JP3698575B2 - セラミックス−金属接合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックス部材と金属部材との接合体に係り、特に接合時に生じる残留応力を解放・緩和したセラミックス−金属接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ケイ素焼結体、サイアロン焼結体、炭化ケイ素焼結体、窒化アルミニウム焼結体などのセラミックス部材は、一般に、軽量でかつ高硬度を有する、耐熱性や耐食性に優れる、電気絶縁性に優れるなどの特徴を有しており、これらの特徴を生かして構造用材料や電気・電子部品用材料などとして利用されている。
【0003】
このようなセラミックス部材を構造用材料として使用する場合、セラミックス部材は本来脆性材料であるため、金属材料と接合して用いることが一般的に行われている。一方、セラミックス部材の高電気絶縁性などの特性を利用して、電子部品の搭載基板などとしても使用されており、この際にも回路や部品搭載部の形成などを目的として、金属部材との接合が行われている。このように、セラミックス部材の実用化を考えた場合、金属部材との接合が重要となる。
【0004】
ところで、セラミックス部材と金属部材とを接合する場合には高接合強度が求められる一方、セラミックス部材の熱膨張率が金属部材のそれに比べて小さいため、この熱膨張差に起因する欠点の発生を抑制することが強く求められている。すなわち、熱膨張率が大きく異なるセラミックス部材と金属部材とを接合すると、接合後の冷却過程で熱膨張差に起因する残留応力が生じ、外部応力との相乗によって接合強度が大幅に低下したり、また接合後の冷却過程や冷熱サイクルの付加によってクラックや破壊などが生じる。
【0005】
そこで、セラミックス部材と金属部材との間には、緩衝材としてCuやCu合金もしくはNiやNi合金などの延性金属からなる中間層を介在させ、このような中間層を介してセラミックス部材と金属部材とを接合することが一般的である。このような中間層(緩衝層)を介在させたセラミックス−金属接合体においても、接合後の冷却過程で両部材の熱膨張差に起因する引張りの残留応力がセラミックス部材に生じる。この残留応力は分布を有するため、接合後の冷却過程や冷熱サイクルの付加によって応力の最大点近傍からクラックが発生したり、さらにはセラミックス部材が破壊されるなどの問題がある。クラックやセラミックス部材の破壊などが生じなかったとしても、接合過程で生じる残留応力は接合強度の低下原因となる。
【0006】
このような点に対して、従来のセラミックス−金属接合体においては、接合後に圧縮応力を加えたり、あるいは局所アニールを施して、延性金属中間層を塑性変形させることによって、残留応力を解放・緩和することが試みられている。また、セラミックス−金属接合体の表面にブラスト加工や研削加工を施し、これらによって残留応力を緩和することも検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の残留応力の解放・緩和手法では、必ずしも十分な効果は得られていない。すなわち、従来の手法は中間層全体もしくは接合体全体に対して、圧縮応力の印加、アニール、ブラスト加工や研削加工などの何らかの処理を施すため、分布を有する残留応力を効率よく解放・緩和することができない。さらに、他の部分に対して逆に悪影響を及ぼしたり、接合体の形状精度を低下させるおそれがあるなどの問題がある。
【0008】
上述したように、セラミックス部材と金属部材との接合後に、セラミックス部材に生じる引張りの残留応力は分布を有しているため、その最大点近傍の残留応力を有効にかつ効率よく解放・緩和することが望ましい。このようなことから、セラミックス−金属接合体の特性や形状精度などに悪影響を及ぼすことなく、残留応力を有効にかつ効率よく解放・緩和する技術が強く求められている。
【0009】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、セラミックス部材に生じる引張りの残留応力を有効にかつ効率よく解放・緩和し、良好な接合強度を有すると共に、冷熱サイクルの付加などに対してもクラックの発生を抑制することを可能にした、信頼性に優れるセラミックス−金属接合体を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックス−金属接合体は、請求項1に記載したように、セラミックス部材と、前記セラミックス部材と直接、もしくは延性金属材料からなる中間層を介して接合された金属部材とを具備するセラミックス−金属接合体において、前記セラミックス部材と金属部材との接合過程で前記セラミックス部材に生じた残留応力を解放・緩和するように、接合後の前記中間層または金属部材の前記セラミックス部材との接合界面近傍のみに、前記中間層または金属部材より高硬度の粒子が打ち込まれていることを特徴としている。本発明のセラミックス−金属接合体において、前記粒子は請求項2に記載したように、前記セラミックス部材と金属部材との接合過程で前記セラミックス部材に生じる残留応力が集中した部分の近傍に打ち込むことが望ましい。さらに、請求項3に記載したように、前記粒子は前記中間層の表面から少なくとも20μmの深さまで打ち込むことが好ましく、請求項4に記載したように前記粒子は10μm以上の直径を有することが好ましい。
【0011】
本発明のセラミックス−金属接合体において、前記粒子としては請求項5に記載したように、例えばダイヤモンド粒子、ガラス粒子、セラミックス粒子および硬質金属粒子から選ばれる少なくとも 1種が用いられる。より具体的には、ダイヤモンド、ガラス、アルミナ、クロミア、炭化ケイ素、モリブデン、タングステンなどの粒子が用いられる。
【0012】
本発明のセラミックス−金属接合体において、中間層にCu、Niまたはこれらの合金を用いた場合には、請求項6に記載したように、粒子は中間層に打ち込まれる。このような際には、請求項7に記載したように、例えばセラミックス部材としては窒化ケイ素焼結体、サイアロン焼結体、炭化ケイ素焼結体、アルミナ焼結体などが適用され、かつ金属部材としては鋼材、耐熱合金、超硬合金などが適用される。また、請求項8に記載したように、セラミックス部材に窒化アルミニウム焼結体、窒化ケイ素焼結体、アルミナ焼結体などを用い、金属部材にCu、Niまたはこれらの合金を用いた場合には、粒子は金属部材に打ち込まれる。
【0013】
本発明のセラミックス−金属接合体においては、延性金属からなる中間層または金属部材に高硬度の粒子を打ち込むことによって、セラミックス部材と金属部材との接合過程(接合後の冷却過程)でセラミックス部材に生じた残留応力を解放・緩和している。このような高硬度粒子の打ち込みによる残留応力の解放・緩和は、残留応力が集中する部分に対して選択的に実施することができる。すなわち、高硬度粒子はセラミックス部材に生じた残留応力の集中部分の近傍に位置する中間層部分または金属部材に打ち込んで、応力集中部分の残留応力を有効にかつ効率よく解放・緩和することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
図1は本発明のセラミックス−金属接合体の一実施形態の要部構造を模式的に示す図であり、図1(a)はその正面図、図1(b)はX−X線に沿った断面図である。同図に示すセラミックス−金属接合体1において、2はセラミックス部材であり、このセラミックス部材2は延性金属材料からなる中間層3を介して金属部材4と接合されている。
【0016】
セラミックス部材2は特に限定されるものではなく、窒化珪素焼結体、サイアロン焼結体、窒化アルミニウム焼結体、炭化ケイ素焼結体などの非酸化物系焼結体から、アルミナ焼結体、ムライト焼結体(3Al2 O3 -2SiO2 )などの酸化物系焼結体まで、各種のセラミックス焼結体を適用することができる。
【0017】
例えば、セラミックス−金属接合体1を構造用材料に適用する場合、セラミックス部材2には窒化ケイ素焼結体、サイアロン焼結体、炭化ケイ素焼結体、アルミナ焼結体などを使用することが好ましく、電気・電子部品用材料に適用する場合には、窒化アルミニウム焼結体、窒化ケイ素焼結体、アルミナ焼結体などを使用することが好ましい。
【0018】
また、金属部材4は用途に応じて各種の金属材料から適宜選択すればよく、例えば構造材料用の金属材料としては鋼材、耐熱合金、超硬合金などが例示される。また、電気・電子部品材料用の金属材料としては、Cu、Ni、W、Mo、これらの合金などが例示される。本発明は特にセラミックス部材2との熱膨張係数の差が大きい金属部材4を使用する場合に効果的である。
【0019】
上述したようなセラミックス部材2と金属部材4とは、延性金属材料からなる中間層3を介して接合されている。緩衝層として機能する中間層3には、Cu、Cu合金、Ni、Ni合金などの延性金属材料が用いられる。中間層3の厚さは0.05〜 0.5mm程度とすることが好ましい。中間層3の厚さがあまり薄すぎると緩衝層としての十分な機能が得られず、一方あまり厚すぎるとセラミックス−金属接合体1の機械的強度などを低下させることになる。
【0020】
ただし、金属部材4自体がCu、Cu合金、Ni、Ni合金などの延性金属材料からなる場合には、中間層3を省いて、セラミックス部材2と金属部材4とを直接接合することも可能である。この場合、金属部材4が中間層3の機能も兼ね備えることになる。
【0021】
セラミックス部材2と中間層3および中間層3と金属部材4(もしくはセラミックス部材2と金属部材4)は、具体的にはろう材層5を介して接合されている。ろう材層5は接合対象のセラミックス部材2などに応じて適宜選択されるが、特に活性金属を含むろう材(活性金属ろう材)を用いることが好ましい。
【0022】
活性金属ろう材としては、例えばAg−Cuの共晶組成(72wt%Ag-28wt%Cu)もしくはその近傍組成のろう材を主成分とし、これにTi、Zr、Hf、Nbなどから選ばれた少なくとも 1種の活性金属を添加したもの、あるいはCuに同様な活性金属を添加したものなどが例示される。Ag−Cu系共晶ろう材およびCu系ろう材は活性金属を 1〜10重量% 程度含むことが好ましい。これらのうち、特に活性金属としてTiを含むAg−Cu−Ti合金、Ag−Cu合金とTiとの積層体や混合物、Ag、CuおよびTiの積層体や混合物などのAg−Cu−Ti系複合体が好ましく用いられる。
【0023】
上述したようなセラミックス−金属接合体1において、中間層3のセラミックス部材2との接合界面近傍には、その構成材料より高硬度の粒子6が打ち込まれている。高硬度粒子6はあくまでも接合後の中間層3に対して打ち込まれるものである。図2に、中間層3に対する高硬度粒子6の打ち込み状態を拡大して示す。なお、金属部材4を延性金属材料で構成し、セラミックス部材2と直接接合する場合には、高硬度粒子6は接合後の金属部材4に対して打ち込まれる。
【0024】
このように、接合後の中間層3(もしくは金属部材4)に対して高硬度粒子6を打ち込むことによって、セラミックス部材2と金属部材4との接合過程(接合後の冷却過程)でセラミックス部材2に生じる残留応力を解放・緩和することができる。これによって、残留応力に基づくセラミックス部材2のクラックや破壊などを抑制することができ、さらにはセラミックス−金属接合体1の曲げ強度などの機械的特性を向上させることが可能となる。
【0025】
すなわち、図1(a)に点線で示したように、接合後の冷却過程でセラミックス部材2と金属部材4との熱膨張差に起因して、セラミックス部材2には引張りの残留応力が生じる。このようなセラミックス−金属接合体1の中間層3に対して高硬度粒子6を打ち込むことによって、セラミックス部材2に生じている引張りの残留応力を解放・緩和することができる。さらに、高硬度粒子6の打ち込み条件を制御することによって、部分的に圧縮応力を生じさせることができる。引張りの残留応力を解放・緩和することによって、セラミックス部材2のクラックや破壊などが抑制され、さらには部分的に圧縮応力を生じさせることによって、セラミックス−金属接合体1の曲げ強度などの機械的特性を向上させることができる。
【0026】
接合後の中間層3(もしくは金属部材4)に打ち込む高硬度粒子6は、中間層3(もしくは金属部材4)の構成材料より高硬度を有する粒子6であればよく、中間層3(もしくは金属部材4)に対して衝撃を与え、これによりセラミックス部材2に生じている引張りの残留応力を解放・緩和し得るものであればよい。具体的には、ダイヤモンド粒子、ガラス粒子、アルミナ、クロミア、炭化ケイ素などからなるセラミックス粒子、タングステン、モリブデンなどからなる硬質金属粒子などが用いられる。
【0027】
上記したような高硬度粒子6を各種手段を適用して中間層3(もしくは金属部材4)に打ち込む。打ち込み手段は特に限定されるものではなく、例えばプレス装置、油圧などを利用して高硬度粒子6を打ち込んでもよいし、またエアー圧などを利用して高硬度粒子6を打ち込んでもよい。さらに、セラミックス−金属接合体1をダイヤモンド砥石などを用いて研削する際に、例えば研削液中にダイヤモンド砥粒を混合し、研削と同時にダイヤモンド砥粒を中間層3(もしくは金属部材4)に打ち込むこともできる。この場合、ダイヤモンド砥石による研削方向を、残留応力を解放したい方向に設定することによって、残留応力の解放・緩和効果を高めることができる。
【0028】
高硬度粒子6は特に、中間層3(もしくは金属部材4)のセラミックス部材2に生じた残留応力の集中部分の近傍に打ち込むことが好ましい。すなわち、図1(a)に点線で示したように、セラミックス部材2に生じる引張りの残留応力は分布を有している。従って、高硬度粒子6を中間層3(もしくは金属部材4)の残留応力の集中部分近傍、特に最大点近傍に打ち込むことによって、有効かつ効果的に残留応力を解放・緩和することができる。このように、高硬度粒子6は残留応力が集中する部分の近傍に選択的に打ち込むことができるため、効果的に残留応力を解放・緩和することができる。また、これによって他の部分や形状精度などに悪影響を及ぼすことが回避できる。
【0029】
中間層3(もしくは金属部材4)に打ち込む高硬度粒子6の大きさは、直径10μm 以上であることが好ましい。なお、ここで言う直径とはそれが含まれる最大円の直径を示すものとする。高硬度粒子6の大きさがあまり小さすぎると、残留応力の解放・緩和効果を十分に得ることができない。高硬度粒子6を中間層3に打ち込む場合の大きさはその幅以下で剥離を生じさせなければよいが、特に 150μm 以下程度とすることが好ましい。高硬度粒子6の大きさがあまり大きすぎると、セラミックス−金属接合体1の本質的な機械的特性などを低下させるおそれがある。高硬度粒子6を金属部材4に打ち込む場合も同様である。
【0030】
また、高硬度粒子6は中間層3(もしくは金属部材4)の表面から少なくとも20μm の深さに到達するように打ち込むことが好ましい。高硬度粒子6の打ち込み深さを図2にdで示す。深さdが20μm 未満であると、残留応力の解放・緩和効果を十分に得ることができないおそれがある。セラミックス部材2に生じる残留応力の深さ方向の分布は50〜 100μm 程度であるため、高硬度粒子6は深さdが50μm 以上となるように打ち込むことがさらに好ましく、望ましくは 100μm 以上である。
【0031】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について述べる。
【0032】
実施例1
セラミックス部材として常圧焼結により作製したβ−Si3 N4 焼結体を用意し、これと金属部材としての鉄鋼S45CとをCu緩衝材(厚さ0.2mm)を挟んで接合した。接合は活性金属ろう材(Ag−Cu−Ti)を用いて実施した。
【0033】
次いで、この接合体を 3× 4×40mmの形状に切断した後、面取りを行い、測定面である 4×40mmの面を試料長軸方向に研削した。研削はダイヤモンド砥石を用いて、セラミックス部材側から金属部材側に砥石を進行させて実施した。この際、中間層としてのCu中間層に砥石が到達した時点で、冷却液中にダイヤモンドの砥粒(粒子)を混入させた。これによって、Cu中間層にダイヤモンド粒子を打ち込んだ。
【0034】
このようにして得たSi3 N4 焼結体とS45Cとの接合体の残留応力を、直径 0.1mmにコリメートしたX線を用いた 2θ-sin2 Ψ法により測定した。なお、上記した接合体のCu中間層部分を超音波顕微鏡で観察した結果、Si3 N4 との界面近傍にダイヤモンド粒子が打ち込まれていることが確認された。このダイヤモンド粒子は40μm 程度の大きさを有し、表面から深さ50μm 程度まで埋め込まれていた。
【0035】
一方、本発明との比較例1として、Cu中間層にダイヤモンド粒子を打ち込むことなく、通常の研削のみを実施したSi3 N4 焼結体とS45Cとの接合体を作製した。
【0036】
これら実施例1および比較例1による各接合体の残留応力の測定結果を図1に示す。図1から明らかなように、比較例1の接合体では、Si3 N4 焼結体側に大きな引張り応力が残留しているのに対し、実施例1の接合体では残留応力が解放・緩和されていると共に、部分的に圧縮応力が生じていることが分かる。実施例1の接合体の残留応力分布を、超音波顕微鏡による観察結果と比較したところ、圧縮応力が生じている部分にはダイヤモンド粒子が打ち込まれており、このダイヤモンド粒子の埋め込みにより応力の再分布が起こったことが確認された。
【0037】
このように、延性金属からなる中間層に高硬度の粒子を打ち込むことによって、セラミックス部材と金属部材との接合過程(接合後の冷却過程)でセラミックス部材に生じる残留応力を解放・緩和することができる。従って、残留応力に基づくセラミックス部材のクラックや破壊を抑制することができる。高硬度粒子は残留応力が集中する部分の近傍に選択的に打ち込むことができるため、効果的に残留応力を解放・緩和することができる。
【0038】
実施例2
セラミックス部材としてAlN焼結体を用意し、これと金属部材としてのCuとを活性金属ろう材(Ag−Cu−Ti)を用いて接合した。この接合体を 3× 4×40mmの形状に切断した後、測定面である 4×40mmの面を試料長軸方向に研削した。研削後に、Cu部材の接合面近傍にアルミナ粒子をエアー圧を利用して打ち込んだ。アルミナ粒子の打ち込み位置は、接合後の残留応力の測定結果に基づいて、応力集中部分の近傍とした。
【0039】
このようにして得たAlN焼結体とCuとの接合体の残留応力を、直径 0.1mmにコリメートしたX線を用いた 2θ-sin2 Ψ法により測定した。その結果、実施例1と同様に、残留応力が解放・緩和されていると共に、部分的に圧縮応力が生じていることが分かった。実施例2の接合体の残留応力分布を、超音波顕微鏡による観察結果と比較したところ、圧縮応力が生じている部分にはアルミナ粒子が打ち込まれており、このアルミナ粒子の埋め込みにより応力の再分布が起こったことが確認された。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のセラミックス−金属接合体によれば、他の部分や形状精度などに悪影響を及ぼすことなく、接合後のセラミックス部材に生じる引張りの残留応力を有効にかつ効率よく解放・緩和することができる。従って、良好な接合強度を有すると共に、冷熱サイクルの付加などに対して信頼性に優れるセラミックス−金属接合体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のセラミックス−金属接合体の一実施形態の要部構造を模式的に示す図であり、図1(a)はその正面図、図1(b)はX−X線に沿った断面図である。
【図2】 図1に示すセラミックス−金属接合体における高硬度粒子の打ち込み状態を拡大して示す断面図である。
【図3】 本発明の実施例1および比較例1によるセラミックス−金属接合体の残留応力分布の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1……セラミックス−金属接合体
2……セラミックス部材
3……中間層
4……金属部材
5……ろう材層
6……高硬度粒子
Claims (9)
- セラミックス部材と、前記セラミックス部材と直接、もしくは延性金属材料からなる中間層を介して接合された金属部材とを具備するセラミックス−金属接合体において、
前記セラミックス部材と金属部材との接合過程で前記セラミックス部材に生じた残留応力を解放・緩和するように、接合後の前記中間層または金属部材の前記セラミックス部材との接合界面近傍のみに、前記中間層または金属部材より高硬度の粒子が打ち込まれていることを特徴とするセラミックス−金属接合体。 - 請求項1記載のセラミックス−金属接合体において、
前記粒子は前記セラミックス部材と金属部材との接合過程で前記セラミックス部材に生じる残留応力が集中した部分の近傍に打ち込まれていることを特徴とするセラミックス−金属接合体。 - 請求項1記載のセラミックス−金属接合体において、
前記粒子は前記中間層の表面から少なくとも20μmの深さまで打ち込まれていることを特徴とするセラミックス−金属接合体。 - 請求項1記載のセラミックス−金属接合体において、
前記粒子は10μm以上の直径を有することを特徴とするセラミックス−金属接合体。 - 請求項1記載のセラミックス−金属接合体において、
前記粒子は、ダイヤモンド粒子、ガラス粒子、セラミックス粒子および硬質金属粒子から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするセラミックス−金属接合体。 - 請求項1記載のセラミックス−金属接合体において、
前記中間層はCu、Niまたはこれらの合金からなり、かつ前記粒子は前記中間層に打ち込まれていることを特徴とするセラミックス−金属接合体。 - 請求項6記載のセラミックス−金属接合体において、
前記セラミックス部材は窒化ケイ素焼結体、サイアロン焼結体、炭化ケイ素焼結体またはアルミナ焼結体からなり、かつ前記金属部材は鋼材、耐熱合金または超硬合金からなることを特徴とするセラミックス−金属接合体。 - 請求項1記載のセラミックス−金属接合体において、
前記セラミックス部材は窒化アルミニウム焼結体、窒化ケイ素焼結体またはアルミナ焼結体からなると共に、前記金属部材はCu、Niまたはこれらの合金からなり、かつ前記粒子は前記金属部材に打ち込まれていることを特徴とするセラミックス−金属接合体。 - 請求項1記載のセラミックス−金属接合体において、
前記セラミックス部材と中間層および前記金属部材と中間層は、活性金属を含むろう材により接合されていることを特徴とするセラミックス−金属接合体。
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