JP3697856B2 - ロールコータの塗装膜厚の制御方法 - Google Patents

ロールコータの塗装膜厚の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋼帯、紙などの帯状体に塗料、インク、接着剤などを塗装するロールコータの塗装膜厚制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗装鋼板などの帯状体を連続的に塗装するにはロールコータが用いられる。図1〜3に種々のロールコータの構成を示す。
【0003】
図1は最も一般的な2ロール構成の例である。ピックアップロール2の回転にともなって塗料パン1に満たされた塗料6がピックアップロール2に付着して引き上げられ、アプリケータロール3に移送される。次いで、塗料6はバックアップロール4に支持された帯状体5に転写される。塗装済みの帯状体5は図示しない乾燥炉を経由して巻き取られる。同図は片面のみの塗装を示したものであるが、同様な塗装処理を両面に施して製品とする。
【0004】
帯状体の移送速度Vb に対してアプリケータロールは同方向または逆方向に周速Va で回転している。回転が同方向の場合をナチュラルコーティング(Natural Coating) 、逆方向の場合をリバースコーティング(Reverse Coating) と言う。
【0005】
ピックアップロール2とアプリケータロール3の周速の方向関係についても同方向の場合と、逆方向の場合がある。いずれも塗料の粘度、膜厚範囲等の塗装条件によって回転方向を選択する。
ロールコータの構成には上記2ロール型のほか、メータリングロールを加えた3ロール型の構成がある。
【0006】
図2は3ロール型の一構成例である。メータリングロール8でピックアップロール2に引き上げられた塗料を均一にならすことにより、アプリケータロール3に供給される塗料量を一定にするものである。
【0007】
図3は3ロール型の他の構成例である。メータリングロール8をピックアップロール2とアプリケータロール3との間に介在させ、ピックアップロール2からアプリケータロール3に塗料を移送する働きをするとともに、アプリケータロール3に供給される塗料量を均一にならすことにより塗装膜厚を安定させるようにしたものである。
【0008】
帯状体の塗装膜厚は帯状体の速度(すなわち、バックアップロール周速)を一定とすると、アプリケータロール3から帯状体5への塗料供給量によって決まる。この塗料供給量はアプリケータロールへの塗料供給量によって決まる。さらに、塗料の物性(主に粘度)が決まれば、アプリケータロールへの塗料供給量はアプリケータロール3、ピックアップロール2およびメータリングロール8の回転方向、周速および各ロール間隙ならびに帯状体とアプリケータロールとの間隙の各パラメータを調整することによって制御することができる。ロール間の接触部をニップとも言う。
【0009】
しかし、アプリケータロールと帯状体間(バックアップロール間)のニップ調整は塗装膜厚への影響が小さく、制御に用いるのは好ましくない。また、各ロールの周速で塗装膜厚を調整するのは塗装表面に縞模様を生じやすいため、塗装膜厚制御としては好ましくない。一般にピックアップロールとアプリケータロールの相対周速を変更するのは塗装膜厚を大幅に変更する場合に限られる。
【0010】
従って、通常はピックアップロールとアプリケータロール間のニップやアプリケータロールとメータリングロール間のニップを調整することで塗装膜厚制御を行っている。
【0011】
アプリケータロールへの塗料供給量の調整については、2ロール型のピックアップロールも3ロール型のメータリングロールも同様の機能を持つ。従って、以下の説明は図1の2ロール型について行う。また、以下では塗装膜厚制御に係るピックアップロールとアプリケータロールを単に「2本のロール」または「両ロール」とも言い、ピックアップロールとアプリケータロール間のニップを単にロール間とも言い、単にニップとも言う。
【0012】
アプリケータロールは塗料が均一に帯状体に転写されるよう、表面は硬質のゴムでライニングされている。従って塗装膜厚制御は少なくとも1本のライニングロールに対してニップの調整をしなければならない。ニップの調整はロール間の荷重を調整する方法と、ロール軸心間間隔(またはロール間キスタッチ位置を基準としたロール軸心間距離。以下これを押込量と言う。キスタッチ位置に対して締め込む方向を負の押込量とする。)を調整する方法とがある。ところが、ニップ部塗料の流体圧によってゴムが容易に変形すること、ロール同士がキスタッチする瞬間をとらえるのが困難なこと、およびライニングが塗料溶剤により膨潤あるいは温度変化で膨張することなどから、ニップ調整を押込量で管理するのは困難である。そのため従来は、ロール間荷重とニップの塗料厚さとが一義的に対応するものとして、ロール間荷重による塗装膜厚制御が一般的に行われている。ロール間荷重は塗料の流体圧による反力に相当する。単位幅あたりの荷重をニップ圧と言う。
【0013】
ニップを通過する塗料の量は塗料のレオロジー特性、ロールの寸法、ロールの弾性係数およびロール周速などの影響をうけるため、ニップ圧の設定にはこれらの要因を加味しなければならない。
【0014】
また、塗料などの有機質塗料のオンライン厚さ計はロールコータ位置からはるかに下流側に設置せざるをえないことが多い。この場合ロールコータでの制御結果を確認できるのは帯状体がロールコータから厚さ計の位置までの移送遅れ時間後となり、単純なフィードバック制御では大きなハンチング(制御変動)をもたらすおそれがある。
【0015】
さらに、塗料は温度が変化すると粘度が大きく変化する。また塗料は溶剤を含むため、時間経過とともに溶剤が蒸発して粘度が高くなる。また、アプリケータロール等のゴムライニングは塗料の溶剤によって膨潤し、ライニング厚さが増すとともに、ヤング率低下等の機械的性質の変化がある。このように、塗料とゴムライニングの変化は塗装制御の大きな外乱要因となる。
【0016】
以上のように、ロールコータの塗装膜厚制御には多くの変動要因が含まれており、熟練作業者といえども安定した塗装膜厚の管理は困難であった。
これらの問題を解決するため例えば、特開昭59−166959号公報にはピックアップロールの幅方向の2カ所以上でロール間の接触圧(ニップ圧)を検出し、得られた検出値をあらかじめ求めておいた接触圧と被処理帯状体塗装膜厚との関係に照合して、該接触圧を所定圧に調節することにより塗装膜厚を調整する技術が開示されている。
【0017】
特開平5−220441号公報には帯状体への塗料の供給量qAと、塗装されずにアプリケータロール残るリーク量qLとの差を評価したモデル式に基づいて帯状体に塗装される膜厚を制御する技術が開示されている。
【0018】
特公昭61−2030号公報にはコーティング直後のウェット膜厚計の利点(移送遅れが少ないこと)と欠点(信頼性が低いこと)、塗料乾燥後のドライ膜厚計の利点(精度、信頼性が高いこと)と欠点(移送遅れが大きいこと)をそれぞれ補って、塗装膜厚の制御精度を向上させる方法が開示されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭59−166959号公報に開示された技術は、過去の操業の実績値を記憶しておき、同条件の操業時に同じニップ圧設定をすることとしたもので、塗料の経時変化、ゴムライニングの膨潤などの外乱要因に関する対応はなされていないし、後述のようにニップ圧で塗装膜厚制御をすることにも問題がある。
【0020】
特開平5−220441号公報に開示された技術は、制御因子として、ニップ圧またはロール周速を変更する例を示している。同公報の方法は防錆用塗料等のように比較的粘度が低く、塗装膜厚が薄い場合は有効と考えられる。すなわち、ロール間の押込量を大きくし、ニップ圧を大きくして塗装するため、諸要因の変動(ロールの偏芯、軸受け振動、伝達トルク変動及びライニングゴムの弾性ムラなど)が塗装膜厚精度におよぼす影響は少ない。しかし、家電製品向けや建材向けの塗装鋼板はドライ膜厚で5〜35μm(ウェット膜厚で9〜100μm、ウェット付着量で11〜130g/m2 )程度の厚膜の製品が多い。この場合、押込量を小さく、ニップ圧を小さくして塗装するため、ロール回転ムラによる荷重変動や、ニップ圧設定誤差が塗装膜厚誤差に大きな影響を及ぼす。そのため設定誤差が大きくなったり制御が不安定になるという問題がある。
【0021】
前記特公昭61−2030号公報に開示された技術は実測塗装膜厚と目標塗装膜厚との偏差に対して、どの程度ロールコータにフィードバックすればよいのかについて何ら詳細に開示していない。仮にフィードバックゲインを一定として制御すると、塗装膜厚が大きい場合はフィードバック過多となって制御不安定になるおそれがある。
【0022】
本発明の課題は、塗装膜厚に影響するロールコータの諸要因を塗装膜厚モデルに取り込み、初期設定の精度向上を図ること、および塗装膜厚実測値によるフィードバック制御の制御量を迅速かつ適切に算出し、制御を安定化することによって塗装膜厚精度を向上させることにあり、特に厚膜塗装時にニップ圧制御では達しえない塗装膜厚精度を得ることにある。
以下、鋼帯の塗装ラインを例にとって説明する。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは種々の実験と検討をした結果、次のような知見を得た。
(a) 塗装膜厚が大きい場合、ニップ圧は小さい。ニップ圧が小さいと、初期設定誤差の塗装膜厚に対する影響が相対的に大きくなる。このような場合はニップ圧基準での塗装膜厚制御には限界があり、押込量による制御が有効である。
【0024】
(b) 前記(a) の押込量による制御を行うためには、さらにロール間反力によるロール軸、軸受けなどの機械的変位(撓み)を考慮しなければならない。
【0025】
(c) 塗装膜厚を実測してフィードバック制御する際にも、厚膜の場合は押込量制御が有効である。しかし、複雑な塗装膜厚モデルを毎回計算すると演算時間がかかりすぎるため、高速演算可能な制御モデルが必要になる。
【0026】
上記の知見に基づいた本発明の要旨は以下の(1) 〜(3) に記載の通りである。
(1) 少なくとも1本がライニングされた2本のロール間間隙を調整して帯状体への塗装膜厚を制御する方法において、目標塗装膜厚に対するロール間押込量を求め、前記ロール間押込量に対するロール間荷重によって生じる前記2本のロールの撓み量を求め、前記ロール間押込量から前記撓み量を減じた値で押込量設定を行うことを特徴とするロールコータの塗装膜厚の制御方法。
【0027】
(2) 少なくとも1本がライニングされた2本のロール間間隙を調整して帯状体への塗装膜厚を制御する方法において、上記(1)に記載する方法で押込量設定を行ない、塗装膜厚を実測し、あらかじめ求められた塗装膜厚偏差と押込量の修正量の関係に基づいて、目標塗装膜厚と実測値との差から押込量の修正量を求め、押込量設定の修正を行うことを特徴とするロールコータの塗装膜厚の制御方法。
【0028】
(3) 塗装膜厚範囲がウェット膜厚で9μm以上またはウェット付着量で11g/m2 以上の場合のいずれかに適用することを特徴とする前記(1) または(2) 項に記載のロールコータの塗装膜厚の制御方法。
【0029】
【発明の実施の形態】
図4はロール周速、帯状体速度などの条件が一定の場合、塗装膜厚、ニップ荷重および押込量の関係を示すグラフである。同図(a) は塗装膜厚とニップ荷重の関係、同図(b) は塗装膜厚と押込量との関係を示す。
【0030】
同図(a) に示すように、ニップ荷重が大きい領域ではニップ荷重の変化に対して、塗装膜厚の変化は小さいがニップ荷重の小さい領域ではこの変化が大きく、ニップ荷重がゼロに近くなるほどグラフは縦軸に漸近し、急激に塗装膜厚が大きくなる。すなわちニップ荷重(ニップ圧)の設定誤差や変動に対して塗装膜厚が大きな誤差や変動になることを表している。
【0031】
塗装膜厚が薄い場合はニップ圧制御の方が事前にロール間の位置合わせを厳密に行わなくても塗装膜厚制御にはさほど支障はないが、厚膜塗装の場合にはロール系の回転ムラやトルク変動による塗装膜厚変動が大きくなることが実際の塗装作業で経験的に知られている。
【0032】
同図(b) では押込量が大きい領域(グラフの右端)では押込量の変化に対する塗装膜厚の変化は小さく、押込量の小さな領域(原点近傍)ではこの変化が大きいものの、変化率は60μm/mm程度である。すなわち、厚膜の場合、膜厚制御精度は押込量で制御する方がニップ圧で制御するよりも優れていることを示している。
【0033】
押込量による制御をするためにはロールの基準位置(間隙がゼロ、すなわちロールが同士が線接触した状態)を定めることが重要である。この作業をゼロ調設定というが、ゼロ調設定は塗装作業開始前に行わねばならない。
【0034】
ゼロ調設定後、押込量を初期設定して塗装を開始する。このとき、押込量設定が適切であれば、最初から正しい塗装膜厚の製品になるが、これを誤ると、膜厚不足の場合は不良品となり、膜厚過多の場合は塗料を過剰に使用することになる。従って、初期設定の良否による塗装膜厚精度は歩留、塗料原単位に大きく影響する。あるいは、塗装膜厚確認のため試し塗りをすると稼働率が低下する。
【0035】
初期設定精度を向上するには塗装条件の変化に対して塗装膜厚を精度よく予測する塗装膜厚モデルが必要である。本発明ではこの塗装膜厚モデルに流体潤滑理論に基づいた数式モデルを用いている。ニップ部の塗料の挙動は流体潤滑理論に基づいて、微小部分の塗料に働く流体圧と塗料粘度に伴うせん断力の釣り合いの運動方程式(微分方程式)として定式化することができる。
【0036】
図5に示すロールコータの構成で、本発明に用いた塗装膜厚モデルを説明する。以下では、ウェット膜厚について説明するが、ウェット膜厚δW (μm)とウェット付着量WW (g/m2 )は、
W =γ・δW
ドライ膜厚δD (μm)は、
δD =γ・C・δW /d
ドライ付着量WD (g/m2 )は、
D =d・δD
(ただし、γは塗料比重、Cは塗料固形分比率、dはドライ状態での塗料比重である。)の関係にあり、δW 、δD 、WW 、WD 相互は塗料種類が決まれば容易に換算できる。
【0037】
まず、帯状体5上の目標塗装膜厚δt (ウェット膜厚)を実現するロール間押込量を以下の塗装膜厚モデルに従って求める。
塗装膜厚δt (ウェット膜厚)は下記(1) 〜(16)の実験式で表される。
【0038】
δt =η・δa・Va/Vb (1)
log(η/η50)=C1・log(δa/50) (2)
logη50=α1logEab+β1 (3)
α1 =C2・Sab+C3 (4)
β1 =C4・Sab+C5 (5)
Eab=μ・Vab(L/E) (6)
Vab=(Va +Vb)/2 (7)
δp =K・δa (8)
δa =Qpa/(Vp ・K+Va) (9)
K =VrC6 (10)
Vr=(Vp /Va) (11)
log Qpa=α2logEpa+β2 (12)
α2 =C7・Spa+C8 (13)
β2 =C9・Spa+C10 (14)
Epa=μ・Vpa(L/E) (15)
Vpa=(Vp +Va)/2 (16)
ここで、
η :アプリケータロールから帯状体への塗料転写率(−)
η50 :アプリケータロール膜厚が50μmの時の帯状体への転写率(−) 、
Spa :ピックアップロール・アプリケータロール間の押込量(mm)、
Sab :アプリケータロール・バックアップロール間の押込量(mm)、
Qpa :塗料パンからニップに供給される単位幅当りの塗料量(m2/s)
δa :アプリケータロール上のウェット膜厚(mm)、
δp :ピックアップロール上のウェット膜厚(mm)、
K :ピックアップロールとアプリケータロールの塗料配分比(−) 、
Va :アプリケータロールの周速(m/s) 、
Vb :バックアップロールの周速すなわち帯状体の速度(m/s) 、
Vp :ピックアップロールの周速(m/s) 、
μ :塗料の粘度(N・s /m2)、
L :ライニングゴム厚さ(mm)、
E :ライニングゴムの縦弾性率(N/mm2)、
1 〜C10 :定数、
である。
【0039】
塗装条件(塗装膜厚、塗料種類、ライン速度など)から、上記Va 、Vb 、Vp 、Sabを決定し、目標塗装膜厚δt からピックアップロールとアプリケータロール間押込量Spaを(1) 〜(16)式により求めることができる。計算方法は、最初にSpaを仮定し、(2) 〜(16)式に代入し、(1) から求められたδt が目標より小さい時(大きい時)、Spaを増加させ(減少させ)、繰り返し計算によりSpaを収束させる方法である。
【0040】
このようにして求められたSpaが目標塗装膜厚δt を実現する押込量の初期設定値である。ただし、Spaはピックアップロールおよびアプリケータロールの金属ロールが完全剛体であることを前提としている。実際にはニップ荷重による両ロール両端ネック部、軸受け部分およびロール架台の変形にともなう機械系の撓みがあり、押込量は両ロールの軸受け部または架台に取り付けられた位置検出器で表示されているため撓み補正が必要になる。
【0041】
以下、ニップ荷重P(単位N)によるロールの撓みを検討する。ニップ荷重Pも流体潤滑モデルにより導出できる。本発明者らはニップ荷重P表現するモデルとして、無次元化した荷重数Fおよび無次元化した弾性数Ne を介在させ、下記のような実験式を導出した。
【0042】
P=F・Bpa・E・Rm C11・SpaC12/L (17)
F=ΣAk(log Ne)k (ただし、Ak =A1〜A6) (18)
Ne =C13・μ・Vpa・L・Rm C14/(E・SpaC15) (19)
Vpa=(Vp+Va)/2 (20)
m =Rp・Ra/(Rp +Ra)*2 (21)
ここで、
F :無次元化荷重数(−)、
Bpa :ピックアップロールとアプリケータロール接触長さ(mm)、
E :前記ライニングゴムの縦弾性率(N/mm2)、
Spa :前記ピックアップロール・アプリケータロール間押込量(mm)、
Ne :無次元化弾性数(−)、
Rp :ピックアップロール半径(mm)、
Ra :アプリケータロール半径(mm)、
k :多項式の係数、
11〜C15:定数、
である。
【0043】
上記(17)〜(21)においてBpa、E、L、Rp 、Ra 、Vp 、Va 、μ、は既知であり、Spaは前記押込量で既知であるから、(17)式からPが直接求められる。
【0044】
よって、押込量の合計Stotal は、流体潤滑理論から導出されるニップ間隙Spaと、ニップ荷重によるロール撓み補正を加えたものとなり、
total =Spa−G・P (22)
である。
ここで、Gはピックアップロールおよびアプリケータロールの機械系の剛性係数の逆数である。
【0045】
このようにして求められたStotal は塗装開始時の押込量の初期設定値とすることができる。
塗装中に塗装膜厚実測値が得られ、塗装膜厚偏差がある場合、押込量を修正しなければならない。この場合、ロールコータから塗装膜厚計までの移送遅れ時間を考慮してサンプル値などの手法でフィードバック制御が必要である。このときの制御量として塗装膜厚偏差をゼロにする押込量補正を与えれば1回のフィードバックで偏差をなくすことができる。塗装膜厚と押込量との関係は前記(1) 〜(22)式により与えられるが、20秒〜2分のサンプリング周期毎にこの計算をすると計算機に大きな負担がかかり所期の時間内に終了しない恐れもある。
【0046】
このようなフィードバック制御に備えて、(22)式を塗装膜厚δt で微分した係数を求めておくと、その都度(1) および(2) 式の計算をしなくてよい。より具体的には、ある塗装膜厚δt に対する押込量設定値Stotal と、ある塗装膜厚(δt +Δδt )に対する押込量設定値(Stotal +ΔStotal )を(1) 〜(22)式によって求め、微分値D=(ΔStotal /Δδt )をテーブル化して保存しておくことである。このようにしておけば、塗装膜厚誤差δerror に対し、押込量の修正量は、δerror ・Dとして与えられるため、迅速にフィードバック補正量の算出ができる。むろん、微分値Dのテーブルの代わりに多項式などの簡単な関数形式で表してもよい。
【0047】
塗料の粘度μが変化した場合でも、前記のモデル式(1) 〜(22)にはμを含んでいるので修正計算が可能である。この場合、塗料粘度をオンライン計測するか、あらかじめ塗装経過時間と粘度変化の関係、塗料温度と粘度の関係などを求めておけば、刻々の粘度変化を反映することができる。
【0048】
同様にライニング材の縦弾性係数Eが変化した場合、または時間経過とともに膨潤や温度変化による縦弾性係数Eの変化が推定できる場合、前記のモデル式(1) 〜(22)を再計算することによって刻々の縦弾性係数の変化を反映することができる。
【0049】
以上述べたように、本発明の塗装膜厚制御方法はピックアップロールとアプリケータロール間の押込量を制御因子として設定するため、ニップ圧設定を制御因子とする方法に比較して初期設定および設定修正の精度が向上し、とくに厚膜塗装に有効である。
【0050】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す塗装条件で塗装膜厚制御を行い、本発明と従来技術とを比較した。
【0051】
【表1】
Figure 0003697856
【0052】
まず、初期設定精度について本発明方法による制御例と従来技術による制御例を比較した。
図6に塗装膜厚制御の制御系統図を示す。同図(a) は本発明の押込量設定、制御に必要な制御系の系統図、同図(b) は従来技術によるニップ圧設定、制御に必要な制御系の系統図である。
【0053】
同図(a) において、ロールコータのバックアップロール4はバックアップロール架台9に固定されている。油圧シリンダー13は鋼帯継ぎ目でアプリケータロール3を回避するときにベース架台全体を大きく移動するときに用いる。アプリケータロール架台11はベース架台10上を移動し、アプリケータロールサーボモータ14でアプリケータロール3とバックアップロール4間の距離を調整でき、この距離をアプリケータロール位置検出器18で検出するようになっている。アプリケータロール3とバックアップロール4間の荷重はアプリケータロールロードセル16で検出する。ピックアップロール架台12はアプリケータロール架台11上を移動し、ピックアップロールサーボモータ15でピックアップロール2とアプリケータロール3間距離を調整でき、この距離をピックアップロール位置検出器19で検出するようになっている。ピックアップロール2とアプリケータロール3間の荷重はピックアップロールロードセル17で検出する。
【0054】
同図(a) では制御用計算機が計算した本発明の制御モデルによる押込量値を押込量サーボ制御装置20に設定信号として与えるようにしている。押込量サーボ制御装置20は押込量設定値とピックアップロール位置検出器19の検出値の偏差がゼロになるようピックアップロールサーボモータ15を駆動するようになっている。本発明例ではこの制御系を用いて塗装膜厚制御を行った。
【0055】
同図(b) は従来技術によるニップ圧設定の制御系の系統図で、同部品を同図(a) の同符号で表している。同図(b) では制御用計算機が計算したニップ圧値をニップ圧サーボ制御装置21に設定信号として与えるようにしている。ニップ圧サーボ制御装置21はニップ圧設定値とピックアップロールロードセル17の検出値の偏差がゼロになるようピックアップロールサーボモータ15を駆動するようになっている。従来例ではこの制御系統を用いて塗装膜厚制御を行った。
表2に塗装膜厚の初期設定制御の結果を示す。
【0056】
【表2】
Figure 0003697856
【0057】
表2からわかるように、塗装膜厚が小さい場合、塗装膜厚誤差は本発明例と従来例との差異はあまりないが、塗装膜厚が厚いほど、また塗料粘度が大きいほど、従来例に比較して塗装膜厚誤差が小さくなった。
従来例では塗装膜厚が大きい場合、押込量が小さくなり、荷重が小さくなるため荷重の設定誤差が大きく影響し塗装膜厚制御精度が悪化するためと考えられる。
【0058】
(実施例2)
表1と同じ塗装条件で、塗装ライン下流側の塗装膜厚計をフィードバック制御に組み込んだ。
本発明例ではフィードバック量を与えるに際し、塗装膜厚偏差に対する押込量の修正量を微分値として表にした係数から計算して与えた。一方従来例では、塗装膜厚偏差に対して一定の係数(フィードバックゲイン)を乗じてニップ圧のフィードバック量を計算し、ニップ圧設定値とした。
【0059】
本発明例、従来例とも、鋼帯の移送遅れがあるため、サンプル値制御のロジックを用いた。
図7に塗装膜厚計からの実測膜厚をフィードバック制御したときの塗装膜厚変動のチャートを示す。塗装膜厚は40μm(ウェット膜厚)で、比較的厚膜に属する。同図(a) は本発明による制御(押込量設定の修正)、同図(b) は従来例(ニップ圧設定の修正)を示す。同図からわかるように、本発明例の塗装膜厚変動は従来例に比較して1/4 〜1/3 に減少した。
【0060】
【発明の効果】
ロールコータでの鋼帯等のコイルの連続塗装において、本発明の初期設定制御により塗装仕様変更後、速やかに目標塗装膜厚を確保することできる。また、膜厚計から塗装膜厚実測値が得られる場合、膜厚偏差に応じて適切な制御出力を算出することで、高精度のフィードバック制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2ロール型ロールコータ装置の概略図である。
【図2】3ロール型ロールコータ装置の概略図で、ピックアップロールにメータリングロールを設置した例である。
【図3】3ロール型ロールコータ装置の概略図で、トランスファー型メータリングロールの配置例である。
【図4】ロール間間隙の設定方法を説明するグラフで、同図(a) はニップ圧と塗装膜厚の関係、同図(b) は押込量と塗装膜厚の関係を示すグラフである。
【図5】2ロール型コータのロール周速、ロール間間隙、および膜厚の説明図である。
【図6】ニップ制御方法の制御系統図で、同図(a) は押込量制御、同図(b) ニップ圧制御の系統図である。
【図7】実測塗装膜厚値によるフィードバック制御のチャートで、同図(a) は本発明例、同図(b) は従来例である。
【符号の説明】
1 塗料パン
2 ピックアップロール
3 アプリケータロール
4 バックアップロール
5 帯状体
6 塗料
7 ライニング
8 メータリングロール
9 バックアップロール架台
10 ベース架台
11 アプリケータロール架台
12 ピックアップロール架台
13 油圧シリンダー
14 アプリケータロールサーボモータ
15 ピックアップロールサーボモータ
16 アプリケータロールロードセル
17 ピックアップロールロードセル
18 アプリケータロール位置検出器
19 ピックアップロール位置検出器
20 押込量サーボ制御装置
21 ニップ圧サーボ制御装置

Claims (3)

  1. 少なくとも1本がライニングされた2本のロール間間隙を調整して帯状体への塗装膜厚を制御する方法において、目標塗装膜厚に対するロール間押込量を求め、前記ロール間押込量に対するロール間荷重によって生じる前記2本のロールの撓み量を求め、前記ロール間押込量から前記撓み量を減じた値で押込量設定を行うことを特徴とするロールコータの塗装膜厚の制御方法。
  2. 少なくとも1本がライニングされた2本のロール間間隙を調整して帯状体への塗装膜厚を制御する方法において、請求項1に記載する方法で押込量設定を行い、塗装膜厚を実測し、あらかじめ求められた塗装膜厚偏差と押込量の修正量の関係に基づいて、目標塗装膜厚と実測値との差から押込量の修正量を求め、前記押込量設定の修正を行うことを特徴とするロールコータの塗装膜厚の制御方法。
  3. 塗装膜厚範囲がウェット膜厚で9μm以上またはウェット付着量で11g/m以上の場合のいずれかに適用することを特徴とする請求項1または2記載のロールコータの塗装膜厚の制御方法。
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