JP3698024B2 - モータの駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスDCモータやステップモータ等のように、回転子の位置に応じて励磁相を切り換えて転流制御を行うことにより、回転駆動させるようにしたモータの駆動装置に関し、特に、モータの駆動対象物の位置検出を行うための位置検出器を利用してモータの転流制御を行うようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスDCモータやステップモータ等のように回転子に永久磁石を用いたモータの回転子位置を検出する技術として、従来から、固定子巻線の開放相(無通電相)に発生する逆起電圧を利用したものがある。すなわち、励磁コイルから得られる逆起電圧を検出し、この検出した逆起電圧が中性点電圧とクロスするゼロクロス点を求めて回転子位置を検出するものである。この場合の転流制御は、例えば前記ゼロクロス点から位相を30度シフトした点で転流動作を行うことにより実現している。
【0003】
このため、モータが停止しているときには励磁コイルから逆起電圧は得られず、センサレス駆動を行うことができないので、モータ停止状態から回転駆動を行う起動時には、いわゆる強制転流を行って回転子を強制駆動し、これにより励磁コイルから所定値以上の逆起電圧が得られるようになってから、センサレス駆動に移行するようにしている。
【0004】
このようなモータのセンサレス制御に対し、モータにホール素子を設けこれによって回転子の位置を検出し、これに基づいてモータを駆動する方法等も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、逆起電圧に基づいてセンサレス制御を行う場合には上述のように低速では制御を行うことができないため、停止、起動を繰り返すような駆動制御を行う場合には不向きである。また、ホール素子等を用いて制御する方法によれば、低速でも制御を行うことができるが、回転子磁極の磁極分割幅のばらつきや、ホール素子の設置位置のばらつき等が、そのまま転流タイミングの誤差として制御の精度に影響するため、逆起電圧が検出可能な速度範囲での動作では、逆起電圧に基づくセンサレス制御の方が前述のような誤差を含まないために安定するのが現状であり、低速であっても制御を行うことができ、且つより高精度にモータを制御することの可能な駆動方法が望まれていた。
【0006】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、低速であっても確実に制御を行うことが可能であり、且つより高精度にモータの駆動制御を行うことの可能な、モータの駆動装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るモータの駆動装置は、回転子と固定子巻線とを備えたモータの駆動装置であって、前記モータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物には、当該駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器が設けられ、前記パルス信号に基づいて前記駆動対象物の位置制御が行われるようになっているものにおいて、前記パルス信号を利用して前記モータの転流制御を行う転流制御手段を備えることを特徴としている。
【0008】
この請求項1に係る発明では、モータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物には、駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器が設けられ、このパルス信号を利用して、転流制御手段によって、モータの転流制御が行われる。
つまり、駆動対象物はモータにより駆動されるから、駆動対象物の移動量はすなわちモータの回転量に比例し、駆動対象物の移動状況からモータの回転状況を検出することができ、つまり回転子の位置を検出することができる。よって、位置検出器からの検出信号に基づいてモータの転流制御を行うことによって、モータが低回転域であっても的確に転流タイミングを検出することが可能となる。
【0009】
また、請求項2に係るモータの駆動装置は、回転子と固定子巻線とを備えたモータの駆動装置であって、前記モータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物には、当該駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器が設けられ、前記パルス信号に基づいて前記駆動対象物の位置制御が行われるようになっているものにおいて、前記位置検出器は、前記モータの一転流区間あたりに少なくとも1以上のパルスを出力可能に構成され、前記モータの回転子が初期位置にある状態を基準として前記位置検出器からのパルスを前記モータの回転方向に応じて加算又は減算するカウント手段と、前記モータの一転流区間あたりのパルス数に基づき設定した転流タイミングを規定する転流パターンを記憶する転流パターン記憶手段と、前記カウント手段のカウント値が、前記転流パターン記憶手段で記憶する転流パターンと一致するとき、前記モータの転流を行う転流制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
この請求項2に係る発明では、モータが回転しこれによって駆動対象物が移動すると、この駆動対象物に設けられた位置検出器からのパルス信号のパルスがモータの回転方向に応じてカウントされ、モータの回転子が転流タイミングに応じた位置にあるときを基準とするカウント値が転流パターン記憶手段で記憶する転流パターンと一致するときにモータの転流が行われる。前記転流パターンは、予め検出した一転流区間あたりに受信するパルス信号数に基づいて設定されるから、前記カウント値と転流パターンとが一致する時点で転流を行うことにより、的確な転流タイミングで転流が行われることになる。
【0011】
また、請求項3に係るモータの駆動装置は、請求項2に係るモータの駆動装置において、前記転流パターンは、一転流区間あたりの前記パルス数である区間パルス数を前記区間パルス数の和が整数値となるまで加算し、各加算回における前記区間パルス数の和の小数点以下を四捨五入して整数値とし、これを昇順に並べた数値列に基づき設定された転流タイミング値列から構成され、前記転流制御手段は、前記転流タイミング値を、前記転流パターンにおける転流タイミング値の並び順に繰り返し切り換え、この転流タイミング値と前記カウント値が一致する毎に転流を行うことを特徴としている。
【0012】
この請求項3に係る発明では、転流パターンは、一転流区間あたりのパルス信号数である区間パルス数を順次加算したときに、その和が整数値となるまでの加算回数個の数値列で構成される。前記区間パルス数は、一転流区間あたりのパルス信号数であるから、カウント値が区間パルス数と一致する毎に転流を行えばよいが、区間パルス数が整数値でない場合には区間パルス数に基づく転流タイミングと、カウント値に基づく実際の転流タイミングとがずれることになる。
【0013】
ここで、区間パルス数を何回か加算したときに整数値となるような場合には、整数値となった時点では区間パルス数に基づいて決めた転流タイミングと、回転子の位置に対応した真の転流タイミングとは一致するから、この時点では転流タイミングのずれは生じない。したがって、この区間パルス数を加算したときに整数値となるまでの回数を1サイクルとし、この1サイクルにおいて、区間パルス数に基づく各転流タイミングにおける区間パルス数の和の小数点以下を四捨五入して整数値で表し、例えば前記四捨五入して近似した整数値を転流タイミング値としてその昇順に並べた数値列、或いは近似した整数値間の差を転流タイミング値として、加算回の昇順に並べた数値列を、転流パターンとして設定する。そして、転流パターンでの並び順にしたがって転流タイミング値を順次切り換え、各転流タイミング値とカウント値とが一致する毎に転流を行うようにすれば、区間パルス数に基づく転流タイミングとカウント値に基づく転流タイミングとのずれは1サイクルの転流を行った時点、つまり、転流パターンを構成する各転流タイミング値に基づき一通り転流を行った時点で零となる。よって、転流を行う毎に誤差が累積されることはない。
【0014】
また、本発明の請求項4に係るモータの駆動装置は、回転子と固定子巻線とを備えたモータの駆動装置であって、前記モータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物には、当該駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器が設けられ、前記パルス信号に基づいて前記駆動対象物の位置制御が行われるようになっているものにおいて、前記位置検出器は、前記モータの一転流区間あたりに少なくとも1以上のパルスを出力可能に構成され、予め検出した前記モータの一転流区間あたりの前記位置検出器からのパルス数である区間パルス数の逆数を転流定数として記憶する転流定数記憶手段と、前記モータの回転子が初期位置にある状態を基準として前記位置検出器からパルスを受信する毎に前記転流定数記憶手段で記憶する転流定数を前記モータの回転方向に応じて加算又は減算し、この転流定数の累積値が整数値となったとき又は前記累積値の整数部が変化したとき又は前記累積値の符号が変化したときに、前記モータの転流を行う転流制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の請求項5に係るモータの駆動装置は、請求項4に記載のモータの駆動装置において、前記転流定数は、前記回転子を所定量回転させる際に必要とする転流回数を、前記回転子を前記所定量回転させる場合に受信すべきパルス数の設計値で除算した値であることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の請求項6に係るモータの駆動装置は、請求項4に記載のモータの駆動装置において、前記転流定数は、前記回転子を所定量回転させる際に必要とする転流回数を、前記回転子を前記所定量回転させた場合に受信したパルス数の計測値で除算した値であることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の請求項7に係るモータの駆動装置は、請求項6に記載のモータの駆動装置において、前記転流定数は、前記回転子を一回転させる際に必要とする転流回数を、前記回転子を一回転させた場合に受信したパルス数の計測値で除算した値であることを特徴としている。
【0018】
また、本発明の請求項8に係るモータの駆動装置は、請求項4乃至7の何れかに記載のモータの駆動装置において、前記転流定数をT、その小数点以下の有効桁数をn、前記駆動対象物の移動量をL、前記位置検出器の分解能(駆動対象物の移動量/パルス数)をB、前記パルス信号に基づき推定される前記回転子の推定位置と回転子の実位置との偏差の許容値を電気角でσ、一転流間の電気角をFとした場合に、(T+(L/B)×(5/10n+1 ))×F<σなる関係が成立していることを特徴としている。
【0019】
また、本発明の請求項9に係るモータの駆動装置は、請求項4乃至8の何れかに記載のモータの駆動装置において、前記駆動対象物はインクジェットプリンタのインク吐出ヘッドであって、前記転流定数の小数点以下の有効桁数は4乃至8桁であることを特徴としている。
【0020】
この請求項4乃至9に係る発明では、モータが回転しこれによって駆動対象物が移動すると、この移動に伴い、駆動対象物に設けられた位置検出器からパルス信号が出力され、モータの回転子が転流タイミング位置に応じた初期位置にあるときを基準として、パルスを入力する毎にモータの回転方向に応じて、転流定数が例えば正転時には加算、逆回転時には減算される。
【0021】
ここで、転流定数は、モータの一転流区間あたりの位置検出器からのパルス数の逆数であるから、小数点以下の値となる。したがって、転流定数の累積値の整数部が変化したとき、又は累積値が零を含む整数値となったとき、又は累積値の符号が変化したとき、つまり正値から負値となった場合或いはその逆となったときが、すなわち転流タイミングとなり、この転流タイミングにおいて転流を行えば、的確なタイミングで転流が行われることになる。
【0022】
また、前記転流定数は、前記回転子を所定量だけ回転させる際に必要とする転流回数を、回転子を前記所定量だけ回転させた場合に受信すべきパルス数の設計値で除算すれば容易に算出することができる。また、回転子を所定量回転させた場合に実際に受信したパルス数を計測し、これに基づき転流定数を算出すれば、モータの駆動力の伝達系の実際の伝達特性に応じた転流定数を設定することが可能となる。特に、回転子を一回転させた場合に受信したパルス数を計測し、これに基づき転流定数を算出すれば、モータ内部の部品の寸法誤差等による各転流タイミング毎のばらつきが、全て平均化された転流定数を得ることができ、転流タイミング誤差の累積を防止することが可能となる。
【0023】
また、転流定数Tは、転流定数Tの小数点以下の有効桁数nを、駆動対象物の移動量をL、位置検出器の分解能(駆動対象物の移動量/パルス数)をB、前記パルス信号に基づき推定される回転子の推定位置と実位置との差の許容値を電気角でσ、一転流間の電気角をFとした場合に、(T+(L/B)×(5/10n+1 ))×F<σを満足するように設定されるから、駆動対象物の移動量或いは位置検出器の分解能等の各変数が変化した場合でも、許容値σを満足し得る転流制御を行うことが可能となる。
【0024】
特に、前記駆動対象物がインクジェットプリンタのインク吐出ヘッドである場合には、転流定数の小数点以下の有効桁数nを4桁又は8桁に設定すれば、ほぼ全ての用紙サイズのプリンタに対して適用することが可能となる。
【0025】
また、請求項10に記載のモータの駆動装置は、請求項4乃至9の何れかに記載のモータの駆動装置において、前記転流制御手段は、前記転流定数を加算しているときには、前記転流定数の累積値が1以上となる毎に前記累積値から1を減算し、前記転流定数を減算しているときには、前記累積値が0以下となる毎に前記累積値に1を加算することを特徴としている。
【0026】
また、請求項11に記載のモータの駆動装置は、請求項4乃至9の何れかに記載のモータの駆動装置において、前記転流制御手段は、前記転流定数の小数点以下の桁数をmとしたとき、前記転流定数を10m 倍して桁数mの整数値として扱い、前記転流定数の累積値の上位側m+1桁目が変化したとき又は前記累積値が零となったとき又は前記累積値の符号が変化したときに、転流を行うことを特徴としている。
【0027】
また、請求項12に記載のモータの駆動装置は、請求項11記載のモータの駆動装置において、前記転流制御手段は、前記転流定数の累積値に対し、その上位側m+1桁目が変化する毎に前記累積値から10m を減算し、且つ前記累積値が0以下となる毎に前記累積値に10m を加算することを特徴としている。
【0028】
前記請求項10に係る発明では、転流制御手段は、転流定数を加算しているときには累積値が1以上となる毎に転流定数の累積値から1を減算し、逆に転流定数を減算しているときには累積値が零以下となる毎に累積値に1を加算するから、転流定数の累積値の桁数が増加することを回避することが可能となる。
【0029】
一方、請求項11に係る発明では、転流制御手段では、転流定数の小数点以下の桁数がmであるとき、転流定数を10m 倍して整数値として扱うようにしているから、整数値のみの演算となり演算を簡略することが可能となる。
【0030】
また、このときにも、転流定数の上位側m+1桁目が変化する毎に累積値から10m を減算し、逆に累積値が零以下となる毎に累積値に10m を加算することにより、転流定数の累積値の桁数の増加を回避することが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を伴って説明する。
【0032】
まず、本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は、本発明を適用したブラシレスモータ1の駆動装置10を示す構成図である。
【0034】
すなわち、ブラシレスモータ1は、U相、V相、W相という三つの固定子巻線がスター結線された三相ブラシレスモータであって、駆動装置10はインバータ11を有していて、そのインバータ11の各出力端子がブラシレスモータ1のU相〜W相の各端子に接続されている。インバータ11は、例えば電源側トランジスタ及び接地側トランジタを接続した組をU相〜W相に対応して三組備えた公知の構成を備えていて、インバータに含まれる合計六つのトランジスタのオン・オフが、転流制御回路12から供給される転流信号によって制御されることにより、ブラシレスモータ1の各相が順に励磁されて回転駆動されるようになっている。
【0035】
前記ブラシレスモータ1の回転軸には、図示しないが、例えば歯車機構を介してプリンタの紙送り機構が連結され、ブラシレスモータ1を駆動制御することによって、ブラシレスモータ1の回転力が歯車機構を介して前記紙送り機構を構成する紙送り用のローラ軸に伝達されて紙送り制御が行われるようになっている。
さらに、前記紙送り用のローラ軸には、ローラ軸の回転角度を検出するための、例えばロータリエンコーダ等といった位置検出器15が設けられている。
【0036】
この位置検出器15は、位相の異なるA相及びB相の二種類のパルス信号を出力し、これら二種類の信号の位相の関係から回転方向を検出可能に構成されている。また、この位置検出器15は、ブラシレスモータ1の一転流区間に複数のパルスを発生可能な分解能を有している。
【0037】
前記転流制御回路12は、例えばマイクロコンピュータ、後述の転流パルス数列P等を記憶するためのROM等の記憶装置、等を含んで構成され、前記位置検出器15からの二種類のパルス信号が入力される。そして、転流制御回路12は、前記位置検出器15からの二種類のパルス信号に基づいてブラシレスモータ1の回転方向を検出すると共に、パルス信号のエッジ(以下、パルスエッジという。)を検出し、このパルスエッジに基づいて回転方向に応じてパルス数をカウントし、前記ブラシレスモータ1が正転し紙送り機構により紙送りが行われる方向に駆動されるときにはパルスを加算し、逆にブラシレスモータ1が逆回転するときにはパルスを減算し、このパルスのカウント数と所定の記憶領域に格納された前記転流パルス数列Pとに基づいて前記ブラシレスモータ1の転流タイミングを決定する。
【0038】
また、転流制御回路12は、インバータ11の図示しない各トランジスタのうち、オン状態にすべきトランジスタの組み合わせを数値化して管理する転流モードという変数を有しており、この転流モードと1対1に対応する転流信号をインバータ11に出力するように構成されている。前記転流信号は、インバータ11の各トランジスタのオン・オフを個別に制御する信号列で構成され、図示しない上位装置からの指令信号で指示された回転方向にブラシレスモータ1を回転させるべく、転流モードを前述の転流タイミングに同期して適切な値に切り換える。
この転流モードに応じた転流信号をインバータ11に出力することによって、ブラシレスモータ1の固定子巻線U相〜W相の励磁切り換えが適切に行われ、ブラシレスモータ1の回転が実現される。さらに、転流制御回路12は、公知のブラシレスモータにおける駆動制御処理と同様にして、位置検出器15からのパルス信号に基づいて紙送り用ローラ軸の回転速度或いは回転角度をリアルタイムで計測し、例えばPWM信号のような制御信号を前記転流信号に重畳して、紙送り用ローラ軸の回転速度制御や回転角度制御を行う。
【0039】
前記転流パルス数列Pは、次のようにして設定される。すなわち、例えば、インバータ11の各相の逆起電力電圧の中間電圧を検出し、これから30度ずれた位置を転流タイミングとする公知の方法等に基づいてブラシレスモータ1を駆動させ、例えば、複数の転流区間における位置検出器15からのパルス数をカウントし、このパルス数を転流区間数で除算すること等によって、一転流区間における位置検出器15からのパルス数である、区間パルス数Mを算出する。
【0040】
ここで、例えば、5転流区間のパルス数が“102”である場合等、区間パルス数Mが分数(この場合102/5=20.4)で記載されるものとする。この場合、区間パルス数Mは“20.4”であるから、表1の転流位置真値に示すように、真の転流タイミングは、ブラシレスモータ1の回転子が転流タイミングの位置にある初期状態からのパルス数が、20.4、40.8、61.2、81.6、……、となる時点である。
【0041】
【表1】
Figure 0003698024
【0042】
しかしながら、パルス信号の累積値は整数であるから、累積値と、真の転流タイミングつまり転流位置真値と、の誤差が最も小さくなる整数値を、小数点以下を四捨五入して求めて転流タイミングを表す延べ信号数とし、各転流タイミングにおける延べ信号数どうしの差を転流間信号数として設定する。つまり、1回目の転流タイミングでは、転流位置真値はパルス信号の累積値が“20.4”となる時点であり、これに最も近い整数値は“20”であるから延べ信号数は“20”と設定され、このとき、転流位置真値と延べ信号数との誤差は“−0.4”となる。同様に、2回目の転流タイミングは転流位置真値はパルス信号の累積値が“40.8”となる時点であるから、延べ信号数は“41”として設定されその誤差は“+0.2”となり、1回目と2回目の転流間信号数は“21”となる。
そして3回目及び4回目の転流タイミングも同様にして設定され、5回目の転流タイミングの場合には、転流位置真値が“102”であり整数であるから、これが延べ信号数として設定され、転流間信号数は“20”となり、5回目の転流タイミングで延べ信号数と転流位置真値との誤差が“±0”となる。
【0043】
続いて、6回目の転流タイミングでは、転流位置真値は“120.4”となるから、延べ信号数は“120”となり、転流間信号数は“20”、その誤差は“−0.4”となり、前記転流間信号数及びその誤差は前述の1回目と同様になり、以後、上記2回目以降と同様に、転流間信号数は、“21,20,21,20”を繰り返すことになる。したがって、1回目の転流タイミングから、転流位置真値と延べ信号数との誤差が零となる5回目の転流タイミングまでの転流間信号数からなる数列“20,21,20,21,20”を転流パルス数列Pとして設定し、これを所定の記憶領域に記憶しておく。つまり、例えば前記駆動装置10、ブラシレスモータ1及びこのブラシレスモータ1の駆動対象としての紙送り機構に設けられた位置検出器15からなるシステムの工場出荷時等に予め転流パルス数列Pを設定し、これを所定の記憶領域に記憶しておく。
【0044】
次に、上記第1の実施の形態の動作を、転流制御回路12での処理手順の一例を示すフローチャートを伴って説明する。
【0045】
転流制御回路12では、起動されると図2に示す転流制御処理を開始し、まず、ステップS101で、転流原点設定処理を行い、転流タイミングを検出するための基準となる転流原点を設定する。具体的には、図3に示すように、まず、ステップS201で初期処理を行い、公知の処理と同様にして初期励磁引き込みを行って、ブラシレスモータ1の回転子を回転させる。
【0046】
そして、例えば所定時間パルスエッジを検出しないかどうか等に基づいて、回転子が引き込み位置に停止したことを検出するとステップS202に移行し、上位装置からのブラシレスモータ1の起動時の回転方向を指示する指令信号に基づきブラシレスモータ1の起動方向を判別し、回転指示方向が正転方向の場合には、ステップS203に移行してカウント数CをC=0に設定すると共に、予め設定されて所定の記憶領域に格納されている前記転流パルス数列Pを構成するnMAX 個の転流間信号数Pnを特定するための変数nをn=1に設定する。逆に、上位装置からの回転指示方向が逆転方向の場合には、ステップS202からステップS204に移行しカウント数CをC=PnMAX 、前記転流間信号数Pnを特定するための変数nをn=nMAX に設定する。これにより転流原点設定処理が終了する。なお、前記PnMAX は、転流パルス数列Pの末尾の転流間信号数、つまり、nがnMAX であるときの転流間信号数を表す。
【0047】
このようにして図2のステップS101で転流原点設定処理が終了し、上位装置からブラシレスモータ1の起動を指示する起動指令パルスが入力されると、ステップS102からステップS103に移行し、図4の起動処理を実行する。
【0048】
この起動処理では、まず、ステップS301で上位装置から指示された回転方向を判定し、正転方向であるときにはステップS302に移行し、正転方向に起動すべく転流モードを1回切り換える等して正転時の起動処理を実行する。一方、回転指示方向が逆転方向であるときにはステップS301からステップS303に移行し、逆転方向に起動すべく転流モードを1回切り換える等して逆転時の起動処理を実行する。これにより起動処理が終了する。
【0049】
切り換えられた転流モードに対応した励磁相がインバータ11を介して励磁され、このとき、前述の回転速度制御等によって転流信号を制御することによって、ブラシレスモータ1が回転すると、この回転力が図示しない歯車機構を介して紙送り機構に伝達され、紙送り機構が駆動されて紙送りが行われる。
【0050】
紙送り機構の駆動に伴って位置検出機15からパルス信号が出力されると、転流制御回路12では、パルス信号のパルスエッジの検出を行い、図2のステップS104でパルスエッジを検出したときにはステップS105に移行し転流カウント処理を実行した後、ステップS106に移行する。一方、ステップS104でパルスエッジを検出しないときにはそのままステップS106に移行する。
【0051】
ここで、前記ステップS105での転流カウント処理は、図5に示す処理手順にしたがって行う。
【0052】
まず、ステップS211で、位置検出器15からの二種類のパルス信号からブラシレスモータ1が正転しているか逆転しているかを判定する。ブラシレスモータ1が例えば正転していると判定されるときにはステップS212に移行し、カウント数Cを“1”だけインクリメントし、次いで、ステップS213に移行して、所定の記憶領域に予め格納されている転流パルス数列Pを参照し、そのn番目の転流間信号数Pnとカウント数Cとが一致するかどうかを判定する。
【0053】
そして、例えばn=1であるときには、転流間信号数P1は前記表1から“20”となるから転流カウント処理を終了し、図2に戻る。以後、ブラシレスモータ1が正転方向に回転しているときには、パルスエッジを検出する毎にステップS211からS212を経てステップS213に移行し、カウント数Cを“1”ずつインクリメントする。そして、カウント数Cが転流間信号数P1=20となったときステップS213からステップS214に移行し、正転方向に転流モードを切り換える。これによって励磁相が切り換わり、ブラシレスモータ1が継続して回転する。
【0054】
続いてステップS215に移行し、変数nが転流パルス数列Pを構成する転流間信号数の数を表すnMAX に等しいときにはステップS216に移行して変数nをn=1にリセットした後、ステップS218に移行し、変数nがn=nMAX でないときにはステップS217に移行して変数nを“1”だけインクリメントした後、ステップS218に移行する。そして、ステップS218でカウント数CをC=0にリセットした後、転流カウント処理を終了して図2に戻る。
【0055】
このように、ブラシレスモータ1が正回転している間は、パルス信号のエッジが検出される毎にカウント数Cを“1”ずつインクリメントし、カウント数Cが転流間信号数Pn、つまりP1(=20)、P2(=21),P3(=20),P4(=21),P5(=20)と一致する毎に転流モードの切り換えを行う。
そして、転流パルス数列Pの最後の転流間信号数P5の次はまたP1に戻り、これを繰り返し行うことによって、転流間信号数Pnの並び順の先頭から順にPnの値が切り換わり、カウント数Cがこの転流間信号数Pnとなった時点で転流モードの切り換えが行われる。
【0056】
この状態から、例えば紙送り機構の調整等を行うために、正回転しているブラシレスモータ1が停止された後、上位装置からブラシレスモータ1を逆回転させる起動指令パルスが入力されると、ブラシレスモータ1が停止している状態では、パルスエッジが検出されないから、ステップS102,S104,S106の処理を繰り返し行い、転流カウント処理は行わず上位装置からの指令信号を待つ状態を維持し、上位装置から起動指令パルスが入力されると、ステップS102からステップS103に移行し、図4に示す起動処理を行う。この場合、回転指示方向は逆転方向であるから、ステップS301からステップS303に移行し、ブラシレスモータ1を逆転方向に回転すべく転流モードを一回切り換える。
【0057】
これによりブラシレスモータ1が逆回転され、パルスエッジを検出するとステップS104からステップS105に移行し、図5の転流カウント処理を実行する。ブラシレスモータ1は逆回転しているから、ステップS211からステップS221に移行し、カウント数Cを“1”だけデクリメントする。
【0058】
次いで、ステップS222に移行してカウント数CがC=0であるかどうかを判定し、C=0でなければ転流カウント処理を終了し図2に戻る。C=0であるときにはステップS223に移行し、転流タイミングであるとして転流モードを逆転方向に切り換える。次いで、ステップS224に移行し、変数nがn=0であるときにはステップS225に移行してn=nMAX に設定した後ステップS227に移行し、変数nがn=0でないときにはステップS226に移行してnを“1”だけデクリメントした後ステップS227に移行する。そして、ステップS227でカウント数CをC=Pnに設定した後、転流カウント処理を終了し図2に戻る。
【0059】
このように、ブラシレスモータ1が逆回転している間は、パルスエッジが検出される毎に、カウント数Cを“1”ずつデクリメントし、カウント数CがC=0となった時点で転流モードの切り換えを行い、変数nを“1”ずつデクリメントして、カウント数CをC=Pnに設定する。つまり、正転時とは逆に、転流間信号数Pnの並び順の後ろから順にPnの値が切り換わる。
【0060】
そして、上位装置からブラシレスモータ1の駆動終了、つまり、図2の転流制御処理の停止が通知されると、ステップS106でこれを検出し処理を終了する。
【0061】
ここで、一転流区間におけるパルス数、つまり区間パルス数Mは“20.4”であるから、例えばカウント数Cが“20”となる毎にこの時点を転流タイミングとするようにした場合、真の転流タイミングはカウント数Cが“20.4”となる位置であり、一回の転流毎に、“0.4”ずつ転流タイミングが早まることから、転流を繰り返す毎にこれが加算されて真の転流タイミング位置との誤差が大きくなり、徐々に転流タイミングが早まっていき、やがては誤動作することになる。逆に、カウント数Cが“21”となる毎にこの時点を転流タイミングとして設定した場合、一回の転流毎に、“0.2”ずつ転流タイミングが遅くなり、転流を行う毎にこれが加算されて誤差が大きくなり、徐々に転流タイミングが遅くなって、誤動作を引き起こすことになる。
【0062】
しかしながら、上記表1に示すように、転流タイミング毎に区間パルス数Mを加算したときにその累積値が整数値となるまでの期間を1サイクルとし、この期間の各転流タイミングにおける、真の転流タイミングである区間パルス数Mの累積値との誤差が最小となるように、転流間信号数を設定するようにしたから、1サイクル経過した時点での真の転流タイミング位置と実際の転流タイミングとの誤差は必ず零となり、さらに、1サイクル内における各転流タイミングは、真の転流タイミング位置との誤差が最小となるように、1サイクル内の転流間信号数を設定したから、転流を行う毎に誤差が加算されることはなく、誤差は常にパルス半カウント分以下となり、誤差を最小に抑えることができる。
【0063】
また、このとき、位置検出器15の検出信号を利用して転流制御を行うと共に、紙送り速度制御或いは紙送り量制御等をも行うようにしているから転流制御用の位置検出器を専用に設ける必要がなく、駆動装置10の構成品数の削減を図ることができる。
【0064】
また、位置検出器15からのパルス信号に基づいて転流タイミングを検出するようにしているから、位置検出器15からパルス信号が出力されていれば転流制御を行うことができる。よって、従来のように逆起電力電圧に基づいて転流制御を行うような場合には、ブラシレスモータ1の回転速度がある程度以上ないと逆起電力電圧を検出することができず、転流制御を行うことができなかったが、本発明では位置検出器15からのパルス信号に基づいて転流制御を行うため、モータの回転速度に係わらず、低速であっても転流制御を行うことができる。
【0065】
さらに、一旦ブラシレスモータ1が停止状態となった場合でも、パルス信号に基づいて転流タイミングを検出するから、パルス数を記憶しておけば、ブラシレスモータ1が再度回転し始めるときにはパルス数から直ちに通電位相を決定でき、さらに、低速でも転流タイミングを検出することができるため、停止或いは回転開始時に係わらず、的確なタイミングで転流制御を行うことができる。
【0066】
なお、上記第1の実施の形態においては、5転流区間のパルス数が“102”であり、区間パルス数Mが“20.4”である場合について説明したがこれに限るものではない。例えば、一転流区間におけるパルス数(区間パルス数M)が511/25=20.44であるときには、同様にして前記表1のように転流間信号数を設定すると、真の転流タイミングと延べ信号数との誤差は、25回目で零となるから、25回の転流毎に誤差が零となることになり、転流パルス数列Pは、25個の転流間信号数から構成されることになる。つまり、分数で表すことができる区間パルス数Mであれば、既約分数の分母の値と同じ回数の転流を行えば、真の転流タイミングと延べ信号数との誤差は零となるから、分数で表すことのできる区間パルス数Mであれば適用することができる。
【0067】
また、上記第1の実施の形態においては、前記転流パルス数列Pを、延べ信号数の差を転流間信号数から構成するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば延べ信号数から構成するようにしてもよく、この場合には、カウント数Cが各延べ信号数と一致する毎に転流を行い、カウント数Cが増加しているときにはカウント数Cが延べ信号数の最大値となったときにカウント数Cを零に更新設定し、逆にカウント数が減少しているときにはカウント数Cが零となったときにカウント数Cを延べ信号数の最大値に更新設定するようにすればよい。
【0068】
ここで、図2のステップS105の処理がカウント手段に対応し、前記転流制御回路12の図示しない記憶装置が転流パターン記憶手段に対応し、図5の転流カウント処理が転流制御手段に対応している。
【0069】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0070】
上記第1の実施の形態においては、区間パルス数Mが分数表示される場合について説明したが、この第2の実施の形態では、区間パルス数Mが整数となる場合について説明する。
【0071】
なお、ブラシレスモータ1の駆動装置10としての全体的な構成は上記第1の実施の形態と同様であり、転流制御処理において、ステップS101の転流原点設定処理及びステップS105の転流カウント処理の内容が異なること以外は同一であるため、図示及び重複する説明は省略すると共に、上記第1の実施の形態と同様の箇所には同じ符号を付与しその重複する説明も省略する。
【0072】
この第2の実施の形態においては、上記第1の実施の形態と同様にして算出した、一転流区間におけるパルス数、つまり、区間パルス数Mが整数である。したがって、この区間パルス数Mを所定の記憶領域に記憶しておき、パルス数が区間パルス数Mとなったときに転流タイミングとして転流を行う。
【0073】
つまり、転流制御回路12では、起動されると図2に示す転流制御処理を開始し、ステップS101で転流原点設定処理を行うが、この第2の実施の形態では、図6に示す転流原点設定処理を行う。すなわち、まず、ステップS401で初期処理を行い、公知の処理と同様にして初期励磁引き込みを行って、ブラシレスモータ1の回転子を回転させる。
【0074】
そして、例えば所定時間パルスエッジを検出しないかどうか等に基づいて、回転子が引き込み位置に停止したことを検出するとステップS402に移行し、上位装置からのブラシレスモータ1の起動時の回転方向を指示する指令信号に基づきブラシレスモータ1の回転方向を判別し、回転指示方向が正転方向の場合には、ステップS403に移行してカウント数CをC=0に設定し、逆に、回転指示方向が逆転方向の場合には、ステップS402からステップS404に移行し、予め所定の記憶領域に格納している区間パルス数Mを読み出し、カウント数CをC=Mに設定する。これにより転流原点設定処理が終了する。
【0075】
このようにして図2のステップS101での転流原点設定処理が終了した後、上位装置からブラシレスモータ1の起動を指示する起動指令パルスが入力されると、ステップS102からステップS103に移行し、図4の起動処理を実行し、第1の実施の形態と同様にして、上位装置からの回転指示方向に応じて転流モードを1回切り換える等して起動処理を行う。
【0076】
そして、ブラシレスモータ1が回転し、紙送り機構の駆動に伴って位置検出機15からパルス信号が出力されると、転流制御回路12ではパルス信号のパルスエッジの検出を行い、パルスエッジを検出したときにステップS104からステップS105に移行し、図7に示す転流カウント処理を実行する。
【0077】
つまり、ステップS411で位置検出器15からの二種類のパルス信号からブラシレスモータ1が正転しているか逆転しているかを判定し、ブラシレスモータ1が例えば正転していると判定されるときにはステップS412に移行し、カウント数Cを“1”だけインクリメントし、次いでステップS413に移行して、カウント数Cが区間パルス数Mと一致するかどうかを判定し、一致しないときには転流カウント処理を終了して図2に戻る。こうして、ブラシレスモータ1が正転している間は、ステップS411、S412、S413の処理を繰り返し行い、パルスエッジを検出する毎にカウント数Cを“1”ずつインクリメントする。
そして、ステップS413でカウント数Cが区間パルス数Mと一致すると、ステップS414に移行し、転流タイミングであるとして正転方向に転流モードを切り換える。その後、ステップS415に移行してカウント数CをC=0に設定して転流カウント処理を終了する。
【0078】
この状態から、ブラシレスモータ1を逆回転させるために、ブラシレスモータ1が停止された後、上位装置からブラシレスモータ1を逆回転方向に起動する起動指令パルスが入力されると、図2のステップS102でこれを検出し、ステップS103に移行して図4に示す起動処理において今度は逆回転方向への起動処理が行われる。そして、ブラシレスモータ1が逆回転し、位置検出器15からのパルス信号のパルスエッジをステップS104で検出すると、ステップS104からステップS105に移行して図7の転流カウント処理を実行し、ブラシレスモータ1が逆回転しているから、ステップS411からステップS421に移行し、カウント数Cを“1”だけデクリメントする。
【0079】
次いで、ステップS422に移行してカウント数CがC=0であるかどうかを判定し、C=0でなければ転流カウント処理を終了して図2に戻る。カウント数CがC=0であるときにはステップS422からステップS423に移行し、転流タイミングであるとして転流モードを逆回転方向に切り換え、ステップS424でカウント数CをC=Mに設定した後、転流カウント処理を終了する。
【0080】
以後、上記と同様に、パルスエッジを検出する毎にカウント数Cを“1”ずつデクリメントし、カウント数Cが零となった時点で転流モードの切り換えを行う。
【0081】
このように、予め検出した一転流区間におけるパルス数である区間パルス数Mとカウント数Cとが一致する毎、つまり、一転流区間に受信すべきパルス数を受信した毎に転流を行うから、的確なタイミングで転流を行うことができると共に、この場合も、転流制御用の位置検出器15を専用に設ける必要がなく、上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0082】
なお、上記第1及び第2の実施の形態においては、ブラシレスモータ1を正転及び逆転させる場合について説明したが、例えばブラシレスモータ1を紙送り方向のみに限定して駆動する場合であっても適用することができるのはいうまでもない。
【0083】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0084】
この第3の実施の形態は、ブラシレスモータ1によって、例えばインクジェットプリンタのインクヘッドが固定されたキャリッジ21を駆動するようにしたものである。すなわち例えば図8に示すように、二つのプーリ22a,22b間に渡したベルト23にキャリッジ21が取り付けられ、ブラシレスモータ1の回転力を一方のプーリ22bに伝達することによってベルト23が移動し、キャリッジ21を移動させるようになっている。
【0085】
そして、このキャリッジ21に設けられた、キャリッジ位置を検出するためのリニアエンコーダ等の位置検出器15からのパルス信号に基づいて転流制御を行うようにしている。
【0086】
なお、ブラシレスモータ1の駆動装置10としての全体的な構成は上記第1の実施の形態と同様であるため、図示及び重複する説明は省略すると共に、上記第1の実施の形態と同様の箇所には同じ符号を付与しその重複する説明も省略する。
【0087】
この第3の実施の形態においては、一転流区間におけるパルス数である区間パルス数Mの逆数1/Mを転流定数Tとして設定し、位置検出器15からパルスを受信する毎にブラシレスモータ1の回転方向に応じて転流定数Tを加算又は減算し、この累積値Sに基づき転流タイミングを検出するようにしている。
【0088】
つまり、転流定数Tを区間パルス数Mの回数加算したときに一転流区間となるから、パルスを受信する毎に転流定数Tを加算し、累積値Sが“1”以上となったとき、すなわち一転流区間が経過したときに、転流タイミングとしている。なお、前記転流定数Tの設定は、次のようにして行う。
【0089】
まず、例えば初期励磁引き込みを行う等した後、ブラシレスモータ1を回転させ、例えばブラシレスモータ1が一回転する間の位置検出器15からのパルス数を計測すること等によって、ブラシレスモータ1の回転子一回転当たりの位置検出器15からのパルス数を検出し、検出したパルス数を、回転子一回転に必要な転流回数で除して一転流区間におけるパルス数Mを算出し、この逆数1/Mを転流定数Tとする。このとき転流定数Tの小数点以下の有効桁数を、次式(1)を満足するように設定する。
【0090】
Figure 0003698024
なお、式中のnは転流定数Tの小数点以下の有効桁数、Lはキャリッジ21に設けられたインクヘッドの移動量、Bは位置検出器15の分解能〔ヘッド移動量/パルス数〕、Tは転流定数、Xはブラシレスモータ1のピークトルクを“1”としたときのトルクリップルの谷の値であって、許容範囲を規定する電気角に応じて設定される値、Fは一転流区間の電気角である。
【0091】
前記(1)式は次のようにして導かれる。
【0092】
すなわち、キャリッジ21の位置検出用の位置検出器としてのエンコーダからのパルス信号に基づき転流定数Tに基づいて決定される回転子位置と、実際の回転子位置との誤差εが、許容範囲σの範囲内であればよい。
【0093】
前記転流定数Tは、エンコーダからのパルス信号の一カウント毎のブラシレスモータ1の回転量を表す値である。つまり、例えば、ブラシレスモータ1が一回転する間のエンコーダからのパルス数を計測し、ブラシレスモータ1の一回転に必要な転流回数を、前記パルス数の計測値で除算した値である。
【0094】
前記ブラシレスモータ1が三相バイポーラ構成のモータである場合、前記転流定数Tに、一転流あたりの電気角60deg・Eを乗算すると、パルス信号のパルス一カウント毎の電気角が算出される。
【0095】
したがって、ある転流タイミングを起点に転流定数Tを零から加算し、その合計値が“1”以上となった時点が次の転流タイミング、つまり、60deg・Eだけ進んだ位置であることがわかる。ここで、前記パルス数のカウントはデジタルカウントであるため、原理的に信号1カウント分以内の誤差を含むことになる。
【0096】
一方、ブラシレスモータ1によってインクジェットプリンタのキャリッジを駆動する場合には、図8に示すように、ブラシレスモータ1の回転力がプーリ22bを介してキャリッジ21に伝達されるため、プーリ径に応じてブラシレスモータ1のモータ回転量とキャリッジに取り付けられたインクヘッドのヘッド送り量との関係が決まる。前記プーリ径に製造公差程度の誤差が含まれるとするとモータ一回転でカウントされるエンコーダからのパルス数は、使用されるプーリ22bの径寸法のばらつきに応じて数カウント程度異なり、多回転した場合には誤差が累積して、転流誤動作の原因となる場合がある。
【0097】
これを防止するためには、組み立て後のそれぞれのプリンタにおいて、キャリッジ駆動用のモータ一回転当たりのエンコーダからのパルス数をカウントし、このカウント数に基づいて転流定数Tを決定すればよい。
【0098】
ところで、初期的にブラシレスモータ1をある転流タイミングの位置に引き込んだ場合の、この時点でのパルス数の誤差は最大でもパルス信号一カウント未満であるから、ブラシレスモータ1の初期の転流位置の位置決め時の誤差の最大値e1は、次式(2)に示すように、転流定数Tつまり1カウント当たりのモータ回転量よりも小さくなる。
【0099】
e1<T ……(2)
また、キャリッジの移動に伴ってパルス数をカウントし、このパルス数に基づいてブラシレスモータ1の回転量を算出した場合の誤差は、転流定数Tの小数点以下の有効桁数をn桁、つまり、最小桁であるn+1桁目を四捨五入してn桁の数として取り扱った場合、パルス信号のパルス1カウント毎に、最大でも、5×10-(n+1)〔1/カウント〕すなわち、5×10-(n+1)〔モータ回転量〕未満となり、パルスをQ回カウントした時点での、パルスのカウントに伴う最大誤差e2は、次式(3)で表される。
【0100】
e2<Q×5×10-(n+1)〔モータ回転量〕 ……(3)
エンコーダの分解能を、B〔ヘッド移動量/パルス数〕とした場合、パルスをQ回カウントしたときのヘッド移動量Lは、次式(4)で表される。
【0101】
L=B×Q ……(4)
したがって、このときの回転子の認識位置の誤差の最大値εは、前記(2)式から(4)式に基づき、次式(5)で表される。
【0102】
Figure 0003698024
以上から、実用的には、この誤差εが許容範囲σ内に収まればよいことになる。
【0103】
ここで、許容範囲σを、ブラシレスモータ1のピークトルクを“1”としたときのトルクリップルの谷の値がX以上となる電気角の範囲とする。三相モータの場合、トルクリップルの谷の値は原理的に31/2 /2であるから、前記Xの選択可能範囲は、0<X≦(31/2 /2)となる。
【0104】
ここで、モータ一転流区間における電気角Fは、三相モータの場合60deg・Eであるから、許容範囲σは次式(6)で表される。
【0105】
σ=60−asin(X)〔deg・E〕 ……(6)
したがって、ヘッドつまりキャリッジがLだけ移動したときにブラシレスモータ1の回転子認識位置誤差が許容範囲に収まる条件は次式(7)となる。
【0106】
ε・60<σ ……(7)
前記(5)式及び(6)式から前記式(7)は次式(8)となるから、これに基づき有効桁数nを算出すると、次式(9)と表される。
【0107】
Figure 0003698024
ここで、(9)式中の“60”は一転流区間の電気角Fであるから、すなわち前記(1)式が導かれた。
【0108】
したがって、例えば、転流定数Tを1/(184/36)、エンコーダの分解能を25.4/180、ヘッド移動量Lを350〔mm〕、トルクリップルの谷の値Xの許容値を21/2 /2とした場合には、前記(9)式から有効桁数nはn=5となり、転流定数Tの小数点以下の有効桁数を5桁とすればよいことになる。
【0109】
このとき、例えば転流定数Tの小数点以下の有効桁数nをn=5としたときのトルクリップルの谷の値のXをX0 として逆に算出すると、次式(10)となり、この設定条件でのトルクリップルの最悪値を確認することができる。
【0110】
Figure 0003698024
さらに、例えば、許容範囲σをσ0 として算出すると、次式(11)となり、最悪時に、σ0 の電気角誤差を許容しながらの制御であることを確認することができる。
【0111】
Figure 0003698024
また、例えばパルス数をカウントすることに伴う回転子位置算出誤差を、パルス信号のパルス1カウント分未満に収めようとする場合には、次のようにして有効桁数nを設定すればよい。
【0112】
すなわち、パルスをQ回カウントした時点での信号カウントに伴う最大誤差が転流定数T未満であればよいから、前記(3)式から、次式(12)が成立すればよいことになる。
【0113】
e2<Q×5×10-(n+1)<T ……(12)
したがって、前記(4)式及び(12)式から、次式(13)を満足する整数nを求めればよいことになる。
【0114】
n> log 〔5×L/(B×T)〕−1 ……(13)
よって、例えば転流定数T=1/(184/36)、エンコーダの分解能Bが25. 4/180、ヘッド移動量L=350〔mm〕とすると、前記式(13)からTの小数点以下の有効桁数nはn=4となり、4桁が必要であることがわかる。
【0115】
ただし、このときのトルクリップルの最悪値は、前記(10)式から、X0 =0.654となり、実用的には少し悪すぎる。また、前記(11)式からσ0 =19.2〔deg・E〕となるから、19.2〔deg・E〕の転流タイミングのずれを許容しながらの制御であることがわかる。
【0116】
なお、この例では、最大誤差e2をT未満に収める条件を求めているので、回転子の認識位置の誤差の最大値εは、ε=e1+e2<2×Tの条件になっている。
【0117】
また、例えば、転流定数Tを1/(184/36)、その有効桁数nをn=5、エンコーダの分解能を25.4/180、トルクリップルの谷の値Xの許容値を21/2 /2とした場合のヘッド移動量Lは、前記(8)式を変形した次式(14)を用いて求めることができる。
【0118】
L<(1−T−asin(X)/60)・B・10(n+1) /5 ……(14)
この(14)式から、前記条件ではヘッド移動量Lは、0〜1533〔mm〕まで対応可能であることがわかる。つまり、トルクリップルの谷の値Xの許容値を21/2 /2とした場合には、有効桁数5桁でほぼ全ての紙サイズのプリンタに対応可能となる。逆に、上記と同一条件で有効桁数4桁の場合は、ヘッド移動距離は0〜153〔mm〕までが対応可能であり、A5サイズの用紙以下は対応可能であるが、B5サイズ以上の用紙は対応不可能となる。
【0119】
ここで、エンコーダの分解能が四倍となったときには、有効桁数が5桁である場合、ヘッド移動量Lは0〜1418〔mm〕まで対応可能となり、ほぼ全ての紙サイズのプリンタに対応可能となる。また、プーリ径のみが四倍となった場合には、有効桁数が4桁の場合には0〜567〔mm〕、有効桁数が5桁の場合には5675〔mm〕までが対応可能となる。
【0120】
さらに、エンコーダの分解能が四倍となり、且つプーリ径が四倍となると、有効桁数が5桁の場合には、ヘッド移動量Lは0〜1677〔mm〕まで対応可能となり、ほぼ全ての紙サイズに対応できることがわかる。
【0121】
以上述べたように、トルクリップルの谷の値Xの許容値を21/2 /2とする場合には、転流定数Tの有効桁数nを、4以上に設定すればよいことがわかる。
【0122】
次に、トルクリップルの谷の値Xの許容値をより精度の良い範囲に収める方法を述べる。
【0123】
前述のように、三相モータの場合には、トルクリップルの谷の値は、原理的に31/2 /2≒0.8660であるから、目安として0.86程度のトルクリップルで制御できれば、制御によるトルクリップル値の劣化はほとんど無いと考えてよい。
【0124】
X≧0.86を満たす条件は、前述の(1)式により求められるが、例えばこれまで検討してきた設定に対して、エンコーダの分解能を九倍、プーリ径を二倍にすると、X=0.8602の値が得られる。この場合には、転流定数Tの有効桁数nを8桁に設定すると、前述のヘッド移動量Lが0〜1632〔mm〕の範囲でX≧0.86が達成可能になり、全ての紙サイズのプリンタに対応することができる。これから、転流定数Tの有効桁数nは8桁あれば充分であることわかる。
【0125】
以上述べたように、転流定数Tの有効桁数nは4桁以上8桁以下の値に設定すれば、極めて有効な制御が行えることがわかった。
【0126】
次に、具体的な制御の流れについて説明する。前述のようにして設定した転流定数Tに基づいて転流タイミングを検出する場合には、前記図2のフローチャートに示す、転流制御処理(転流制御手段)の処理手順にしたがって行う。なお、前記転流定数Tは予め検出され、所定の記憶領域に記憶されている。
【0127】
まず、ステップS101で転流原点設定処理を行うが、第3の実施の形態では、図9に示す手順で転流原点設定処理を行う。
【0128】
つまり、ステップS501で初期処理を行い、公知の処理と同様にして初期励磁引き込みを行って、ブラシレスモータ1の回転子を回転させる。また、所定の記憶領域に記憶している前記転流定数Tを読みだす。
【0129】
そして、例えば所定時間パルスエッジを検出しないかどうか等に基づいて、回転子が引き込み位置に停止したことを検出すると、ステップS502に移行し、上位装置からのブラシレスモータ1の起動時の回転方向を指示する指令信号に基づきブラシレスモータ1の回転方向を判別し、回転指示方向が正転方向の場合には、ステップS503に移行して累積値SをS=0に設定し、逆に、回転指示方向が逆転方向の場合には、ステップS502からステップS504に移行して、累積値SをS=1に設定する。これにより転流原点設定処理を終了する。
【0130】
このようにしてステップS101での転流原点設定処理が終了し、続いて上位装置からブラシレスモータ1の起動を指示する起動指令パルスが入力されると、ステップS102からステップS103に移行して前記図4の起動処理を実行し、上記第1の実施の形態と同様にして、上位装置からの回転指示方向に応じて、転流モードを1回切り換える。これにより、転流モードに応じた転流信号が出力され、インバータ11を介して所定の相が励磁されてブラシレスモータ1は指令信号に応じて正転或いは逆転し、このブラシレスモータ1の回転力は、プーリ22bを介してベルト23に伝達されてキャリッジ21が移動する。
【0131】
キャリッジ21の移動に伴って位置検出器15からパルス信号が出力され、そのパルスエッジを検出すると、ステップS104からステップS105に移行し、転流カウント処理を実行するが、この第3の実施の形態では、図10に示す手順で転流カウント処理を実行する。まず、ステップS511で、位置検出器15からの二種類のパルス信号からブラシレスモータ1が正転しているか逆転しているかを判定し、ブラシレスモータ1が正転していると判定されるときにはステップS512に移行して累積値Sに転流定数Tを加算する。そして、ステップS513に移行し、累積値Sが“1”以上であるかどうかを判定し、累積値Sが“1”未満であるときには転流カウント処理を終了して図2に戻る。そして、位置検出器15からのパルス信号のパルスエッジを検出する毎に累積値Sに転流定数Tを順次加算し、累積値Sが“1”以上となったときにステップS513からステップS514に移行し、転流タイミングであると判定して正転方向に転流モードを切り換え、ステップS515で累積値Sから“1”を減算した後、転流カウント処理を終了する。
【0132】
以後、ブラシレスモータ1が正転している間は、ステップS511、S512、S513の処理を繰り返し行い、位置検出器15からのパルス信号のパルスエッジを検出する毎に累積値Sに転流定数Tを加算し、累積値Sが“1”以上となる毎に転流モードの切り換えを行うと共に累積値Sから“1”を減算する。
【0133】
この状態から、ブラシレスモータ1を逆回転させるべくブラシレスモータ1が停止された後、逆回転方向への起動を指示する起動指令パルスが上位装置から入力されると、図2のステップS102でこれを検出し、ステップS103に移行して逆回転方向への起動処理を実行する。これによってブラシレスモータ1が逆回転し、パルス信号のパルスエッジを検出すると、ステップS104からS105に移行し図10の転流カウント処理を実行するが、ブラシレスモータ1は逆回転しているから、ステップS511からステップS521に移行し、累積値Sから転流定数Tを減算する。そして、ステップS522に移行し、累積値Sが“0”以下であるかどうかを判定し、累積値SがS≦0でないときにはそのまま転流カウント処理を終了する。一方、ステップS522で累積値SがS≦0であるときにはステップS523に移行し、転流タイミングであるとして逆回転方向への転流モードの切り換えを行う。そして、ステップS524に移行して累積値Sに“1”を加算した後、転流カウント処理を終了する。
【0134】
以後、ブラシレスモータ1が逆回転している間は、ステップS511、S521、S522に移行し、位置検出器15からのパルス信号のパルスエッジを検出する毎に累積値Sから転流定数Tを減算し、累積値Sが“0”以下となる毎に、転流タイミングであるとして転流モードの切り換えを行うと共に、累積値Sに“1”を加算する。
【0135】
このように、上記第3の実施の形態においては、パルス信号のパルス1カウントあたりのモータの回転量から転流定数Tを算出し、パルスを入力する毎にその回転方向に応じて転流定数Tを累積値Sに加算又は減算し、累積値Sが転流定数Tを加算しているときには“1”以上となる毎に、逆に転流定数Tを減算しているときには“0”以下となる毎に、転流タイミングとして転流を行うようにし、且つ、転流定数Tの有効桁数nを、転流タイミングの誤差の許容範囲内に収まるように設定したから、的確なタイミングで転流を行うことができる。
【0136】
特に、上記第1或いは第2の実施の形態で示したような歯車機構を用いた動力伝達機構の場合は、モータと駆動対象物との速度比は歯数比で一義的に決まるのに対し、上記第3の実施例に示したベルトとプーリーを用いた動力伝達機構の場合には、モータと駆動対象物との速度比はプーリー径に依存するため、プーリー径の製造公差程度のばらつきに対応して速度比もばらつく。これにより、モータが多回転した場合に、エンコーダからのパルス数のばらつき誤差の累積値が、転流誤動作を起こすほどに増大する危険があるが、上記第3の実施の形態では、転流誤差をより削減することができるため、好適である。
【0137】
また、この場合も、キャリッジ21の位置検出用の位置検出器15のパルス信号をもとに転流制御を行うようにしているから、転流制御用の専用の位置検出器を新たに設ける必要はなく、構成品の削減を図ることができる。
【0138】
また、転流定数Tを算出する際に、実際にブラシレスモータ1を駆動させた場合の位置検出器15からのパルス数と、転流回数とに基づいて転流定数Tを設定するようにしているが、例えば計算等に基づいて算出することも可能である。しかしながら、実際に計測を行うことによって、例えばブラシレスモータ1の駆動力をキャリッジに伝達するためのプーリの公差等による誤差分等の影響を削減することができるから、より高精度に転流タイミングを検出することができる。
【0139】
また、前記(1)式に示すように、転流定数Tの有効桁数nと転流タイミングの許容範囲σとの関係、また、ヘッド移動量L、位置検出器15の分解能B等との関係が表されるから、適用するプリンタのヘッド移動量或いは位置検出器15の分解能等に応じて、前記(1)式を満足するように転流定数Tを設定することによって、所望の許容範囲σとなるように容易に転流制御を行うことができ、ヘッド移動量或いは位置検出器15の分解能等各変数が変化したとしても、必要とする精度を満足するよう容易に転流制御を行うことができる。
【0140】
また、累積値Sに対して転流定数Tを加算しているときには、累積値Sが“1”以上となる毎に累積値Sから“1”を減算し、逆に累積値Sに対して転流定数Tを減算しているときには、累積値Sが“0”以下となる毎に累積値Sに“1”を加算するようにしたから、累積値Sの桁数の増加を回避することができ、演算用メモリを節約することができる。
【0141】
なお、前記転流定数Tは1以下の値であるから、10の有効桁数n乗(10n )を転流定数Tに乗算して転流定数Tを整数値として取り扱い、累積値Sの上位側n+1桁目が変化する毎、又は累積値Sが“0”以下となる毎に転流を行うようにしてもよく、また、この場合にも、累積値Sに対して転流定数Tを加算しているときには、累積値Sの上位側n+1桁目が変化する毎に累積値Sから10n を減算し、逆に累積値Sに対して転流定数Tを減算しているときには、累積値Sが“0”以下となる毎に累積値Sに10n を加算するようにしてもよい。このようにすることによって、整数値演算となり演算処理を簡略にすることができる。
【0142】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0143】
この第4の実施の形態は、前記第3の実施の形態において、前記キャリッジ21が右方向に移動するときの累積値SR と、左方向に移動するときの累積値SL とを設け、キャリッジ21を右方向に移動させるときには右方向の累積値SR に基づき転流制御を行い、左方向に移動させるときには左方向の累積値SL に基づき転流制御を行うようにしたものである。
【0144】
なお、転流制御回路12での転流制御処理の処理手順が異なること以外は上記第3の実施の形態と同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0145】
この第4の実施の形態では、起動されると前記図2の転流制御処理を実行するが、ステップS101の転流原点設定処理では、図11に示す転流原点設定処理を実行する。ここでは、例えばキャリッジ21が上記プーリ22a,22b間の中央付近にあるときを転流原点設定位置とし、上記転流原点設定位置において転流原点、すなわち上記累積値SR 、 SL の初期値を設定する。具体的には、まずステップS601で、キャリッジ21を上記転流原点設定位置に移動させるために使用する仮の転流原点を設定する。ステップS601では仮転流原点設定処理として、上記第3の実施の形態と同様に、図9に示した転流原点設定処理が実行される。次にステップS602に移行し、上記転流原点設定位置方向へブラシレスモータ1を起動する。ブラシレスモータ1が回転起動してキャリッジ21が移動し、位置検出器15から出力されるパルスエッジが検出されると(ステップS603)、ステップS604に移行し、図10に示した転流カウント処理を実行する。そしてステップS605でキャリッジ21が転流原点設定位置に到達したかどうか判断し、到達していなければ、ステップS603に戻り、転流原点設定位置に到達するまでステップS603〜S605を繰り返し実行する。
【0146】
なお、この転流原点設定位置へのキャリッジ21の移動は、第3の実施の形態における転流制御処理を行ってキャリッジ21を転流原点設定位置に移動させる方法に限らず、例えば、上位装置から転流タイミング及び回転方向を指示し、強制的に転流モードの切り換えを行って、前記転流原点位置への移動を行うようにしてもよい。
【0147】
このようにしてキャリッジ21を移動させ、キャリッジ21が転流原点設定位置に到達すると、ステップS605からステップS606に移行する。なお、キャリッジ21が転流原点設定位置に到達したかどうかの判定は、例えば、パルスエッジを検出する毎に回転方向に応じてパルスエッジをカウントし、そのカウント数に基づきキャリッジ21の現在位置を推定すること等により行う。
【0148】
ステップS606では、このときの転流モードを所定の記憶領域に記憶し、後述の図12で実行される転流モードの切り換え(以下、転流モード自動切り換えという。)を禁止する。
【0149】
続いて、ステップS607に移行し、例えば所定時間位置検出器15からのパルス信号のパルスエッジを検出しないこと等から、回転子がトルクの釣り合う平衡位置、すなわち引き込み位置で停止したことを検出するとステップS608に移行し、前記ステップS606で所定の記憶領域に格納した転流モードに基づき、転流モードを正転方向(ここではキャリッジ21が右方向に移動する方向)に強制的に1回切り換える。
【0150】
次いで、ステップS609に移行し、回転子が引き込み位置に停止したことを検出すると、ステップS610に移行し、この引き込み停止位置をキャリッジ21が右方向に移動するときの転流原点として累積値SR をSR =1に設定する。また、累積値SL の初期値としてSL =1に設定する。
【0151】
そして、ステップS611に移行し、今度は逆転方向(ここではキャリッジ21が左方向に移動する方向)に強制的に転流モードを1回切り換え、次いで、ステップS613に移行して、図12に示す転流カウント処理を実行する。図12の転流カウント処理の詳細については後述する。その後、ステップS614に移行して、回転子が引き込み位置に停止したかどうかを判定し、回転子が引き込み位置に停止ししていなければ、ステップS612に移行してパルスエッジを検出したかを判定し、パルスエッジを検出したときにはステップS613に移行して転流カウント処理を行い、パルスエッジを検出しないときにはステップS614に移行する。
【0152】
ステップS614で回転子が引き込み位置に停止したことを検出すると、ステップS614からステップS615に移行し、上位装置から通知されるブラシレスモータ1の起動時の回転方向が正転であるかどうかを判定し、起動方向が正転方向であると判定されるときにはステップS615からステップS616に移行し、この引き込み停止位置を、キャリッジ21が左方向に移動するときの転流原点として累積値SL をSL =0に設定する。一方、回転方向が逆転方向であるときにはステップS615からステップS617に移行し、前記引き込み位置をキャリッジ21が左方向に移動するときの転流原点として累積値SL をSL =1に設定する。そして、ステップS618に移行して転流モードの自動切り換え許可を行い、転流原点設定処理を終了する。
【0153】
このようにして転流原点設定処理が終了すると、図2のステップS101からステップS102に移行し、上位装置から起動指令パルスが入力されると、その回転方向に応じて起動処理を行い、これに伴ってパルス信号が出力されそのパルスエッジを検出すると、ステップS104からステップS105に移行し、前記ステップS611で実行した図12に示す転流カウント処理を実行する。
【0154】
この転流カウント処理では、まず、ステップS621で位置検出器15からの二種類のパルス信号からブラシレスモータ1が正転しているかどうかを判定し、正転しているときにはステップS622に移行し、累積値SR 及びSL にそれぞれ転流定数Tを加算した後、ステップS623に移行する。
【0155】
このステップS623では、累積値SL が“1”以上であるかどうかを判定し、“1”以上であるときにはステップS624に移行してSL から“1”を減算した後ステップS625に移行し、“1”以上でないときにはそのままステップS625に移行する。ステップS625では、累積値SR が“1”以上であるかを判定し、SR ≧1であるときにはS626に移行し、転流タイミングであるとして、転流モードを正転方向に切り換え、ステップS627に移行して累積値SR から“1”を減算した後、転流カウント処理を終了し図2に戻る。一方、ステップS625で累積値SR が“1”以上でないときには、そのまま転流カウント処理を終了し図2に戻る。
【0156】
一方、回転方向が逆回転の場合には、ステップS621からステップS631に移行し、累積値SR 及びSL から転流定数Tを減算し、次いでステップS632に移行して、累積値SR が“0”以下であるか否かを判定する。そして、累積値SR が“0”以下であるときには、ステップS633に移行して累積値SR に“1”加算した後、ステップS634に移行し、累積値SR が“0”以下でないときにはそのままステップS634に移行する。
【0157】
このステップS634では、累積値SL が“0”以下であるかを判定し、SL ≦0であるときにはステップS635に移行し、転流タイミングであるとして逆転方向に転流モードを切り換え、ステップS636に移行して累積値SL に“1”を加算した後、転流カウント処理を終了し図2に戻る。一方、ステップS634で累積値SL が“0”以下でないときにはそのまま転流カウント処理を終了し図2に戻る。
【0158】
なお、図12に示す転流カウント処理を図11の転流原点設定処理のステップS613の処理で実行する場合には、図11のステップS606の処理で転流モード自動切り換えが禁止されているから、ステップS625で累積値SR がSR ≧1となった場合、また、ステップS634で累積値SL がSL ≦0となった場合でもステップS626又はステップS635で転流モードの切り換えは行わない。つまり、図11に示したステップS101における転流原点設定処理では、図12の転流カウント処理を実行することによって累積値SR 及びSL の更新のみを行う。
【0159】
上述のように、この第4の実施の形態では、ステップS101の転流原点設定処理によって転流原点の設定を行い、右方向及び左方向の転流原点を設定した時点から累積値SR 及びSL の更新を行い、上位装置から起動指令パルスが入力されると指定された回転方向への起動処理を行ってブラシレスモータ1を起動し(ステップS103)、これによって位置検出器15からのパルス信号のパルスエッジを検出すると、これに応じて累積値SR 及びSL の更新を行い、この累積値SR 及びSL に基づいて転流モードの切り換えを行う。
【0160】
つまり、ブラシレスモータ1が正転しているときには、右方向の累積値SR についてはパルスエッジを検出する毎に転流定数Tを加算してこれに基づき転流タイミングを生成すると共に、左方向の累積値SL についてもパルスエッジを検出する毎に転流定数Tを加算する。逆に、ブラシレスモータ1が逆回転しているときにはパルスエッジを検出する毎に、左方向の累積値SL については転流定数Tを減算しこれに基づいて転流タイミングを検出すると共に、右方向の累積値SR についてもパルスエッジを検出する毎に転流定数Tを減算する。
【0161】
そして、正転時には、右方向の転流原点を基準としたときの累積値SR に基づいて累積値SR が“1”以上となる毎に転流モードの切り換えを行い、逆転時には、左方向の転流原点を基準としたときの累積値SL が“0”以下となる毎に転流モードの切り換えを行う。
【0162】
ここで、例えば前記図8に示すように、ブラシレスモータ1の回転運動をプーリ22a,22bによってベルト23の直線運動に変換し、このベルト23によってキャリッジ21を駆動するような場合、ブラシレスモータ1の回転力がキャリッジ21に伝達されるまでの経路つまりベルトの長さが正転時と逆転時とでは異なるため、回転方向を切り替えるとベルト21の伸び量に応じて回転子位置とキャリッジ21の絶対位置とがずれることになる。
【0163】
しかしながら、上記第4の実施の形態においては、正転時と逆転時とで転流原点位置を個別に設け、正転時には右方向の累積値SR 、逆転時には左方向の累積値SL に基づいて転流タイミングを検出するようにしたから、転流原点を設定した時点で、ベルトの伸び量に応じた誤差が除去されることになって、ブラシレスモータ1の回転方向の違いに起因する転流タイミングのずれの発生を回避することができ、的確なタイミングで転流を行うことができる。
【0164】
したがって、例えば経時変化等によってキャリッジの動きが重くなったとき、或いはベルト全体が伸びてしまった場合等においても的確なタイミングで転流を行うことができる。
【0165】
また、この場合も、累積値SL 或いはSR の最上位桁が繰り上がる毎に累積値SL 或いはSR から“1”を減算するようにしているから、累積値SL 或いはSR の桁数の増加を回避することができ、演算用メモリを節約することができる。
【0166】
さらに、転流原点設定完了後の回転方向によって、累積値SL の初期値を異なった値に設定するようにしているから、駆動状況によって累積値SL 及びSR の値が常に“1”よりも大きい値、或いは“0”未満の値となってしまい、転流が永久に行われなくなるという不具合が生じることはない。
【0167】
また、この第4の実施の形態においても、10の有効桁数n乗(10n )を転流定数Tに乗算し、整数値として取り扱うようにしてもよく、また、このとき、最上位桁が繰り上がる毎に10n を累積値SL 或いはSR から減算するようにしてもよい。
【0168】
なお、上記第4の実施の形態においては、転流原点をベルト中央部付近で設定するようにしているが、これに限るものではなく、例えばベルトの両端等、任意の位置を転流原点として設定することができる。しかしながら、ベルトの伸び量は、ベルト中央部付近が平均的な伸び量となるため、中央部付近で転流原点を設定することになり、より的確にベルトの伸びに起因する誤差の影響を削減することができる。
【0169】
なお、上記各実施の形態においては、プリンタのキャリッジ或いは紙送り機構に設けられたエンコーダ等からのパルス信号に基づいて、これらを駆動するモータの転流タイミングを検出するようにした場合について説明したがこれに限るものではなく、モータの駆動に伴って、その駆動対象物の移動量に応じて位置検出器からパルス信号を得ることが可能な構成であれば、適用することができる。
【0170】
また、ポテンショメータ等駆動対象の位置を検出するようなセンサであっても適用することができ、この場合には、例えばポテンショメータの位置情報に基づき駆動対象が所定量移動したときにパルス信号を出力するパルス生成回路を設け、このパルス生成回路が出力するパルス信号に基づき上記と同様に制御を行うようにすれば、上記と同等の作用効果を得ることができる。
【0171】
また、上記各実施の形態においては、位置検出器15からの検出信号に基づいて、転流制御を行うようにした場合について説明したが、この位置検出器15からの検出信号に基づいて、転流制御だけではなく、同時に速度制御或いは位相制御を行うようにしてもよい。
【0172】
また、上記各実施の形態においては、DCブラシレスモータを適用した場合について説明したが、これに限らず、ステップモータ等を適用することもできる。
また、エンコーダとしてリニアエンコーダ或いはロータリエンコーダなど適用した場合について説明したがこれに限るものではなく、また、光学式或いは磁気式のエンコーダであっても適用することができる。
【0173】
また、上記各実施の形態においては、三相ブラシレスモータに適用した場合について説明したがこれに限るものではなく、一相又は二相、或いは四相以上のブラシレスモータに適用することも可能である。
【0174】
また、上記第3或いは第4の実施の形態においては、ブラシレスモータ1の回転力がプーリ22bを介して伝達されるキャリッジ21の駆動制御を行う場合について説明したが、上記第1或いは第2の実施の形態のように、ブラシレスモータ1の回転力が歯車機構等を介して伝達される紙送り機構を駆動する場合に適用することも可能である。
【0175】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係るモータの駆動装置によれば、モータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物に設けられ、且つ駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器からのパルス信号を利用して、モータの転流制御を行うようにしたから、モータの転流制御用の位置検出器を設けることなく転流制御を行うことができると共に、モータが低回転域であっても的確に転流タイミングを検出し、高精度に転流制御を行うことができる。
【0176】
また、請求項2に係るモータの駆動装置によれば、モータの駆動対象物に設けられた位置検出器からのパルス信号のパルス数をモータの回転方向に応じてカウントし、このカウント値が、予め検出した一転流区間あたりに受信するパルス数に基づいて設定した転流パターンで特定される整数値と一致するとき、モータの転流を行うようにしたから、モータの転流制御用の位置検出器を設けることなくモータの転流制御を行うことができると共に、的確な転流タイミングで転流を行うことができる。
【0177】
また、請求項3に係るモータの駆動装置によれば、転流パターンを、一転流区間あたりの前記パルス数である区間パルス数を順次加算したときにその和が整数値となるまでの加算回数個の転流タイミング値で構成し、且つ転流タイミング値は、各加算回における前記区間パルス数の和の小数点以下を四捨五入して整数値とした値に基づいて設定するようにしたから、転流を行う毎に転流タイミングのずれが累積されることはなく、転流タイミングのずれを抑制し高精度に転流制御を行うことができる。
また、請求項4乃至請求項9に係るモータの駆動装置によれば、駆動対象物に設けられ且つ駆動対象物の移動に伴って出力される位置検出器からパルスが入力される毎に、モータの一転流区間あたりのパルス数の逆数である転流定数をモータの回転方向に応じて加算又は減算し、転流定数の累積値の整数部が変化したとき、又は累積値が整数値となったとき、又は前記累積値の符号が変化したときに転流を行うから、モータの転流制御用の位置検出器を設けることなく転流制御を行うことができると共に、的確なタイミングで転流を行うことができ、高精度に転流制御を行うことができる。
【0178】
また、請求項5乃至請求項7に係る発明によれば、回転子を所定量回転させる場合に必要とする転流回数を、この回転を行う際に受信すべきパルス数の設計値で除算すれば、転流定数を容易に算出することができ、また、回転子を所定量回転させた場合に実際に受信するパルス数を計測し、これに基づき転流定数を算出することにより、実際のモータの回転力伝達系に応じた転流定数を設定することができる。
【0179】
特に、請求項7に係る発明によれば、回転子を一回転させた場合に受信するパルス数を計測し、これに基づき転流定数を算出するから、モータ内部の部品の寸法誤差による各転流タイミング毎のばらつきが全て平均化された転流定数を得ることができ、転流タイミング誤差の累積を防止することができる。
【0180】
また、請求項8に係る発明によれば、転流定数Tの小数点以下の有効桁数nを、駆動対象物の移動量をL、位置検出器の分解能(駆動対象物の移動量/パルス数)をB、前記パルス信号に基づき推定される回転子の推定位置と実位置との差の許容値を電気角でσ、一転流間の電気角をFとした場合に、(T+(L/B)×(5/10n+1 ))×F<σを満足するように設定するから、駆動対象物の移動量或いは位置検出器の分解能等の各変数が変化した場合でも、許容値σを満足し得る転流制御を容易に行うことができる。
【0181】
特に、請求項9に係る発明によれば、前記駆動対象物がインクジェットプリンタのインク吐出ヘッドである場合には、転流定数の小数点以下の有効桁数nを4桁乃至8桁に設定すれば、ほぼ全ての用紙サイズのプリンタに対して適用することができる。
【0182】
また、請求項10に記載のモータの駆動装置によれば、転流制御手段では、転流定数を加算しているときには累積値が“1”以上となる毎に累積値から“1”を減算し、逆に転流定数を減算している時には累積値が“0”以下となる毎に累積値に“1”を加算するから、転流定数の累積値の桁数が増加することを回避することができる。
【0183】
さらに、請求項11又は請求項12に記載のモータの駆動装置によれば、転流制御手段では、転流定数の小数点以下の桁数がmであるとき、転流定数を10m 倍して整数値として扱うようにしているから、整数値のみの演算となり演算を簡略化することができ、また、このときにも、転流定数を加算している時には累積値の上位側m+1桁目が変化する毎に累積値から10m を減算し、転流定数を減算しているときには累積値が“0”以下となる毎に累積値に10m を加算することにより、転流定数の累積値の桁数の増加を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したブラシレスモータの駆動装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】転流制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施の形態における転流原点設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図2の転流制御処理における起動処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態における転流カウント処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態における転流原点設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態における転流カウント処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】駆動対象としてキャリッジを駆動する場合の概略構成図である。
【図9】第3の実施の形態における転流原点設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態における転流カウント処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第4の実施の形態における転流原点設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施の形態における転流カウント処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ブラシレスモータ
10 駆動装置
11 インバータ
12 転流制御回路
15 位置検出器

Claims (12)

  1. 回転子と固定子巻線とを備えたモータの駆動装置であって、
    前記モータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物には、当該駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器が設けられ、前記パルス信号に基づいて前記駆動対象物の位置制御が行われるようになっているものにおいて、
    前記パルス信号を利用して前記モータの転流制御を行う転流制御手段を備えることを特徴とするモータの駆動装置。
  2. 回転子と固定子巻線とを備えたモータの駆動装置であって、
    前記モータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物には、当該駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器が設けられ、前記パルス信号に基づいて前記駆動対象物の位置制御が行われるようになっているものにおいて、
    前記位置検出器は、前記モータの一転流区間あたりに少なくとも1以上のパルスを出力可能に構成され、
    前記モータの回転子が初期位置にある状態を基準として前記位置検出器からのパルスを前記モータの回転方向に応じて加算又は減算するカウント手段と、
    前記モータの一転流区間あたりのパルス数に基づき設定した転流タイミングを規定する転流パターンを記憶する転流パターン記憶手段と、
    前記カウント手段のカウント値が、前記転流パターン記憶手段で記憶する転流パターンと一致するとき、前記モータの転流を行う転流制御手段と、を備えることを特徴とするモータの駆動装置。
  3. 前記転流パターンは、一転流区間あたりの前記パルス数である区間パルス数を前記区間パルス数の和が整数値となるまで加算し、各加算回における前記区間パルス数の和の小数点以下を四捨五入して整数値とし、これを昇順に並べた数値列に基づき設定された転流タイミング値列から構成され、
    前記転流制御手段は、前記転流タイミング値を、前記転流パターンにおける転流タイミング値の並び順に繰り返し切り換え、この転流タイミング値と前記カウント値が一致する毎に転流を行うことを特徴とする請求項2記載のモータの駆動装置。
  4. 回転子と固定子巻線とを備えたモータの駆動装置であって、
    前記モータからの動力が伝達されて駆動される駆動対象物には、当該駆動対象物の移動に伴って位置検出用のパルス信号を出力する位置検出器が設けられ、前記パルス信号に基づいて前記駆動対象物の位置制御が行われるようになっているものにおいて、
    前記位置検出器は、前記モータの一転流区間あたりに少なくとも1以上のパルスを出力可能に構成され、
    予め検出した前記モータの一転流区間あたりの前記位置検出器からのパルス数である区間パルス数の逆数を転流定数として記憶する転流定数記憶手段と、
    前記モータの回転子が初期位置にある状態を基準として、前記位置検出器からパルスを受信する毎に、前記転流定数記憶手段で記憶する転流定数を前記モータの回転方向に応じて加算又は減算し、この転流定数の累積値が整数値となったとき又は前記累積値の整数部が変化したとき又は前記累積値の符号が変化したときに、前記モータの転流を行う転流制御手段と、を備えることを特徴とするモータの駆動装置。
  5. 前記転流定数は、前記回転子を所定量回転させる際に必要とする転流回数を、前記回転子を前記所定量回転させる場合に受信すべきパルス数の設計値で除算した値であることを特徴とする請求項4記載のモータの駆動装置。
  6. 前記転流定数は、前記回転子を所定量回転させる際に必要とする転流回数を、前記回転子を前記所定量回転させた場合に受信したパルス数の計測値で除算した値であることを特徴とする請求項4記載のモータの駆動装置。
  7. 前記転流定数は、前記回転子を一回転させる際に必要とする転流回数を、前記回転子を一回転させた場合に受信したパルス数の計測値で除算した値であることを特徴とする請求項6記載のモータの駆動装置。
  8. 前記転流定数をT、その小数点以下の有効桁数をn、前記駆動対象物の移動量をL、前記位置検出器の分解能(駆動対象物の移動量/パルス数)をB、前記パルス信号に基づき推定される前記回転子の推定位置と回転子の実位置との偏差の許容値を電気角でσ、一転流間の電気角をFとした場合に、
    (T+(L/B)×(5/10n+1))×F<σ
    なる関係が成立していることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載のモータの駆動装置。
  9. 前記駆動対象物はインクジェットプリンタのインク吐出ヘッドであって、前記転流定数の小数点以下の有効桁数は4乃至8桁であることを特徴とする請求項4乃至8の何れかに記載のモータの駆動装置。
  10. 前記転流制御手段は、前記転流定数を加算しているときには、前記転流定数の累積値が1以上となる毎に前記累積値から1を減算し、前記転流定数を減算しているときには、前記累積値が0以下となる毎に前記累積値に1を加算することを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載のモータの駆動装置。
  11. 前記転流制御手段は、前記転流定数の小数点以下の桁数をmとしたとき、前記転流定数を10m倍して桁数mの整数値として扱い、前記転流定数の累積値の上位側m+1桁目が変化したとき又は前記累積値が零となったとき又は前記累積値の符号が変化したときに、転流を行うことを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載のモータの駆動装置。
  12. 前記転流制御手段は、前記転流定数の累積値に対し、その上位側m+1桁目が変化する毎に前記累積値から10mを減算し、且つ前記累積値が0以下となる毎に前記累積値に10mを加算することを特徴とする請求項11記載のモータの駆動装置。
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