JP3698999B2 - ラインフィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス・空気或は液体の濾過用或はガス・空気等の除湿用のラインフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
配管ラインの途中に設ける濾過用・除湿用のラインフィルタは、通常、中空糸膜等のフィルタ素材を内蔵したケースの両端部にねじ部を形成し、このねじ部に、金属製等の継手部材を螺着し、この継手部材に配管を接続するには、ねじ接続で配管の途中に接合するラインフィルタが知られている。その他、フィルタ素材を内蔵した金属製ハウジングの両端に継手部を有するキャップを溶接して固着することによりフィルタを構成し、この継手部を配管に接続するには、ねじ接続で配管の途中に接合するフィルタも提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来のフィルタには各種の課題点があるため、これらの課題点を改善したフィルタの開発が望まれていた。
即ち、これらのフィルタは、配管にねじ込みにより接合するので、ねじ込み具合によって、配管長が変化してしまうばかりでなく、配管作業には、モンキ、レンチ等の工具が必要である。また、ケースの両端部に、キャップや継手部材をねじ込みによって固着しているので、ねじ込みによる締付トルクがかかるため、ケース自体の強度を上げる必要があり、製品におけるコストアップの要因となる。
更には、キャップや継手部材を配管にねじ込み接合する際に、緩まないように、この部位に接着剤等を用いて固着する必要があり、そのための着脱が極めて不便である。
これらの課題点は、上記のように、製品の組立てや製品化が面倒であって、コストアップの要因になるばかりでなく、重量が嵩み、しかも、配管にフィルタを着脱する作業が面倒であり、これに伴って、製品のディスポーザブル化を良好にしたフィルタの開発が要請されていた。
【0004】
本発明は、従来の課題点に鑑みて開発したものであり、その目的とするところは、濾過用・除湿用のフィルタとして小型・軽量であって、コンパクトに製造でき、しかも、配管に対してフィルタの取付や交換が簡単であって、ディスポーザブルフィルタとして好適であると共に、高精度の濾過機能や除湿機能を発揮することができるフィルタを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、筒状のケース本体内に収納した中空糸膜束の両端をポッティング部で固定し、このケース本体の両端部に継手機構を有するキャップを取り付けると共に、このキャップのうち乾燥空気を流出するポッティング部側のキャップの内周面とケース本体外周面との間にパージ通路を形成し、このパージ通路から乾燥空気を取り入れてケース本体内の中空糸膜束の外方に付着している水分をパージ空気によって乾燥させながらパージ孔を通って流出させるようにしたラインフィルタである。
【0006】
請求項2に係る発明は、乾燥空気を流出するポッティング部側から取り入れた乾燥空気を、パージ通路を介してケース本体内に取り入れる部位に、オリフィス孔を設けたシート材を設けた。
【0007】
請求項3に係る発明は、湿潤空気を供給するポッティング部側のケース本体にパージ孔を形成し、このパージ孔を通ってキャップに形成した流出口よりパージするようにした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明における濾過用のラインフィルタと除湿用ラインフィルタの好ましい実施形態を図面に従って詳述する。
【0009】
図1〜図6は、本発明における濾過用ラインフィルタの一例を示したものである。
図1及び図2において、1は透明又は半透明の樹脂製の筒状形態を有するケース本体であり、このケース本体1の内部には、中空糸膜や、フィルタシート或はその他のフィルタエレメント2を設けており、本例においては、一端にポッティング部3を有する中空糸膜を設けている。
【0010】
この中空糸膜は、例えば、0.01μm濾過精度を有し、ポリプロピレン等で形成しており、本例では、ケース1内に中空糸膜束を略U字形状に収納し、ケース本体1の一端よりポリウレタン等の樹脂材を注入してケース1本体内にポッティング部3を固着し、この場合、ポッティング部3の端面を、やや突出形成しておいてケース素材をポッティング部とともに切削して切削面を開口するようにして製造する。
【0011】
また、図5及び図6に示すように、ケース本体1の両端近傍外周に突条部4を形成し、この突条部4は、ケース本体1の中央に向って傾斜面4aを有し、この傾斜面4aに続けて係合面4bを設けた形状を呈している。更に、この突条部4の先方位置に環状段部5を設けている。
更に、ケース本体1の両端縁には、環状の装着段部6が形成され、この装着段部6には、Oリング等のシール部材7,8が設けられており、このシール部材7によって、後述するキャップ9との端面シールと周面シールにより2重にシール機能を発揮するようにしている。
なお、ケース本体1の外周面には、流体の流れ方向を示す矢印を施した矢印刻設部1aを設けている。
【0012】
また、図中9,9は、ケース本体1の両端部に固定する樹脂製の一対のキャップであり、このキャップ9の一端開口部に形成した筒状部9aの内周面には、係止溝10を形成している。この係止溝10は、前記したケース本体1の突条部4に係止される溝であって、この係止溝10は、前記の傾斜面4aに嵌合されるテ−パ面10aと係合面4bに係合される係止面10bを形成している。
更に、キャップ9の内側には、ケース本体1の外端面が当接し、ケース本体1のシール部材7,8と端面シールする環状段部面11が形成されている。
【0013】
また、図3及び図4に示すように、キャップ9,9の内周には、樹脂製チューブ12の挿入端部を係合するためのストッパ13を一体に形成している。このストッパ13の外端面は、環状段部面11より内方に位置し、ストッパ13の内端面にチューブ12が係合するように形成し、ストッパ13の内周部に円弧状部13aを形成している。
【0014】
また、図2において、一対のキャップ9,9の内部には、継手機構14が設けられており、この継手機構14は、押圧リング15と、ガイド筒16、ロックリング17、パッキンリング18より構成されるもので、チューブ12を簡単にかつ確実に着脱できる継手機構で、いわゆるワンタッチによる継手である。
【0015】
更に、キャップ9の外端側外周面に形成された縮径部9bには、流路方向に沿って2条のリブ19,19を形成している。このリブ19は、キャップ9の樹脂成形時の注入部として用いたり、またキャップ9の補強の作用を果たし、或は、キャップ9を内形加工をする際に、このリブ19を治具で固定(チャッキング)する部位としても用いる。
【0016】
次に、上記実施形態の作用を説明する。
まず、図5に示すように、ケース本体1にキャップ9を接続するには、ケース本体1の両端縁に形成した装着段部6にOリング7,8を装着して、ケース本体1の両端部にそれぞれキャップ9を嵌合させると、突条部4がやや弾性を有しているから、キャップ9の開口部内に嵌合されながら、キャップ9の筒状部9aの内周面に形成した係止溝10にスナップ嵌合され、かつ確実に係止される。この状態において、係止溝10のテーパ面10aと傾斜面4aとが係合され、かつ係合面4bが係止面10bに係止されるので、弾性状の突条部4が旧位に復帰した状態で、確実に係止され、ケース本体1の両端にキャップ9が係止固定される。
【0017】
このとき、Oリング7,8は、ケース本体1の環状段部面11と端面シールされると共に、キャップ9の内周面と周面シールするので、このOリング7,8によって2重にシールされて確実に流路が密封形成される。これにより、簡単なスナップ嵌合で流入及び流出流路を形成し、フィルタを小型化することができる。
この状態において、特に、図2に示すように、所定のスペースを有した流路aが形成され、圧力損失の少ない所定の流量が得られる。
更に、濾過用フィルタにチューブ12を接続するには、図1及び図2に示すように、チューブ12をキャップ9に設けた継手機構14に挿入すると、チューブ12の先端部がストッパ13の内周面に当接し、チューブ12の先端部がストッパ13に係合されている状態を挿入したチューブ12の当接感覚で確認することができる。
このとき、チューブ12は、パッキンリング18により周面シールされると共に、ロックリング17がチューブ12の外周面に喰い込むことによりチューブ12は確実に接続され、これに流体圧の圧力が加わると、チューブ12がやや膨張してロックリング17の喰い込み量が増加する。
【0018】
一方、チューブ12を取り外すには、押圧リング15を外方より押圧すると、ロックリング17が押圧されてチューブ12の喰い付き力を解除すると共に、流体を閉止して流体圧が低くなると、チューブ12の喰い込みがなくなり、そのまま、チューブ12を継手機構14より容易に取り外すことができる。
【0019】
また、図1及び図2の矢印が示すように、例えば、空気や窒素等のガスである流体をチューブ12より、ラインフィルタに供給すると、ケース本体1内の中空糸膜2により濾過されてポッティング部3の開口部よりクリーンな流体が供給され、ケース本体1の他方側よりチューブ12に供給される。
【0020】
このとき、チューブ12の端面とポッティング部の開口部との間に所定のスペースを有しているため、中空糸膜2に濾過されたクリーンな流体が全て確実に他方側のチューブ12に供給される。
従って、本例におけるラインフィルタは、精密計測機器、分析機器、半導体製造、印刷、塗装機器及び一般工具、歯科、医科、食品機械などに用いられるガス・空気等の流体に適用される濾過フィルタとして広く適用される。
【0021】
また、図7〜図10は、本発明における除湿用のラインフィルタの実施形態を示したものである。
上記の実施形態と同一部分は、同一符号で示し、その説明を省略する。
図7及び図8において、透明又は半透明樹脂製のケ−ス本体20の内部に中空糸膜で構成したフィルタエレメント21を設け、この中空糸膜21の両端にポッティング部22,23を設けている。
この中空糸膜21は、ケース本体20内に、ポリプロピレン等の中空糸膜で形成したもので、両端には、ポリウレタン等のポッティング部22,23が設けられている。本例において、中空糸膜内蔵型のケース本体20を製造するには、ケース本体20の両端部を延出させたケース内に直線状に中空糸膜束を収納し、次いで、ケース内の両端側よりポッティング剤を注入し、冷却固定した後に、長さ方向のケース本体20の両端の適宜位置を切断すると、両端面が開口されたポッティング部22,23が設けられ、ケース本体20内に中空糸膜21を直接内蔵させたフィルタを製造することができる。
【0022】
また、図8において、24は、ケース本体20の一方側の外周面に装着したOリング、25,26は、ケース本体20の他方側に装着したOリングであり、27は、パージ通路、28は、適宜に選択できるオリフィス孔を設けたシート材であり、このシート材28は、パージ通路27の途中に設ける。29は、パージ通路27より中空糸膜21の外周面に付着している湿気をパージして乾燥させるためのパージ孔であり、29aはパージされた空気を流出するためにケース本体20の他方側に設けられた流出口である。
また、ケース本体20の外周面には、図9及び図10において、上記の例と同様に、突条部4を樹脂製の一対のキャップ30,30の内周面に形成した係止溝10に係止させてケース本体20の両端面にキャップ30を取付ける。この場合の作用効果は上記の例と同一である。
【0023】
本例において、チューブ12の挿入端部は、キャップ30の内周面に形成されたストッパ31に係止され、また一方側のキャップ30には、パージされた空気を流出するための流出口29aを設け、ケース本体20に形成したパージ孔29より流出口29aを通って流出する。この流出口29aには、本例と同様の継手機構を取付けることによって、流出チューブを着脱させることができる。
なお、他方側のキャップには、パージガスを検知するためのインジケータ(図示しない)を取付けるようにしても良い。
【0024】
次に、この実施形態の作用を説明する。
ケース本体20の両端にキャップ30,30を嵌合すると、ケース本体20の突条部4とキャップ30の係止溝10とが係止されて、確実に係止固定することができると共に、キャップ30,30の内周面とケース本体20の外周面とでパージ通路27が形成されるので、ケース本体20にパージ流路27を形成するのに比べ、フィルタを小型化することができる。
図8の状態において、同図の矢印に示すように、湿潤空気を供給すると、ポッティング部22の開口より供給され、この中空糸膜21より、水分を含んだ湿潤空気が外方に濾過され、乾燥空気が他方のポッティング部23より流出される。
一方、乾燥空気は、パージ通路27よりシート材28を通ってケース本体20内の中空糸膜21の外方に付着している水分をパージ空気によって乾燥させながら、パージ孔29を通って他方例のキャップ30に形成した流出口31よりパージされ、長期に亘って中空糸膜が除湿作用を果たすことができる。
【0025】
本例における除湿用ラインフィルタは、上記の例に示した濾過用ラインフィルタと同様の分野において広く適用することができる。
【0026】
図11は、ラインフィルタの更に他の例を示したものであり、フィルタエレメントを内蔵したケース本体32の両端に、エルボ形状のキャップ33,33を固着したものであり、その他の構成並びに作用効果は、上記の各例と同様である。
【0027】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、本発明によると、濾過用や除湿用のラインフィルタとして、コンパクトで、軽量なフィルタを提供することができ、しかもラインチューブの途中に極めて簡単に着脱でき、また、従来品に比較して著しくコストを低減化することができるため、高精度なラインフィルタをディスポーザブル品として提供することができ、実用的価値の高いラインフィルタを得ることができる等の優れた効果を奏する。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における濾過用ラインフィルタの一例を示す正面図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図1におけるケース本体キャップを嵌着する前の状態を示す一部切欠き拡大断面図である。
【図6】図5の嵌着状態を示す一部切欠き拡大断面図である。
【図7】本発明における除湿用ラインフィルタの一例を示す正面図である。
【図8】図7の縦断面図である。
【図9】図7におけるケース本体とキャップを嵌着する前の状態を示す一部切欠き拡大断面図である。
【図10】図9の嵌着状態を示す一部切欠き拡大断面図である。
【図11】本発明における濾過用或は除湿用ラインフィルタの他例を示す正面図である。
【符号の説明】
1、20 ケース本体
2、21 フィルタエレメント(中空糸膜)
3、22、23 ポッティング部
4 突条部
9、30 キャップ
10 係止溝
12 チューブ
13 ストッパ
14 継手機構
Claims (3)
- 筒状のケース本体内に収納した中空糸膜束の両端をポッティング部で固定し、このケース本体の両端部に継手機構を有するキャップを取り付けると共に、このキャップのうち乾燥空気を流出するポッティング部側のキャップの内周面とケース本体外周面との間にパージ通路を形成し、このパージ通路から乾燥空気を取り入れてケース本体内の中空糸膜束の外方に付着している水分をパージ空気によって乾燥させながらパージ孔を通って流出させるようにしたことを特徴とするラインフィルタ。
- 乾燥空気を流出するポッティング部側から取り入れた乾燥空気を、パージ通路を介してケース本体内に取り入れる部位に、オリフィス孔を設けたシート材を設けた請求項1に記載のラインフィルタ。
- 湿潤空気を供給するポッティング部側のケース本体にパージ孔を形成し、このパージ孔を通ってキャップに形成した流出口よりパージするようにした請求項1又は2に記載のラインフィルタ。
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