定にて得られたガイドレールの形状測定データが演算装置9に入力される。演算装置9は、レールの形状データを縦方向、横方向についてそれぞれdH 1(n) ,dV 1(n) ,dH 2(n) ,dV 2(n) 等の数列で表す。例えば、測定センサ12による測定ポイントを1本のレールについて10箇所とすると、ある2つのガイドレールの形状は次式で表される。
【0054】
dH 1(n) ={dH 1(1) ,dH 1(2) ,…dH 1(10)}横方向の形状…(1)
dV 1(n) ={dV 1(1) ,dV 1(2) ,…dV 1(10)}縦方向の形状…(2)
dH 2(n) ={dH 2(1) ,dH 2(2) ,…dH 2(10)}横方向の形状…(3)
dV 2(n) ={dV 2(1) ,dV 2(2) ,…dV 2(10)}縦方向の形状…(4)
演算装置9により演算され、(1)式〜(4)式のように表された形状測定データが組み合わせシミュレーション装置10のメモリに記憶される。
【0055】
次に、制御盤15内の組み合せシミュレーション装置10について詳しく説明する。
図4は本実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【0056】
同図に示す組み合せシミュレーション装置10は、演算装置9の演算結果を格納すると共に分類テーブルその他シミュレーション装置10における処理内容を記憶するメモリと、レール組合決定進行部32と、組み合わせ検索基準に基づきレールの組み合わせ検索を行う組み合わせ判定部33と、継ぎ合わせ検索基準に基づきレールの継ぎ合わせ検索を行う継ぎ合わせ判定部34と、ガイドレールのパターン分類を行うパターン分類部35と、決定されたガイドレールの組み合わせ結果を出力する出力部36とによって構成されている。
【0057】
レール組合決定進行部32は、所定の組み合わせ論理に基づきガイドレールの組み合わせの決定を進行させる部分であり、その組み合わせ決定の進行を、決定進行状況に応じて、組み合わせ判定部33及び継ぎ合わせ判定部34に組み合わせもしくは継ぎ合わせ検索を行わせることで進行させる。
【0058】
次に、組み合せシミュレーション装置10によるガイドレール組み合わせ決定動作について図5を用いて説明する。つまり、その組み合わせは高速エレベータにおいても振動を低減できる昇降路となるレールの組み合わせである。
【0059】
図5は本実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図である。
まず、シミュレーション装置10において、各ガイドレールの形状データがメモリから読み出され(S1)、パターン分類部35により、その形状データが解析され、類似した形状のものがグループ化されパターン分類される(S2)。
【0060】
例えば、図6に示すようなA〜Jのパターンに分類されたとする。
図6はガイドレールの分類パターンを例示する図である。
パターン分類がなされたならば、さらに、パターン分類部35により、各パターン毎のレールの曲がり具合に着目して例えば図7に示すようなグレード分けが行われる(S3)。
【0061】
図7はガイドレールのグレードを例示する図である。
ここではグレードaのレールが最も高精度で、aからfにかけて順次精度が低下する。したがって、この段階(S3)において形状パターンとグレードの2つの要素によりグループ化され、例えば図8に示すような分類テーブルが作成される。
【0062】
図8はガイドレールの分類パターン及びグレードとから作成された分類テーブルの一例を示す図である。
本実施形態ではこの分類テーブルを参照してガイドレール組み合わせが決定されていくこととなる。ところで、図5におけるステップS4以下の動作を説明する前に、当該決定を行う上でのレール検索基準となる組み合わせ検索基準及び継ぎ合わせ検索基準について説明する。
【0063】
ここで、組み合わせとは、対となるガイドレールの組みをいう。例えばエレベータでは同一水平面上ではカゴをガイドする4つのガイドレールが設けられて組となっていることが多い。しかし、これらの4つのガイドレールは互いに対向する2つのガイドレールからなる組2つが直交して設けられていると考えることができるので、以下の説明では、互いに対向する2つのガイドレールからなる組を上記組み合わせと取り扱う。
【0064】
一方、継ぎ合わせとは、鉛直方向に接続される2つのガイドレールの組み方をいう。
(組み合わせ検索基準)
まず、組み合わせ判定部33によりその検索が行われる、組み合わせの検索基準について説明する。
【0065】
図8に示す分類テーブルから、各々グループ毎にガイドレールの形状が左右対称となる組み合わせを検索する。例えばA−aとF−aの組み合わせを対向する一対のレールとする。この組み合わせが最も精度の高い組み合わせとなっており、この組み合わせを移動体が高速走行する部分に位置づけする。
【0066】
図9はガイドレールの組み合わせパターンを示す図である。
同図(a)に示す場合(以下、パターン(a)という)では、互いに対向する一対のレールが同方向へ湾曲し、それに続く一対のレールも同様に同方向へ湾曲している。
【0067】
一方、同図(b)に示す場合(以下、パターン(b)という)では、互いに対向する一対のレールが逆方向へ湾曲して左右対称になっている。
パターン(a)は対となる両レールが平行となっているため平行移動型に分類することができ、また、パターン(b)は対となる両レールが対称となっているため左右対称型に分類することができる。
【0068】
なお、エレベータの振動は速度にほぼ比例して増大することが知られているので、パターン(b)の組み合わせとなることをレールの組み合わせ順序を決定する際の一つの条件として入れている。
【0069】
この点について図10を用いて詳しく説明する。
図10はエレベータの走行速度と振動の関係を組み合わせパターン毎にシミュレーションした結果を示す図である。
【0070】
同図に示すシミュレーション結果から、レール形状が平行移動型である場合、すなわちパターン(a)については、エレベータのかごが加振力を受けることになるため、走行速度の増加にともない振動が増加する。
【0071】
これに対してレール形状が左右対称である場合、すなわちパターン(b)については、レールの曲がりによりかごに働く力は相殺され振動が低減される。
このシミュレーション結果よりエレベータが高速走行する場合には、振動を低減させるためにガイドレールの形状は左右対称にすることが望ましいことが判る。すなわち、ガイドレールの組み合わせはパターン(b)の構成が望ましく、このような組み合わせとすれば、エレベータは振動の少ない乗り心地の良いものとなる。
【0072】
よって、本実施形態では、多数のガイドレールの中から、その組み合わせがパターン(b)の構成となるようにし、かつ分類テーブルから最も対称性のよい組み合わせとなるようにガイドレールの組み合わせが決定される。
【0073】
次に図11を用いて組み合わせの対称性の解析について説明する。
図11は、あるグループ(例えば図6のAパターン)の各ガイドレールと、そのグループと対称形状をなす他のグループ(例えば図6のFパターン)の各ガイドレールとの対称性を解析する手法を示したものである。
【0074】
双方のグループの各ガイドレールの形状データは、上述したようにメモリにdH 1(n) ,dV 1(n) ,dH 2(n) ,dV 2(n) 等の数列の形で記憶されている。その測定データを用いてレール#1の縦方向測定データdV 1(n) と、レール#2の縦方向測定データdV 2(n) との変位差をガイドレールの長手方向10箇所について求めて、その変位差の差和TV を求めるための式が(5)式で表される。
【0075】
【数1】
また、横方向の測定データについても同様に
【0076】
【数2】
で表すことができる。
【0077】
このようにして得られた総和TH とTV は、比較対称となった2つのレール#1,#2の形状差を示すものである。本実施形態では、組み合わせパターンについて向かい合うパターン間で、ガイドレール毎にTH とTV の和Tを求める。この和Tの最も大きいレールの組が対称性の最も高い組となる。
【0078】
したがって対となるガイドレールの組み合わせは、レール間の形状差Tが大きいものから順に確定させる。
(継ぎ合わせ検索基準)
次に、継ぎ合わせ判定部34によりその検索が行われる、継ぎ合わせ検索基準について説明する。
【0079】
継ぎ合わせ検索基準としては、以下に2種類の検索基準を説明する。本実施形態では継ぎ合わせ検索基準1を用いて図6に示す決定動作を行うが、このための継ぎ合わせ検索基準として継ぎ合わせ検索基準2もしくは3を用いてもよい。
【0080】
継ぎ合わせ検索基準1:
何本ものガイドレールを継ぎ合わせてエレベータの昇降路を形成する場合、図12に示すように、継ぎ合わせ部分が滑らかになっていないと振動発生の原因となる。
【0081】
図12はガイドレールの継ぎ合わせの様子を示す図である。
そこで、図13に示すように、組み合わせの左右対称性のみならず継ぎ合わせ部分のレール形状がスムーズになるようにガイドレールの据え付け順序を決定する必要がある。
【0082】
図13はエレベータ経路でガイドレールの組み合わせの左右対称性及び継ぎ合わせが良好な場合を示す図である。
ガイドレール継ぎ合わせの適合性は、レール端部の傾きから判断する。横方向の曲がりについてのレール端部の傾きRH と縦方向の曲がりについてのレール端部の傾きRV が互いに一致するガイドレール同志が最も継ぎ合わせの適合性が高いと判断する。
【0083】
図14は本実施形態における継ぎ合わせの適合性の判定手法を示す図である。
同図に示すようにガイドレールのレール端部2箇所の変位からレール端部の傾きを求める。次の(7)式,(8)式は、横方向の曲がりにおけるレール端部の傾きRH ,RV を求めるための数式である。
【0084】
【数3】
【0085】
【数4】
【0086】
次に、走行路の長手方向に隣接する両パターンの中から継ぎ合わせ適合性の高いガイドレールを検索する。
上述したようにレール端部の傾きRH ,RV が一致するガイドレール同士が最も継ぎ合わせの適合性が高いので、レール端部の傾きが等しくなるように、例えば縦方向の曲がりについて次の(5)式を満たすようなガイドレールの組み合わせを検索する。
【0087】
【数5】
【0088】
なお、左右対称をなすガイドレールの組み合わせが決定される場合には、組み合わせ毎にレールの継ぎ合わせの適合性が判定されることになる。
継ぎ合わせ検索基準2:
継ぎ合わせの適合性を判定するもう一つの方法について説明する。
【0089】
例として図15に示すような継ぎ合わせ検索グループ1,2,3があった場合を考える。
図15はガイドレールの継ぎ合わせの組を例示する図である。
【0090】
同図のそれぞれについて、基準直線と形状曲線との差(図示された斜線部分)を求め、これが最小となるグループ(同図では(2))が最も精度の高いものと判定する。言い換えると同図において例えば基準直線より上の部分を正とし、下の部分を負とすると、継ぎ合わせの組について積分値をとり、この値が最も小さくなる組を選択する。
【0091】
そしてこのような組を最高速で走行する部分に割り付ける。
継ぎ合わせ検索基準3:
本継ぎ合わせ検索方法は、上記継ぎ合わせ検索基準1と検索基準2とを組み合わせたものである。
【0092】
あるガイドレールに対する継ぎ合わせとなるガイドレールを検索する場合、この方法においては、まず、分類テーブルから31当該あるガイドレールに対し検索基準2の基づき許容範囲内の積分値を有する継ぎ合わせ組となるようなガイドレールをすべて検索し、継ぎ合わせとなるガイドレールの候補とする。
【0093】
次に、上記候補のそれぞれに対し検索基準1を適用し、最も適合性の高いガイドレールを上記あるガイドレールに対する継ぎ合わせとなるガイドレールとして決定する。
【0094】
以上に、レール検索基準となる組み合わせ検索基準及び継ぎ合わせ検索基準について説明した。次に、これらの検索基準に基づくガイドレール組み合わせ決定動作について、図5に示す流れ図のステップS4からその続きを説明する。
【0095】
ステップS3において、分類テーブルが作成された後、レール組み合わせ決定進行部32により、最高速部分の組み合わせ決定がすべて終了しているか否かが判定される(S4)。
【0096】
次に、まず、最高速部分の組み合わせ決定のスタート時であれば、分類テーブルの最高グレードのガイドレールが任意に1本選択され最初の1本とされる。一方、最初の一本でなければ、ステップS6で後述する組み合わせがなされたガイドレールの何れかに接続されるべきレールの継ぎ合わせ検索が、継ぎ合わせ判定部34によって行われる(S5)。なお、この本実施形態においては上記した検索基準のうち継ぎ合わせ検索基準1が使用されるが、検索基準2もしくは3を用いてもよい。
【0097】
次に、ステップS5で継ぎ合わせのなされたレールに対する組み合わせ選択が組み合わせ判定部33によって行われ、ステップS4に戻る(S6)。
ステップS4においては、最高速部分の組み合わせ決定がすべて終了しているか否かが再び判定され、最高速部分経路の組み合わせが完成すればステップS7に進む。
【0098】
ステップS7〜ステップS9においては、ステップS4〜ステップS6と同様にして、レール組み合わせ決定進行部32により、高速部分経路の組み合わせ決定がなされ、経路の組み合わせが完成すればステップS10に進む。
【0099】
ステップS10〜ステップS13においては、ステップS4〜ステップS6と同様にして、レール組み合わせ決定進行部32により、その他部分経路の組み合わせ決定がなされ、経路の組み合わせが完成すれば終了する。
【0100】
なお、超高速部分経路決定のステップS7〜ステップS9、高速部分経路決定のステップS4〜ステップS6、その他部分経路決定のステップS10〜ステップS13の順に分類テーブルからグレードの高いガイドレールが選択され組み合わされる。したがって、この順に高品質のガイドレールが使用されることになる。
【0101】
これまで述べてきたような組み合わせシミュレーションにより、組み合わせおよび継ぎ合わせの形状を考慮し、且つ品質毎に分けられたガイドレールが選択される。そして移動速度を考慮したガイドレールの据え付け順序はメモリに保存され、必要に応じて表示出力またはプリントする。
【0102】
図16は前述した組み合わせシミュレーションにより決定されたガイドレールの据え付け順序をCRTに出力した例を示す図である。
ガイドレールの据え付け時には、この出力例に記されているレール番号を参照することにより、エレベータ走行時に振動の少ないガイドレールの組み合わせ構成が実現可能になる。
【0103】
上述したように、本発明の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置及び方法によれば、各ガイドレールの形状を測定してこれらを複数のパターンに分類し、その分類パターンを組み合わせて、ガイドレールの形状が左右対称で、継ぎ合わせ適合性の高いレールを検索し、移動体の走行速度を考慮してガイドレールの据え付け順序を決定するので、走行路を形成する複数のガイドレールを、振動の低減が図られるように組み合わせることができる。したがって、たとえ超高速走行であっても、エレベータ走行時に振動の少ない乗り心地のよいエレベータを実現することができる。
【0104】
また本実施形態によれば、移動体の走行方向と直交するガイドレールの2つの方向(縦方向と横方向)に関して、その据え付け順序を決定しているので、滑らかな走行路を形成でき、より振動の少ないガイドレールの組み合わせ構成を実現できる。
(発明の第2の実施の形態)
本実施形態のガイドレール組合せ決定装置及び方法では、図4におけるレール組合決定進行部32におけるガイドレールの組み合わせ決定の進行方法のみが第1の実施形態と異なっており、他の部分は第1の実施形態と同様に構成され動作する。
【0105】
組合せシミュレーション部10の各部の動作を含むガイドレールの組み合わせ決定進行を図17を用いて説明する。
図17は本発明の第2の実施の形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図である。
【0106】
同図においてまずステップS11〜S13の動作は第1の実施形態の図5の流れ図で説明したステップS1〜S3の動作と同様であり、これにより分類テーブルが作成される。
【0107】
次に、最高速部分の経路を構成するのに必要な本数のガイドレールがグレードの高い順に選択される(S14)。
次に、選択されたガイドレールの中で全ガイドレールが組になるように組み合わせ検索が行われる(S15)。
【0108】
そして、組み合わされた全組について組み合わせ同士で継ぎ合わせ検索が行われ、最高速部分経路のガイドレール組み合わせが決定される(S16)。
なお、上記フローでは、最高速部分経路のガイドレール組み合わせ決定についてのみ述べたが最高速部分の決定の後、さらに高速部分,その他部分の決定を同様に行うようにしてもよい。
【0109】
上述したように、本発明の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置及び方法によれば、各ガイドレールの形状を測定してこれらを複数のパターンに分類し、その分類パターンを組み合わせて、ガイドレールの形状が左右対称で、継ぎ合わせ適合性の高いレールを検索し、移動体の走行速度を考慮してガイドレールの据え付け順序を決定するので、第1の実施形態を同様な効果を奏することができる。
(発明の第3の実施の形態)
本実施形態のガイドレール組合せ決定装置及び方法では、図4におけるレール組合決定進行部32におけるガイドレールの組み合わせ決定の進行方法のみが第1の実施形態と異なっており、他の部分は第1の実施形態と同様に構成され動作する。
【0110】
組合せシミュレーション部10の各部の動作を含むガイドレールの組み合わせ決定進行を図18を用いて説明する。
図18は本発明の第3の実施の形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図である。
【0111】
同図においてまずステップS21〜S24の動作は第2の実施形態の図17の流れ図で説明したステップS11〜S14の動作と同様であり、これにより分類テーブル作成、必要本数ガイドレールの選択が行われる。
【0112】
次に、選択されたガイドレールから経路を構成するのに必要な本数の継ぎ合わせ検索が行われる(S25)。すなわちこの場合は、片側のガイドレールについて経路長さになるまで継ぎ合わせのみが行われることになる。
【0113】
そして、継ぎ合わされた片側の経路について、それぞれのガイドレールに対し、ステップS24で選択されたガイドレールから組み合わせ検索が行われ、最高速部分経路のガイドレール組み合わせが決定される(S26)。
【0114】
なお、上記フローでは、最高速部分経路のガイドレール組み合わせ決定についてのみ述べたが最高速部分の決定の後、さらに高速部分,その他部分の決定を同様に行うようにしてもよい。
【0115】
上述したように、本発明の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置及び方法によれば、各ガイドレールの形状を測定してこれらを複数のパターンに分類し、その分類パターンを組み合わせて、ガイドレールの形状が左右対称で、継ぎ合わせ適合性の高いレールを検索し、移動体の走行速度を考慮してガイドレールの据え付け順序を決定するので、第1の実施形態を同様な効果を奏することができる。
【0116】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
例えば上記実施形態ではエレベータ用ガイドレールについて説明したが、本発明はエレベータに限らず、鉄道用のレールやモノレール用のレールなど、長尺材を組み合わせて走行路を形成するガイドレールの組み合わせについて適用できる。
【0117】
また、据え付け順序を外部出力する際には、プリンタに印字をしたり、CRTに表示出力するほか、データ信号として外部に出力することもできる。
また、形状測定装置におけるガイドレールの形状測定については、レーザ変位センサに限らず渦電流センサや超音波センサなどの非接触センサ、画像処理を用いた形状測定法、車輪や接触子を用いた機械的計測法などを適用することもできる。更にレールの測定ポイント数においても変更可能である。
【0118】
また、接続順序を決定する際には最初に継ぎ合わせを決定してから組み合わせを決定しても良い。
なお、実施形態に記載した手法のうちコンピュータにより実現される部分については、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0119】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、各ガイドレールを測定して加工精度の高いレールを高速移動部分に用いるようにしたので、走行路を形成する複数のガイドレールを、振動の低減が図られるように組み合わせることのできるレール組み合わせ決定装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガイドレール組合せ決定装置の一例を示す構成図。
【図2】同実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置の一例を示す外観図。
【図3】同実施形態におけるガイドレールを縦方向及び横方向から測定する様子を示す図。
【図4】同実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置の主要部の構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図。
【図6】ガイドレールの分類パターンを例示する図。
【図7】ガイドレールのグレードを例示する図。
【図8】ガイドレールの分類パターン及びグレードとから作成された分類テーブルの一例を示す図。
【図9】ガイドレールの組み合わせパターンを示す図。
【図10】エレベータの走行速度と振動の関係を組み合わせパターン毎にシミュレーションした結果を示す図。
【図11】あるグループの各ガイドレールと、そのグループと対称形状をなす他のグループの各ガイドレールとの対称性を解析する手法を示した図。
【図12】ガイドレールの継ぎ合わせの様子を示す図。
【図13】エレベータ経路でガイドレールの組み合わせの左右対称性及び継ぎ合わせが良好な場合を示す図。
【図14】同実施形態における継ぎ合わせの適合性の判定手法を示す図。
【図15】ガイドレールの継ぎ合わせの組を例示する図。
【図16】同実施形態における組み合わせシミュレーションにより決定されたガイドレールの据え付け順序をCRTに出力した例を示す図。
【図17】本発明の第2の実施の形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図。
【図18】本発明の第3の実施の形態のガイドレール組み合わせ決定装置におけるガイドレール組み合わせ決定動作を説明する流れ図。
【図19】従来技術でガイドレールを構成させたときの様子を示す図。
【符号の説明】
1…ガイドレール
2…搬送装置
8…制御装置
9…演算装置
10…組み合わせシミュレーン装置
12…測定センサ
14…ナンバリング装置
15…制御盤
30…レール形状測定装置
Claims (10)
- 複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、
前記各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度の高いガイドレールを選択し、移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段と
を備えたことを特徴とするガイドレール組合せ決定装置。 - 複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、
前記各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となるガイドレールの組合せを検索し、当該組合せを移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段と
を備えたことを特徴とするガイドレール組合せ決定装置。 - 複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、
前記各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組を検索し、当該継ぎ合せの組を移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段と
を備えたことを特徴とするガイドレール組合せ決定装置。 - 複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、
前記各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高いもの同士の組であって、かつ、レール長手方向の基準直線に対する張り出しが反対方向となりかつその張り出し量の差が所定値以下となるようにガイドレールの継ぎ合せの組を検索し、当該継ぎ合せの組を移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段と
を備えたことを特徴とするガイドレール組合せ決定装置。 - 複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、
前記各ガイドレールの形状を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組を検索する継ぎ合わせ検索手段と、
前記測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となる組合せのうちの一方のガイドレールを、前記継ぎ合わせ検索手段により検索された他方のガイドレールに対して検索する組合せ検索手段と、
前記継ぎ合わせ検索手段及び組合せ検索手段により検索されたガイドレールの組み合わせを移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段と
を備えたことを特徴とするガイドレール組合せ決定装置。 - 複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定装置において、
前記各ガイドレールの形状を測定し、その測定結果から加工精度及び形状パターンを基準として前記各ガイドレールを分類する分類手段と、
前記分類手段の分類結果を用い、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似する形状パターンのガイドレールを継ぎ合せに関する組として検索する継ぎ合わせ検索手段と、
前記分類手段の分類結果を用い、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となる組合せのうちの一方のガイドレールを、前記継ぎ合わせ検索手段により検索された他方のガイドレールに対して検索する組合せ検索手段と、
前記継ぎ合わせ検索手段及び組合せ検索手段により検索されたガイドレールの組み合わせを移動体が高速走行する部分に配置する組合せ決定手段と
を備えたことを特徴とするガイドレール組合せ決定装置。 - 前記各ガイドレールの形状測定は、レール長手方向と各々直交する横方向及び縦方向について行い、その両方向についての測定結果をガイドレール組合せ決定のための前記測定結果として供することを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項記載のガイドレール組合せ決定装置。
- 複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定方法において、
前記各ガイドレールの形状を測定し、
前記測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度の高いガイドレールを選択し、移動体が高速走行する部分に配置することを特徴とするガイドレール組合せ決定方法。 - 複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定方法において、
前記各ガイドレールの形状を測定し、
前記測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつ左右対称となるガイドレールの組合せを検索し、当該組合せを移動体が高速走行する部分に配置することを特徴とするガイドレール組合せ決定方法。 - 複数のガイドレールの中から移動体の走行路を構成するガイドレールの据え付け順序を決定するガイドレール組合せ決定方法において、
前記各ガイドレールの形状を測定し、
前記測定手段の測定結果に基づき、複数の測定対象の中で加工精度が高くかつレール端部の傾きが近似するガイドレールの継ぎ合せの組を検索し、当該継ぎ合せの組を移動体が高速走行する部分に配置することを特徴とするガイドレール組合せ決定方法。
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